説明

超音波診断装置及びプログラム

【課題】操作性を向上させつつ、処理負荷を軽減することができる超音波診断装置及びプログラムを提供する。
【解決手段】制御部18は、フレームの異なる複数の画像データから画像の変位量を測定する。そして、制御部18は、測定結果、変位量が所定量以下であるときに画像データの輝度調整を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多数の振動子(トランスデューサ)を配列して備える振動探触子(プローブ)を有し、生体等の被検体に対して超音波の送受信を行い、受信した超音波から得られたデータに基づいてBモード(Brightness Mode)による超音波画像データをフレーム毎に生成し、これに基づいて超音波画像を画像表示装置に表示する超音波診断装置が知られている。また、このような超音波診断装置は、表示される超音波画像を医師や技師等のユーザによって容易に理解できるように画像調整を行うのが一般的である。
【0003】
そして、このような超音波診断装置において、画像の視認性をよくするためにヒストグラム情報を作成してメディアン値を特定し、メディアン値を基準値に一致させるようにゲインの自動調整を行うものがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−146446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の超音波診断装置では、ユーザの調整操作が不要であるため、プローブの操作に集中させることができ、操作性の向上が図られるものであるが、常にゲイン調整を行うものであるため、処理負荷が大きく、フレームレートの低下の要因となっている。
【0006】
本発明の課題は、操作性を向上させつつ、処理負荷を軽減することができる超音波診断装置及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、超音波診断装置において、
駆動信号によって被検体に向けて送信超音波を出力するとともに、被検体からの反射超音波を受信することにより受信信号を出力する振動子を有する超音波探触子と、
前記振動子から出力された受信信号に基づいてフレーム毎の前記被検体内の画像データを生成する画像処理部と、
前記画像処理部によって生成された画像データに基づいて超音波診断画像の表示を行う表示部と、
フレームの異なる複数の画像データから画像の変位量を測定し、該測定結果、変位量が所定量以下であるときに前記画像データの輝度調整を開始する制御部と、
を備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の超音波診断装置において、
前記制御部は、前記フレームの異なる複数の画像データとの間の動きを表す動きベクトルを生成し、該生成した動きベクトルに基づいて画像の変位量の測定結果を得ることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の超音波診断装置において、
前記制御部は、前記輝度調整を開始した後、該輝度調整を継続して実施するとともに、該輝度調整の継続実施中においても画像の変位量の測定を行い、該測定結果、変位量が前記所定量以下でなくなったときに継続実施中の輝度調整を中止することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の超音波診断装置において、
前記制御部は、前記画像処理部によって生成された画像データの輝度分布を測定し、該測定結果に基づいてダイナミックレンジの範囲を設定することにより前記画像データの輝度調整を実施することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の超音波診断装置において、
前記制御部は、前記画像処理部によって生成された画像データにおける各画素の輝度値を入力として、出力値を得るガンマ補正を行うことにより前記画像データの輝度調整を実施することを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の超音波診断装置において、
前記画像データの輝度調整が完了したときにその旨を報知する報知部を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載の超音波診断装置において、
前記制御部は、画像の変位量の測定結果、前記被検体と前記超音波探触子とが相対的に5cm/s以下の変位量であるときに前記画像データの輝度調整を開始することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、プログラムであって、
駆動信号によって被検体に向けて送信超音波を出力するとともに、被検体からの反射超音波を受信することにより受信信号を出力する振動子を備える超音波探触子を有する超音波診断装置に設けられたコンピュータに、
前記振動子から出力された受信信号に基づいてフレーム毎の前記被検体内の画像データを生成する画像処理手段、
前記画像処理手段によって生成された画像データに基づいて表示部に超音波診断画像の表示を行わせる表示手段、
フレームの異なる複数の画像データから画像の変位量を測定し、該測定結果、変位量が所定量以下であるときに前記画像データの輝度調整を開始する制御手段として機能させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、操作性を向上させつつ、処理負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態における超音波診断装置の外観構成を示す図である。
【図2】超音波診断装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】画像変位量測定処理について説明するフローチャートである。
【図4】動きベクトルの計測について説明する図である。
【図5】画像調整処理について説明するフローチャートである。
【図6】ヒストグラムの分析について説明する図である。
【図7】ガンマテーブルについて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態に係る超音波診断装置について、図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有するものについては、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0018】
本発明の実施の形態に係る超音波診断装置Sは、図1及び図2に示すように、図示しない生体等の被検体に対して超音波(送信超音波)を送信するとともに、この被検体で反射した超音波の反射波(反射超音波:エコー)を受信する超音波探触子2と、超音波探触子2とケーブル3を介して接続され、超音波探触子2に電気信号の駆動信号を送信することによって超音波探触子2に被検体に対して送信超音波を送信させるとともに、超音波探触子2にて受信された被検体内からの反射超音波に応じて超音波探触子2で生成された電気信号である受信信号に基づいて被検体内の内部状態を超音波画像として画像化する超音波診断装置本体1とを備えて構成している。
【0019】
超音波探触子2は、圧電素子からなる振動子2aを備えており、この振動子2aは、例えば、方位方向(走査方向あるいは上下方向)に一次元アレイ状に複数配列されている。本実施の形態では、n個(例えば、192個)の振動子2aを備えた超音波探触子2を用いている。なお、振動子2aは、二次元アレイ状に配列されたものであってもよい。また、振動子2aの個数は、任意に設定することができる。また、本実施の形態では、超音波探触子2について、リニア電子スキャンプローブを採用したが、電子走査方式あるいは機械走査方式の何れを採用してもよく、また、リニア走査方式、セクタ走査方式あるいはコンベックス走査方式の何れの方式を採用することもできる。
【0020】
超音波診断装置本体1は、例えば、図2に示すように、操作入力部11と、送信部12と、受信部13と、画像生成部14と、メモリ部15と、DSC(Digital Scan Converter)16と、表示部17と、制御部18とを備えて構成されている。
【0021】
操作入力部11は、例えば、診断開始を指示するコマンドや被検体の個人情報等のデータの入力などを行うための各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボード等を備えており、操作信号を制御部18に出力する。
【0022】
送信部12は、制御部18の制御に従って、超音波探触子2にケーブル3を介して電気信号である駆動信号を供給して超音波探触子2に送信超音波を発生させる回路である。また、送信部12は、例えば、クロック発生回路、遅延回路、パルス発生回路を備えている。クロック発生回路は、駆動信号の送信タイミングや送信周波数を決定するクロック信号を発生させる回路である。遅延回路は、駆動信号の送信タイミングを振動子2a毎に対応した個別経路毎に遅延時間を設定し、設定された遅延時間だけ駆動信号の送信を遅延させて送信超音波によって構成される送信ビームの集束を行うための回路である。パルス発生回路は、所定の周期で駆動信号としてのパルス信号を発生させるための回路である。
【0023】
受信部13は、制御部18の制御に従って、超音波探触子2からケーブル3を介して電気信号である受信信号を受信する回路である。受信部13は、例えば、増幅器、A/D変換回路、整相加算回路を備えている。増幅器は、受信信号を、振動子2a毎に対応した個別経路毎に、予め設定された所定の増幅率で増幅させるための回路である。A/D変換回路は、増幅された受信信号をA/D変換するための回路である。整相加算回路は、A/D変換された受信信号に対して、振動子2a毎に対応した個別経路毎に遅延時間を与えて時相を整え、これらを加算(整相加算)して音線データを生成するための回路である。
【0024】
画像生成部14は、受信部13からの音線データに対して包絡線検波処理、対数増幅及びゲイン調整を実施する。そして、画像生成部14は、後述するようにして設定されたダイナミックレンジに従って音線データの示す受信信号の強さを輝度値に変換してBモード画像データを生成する。すなわち、設定されたダイナミックレンジを0〜255の輝度値に割り当て、これに従って受信信号の強さを輝度値に変換する。このようにして生成されたBモード画像データは、メモリ部15に送信される。
【0025】
メモリ部15は、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの半導体メモリによって構成されており、画像生成部14から送信されたBモード画像データをフレーム単位で記憶する。すなわち、フレーム画像データとして記憶することができる。そして、記憶されたフレーム画像データは、制御部18の制御に従って、DSC16に送信される。
また、本実施の形態では、後述する画像の変位量(動き量)の測定を行うため、メモリ部15に、1フレーム前の画像データをさらに記憶している。
【0026】
DSC16は、メモリ部15より受信したフレーム画像データをテレビジョン信号の走査方式による画像信号に変換し、表示部17に出力する。
【0027】
表示部17は、LCD(Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode-Ray Tube)ディスプレイ、有機EL(Electronic Luminescence)ディスプレイ、無機ELティスプレイ及びプラズマディスプレイ等の表示装置が適用可能である。表示部17は、DSC16から出力された画像信号に従って表示画面上に画像の表示を行う。なお、表示装置に代えてプリンタ等の印刷装置等を適用してもよい。
【0028】
制御部18は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を備えて構成され、ROMに記憶されているシステムプログラム等の各種処理プログラムを読み出してRAMに展開し、展開したプログラムに従って超音波診断装置Sの各部の動作を集中制御する。
ROMは、半導体等の不揮発メモリ等により構成され、超音波診断装置Sに対応するシステムプログラム及び該システムプログラム上で実行可能な、例えば、後述する、画像変位量測定処理や画像調整処理等を実行する各種処理プログラムや、ガンマテーブル等の各種データ等を記憶する。これらのプログラムは、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形態で格納され、CPUは、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
RAMは、CPUにより実行される各種プログラム及びこれらプログラムに係るデータを一時的に記憶するワークエリアを形成する。本実施の形態において、RAMには、後述する、所定時間における被検体と超音波探触子2との相対的変位量の総和を示す総移動量情報が記憶されている。
【0029】
次に、以上のようにして構成された超音波診断装置Sにおいて実行される画像変位量測定処理について図3を参照しながら説明する。この画像変位量測定処理は、例えば、1フレームの画像データが生成される毎に実行される処理である。また、この画像変位量測定処理は、後述するダイナミックレンジの設定やガンマ補正などの画像調整が実施されているか否かに拘わらず実行される。ここで、画像変位量とは、例えば、超音波探触子2の移動操作、被検体の移動及び被検体内の診断部位自体の動作といった内部状態の変化等により、表示される画像に位置変化が生じた場合において、その変化量を示す情報である。なお、この画像変位量測定処理を、ハードウエア構成によって実現するようにしてもよい。
【0030】
先ず、制御部18は、メモリ部15より1フレーム前のフレーム画像データを読み出す(ステップS101)。
そして、制御部18は、読みだした1フレーム前のフレーム画像データにおける動きベクトル計測領域の設定を行う(ステップS102)。この計測領域の設定は、例えば、診断部位により予め定められた領域とする。なお、設定する計測領域は1か所であっても、複数個所であっても何れでもよい。また、フレーム画像データを均等の面積に分割し、それぞれの領域を計測領域に設定するようにしてもよい。
【0031】
次に、制御部18は、メモリ部15より最新のフレームのフレーム画像データを読み出す(ステップS103)。
そして、制御部18は、読みだした最新のフレームのフレーム画像データにおける探索領域を設定する(ステップS104)。この探索領域の大きさは、診断部位の動く速度とフレームレートなどを考慮して適宜設定することができる。
【0032】
そして、制御部18は、設定された計測領域及び探索領域に対して帯域制限フィルタ処理を行い、ノイズの平滑を行う(ステップS105)。
【0033】
そして、制御部18は、計測領域を探索領域上において走査させ、計測領域における画像データと最も整合のとれる位置を相互相関演算や最小二条法などによって探索し、両画像間に生じた動きベクトルを計測する(ステップS106)。例えば、図4を参照して説明すると、制御部18は、設定された計測領域Mを、最新のフレームのフレーム画像データFにおける探索領域SE上を走査しながら、最も整合のとれる位置を探索し、その結果、整合位置Cが最も整合のとれる位置と判定する。そして、制御部18は、1フレーム前のフレーム画像データにおける計測領域Mの位置が図4に示す位置である場合には、その位置と整合位置Cとのずれ量Vを動きベクトルとして計測する。なお、動きベクトルの計測方法は上述したものに限定されず、公知の様々な方法が適用できる。また、他の方法によって画像の変化量を測定するようにしてもよく、例えば、輝度値の分布を示すヒストグラムを分析して画像の変化量を測定してもよい。また、画像に対して2次元FFT(Fast Fourier Transform)を行い、これに基づいて得られる空間周波数の振幅や位相の変化により変化量を測定するようにしてもよい。また、隣り合った画素によって2次元ベクトルを構成し、その分布を分析して画像の変化量を測定するようにしてもよい。また、本実施の形態では、画像の変化量の他、画像の変化方向についても特定可能な動きベクトルの測定により計測領域Mと整合位置Cとのずれ量Vの計測を行ったが、画像の変化量のみ特定できる測定方法を適用してもよい。
【0034】
次に、制御部18は、計測された動きベクトルから移動量を算出する(ステップS107)。具体的には、例えば、x軸とy軸のそれぞれの変位量から三角関数によって距離成分を算出し、その算出された距離成分に対して所定の演算を行うことによって被検体と超音波探触子2との相対的変位量(移動量)を求める。なお、計測領域が複数個所である場合には、各計測領域の移動量の平均を算出することにより移動量を算出することができる。
【0035】
そして、制御部18は、RAMに記憶されている総移動量情報に対し、ステップS107によって算出された移動量を加算する(ステップS108)。
【0036】
そして、制御部18は、後述する動き判定処理を行ってから1秒が経過したか否かを判定する(ステップS109)。制御部18は、動き判定処理を行ってから1秒が経過したと判定したときは(ステップS109:Y)、RAMに記憶された総移動量情報の示す総移動量が5cm以下であるか否かを判定する(ステップS110)。一方、制御部18は、動き判定処理を行ってから1秒が経過したと判定しないときは(ステップS109:N)、この処理を終了する。
【0037】
制御部18は、ステップS110において、総移動量が5cm以下であると判定したとき、すなわち、移動量が5cm/s以下である場合には(ステップS110:Y)、RAMに記憶された画像調整実施フラグをONにする(ステップS111)。これにより、後述する画像調整処理が実行されると、ダイナミックレンジの設定及びガンマ補正が開始されることとなる。一方、制御部18は、総移動量が5cm以下であると判定しないとき、すなわち、移動量が5cm/sを超えると判定したときは(ステップS110:N)、被検体あるいは超音波探触子2が動いたとして、RAMに記憶された画像調整実施フラグをOFFにする(ステップS112)。なお、本実施の形態において、移動量が5cm/sを超えたときに被検体あるいは超音波探触子2が動いたと判定するようにしたが、例えば、診断部位や超音波診断装置Sの特性等に応じ、動いたと判定する移動量を適宜設定してもよい。例えば、血流の測定等を考慮して、1〜15cm/sの範囲で移動量を設定すると好ましく、本実施の形態のように、5cm/sとするとより好ましい。
【0038】
そして、制御部18は、総移動量情報の示す総移動量を「0」にリセットした後(ステップS113)、この処理を終了する。
【0039】
次に、画像調整処理について図5を参照しながら説明する。この画像調整処理は、例えば、1フレームの画像データが生成される毎に実行される処理である。
【0040】
先ず、制御部18は、RAMに記憶された画像調整実施フラグがONを示しているか否かを判定する(ステップS201)。制御部18は、画像調整実施フラグがONを示していると判定したときは(ステップS201:Y)、メモリ部15に記憶された最新フレームのフレーム画像データから各画素の輝度値の分布を測定してヒストグラムの作成を行う(ステップS202)。
【0041】
そして、制御部18は、作成したヒストグラムを分析し、この分析結果に基づくダイナミックレンジの設定を行う(ステップS203)。具体的には、制御部18は、例えば、ステップS202を実行することによって、図6に示されるようなヒストグラムが作成されると、m以上の画素数によって構成される最小の輝度値aと最大の輝度値bとを特定する。そして、制御部18は、輝度値a及び輝度値bの輝度差分A及び平均輝度Bを算出し、これに基づいて、輝度分布の範囲及び予め定められた目標の平均輝度との関係を分析する。そして、制御部18は、分析結果に応じて、ダイナミックレンジの設定を行う。例えば、制御部18は、算出された平均輝度Bが目標の平均輝度よりも低い場合には、ゲインを上げるようにダイナミックレンジを設定し、反対に、算出された平均輝度Bが目標の平均輝度よりも高い場合には、ゲインを下げるようにダイナミックレンジを設定する。また、制御部18は、輝度分布の範囲が狭小であるほど、ダイナミックレンジを狭小にして、コントラストを明確にして視認性を向上させるようにし、反対に、輝度分布の範囲が広範であるほど、ダイナミックレンジを広範にして、超音波診断画像を細部まで詳細に表示させるようにする。なお、ヒストグラムの分析結果に対するダイナミックレンジの設定内容については、ROM等に予め記憶されたものであってもよいし、ユーザにより適宜変更できるものであってもよい。
【0042】
次に、制御部18は、メモリ部15に記憶されたフレーム画像データの各画素の輝度値に対し、ROMに記憶されたガンマテーブルに従ってガンマ補正を行う(ステップS204)。具体的には、例えば、図7に示すようなガンマ特性を示すガンマテーブルがROMに記憶されており、制御部18は、メモリ部15に記憶された最新フレームのフレーム画像データを構成する各画素の輝度値を入力値とし、入力値に対応する出力値をガンマテーブルに従って求める。そして、制御部18は、このようにして得られた出力値を補正後の輝度値とし、メモリ部15に記憶されたフレーム画像データの輝度値を補正後の輝度値に更新する。なお、ガンマテーブルを複数種類備え、診断部位やユーザの設定により適宜選択できるように構成してもよい。
【0043】
次に、制御部18は、画像調整が完了した旨の表示を表示部17に表示させた後(ステップS205)、この処理を終了する。ユーザは、この表示を見ることにより、画像調整が完了したことを認識することができる。なお、このとき、調整後の超音波画像がユーザの所望する調整結果でなかった場合を考慮して、操作入力部11を操作してさらに具体的な調整が可能である旨の表示を併せて行い、操作入力部11による操作に応じてステップS203及びステップS204において行われた調整結果に対してさらに調整を実施可能としてもよい。
【0044】
一方、制御部18は、ステップS201において、画像調整実施フラグがONを示していると判定しないとき、すなわち、画像調整実施フラグがOFFを示しているときは(ステップS201:N)、上述したダイナミックレンジの設定やガンマ補正を行うことなく、この処理を終了する。
【0045】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、超音波探触子2は、駆動信号によって被検体に向けて送信超音波を出力するとともに、被検体からの反射超音波を受信することにより受信信号を出力する振動子2aを有する。そして、画像生成部14は、振動子2aから出力された受信信号に基づいてフレーム毎の被検体内の画像データを生成する。そして、表示部17は、画像生成部14によって生成された画像データに基づいて超音波診断画像の表示を行う。そして、制御部18は、フレームの異なる複数の画像データから画像の変位量を測定する。そして、制御部18は、測定結果、変位量が所定量以下であるときに画像データの輝度調整を開始する。その結果、画像データに基づいて画像データの輝度調整を開始するようにしたので、例えば、ユーザによる輝度調整の実施操作等が不要となり、操作性が向上する。また、画像の変位量が所定量以下であるときに輝度調整を開始するようにしたので、超音波探触子を移動操作しているときには輝度調整が行われず、超音波探触子の位置を固定し、ユーザが画像を視認して診断を行うタイミングで輝度調整が開始されるので、処理負荷が軽減され、フレームレートの低下を抑制することができる。
【0046】
また、本発明の実施の形態によれば、制御部18は、フレームの異なる複数の画像データとの間の動きを表す動きベクトルを生成する。そして、制御部18は、生成した動きベクトルに基づいて画像の変位量の測定結果を得る。その結果、簡素な方法で画像の変位量の測定結果を得ることができる。
【0047】
また、本発明の実施の形態によれば、制御部18は、輝度調整を開始した後、輝度調整を継続して実施するとともに、輝度調整の継続実施中においても画像の変位量の測定を行う。そして、制御部18は、測定結果、変位量が所定量以下でなくなったときに継続実施中の輝度調整を中止する。その結果、例えば、他の診断部位を診断するために超音波探触子を移動操作させたときに、輝度調整が中止されるので、処理が効率的となり、処理負荷がより軽減される。
【0048】
また、本発明の実施の形態によれば、制御部18は、画像生成部14によって生成された画像データの輝度分布を測定する。そして、制御部18は、測定結果に基づいてダイナミックレンジの範囲を設定することにより画像データの輝度調整を実施する。その結果、画像データの内容に応じて適切なゲイン調整を自動で行うことができ、容易に輝度調整を行うことができる。
【0049】
また、本発明の実施の形態によれば、制御部18は、画像生成部14によって生成された画像データにおける各画素の輝度値を入力として、出力値を得るガンマ補正を行うことにより画像データの輝度調整を実施する。その結果、容易に適切な輝度調整を行うことができるようになる。
【0050】
また、本発明の実施の形態によれば、表示部17は、画像データの輝度調整が完了したときにその旨を報知するので、ユーザは、輝度調整が完了したことを認識することができる。また、ユーザは、輝度調整が完了したときにおける調整結果を認識することができる。
【0051】
また、本発明の実施の形態によれば、制御部18は、画像の変位量の測定結果、被検体と超音波探触子2とが相対的に5cm/s以下の変位量であるときに画像データの輝度調整を開始する。その結果、超音波画像を視認するのに最も好ましい状態において輝度調整が行われるので、処理効率の向上が図れる。
【0052】
なお、本発明の実施の形態における記述は、本発明に係る超音波診断装置の一例であり、これに限定されるものではない。超音波診断装置を構成する各機能部の細部構成及び細部動作に関しても適宜変更可能である。
【0053】
また、本実施の形態において、操作入力部11における所定のボタン操作に応じて、フレーム毎に切り替え表示を行っている超音波画像を固定表示するフリーズモードを実施するようにしてもよい。また、このフリーズモードにおいて、所定の解除操作に応じてフリーズモードを終了した後、上述した動き判定を行うようにしてもよい。
【0054】
また、本実施の形態において、画像調整の実施中において、被検体あるいは超音波探触子2が動いたと判定されたときに、画像調整を中止するようにしたが、例えば、操作入力部11による所定の中止操作に応じて画像調整を中止し、上述した動き判定を行うようにしてもよい。
【0055】
また、本実施の形態において、画像の総移動量が所定量以下と判定された後は、画像調整を継続的に行うようにしたが、1度だけ画像調整を行うようにしてもよい。また、画像の総移動量が所定量を超えるようになって被検体あるいは超音波探触子が動いたと判定された後、画像の総移動量が所定量以下と判定される毎に、1度だけ画像調整を行うようにしてもよい。
【0056】
また、本実施の形態において、画像調整としてダイナミックレンジの設定とガンマ補正を行ったが、何れか一方のみ行うものであってもよい。また、これらに代えて又はこれらに加えて他の画像調整を行うものであってもよい。
【0057】
また、本実施の形態において、画像調整が完了したときに表示部17にその旨の表示を行わせるようにしたが、LED等の発光体や音声によって報知するようにしてもよい。また、画像調整が完了した旨の報知を行わないようにしてもよい。
【0058】
また、本実施の形態では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリ等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も適用される。
【符号の説明】
【0059】
S 超音波診断装置
1 超音波診断装置本体
2 超音波探触子
2a 振動子
12 送信部
13 受信部
14 画像生成部
17 表示部
18 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動信号によって被検体に向けて送信超音波を出力するとともに、被検体からの反射超音波を受信することにより受信信号を出力する振動子を有する超音波探触子と、
前記振動子から出力された受信信号に基づいてフレーム毎の前記被検体内の画像データを生成する画像処理部と、
前記画像処理部によって生成された画像データに基づいて超音波診断画像の表示を行う表示部と、
フレームの異なる複数の画像データから画像の変位量を測定し、該測定結果、変位量が所定量以下であるときに前記画像データの輝度調整を開始する制御部と、
を備えたことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記フレームの異なる複数の画像データとの間の動きを表す動きベクトルを生成し、該生成した動きベクトルに基づいて画像の変位量の測定結果を得ることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記輝度調整を開始した後、該輝度調整を継続して実施するとともに、該輝度調整の継続実施中においても画像の変位量の測定を行い、該測定結果、変位量が前記所定量以下でなくなったときに継続実施中の輝度調整を中止することを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記画像処理部によって生成された画像データの輝度分布を測定し、該測定結果に基づいてダイナミックレンジの範囲を設定することにより前記画像データの輝度調整を実施することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記画像処理部によって生成された画像データにおける各画素の輝度値を入力として、出力値を得るガンマ補正を行うことにより前記画像データの輝度調整を実施することを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記画像データの輝度調整が完了したときにその旨を報知する報知部を備えたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記制御部は、画像の変位量の測定結果、前記被検体と前記超音波探触子とが相対的に5cm/s以下の変位量であるときに前記画像データの輝度調整を開始することを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
駆動信号によって被検体に向けて送信超音波を出力するとともに、被検体からの反射超音波を受信することにより受信信号を出力する振動子を備える超音波探触子を有する超音波診断装置に設けられたコンピュータに、
前記振動子から出力された受信信号に基づいてフレーム毎の前記被検体内の画像データを生成する画像処理手段、
前記画像処理手段によって生成された画像データに基づいて表示部に超音波診断画像の表示を行わせる表示手段、
フレームの異なる複数の画像データから画像の変位量を測定し、該測定結果、変位量が所定量以下であるときに前記画像データの輝度調整を開始する制御手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−90699(P2012−90699A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239162(P2010−239162)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】