説明

超音波診断装置

【課題】心筋などの組織の輪郭を自動で抽出するACTを用いないで輪郭抽出処理の高速化を図ると共に、ユーザが輪郭抽出処理で必要な手順に関わる説明文を読むことなく正しい操作で組織の輪郭を抽出できる超音波診断装置を提供すること。
【解決手段】本発明では、被検体に超音波を投射して得られる反射波を用いて画像データを生成し、この画像データに基づく超音波画像を表示装置の画面に表示する超音波診断装置1において、超音波画像に対してユーザにより指定される任意の点を基準点とし、この基準点から離れた位置の画素値を算出して、この画素値に基づいて心筋と他の組織との境界を抽出すると共に抽出した境界を心筋輪郭として超音波画像に重ねて描画する輪郭抽出部11と、輪郭抽出部11が要求する基準点の指定の位置、数及び順序その他の手順に従い、ユーザによる基準点の指定に先立って、基準点を指定すべき位置を示すマーカを先導的に逐次表示していく入力支援部12とを備えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体に超音波を投射して得られる反射波情報を用いて超音波画像を生成する超音波診断装置に係り、特に、超音波画像上の組織の輪郭を抽出する機能を備えた超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、心筋壁運動を解析するために超音波診断装置が用いられている。超音波診断装置による心筋運動の解析にあっては、心筋の輪郭を抽出することが必要となる。そのため、自動輪郭追跡法(ACT:Automated Contour Tracking)として知られ、心筋の輪郭を自動的に検出できるようにした超音波診断装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
ACTを採用した超音波診断装置によれば、心筋の輪郭を自動的に且つ高精度に抽出できる。しかしながら、ACTを用いると、計算量が膨大であることから輪郭抽出の処理時間が長くなり、リアルタイムによる心筋の運動解析が困難となる。
【0004】
そこで、リアルタイムによる心筋の運動解析を容易に実現できるよう、ACTを採用しないで心筋の輪郭を半ば手動で抽出するようにした超音波診断装置が提案されている(特許文献2参照)。この超音波診断装置では、先ず、超音波画像に対してユーザにより指定される任意の点を基準点とし、この基準点から離れた位置の画素値が算出される。そして、この画素値に基づいて心筋と他の組織(背景)との境界が抽出され、抽出された境界が心筋の輪郭として超音波画像に重ねて描画される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−301920号公報
【特許文献2】特開2007−190288号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2で説明される超音波診断装置では、例えば、心筋やその他の組織の輪郭抽出処理を一部変更すると、超音波画像上でユーザにより指定されるべき基準点の位置、数及び順序などの指定手順が異なるものとなり得る。
【0007】
したがって、ユーザは、初めて組織の輪郭抽出を行うときや、超音波診断装置における組織の輪郭抽出処理を変更したとき、例えば取り扱い説明書や画面上に表示される説明文を読み、説明文に従った正しい手順で基準点を指定していくことになる。また、心筋の輪郭抽出処理を実行する多種のソフトウェアが組み込まれている場合、ユーザは1つ1つのソフトウェアに固有の手順を理解する必要がある。すなわち、従来の超音波診断装置は、ユーザに対して装置扱い上の大きな負担を掛けるものとなっている。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、心筋などの組織の輪郭を自動で抽出するACTを用いないで輪郭抽出処理の高速化を図ると共に、ユーザが輪郭抽出処理で必要な手順に関わる説明文を読むことなく正しい操作で組織の輪郭を抽出できる超音波診断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するため、本発明に係る超音波診断装置では、被検体に超音波を投射して得られる反射波を用いて画像データを生成し、この画像データに基づく超音波画像を表示装置の画面に表示する超音波診断装置において、前記超音波画像上でユーザにより指定される任意の点を基準点とし、この基準点から離れた位置の画素値を算出して、この画素値に基づいて組織境界を抽出すると共に抽出した組織境界を組織輪郭として超音波画像に重ねて描画する輪郭抽出部と、前記輪郭抽出部が要求する基準点の指定の位置、数及び順序その他の手順に従い、ユーザによる基準点の指定に先立って、基準点を指定すべき位置を示すマーカを先導的に逐次表示していく入力支援部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、心筋などの組織の輪郭を自動で抽出するACTを用いないで輪郭抽出処理の高速化を図ると共に、ユーザが輪郭抽出処理で必要な手順に関わる説明文を読むことなく正しい操作で組織の輪郭を抽出できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の実施形態を示す機能ブロック図。
【図2】図1の超音波診断装置の輪郭抽出処理に関わる機能ブロック図。
【図3】図1の超音波診断装置の輪郭抽出処理にて要求される基準点の設定説明図。
【図4】図1の超音波診断装置にて実行される画素値の重み付け加算処理の説明図。
【図5】図1の超音波診断装置の輪郭抽出処理により抽出される組織輪郭を示す図。
【図6】図1の超音波診断装置の作用説明図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る超音波診断装置の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る超音波診断装置の実施形態を示す機能ブロック図である。
本実施形態の超音波診断装置1は、被検体(図示省略)に超音波を投射して得られる反射波情報を用いて超音波画像を生成する装置である。
【0013】
超音波診断装置1の超音波プローブ2は、電気信号をタイミング信号とし、内蔵する圧電振動子から被検体に超音波を投射すると共に反射波を受信してこれを電気信号である反射波信号(エコー信号)に変換する。
【0014】
信号送受信部3は、超音波プローブ2に電気信号を送信して超音波を発生させ、超音波プローブ2で生成されるエコー信号を受信するとともに、超音波の時間遅延処理を通じて電子フォーカスなどを行う。
【0015】
信号処理部4は、信号送受信部3からエコー信号を受信して輝度情報などを保有する画像信号を生成する。この信号処理部4は、Bモード、Mモード、CFM(Color Flow Mapping)などの各種モードに関わる画像信号を生成する。
【0016】
画像データ生成部5は、信号処理部4から画像信号を受信し、その画像信号をA/D変換すると共に例えば直交座標系で画像を描写する画像データに変換する。
【0017】
画像データ記憶部6は画像データ生成部5から画像データを受信してこれを蓄え、画像データ処理部7は画像データ記憶部6に蓄えられた画像データを用いてMPR(Multi Planar Reformation)画像や3次元立体画像を生成する。
【0018】
表示制御部8は、入力装置9に設けられる操作デバイスの操作に応じて出力される要求信号を受け、表示装置10に超音波画像やその関心領域(ROI:Region Of Interest)を表示し、また、超音波画像のズーム倍率やMPR画像/3次元立体画像の切り替えなどの各種の表示処理を行う。
【0019】
輪郭抽出部11は、表示装置10の画面に表示された超音波画像のうち所望組織の輪郭を抽出する輪郭抽出処理を実行する。すなわち、輪郭抽出部11は、超音波画像上でユーザにより指定される任意の点を基準点とし、この基準点から離れた各位置において所定区間(範囲)に収まる各画素の画素値に重みを付け、重みを付けた画素値を加算する重み付け加算処理を実行する。そして、輪郭抽出部11は、その重み付け加算処理の結果たる加算値に基づき組織境界を抽出し、表示制御部8を介して或いは表示制御部8を介さず直接的に、抽出した組織境界を組織輪郭として表示装置10に超音波画像と重ねて描画する。
【0020】
入力支援部12は、輪郭抽出部11による輪郭抽出処理を実行するための手順をガイドする。したがって、ユーザは、入力支援部12のガイドに従って入力装置9の操作デバイスを操作する。
【0021】
図2は超音波診断装置1の輪郭抽出処理に関わる機能ブロック図である。図3〜図5はその輪郭抽出処理の説明図である。
【0022】
ここに、表示装置10の画面に表示されている断層像(輪郭抽出の対象組織)は「心臓」とし、画像データは「Bモードにおける2次元断層像データ」とする。また、輪郭抽出部11にて輪郭抽出処理を実行するために必要な手順は、対象組織「心臓」に対して、指定すべき基準点の数は「2つ」、最初に指定すべき基準点(P1)の位置は「心室上部」、次に指定すべき基準点(P2)は「基準点(P1)の下方で且つ心臓の弁の付近」であるとする。このような前提の下で、超音波診断装置1にて実行される輪郭抽出処理を説明する。
【0023】
(ステップ1)
図3は輪郭抽出処理にて要求される基準点の指定例を示したものである。
入力支援部12は、例えば輪郭抽出部11から輪郭抽出処理の実行に必要となる手順を取得する。すなわち、ユーザが自ら指定する必要のある「指定すべき基準点の数」、「最初に指定すべき基準点(P1)の位置」、「次に指定すべき基準点(P2)の位置」を取得する。
【0024】
(ステップ2)
入力支援部12は、輪郭抽出部11から取得した「最初に指定すべき基準点(P1)の位置」としての「心室上部」に、図3(a)に示すよう、心臓の断層像に重ねてマーカ(M1)を表示する。このマーカ(M1)は、その輝度、色彩および大きさその他のマーカ特性が調節可能に構成される。例えば、マーカ(M1)の輝度を心筋やその他の背景組織よりも大きい値として言わばハイライト化したり、その色彩を青色や赤色など、Bモード断層像では通常表現されない色とすることができる。
【0025】
(ステップ2)
入力支援部12は、ユーザによりマーカ(M1)の範囲内で基準点が指定されたことを条件に、図3(b)に示すよう、断層像に重ねて基準点(P1)を表示する。
【0026】
(ステップ3)
入力支援部12は、ステップ2に続き、「次に指定すべき基準点(P2)の位置」としての「基準点(P1)の下方で且つ心臓の弁の付近」に、図3(c)に示すよう、心臓の断層像に重ねてマーカ(M2)を表示する。
【0027】
(ステップ4)
入力支援部12は、ユーザによりマーカ(M2)の範囲内で基準点が指定されたことを条件に、図3(d)に示すよう、断層像に重ねて基準点(P2)を表示する。予め定められた数の基準点が全て指定されたので、更なるマーカの表示は行わない。
【0028】
(ステップ5)
輪郭抽出部11の基準点設定部13は、図3(e)に示すよう、ユーザにより指定された基準点P1と基準点P2とを結ぶ線分を予め定義された所定の間隔で分割し分割点P3〜P7を設定する。
【0029】
(ステップ6)
図4は輪郭抽出部11にて実行される画素値の重み付け加算処理を示したものである。
【0030】
輪郭抽出部11の探索経路設定部14は、先ず、基準点設定部13により設定された各分割点P3〜P7の座標を算出する。次いで、探索経路設定部14は、図4(a)に示すよう、各分割点P3〜P7を始点として基準点P1と基準点P2とを結ぶ線分に垂直な垂線(L)を設定する。この垂線(L)が画素値の重み付け加算処理を行う経路であり、心臓の輪郭を探索し抽出するための探索経路となる。
【0031】
(ステップ7)
重み付け加算処理部15は、図4(b)に示すように、探索経路設定部14により設定された垂線(L)上に所定の広さの探索区間(X)を設定し、その探索区間(X)に含まれる各画素の画素値に重みを付けて加算する。なお、図4(a)〜(d)では、略して1つの分割点(P5)および対応する一本の探索経路(L)のみを示す。
【0032】
重み付け加算処理部15は、次式(1)に従って重み付け加算処理を行う。
[数1]
A(z)=Σ{f(n)×P(z+n)}・・・(1)
f(n)≧0
Σ{f(n)}=1
A(z):加算値
f(n):重み係数
P(z+n):画素値
z:分割点(P3〜P7)を原点とした垂線(L)からの探索区間(X)の位置(例
えば、探索区間(X)の端部の画素の位置)
n:探索区間(X)内の画素の位置
【0033】
重み付け加算処理部15は、図4(c)及び(b)に示すように、垂線(L)に沿って探索区間(X)を移動させ、各位置において探索区間(X)に収まる各画素の画素値に重みを付けて加算した結果たる加算値(A(z))を境界判定部16に送る。なお、重み係数(f(n))は、例えば心臓と画素値との相関特性を考慮し、心臓と背景(他の組織)との境界判定精度が高まるよう適宜設定される。
【0034】
(ステップ8)
境界判定部16は、重み付け加算処理部15から受け取った加算値(A(z))と予め設定されている閾値(T)(T>0)とを比較し、加算値(A(z))が閾値(T)以上となる探索区間(X)の所定位置(例えば、探索区間(X)の中央位置)を心筋と他組織との境界点と判定し、境界点の座標情報を描画部17に送る。なお、この重み付け加算処理で用いる閾値(T)は、統計的ないし経験的に求められる。
【0035】
(ステップ9)
図5は輪郭抽出部11により抽出される心筋輪郭を示す図である。
描画部17は、図5に示すように、境界判定部16から受け取った境界点(Q1〜Q10)の座標情報に基づき、各境界点(Q1〜Q10)を結んで成る心筋の輪郭(R)を超音波画像(断層像)に重ねて描画する。
【0036】
なお、設定情報記憶部18は、輪郭抽出処理で用いる各点P1〜P7の分割間隔、重み付け加算処理で用いる重み係数(f(n))、閾値(T)などの情報を記憶する。
【0037】
次に、超音波診断装置1の作用を説明する。
【0038】
近年、心筋の運動を解析するために超音波診断装置が用いられている。ACTを採用した超音波診断装置によれば、心筋の輪郭を自動的に且つ高精度に抽出できるが、膨大な計算量を要し、輪郭抽出の処理時間が長くなってリアルタイムによる心筋の運動解析が困難となる。そこで、リアルタイムによる心筋運動解析を容易に実現できるよう、ACTを採用しないで心筋の輪郭を半ば自動的に抽出するようにしたのが特許文献2で説明される超音波診断装置であり、本実施形態の超音波診断装置1でもその輪郭抽出処理と類似する処理を実行する(ステップ5〜ステップ9参照)。
【0039】
しかしながら、従来の超音波診断装置にあっては、ユーザは輪郭抽出処理を実行するための手順、例えば、基準点の指定すべき位置のほか、指定すべき数、指定する順序などを取り扱い説明書や画面上に映し出される説明などを読みながら必要な操作を行うことになり、操作負担が大きいものであった。
【0040】
これに対し、本実施形態の超音波診断装置1では、心筋の運動解析等のために心臓の輪郭を抽出する際、先ず、入力支援部12によりグラフィカルに表示される画面上のマーカ(M1)の範囲内で1つ目の基準点を指定すればよい。次いで、2つ目の基準点を指定するときも、同様に表示されるマーカ(M2)の範囲内で指定すればよい。
【0041】
このように、ユーザには指定が必要な基準点の位置、数および順序について注意する必要はなく、単にマーカに従って基準点を順次指定していけばよく、心筋の輪郭抽出における超音波診断装置の取り扱いが著しく簡単なものとなる。加えて、断層像を目視して基準点を指定する位置を判断する必要がないことから、基準点の指定ミスの頻度が格段に低減し、輪郭抽出処理を円滑に行えるようになる。
【0042】
特に、1つの超音波診断装置に輪郭抽出処理を実行する異なる複数のソフトウェアが組み込まれている場合には、特に操作性が良好なものとなる。例えば、2次元断層像を対象とした輪郭抽出を行う場合と3次元画像を対象とした輪郭抽出を行う場合とで、ユーザにより好ましい輪郭抽出処理を実行するソフトウェアが選択されることが想定される。この場合、従来であれば、輪郭抽出処理を実行するための必要な手順について、ソフトウェア毎に取り扱い説明書を読むなどの作業を要する。一方、本実施形態の超音波診断装置1では、ユーザが適切と思うソフトウェアを選択すると、入力支援部12がそのソフトウェアの実行で要求される手順(基準点の位置、数、配置)をガイドし、ユーザはそのガイドに従って基準点を指定していけばよいものとなる。
【0043】
次に、超音波診断装置1の効果を説明する。
【0044】
本実施形態の超音波診断装置1にあっては、
(1)超音波画像に対してユーザにより指定される任意の点を基準点(P1、P2)とし、この基準点(P1、P2)から離れた位置の画素値を算出して、この画素値に基づいて心筋と他の組織との境界を抽出すると共に抽出した境界を心筋輪郭として超音波画像に重ねて描画する輪郭抽出部11と、輪郭抽出部11が要求する基準点の指定の位置、数及び順序その他の手順に従い、ユーザによる基準点の指定に先立って、基準点(P1、P2)を指定すべき位置を示すマーカ(M1、M2)を先導的に逐次表示していく入力支援部12とを備える。このため、心筋などの組織の輪郭を自動で抽出するACTを用いないで輪郭抽出処理の高速化を図ると共に、ユーザが輪郭抽出処理で必要な手順に関わる説明文を読むことなく正しい操作で組織の輪郭を抽出できる。その結果、超音波診断装置の操作負担や操作ミスが抑えられるものとなる。
【0045】
(2)入力支援部12は、マーカ(M1、M2)の輝度、色彩および大きさが調節可能に構成される。このため、マーカ(M1、M2)の位置および範囲が容易に視認できるようになり、(1)の効果が高められる。
【0046】
以上、本発明に係る超音波診断装置を1つの実施形態に基づき説明してきたが、具体的な構成については、本実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載の発明の要旨を逸脱しない限り設計の変更や追加等は許容される。
【0047】
例えば、本実施形態では2つの基準点を用いて輪郭抽出処理を実行する例を示したが、3つ以上の基準点を用いて輪郭抽出処理を実行するようにしてもよい。
【0048】
この場合、超音波診断装置の入力支援部は、図6に示すように、最初に指定すべき基準点の位置(例えば、心臓の弁の位置付近)にマーカ(M1)を表示する(図6(b))。
【0049】
そして、ユーザがそのマーカ(M1)の範囲内で基準点を指定したことを条件に、入力支援部12はユーザが指定した基準点(P1)を断層像と重ねて表示し、次に指定すべき基準点の位置(例えば、心臓の他方の弁の位置付近)にマーカ(M2)を表示する(図6(c))。
【0050】
そして、ユーザがそのマーカ(M2)の範囲内で基準点を指定したことを条件に、入力支援部12はユーザが指定した基準点(P2)を断層像と重ねて表示し、最後に指定すべき基準点の位置(例えば、心臓の心筋上部の位置付近)にマーカ(M3)を表示する(図6(d))。
【0051】
そして、ユーザがそのマーカ(M3)の範囲内で基準点を指定したことを条件に、入力支援部12はユーザが指定した基準点(P3)を断層像と重ねて表示し(図6(e))、ステップ5〜ステップ9の輪郭抽出処理と同様の処理により心筋の輪郭を抽出して断層像に重ねて表示する(図6(f))。
【0052】
また、入力支援部12は、表示装置10に各マーカを直接表示する例を示したが、表示制御部8に対して各マーカの表示指示を行い、表示制御部8が各マーカを表示するようにしてもよい。同様に、入力支援部12は、表示装置10に各基準点を直接表示する例を示したが、表示制御部8に対して各基準点の表示指示を行い、表示制御部8が各基準点を表示するようにしてもよい。
【0053】
また、入力支援部12は、超音波画像は心臓の断層像のみならず、肝臓や胎児その他の部位の3次元画像を対象として、マーカを表示するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1……超音波診断装置, 2……超音波プローブ, 3……信号送受信部, 4……信号処理部, 5……画像データ生成部, 6……画像データ記憶部, 7……画像データ処理部, 8……表示制御部, 9……入力装置, 10……表示装置, 11……輪郭抽出部, 12……入力支援部, 13……基準点設定部, 14……探索経路設定部, 15……重み付け加算処理部, 16……境界判定部, 17……描画部, 18……設定情報記憶部, M1、M2……マーカ, P1、P2……基準点, P3〜P7……分割点, L……垂線, X……探索区間, Q1〜Q10……心臓と他組織との境界点, R……心臓の輪郭.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に超音波を投射して得られる反射波を用いて画像データを生成し、この画像データに基づく超音波画像を表示装置の画面に表示する超音波診断装置において、
前記超音波画像上でユーザにより指定される任意の点を基準点とし、この基準点から離れた位置の画素値を算出して、この画素値に基づいて組織境界を抽出すると共に抽出した組織境界を組織輪郭として超音波画像に重ねて描画する輪郭抽出部と、
前記輪郭抽出部が要求する基準点の指定の位置、数及び順序その他の手順に従い、ユーザによる基準点の指定に先立って、基準点を指定すべき位置を示すマーカを先導的に逐次表示していく入力支援部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記入力支援部は、マーカの輝度或いは色彩が調節可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−50594(P2011−50594A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202828(P2009−202828)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【出願人】(594164531)東芝医用システムエンジニアリング株式会社 (892)
【Fターム(参考)】