説明

超音波流量計

【課題】二つのプローブが配置される箇所が狭い空間であっても、いずれのプローブについても配管への取り付けに手間がかからない超音波流量計を提供する。
【解決手段】超音波流量計1は、配管33の周面上に配置され、超音波を送受信する第1のプローブ3aと、第1のプローブ3aに対して配管33の軸方向にずらして配管33の周面上に配置され、超音波を送受信する第2のプローブ3bと、を備える。第2のプローブ3bは第1のプローブ3aに対して、配管33の周方向において、角度θを0度<θ<180度の範囲で異ならせて配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時間差式の超音波流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
配管を流れる流体の流量を計測する機器の一つとして、超音波流量計がある。超音波流量計にはいくつかの方式があり、時間差式の超音波流量計は超音波を送受信する二つの送受信手段(プローブ)を備える。二つのプローブは配管の周面上に取り付けられ、一方のプローブは上流側に配置され、他方のプローブは下流側に配置される。時間差式の超音波流量計の測定原理は、以下の通りである。
【0003】
上流側のプローブと下流側のプローブから同時に超音波を送信する。上流側のプローブから送信された超音波は、流体が流れる配管内を伝搬し、下流側のプローブにより受信される。下流側のプローブから送信された超音波は、流体が流れる配管内を伝搬し、上流側のプローブにより受信される。
【0004】
流体が配管を流れているので、上流側のプローブから送信された超音波を下流側のプローブが受信するまでの時間は、下流側のプローブから送信された超音波を上流側のプローブが受信するまでの時間より短くなる。この時間の差と、上流側のプローブと下流側のプローブとの間の距離を用いて、配管を流れる流体の流速を演算する。この流速と配管の断面積を用いて、配管を流れる流体の流量を演算する。
【0005】
ところで、上流側のプローブ、下流側のプローブのそれぞれから送信された超音波の一部は、配管の表面を伝搬して、下流側のプローブ、上流側のプローブによって受信される。金属の配管や小口径の配管は、配管の表面を伝搬する超音波の影響を受けやすく、この影響により流量の測定精度が悪くなるのを防止するために、上流側のプローブと下流側のプローブの距離を、ある程度の大きさにする必要があった。よって、超音波流量計を取り付けることができる箇所が制限され、二つのプローブを配置する箇所の空間を確保したうえで、超音波流量計を配管に取り付ける必要があった。
【0006】
配管の軸を中心として対称に上流側のプローブと下流側のプローブを配置することにより、二つのプローブを配置する箇所が狭い空間であっても、二つのプローブの距離を確保できる超音波流量計が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−58883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、配管の軸を中心として対称に上流側のプローブと下流側のプローブを配置した構成では、配管の周面において一方のプローブの位置の裏側に他方のプローブが位置する。従って、作業者が二つのプローブを配管に取り付ける際に、配管から見て、一方のプローブは作業者側に位置し、他方のプローブは作業者と反対側に位置する。このため、他方のプローブは作業者から見えにくい位置にあり、特に、狭い空間ではプローブの取り付けの際に手を動かすことができる範囲が制約されるので、他方のプローブについては取り付けに手間取る可能性がある。
【0009】
本発明は、超音波を送受信する二つの送受信手段が配置される箇所が狭い空間であっても、いずれの送受信手段についても配管への取り付けに手間がかからない超音波流量計を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明に係る超音波流量計は、断面円形の配管の周面上に配置され、超音波を送受信する第1の送受信手段と、前記第1の送受信手段に対して前記配管の軸方向にずらして前記配管の周面上に配置され、超音波を送受信する第2の送受信手段と、前記第1の送受信手段から送信された超音波を前記第2の送受信手段が受信するまでの時間と前記第2の送受信手段から送信された超音波を前記第1の送受信手段が受信するまでの時間との差、及び前記第1の送受信手段と前記第2の送受信手段との間の距離を用いて、前記配管を流れる流体の流量を演算する演算部と、を備え、前記第2の送受信手段は前記第1の送受信手段に対して、前記配管の周方向において、角度θを0度<θ<180度の範囲で異ならせて配置されている。
【0011】
本発明に係る超音波流量計によれば、第2の送受信手段が第1の送受信手段に対して、配管の周方向において、角度θを0度<θ<180度の範囲で異ならせて配置されているので、配管の周面の半面側に、第1及び第2の送受信手段を配置させることができる。このため、作業者が第1及び第2の送受信手段を配管に取り付ける際に、いずれも作業者側に位置し、作業者にとって見やすく、手が届きやすいので、第1及び第2の送受信手段が配置される箇所が狭い空間であっても、いずれの送受信手段についても配管への取り付けに手間がかからないようにすることができる。
【0012】
上記構成において、前記第2の送受信手段は前記第1の送受信手段に対して、前記配管の周方向において、角度θを0度<θ≦90度の範囲で異ならせて配置されている。
【0013】
この構成によれば、配管の軸方向において、第1の送受信手段と第2の送受信手段の距離が短い場合、上記角度θが0度の条件よりも、表面波(配管の表面を伝搬した超音波)を低減することができる。このため、第1及び第2の送受信手段が配置される箇所が狭い空間であり、配管が短くても、流量の測定精度を維持することが可能となるので、超音波流量計を取り付けることができる箇所の適用範囲を広げることができる。
【0014】
また、この構成によれば、第2の送受信手段が第1の送受信手段に対して、配管の周方向において、角度θを0度<θ≦90度の範囲で異ならせて配置されているので、いずれの送受信手段も作業者にとって、さらに見やすく、手が届きやすくなる。従って、第1及び第2の送受信手段が配置される箇所が狭い空間であっても、いずれの送受信手段についても配管への取り付けに手間がさらにかからないようにすることができる。
【0015】
上記構成において、前記第2の送受信手段は前記第1の送受信手段に対して、前記配管の周方向において、角度θを略15度異ならせて配置されている。
【0016】
この構成によれば、配管の軸方向において、第1の送受信手段と第2の送受信手段の距離が短い場合でも、受信波(配管内を伝搬した超音波)を比較的大きくすることができるので、S(受信波の大きさ)/N(表面波の大きさ)比を高くすることができる。よって、第1及び第2の送受信手段が配置される箇所が狭い空間であり、配管が短くても、高い精度で流量を測定することが可能となる。
【0017】
角度θが略15度とは15度を含み、さらに、15度の前後の角度であって、15度の場合と同等の高いS/N比が得られる角度を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、超音波を送受信する二つの送受信手段が配置される箇所が狭い空間であっても、いずれの送受信手段についても配管への取り付けに手間がかからないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る超音波流量計の構成を示す図である。
【図2】第1のプローブ及び第2のプローブが配管の周面に配置された具体例を示す図である。
【図3】図2に示す配管の直線部分に配置されている第1のプローブ及び第2のプローブを拡大した図である。
【図4】図3に示す第1のプローブ及び第2のプローブを、配管の断面側から見た状態を示す図である。
【図5】プローブ角度及びプローブ距離を変えて、表面波信号のエコー高さ等を測定した実験の結果を示す表である。
【図6】プローブ角度が15度、プローブ距離が40mmの場合の超音波の受信波形を示す図である。
【図7】プローブ角度が0度、プローブ距離が40mmの場合の超音波の受信波形を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る超音波流量計1の構成を示す図である。超音波流量計1は、第1のプローブ3a、第2のプローブ3b及びコントローラ5を備える。超音波流量計1は例えば、住宅等において、断面円形の配管を流れる水の流量の測定に用いられる。
【0021】
第1のプローブ3a(第1の送受信手段の一例)及び第2のプローブ3b(第2の送受信手段の一例)は同じ構成を有しており、超音波の送信と超音波の受信を兼用するセンサとなる圧電素子7a,7bが内蔵されている。第1のプローブ3a及び第2のプローブ3bは、配管の周面に取り付けた際に、配管の周面に接触する曲面部9a,9bを有する。第1のプローブ3a及び第2のプローブ3bは、圧電素子7a,7bに電気的に接続されている配線コード11a,11bを有する。
【0022】
コントローラ5は、端子13a,13b、送受信制御部15、演算部17及び操作部19を備える。端子13aには第1のプローブ3aの配線コード11aが接続され、端子13bには第2のプローブ3bの配線コード11bが接続される。送受信制御部15は端子13aを介して第1のプローブ3aの配線コード11a及び端子13bを介して第2のプローブ3bの配線コード11bと電気的に接続される。
【0023】
送受信制御部15は、圧電素子7a,7bを振動させて超音波を発生させる電気信号を生成する等の送信制御の機能、及び圧電素子7a,7bが超音波により振動して発生した電気信号を増幅し、増幅された電気信号をアナログからデジタルに変換する等の受信制御の機能を有する。
【0024】
演算部17は、第1のプローブ3aから送信された超音波を第2のプローブ3bが受信するまでの時間、第2のプローブ3bから送信された超音波を第1のプローブ3aが受信するまでの時間、及び第1のプローブ3aと第2のプローブ3bとの間の距離(直線距離)を用いて、配管を流れる水の流速を演算し、この流速と配管の断面積を用いて配管を流れる水の流量を演算する。
【0025】
操作部19は、操作キー部21と表示部23を備える。操作キー部21は、超音波流量計1を動作させる際の各種の設定等が入力される。表示部23には、演算部17により演算された水の流量等が表示される。
【0026】
図2は、第1のプローブ3a及び第2のプローブ3bが配管の周面に配置された具体例を示す図である。住宅等の内部の狭い空間31に、L字型に曲げられた配管33が通されている。配管33は水平方向に延びて外部から壁35を通り空間31に導かれ、空間31内でL字型に曲がり、鉛直方向に延びて、地面37に導かれる。配管33の垂直方向に延びる部分には、配管33を流れる水の量を調整するバルブ39が設けられている。
【0027】
配管33の水平方向に延びる部分において、配管33の周面には第1のプローブ3aと第2のプローブ3bとが配管33の軸方向にずらして配置されている。第2のプローブ3bは第1のプローブ3aに対して、配管33の周方向において、角度を90度異ならせて配置されている。
【0028】
第1のプローブ3a及び第2のプローブ3bが配置される配管33の場所には、配管33の継ぎ手や配管33の曲がり部が存在することが多い。第1のプローブ3a及び第2のプローブ3bは、配管33の水平方向に延びる部分のように、配管33の直線部分に配置される。第1のプローブ3a及び第2のプローブ3bが配置される配管33の場所が狭い空間31であれば、配管33の直線部分の長さLが10cm程度しか確保できないことが多い。また、上水道給水工事施工基準では、メータボックス内において、配管の直線部分の長さは少なくとも10cmと決められている。
【0029】
後で実験結果を用いて説明するように、本実施形態に係る超音波流量計1によれば、第1のプローブ3a及び第2のプローブ3bが配置される配管33の直線部分の長さLが10cm程度である場合でも、流量の測定精度を維持することができる。
【0030】
図3は図2に示す配管33の直線部分に配置されている第1のプローブ3a及び第2のプローブ3bを拡大した図である。図4は図3に示す第1のプローブ3a及び第2のプローブ3bを、配管33の断面側から見た状態を示す図である。
【0031】
第1のプローブ3aは、本体部41a、ベース部43a及び配線コード11aを備える。本体部41aには圧電素子7a等が内蔵されており、圧電素子7aに電気的に接続されている配線コード11aが固定されている。
【0032】
ベース部43aはホースバンド取付面45aを備え、その分だけ、配管33の軸方向において本体部41aより寸法が大きくされている。ホースバンド取付面45aは第2のプローブ3bの側と反対側にある。ベース部43aの一方の面は、配管33の周面と接触する曲面部9aであり、他方の面には本体部41aが固定されている。第2のプローブ3bは第1のプローブ3aと同じ構成なので、説明を省略する。
【0033】
第1のプローブ3a及び第2のプローブ3bは、それぞれ、配管33の軸方向の位置及び配管33の周方向の角度を調整した後、ホースバンド47a,47bのネジ(不図示)を締めて、配管33の周面に固定される。
【0034】
本実施形態に係る超音波流量計1の主な効果を説明する。本実施形態では、第2のプローブ3bが第1のプローブ3aに対して、配管33の周方向において、角度θを0度<θ<180度の範囲で異ならせて配置されているので、配管33の周面の半面側に、第1のプローブ3a及び第2のプローブ3bを配置させることができる。このため、作業者が第1のプローブ3a及び第2のプローブ3bを配管33に取り付ける際に、いずれも作業者側に位置し、作業者にとって見やすく、手が届きやすいので、第1のプローブ3a及び第2のプローブ3bが配置される箇所が狭い空間であっても、いずれについても配管33への取り付けに手間がかからないようにすることができる。
【0035】
また、第2のプローブ3bを第1のプローブ3aに対して、配管33の周方向において、角度θを0度<θ≦90度の範囲で異ならせて配置した場合、いずれのプローブも作業者にとって、さらに見やすく、手が届きやすくなる。従って、第1のプローブ3a及び第2のプローブ3bが配置される箇所が狭い空間であっても、いずれのプローブについても配管への取り付けに手間がさらにかからないようにすることができる。
【0036】
さらに、第2のプローブ3bを第1のプローブ3aに対して、配管33の周方向において、角度θを0度<θ≦90度の範囲で異ならせて配置した場合、第1のプローブ3a及び第2のプローブ3bが配置される箇所が狭い空間であり、配管33が短くても、流量の測定精度を維持することが可能となる。これについて実験結果を基にして説明する。まず、実験の条件を簡単に説明する。
【0037】
図3に示すように、第1のプローブ3aの芯の部分(圧電素子7aが位置する部分)と第2のプローブ3bの芯の部分(圧電素子7bが位置する部分)において、配管33の軸方向の距離Dの条件を、30mm,40mm,50mmにした。以下、その距離Dをプローブ距離Dと記載する。
【0038】
図4に示すように、第1のプローブ3aの芯の部分と第2のプローブ3bの芯の部分において、配管33の周方向の角度θの条件を、0度、15度、30度、45度、90度にした。以下、その角度θをプローブ角度θと記載する。
【0039】
SUS25Aの鋼管を配管33とし、配管33に水を充填して、他の条件を全て同じにして、第1のプローブ3aから超音波を送信させて、第2のプローブ3bによって受信される超音波を測定した。他の条件とは、例えば第2のプローブ3bが超音波を受信して生成された電気信号に対するフィルターとして、通過帯域が0.5MHz〜6MHzのバンドパスフィルターを用いた。
【0040】
図5は上記実験の結果を示す表である。図6はプローブ角度θが15度、プローブ距離Dが40mmの条件での超音波の受信波形を示す図であり、図7はプローブ角度θが0度、プローブ距離Dが40mmの条件での超音波の受信波形を示す図である。図6を用いて、図5に示す表の各項目について説明する。
【0041】
表面波信号とは、配管33の表面を伝搬した超音波(以下、表面波)を第2のプローブ3bが受信して生成した電気信号を意味する。受信波信号とは、配管33内を伝搬した超音波(以下、受信波)を第2のプローブ3bが受信して生成した電気信号を意味する。
【0042】
表面波信号のエコー高さとは、表面波信号の最大値と最小値の差を意味する。図6では20mV−(−20mV)=40mvが、表面波信号のエコー高さである。受信波信号のエコー高さとは、受信波信号の最大値と最小値の差を意味する。図6では120mV−(−120mV)=240mvが、受信波信号のエコー高さである。
【0043】
表面波信号の伝搬距離とは、表面波の音速(3600m/s)に表面波の受信に要する時間(μs)を乗算した値を意味する。図6では表面波の受信に要する時間は約14μsであり、従って、表面波信号の伝搬距離が50.25mmであった。受信波信号の伝搬距離とは、受信波の音速(1500m/s)に受信波の受信に要する時間(μs)を乗算した値を意味する。図6では受信波の受信に要する時間は約50μsであり、従って、受信波信号の伝搬距離が75.6であった。
【0044】
S/N比とは、受信波信号のエコー高さを表面波信号のエコー高さで除算した値を意味する。
【0045】
表面波信号のエコー高さは、プローブ角度θが15度、30度、45度、90度のいずれの条件も、0度の条件よりも小さくなった。表面波信号のエコー高さが小さいことは、表面波の影響を少なくすることができることを意味するので、流量の測定精度の維持向上には好ましい。
【0046】
受信波信号のエコー高さは、プローブ距離Dが同じであれば、プローブ角度θが15度、30度、45度、90度のいずれの条件も、一部の例外はあるが、0度の条件よりも小さくなった。流量の測定精度を維持向上するには、受信波信号のエコー高さが大きいほうが好ましい。上記例外として、プローブ角度θが0度の場合と同等又はそれ以上の受信波信号のエコー高さが得られる条件があった。すなわち、プローブ角度θが15度でプローブ距離が30mmの条件では、プローブ角度θが0度でプローブ距離が30mmの条件よりも、受信波信号のエコー高さが大きかった。また、プローブ角度θが15度でプローブ距離が40mmの条件では、プローブ角度θが0度でプローブ距離が40mmの条件と受信波信号のエコー高さが等しくなった。
【0047】
受信波信号の伝搬距離と表面波信号の伝搬距離の差は、プローブ角度θが0度、15度、30度、45度、90度のいずれの条件も、一部の例外(プローブ角度θが45度、プローブ距離が30mmの条件と、 プローブ角度θが45度、プローブ距離が40mmの条件)はあるが、プローブ距離Dを小さくすると、大きくなった。受信波信号の伝搬距離と表面波信号の伝搬距離の差が大きいと、表面波信号と受信波信号の区別が容易となり、流量の測定精度の維持向上には好ましい。
【0048】
プローブ距離Dが同じであれば、プローブ角度θが15度、30度、45度、90度のいずれの条件でも、0度の条件よりもS/N比が高くなった。プローブ角度θが15度の場合、特に高いS/N比が得られた。そして、プローブ角度θが15度、プローブ距離Dが40mmの条件では、今回の実験で一番高いS/N比が得られ、プローブ角度θが0度、プローブ距離Dが40mmの条件に対して、約6倍であった。
【0049】
以上より、第2のプローブ3bを第1のプローブ3aに対して、配管33の周方向において、角度θを0度<θ≦90度の範囲で異ならせて配置すれば、配管33の軸方向において、第1のプローブ3aと第2のプローブ3bの距離が短い場合(例えば、10cm以内)、角度θが0度の条件よりも、表面波信号のエコー高さを小さく(表面波を低減)することができ、また、S/N比を高くすることができる。よって、第1のプローブ3a及び第2のプローブ3bが配置される箇所が狭い空間であり、配管33が短くても、流量の測定精度を維持することが可能となる。従って、超音波流量計1を取り付けることができる箇所の適用範囲を広げることができる。
【0050】
特に、第2のプローブ3bを第1のプローブ3aに対して、配管33の周方向において、角度θを15度異ならせて配置すれば、配管33の軸方向において、第1のプローブ3aと第2のプローブ3bの距離が短い場合(例えば、10cm以内)でも、受信波信号のエコー高さを比較的大きく(受信波を比較的大きく)することができる。その結果、高いS/N比を得ることができる。よって、第1のプローブ3a及び第2のプローブ3bが配置される箇所が狭い空間であり、配管33が短くても、高い精度で流量を測定することが可能となる。
【0051】
なお、流体として、水を例に説明したが、他の液体や気体にも本実施形態を適用することは可能である。
【0052】
第1のプローブ3a及び第2のプローブ3bをホースバンド47a,47bで個別に配管33に締結する例を上記で示した。しかしながら、第1のプローブ3aと第2のプローブ3bとの間の軸方向間隔を一定に保ちつつ、周方向の位相を調整可能な治具を用いて、第1のプローブ3a及び第2のプローブ3bを配管33に取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 超音波流量計
3a 第1のプローブ(第1の送受信手段の一例)
3b 第2のプローブ(第2の送受信手段の一例)
33 配管
D プローブ間距離
θ プローブ角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面円形の配管の周面上に配置され、超音波を送受信する第1の送受信手段と、
前記第1の送受信手段に対して前記配管の軸方向にずらして前記配管の周面上に配置され、超音波を送受信する第2の送受信手段と、
前記第1の送受信手段から送信された超音波を前記第2の送受信手段が受信するまでの時間と前記第2の送受信手段から送信された超音波を前記第1の送受信手段が受信するまでの時間との差、及び前記第1の送受信手段と前記第2の送受信手段との間の距離を用いて、前記配管を流れる流体の流量を演算する演算部と、を備え、
前記第2の送受信手段は前記第1の送受信手段に対して、前記配管の周方向において、角度θを0度<θ<180度の範囲で異ならせて配置されている超音波流量計。
【請求項2】
前記第2の送受信手段は前記第1の送受信手段に対して、前記配管の周方向において、角度θを0度<θ≦90度の範囲で異ならせて配置されている請求項1に記載の超音波流量計。
【請求項3】
前記第2の送受信手段は前記第1の送受信手段に対して、前記配管の周方向において、角度θを略15度異ならせて配置されている請求項2に記載の超音波流量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−242120(P2012−242120A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109506(P2011−109506)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】