説明

超音波プローブ

【課題】暗い場所における超音波プローブの操作性を向上させる。
【解決手段】アレイ振動子110から送波される超音波の送波方向側を光で照らして明るくする照明機能が超音波プローブ100に設けられる。発光素子150は、信号線152を介して制御されるLEDなどの素子である。発光素子150が発する光は、光の透過性に優れたカバー156を介して超音波プローブ100の外部に照射される。発光素子150が発した光の一部は、ミラー154によって送波方向側に向けて反射される。これにより、発光素子150が発した光を効率よく送波方向側に向けて照射することができる。なお、カバー156の材質や形状を適宜調整して光を屈折させることにより、発光素子150が発する光をさらに効率よく送波方向側に向けるようにしてもよい。また、発光素子150が取り付けられる面にミラー154を設けてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波プローブに関し、特に、超音波プローブの操作性を向上させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置を利用することにより、被検者の体内の対象組織を映し出した超音波画像を観察することができる。例えば所望の断層画像を得るために、検査者が超音波プローブを所望の位置に移動させて検査や診断を行う。
【0003】
ところが、一般的に、超音波診断装置を利用する検査室や診断室などは、超音波診断装置のモニタを検査者が見やすくなるなどの理由から、比較的暗いことが多い。こうした、暗い室内で超音波プローブを所望の位置に移動させることは、必ずしも容易ではない。
【0004】
ちなみに、超音波内視鏡に照明機能を設けて気管支内などにおいて観察範囲を照明する技術が知られている(特許文献1〜4参照)。
【0005】
こうした背景において、本願発明者らは、例えば暗い場所においても超音波プローブの操作を容易にするための技術について研究開発を重ねてきた。
【0006】
【特許文献1】特開2000−354596号公報
【特許文献2】特開2001−269305号公報
【特許文献3】特開2004−350703号公報
【特許文献4】特開2006−223422号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記研究開発の過程において成されたものであり、その目的は、暗い場所における超音波プローブの操作性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の好適な態様である超音波プローブは、超音波を送受波する複数の振動素子からなるアレイ振動子と、アレイ振動子を内蔵して超音波プローブの全体的な外観を形成するプローブケースと、アレイ振動子から送波される超音波の送波方向側を光で照らして明るくする照明部と、を有し、照明部から照らされる光によって診断部位の位置が確認され、その診断部位に対してアレイ振動子によって超音波が送受波されることを特徴とする。
【0009】
望ましい態様において、前記照明部は、光を発する発光素子と、発光素子が発した光を超音波の送波方向側へ反射するミラーと、を含むことを特徴とする。
【0010】
望ましい態様において、前記照明部は、アレイ振動子の側面に沿ってアレイ振動子の近傍に設けられることを特徴とする。
【0011】
望ましい態様において、前記照明部は、アレイ振動子を取り囲むように環状に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、暗い場所における超音波プローブの操作性が向上する。例えば本発明の好適な態様により、照明部から照らされる光によって診断部位の位置を確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
【0014】
図1は、本発明に係る超音波プローブの好適な実施形態を説明するための図であり、図1には、超音波プローブ100の内部構造が示されている。超音波プローブ100は、全体的に略円筒状に形成され、図示しないプローブケーブルを介して超音波診断装置の装置本体に電気的に接続される。もちろん、超音波プローブ100と装置本体が、物理的なプローブケーブルを省略して、無線信号などにより互いに接続されてもよい。検査者は、超音波プローブ100を手に持ち、超音波プローブ100の送受波面(レンズ130)を被検者の体表などに当てて超音波診断を実施する。
【0015】
超音波プローブ100の全体的な外観は、ケース160によって形成されており、そのケース160内には、複数の振動素子からなるアレイ振動子110が設けられている。アレイ振動子110内の各振動素子は、レンズ130を介して、図示する送波方向へ超音波を送波して生体などから反射波を受波する。アレイ振動子110内の複数の振動素子が電子的に走査制御されることにより超音波ビームが走査される。アレイ振動子110は、超音波ビームを二次元平面内で走査する1Dアレイ振動子でもよいし、超音波ビームを三次元空間内で走査する2Dアレイ振動子でもよい。
【0016】
アレイ振動子110は、バッキング120上に形成される。図1においては、バッキング120上に形成されたアレイ振動子110が下方(送波方向)側に向けられており、さらにその下方にレンズ130が設けられている。つまり、下方側から順に、レンズ130、アレイ振動子110、バッキング120の積層構造が形成されている。アレイ振動子110内の各振動素子に接続される信号線は、例えばバッキング120内を通って、超音波プローブ100の内部に引き出されるが、引き出された信号線やその信号線が接続される基板などは図示省略されている。
【0017】
本実施形態においては、アレイ振動子110から送波される超音波の送波方向側を光で照らして明るくする照明機能が超音波プローブ100に設けられている。発光素子150は、信号線152を介して制御されるLEDなどの素子である。発光素子150が発する光は、光の透過性に優れたカバー156を介して超音波プローブ100の外部に照射される。
【0018】
発光素子150が発した光の一部は、ミラー154によって送波方向側に向けて反射される。これにより、発光素子150が発した光を効率よく送波方向側に向けて照射することができる。なお、カバー156の材質や形状を適宜調整して光を屈折させることにより、発光素子150が発する光をさらに効率よく送波方向側に向けるようにしてもよい。また、発光素子150が取り付けられる面にミラー154を設けてもよい。
【0019】
発光素子150は、アレイ振動子110の側面に沿ってアレイ振動子110の近傍に設けられている。発光素子150は、アレイ振動子110を取り囲むように環状に形成されることが望ましい。その場合には、一つの大きな発光素子150がアレイ振動子110を取り囲んでもよいし、複数の小さな発光素子150がアレイ振動子110を取り囲むように配置されてもよい。発光素子150がアレイ振動子110を取り囲む場合には、ミラー154やカバー156もアレイ振動子110を取り囲むように形成される。なお、発光素子150やミラー154やカバー156は、ケース160に対して固定的に形成されることが望ましいものの、ケース160から着脱自在な構成であってもよい。
【0020】
本実施形態の照明機能は、例えば、暗い検査室や診断室内で利用される。例えば、被検者の体表上に、血管の経路などを示すマーキングが記されており、暗い室内においてそのマーキング箇所を確認する際に発光素子150が動作(発光)する。そして、確認されたマーキング箇所などに超音波を送受波する診断中においては、発光が停止あるいは減光されてもよい。
【0021】
発光素子150の動作は、装置本体に対する超音波プローブ100の着脱状態や、装置本体による超音波プローブ100に対する送受信制御の状態などに応じて制御される。例えば、装置本体に超音波プローブ100が接続されて超音波プローブ100が利用可能となった状態で発光素子150が点灯する。また、例えば、装置本体からの制御に応じて超音波プローブ100が超音波を送受波する際には、発光素子150が停止あるいは減光される。ちなみに、超音波の送受波状態に応じて発光を制御することにより、超音波プローブ100の動作状況、つまり超音波の送受波が行われているか否かを、検査者が発光状態から確認することも可能になる。
【0022】
また、本実施形態では、超音波の送波方向側を光で照らして検査者の手元付近のみを明るくするため、室内全体を明るくする場合に比べて、装置本体などに設けられたモニタの視認性を低下させることがない。ちなみに、本実施形態の超音波プローブ100は、例えば、ポータブル型の装置本体などに接続されて被災地などの屋外で利用されてもよい。
【0023】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る超音波プローブを説明するための図である。
【符号の説明】
【0025】
100 超音波プローブ、110 アレイ振動子、150 発光素子、154 ミラー、156 カバー、160 ケース。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送受波する複数の振動素子からなるアレイ振動子と、
アレイ振動子を内蔵して超音波プローブの全体的な外観を形成するプローブケースと、
アレイ振動子から送波される超音波の送波方向側を光で照らして明るくする照明部と、
を有し、
照明部から照らされる光によって診断部位の位置が確認され、その診断部位に対してアレイ振動子によって超音波が送受波される、
ことを特徴とする超音波プローブ。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波プローブにおいて、
前記照明部は、
光を発する発光素子と、
発光素子が発した光を超音波の送波方向側へ反射するミラーと、
を含む、
ことを特徴とする超音波プローブ。
【請求項3】
請求項2に記載の超音波プローブにおいて、
前記照明部は、アレイ振動子の側面に沿ってアレイ振動子の近傍に設けられる、
ことを特徴とする超音波プローブ。
【請求項4】
請求項3に記載の超音波プローブにおいて、
前記照明部は、アレイ振動子を取り囲むように環状に形成される、
ことを特徴とする超音波プローブ。

【図1】
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