説明

超音波振動子の特性検出装置を内蔵した超音波洗浄装置

【課題】 周波数を選定する毎に、超音波振動子の捕捉された出力が最大となる周波数を選定するための時間が必要となり、その間に超音波振動子は適正でない周波数で駆動され、空炊きが生じる恐れがあるというという問題があった。
【解決手段】 CPU5にメモリ6が接続され、CPU5の出力にD/Aコンバータ7が接続され、このD/Aコンバータ7の出力側にVCO発振器8が接続され、VCO発振器8に増幅器9が接続され、増幅器9の出力側に電圧/電流検出器10が接続され、電圧・電流検出器10に超音波振動子11が接続されて、微少電圧及び電流が印可され、微少電圧及び電流から超音波振動子11のインピーダンス特性が検出され、インピーダンス特性による電圧及び電流は小信号増幅器12で増幅されてA/Dコンバータ13でデジタル信号に変換されてCPU5に入力されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波振動子に微弱電流及び電圧で、周波数スキャンするようにした超音波振動子の特性検出装置を内蔵した超音波洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の超音波洗浄装置としては、図3に示すように、洗浄槽1の底部に超音波振動子2が装着され、この超音波振動子2に発振器3が接続され、洗浄槽1に洗浄液4が入れられたものが提案されている。
【0003】
しかしながら、このように構成された従来の超音波洗浄装置では、超音波振動子2の特性によって発振器3の出力が決定されており、発振器3と超音波振動子2の組み合わせを変更すると、超音波振動子が破損したり、発振器3の出力が指摘性となり、さらに、超音波洗浄装置の洗浄槽1内に洗浄液4が無い場合は空炊きとなり、超音波振動子2が破損するという問題があつた。
【特許文献1】特開平3−11481号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、従来の超音波洗浄装置では、超音波振動子の特性によって発振器の出力が決定されており、発振器と超音波振動子の組み合わせを変更すると、超音波振動子が破損したり、発振器の出力が指摘性となり、さらに、超音波洗浄装置の洗浄槽内に洗浄液4が無い場合は空炊きとなり、超音波振動子が破損するという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、メモリを接続したCPUと、該CPUに接続された前記CPUのデジタル出力をアナログ信号に変換するD/Aコンバータと、該D/Aコンバータの出力により微弱な出力により広範囲の周波数でスキャン発振する発振器と、該発振器の出力を電圧・電流検出回路を介して超音波振動子と、該超音波振動子に印可される電圧及び流れる電流を前記電圧・電流検出回路で検出し、該微少電圧及び電流を増幅する小信号増幅器と、該小信号増幅器の出力をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/Dコンバータとからなり、前記小信号増幅器の出力を前記CPUに入力して、前記超音波振動子の周波数及びインピーダンス特性を検出するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の超音波振動子の特性検出装置を内蔵した超音波洗浄装置では、微弱な出力により広範囲の周波数でスキャン発振する発振器から微弱な出力で超音波振動子の最適周波数特性を検出することにより、霧化装置を最適周波数で駆動し、又、超音波振動子の使用初めのインピーダンスに対して、使用状態の超音波振動子の急激なインピーダンスの変動から空焚きや超音波振動子の破損や断線等を検出することができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明では、微弱な出力により広範囲の周波数でスキャン発振する発振器を使用して、超音波振動子のインピーダンスを検出し、使用状態の超音波振動子の急激なインピーダンスの変動から空焚きや超音波振動子の破損や断線等を検出するものである。
【実施例】
【0008】
図1は本発明の実施例の超音波洗浄装置に内蔵する超音波振動子の特性検出装置のブロック図で、CPU5にメモリ6が接続され、又、CPU5の出力にD/Aコンバータ7が接続され、このD/Aコンバータ7の出力側にVCO発振器8が接続され、VCO発振器8に増幅器9が接続され、増幅器9の出力側に電圧・電流検出器10が接続され、この電圧・電流検出器10に超音波振動子11が接続されて、超音波振動子11に微少電圧及び電流が印可され、この微少電圧及び電流から超音波振動子11のインピーダンス特性が検出され、このインピーダンス特性による電圧及び電流は小信号増幅器12で増幅されてA/Dコンバータ13でデジタル信号に変換されてCPU5に入力され、又、増幅器9に出力制御器14が接続され、CPU5から出された信号によって出力制御器14で増幅器9の増幅度が調整されるように接続され、点線で囲まれた装置によって発振器15が構成され、さらに、CPU5に表示装置16が接続されている。
【0009】
このように構成された本実施例の超音波振動子の特性検出装置では、CPU5からの出力はD/Aコンバータ7でデジタル電圧からアナログ電圧に変換され、このアナログ電圧でVCO発振器8の出力の周波数が変更され、CPU5から出力制御器14に出力が出されることによって、適宜増幅器9の増幅度が調整され、電圧・電流検出器10を介して超音波振動子11に順次周波数が変更された微少電圧及び電流が印可され、この微少電圧及び電流は小信号増幅器12で増幅され、この増幅されたアナログ信号はA/D変換器13でデジタル信号に変換されてCPU5に入力され、CPU5で微少電圧及び電流から超音波振動子11のインピーダンスを算出し、共振周波数及び反共振周波数を見つけ、それを表示装置16で表示し、そのインピーダンス特性から最適周波数を判断し、洗浄動作周波数とする。
【0010】
本発明は、このようにCPU5の出力によってVCO発振器8からの周波数を順次変更して超音波振動子11に入力することにより、超音波振動子11に流れる微少電圧及び電流によって超音波振動子11のインピーダンスを簡単に算出することができる。
【0011】
図2は本発明の他の実施例の超音波洗浄装置に内蔵する超音波振動子の特性検出装置のブロック図で、5はCPU、6はメモリ、7はD/Aコンバータ、8はVCO発振器、9は増幅器、10は電圧・電流検出器、11は超音波振動子、12は小信号増幅器、13はA/Dコンバータ、14は出力制御器、15は発振器、16は表示装置で、これらの構成は上記実施例と同じであるので説明は省略するが、本実施例では、小信号増幅器12の出力は予め設定された閾値を持つ比較器17に入力され、比較器17の出力はカウンタ18でカウントされ、このカウンタ8のカウント値はCPU5に入力される。
【0012】
このように構成された本実施例の超音波振動子の特性検出装置では、メモリ6に初めに検出した超音波振動子11のインピーダンスを記憶しておき、小信号増幅器12の出力を予め設定された閾値を持つ比較器17に入力することにより、超音波振動子11のインピーダンスの変化を比較器17の閾値で検出し、超音波振動子11の劣化を判定して表示装置16で表示し、超音波振動子11の超音波の発生能力の減衰を予告し、メンテナンスの時期がきたことを表示する。
【0013】
このように、急激なインピーダンスの変動は、空焚きや超音波振動子11の破
損及び断線等を生じるので、超音波振動子11のインピーダンスの変化を本実施例の超音波振動子の特性検出装置で検出することにより、超音波振動子11を最低限の劣化ですませ、破損に至らないようにする。
【産業上の利用可能性】
【0014】
なお、上記実施例において、メモリ6で超音波振動子11のインピーダンスの変化を記録し、初期値からの変化量を比較器17の閾値で順次比較して、超音波振動子11の劣化を判定し、超音波の出力能力の減衰を予告し、メンテナンス時期がきたことを知らせるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例の超音波洗浄装置に内蔵した超音波振動子の特性検出装置のブロック図である。
【図2】本発明の他の実施例の超音波洗浄装置に内蔵した超音波振動子の特性検出装置のブロック図である。
【図3】従来の超音波振動子の超音波洗浄装置の側面断面図である。
【符号の説明】
【0016】
5 CPU
6 メモリ
7 D/Aコンバータ
8 VCO発振器
9 増幅器
10 電圧・電流検出器
11 超音波振動子
12 小信号増幅器
13 A/Dコンバータ
14 出力制御器
15 発振器
16 表示装置
17 比較器
18 カウンタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリを接続したCPUと、該CPUに接続された前記CPUのデジタル出力をアナログ信号に変換するD/Aコンバータと、該D/Aコンバータの微弱な出力により広範囲の周波数でスキャン発振する発振器と、該発振器の出力を電圧・電流検出回路を介して印可される超音波振動子と、該超音波振動子に印可される微少電圧及び電流を前記電圧・電流検出回路で検出し、該微少電圧及び電流を増幅する小信号増幅器と、該小信号増幅器の出力をアナログ信号からデジタル信号に変換するA/Dコンバータとからなり、前記小信号増幅器の出力を前記CPUに入力して、前記超音波振動子の周波数及びインピーダンス特性を検出することをを特徴とする超音波振動子の特性検出装置を内蔵した超音波洗浄装置。
【請求項2】
前記小信号検出器の出力を予め決められた閾値を持つ比較器に入力し、比較器の出力をカウンタでカウントすることにより、カウンタのカウント数により超音波振動子の劣化を決定することを特徴とする請求項1記載の超音波振動子の特性検出装置を内蔵した超音波洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−106851(P2009−106851A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−281576(P2007−281576)
【出願日】平成19年10月30日(2007.10.30)
【出願人】(000243364)本多電子株式会社 (255)
【Fターム(参考)】