説明

超音波送受波器

【課題】超音波周波数帯の送信、受信を行う超音波送受波器において、有底筒状ケース側壁振動による残響特性悪化を改善し低残響を有する超音波送受波器を提供する。
【解決手段】 有底筒状ケースの底面内部に圧電素子を貼り合わせユニモルフ振動子を形成し、ユニモルフ振動子の振動によって超音波の送受信を行う超音波送受波器において、有底筒状ケース2の側壁の開口部側の肉厚を一部薄くし段差をもうけ、封止材4を充填することにより低残響を有する超音波送受波器を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波周波数帯の送信、受信を行う超音波送受波器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の実施の形態に関わる超音波送受波器において、これを車のバンパー等に埋め込み設置し、周辺の障害物を検出する場合、超音波送受波器にパルスバースト電気信号を入力することで超音波送受波器からその入力パルスバースト電気信号に応じた超音波信号が発振され、発振された超音波信号は障害物に到達した後、その障害物で反射し、超音波信号の一部は同じ超音波送受波器に戻ってくる。超音波送受波器はその反射信号を受信することで障害物を検出している。
図4に従来の実施の形態に関わる超音波送受波器の概略縦断面図を表す。図4において、アルミニウム材等からなる有底筒状ケース2の底面内部に圧電素子1を固着しユニモルフ振動子を形成する。圧電素子1から入出力リード5a、有底筒状ケース2の側面内側より入出力リード5bを半田付け等して取り出す。圧電素子1と有底筒状ケース2とは、固着面で電気的に接続されている。入出力リード線5aおよび5bはPVC被覆ワイヤ付きコネクタ6のワイヤにそれぞれ半田付けされている。圧電素子1の上面にシリコーン発泡体等から成る吸音材3を設置し、更にその上からシリコーン材、ウレタン材等の弾性体から成る封止剤4を有底筒状ケース2内に充填する。
従来、超音波送受波器の有底筒状ケース2の側壁の肉厚が厚くなると一般的に側壁振動が大きくなり残響が長くなる。例えば広い指向特性を得るためには有底筒状ケース2の底面内部に形成されたユニモルフ振動子の振動径を小さくする必要があり、外形が変えられない等の制約がある場合、それに伴い有底筒状ケース2の側壁の肉厚が増し残響が長くなっていた。
【非特許文献1】谷腰欣司著 「超音波とその使い方−超音波送受波器・超音波モータ」 日刊工業新聞 1994年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
超音波周波数帯の送信、受信を行う超音波送受波器において、有底筒状ケース側壁振動による残響特性悪化を改善し低残響を有する超音波送受波器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
有底筒状ケースの底面内部に圧電素子を貼り合わせユニモルフ振動子を形成し、ユニモルフ振動子の振動によって超音波の送受信を行う超音波送受波器において、有底筒状ケース2の側壁の開口部側の肉厚を一部薄くし(望ましくは2mm以内)段差をもうけ、封止材4を充填することにより低残響を有する。尚、有底筒状ケース2の側壁に形成される肉厚の薄い部分L1の長さは適宜設定にしても残響特性の向上は見られるが、望ましくは側壁の長さLに対する上記肉厚の薄い部分L1の長さの比は0.2〜0.7以内であれば、近距離検知で要求される17cm(1msec.相当)まで検知することができる。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、超音波送受波器において、外形等制約がある場合でも低残響を有することができる利点を持つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
車載用コーナーセンサ等に用いる際、バンパー等に埋め込み設置し、近距離まで安定した障害物検知を誤作動無く高い信頼性で実現出来る。
【0007】
図2に本発明の実施の形態に関わる超音波送受波器の概略縦断面図を表す。図2において、有底筒状ケース2の底面内部に圧電素子を貼り合わせユニモルフ振動子を形成し、ユニモルフ振動子の振動によって超音波の送受信を行う超音波送受波器において、有底筒状ケース2の側壁の肉厚を一部薄くし段差をもうけ、封止材4を充填することにより低残響を有する。圧電素子1から入出力リード5a、有底筒状ケース2の側面内側より入出力リード5bを半田付け等して取り出す。圧電素子1と有底筒状ケース2とは、固着面で電気的に接続されている。入出力リード線5aおよび5bはPVC被覆ワイヤ付きコネクタ6のワイヤにそれぞれ半田付けされている。圧電素子1の上面にシリコーン発泡体等から成る吸音材3を設置し、更にその上からシリコーン材、ウレタン材等の弾性体から成る封止剤4を有底筒状ケース2内に充填する。
図7は本発明の実施の形態に関わる超音波送受波器および従来の実施の形態に関わる超音波送受波器の残響特性を表す。図7に示すように従来の実施の形態に関わる超音波送受波器の場合、有底筒状ケース2の側壁の肉厚が厚くなると残響が長くなるが本発明の超音波送受波器の場合、外形等維持したまま低残響を有することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0008】
本発明は、車のバックセンサのみならず、防滴型超音波送受波器が利用されている様々な分野に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に関わる有底筒状ケースの概略図(上面図)
【図2】本発明の実施の形態に関わる有底筒状ケースの概略図(X−X断面図)
【図3】本発明の実施の形態に関わる有底筒状ケースの概略図(Y−Y断面図)
【図4】従来の実施の形態に関わる有底筒状ケースの概略図(上面図)
【図5】従来の実施の形態に関わる有底筒状ケースの概略図(X−X断面図)
【図6】従来の実施の形態に関わる有底筒状ケースの概略図(Y−Y断面図)
【図7】本発明の実施の形態に関わる超音波送受波器の残響特性
【符号の説明】
【0010】
1 圧電素子
2 有底筒状ケース
3 吸音材
4 封止剤
5a 入出力リード
5b 入出力リード
6 PVC被覆ワイヤ付きコネクタ
L1 有底筒状ケース側壁の肉厚の薄い部分の長さ
L 有底筒状ケース側壁の長さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有底筒状ケースの底面内部に圧電素子を貼り合わせユニモルフ振動子を形成し、ユニモルフ振動子の振動によって超音波の送受信を行う超音波送受波器において、ユニモルフ振動子の形状にかかわらず有底筒状ケース2の側壁のうち、開口部側の部分の肉厚を底面部側の肉厚よりも薄くし封止材4を充填することにより低残響を有することを特徴とする超音波送受波器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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