説明

超音波式霧発生装置

【課題】 微細な霧を大量かつ効率的に発生できる超音波式霧発生装置を提供する。
【解決手段】 超音波式霧発生装置1においては、霧原料液体収容部18内の液面LV上方に送風機30を配置し、超音波振動により液面LVより立ち上る霧を周囲空気とともに吸引し、霧含有気流FGVとして液面LVの法線と交差する向きに方向転換しつつ気流吹き出し口16Aより送出する。送風機30は霧原料液体収容部18とともに装置筐体2内に収容されるので、装置外への漏れ気流により霧粒子が損失することもない。また、液面LVから発生した霧は粗大粒子も含めて一旦漏らさず送風機30の吸引側に吸い上げることで、霧原料液体収容部18内での霧粒子の戻り損失を極力抑えることができる。そして、その霧粒子を送風機30の送出側下流に配置された粗大霧粒子分離部20に一括して送り込み、粗大霧粒子を除去することで、所望とする微細霧粒子を霧含有気流放出部3から高濃度で放出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波式霧発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜特許文献5には、超音波振動子により水分子を霧化するようにした噴霧装置が開示されている。噴霧や超音波摩擦により霧化された水粒子は、いわゆるレナード効果により正帯電し、空気中には電荷バランスにより同量の負イオンを生ずる。これを空気中に放出することで、室内(あるいは車内)の消臭効果、室内空気の浄化、室内インテリアの帯電防止などの効果を発揮できるので、空気浄化装置として既に種々の提案がなされている(特許文献1,2)。また、水滴放出による加湿効果も期待できる。
【0003】
噴霧や超音波振動摩擦により発生した霧粒子には粗大な水滴も含まれるため、そのまま放出すると、周囲の物品に水滴が付着して濡らしてしまう問題がある。そこで、特許文献3,4には、噴霧もしくは超音波により発生した霧を、送風機により一旦管路に導き、その管路の途中に設けられたサイクロンにより粗大な水滴を捕集して、微細な水滴のみを放出する提案がなされている。また、特許文献5には、超音波振動の付加により霧チャンバー内の水面から立ち上る霧に、該霧チャンバーの側壁側からファンにより旋回気流を導入し、一定粒子径以上の霧粒子を旋回流とともに水面に戻すことで、さらに微細な霧を発生させる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】 特公平5−587555号公報
【特許文献2】 実開平4−126717号公報
【特許文献3】 特表2001−510731号公報
【特許文献4】 特開2001−304638号公報
【特許文献5】 特開2006−136873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献3〜5に開示された霧発生装置はいずれも、霧チャンバー内の水面に対し横に外れた位置に霧含有気流を送出するための送風機が設けられており、水面から立ち上る霧が強力な気流により霧チャンバー内で予備的に分級されて水に戻ってしまう結果、霧化効率が悪く、霧発生量が少ない難点があった。
【0006】
本発明の課題は、微細な霧を大量かつ効率的に発生できる超音波式霧発生装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明の超音波式霧発生装置は、
上部が開口し、霧原料液体を収容する霧原料液体収容部と、
霧原料液体収容部内にて、収容された霧原料液体中に超音波発生面が没するように配置され、該霧原料液体に超音波振動を付加することによりこれを霧化する超音波振動子と、
霧原料液体収容部に対し、収容された霧原料液体の液面よりも上方に配置され、超音波振動の付加により液面より立ち上る霧を空気とともに吸引し、霧含有気流として液面の法線と交差する向きに方向転換しつつ気流吹き出し口より送出する送風機と、
霧原料液体収容部と送風機とを周囲空間から区画しつつ一括して収容するとともに、霧含有気流を形成するための外気吸入口を有した装置筺体と、
霧含有気流の送出方向にて送風機に隣接配置され、霧含有気流に含まれる所定粒子径を超える粗大霧粒子を分離除去する粗大霧粒子分離部と、
粗大霧粒子を分離除去後の霧含有気流を周囲雰囲気に向けて放出する霧含有気流放出部と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
上記本発明の超音波式霧発生装置によると、霧原料液体収容部内の液面上方に送風機を配置し、超音波振動により液面より立ち上る霧を空気とともに吸引し、霧含有気流として液面の法線と交差する向きに方向転換しつつ気流吹き出し口より送出する。つまり、液面から立ち上る霧は、液面上方に配置された送風機の吸引側に吸い上げられるので、霧原料液体収容部内での予備分級により液面に戻ってしまう霧粒子を大幅に減少させることができる。また、送風機は霧原料液体収容部とともに装置筺体内に収容されるので、装置外への漏れ気流により霧粒子が損失することもない。すなわち、液面から発生した霧を粗大粒子も含めて一旦送風機の吸引側に漏らさず吸い上げることで、霧原料液体収容部内での霧粒子の戻り損失を極力抑えることができる。そして、その霧粒子を送風機の送出側下流に配置された粗大霧粒子分離部に一括して送り込み、粗大霧粒子を除去することで、所望とする微細霧粒子を霧含有気流放出部から高濃度で放出することができる。かくして、微細な霧を大量かつ効率的に発生できる超音波式霧発生装置が実現する。
【0009】
送風機は遠心ファンとして構成できる。該遠心ファンの回転送風体は、その気流吸い込み側となる軸線方向端部を液面に対し下向きに対向するように配置することができる。そして、液面からの霧とともに気流を吸い込むための気流吸い込み口を下端に開口する整流カバーにより該回転送風体を覆い、該整流カバーの外周面に霧含有気流の吹き出し口を形成することができる。遠心ファンの回転送風体の、その気流吸い込み側となる軸線方向端部を液面に対向させることで、液面から発生する霧を極めて効率的に吸い上げることができる。そして、整流カバーにより該回転送風体を覆い、該整流カバーの外周面に霧含有気流の吹き出し口を形成することで、吸い上げた霧を含有した気流を吹き出し口にもれなく導くことができる。
【0010】
上記の遠心ファンは、回転送風体の液面に対向しているのと反対側の軸線方向端面に駆動モータの回転軸先端を取り付け、該駆動モータの本体が回転送風体の反対側の端面側にて、整流カバーに対し上方に突出する形で配置できる。これにより、回転送風体の中心部から駆動モータが排除されて吸い込み空間として液面側に開口させることができるので、霧の吸引効率はさらに高められる。該構造に適した回転送風体としては、円筒状の中空フレームと、該中空フレームの周方向に複数の送風羽根が組み付けられたシロッコファンを本発明に好適に採用することができる。
【0011】
なお、上記の整流カバーは、装置筺体の上部内面に取り付けることができ、駆動モータは装置筺体の頂面部の上方に突出する形で配置することができる。このようにすると、装置筺体の上部を霧含有気流の吹き出し通路の一部として流用でき、かつ、駆動モータを装置筺体外に突出配置することにより、筺体のコンパクト化と筺体内のスペースの有効活用を図ることができる。
【0012】
粗大霧粒子分離部は、気流吹き出し口から吹き出される霧含有気流が上端側から内部に導入されるとともに、内周面が下端側に向かうほど縮径する円錐状に形成されたサイクロン分級部を有するものとして構成することができる。これにより、粗大霧粒子を効率よく分離・除去することができる。なお分級用の旋回流をサイクロン内に効率的に発生させるためには、霧含有気流をサイクロン分級部に対し内周面接線方向に導入することが望ましい。
【0013】
霧含有気流放出部は、サイクロン分級部の上端に連通結合され、末端に霧放出口を開口する霧放出通路とすることができる。これにより、送風機からの霧含有気流はサイクロン分級部の上部下流側側壁に当たって旋回流を形成しつつ、粗大霧粒子が主体となるサイクロン側分級気流と、微細霧粒子が主体となる分級済霧含有気流とに効果的に分離できる。この場合、上記の霧放出通路は、下端側が円錐状の内周面区間に入り込む形でサイクロン分級部の内部に軸線方向に挿入配置することができる。このようにすると、霧放出通路の下端開口縁の、サイクロン分級部内周面に対する軸線方向位置、ひいては、当該軸線方向位置におけるサイクロン内径に応じて霧分級粒径を自由に設定できる利点がある。なお、霧放出通路は、サイクロン内周面と同軸的に配置される円筒部材として構成することが望ましい。
【0014】
この場合、霧放出通路は、下端側のサイクロン分級部に対する軸線方向の挿入長を可変に構成することができる。霧放出通路下端側のサイクロン分級部への挿入長が変化すれば、その下端開口縁に対応するサイクロン内径が変化するので、霧分級粒径も変化する。つまり、上記挿入長の変更により霧分級粒径ひいては放出する霧含有気流中の霧粒径(あるいはその分布)を調整することができる。
【0015】
上記の構成では、サイクロン分級部側に流入する粗大霧粒子を含有した分離気流を、霧原料液体の液面よりも上方にて霧原料液体収容部に戻す戻り管路を設けることができる。サイクロン分級部から粗大霧粒子を霧原料液体収容部に戻すことで霧原料液体の無駄な消費が抑えられ、投入した霧原料液体の有効活用を図ることができる。
【0016】
また、本発明の超音波式霧発生装置には、粗大霧粒子を分離除去後の霧含有気流中の霧濃度を検出する霧濃度検出手段と、検出される霧濃度に応じて送風機の送風量を調整する送風制御手段とを設けることができる。これにより、霧放出量の制御が容易になる。具体的には、霧濃度が予め定められた目標値に近づくように送風機の送風量を調整するように送風制御手段を構成することで、霧放出量を一定に保つことができる。霧濃度検出手段は、例えば、霧放出通路内を流れる霧含有気体に対し検出光を投射する投光部と、該霧含有気体内を通過した検出光を受光する受光部とを有するものと構成でき、該受光部の光検出強度に基づいて霧濃度を容易に検出することができる。
【0017】
霧含有気流放出部には負極性の放電電極を取り付けることができ、霧含有気流を該放電電極と接触させつつ放出することができる。これにより、放出される霧粒子の負帯電化を促進でき、室内(あるいは車内)の消臭効果、室内空気の浄化、室内インテリアの帯電防止などの効果をより促進することができる。また、気流中の酸素の一部をオゾン化でき、霧含有気流に殺菌機能を付与することも可能である。
【0018】
また、霧含有気流放出部には紫外線発生部を取り付けることもでき、霧含有気流に紫外線を照射しつつ放出することができる。これにより、気流中の酸素の一部をオゾン化すること、あるいは、酸素(ないし発生したオゾン)と霧粒子中の水分子との反応によるヒドロキシラジカルの発生促進により、霧含有気流に殺菌機能を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】 本発明の一実施形態である超音波式霧発生装置の外観を示す二面図。
【図2】 同じく内部構造を示す断面図。
【図3】 サイクロン分級部内への霧放出通路の進入長を可変にする機構の説明図。
【図4】 本発明の超音波式霧発生装置の制御系の一例を示す回路図。
【図5】 霧放出通路内に負極性放電電極を設ける例を示す断面図。
【図6】 霧放出通路内に紫外線発生部を設ける例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態をなす超音波式霧発生装置の外観を示すものである。該超音波式霧発生装置1は装置筺体2を有し、その正面側に操作パネル5が取り付けられている。操作パネル5には電源スイッチ6、霧濃度設定部7、電源ランプ8及び液切れ警告ランプ9が設けられている。また、装置筺体2の頂面部2Tには、霧含有気流放出部3をなす管状の霧放出通路(以下、霧放出通路3ともいう)が突出して設けられ、その先端に霧放出口3Bが開口形成されている。他方、該頂面部2Tには、装置筺体2内に霧原料液体タンクをセットするためのタンクセット口が形成され、扉11により開閉可能に塞がれている。また、後述する送風機の駆動モータ10が突出配置されている。
【0021】
図2は、超音波式霧発生装置1の内部構造を示すものであり、前述の装置筺体2内に、霧原料液体収容部18、超音波振動子25、送風機30及び粗大霧粒子分離部20等が組み付けられている。霧原料液体収容部18は、金属ないし樹脂により装置筺体2の底面上に組み付けられており、上部が開口する円筒状に形成され、霧原料液体(例えば水)Lを収容する。超音波振動子25は、該霧原料液体収容部18内にて、収容された霧原料液体L中に超音波発生面Aが没するように配置され、該霧原料液体Lに超音波振動を付加することによりこれを霧化する。送風機30は、霧原料液体収容部18に対し、収容された霧原料液体Lの液面LVよりも上方に配置され、超音波振動の付加により液面LVより立ち上る霧を空気とともに吸引し、霧含有気流FGVとして液面LVの法線と交差する向きに方向転換しつつ気流吹き出し口16Aより送出する。
【0022】
装置筺体2は、霧原料液体収容部18と送風機30とを周囲空間から区画しつつ、これらを一括して収容するとともに、霧含有気流FGVを形成するためのガラリ状の外気吸入口2Nを有する。粗大霧粒子分離部20は、霧含有気流FGVの送出方向にて送風機30に隣接配置され、霧含有気流FGVに含まれる所定粒子径を超える粗大霧粒子を分離除去する。霧含有気流放出部3は、粗大霧粒子を分離除去後の霧含有気流FGXを周囲雰囲気に向けて放出する。
【0023】
超音波振動子25は、霧原料液体収容部18の底部に配置されたベース24の上面に、超音波放射面25Aと水面LVとがほぼ平行となるように取り付けられている。前述のタンクセット口から樹脂ないし金属製の霧原料液体タンク21を液供給口21t側が下になるように装置筺体2にセットすると、装置筺体2内のタンク支持部22に液供給口21tを進入させる形で、霧原料液体タンク21が該タンク支持部22により支持される。タンク支持部22は霧原料液体収容部18と液供給管23によりつながれており、霧発生により霧原料液体収容部18内の水位が低下すると、サイフォンの原理に基づいてタンク21から霧原料液体が液供給管23を経て霧原料液体収容部18に供給され、液面LVが一定に維持されるようになっている。
【0024】
次に、送風機30は遠心ファンとして構成され(以下、遠心ファン30ともいう)、該遠心ファン30の回転送風体15が、その気流吸い込み側となる軸線方向端部(下面側)が、霧原料液体収容部18内の液面LVに対し下向きに対向するように配置されている。回転送風体15は整流カバー16により覆われている。該整流カバー16は、液面LVからの霧とともに気流を吸い込むための円形の気流吸い込み口16Qが下端に開口するとともに、外周面には吹出突出部17が一体形成され、その先端に霧含有気流FGVの吹き出し口16Aが開口形成されている。遠心ファン30は、具体的には、回転送風体15が円筒状の中空フレーム15Qと、該中空フレーム15Qの周方向に複数の送風羽根15Fが組み付けられたシロッコファンとして構成されている。
【0025】
遠心ファン30は、具体的には、回転送風体15が円筒状の中空フレーム15Qと、該中空フレーム15Qの周方向に複数の送風羽根15Fが組み付けられたシロッコファンとして構成されている。回転送風体15の液面LVに対向しているのと反対側の軸線方向端面には、駆動モータ10の回転軸15Jの先端が取り付けられ、該駆動モータ10の本体が回転送風体15の反対側の端面側にて、整流カバー16に対し上方に突出する形で配置されている。整流カバー16は装置筺体2の頂面部2Tの内面(下面)に取り付けられ、駆動モータ10は頂面部2Tの上方に突出する形で配置されている。
【0026】
粗大霧粒子分離部20は、気流吹き出し口16Aから吹き出される霧含有気流FGVが上端側から内部に導入されるとともに、内周面が下端側に向かうほど縮径する円錐状のサイクロン分級部(以下、サイクロン分級部20ともいう)として構成されている。気流吹き出し口16Aは絞り部19及び気流通路部19Aを介してサイクロン分級部20の上端に連通接続されている。気流通路部19Aの末端は、円形軸断面を有するサイクロン分級部20の上端部の外周接線方向に接続されており、霧含有気流FGVがサイクロン分級部20に対し内周面接線方向に導入されるようになっている。また、サイクロン分級部20側に流入する粗大霧粒子を含有した分離気流は、サイクロン分級部20の下端から戻り管路20Rにより、霧原料液体Lの液面LVよりも上方にて霧原料液体収容部18に戻されるようになっている。
【0027】
図3に示すように、霧含有気流放出部をなす霧放出通路3は、サイクロン分級部20の上端に連通結合され、末端に霧放出口3Bを開口する円筒状に形成されている。具体的には、霧放出通路3は、下端側がサイクロン分級部20の内部に対し、その円錐状の内周面区間に入り込む形で軸線方向に挿入されている。筺体2の頂面部2Tには霧放出通路3が隙間嵌めされる貫通孔2Jが形成され、該貫通孔2J内にて霧放出通路3は軸線方向に進退が可能となっている。また、該霧放出通路3の外周面には径方向のスリット4Sを有したストッパリング4が装着されている。ストッパリング4には、スリット4Sを横切る形でロックボルト4Bがねじ込まれており、該ロックボルト4Bを緩めるとスリット4Sが拡張し、ストッパリング4は霧放出通路3の外周面に沿って軸線方向に移動可能となる。
【0028】
この状態でストッパリング4を霧放出通路3の外周面上の所望の位置に位置合わせしてロックボルト4Bをねじ込むとスリット4Sが縮小し、該位置にストッパリング4が締め付け固定される。図3下に示すごとく、ストッパリング4を装着した状態で霧放出通路3の下端側を貫通孔2Jに挿入すると、霧放出通路3は、頂面部2Tの貫通孔2Jの周縁領域によりストッパリング4の下面にて支持される形となる。ストッパリング4の装着位置に応じ、霧放出通路3は、その下端側のサイクロン分級部20に対する軸線方向の挿入長が可変となる。また、該挿入長hが大きくなるほど、霧放出通路3の下端開口に対応するサイクロン分級部20の内周面半径rが縮小する(図3において挿入長h<h、内周面半径r>r)。その結果、霧放出通路3の下端開口位置におけるサイクロン分級部20内の旋回流速が上昇し、重い霧液滴、つまり大径液滴に対する遠心捕捉力が大きくなるので、霧放出通路3側へ流れ込む大径液滴の比率が少なくなる。つまり、霧放出通路3を通って霧放出口3Bから放出される霧液滴の平均粒径は小さくなる。逆に、挿入長hが減少すれば、霧放出通路3の下端開口位置における旋回流速が減少し、大径液滴に対する遠心捕捉力が小さくなるので、霧放出通路3を通って霧放出口3Bから放出される霧液滴の平均粒径は大きくなる。
【0029】
図2に戻り、霧原料液体収容部18の側壁内面にはレベルセンサ(液面センサ)26が取り付けられており、霧原料液体タンク21が空になり、霧原料液体収容部18内の液面が検知レベル以下になるとレベルセンサ26が液面非検知状態(ここではオン状態とするが、オフ状態を対応させるロジックとしてもよい)となる。また、霧放出通路3の内面には、サイクロン分級部20により粗大霧粒子を分離除去後の霧含有気流FGX中の霧濃度を検出する霧濃度検出センサ53、56が霧濃度検出手段として設けられている。この実施形態では、霧濃度検出センサ53、56は、霧放出通路3内を流れる霧含有気体に対し検出光を投射する投光部53(この実施形態では、発光ダイオードにて構成している)と、該霧含有気体内を通過した検出光を受光する受光部56(この実施形態では、フォトダイオードにて構成している)とを有し、該受光部56の光検出強度に基づいて霧濃度を検出するようになっている。具体的には、投光部53は一定光量で霧含有気流中に検出光を照出するとともに、霧濃度が高い場合には受光部56への到達光量が減少し、霧濃度が低い場合には到達光量が増加する。つまり、受光部56の検出出力は霧濃度に応じて単調に変化するので、これを用いて霧濃度を検出することができる。
【0030】
本実施形態では、その検出される霧濃度を参照して、霧濃度が予め定められた目標値に近づくように送風機30の送風量を調整する制御を行なうようにしている。前述のごとく、送風機30はシロッコファンとして構成されており、霧原料液体収容部18にて超音波振動子25が発生する霧を吸い上げてサイクロン分級部20に送り込む役割を果たす。超音波振動子25の出力(振動振幅)と周波数とを一定範囲に制御すれば、霧原料液体収容部18内の液面LVから立ち上る霧の発生量もほぼ一定となる。従って、送風機30の駆動回転数が上昇すると霧の吸い上げ量が増加し、駆動回転数が低下すると霧の吸い上げ量は減少する。そこで、霧濃度が目標値を超えている場合は、目標値との隔たりが大きいほど送風機30の駆動回転数を低下させるようにし、霧濃度が目標値を下回っている場合は、目標値との隔たりが大きいほど送風機30の駆動回転数を上昇させるように制御を行なう。
【0031】
図4は、その制御系の一例を示す回路図である。電源は商用交流(AC100V)であり、送風機30等を駆動するための主電源回路73に入力され、直流駆動用の主電源電圧(+VDD)に変換される。なお、主電源スイッチ6をオンにすると、電源ランプ8をなす発光ダイオードに主電源電圧+VDDが供給され、これを点灯状態とする。主電源電圧は送風機30の駆動モータ10(のモータドライバ71)等へ出力されるとともに、信号電源回路75にも分配供給される。信号電源回路75は信号電源電圧+VCCを出力する。
【0032】
また、レベルセンサ26は液面非検知状態でオンとなり、出力電圧は「H(ハイレベル)」となる。この出力により液切れ警告ランプ9をなす発光ダイオードが点灯する。他方、霧濃度検出センサの投光部53は、外乱光等に対する対ノイズ性を向上するため、一定周波数の基準パルス信号により間欠点灯駆動される。その基準パルス発生回路51からのパルス出力がレベルセンサ26の出力とともに論理IC52に入力される。該論理IC52はレベルセンサ26からの入力が液面検知状態(ここでは「L(ローレベル)」の場合にのみ、基準パルス信号に対応したパルス駆動パターンにて投光部53を間欠点灯駆動する。
【0033】
受光部56をなすフォトダイオード56は信号電源電圧+VCCにより逆方向バイアスされており、受光強度が大きいほど、つまり、霧濃度が低いほど電流値が増加するので、電流検出抵抗59を経由して増幅器58に入力される入力電圧は低くなる。つまり、増幅器58の出力は霧濃度の増加に対応して単調に増加する特性を示す。該出力は両極性のパルス信号なので、整流用ダイオード62及び時定数平滑化回路63により単極性の平滑化霧濃度電圧信号Vfcに変換され、霧濃度設定部7からの霧濃度設定電圧(目標値電圧)Vfdとともに差動増幅器66に入力される。差動増幅器66は、平滑化霧濃度電圧信号Vfcと霧濃度設定電圧Vfdとの差分電圧Vfc−Vfdに比例したモータ駆動指示電圧Vdvをモータドライバ71に出力する。モータドライバ71はモータ駆動指示電圧Vdvを参照し、Vdvが例えばゼロのときは予め定められた基準速度にて送風機の駆動モータ10を駆動する。また、Vdv>0のときはVdvの絶対値が大きくなるほど駆動モータ10の速度を増加させ、Vdv<0のときはVdvの絶対値が大きくなるほど駆動モータ10の速度を減少させる制御を行なう。
【0034】
フォトダイオード56の検知信号を増幅する増幅器58の出力(以下、霧濃度検出パルス信号Pdetともいう)は外乱光等のノイズの影響を受けていなければ、基準パルス信号にほぼ対応した周波数及び位相のパルス信号となる。本実施形態において該霧濃度検出パルス信号Pdetは整流後、適当な閾電圧を基準として比較器7により整形され、基準パルス発生回路51からの基準パルス信号Prefとともにノイズ判定回路80に入力される。ノイズ判定回路80は、霧濃度検出パルス信号Pdetと基準パルス信号Prefとの不一致度が一定レベル以上に大きい場合にモータドライバ71にインヒビット信号(駆動禁止信号)を出力する。モータドライバ71はこれを受け、駆動モータ10の差動を停止又は制限する制御を行なう。
【0035】
本実施形態では、ノイズ判定回路80を以下のように構成している。まず、霧濃度検出パルス信号Pdetと基準パルス信号Prefとは排他的論理和IC72に入力される。霧濃度検出パルス信号Pdetが基準パルス信号にほぼ対応した周波数及び位相のパルス信号になっている場合(つまり、ノイズの影響を受けていない場合)は、排他的論理和IC72の出力はほぼ定常的にLレベルとなる。他方、ノイズ等の影響により、霧濃度検出パルス信号Pdetと基準パルス信号Prefとの不一致度が大きい場合は、排他的論理和IC72に対する両信号の二値入力が不一致となる期間が増大し、排他的論理和IC72からはその不一致期間に対応した不規則なパルス信号が出力されることとなる。そこで、排他的論理和IC72の出力をコンデンサ83で平滑化後、抵抗ブリッジ81によりレベル調整されてノイズ反映信号Sとなし、これをインヒビット信号の出力部となる比較器80cにより、別の抵抗ブリッジを介して入力される閾電圧信号Sと比較する。該比較器80cは、ノイズ反映信号Sが閾電圧信号Sのレベルを超えた場合に、インヒビット信号出力をアクティブ(ここではHレベル)となす。
【0036】
以下、上記超音波式霧発生装置1の動作について説明する。
まず、図2の霧原料液体タンク21に水等の霧原料液体を充填し、装置筺体2にセットする。そして、霧原料液体収容部18に霧原料液体が供給されれば電源スイッチ6をオンにする。すると、超音波振動子25と送風機30とが動作を開始する。霧原料液体収容部18内では超音波振動により液面LVより種々の粒径の霧粒子が発生する。液面LVから立ち上る霧は、液面LV上方に配置された送風機30の吸引側に吸い上げられるので、霧原料液体収容部18内での予備分級により液面LVに戻ってしまう霧粒子を大幅に減少させることができる。また、送風機30が霧原料液体収容部18とともに装置筐体2内に収容されているので、装置外への漏れ気流により霧粒子が損失することもない。すなわち、液面LVから発生した霧を粗大粒子も含めて漏らさず送風機30の吸引側に吸い上げることで、霧原料液体収容部18内での霧粒子の戻り損失を極力抑えることができる。
【0037】
吸い上げられた霧粒子は霧含有気流FGVとして、送風機30の送出側下流に配置されたサイクロン分級部(粗大霧粒子分離部)20に一括して送り込まれ、粗大霧粒子を効率的に除去しつつ、所望とする微細霧粒子が霧放出通路3から高濃度で放出される。
【0038】
遠心ファンの回転送風体13はシロッコファンを構成しており、その気流吸い込み側となる軸線方向端部が液面LVに対向しているので、液面LVから発生する霧の吸い上げ効率がさらに高められている。該回転送風体15は整流カバー16により覆われており、該整流カバー16の外周面に霧含有気流FGVの吹き出し口16Aが形成されているので、霧含有気流FGVは吹き出し口16Aにもれなく導かれる。また、回転送風体15の中心部からは駆動モータ10が排除され、円柱状の吸い込み空間として液面LV側に開口していることも、霧の吸引効率向上に寄与している。
【0039】
霧放出通路3は前述の如く、サイクロン分級部20に対する軸線方向の挿入長を変更することにより、霧含有気流FGX中の霧粒径(あるいはその分布)を任意に調整することができる。送風機30の回転速度は、上記のごとく、霧濃度検出センサが検出する霧濃度が目標値に近づくように自動調整される。また、図1の霧濃度設定部7を構成するボリュームつまみを操作すると、これと連動する図4の可変抵抗70により霧濃度設定電圧(目標値)Vfdが変更され、放出される霧の濃度を所望の値に調整することができる。
【0040】
以下、本発明の超音波式霧発生装置の変形例について説明する。
図5に示すように、霧放出通路(霧含有気流放出部)3には負極性の放電電極32を取り付けることができる。図5においては円筒状の霧放出通路3の両端開口に、気流の吸い込みないし放出を許容しつつ、電極端子3J,3Jを霧放出通路3に取り付けるためのフレーム3F,3F(例えば、図示のごとく十字状のもの)がそれぞれ設けられている。放電電極32はステンレス鋼ないしチタン等の金属により線状に形成され、霧放出通路3のほぼ中心軸線に沿う形で電極端子3J,3J間に張り渡されている。電極端子3J,3Jを介して放電電極32には、図示しない電源から1000〜20000V程度の負極性高圧が印加され、霧放出通路3を流通する霧含有気流FGXは、該放電電極32と接触させつつ放出される。放出される霧粒子は放電電極32が形成する負極性高電界により負帯電化が促進され、室内(あるいは車内)の消臭効果、室内空気の浄化、室内インテリアの帯電防止などの効果がさらに促進される。また、気流中の酸素の一部をオゾン化でき、霧含有気流FGXに殺菌機能を付与することもできる。
【0041】
また、図6に示すように、霧放出通路(霧含有気流放出部)3には紫外線発生部を取り付けることもできる。ここでは、紫外線発生部31を低圧水銀ランプあるいはエキシマランプなどの紫外線ランプ31を使用する。具体的には、円筒状の霧放出通路3の両端開口に、気流の吸い込みないし放出を許容しつつランプソケット3S,3Sを霧放出通路3に取り付けるためのフレーム3F,3F(例えば、図示のごとく十字状のもの)がそれぞれ設けられている。紫外線ランプ31は直管状であり、両端がランプソケット3S,3Sに装着されて霧放出通路3のほぼ中心軸線に沿う形で配置され、図示しない周知の駆動回路に接続されて点灯駆動される。霧放出通路3を流通する霧含有気流FGXは、該紫外線ランプ31からの紫外線照射を受けつつ放出される。
【0042】
特に低圧水銀ランプあるいはエキシマランプなど、真空紫外領域の波長帯(10nm以上200nm以下)を発生可能な紫外線ランプを採用すると、気流中の酸素の一部をオゾン化すること、あるいは、酸素(ないし発生したオゾン)と霧粒子中の水分子との反応によるヒドロキシラジカルの発生促進により、霧含有気流FGXに殺菌機能を付与することができる。低圧水銀ランプは、紫外域のスペクトルにおいて185nmと254nmとの2箇所に顕著なピークを有し、このうち波長185nmの紫外線が酸素のオゾン化に有効に寄与する。一方、波長254nmの紫外線は、発生したオゾンの活性酸素への分解、さらには、その活性酸素の霧粒子に由来した水分子との反応によるヒドロキシラジカルの生成を促進する。いずれも、殺菌効果、あるいは臭い成分の分解効果の更なる向上に寄与する。
【0043】
他方、エキシマランプは真空紫外域での単色発光が可能であり(Ar:126nm、F:158nm、Xe:172nmなど、特に、波長172nmのキセノンエキシマランプが好適である)、より効率の高いオゾン化が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 超音波式霧発生装置
2 装置筐体
2N 外気吸入口
3 霧放出通路(霧含有気流放出部)
10 駆動モータ
15 回転送風体
15J 回転軸
15Q 中空フレーム
15F 送風羽根
16Q 気流吸い込み口
16A 吹き出し口
16 整流カバー
18 霧原料液体収容部
20 サイクロン分級部(粗大霧粒子分離部)
20R 戻り管路
25 超音波振動子
30 送風機
31 紫外線ランプ(紫外線発生部)
32 放電電極
53 投光部(霧濃度検出手段)
56 受光部(霧濃度検出手段)
FGV,FGX 霧含有気流

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開口し、霧原料液体を収容する霧原料液体収容部と、
前記霧原料液体収容部内にて、収容された前記霧原料液体中に超音波発生面が没するように配置され、該霧原料液体に超音波振動を付加することによりこれを霧化する超音波振動子と、
前記霧原料液体収容部に対し、収容された前記霧原料液体の液面よりも上方に配置され、前記超音波振動の付加により前記液面より立ち上る霧を空気とともに吸引し、霧含有気流として前記液面の法線と交差する向きに方向転換しつつ気流吹き出し口より送出する送風機と、
前記霧原料液体収容部と前記送風機とを周囲空間から区画しつつ一括して収容するとともに、前記霧含有気流を形成するための外気吸入口を有した装置筺体と、
前記霧含有気流の送出方向にて前記送風機に隣接配置され、前記霧含有気流に含まれる所定粒子径を超える粗大霧粒子を分離除去する粗大霧粒子分離部と、
前記粗大霧粒子を分離除去後の前記霧含有気流を周囲雰囲気に向けて放出する霧含有気流放出部と、
を備えたことを特徴とする超音波式霧発生装置。
【請求項2】
前記送風機が遠心ファンとして構成され、該遠心ファンの回転送風体は、その気流吸い込み側となる軸線方向端部が前記液面に対し下向きに対向するように配置されるとともに、前記液面からの霧とともに気流を吸い込むための気流吸い込み口を下端に開口する整流カバーにより前記回転送風体が覆われてなり、該整流カバーの外周面に前記霧含有気流の吹き出し口が形成されてなる請求項1記載の超音波式霧発生装置。
【請求項3】
前記遠心ファンは、前記回転送風体の前記液面に対向しているのと反対側の軸線方向端面に駆動モータの回転軸先端が取り付けられ、該駆動モータの本体が前記回転送風体の前記反対側の端面側にて、前記整流カバーに対し上方に突出する形で配置されている請求項2記載の超音波式霧発生装置。
【請求項4】
前記回転送風体が円筒状の中空フレームと、該中空フレームの周方向に複数の送風羽根が組み付けられたシロッコファンとして構成される請求項3記載の超音波式霧発生装置。
【請求項5】
前記整流カバーが前記装置筺体の上部内面に取り付けられるとともに、前記駆動モータが前記装置筺体の頂面部の上方に突出する形で配置されている請求項3又は請求項4に記載の超音波式霧発生装置。
【請求項6】
前記粗大霧粒子分離部は、前記気流吹き出し口から吹き出される前記霧含有気流が上端側から内部に導入されるとともに、内周面が上端側に向かうほど縮径する円錐状に形成されたサイクロン分級部を自する請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の超音波式霧発生装置。
【請求項7】
前記霧含有気流が前記サイクロン分級部に対し内周面接線方向に導入される請求項6記載の超音波式霧発生装置。
【請求項8】
前記霧含有気流放出部は、前記サイクロン分級部の上端に連通結合され、末端に霧放出口を開口する霧放出通路である請求項6又は請求項7に記載の超音波式霧発生装置。
【請求項9】
前記霧放出通路は、下端側が前記円錐状の内周面区間に入り込む形で前記サイクロン分級部の内部に軸線方向に挿入されてなる請求項8記載の超音波式霧発生装置。
【請求項10】
前記霧放出通路は、前記下端側の前記サイクロン分級部に対する軸線方向の挿入長が可変に構成されてなる請求項9記載の超音波式霧発生装置。
【請求項11】
前記サイクロン分級部側に流入する前記粗大霧粒子を含有した分離気流を、前記霧原料液体の液面よりも上方にて前記霧原料液体収容部に戻す戻り管路が設けられている請求項6ないし請求項10のいずれか1項に記載の超音波式霧発生装置。
【請求項12】
前記粗大霧粒子を分離除去後の前記霧含有気流中の霧濃度を検出する霧濃度検出手段と、
検出される前記霧濃度に応じて前記送風機の送風量を調整する送風制御手段とを有する請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の超音波式霧発生装置。
【請求項13】
前記送風制御手段は前記霧濃度が予め定められた目標値に近づくように前記送風機の送風量を調整するものである請求項12記載の超音波式霧発生装置。
【請求項14】
前記霧濃度検出手段は、前記霧放出通路内を流れる前記霧含有気体に対し検出光を投射する投光部と、該霧含有気体内を通過した前記検出光を受光する受光部とを有し、該受光部の光検出強度に基づいて前記霧濃度を検出するものである請求項13記載の超音波式霧発生装置。
【請求項15】
前記霧含有気流放出部に負極性の放電電極が取り付けられ、前記霧含有気流を該放電電極と接触させつつ放出する請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の超音波式霧発生装置。
【請求項16】
前記霧含有気流放出部に紫外線発生部が取り付けられ、前記霧含有気流に紫外線を照射しつつ放出する請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の超音波式霧発生装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−36853(P2011−36853A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169770(P2010−169770)
【出願日】平成22年7月9日(2010.7.9)
【出願人】(308041934)株式会社シバタ (2)
【Fターム(参考)】