説明

超音波内視鏡

【課題】先端硬質部に設けた観察部による観察視野に処置具導出口を捉えることができるようにした上で、照明むらや影となる部位が生じるのを抑制する。
【解決手段】先端硬質部1bの後端側の位置に、照明部3及び観察部4を装着した観察手段装着用傾斜面部5が形成され、それより先端側の部位であり、かつ超音波トランスデューサ2の位置より後部側の部位は先端硬質部1bの軸線方向に向けられ、処置具導出口11が開口する通路開口面部9が形成されており、この通路開口面部9の左右の部位を斜め下方に向けて切り落として、導光用退避壁部21,21が形成されており、これらの導光用退避壁21には他の照明部22が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔内に挿入される挿入部の先端に電子走査式の超音波トランスデューサと内視鏡観察手段とを装着した超音波内視鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波内視鏡は、体腔内に挿入される挿入部を有するものであり、この挿入部の先端硬質部には超音波検査手段と内視鏡観察手段とが設けられる。内視鏡観察手段は照明部と観察部とから構成され、観察部は通常固体撮像装置を備える構成としている。また、超音波検査手段は超音波トランスデューサから構成されるものであり、この超音波トランスデューサによる走査方式としては、機械走査式と電子走査式とがある。電子走査式の超音波トランスデューサは、所定数の超音波振動子を一定の方向に配列することにより構成され、これら各超音波振動子を順次作動させることによって、所定の範囲にわたって超音波走査が行われることになる。
【0003】
電子走査式の超音波トランスデューサを設けた超音波内視鏡にあっては、特許文献1にあるように、挿入部の先端硬質部において、先端側に超音波トランスデューサが配置され、後部側に照明部及び観察部からなる内視鏡観察手段が装着される。そして、この特許文献1による超音波内視鏡にあっては、超音波トランスデューサを構成する多数の超音波振動子は先端硬質部の軸線方向に向けて円弧状に配列されており、また先端硬質部には、この超音波トランスデューサの配設位置より後部側の位置に傾斜面を設けて、照明部と観察部とからなる内視鏡観察手段はこの傾斜面に装着して、所謂斜視内視鏡を構成している。
【0004】
超音波トランスデューサを作動させることによって、体内組織の断層情報を取得できる。また、体内組織に病変部等が検出されると、穿刺処置具を用いて治療や細胞採取等の処置を施すことができる。このために、挿入部には処置具挿通路が形成されており、この処置具挿通路は挿入部における先端硬質部の手前位置までは、即ち先端硬質部を所望の方向に向けるために設けられるアングル部の位置までは可撓性を有する可撓性チューブで構成して、先端硬質部の内部ではトンネル状の処置具通路を穿設している。可撓性チューブを処置具通路に接続するために接続パイプが用いられる。接続パイプの先端側を処置具通路に挿入させ、この接続パイプをアングル部側に所定の長さだけ突出させて、可撓性チューブの先端を嵌合させるようにして接続される。従って、処置具挿通路は、先端硬質部の手前に位置するアングル部までは挿入部の軸線方向に向けて延在させた直進通路となるが、先端硬質部で接続パイプにより斜め前方に向くように方向を変えることになり、この通路は内視鏡観察手段の観察部が装着されている傾斜面に処置具導出口として開口させている。これによって、処置具導出口から導出させた処置具は内視鏡観察視野により捉えることができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−118072号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、超音波検査対象は体内組織であるから、超音波検査の結果、体内組織に病変部等の関心領域が検出されると、組織細胞を採取して精査したり、病変部であることが明確であれば、その治療を行ったりする必要がある。従って、超音波内視鏡において使用される処置具としては、体内に刺入される穿刺処置具が用いられる。穿刺処置具は、体内に刺入されることから、先端部分は鋭利になった金属パイプ材からなる針状部としている。この針状部は所定の長さを有し、針状部には可撓性チューブが連結して設けられることになる。
【0007】
このように、先端に針状部を有する穿刺処置具は、体腔内壁に接触する前の段階では内視鏡観察手段により監視され、体内に刺入された後は超音波検査手段による監視が行われるが、処置具導出口から導出させた穿刺処置具は、より高い安全性を確保するために、常時内視鏡観察手段により監視されなければならない。従って、処置具が処置具導出口から導出された後、内視鏡観察手段による監視をすることができないブラインド状態となる部位は存在しないか、また存在しても、その距離は可能な限り短くしなければならない。しかしながら、前述した特許文献1では、処置具導出口は内視鏡観察手段の装着面と同一の面に形成されているので、処置具導出口を内視鏡観察手段による視野に捉えることはできない。このために、穿刺処置具を用いる場合に、この穿刺処置具の先端の針状部が処置具導出口から僅かに突出していても、内視鏡観察手段によっては確認できないことになる。勿論、観察視野を180度の角度以上とすれば、処置具導出口を監察視野とすることができるが、対物光学系としてあまり広角のレンズを用いると、観察対象とする部位を正確に観察できなくなるという問題点がある。
【0008】
以上のことから、先端硬質部において、観察部を装着した傾斜平面の他に、先端硬質部に観察部の視野により捉えられる他の平面を形成して、この他の平面に処置具導出口を開口させる構成とすれば、観察部による視野範囲内に処置具導出口を位置させることができる。しかしながら、処置具導出口を形成する平面を、どの位置にどのような形状として設けるかによっては内視鏡観察手段による観察に大きな影響を与えることになる。
【0009】
まず、斜め前方を視野とする観察部の視野を最大限に確保する必要がある。勿論、処置具導出口を観察視野に入れることから、その斜め前方を視野とする観察視野が制限されるのはやむをえないものとして、最大限に広い視野が得られる位置に観察部を設けるようにしなければならない。ただし、それだけでは十分ではない。内視鏡観察手段は観察部だけでなく、照明部も設けられており、照明部から照射される照明光が先端硬質部を構成する各部により遮られるようであっては、やはり内視鏡による観察が良好にはならない。本発明は以上の点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、観察部による観察視野に処置具導出口を捉えることができるようにした上で、照明むらや影となる部位が生じるのを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明は、挿入部の先端硬質部に複数の超音波振動子を配列した電子走査式超音波トランスデューサを装着し、またこの超音波トランスデューサより後方位置に通路開口面部となし、この通路開口面部に処置具を斜め前方に向けて導出させる処置具導出口を形成し、さらにこの通路開口面部より後部側に斜め前方に向けて傾斜し、内視鏡観察手段を装着した観察手段装着用傾斜面部が形成され、前記内視鏡観察手段は、観察部とこの観察部の左右両側に設けた少なくとも2箇所の照明部とした超音波内視鏡であって、前記処置具導出口は、少なくともその一部が前記観察部の観察視野内に位置するように配置し、前記通路開口面部の左右両側の部位を前記照明窓からの照明光が遮られるのを抑制するように切り落として導光用退避壁部とする構成としたことをその特徴とするものである。
【0011】
ここで、前後方向は、先端硬質部の軸線方向の先端側及びアングル部への連結側をいうものであり、また左右方向はこれと直交する方向、つまりアングル部を湾曲させる際における上下方向に対する左右方向である。而して、処置具導出口の一部を観察部による観察視野内に位置させるために、先端硬質部において、処置具導出口が開口する通路開口面部は、内視鏡観察手段が装着される観察手段装着用傾斜面とは異なる平面としている。ここで、異なる面とは、観察手段装着用傾斜面部の延長にあるのではなく、この傾斜面とは角度乃至方向が異なる平面である。通常、水平面、つまり先端硬質部の軸線方向に向く平面とするが、傾斜した面とすることもできる。観察手段装着用傾斜面部と反対方向に傾斜させることができ、またそれと同一方向に傾斜する平面としても良い。さらに、平面だけでなく、曲面であっても良い。処置具導出口は、先端硬質部において、観察部の前方に、つまり、観察部の観察視野の延長方向に処置具導出口を配置する。観察視野を広くするには、観察手段装着用傾斜面部において、観察部はできるだけ高所、つまり観察手段装着用傾斜面部から通路開口面部への移行部から遠い位置に配置する。そして、観察手段装着用傾斜面部には、観察部の左右両側に照明部を設けるが、照明部は2箇所に限定されるものではなく、観察部の左右両側以外にも1乃至複数個所の照明部を設けることもできる。
【0012】
通路開口面部は処置具導出口が開口する面であるが、その領域は処置具導出口が位置する部位に限定する。この通路開口面部の左右両側の部位を切り落として導光用退避壁部とする。これは照明窓からの照明光が遮られるのを抑制するためであり、左右方向に向けて斜めに切り落とす構成が望ましいが、垂直方向に切り落としたり、また斜め前方に向けて切り落としたりするようにしても良い。さらに、他の照明部を設けたり、流体の供給通路を開口させたりすることもできる。
【発明の効果】
【0013】
観察部による観察視野に処置具導出口の少なくとも一部を捉えることができ、穿刺処置具のように、先端が鋭利になった処置具を操作する際にも安全性が確保され、しかも照明部からの照明むらや影となる部位が生じるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す超音波内視鏡における挿入部の先端部分の断面図である。
【図2】図1の挿入部の先端部分の外観図である。
【図3】図1の挿入部の先端部分の平面図である。
【図4】図1の挿入部の先端部分の側面図である。
【図5】通路開口面部に導光用退避壁部を設けない場合の照明光が遮られる影の部分を示す説明図である。
【図6】通路開口面部に導光用退避壁部を設けたときの照明光が遮られる影の部分を示す説明図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態を示す挿入部の先端部分の外観図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態を示す挿入部の先端部分の平面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態を示す挿入部の先端部分の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。まず、図1には超音波内視鏡の挿入部における先端部分の断面構造が示され、また図2には先端部分の外観が、さらに図3にはその平面、図4には側面がそれぞれ示されている。
【0016】
これらの図から明らかなように、挿入部1のアングル部1aに連結して設けた先端硬質部1bには、超音波検査手段と内視鏡観察手段とが設けられている。超音波検査手段は、先端硬質部1bの軸線方向に配列した多数の超音波振動子からなる超音波トランスデューサ2から構成され、この超音波トランスデューサ2を構成する各超音波振動子は先端硬質部1bの先端近傍位置から先端硬質部1bの軸線方向の後端側に向けて配列されており、しかもこの軸線方向において凸湾曲形状となっている。超音波トランスデューサ2を構成するこれら多数配列した超音波振動子は順次駆動されるようになっており、これによって超音波電子走査が行われることになる。
【0017】
一方、内視鏡観察手段は照明部3と観察部4とから構成され、これらは先端硬質部1bの後端側の位置に観察手段装着用傾斜面部5が形成されており、照明部3及び観察部4はこの観察手段装着用傾斜面部5に設けられている。観察部4は観察手段装着用傾斜面部5の概略中央位置に配置され、対物光学系と、この対物光学系の結像位置に設けた固体撮像手段から構成される。照明部3は観察部4を挟んだ左右両側の位置に2箇所形成され、内視鏡が着脱可能に接続される光源装置からの照明光を伝送する光ファイバと照明部3に装着した拡散レンズとを有する構成となっている。さらに、観察部4に向けて洗浄用流体を噴出させる洗浄用ノズル6が装着されている。
【0018】
先端硬質部1bにおいて、超音波トランスデューサ2の装着部の後端側の位置には円周状の溝7が形成されている。この溝7には図1に示したようにバルーン8が着脱可能に装着されて、内部に超音波伝達媒体を供給することにより膨出させ、もって超音波トランスデューサ2から体内に向けて送信され、体内組織の断層部からの反射エコーを受信する際に、超音波信号が減衰するのを極力抑制している。
【0019】
照明部3及び観察部4を装着した観察手段装着用傾斜面部5の位置より先端側の部位であり、かつ超音波トランスデューサ2の位置より後部側の部位は先端硬質部1bの軸線方向に向けた平面部が形成されており、この平面部には斜め前方に向けて穿刺処置具10等の処置具を導出させるための処置具導出口11が形成されており、この平面部が通路開口面部9である。この処置具導出口11に開口する処置具挿通路12は、アングル部1aから後方側の部位が処置具挿通チューブ13であって、この処置具挿通チューブ13は挿入部1の軸線と概略平行に延在される。先端硬質部1bではトンネル状の処置具通路14が形成されており、この処置具通路14には金属等からなる硬質パイプ15が部分的に挿入されており、処置具挿通チューブ13の先端はこの硬質パイプ15に嵌合されている。硬質パイプ15は中間部に曲成部が形成された曲げパイプから構成され、挿入部1の軸線方向に延在させた処置具挿通チューブ13を斜め前方に向けて導出するように方向転換させている。
【0020】
従って、先端硬質部1bには、先端側から超音波トランスデューサ2,処置具導出口11及び内視鏡観察手段を構成する観察部4が配列されているが、図3に示したように、超音波トランスデューサ2による超音波断層面と処置具導出口11の中心と、観察部4による観察中心とがほぼ同一ラインC上に配列されている。これによって、処置具導出口11から導出された穿刺処置具10は体内に刺入される前の段階では、観察部4による観察視野に、また体内に刺入された後は超音波トランスデューサ2の超音波視野に確実に捉えることができるようになっている。
【0021】
ここで、処置具挿通路12内に導かれる穿刺処置具10は、図1に示したように、先端が鋭利な針先となった金属パイプからなる針状部10aに可撓性チューブ10bを連結したものであり、ガイドチューブ16に挿通されている。この穿刺処置具10はガイドチューブ16内に挿入されて、このガイドチューブ16の先端から出没できるものである。そして、穿刺処置具10の不使用時は、針状部10aがガイドチューブ16の内部に位置するようにして処置具挿通路12内に装着しておく。超音波トランスデューサ2による検査を行った結果、例えば患部が検出されると、処置具導出口11から導出させて体内に刺入して、組織細胞を採取する等といった処置が施される。この操作は、図1からも明らかなように、穿刺処置具10の針状部10aをガイドチューブ16の先端から突出しない状態にしてその先端部を処置具導出口11から所定位置まで導出させて、好ましくは体腔内壁に触れるか、それより僅かに手前の位置までガイドチューブ16を導く。その後、同図に仮想線で示したように、ガイドチューブ16の内部に位置する穿刺処置具10をガイドチューブ16から押し出すように操作し、その針状部10aを処置具導出口11から導出させて、体腔内壁に刺入する。
【0022】
穿刺処置具10は処置具導出口11から外部に導出させるが、この穿刺処置具10の先端部分は鋭利な針状部10aとなっている。従って、この針状部10aがガイドチューブ16から突出した状態で処置具導出口11から導出した場合や、ガイドチューブ16内に収容されていても、このガイドチューブ16の先端が体腔内壁に押し付けられると、体腔内壁を必要以上損傷させるおそれがある。
【0023】
このために、観察部4は処置具導出口11を視野に入れる必要がある。ただし、処置具導出口11の全体を視野に入れなくても、その先端側、つまり超音波トランスデューサ2が装着されている側の一部が観察部4による視野に入っておれば、所期の目的が達せられる。処置具導出口11が開口する通路開口面部9を先端硬質部1bの軸線方向に向けた平面部としており、かつこの通路開口面部9の後端側に観察手段装着用傾斜面部5を設けたことによって、観察手段装着用傾斜面部5の角度と観察部4の取付位置とを調整して、処置具導出口11の先端部分を観察部4の観察視野に入れるようにする。
【0024】
ここで、観察手段装着用傾斜面部5を正面から見たときには、つまり先端側から見たときに、円弧面形状となっているので、観察部4の左右両側部に配置されている照明部3は下部側に配置されることになる。従って、観察部4よりは通路開口面部9に近い位置となってしまい、通路開口面部の左右両側部を先端硬質部1bの外周面部にまで延在させた場合には、以下に示すような不都合が生じる。
【0025】
即ち、観察部4は斜め前方を視野としているために、照明部3から照射される照明光はこの方向にほぼ均一な光量で照明しなければならない。しかしながら、図5(a)に斜線で示したように、通路開口面部9Pの左右を先端硬質部1bの外周面部まで延在させていると、この通路開口面部9Pにより照明光の光路が一部分遮られてしまう。従って、観察視野VPにおいては、同図(b)に斜線で示した部分が影になり、照明光が行き届かないか、または光量のむらが生じて、内視鏡観察像が不鮮明になるという問題点がある。
【0026】
以上のことから、通路開口面部9は処置具導出口11の位置に限定するようになし、その左右の部位を斜め下方に向けて切り落とすようにしており、これによって導光用退避壁部17,17が形成されている。ここで、図1から明らかなように、処置具の導出経路として、先端硬質部1bには硬質パイプ14が設けられているものの、この硬質パイプ14の左右両側部分には格別の部材が挿通されていないので、この部位を切り落として導光用退避壁部17としたとしても、何らの支障を来たすものではない。また、必要に応じて超音波トランスデューサ2の装着部の左右両側部にも導光用退避壁部17に連なるように切り取り部18,18を形成する。これによって、図6(a)に示したように、斜線で示した影となる部位は、通路開口面部を先端硬質部の外周面部まで延在させた場合と比較して小さくなるように抑制できる。このために、図6(b)の観察視野VIにおいては、ほぼ全体にわたってむらのない照明を行うことができる。その結果、鮮明な内視鏡観察像が得られることになり、内視鏡観察手段による観察精度が向上する。
【0027】
ところで、穿刺処置具10を操作するに当っては、可撓性チューブ10bの基端部を押動されて、先端硬質部1bの軸線に対して傾斜した処置具挿通路12により穿刺処置具10の先端部分は前方に向けて斜め上向きに導かれる。先端硬質部1bにおいて、観察部4等を設けた観察手段装着用傾斜面部5に対して所定角度をもって通路開口面部9を形成させているので、通路開口面部9の平面は、観察手段装着用傾斜面部5の傾斜の延長部分に設ける場合より体腔内壁に近接することになる。その結果、処置具導出口11から導出されて体腔内壁に刺入するまでの距離が短縮されて、その分だけ穿刺処置具10の先端部分がガイドされる長さが長くなる。これによって、穿刺処置具10の安定性が向上し、体内に刺入する際に、狙撃性が良好となり、また体内に差し込む際の推力を大きくすることができる。このために、穿刺処置具10の操作性が高くなる。
【0028】
次に、図7乃至図9は本発明の第2の実施の形態を示すものである。前述した第1の実施の形態においては、通路開口面部は左右両側に向けて傾斜させる構成としているが、この第2の実施の形態では、先端硬質部1bに形成される通路開口面部20を斜め前方に向けて傾斜するように切り落とすようにして導光用退避壁部21を形成している。勿論、この場合でも、処置具導出口11の先端部分は観察部4の観察視野に入る位置に開口させる。また、これら導光用退避壁部21には他の照明部22が設けられている。
【0029】
以上のように、導光用退避壁部21を観察手段装着用傾斜面部5より前方において、通路開口面部20を斜め前方に切り落として導光用退避壁部21とすることによって、照明部3からの照明光が遮られるのを抑制できる。しかも、観察手段装着用傾斜面部5に設けた照明部3に加えて、導光用退避壁部21にも他の照明部22が設けられているので、さらに照明光の均一化が図られ、特に照明の影となって見難い部位が生じるのを防止することができる。なお、この第2の実施の形態を示す図7乃至図9において、第1の実施の形態と同じかまたは均等な構成については、同一符号が示されている。
【符号の説明】
【0030】
1 挿入部 1a アングル部
1b 先端硬質部 2 超音波トランスデューサ
3 照明部 4 観察部
5 観察手段装着用傾斜面部
9,20 通路開口面部
10 穿刺処置具 11 処置具導出口
17,21 導光用退避壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部の先端硬質部に複数の超音波振動子を配列した電子走査式超音波トランスデューサを装着し、またこの超音波トランスデューサより後方位置に通路開口面部となし、この通路開口面部に処置具を斜め前方に向けて導出させる処置具導出口を形成し、さらにこの通路開口面部より後部側に斜め前方に向けて傾斜し、内視鏡観察手段を装着した観察手段装着用傾斜面部が形成され、前記内視鏡観察手段は、観察部とこの観察部の左右両側に設けた少なくとも2箇所の照明部とした超音波内視鏡において、
前記処置具導出口は、少なくともその一部が前記観察部の観察視野内に位置するように配置し、
前記通路開口面部の左右両側の部位を前記照明窓からの照明光が遮られるのを抑制するように切り落として導光用退避壁部とする
構成としたことを特徴とする超音波内視鏡。
【請求項2】
前記通路開口面部は、前記超音波トランスデューサの装着部より低所であって、先端硬質部の軸線と平行な方向の平面となし、この平面の左右を斜め下方に向けて傾斜させることにより前記導光用退避壁部とする構成としたことを特徴とする請求項1記載の超音波内視鏡。
【請求項3】
前記導光用退避壁部を斜め前方に向けて傾斜するようになし、この導光用退避壁部には、他の照明部を形成する構成としたことを特徴とする請求項2記載の超音波内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−177597(P2011−177597A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140454(P2011−140454)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【分割の表示】特願2006−78061(P2006−78061)の分割
【原出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】