説明

超音波画像を処理するための対象付加利得ツール

超音波画像処理システムは、境界を有するオブジェクトを各々有する超音波画像フレームのシーケンスを受信し、超音波画像フレームが表示されるようにするための処理器(16)と、表示される超音波画像フレームの可変局在領域を指定するためのユーザ入力装置(20)とを有する。境界検出アルゴリズム(22)は、超音波画像フレームにおけるオブジェクトの境界を検出し、対象付加利得(TAG)ツール(24)は、画素強度をより一様にするように、不明瞭な又は存在しない境界セグメントを有する超音波画像フレームの少なくとも1つの局在領域において画素強度を選択的に調節する。より一様長沢強度は、境界検出アルゴリズム(22)によりオブジェクトの境界の認識を改善する。一旦、オブジェクトの境界が確認されると、オブジェクトは、吟味される又は数値化されることが可能である。オブジェクトが心臓の場合、LV容積が決定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、超音波画像を処理するための技術に関し、特に、吟味及び/又は数値化のために超音波画像におけるオブジェクトの境界の可視化を改善するための方法及びシステムに関する。特に、本発明は、人間の心臓の超音波画像が患者の心臓に関する医療情報を導き出すように心臓の境界を解析する目的で処理される超音波画像処理システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
左心室(LV)容積及び駆出率(EF)の正確な数値化は、臨床的管理及び心疾患の予後診断並びに治療法における連続的な調査追跡のために重要である。そのような数値化は、その数値化処理で用いられるアルゴリズム又は半自動境界検出ツールにより典型的に得られる心臓超音波画像におけるLV境界の正確な描写に依存する。
【0003】
しかしながら、心臓超音波画像は、LV心筋壁、LV心腔、肋骨の陰影からもたらされるエコードロップアウト及び組織を通る超音波の経路からの減衰、組織の標的に関する超音波ビームの準最適透過角度のような幾つかの特有の制約を有し、それらの制約の全ては、トランスデューサにおいて減少した受信信号をもたらす。それらの制約の正味の効果は、全体の視野に亘って均一に照明されない超音波画像である。均一な照明がないことは、境界検出アルゴリズムの適用時にLV境界を描写するときに問題になる。
【0004】
超音波画像における不均一な照明を補償するように、超音波画像処理システムは、通常、境界検出アルゴリズムの適用に先だって画像の分解能を改善するように試みるときにユーザが照明を調節することを可能にする時間利得補償(TGC)制御及び横方向利得補償(LGC)制御を有する。しかしながら、それらの制御を用いることにより、全てのフレームが利得補償を必要とするとは限らない場合であっても、動いている心臓の取得される超音波画像シーケンスのフレーム全てに対して適用される超音波受信器利得の一定の静的設定を必然的に伴う。利得補償を必要としないフレームに適用される利得は、画像品質に悪影響を及ぼす。
【0005】
更に、画像の隣接する領域における強度(それ故、追跡される境界)に影響することなく、TGC−LGC制御の組み合わせを用いて超音波画像の各々の特定の領域における強度を適切に制御することはできない。理想的には、必要なものは、境界検出アルゴリズムが境界を検出して、表示することを可能にするように、それ故、利得補償に基づいて取得画像シーケンスの連続フレーム全てにおいて境界を適切に追跡することを可能にするように、撮像シーケンスの1つの特定のフレームにおける減少した強度の局在領域に、ユーザが選択的に適用することができる、適応可能な利得補償スキームである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、超音波画像を処理するための新規な且つ改善された方法及びシステム並びにそれらを有する又は適用する超音波撮像システムを提供することである。
【0007】
本発明の他の目的は、超音波画像における不均一な照明のための補償がより一様な強度又は輝度を有する超音波画像を形成することを可能にする超音波画像処理ツールを提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、画像におけるオブジェクトの境界のより良好な検出及び表示を可能にするように、画像の局在領域に適用することができる超音波画像における適応可能な利得補償のための方法及びシステムを提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、減少した画素強度の局在領域においてユーザが選択的に適用することができる超音波画像処理に適用可能な、適応可能な利得補償のための方法及びシステムを提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、記憶されている画像データに基づいてオフラインか又は、超音波画像を同時に得る超音波撮像システムと共にオンラインのどちらかで用いることができる超音波画像処理システム及び方法を提供することである。
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の目的及び他の目的を達成するように、本発明にしたがった超音波画像処理システムは、オブジェクトを各々、有し、超音波画像フレームが表示されるようにする超音波画像フレームのシーケンスを受信するための処理器と、ディスプレイに示される超音波画像フレームの可変局所領域をデザインするために処理器に結合されているユーザ入力装置とを有する。処理器は、超音波画像フレームにおいてオブジェクトの境界を検出するための境界検出アルゴリズムと、不明確な又は存在しない境界セグメントを有する超音波画像フレームの少なくとも1つの局在領域における画素の強度を選択的に調節するための対象付加利得(TAG)ツールとを有する。TAGツールを用いることにより、画像フレームの画素強度をより一様にするように、画像フレームの局在領域における画素強度はアプリケーションに応じて調節され、増加される又は減少されることが可能である。より一様な画素強度は、境界検出アルゴリズムのアプリケーションにおいて得られるオブジェクトの境界の表示を改善する。一旦、オブジェクトの境界が十分に認識可能になると、オブジェクトは所望通りに吟味又は数値化されることができる。オブジェクトが心臓である場合、LV容積は数値化されることが可能である。
【0012】
一実施形態においては、TAGツールはシーケンスにおける1つの超音波画像フレームのみに適用され、その後、全体の境界が十分に明瞭になるまで、境界検出アルゴリズムが適用され、その場合、処理器は、最初の超音波画像フレームに対してなされた画素強度調節に基づいて、シーケンスにおける残りの超音波画像フレームを修正する。処理器はまた、残りの超音波画像フレームにおける強度調節を確実にするようにシーケンスにおける残りの超音波画像フレームを修正することによりオブジェクトの境界を取り囲むことができるとき、オブジェクトの境界を追跡することができる。このことは、動的オブジェクトについて特に重要である。
【0013】
ユーザ入力装置は、明瞭でない又は存在しない境界セグメントを有する各々の局在領域の指定を、例えば、それらの領域にカーソルを位置付けることにより可能にするように備えられたマウスであることが可能であり、それにより、TAGツールは、マウスにおけるボタンを押すときに各々の指定される局在領域における画素強度における調節を行うことができる。他のユーザ入力装置をまた、用いることが可能である。
【0014】
上記の画像処理システムを用いて、種々の画像処理方法を実行することが可能である。例示としての一方法は、超音波画像のシーケンスにおける最初の超音波画像フレームにおける明瞭でない又は存在しない境界セグメントを有する少なくとも1つの局在領域を指定することと、各々の指定された局在領域における画素強度をインクリメント調節し、次いで、最初の超音波画像フレームにおける境界セグメント全てが確認できるようになるまで、境界検出アルゴリズムを適用することと、最初の超音波画像フレームに対してなされた強度調節に基づいてそのシーケンスにおける残りの超音波画像フレームを修正することとを有する。残りの超音波画像フレームにおける強度調節を確実にするようにシーケンスにおける残りの超音波画像フレームを修正することによりオブジェクトの境界を取り囲むことができるとき、オブジェクトの境界を追跡することができる。
【0015】
各々の局在領域の指定は、境界セグメントが不明瞭な超音波画像フレームにおける点にカーソルを位置付けることを伴い、ユーザ入力装置は、その場合、カーソルの周囲の領域における画素強度においてインクリメント調節をもたらすように備えられることが可能である。ユーザ入力装置の各々の動作は、画素強度におけるインクリメント調節、例えば、画素強度の増加又は減少をもたらす。画素強度のインクリメント調節は、明瞭な境界を有する最初の超音波画像フレームの1つ又はそれ以上の領域の寄与度及び不明瞭な又は非存在の境界を有する1つ又はそれ以上の領域の寄与度の比較から決定されることが可能である。ユーザは、画素強度における調節が適用されるようになっているカーソルの周りの領域のパラメータ、例えば、その領域の大きさ及び形状を決定することができる。
【0016】
本発明については、更なる目的及び有利点と共に、添付図に関連付けた下記の詳細説明により十分に理解することができ、添付図において、同様な参照番号は同様な要素を表している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1を参照するに、本発明にしたがった超音波撮像システムは、一般に、参照番号10として示され、境界が情報を与える及び/又は吟味されるオブジェクトから超音波を受信する超音波トランスデューサ12と、画像を調節することができ、表示装置18において調節された画像を表示することができる処理器とを有する。例えば、キーボード及びマウス等の1つ又はそれ以上の入力装置20は、表示装置18における画像の調節及び表示並びに超音波トランスデューサ12の動作パラメータを制御する処理機16に接続されている。超音波撮像システム10はまた、超音波トランスデューサ12による超音波の受信のために必要な、当業者に既知の他の構成要素を有することが可能である。超音波が取得され、その超音波から形成される画像が本発明及び超音波撮像システムの何れに対して重要でないような方式が、超音波を取得する及び超音波画像を形成するように用いられることが可能である。
【0018】
処理器16は、本発明を実施するソフトウェア、特に、境界検出を実行する境界検出アルゴリズム22と、画像形成器14により形成される超音波画像のフレームの局在領域における画素の強度をユーザが選択的に調節することができる対象付加利得(TAG)ツールとを有する。TAGツールの使用は、好適には、ユーザ入力装置20により可能にされる。
【0019】
本発明にしたがった超音波画像を処理するための例示としての方法について、以下、詳述する。
【0020】
最初に、例えば、LV容積を有する人間の心臓を調べるために探索される又は情報が探索される境界を有するオブジェクトを有する超音波画像フレームのシーケンス又はシリーズが形成される。画像フレームは、超音波トランスデューサ12により取得された超音波から画像形成器14により形成される。本発明の一部の実施形態においては、画像形成器14は、処理器16又はハウジング、例えば、マイクロコンピュータのハウジングに近接して位置付けられ、処理器16は、画像形成器14により直前に形成された画像を処理することができる。例えば、画像形成器14は、処理器16を収容するマイクロコンピュータと同じ空間に位置付けられることが可能であり、ケーブルを介して接続されることが可能であり、画像形成器14及び処理器16は、共通のハウジング内に、即ち、オンライン式の配列で位置付けられることが可能である。代替として、オフライン配列で、画像形成器14及び処理器16を収容するマイクロコンピュータは、互いから離れて、例えば、別個の空間に位置付けられ、処理器16にネットワークにおいて送信される画像形成器14からの画像データを伴ってネットワークを介して共に接続されることが可能である。画像データは、ネットワークにおいて、例えば、メモリ装置に記憶されることができ、それ故、後の時間に画像の処理を開始することが所望されるとき、検査において形成された画像フレームは、処理器16によりその画像処理を開始するようにメモリ装置から取り出される。画像データを記憶するためのメモリ装置を有するネットワークに代えて、検査において得られた画像データを後の時間に処理されることを可能にするように画像データを記憶するための何れのメモリ装置を用いることが可能であり、例えば、画像形成器14及び処理器16の両方と結合することが可能である取り外し可能なメモリ装置を備えることが可能である。オフライン構成においては、本発明にしたがった画像処理システムは、処理器16と、ディスプレイ18と、ユーザ入力装置20とを有するが、超音波トランスデューサ12及び画像形成器14を有さず、何れかの記憶される画像データの入力のときに機能する。
【0021】
境界検出アルゴリズム22は、その場合、表示装置18に表示される結果として得られる処理画像によりオブジェクトの境界を検出するように超音波画像フレームに適用される。境界検出アルゴリズム22は、画像フレームの部分全てに適用されることが可能であり、又は、代替として、オブジェクトを有する対象領域(ROI)28は、ROI28のみに適用される境界検出アルゴリズム22及びユーザ入力装置により最初の画像フレームに境界を定められることが可能である。このことについては、図2において理解することができ、図2において、ROI28は、人間の心臓のLV容積が境界検出アルゴリズム22の適用後(及びTAGツール24の適用前)に示される境界が定められた円である。
【0022】
境界検出アルゴリズム22の適用後、ディスプレイ18に表示される画像は、オブジェクトの境界のセグメント全てが明瞭に表示されるかどうかを確認するように吟味される。それが肯定的な場合、オブジェクトの境界は、その境界及び付加処理について得られた画像フレームのシーケンスから情報を得るように吟味される又は数値化されることが可能である。画像処理を有効にする複数の制御について、図2における制御領域として示されている。
【0023】
例えば、異常な画像品質のために、1つ又はそれ以上の境界セグメントが表示されていない又は十分に明瞭でないとき、TAGツール24が適用される。TAGツール24を適用することにより、ユーザは、シーケンスの1つの特定の画像フレーム、典型的には、シーケンスの最初の画像フレームにおける減少した強度の局在領域において適応利得補償を選択的に適用することが可能であり、境界検出アルゴリズム22はそれにおいて境界を検出して表示することが可能である。その後、そのシーケンスにおける残りの画像フレームの強度が修正され、オブジェクトの境界は、最初の画像フレームにユーザにより適用される利得補償(画素強度調節)に基づいて、残りの画像フレームにおいて探索される。そのような探索は、オブジェクトが動的であるときに必要であり、そのことは、心臓の超音波検査を実行しているときに然りである。超音波画像フレームのシーケンスの解析は、その場合、画像フレームの強度がオブジェクトの境界の追跡と関連して修正された後に、実行される。
【0024】
例えば、人間の心臓の画像フレームのシーケンスが、LV容積を数値化するようにLV境界を決定する目的のために得られるとき、最初の画像フレームにおいてユーザにより与えられる修正された強度変化は、例えば、予め選択された最適な探索領域を伴う相互相関技術を用いることにより、そのシーケンスの後続のフレーム全てにおけるLV心筋のそれぞれの局在領域における組織境界を追跡するための種としての役割を果たす。本発明においてはまた、境界を追跡するための他の技術を適用することが可能である。
【0025】
TAGツール24のアプリケーションにおける第1ステップは、シーケンスの1つの画像フレーム、通常は、最初の画像フレームを表示することである。撮像されるオブジェクトが心臓である場合、ユーザにより修正されるようになっている最初の画像フレームは、好適には、最初の拡張末期(ED)フレームである。境界セグメントが表示されない又は十分に明瞭でない最初の画像フレームにおける領域が指定され(境界セグメントを有しない図2において指定されているROI28についての左上象限における領域を参照されたい)、画像の指定領域の画像における画素の強度におけるインクリメント調節、即ち、この場合には、画素強度の増加が有効である。画素強度を増加させるべき領域の指定は、その領域にカーソルを位置付けるようにユーザ入力装置20を操作することにより達成されることが可能である。TAGツール24を動作させることを目的として、ユーザ入力装置20は、好適には、マウスである。マウスが動かされるとき、表示におけるクロスバーカーソルが移動され、境界セグメントの予想位置又はその領域の中央に位置付けられることが可能である。画素強度の増加は、その場合、マウスにおけるボタンを動かす、即ち、マウスを右クリックすることにより有効であり、それ故、カーソルの周りの小さい隣合う領域の画素の強度又は輝度が増加する。このような局在領域の増加が有効な領域の大きさ及び/又は形状はユーザ設定可能である。
【0026】
指定領域における画素の強度の各々のインクリメント増加の後、境界検出アルゴリズム22が適用され、その領域における境界セグメントが適切に表示されているかどうかの判定が行われる。これは、典型的には、画素の増加した強度が境界検出アルゴリズム22の強度閾値を上回り、それにより、その領域における境界セグメントの表示がもたらされるときに起こる。境界が不明瞭のまま残っている場合、増加する強度が境界検出アルゴリズム22の強度閾値を上回り、それにより、その領域において適切に表示される境界セグメントが得られるまで、強度は再び、インクリメント増加される(ユーザ入力装置を動作させることにより)。
【0027】
ユーザ入力装置20の各々の動作により与えられる強度変化量は、境界セグメントを表示する領域の画像統計値又は寄与度(例えば、ヒストグラム)とドロップアウトが示された画像統計値又は寄与度の比較により決定されることが可能であり、必要な画像増加についての適切なスケーリングファクタが決定される。代替として、インクリメント画素強度増加は、テクスチャ解析又は基本的画像解析で用いられる他の既知の技術から決定されることが可能である。一旦、指定された領域において境界セグメントがユーザの満足のいくように確認できると、不明瞭な境界セグメントを伴う何れかの付加領域が存在するかどうかについての判定が行われる。それが肯定的な場合、それらの付加領域の位置が指定され、この指定された領域における画素の強度が、境界検出アルゴリズム22の強度閾値を超えて、その境界セグメントが明瞭に表示されるまで、インクリメント増加される。不明瞭な境界セグメントを有する領域がもはや存在しないとき、TAGツール24の適用は終了され、オブジェクトを規定する連続的境界が、それ故、表示される(図3を参照されたい)。
【0028】
上記の例示としての方法においては、境界検出アルゴリズム22が、TAGツール24を適用される前に、適用される。しかしながら、境界検出アルゴリズム22の何れの適用の前に、TAGツールを適用することはまた、有効である。この場合、TAGツール24は、超音波画像におけるオブジェクトの境界の不明瞭なセグメントが存在することが明らかなときに適用される。
【0029】
上記のTAGツール24が、従来のTGC/LGC補償制御に代えて用いられることが可能である。代替として、それは、TGC/LGC制御により画像強度を変化させる試みが失敗した後、境界検出処理を支援するように用いられることが可能である。この場合、処理器16は、選択的利得補償のためにTAGツール24を適用することと、超音波画像フレームにおける画素全てに適用される非選択的利得補償を可能にすることの両方ができる。
【0030】
上記の方法は、二次元超音波画像を処理するために特に適切であるが、三次元及び四次元画像はまた、同じ技術を用いて、即ち、上記のTAGツール24により処理されることが可能である。
【0031】
TAGツール24の更なる使用には、画像吟味及び/又は画像数値化のために変換された画像データをプレスキャン及びポストスキャンの両方を行うアプリケーションが含まれる。更に、TAGツール24は上記のように手動で適用されることが可能であり、ユーザは、TAGツール24が自動的に、即ち、コンピュータの支援により、適用される不明瞭な境界セグメントを有する領域を指定する必要がある。後者の場合、処理器16は、オブジェクトの周りの境界を追跡するようにデザインされることが可能であり、境界が不連続の場合であっても、処理器16は、連続的境界が表れるまで、TAGツール24を自動的に適用する。
【0032】
その方法における他の変形は、上記のような強度の増加に代えて、指定された領域における画素の強度をインクリメント減少すること、即ち、画像強度を減算することを有する。種々の画像処理カーネルが、この効果を達成するように適用されることが可能である。また、TAGツール24は、画像のオブジェクトの境界を追跡するように同じ画像の複数の領域に適用されることが可能である。
【0033】
本発明の例示としての実施形態について、添付図を参照して説明したが、本発明はまさにそれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲又は主旨から逸脱することなく、当業者は多くの他の変形及び修正を有効に行うことが可能であることを理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明にしたがった超音波画像生成及び処理のためのシステムの模式図である。
【図2】本発明にしたがった方法の適用前の人間の心臓の左心室の短軸方向ビューの超音波画像の模式図である。
【図3】本発明にしたがった方法の適用後の人間の心臓の左心室の短軸方向ビューの超音波画像の模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波画像を表示するためのディスプレイ;
境界を有するオブジェクトを各々有する超音波画像フレームのシーケンスを受信し、前記超音波画像フレームが前記ディスプレイに表示されるようにするための処理器;及び
前記ディスプレイに示される前記超音波画像フレームの可変領域を指定するために前記処理器に結合されているユーザ入力装置;
を有する超音波画像処理システムであって、
前記処理器は、前記超音波画像フレームにおいて前記オブジェクトの境界を決定するための境界検出アルゴリズムと、不明瞭な境界セグメントを有する前記超音波画像フレームの少なくとも1つの局在領域において画素の強度を選択的に調節するための対象付加利得(TAG)ツールとを有する;
超音波画像処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波画像処理システムであって、最初の超音波画像フレームが前記ディスプレイに示され、前記TAGツールが前記ユーザ入力装置の動作の下で各々の指定された局所領域の画素強度における調節を有効にするように備えられているとき、前記ユーザ入力装置は、前記の超音波画像フレームのシーケンスの前記最初の超音波画像フレームにおける不明瞭な又は存在しない境界セグメントを有する少なくとも1つの局在領域の指定を可能にするように備えられている、超音波画像処理システム。
【請求項3】
請求項2に記載の超音波画像処理システムであって、前記ユーザ入力装置は少なくとも1つの動作可能ボタンを有するマウスであり、前記処理器は、前記マウスの位置に基づいて前記最初の超音波画像フレームにおいてカーソルを位置付けるように備えられ、前記TAGツールは、前記少なくとも1つのボタンの動作の下で前記カーソルの周りの領域の画素強度における前記調節をもたらすように備えられている、超音波画像処理システム。
【請求項4】
請求項2に記載の超音波画像処理システムであって、前記処理器は、前記TAGツールによりもたらされる画素強度における前記調節の下で前記境界検出アルゴリズムを適用し、前記最初の超音波画像フレームに対して行われる前記の画素強度の調節に基づいて前記シーケンスにおける残りの超音波画像フレームを修正する、超音波画像処理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の超音波画像処理システムであって、前記残りの超音波画像フレームにおいて強度調節を確実にするように前記シーケンスにおける前記残りの超音波画像フレームを修正することにより前記オブジェクトの前記境界を網羅するとき、前記処理器は、前記オブジェクトの前記境界を追跡するように備えられている、超音波画像処理システム。
【請求項6】
請求項1に記載の超音波画像処理システムであって、前記TAGツールは、前記少なくとも1つの局在領域における前記画素の強度を増加させるように備えられている、超音波画像処理システム。
【請求項7】
請求項1に記載の超音波画像処理システムであって、前記TAGツールは、前記少なくとも1つの局在領域における前記画素の強度を減少させるように備えられている、超音波画像処理システム。
【請求項8】
境界を有するオブジェクトから超音波を受信するための超音波トランスデューサ;
前記受信された超音波から画像を形成するために前記超音波トランスデューサに結合されている画像形成器;
請求項1に記載の前記超音波画像処理システムであって、前記処理器は前記画像形成器から前記超音波画像フレームを受信する、超音波画像処理システム;
を有する超音波撮像システム。
【請求項9】
少なくとも1つの不明瞭な又は存在しない境界セグメントを有するオブジェクトを有する超音波画像フレームのシーケンスを処理するための方法であって:
前記の超音波画像のシーケンスの最初の超音波画像フレームにおける不明瞭な又は存在しない境界セグメントを有する少なくとも1つの局在領域を指定する段階;
前記最初の超音波画像フレームにおける境界セグメント全てが確認できるまで、各々の指定された局在領域において画素強度をインクリメント調節し、次いで、境界検出アルゴリズムを適用する段階;
前記最初の超音波画像フレームに対して行われた強度調節に基づいて前記シーケンスにおける残りの超音波画像フレームを修正する段階;
を有する方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記オブジェクトは人間の体の器官であり、該器官の境界が解析される、方法。
【請求項11】
請求項9に記載の方法であって、前記残りの超音波画像フレームにおいて強度調節を確実にするように前記シーケンスにおける前記残りの超音波画像フレームを修正することにより前記オブジェクトの前記境界を網羅するとき、前記オブジェクトの前記境界を追跡する段階を更に有する、方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、前記最初の超音波画像フレームにおける何れかの局在領域の前記指定に先だって前記境界検出アルゴリズムを適用する段階を更に有する、方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法であって、前記の各々の局在領域を指定する段階は、前記境界セグメントが不明瞭な又は存在しない前記超音波画像フレームにおける点においてカーソルを位置付ける段階を有し、前記の画像強度をインクリメント調節する段階は、前記カーソルの周りの領域の画素強度におけるインクリメント調節をもたらすようにユーザ入力装置を動作させる段階であって、前記ユーザ入力装置の各々の動作は画素強度におけるインクリメント調節をもたらす、段階を有する、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、画素強度における調節が適用されるようになっている前記カーソルの周りの領域のパラメータをユーザが決定するようにする段階を更に有する、方法。
【請求項15】
請求項9に記載の方法であって、明瞭な境界を有する前記最初の超音波画像フレームの領域の寄与度と、不明瞭な又は存在しない境界を有する領域の寄与度とを比較して、画素強度におけるインクリメント調節を決定する段階を更に有する、方法。
【請求項16】
請求項9に記載の方法であって、前記の超音波画像フレームのシーケンスはプレスキャン変換画像データである、方法。
【請求項17】
請求項9に記載の方法であって、前記オブジェクトは、左心室の境界が解析される人間の心臓である、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、心臓サイクルの最初の拡張末期フレームとして前記最初の超音波画像フレームを選択する段階を更に有する、方法。
【請求項19】
請求項9に記載の方法であって、前記の画素強度の調節は画素強度の増加である、方法。
【請求項20】
請求項9に記載の方法であって、前記の画素強度の調節は画素強度の増加である、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−538720(P2008−538720A)
【公表日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−508365(P2008−508365)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際出願番号】PCT/IB2006/051225
【国際公開番号】WO2006/114734
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】