説明

超音波溶接装置及び超音波溶接装置で使用される超音波接合工具のローレット面加工方法

【課題】接合部の位置ずれを防止し被接合材の接合強度を高めることのできる超音波溶接装置を提供する。
【解決手段】超音波溶接装置において、突起先端を平坦面とした複数個の突起部8を縦横に配置したローレット面9を有するアンビルとホーンを、ローレット面9を構成する突起部上面8a、突起部斜面8b、突起部間の溝部10のうち、突起部上面8aの摩擦係数を、突起部斜面8b及び溝部10の摩擦係数より大くした構成とする。突起部斜面8b及び溝部10には、ダイヤモンドライクカーボン膜11を形成し、突起部上面8aにはダイヤモンドライクカーボン膜11を形成しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波溶接装置及び超音波溶接装置で使用される超音波接合工具のローレット面加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波接合は、適度の加圧下において、被接合材をホーン及びアンビルからなる工具により保持しながら超音波による振動エネルギーを接合面に平行に与え、接合境界面に溶融を生じさせることなく接合する技術である。また、超音波接合は、大気中において比較的短時間で接合することができ、板厚の比較的厚みの薄い銅やアルミ材の接合に適している。
【0003】
しかし、超音波接合によってアルミ材や銅のような低融点金属を接合しようとした場合、超音波エネルギーをアルミ材や銅に印加すると、ホーンやアンビルといった直接被接合材に接する工具が、被接合材であるアルミ材や銅に凝着してしまうことがある。凝着すると、被接合材の接合強度が低下し、満足な接合ができなくなる。
【0004】
そこで、超音波接合において、アルミ材や銅材のような被接合材と接する工具への凝着を防止するために、ホーン及びアンビルの被接合材との接触面にセラミックコーティング又はダイヤモンドライクカーボンコーティングした技術が提案されている(例えば、特許文献1等に記載)。
【0005】
これらセラミック及びダイヤモンドライクカーボンは、非金属であり金属と凝着することがなく充分な硬度を有するため、超音波溶接時の加振、加圧でも被接合材の一部が付着する張り付き現象が起こらず、ホーンやアンビルの耐性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−205452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、セラミックやダイヤモンドライクカーボンをホーン及びアンビルの被接合材との接触面にコーティングすると、コーティングにより摩擦係数が低下して工具表面部が滑り、接合部の位置ずれや被接合材の接合強度が低下する。
【0008】
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、接合部の位置ずれを防止し被接合材の接合強度を高めることのできる超音波溶接装置及び超音波溶接装置で使用される超音波接合工具のローレット面加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の超音波溶接装置では、突起先端を平坦面とした複数個の突起部を縦横に配置したローレット面を有する超音波接合工具を、ローレット面を構成する突起部上面、突起部斜面、突起部間の溝部のうち、前記突起部上面の摩擦係数を、前記突起部斜面及び前記突起部間の溝部の摩擦係数より大くした構成とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る超音波溶接装置によれば、超音波接合工具の突起部上面の摩擦係数が、突起部斜面及び突起部間の溝部の摩擦係数より大であるので、被接合材に対して滑り難くなり、超音波による振動エネルギーを接合面にロス無く与えることができ、それにより接合部の位置ずれが防止され、被接合材の接合強度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明を適用した超音波溶接装置の概略構成を示す図である。
【図2】図2は、図1の超音波溶接装置のホーン及びアンビルのローレット面を示し、(A)はその平面図、(B)はその拡大斜視図、(C)は更にその拡大斜視図である。
【図3】図3は、ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されていない従来構造のホーンへの凝着のメカニズムを説明するための図である。
【図4】図4は、ホーン突起部斜面を数百打点後にSEM観察したときのアルミのマッピング像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0013】
図1に本実施の形態の超音波溶接装置の一例を示す。本実施の形態の超音波溶接装置1は、超音波接合工具であるアンビル2とホーン3を有する。以下、アンビル2及びホーン3を超音波接合工具とする。
【0014】
アンビル2は、固定された基台4と一体化しており、被接合材であるワーク5(2枚の金属板5A、5B)を下方より支持する。ホーン3は、高周波電源6に接続された超音波振動子7からの振動を受けて水平方向に往復運動し、その振動エネルギーをワーク5の接合面に平行に与える。また、ホーン3は、図示を省略した空気圧シリンダや油圧シリンダにより、ワーク5をアンビル2に所定の加圧力で押し付けるようになっている。
【0015】
前記ホーン3又はアンビル2の何れか一方又はその両方には、図2に示すように、四角錐形状の突起先端を平坦面とした複数個の突起部8が縦横に配置されたローレット面9が形成されている。ローレット面9は、複数個の突起部8と、これら突起部8間の溝部10とから形成され、これらにより凹凸面とされている。ローレット面9は、ホーン3とアンビル2の両方に形成されていることが最も望ましい。
【0016】
突起部8は、四角錐形状の突起先端を研削することで平坦面とした突起部上面8aと、この突起部上面8aの各辺から底部へ裾拡がりに傾斜する突起部斜面8bとで構成されている。溝部10は、縦横に所定間隔で配置された突起部8間の空間部となっている。
【0017】
本実施の形態では、突起部上面8aの摩擦係数を、突起部斜面8b及び突起部間の溝部10の摩擦係数より大としている。突起部斜面8b及び溝部10には、ダイヤモンドライクカーボン膜11が形成されている。但し、突起部上面8aには、ダイヤモンドライクカーボン膜11は形成されていない。
【0018】
ダイヤモンドライクカーボン膜11は、摩擦係数が低く且つ硬度が高いという特性を有している。ダイヤモンドライクカーボン膜11は、例えばPVD装置を用いたスパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法、アークイオンプレーティング法、フィルタードバキュームアークイオンプレーティング法、イオン化蒸着法などの各PVD法、またはPCVD法、CVD法の何れかの方法で成膜される。
【0019】
アンビル2及びホーン3には、高耐摩耗性及び高耐熱性に優れた粉末高速度工具鋼(硬さHRC60以上)の材料が使用される。これらアンビル2及びホーン3のローレット面9に形成された突起部8の突起部上面8aは、四角錐形状とされた突起部の先端を砥石による平面研削加工で削り落とされることで形成される。この突起部上面8aの摩擦係数を突起部斜面8b及び溝部10の摩擦係数よりも大とするには、平面研削時の砥石の粗さを示す番手を選ぶことで面粗度を落として加工する。こうすることで、突起部上面8aの摩擦係数を、突起部斜面8b及び溝部10の摩擦係数よりも大とすることができる。
【0020】
超音波溶接装置1による溶接方法は、次の通りです。先ず、アンビル2にワーク5を載せる。ワーク5は、溶接すべき2枚の金属板5A、5Bであり、例えばアルミニウムや銅などの薄板とされる。アンビル2に2枚の金属板5A、5Bを重ねた状態で、上からワーク5に当接するようにホーン3を下げて、これらアンビル2とホーン3でワーク5に所定の加圧を加える。加圧力は、ワーク5を超音波接合するために必要な圧力であればよい。
【0021】
そして、超音波振動子7に高周波電源6から高周波を加えてホーン3を、ワーク5の2枚の金属板5A、5Bの接合面と平行(図1矢印X方向)に往復運動させる。このホーン3からの往復運動による振動を受けた2枚の金属板5A、5Bは、局所的に擦れ合って原子拡散により接合される。
【0022】
超音波溶接を繰り返し行うと、特に往復運動してワーク5と擦れるホーン3がワーク5(金属板5B)に凝着を起こす。凝着のメカニズムは、本願出願人が解析したところ、図3(A)の第1ステージ、図3(B)の第2ステージ、図3(C)の第3ステージと進行することで発生するものと考えられる。図3は、突起部及び溝部を含めたローレット面全体にダイヤモンドライクカーボン膜が形成されていないものである。
【0023】
第1ステージでは、図3(A)に示すように、例えば金属板5Bを構成するアルミからなる凝着物12が突起部斜面8bに凝着し始める。第1ステージは、超音波溶接開始から1万打点の初期状態である。第2ステージでは、図3(B)に示すように、突起部斜面8bから取れた凝着物12が次第に溝部10に堆積し始める。第2ステージは、1万打点から6万打点の中期状態である。第3ステージでは、図3(C)に示すように、突起部上面8aが摩耗し、凝着物12が溝部10に一気になだれ込み、当該溝部10を埋め尽くす。第3ステージは、6万打点以降の末期状態である。
【0024】
これらの解析の中で、第1ステージにおいて、突起部斜面8bの凸部にアルミが凝着し始めることを、図4のマッピング像で確認できた。図4は、ホーン突起部斜面を数百打点後にSEM観察したときのアルミのマッピング像である。図4中、斜線部分を凝着物12とする。この解析結果から、アルミの凝着起点は、突起部斜面8bであることが確認できた。
【0025】
凝着を防止するには、突起部斜面8bの摩擦係数を下げることが効果的である。摩擦係数を下げるには、突起部斜面8bに凝着を防止する効果のあるダイヤモンドライクカーボン膜11を形成するようにする。ダイヤモンドライクカーボン膜11は、硬さ30GPa以上、膜厚0.2μm以上であることが望ましい。硬さ30GPa以上と硬質化することで摩擦係数が低下し、アルミの耐凝着性が低下する。また、膜厚0.2μm以上に膜厚化することで、耐摩耗性が向上する。
【0026】
この一方、ホーン3の振動をワーク5に滑りを起こすことなく伝達する必要がある。そのためには、突起部上面8aにダイヤモンドライクカーボン膜を形成したのでは、摩擦係数が低くなりホーン3がワーク5に対して滑り易くなる。接合工程では、ワーク5の表面にホーン3のローレット面9が食い込む程度の摩擦係数であることが望ましく、摩擦係数が大きければ振動に対して摩擦力が大きくなり、ホーン3の振動をワーク5に滑りを起こすことなく伝えることができ、接合強度を上げることが可能となる。したがって、突起部上面8aにはダイヤモンドライクカーボン膜を形成せず、その突起部上面8aの摩擦係数を突起部斜面8b及び溝部10の摩擦係数より大きくすることが望ましい。
【実施例1】
【0027】
以下に、次のような実験をした。ホーン及びアンビルのローレット面のうち、突起部斜面及び溝部には、アークイオンプレーティング法によってダイヤモンドライクカーボン膜を成膜し、突起部上面は平面研削したままでダイヤモンドライクカーボン膜は存在していないホーンとアンビルを使用した。このホーン及びアンビルでは、突起部上面の摩擦係数を、突起部斜面及び溝部の摩擦係数より大としている。比較例として、突起部上面、突起部斜面及び溝部の全体(すなわちローレット面全体)をダイヤモンドライクカーボン膜で被覆したホーンとアンビルを使用した。
【0028】
ワークには、厚み0.4mmと厚み1.0mmの銅板2枚を使用した。これら2枚の銅板を、実施例1のホーン及びアンビルを使用した超音波溶接装置で溶接した。同じく、同一の銅板を、比較例のホーン及びアンビルを使用した超音波溶接装置で溶接した。そして、超音波溶接後に、溶接したワークに対して引張試験を行い、剥離荷重(剥離強度)を測定した。テストピースは、実施例1及び比較例共に5つとした。評価は、剥離荷重(剥離強度)の平均値と標準偏差で評価した。その結果を表1に示す。
【表1】

【0029】
表1の結果から判るように、実施例1では、比較例に比べて剥離荷重(剥離強度)の平均値が高く、また、ばらつきを示す標準偏差も僅かに低いことがわかる。実施例1の突起部上面の基材と銅の摩擦係数に比較して、比較例の突起部上面のダイヤモンドライクカーボン膜と銅の摩擦係数は、ダイヤモンドライクカーボン膜の固体潤滑性のために低くなる。そのために、ホーン及びアンビルがワークに滑りを起こし、接合強度が低くなると推定される。
【0030】
なお、ワークにアルミニウムを使用した場合には、実施例1及び比較例において共に接合強度に対する影響は出なかった。これは、アルミニウムは銅に比べて強度(降伏応力、引張応力)が低いため、ワークの表面にホーンの突起部上面がより食い込み易く滑りを起こし難くなることで、接合強度に対する影響が出ないと推定される。
【0031】
ちなみに、ローレット面にダイヤモンドライクカーボン膜を一切施していないホーン及びアンビルでは、連続打点試験において、打点数初期の接合強度に対して影響はないが、1万打点以下でアルミニウムの凝着が進み、接合時間が倍以上長くなりNGとなる。一方、突起部上面を除いて突起部斜面及び溝部にダイヤモンドライクカーボン膜を施したホーン及びアンビルでは、6万打点以上でも接合強度が確保できる。
【実施例2】
【0032】
実施例2では、ダイヤモンドライクカーボン膜の成膜方法を何種類か採用し、そのダイヤモンドライクカーボン膜の種類並びに膜厚を変えて、数種類のダイヤモンドライクカーボン膜を形成した(サンプルA〜D)。そして、得られたダイヤモンドライクカーボン膜の硬さ、摩擦係数を計測した。また、各サンプルA〜Dのホーン及びアンビルを使用して連続打点試験を行った。連続打点試験では、満足な接合強度が得られなくなり接合NGとなる打点数を寿命回数とした。その結果を表2に示す。
【表2】

【0033】
これらの結果から判るように、アークイオンプレーティング法によって膜厚0.5μmでta-CとしたサンプルAでは、6万回以上まで寿命が延びることがわかった。
【0034】
本実施の形態の超音波溶接装置で使用されるホーン及びアンビルのローレット面を加工する方法について、以下に説明する。
【0035】
一つ目のローレット面加工方法は、次の通りである。先ず、四角錐形状の突起先端を平坦面とした複数個の突起部8を縦横に配置したローレット面9の全体に、ダイヤモンドライクカーボン膜11を形成する。これにより、突起部上面8a、突起部斜面8b及び溝部10の全ての部位にダイヤモンドライクカーボン膜11が成膜される。次に、突起先端の平坦面を平面研削してこの平坦面上のダイヤモンドライクカーボン膜11を除去する。その結果、図2(C)で示すように、突起部上面8aにはダイヤモンドライクカーボン膜11が無く、突起部斜面8b及び溝部10にのみダイヤモンドライクカーボン膜11が形成されたローレット面9が得られる。
【0036】
二つ目のローレット面加工方法は、次の通りである。四角錐形状の突起先端を平坦面とした複数個の突起部8を縦横に配置した前記ローレット面9のうち、前記突起先端の平坦面をマスキングして前記ローレット面全体にダイヤモンドライクカーボン膜11を形成する。マスキングをすることで、突起部上面8aにはダイヤモンドライクカーボン膜11が成膜されない。次に、マスキングを剥がし、突起先端の平坦面を平面研削する。これにより、図2(C)で示すように、突起部上面8aにはダイヤモンドライクカーボン膜11が無く、突起部斜面8b及び溝部10にのみダイヤモンドライクカーボン膜11が形成されたローレット面9が得られる。
【0037】
二つ目のローレット面加工方法において、突起先端の平坦面を平面研削するに際しては、研削盤の砥石の番手を選ぶことで面粗度を粗くして摩擦係数を大きくする。これにより、突起部上面8aの摩擦係数は、突起部斜面8b及び溝部10の摩擦係数よりも大となる。
【0038】
本実施の形態の超音波溶接装置によれば、ホーン3又はアンビル2の一方又はその両方の突起部上面8aの摩擦係数が、突起部斜面8b及び突起部間の溝部10の摩擦係数より大であるので、ワーク(被接合材)5に対して滑り難くなり、超音波による振動エネルギーを接合面にロス無く与えることができる。それにより、接合部の位置ずれが防止され、ワーク5の接合強度を高めることができる。
【0039】
また、本実施の形態の超音波溶接装置によれば、突起部斜面8bにダイヤモンドライクカーボン膜11が形成されているので、突起部斜面8bの摩擦係数が下がり、通常突起部斜面8bの凹凸部を起点として生じる凝着を抑制することができる。その結果、超音波溶接の連続打点回数が延び、アンビル2及びホーン3の工具寿命を延ばすことができる。
【0040】
本実施の形態の超音波接合工具のローレット面加工方法によれば、ローレット面9の全体にダイヤモンドライクカーボン膜11を形成した後、突起先端の平坦面を平面研削してこの平坦面上のダイヤモンドライクカーボン膜11を除去しているので、平面研削によって簡単に突起先端の平坦面に成膜されたダイヤモンドライクカーボン膜11を取り除くことができ、また、平面研削時に番手の粗い砥石で研削すれば自ずと、突起部上面8aの摩擦係数を突起部斜面8b及び溝部10の摩擦係数よりも小さくすることができる。
【0041】
また、本実施の形態の超音波接合工具のローレット面加工方法によれば、ローレット面9のうち、突起先端の平坦面をマスキングして前記ローレット面全体にダイヤモンドライクカーボン膜11を形成した後、マスキングを剥がして突起先端の平坦面を平面研削しているので、マスキングにより突起先端の平坦面にはダイヤモンドライクカーボン膜11が成膜されず、その平坦面を平面研削することで、突起部上面8aにはダイヤモンドライクカーボン膜11が無く突起部斜面8b及び溝部10にダイヤモンドライクカーボン膜11が成膜されたローレット面9を簡単に製造することができる。
【0042】
尚、本実施の形態の突起部の先端は、四角錐形状としているが、本発明はこれに限定することなく、多角錐形状であれば全て含むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、凝着を起こし易い銅などを被接合材として超音波溶接するに適した超音波溶接装置に用いることができる。
【符号の説明】
【0044】
1…超音波溶接装置
2…アンビル
3…ホーン
5…ワーク(被接合材)
8…突起部
8a…突起部上面
8b…突起部斜面
9…ローレット面
10…溝部
11…ダイヤモンドライクカーボン膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被接合材を両側から超音波接合工具で挟み込んで加圧すると共に加圧方向と垂直方向に振動エネルギーを与えて被接合材を超音波溶接する超音波溶接装置において、
突起先端を平坦面とした複数個の突起部を縦横に配置したローレット面を有する超音波接合工具を、前記ローレット面を構成する前記突起部上面、突起部斜面、突起部間の溝部のうち、前記突起部上面の摩擦係数を、前記突起部斜面及び前記突起部間の溝部の摩擦係数より大くした構成とする
ことを特徴とする超音波溶接装置。
【請求項2】
請求項1記載の超音波溶接装置であって、
少なくとも前記突起部は、四角錐形状の突起先端を有し、前記突起部斜面に、ダイヤモンドライクカーボン膜が形成されていることを特徴とする超音波溶接装置。
【請求項3】
被接合材を両側から超音波接合工具で挟み込んで加圧すると共に加圧方向と垂直方向に振動エネルギーを与えて被接合材を超音波溶接する超音波溶接装置で使用される超音波接合工具のローレット面加工方法において、
突起先端を平坦面とした複数個の突起部を縦横に配置した前記ローレット面の全体に、ダイヤモンドライクカーボン膜を形成した後、前記突起先端の平坦面を平面研削してこの平坦面上のダイヤモンドライクカーボン膜を除去する
ことを特徴とする超音波溶接装置で使用される超音波接合工具のローレット面加工方法。
【請求項4】
被接合材を両側から超音波接合工具で挟み込んで加圧すると共に加圧方向と垂直方向に振動エネルギーを与えて被接合材を超音波溶接する超音波溶接装置で使用される超音波接合工具のローレット面加工方法において、
突起先端を平坦面とした複数個の突起部を縦横に配置した前記ローレット面のうち、前記突起先端の平坦面をマスキングして前記ローレット面全体にダイヤモンドライクカーボン膜を形成した後、前記マスキングを剥がして前記突起先端の平坦面を平面研削する
ことを特徴とする超音波溶接装置で使用される超音波接合工具のローレット面加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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