説明

超音波探傷装置の据付機構

【課題】狭隘な箇所に対して短時間で容易に超音波探傷装置を据え付けることができる超音波探傷装置の据付機構の提供。
【解決手段】一直線に延在するレール11と、該レール11に搭載され、該レール11の長さ方向に移動自在な超音波探触子12とを備える超音波探傷装置10を原子炉圧力容器1に据え付ける超音波探傷装置10の据付機構20であって、原子炉圧力容器1の据付面1aに対して着脱自在に据え付けられる第1のフレーム21と、レール11を据付面1aに沿って支持すると共に、据付面1aに対し垂直な回転軸周りに回転自在に第1のフレーム21に支持される第2のフレーム30と、第2のフレーム30の上記回転方向における位置を位置決めする位置決め部材50と、を有するという構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波探傷装置の据付機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、圧力容器(被検査体)に設けられた溶接線に沿って超音波探傷試験を実施する超音波探傷装置が開示されている。この超音波探傷装置においては、圧力容器に恒久的に据え付けたレールに沿って超音波探触子が移動自在とされ、この超音波探触子が溶接線に沿って水平方向に移動しながら超音波探傷試験を実施する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−245056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記レールが据え付けられていない箇所に対して超音波探傷試験をする場合には、当該箇所に、レールを備える超音波探傷装置を一時的に据え付けて超音波探傷試験を実施することがなされている。例えば水平方向の溶接線について、当該レールの据え付けは、作業員がレールの水平線からの傾きを真正面から確認しつつ溶接線に沿って水平に合わせ込みながら行う。
しかしながら、原子炉圧力容器など、その周りに保温材が設けられて狭隘なスペースしかない場合、上記レールの据え付け作業の際、作業員がレールを真正面から見ることができない場合があり、レールの水平度を確保することに非常に苦労して多大な時間を費やしている。
【0005】
本発明は、上記課題点に鑑みてなされたものであり、狭隘な箇所に対して短時間で容易に超音波探傷装置を据え付けることができる超音波探傷装置の据付機構の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、一直線に延在するレールと、該レールに搭載され、該レールの長さ方向に移動自在な超音波探触子とを備える超音波探傷装置を被検査体に据え付ける超音波探傷装置の据付機構であって、被検査体の据付面に対して着脱自在に据え付けられる第1のフレームと、レールを据付面に沿って支持すると共に、据付面に対し垂直な回転軸周りに回転自在に第1のフレームに支持される第2のフレームと、第2のフレームの回転方向における位置を位置決めする位置決め部材と、を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、狭隘な箇所においても、第1のフレームを被検査体に据え付けた後、据付面に垂直な回転軸周りに第2のフレームを回転させ、レールの据え付け角度を調整して位置決めすることで、レールの水平度を確保することができる。このため、狭隘な箇所への超音波探傷装置の据え付けが短時間で容易に実施可能となる。
【0007】
また、本発明においては、第2のフレームは、据付面に対し垂直な回転軸を軸心とする回転可能なハンドル部を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、円環形状のハンドル部を手繰ることで第2のフレームを回転軸周りに回転させることができるため、作業効率が向上する。
【0008】
また、本発明においては、位置決め部材は、第1のフレームに対し固定され、ハンドル部を把持自在に設けられたクランプ部を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、クランプ部が被検査体に据え付けられた第1のフレームに対し固定されているので、クランプ部でハンドル部を把持すると、第1のフレームに対し第2のフレームが位置決めされ、結果、被検査体に対するレールの位置決めがなされる。
【0009】
また、本発明においては、第1のフレームは、ハンドル部を跨いだアーチ形状を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、原子炉圧力容器と保温材との間の狭隘な平面視円環状空間に据付機構を挿入でき、保温材と干渉することなく超音波探傷装置の据え付けが可能となる。
【0010】
また、本発明においては、第1のフレームは、据付面に対し電磁的に磁着する磁着部を有しており、磁着部は、据付面の形状に応じた形状を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、磁着部の据付面に対する接触面積を大きくでき、磁着性能を向上させることができる。
【0011】
また、本発明においては、レールを該レールの幅方向に対し直交する第2の直線方向に、据付面に沿ってスライドさせるスライド機構が設けられているという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、水平度が確保されたレールをスライド機構で平行移動させることで、溶接線との正確な位置合せをすることができる。
【0012】
また、本発明は、超音波探触子を備える超音波探傷装置を被検査体に据え付ける超音波探傷装置の据付機構であって、直線状に延在するレールと、該レールの延在方向の両端部にそれぞれ設けられて、前記被検査体の据付面に対して電磁的に磁着する磁着部と、を有するレール装置と、前記超音波探傷装置を搭載するとともに、前記レール装置の前記レールに着脱可能に取り付けられ、かつ、該レールの長さ方向に移動可能に構成された走行装置と、を備え、前記レール装置には、前記レールの延在方向の少なくとも一方の側の端部の前記磁着部と前記レールとの間に、前記磁着部に対して前記レールを回動可能に連結する回動軸が設けられているという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、狭隘な箇所においても、レール装置を被検査体に据え付け、磁着部で磁着した後、回動軸を設けた側の端部と反対の側のレールの端部の磁着部の磁着を解除し、前記回動軸を回動支点としてこの端部側を適宜に回動させ、レールの据え付け角度を調整して位置決めすることで、レールの水平度を確保することができる。したがって、その後このレールに走行装置を取り付けることで、狭隘な箇所への超音波探傷装置の据え付けが短時間で容易に実施可能となる。
【0013】
また、本発明においては、前記走行装置には、前記据付面の面方向に沿い、かつ前記レールの延在方向と交差する方向に沿って、前記超音波探傷装置を移動させるスライド機構が設けられているという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、水平度が確保された状態で超音波探傷装置を搭載する走行装置をスライド機構で平行移動させることにより、溶接線との正確な位置合せをすることができる。
【0014】
また、本発明においては、前記走行装置には、前記超音波探傷装置を前記据付面に対して進退させる進退装置が設けられているという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、レール装置を被検査体の据付面に据え付けた後、該レール装置に走行装置を取り付ける際、進退装置によって超音波探傷装置を据付面に対して後退させておくことにより、狭隘な箇所への超音波探傷装置の据え付けがより容易に実施可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、一直線に延在するレールと、該レールに搭載され、該レールの長さ方向に移動自在な超音波探触子とを備える超音波探傷装置を被検査体に据え付ける超音波探傷装置の据付機構であって、被検査体の据付面に対して着脱自在に据え付けられる第1のフレームと、レールを据付面に沿って支持すると共に、据付面に対し垂直な回転軸周りに回転自在に第1のフレームに支持される第2のフレームと、第2のフレームの回転方向における位置を位置決めする位置決め部材と、を有するという構成を採用することによって、狭隘な箇所においても、第1のフレームを被検査体に据え付けた後、据付面に垂直な回転軸周りに第2のフレームを回転させ、レールの据え付け角度を調整して位置決めすることで、レールの水平度を確保することができる。このため、狭隘な箇所への超音波探傷装置の据え付けが短時間で容易に実施可能となる。
また、超音波探触子を備える超音波探傷装置を被検査体に据え付ける超音波探傷装置の据付機構であって、直線状に延在するレールと、該レールの延在方向の両端部にそれぞれ設けられて、前記被検査体の据付面に対して電磁的に磁着する磁着部と、を有するレール装置と、前記超音波探傷装置を搭載するとともに、前記レール装置の前記レールに着脱可能に取り付けられ、かつ、該レールの長さ方向に移動可能に構成された走行装置と、を備え、前記レール装置には、前記レールの延在方向の少なくとも一方の側の端部の前記磁着部と前記レールとの間に、前記磁着部に対して前記レールを回動可能に連結する回動軸が設けられているという構成を採用することによって、狭隘な箇所においても、レール装置を被検査体に据え付け、磁着部で磁着した後、回動軸を設けた側の端部と反対の側のレールの端部の磁着部の磁着を解除し、前記回動軸を回動支点としてこの端部側を適宜に回動させ、レールの据え付け角度を調整して位置決めすることで、レールの水平度を確保することができる。したがって、その後このレールに走行装置を取り付けることで、狭隘な箇所への超音波探傷装置の据え付けが短時間で容易に実施可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態における超音波探傷装置の原子炉圧力容器に対する据え付け状態を示す概略図である。
【図2】本発明の第1実施形態における超音波探傷装置の据付機構を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態における超音波探傷装置の据付機構を示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態における第1のフレームの据え付け状態を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態における据付機構の分解斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態における第2のフレームに設けられたスライド機構を示す斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態におけるスライド機構の部分拡大図である。
【図8】本発明の第1実施形態における位置決め部材の構成を示す斜視図である。
【図9】本発明の第2実施形態における超音波探傷装置の据付機構を示す斜視図である。
【図10】本発明の第2実施形態における超音波探傷装置の据付機構を示す斜視図である。
【図11】図9に示した超音波探傷装置の据付機構の要部を示す斜視図である。
【図12】走行装置の裏面側の要部を示す図である。
【図13】走行装置の裏面側の要部を示す斜視図である。
【図14】(a)はレール装置の斜視図であり、(b)は(a)の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態における超音波探傷装置10の原子炉圧力容器1に対する据え付け状態を示す概略図である。
図に示すように、原子炉圧力容器(被検査体)1の周りには、保温材2が設置されている。この保温材2は、原子炉圧力容器1を囲う原子炉遮蔽壁3に、保温材支持用のブラケットやサポート等により支持されている。原子炉遮蔽壁3には、超音波探傷試験を実施する際、作業員が内部に進入するためのマンホール4が設けられている。
【0018】
原子炉遮蔽壁3の外部には、原子炉圧力容器1に据え付けられた超音波探傷装置10の検査本部10aが設置されている。検査本部10aは、超音波探傷装置10の駆動を制御する制御部と、超音波探傷試験の結果に基づいて検査・解析する検査解析部と、超音波探傷試験を実施する際に用いられる超音波接触媒質(本実施形態では水)を超音波探傷装置10に供給する超音波接触媒質供給タンク及びポンプを含む超音波接触媒質供給部と、超音波探傷試験に用いられた超音波接触媒質を回収する超音波接触媒質回収タンク及びポンプを含む超音波接触媒質回収部と、を有する。
【0019】
超音波探傷装置10は、後述する据付機構により原子炉圧力容器1の据付面(外表面)1aに据え付けられる。図1において、A符号を付した超音波探傷装置10を据え付ける位置においては、原子炉圧力容器1と保温材2との間が200mm程度の狭隘なスペースとなっており、また、B符号を付した超音波探傷装置10を据え付ける位置においては、原子炉圧力容器1と保温材2との間が350mm程度の狭隘なスペースとなっており、作業員が真正面から原子炉圧力容器1に対向して超音波探傷装置10を据え付けることが困難な状態となっている。
この狭隘なスペースに超音波探傷装置10を短時間で容易に据え付けるため、作業員は、以下に示す超音波探傷装置10の据付機構20を用いる。
【0020】
図2及び図3は、本発明の第1実施形態における超音波探傷装置10の据付機構20を示す斜視図である。
図に示すように、本実施形態の超音波探傷装置10は、一直線に延在するレール11と、レール11に搭載されてレール11の長さ方向に移動自在な超音波探触子12とを有する。超音波探触子12は、レール11に沿って移動自在なホルダ機構13に支持されている。ホルダ機構13は、超音波探触子12を原子炉圧力容器1の据付面1aに押し付ける三段スライドの押付機構を有する。ホルダ機構13は、駆動モータ14及び従動プーリ15との間に架設された駆動ベルト16の回走駆動によってレール11に沿って走行する台車に搭載されている。なお、レール11には、不図示の水準計が取り付けられている。
【0021】
据付機構20は、原子炉圧力容器1の据付面1aに対して着脱自在に据え付けられる第1のフレーム21と、レール11を据付面1aに沿って支持すると共に、据付面1aに対し垂直な回転軸周りに回転自在とされて第1のフレーム21に支持される第2のフレーム30と、第2のフレーム30の回転方向における位置を位置決めする位置決め部材50と、を有する。
【0022】
第1のフレーム21は、第2のフレーム30を跨いだアーチ形状を有する。また、第1のフレーム21は、4つの脚部を有する。脚部のうちの2つは、据付面1aに対し電磁的に磁着する磁着部22から構成され、残りの2つは、首振りが可能なアジャスタフット23から構成されている。なお、本実施形態では、重量を考慮して磁着部22を2つとしているが、この個数に限定されない。
【0023】
図4は、本発明の第1実施形態における第1のフレーム21の据え付け状態を示す図である。
図に示すように、第1のフレーム21は、アーチ形状を有するので、原子炉圧力容器1と保温材2との間の狭隘な平面視円環状空間に対応でき、保温材2に干渉することなく挿入・据え付けが可能となる。また、図に示すように、磁着部22は、据付面1aの形状に応じた形状、より詳しくは、所定曲率を有する据付面1aの形状に対応する傾斜部22aを有している。傾斜部22aは、磁性体から構成されており、電磁石22bの作動時には磁化して据付面1aに対し磁着できる構成となっている。また、アジャスタフット23は、据付面1aとの接触部がラバー材から構成され、また、首振りにより据付面1aの形状に対応して接触できる構成となっている。
【0024】
図5は、本発明の第1実施形態における据付機構20の分解斜視図である。
図に示すように、第2のフレーム30は、クロスローラーベアリング31を介して第1のフレーム21の内側に取り付けられている。第1のフレーム21の中央部には、クロスローラーベアリング31を支持する支持フレーム24が固定される。クロスローラーベアリング31は、第2のフレーム30をその中心部を回転軸として、第1のフレーム21に対し相対回転自在に支持する構成となっている。
【0025】
第2のフレーム30は、その回転軸を軸心とする円環形状のハンドル部32を有する。
この構成によれば、円環形状のハンドル部32を作業員が手繰ることで第2のフレーム30を回転させることができるため、作業効率が向上する。本実施形態のハンドル部32は、レール11より大きく、また、第1のフレーム21の近傍まで延出している。
本実施形態の第2のフレーム30には、レール11をその長さ方向に対し直交する幅方向に据付面1aに沿ってスライドさせるスライド機構33が設けられている。
【0026】
図6は、本発明の第1実施形態における第2のフレーム30に設けられたスライド機構33を示す斜視図である。
図に示すように、スライド機構33は、レール11をその幅方向に移動自在に支持する第1のガイド部34,第2のガイド部35を有する。第1のガイド部34は、LMガイドから構成され、第2のガイド部35は、ボールねじガイドから構成されている。第2のガイド部35は、両端部がベアリング36で回転自在に支持されたボールねじ37と、ボールねじ37に螺合すると共にボールねじ37の軸回転によりその長さ方向に移動するガイドブロック38と、を有する。レール11は、第1のガイド部34のブロック部とガイドブロック38とで、レール11の移動方向とスライド機構33の移動方向が直交するように支持される。この構成によれば、ボールねじ37の一端部に設けられた操作ハンドル37aを作業員が操作することで、ガイドブロック38を介してレール11を幅方向にスライドさせることが可能となる。なお、このスライド量は、ボールねじ37のシャフト上に装着したエンコーダ39にて計測・管理する。
【0027】
スライド機構33によるレール11のスライド位置の位置決めは、ブレーキ部40を用いて行う。ブレーキ部40は、両端部がベアリング41で回転自在に支持されたブレーキシャフト42と、ブレーキシャフト42とボールねじ37のシャフト部との間に跨って設けられたブレーキ板43と、を有する。
【0028】
図7は、本発明の第1実施形態におけるスライド機構33の部分拡大図である。
図に示すように、ブレーキ板43には、ブレーキシャフト42が挿入される第1の開口部43aと、ボールねじ37のシャフト部が挿入される第2の開口部43bとが形成されている。第1の開口部43aは、螺子タップを有し、ブレーキシャフト42の軸の一部に形成された螺子部42aと螺合する構成となっている。一方、第2の開口部43bには、螺子タップはなく、ボールねじ37のシャフト部に設けられたテーパー部37bの拡径部(最大径)より小さい径を備えている。この構成によれば、レール11のスライド位置の調整が終わった後、作業員がブレーキシャフト42を軸周りに回転操作してブレーキ板43を移動させ、テーパー部37bに第2の開口部43bの開口縁部を押し当てることで、ボールねじ37の回転が規制されるので、結果、レール11のスライド位置の位置決めをすることができる。
【0029】
図2に戻り、据付機構20には、第2のフレーム30の回転方向における位置を位置決めする位置決め部材50が2つ設けられている。本実施形態では、第2のフレーム30のロック強度を確保するため、位置決め部材50を2つ設けているが、ロック強度が確保できれば、その個数は任意に変更可能である。
【0030】
図8は、本発明の第1実施形態における位置決め部材50の構成を示す斜視図である。
位置決め部材50は、第1のフレーム21に固定され、第2のフレーム30のハンドル部32を把持自在に設けられたクランプ部51を有する。クランプ部51は、レバー部材52の旋回操作により、ハンドル部32を把持し第2のフレーム30の回転規制を行うロック状態、あるいは、ハンドル部32を把持することなく第2のフレーム30の回転規制解除を行うロック解除状態とさせることが可能な構成となっている。
【0031】
続いて、上記構成の据付機構20を用いた原子炉圧力容器1の狭隘箇所に対する超音波探傷装置10の一連の据え付け作業について説明する。
先ず、作業員は、図1に示す、マンホール4から原子炉遮蔽壁3内部に進入する。そして、超音波探傷装置10を据え付けるべき狭隘箇所を確認し、当該箇所に対して据付機構20を用いて超音波探傷装置10を据え付ける。具体的には、作業員が、据付機構20の第1のフレーム21を把持して持ち上げ、原子炉圧力容器1と保温材2との間の狭隘箇所に挿入する。この時、図4に示すように、第1のフレーム21はアーチ形状を有するため、当該挿入を、保温材2と干渉することなく行える。次に、作業員は、原子炉圧力容器1の据付面1aに、第1のフレーム21の脚部を接触させる。
【0032】
原子炉圧力容器1の据付面1aに第1のフレーム21の脚部を接触させたら、据付機構20を把持している作業員は、もう一人の作業員に指示をして、電磁石22bを作動させ、第1のフレーム21を原子炉圧力容器1に対して磁着させる。
第1のフレーム21が原子炉圧力容器1に対して磁着したら、次に、作業員は、レール11に取り付けられた不図示の水準計を確認しながら、ハンドル部32を手繰って第2のフレーム30を回転させ、レール11の据付角度を調整し、水平度(不図示の溶接線に対する平行度)を確保する。レール11の水平度が確保できたら、作業員は、レバー部材52を操作してハンドル部32をクランプ部51で固定する。これにより、第2のフレーム30の回転規制が行われ、レール11の位置決めがなされる。
その後、作業員は、スライド機構33を用いて、レール11をその幅方向(上下方向)にスライドさせ、超音波探触子12と据付面1aに設けられた不図示の溶接線との位置合わせを行う。
以上の据え付け作業が終了したら、超音波探傷装置10を駆動させ、超音波探触子12をレール11に沿って移動させつつ原子炉圧力容器1に対する超音波探傷試験を実施する。
【0033】
したがって、上述の本実施形態によれば、一直線に延在するレール11と、該レール11に搭載されレール11の長さ方向に移動自在な超音波探触子12とを備える超音波探傷装置10を原子炉圧力容器1に据え付ける超音波探傷装置10の据付機構20であって、原子炉圧力容器1の据付面1aに対して着脱自在に据え付けられる第1のフレーム21と、レール11を据付面1aに沿って支持すると共に、据付面1aに対し垂直な回転軸周りに回転自在とされて第1のフレーム21に支持される第2のフレーム30と、第2のフレーム30の上記回転方向における位置を位置決めする位置決め部材50と、を有するという構成を採用することによって、狭隘な箇所においても、第1のフレーム21を原子炉圧力容器1に据え付けた後、据付面1aに垂直な回転軸周りに第2のフレーム30を回転させ、レール11の据え付け角度を調整して位置決めすることで、レール11の水平度を調整することができる。
このため、本実施形態では、狭隘な箇所への超音波探傷装置10の据え付けが短時間で容易に実施可能となる。
【0034】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
この第2実施形態の据付機構も、第1実施形態と同様に、図1に示した原子炉圧力容器1に対する超音波探傷装置の据え付けに適用される。すなわち、作業員が真正面から原子炉圧力容器1に対向して超音波探傷装置を据え付けることが困難な狭隘スペースに、超音波探傷装置を据え付けるために用いられる。
【0035】
図9及び図10は、本発明の第2実施形態における超音波探傷装置60の据付機構70を示す斜視図である。
本実施形態の超音波探傷装置60は、図2、図3に示した第1実施形態の超音波探傷装置10がレール11を備え、このレール11に超音波探触子12を移動自在に搭載しているのに対し、図9に示すようにレールを備えることなく、超音波探触子61を備えて構成されている。超音波探触子61は、第1実施形態における超音波探触子12と同様の構成からなっている。
【0036】
このような超音波探傷装置60は、図9、図10に示すように走行装置71に搭載されており、また、この走行装置71は、レール装置72のレール73に着脱可能に取り付けられている。すなわち、本実施形態の据付機構70は、レール装置72と走行装置71とを備えて構成されている。
【0037】
走行装置71は、超音波探触子61(超音波探傷装置60)を搭載するホルダ機構74と、ホルダ機構74を上下方向(鉛直方向)に移動させるスライド機構75と、を備え、さらに上記レール装置72のレール73に走行可能に取り付けられる走行部材を備えて構成されている。
【0038】
ホルダ機構74は、図11に示すようにスライド機構75のスライド板76に取り付けられたホルダ77と、このホルダ77に設けられたパンタグラフ状の進退装置78とを有したものである。進退装置78は、一対の進退部材78a、78aと、これら一対の進退部材78a、78a間に設けられた探触子保持部材79と、を備えて構成されている。探触子保持部材79には、超音波探触子61が保持されている。
進退部材78aは、一対の細板80が互いの中央部で連結ピン(図示せず)によって交差した状態で回動可能に連結され、それぞれの一端側がホルダ77側に配置され、他端側が連結棒81に連結されて形成されている。
【0039】
一対の進退部材78a、78aのうちの一方には、その細板80、80の一方の一端側がボールねじ82に連結されており、このボールねじ82の回転操作によって一方の細板80の一端側は、他方の細板80の一端側に近接し、あるいは離間するようになっている。また、連結棒81には、前記他方の細板80の他端側を移動可能に保持する長孔81aが形成されている。なお、一対の進退部材78a、78aのうちの他方は、ボールねじ82が連結されていない点以外は前記一方の進退部材78aと同様の構成となっている。
【0040】
このような構成のもとに進退機構78は、ボールねじ82の回転操作によって一方の細板80の一端側を他方の細板80の一端側に対して移動させることにより、連結棒81をホルダ77に対して進退させることが可能になっている。よって、この進退機構78は、探触子保持部材79に保持された超音波探触子61を、後述するように据付面1aに対して進退させることができるようになっている。
【0041】
スライド機構75は、図9に示すようにホルダ機構74と、このホルダ機構74を取り付けた矩形板状のスライド板76と、このスライド板76を移動(昇降)させるための矩形枠状のスライド枠83とを備えて構成されている。スライド枠83には、両側の枠体83a、83aにタイミングベルト84が設けられており、このタイミングベルト84には、スライド板76に設けられたスライド部(図示せず)が連結されている。また、タイミングベルト84にはモータ85が連結されており、このモータ85の駆動によってタイミングベルト84は正逆方向に走行するようになっている。
【0042】
このような構成のもとにスライド機構75は、モータ85の駆動によってタイミングベルト84を走行させ、タイミングベルト84に連結したスライド板76をタイミングベルト84の移動方向、すなわち枠材83aの長さ方向に移動させるようになっている。その際、このスライド板76が枠材83a、83a間にて挟持されてその長さ方向に案内されることにより、スライド板76に取り付けられたホルダ機構74は枠材83aの長さ方向に精度良く移動するようになっている。
【0043】
これによってスライド機構75は、ホルダ77に設けた進退装置78を介して超音波探触子61を、後述するように鉛直方向に昇降させることができるようになっている。すなわち、このスライド機構75は、前記据付面1aの面方向に沿い、かつ、前記レール73の延在方向と直交する方向(交差する方向)に沿って、超音波探傷装置60(超音波探触子61)を移動させることができるようになっている。
なお、スライド板76には、軽量化のために多数の孔が形成されている。
【0044】
また、この走行装置71には、図12、図13に示すように超音波探触子61を配置した面側と反対の面側に、上述した走行部材として、ピニオンギア86と、一対の上ガイドローラ87、87と、下ガイドローラ88とが設けられている。ピニオンギア86には、図9に示すモータ89が連結されており、このモータ89の駆動によってピニオンギア86は正逆方向に回転駆動するようになっている。
【0045】
図12、図13に示すように一対の上ガイドローラ87、87は、後述するレール装置72の第1レール93の上端部に回転可能に係合するようになっている。また、下ガイドローラ88は、前記第1レール93の下端部に回転可能に係合するようになっている。したがって、これら一対の上ガイドローラ87、87と下ガイドローラ88とは、第1レール93をその上下から挟持し、その状態で該第1レール93の長さ方向に移動(走行)可能になっている。
【0046】
また、下ガイドローラ88には、図13に示すように該下ガイドローラ88を保持する保持部材90を介してエアシリンダー装置91が設けられている。エアシリンダー装置91は、下ガイドローラ88を上下(鉛直)方向に移動させるようになっており、これによって下ガイドローラ88は、第1レール93に対して係脱可能になっている。
なお、このような構成の走行装置71には、図9に示すようにその枠材83a、83aの外側にそれぞれ取っ手が設けられており、これら取っ手を把持することにより、後述する据付作業が容易にできるようになっている。
【0047】
レール装置72は、直線状に延在するレール73と、該レール73の延在方向の両端部にそれぞれ設けられた磁着部92とを有して構成されている。レール73は、前記据付面1aに据え付けられる際に該据付面1a側に配置される第1レール93と、この第1レール93の、前記据付面1aと反対側の面側に配置される第2レール94と、を備えて構成されている。これら第1レール93、第2レール94は、側面視した状態で直線状に延在し、平面視した状態で原子炉圧力容器1の据付面1aに対応して僅かに湾曲して形成されている。
【0048】
また、第2レール94は、第1レール93に比べて幅が広く形成されており、したがってその上端に設けられたレール本体94aは、第1レール93より上方に配置されている。レール本体94aには、図12に示すようにその上面にラックギア95が設けられている。このラックギア95には、ピニオンギア86が着脱可能に噛合するようになっている。
また、第1レール93には、前述したようにその上端部に一対の上ガイドローラ87、87が回転可能に係合し、下端部に下ガイドローラ88が回転可能に係合するようになっている。
【0049】
このような構成のもとに、モータ89の駆動によってピニオンギア86が回転駆動し、これによってピニオンギア86がラックギア95上を移動することにより、走行装置71はレール装置72のレール73上を、その長さ方向に移動(走行)するようになっている。その際、一対の上ガイドローラ87、87と下ガイドローラ88とが第1レール93をその上下から挟持しているので、走行装置71は安定した状態でレール73上を移動(走行)できるようになっている。
【0050】
なお、図14(a)に示すように第1レール93、第2レール94には、前記スライド板76と同様に、軽量化のために多数の孔が形成されている。
磁着部92は、レール73の両端部の、第1レール93側、すなわち原子炉圧力容器1の据付面1aに向く側に、それぞれ突出した状態で設けられている。これら磁着部92は、レール73の端部の取付部材96を介して設けられた取付板97と、取付板97上に設けられた一対の電磁石98、98とを有して構成されている。
【0051】
電磁石98は、取付板97の両端部、すなわちレール73の幅方向の両側にそれぞれ設けられたもので、第1実施形態の電磁石22bと同様の構成からなるものであり、作動時に磁化することにより、据付面1aに対して磁着できる構成となっている。
また、本実施形態では、レール73の両端部に形成された取付板97のうちの一方は、図14(b)に示すようにレール73の取付部材96に対して、回動軸99を介して回動可能に設けられている。すなわち、取付部材96には回動軸99が突出して設けられており、この回動軸99に取付板97が回動可能に取り付けられている。
【0052】
このような構成のもとに、この回動軸99を設けた側の電磁石98、98を固定側とすることで、図14(a)中矢印で示すように反対側に位置する電磁石98、98側が回動できるようになっている。すなわち、回動軸99を設けた側の電磁石98、98を磁化して据付面1aに固定し、反対側の電磁石98、98についてはその磁化を解除しておくことにより、回動軸99を回動支点としてその反対側を回動させることができる。なお、このようなレール73にはその両端部にそれぞれ取っ手100が設けられており、これら取っ手100を把持することで後述する据付作業や上記の回動操作が容易にできるようになっている。
【0053】
続いて、上記構成の据付機構70を用いた原子炉圧力容器1の狭隘箇所に対する超音波探傷装置60の一連の据え付け作業について説明する。
先ず、第1実施形態と同様に作業員は、図1に示す、マンホール4から原子炉遮蔽壁3内部に進入する。そして、超音波探傷装置60を据え付けるべき狭隘箇所を確認し、当該箇所に対して据付機構70を用いて超音波探傷装置60を据え付ける。具体的には、作業員が据付機構70のレール装置72を持ち上げ、原子炉圧力容器1と保温材2との間の狭隘箇所に挿入する。次に、作業員は、原子炉圧力容器1の据付面1aに、レール装置72の磁着部92を接触させる。
【0054】
原子炉圧力容器1の据付面1aに磁着部92を接触させたら、全ての電磁石98を作動させ、原子炉圧力容器1に対して磁着させることにより、レール装置72を仮固定する。
このようにしてレール装置72を仮固定したら、続いて、回動軸99を設けていない側の磁着部92における電磁石98の磁化を解除し、これら電磁石98を据付面1aから脱着する。そして、その状態で取っ手100を操作し、図14(a)中矢印で示したように回動軸99を回動支点として脱着させた側を適宜に回動する。すなわち、レール73に取り付けられた不図示の水準計を確認しながら、取っ手100を操作して回動し、レール73の据付角度を調整し、水平度(不図示の溶接線に対する平行度)を確保する。
レール73の水平度が確保できたら、磁化を解除していた電磁石98を再度磁化させ、これら電磁石98を再度据付面1aに固定する。これにより、据付面1aに対するレール装置72の位置決めおよび固定がなされる。
【0055】
次いで、作業員は、レール装置72に対して走行装置71を取り付ける。その際、この走行装置71については、進退装置78によって超音波探触子61をホルダ77側に後退させておくとともに、エアシリンダー装置91によって下ガイドローラ88を一対の上ガイドローラ87、87から離間する方向に移動させておく。そして、この走行装置71を、超音波探触子61が据付面1aに対向するようにして、先に据付面1aに固定したレール装置72の下または上からくぐらせ、レール73と据付面1aとの間の適宜な位置となるようにする。すなわち、一対の上ガイドローラ87、87が第1レール93の上端より上方に位置し、下ガイドローラ88が第1レール93の下端より下方に位置し、さらにピニオンギア86が第2レール94のラックギア95より上方に位置するように、走行装置71を位置させる。
【0056】
なお、上ガイドローラ87、87とピニオンギア86との間隔は、第1レール93の上端と第2レール94のラックギア95との間の距離に対応して予め設定され、形成されている。
このように走行装置71をレール装置72にくぐらせた際、予め進退装置78によって超音波探触子61をホルダ77側に後退させているので、この超音波探触子61が据付面1aに干渉して走行装置71をレール装置72にくぐらせ難くなることが、防止されている。
【0057】
そして、その状態から走行装置71をレール装置72側に引きつつ下げ降ろし、図12に示すように一対の上ガイドローラ87、87を第1レール93の上端部に係合させるとともに、ピニオンギア86を第2レール94のラックギア95に噛合させる。
次いで、エアシリンダー装置91によって下ガイドローラ88を一対の上ガイドローラ87、87側に移動させ、第1レール93の下端部に係合させる。すると、一対の上ガイドローラ87、87と下ガイドレール88とによって第1レール93を挟持することにより、走行装置71は第1レール93に安定した状態に取り付けられる。また、ピニオンギア86が第2レール94のラックギア95に噛合することにより、走行装置71はレール73上を自動走行できるようになる。
【0058】
次いで、モータ85を駆動させ、スライド機構75によってホルダ機構74およびスライド板76をスライド枠83の枠材83に沿って鉛直方向に移動(昇降)させることにより、超音波探触子61と据付面1aに設けられた不図示の溶接線との位置合わせを行う。
その後、進退装置78によって超音波探触子61を据付面1a側に前進させ、据付面1aに対して所定の間隔となるように調整する。
以上の据え付け作業が終了したら、モータ89を駆動して走行装置71をレール73に沿って移動させつつ、超音波探傷装置60の超音波探触子61によって原子炉圧力容器1に対する超音波探傷試験を実施する。
【0059】
したがって、上述の本実施形態によれば、狭隘な箇所においても、レール装置72を被検査体の据付面1aに据え付け、磁着部92で磁着した後、回動軸99を設けた側の端部と反対の側のレール73の端部の磁着部92の磁着を解除し、前記回動軸99を回動支点としてこの端部側を適宜に回動させ、レール73の据え付け角度を調整して位置決めすることで、レール73の水平度を確保することができる。よって、その後このレール73に走行装置71を取り付けることで、狭隘な箇所への超音波探傷装置60の据え付けを短時間で容易に実施することができる。
【0060】
また、本実施形態の据付機構70では、走行装置71とレール装置72とを着脱可能に構成しているので、据付時においてはこれら走行装置71、レール装置72を個々に取り扱うことができる。したがって、各装置71、72が例えば前記第1実施形態の据付機構20に比べて小型・軽量化するため、作業員の負担を大幅に軽減し、据え付け作業をより容易にかつ安全に行えるようにすることができる。
【0061】
また、走行装置71に、据付面1aの面方向に沿い、かつレール73の延在方向と直交(交差)する方向に沿って、超音波探傷装置60を移動させるスライド機構75を設けているので、水平度が確保された状態で超音波探傷装置60を搭載する走行装置71をスライド機構75で平行移動させることにより、溶接線との正確な位置合せを容易に行うことができる。
【0062】
また、走行装置71に、超音波探傷装置60を据付面1aに対して進退させる進退装置78を設けているので、レール装置72を被検査体の据付面1aに据え付けた後、該レール装置72に走行装置71を取り付ける際、進退装置78によって超音波探傷装置60を据付面1aに対して後退させておくことにより、狭隘な箇所への超音波探傷装置60の据え付けをより容易に実施することができる。
【0063】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0064】
例えば、上記実施形態では、被検査体として原子炉圧力容器を例示して説明したが、これに限られず、他の圧力容器に対しても本発明を適用できる。また、圧力容器に限られず、他の円筒型被検査体に対しても本発明を適用できる。
また、上記第2実施形態においては、回動軸99をレール73の一方の側のみに設けたが、両側にそれぞれ設けてもよい。このように両側に回動軸99を設ければ、レール装置72の位置決め固定を行う際、据付面1aの周囲の状況等に応じて、回動支点とする側を任意に選択することができる。
【符号の説明】
【0065】
1…原子炉圧力容器(被検査体)、1a…据付面、10…超音波探傷装置、11…レール、12…超音波探触子、20…据付機構、21…第1のフレーム、22…磁着部、30…第2のフレーム、32…ハンドル部、33…スライド機構、50…位置決め部材、51…クランプ部、60…超音波探傷装置、61…超音波探触子、70…据付機構、71…走行装置、72…レール装置、73…レール、74…ホルダ機構、75…スライド機構、77…ホルダ、78…進退装置、92…磁着部、93…第1レール、94…第2レール、99…回動軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一直線に延在するレールと、該レールに搭載され、該レールの長さ方向に移動自在な超音波探触子とを備える超音波探傷装置を被検査体に据え付ける超音波探傷装置の据付機構であって、
前記被検査体の据付面に対して着脱自在に据え付けられる第1のフレームと、
前記レールを前記据付面に沿って支持すると共に、前記据付面に対し垂直な回転軸周りに回転自在に前記第1のフレームに支持される第2のフレームと、
前記第2のフレームの前記回転方向における位置を位置決めする位置決め部材と、を有することを特徴とする超音波探傷装置の据付機構。
【請求項2】
前記第2のフレームは、前記回転軸を軸心とする回転可能なハンドル部を有することを特徴とする請求項1に記載の超音波探傷装置の据付機構。
【請求項3】
前記位置決め部材は、前記第1のフレームに対し固定され、前記ハンドル部を把持自在に設けられたクランプ部を有することを特徴とする請求項2に記載の超音波探傷装置の据付機構。
【請求項4】
前記第1のフレームは、前記ハンドル部を跨いだアーチ形状を有することを特徴とする請求項2または3に記載の超音波探傷装置の据付機構。
【請求項5】
前記第1のフレームは、前記据付面に対し電磁的に磁着する磁着部を有しており、
前記磁着部は、前記据付面の形状に応じた形状を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の超音波探傷装置の据付機構。
【請求項6】
前記第2フレームには、前記レールを該レールの幅方向に、前記据付面に沿ってスライドさせるスライド機構が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の超音波探傷装置の据付機構。
【請求項7】
超音波探触子を備える超音波探傷装置を被検査体に据え付ける超音波探傷装置の据付機構であって、
直線状に延在するレールと、該レールの延在方向の両端部にそれぞれ設けられて、前記被検査体の据付面に対して電磁的に磁着する磁着部と、を有するレール装置と、
前記超音波探傷装置を搭載するとともに、前記レール装置の前記レールに着脱可能に取り付けられ、かつ、該レールの長さ方向に移動可能に構成された走行装置と、を備え、
前記レール装置には、前記レールの延在方向の少なくとも一方の側の端部の前記磁着部と前記レールとの間に、前記磁着部に対して前記レールを回動可能に連結する回動軸が設けられていることを特徴とする超音波探傷装置の据付機構。
【請求項8】
前記走行装置には、前記据付面の面方向に沿い、かつ前記レールの延在方向と交差する方向に沿って、前記超音波探傷装置を移動させるスライド機構が設けられていることを特徴とする請求項7に記載の超音波探傷装置の据付機構。
【請求項9】
前記走行装置には、前記超音波探傷装置を前記据付面に対して進退させる進退装置が設けられていることを特徴とする請求項7または8に記載の超音波探傷装置の据付機構。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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