説明

超音波霧化装置

【課題】超音波振動によって霧化状の薬液を吐出する際に、霧化量を減らすことなく詰まりを防止することができる超音波霧化装置を提供する。
【解決手段】液体(例えば薬液)11を保持する薬液保持部2、超音波を発生させて薬液11を振動させる圧電素子64を有する圧電素子64によって振動される薬液11に接触して、霧化状の薬液11(薬液微粒子27)を吐出する異形開口部形成板74を有する霧化板3bと、異形開口部形成板74によって霧化された薬液11を搬送する薬液搬送機構部4と、薬液保持部2に保持されている薬液11を計量する計量部5が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体の所定部位に投与する液体を霧化する超音波霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医用噴霧装置は、被検体である患者の体腔内、もしくは体外から薬液を霧化して所定の部位である体内臓器や皮膚表面に噴霧する装置である。噴霧された薬液は、たとえば肺内に噴霧された場合には、肺細胞の毛細血管に速やかに吸収され、薬液の効果が速やかに現れる。よって医用噴霧装置は、治療薬液の供給経路として有効である。この医用噴霧装置とは、主に肺内に薬液を噴霧する例えばネブライザやインヘーラと呼ばれる噴霧器である。噴霧器は、気管支喘息等の治療に用いられ、主に経口噴霧する。
【0003】
例えば、特許文献1に開示されている医用噴霧装置は、超音波振動子と、多数の微細孔を有する噴霧メッシュを備えるものにおいて、超音波振動子の振動面と噴霧メッシュを所定の間隔を持って対向するように配置し、かつ超音波振動子と噴霧メッシュが噴霧液層の一部を構成するようにしている。
【0004】
より詳細には、超音波振動子は、小径部を有するステップ小型超音波ホーンを有している。このステップ小型超音波ホーンおよび噴霧メッシュが噴霧浴槽内に設けられており、超音波ホーンの振動面と噴霧メッシュの間には、一定の間隔が設けられている。さらに、噴霧浴槽の上方には、補給用のボトルが設けられている。
【0005】
この医用噴霧装置によれば、噴霧浴槽内、且つ超音波振動子の振動面と噴霧メッシュの間に、噴霧液が充填されている。そのため、超音波振動子の振動エネルギーが噴霧を媒体として間接的に噴霧メッシュに伝達される。これにより超音波振動子の振動エネルギーが、直接的に噴霧メッシュ素材に印加されることはない。
【0006】
そのため噴霧メッシュには、例えば柔らかい素材や割れやすい素材を用いることができ、医用噴霧装置は低コストに構成可能である。
【特許文献1】特開平08−196965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1に開示されている医用噴霧装置において、噴霧メッシュには、非常に微細な孔が設けられている。噴霧液は、この孔から吐出され、霧化されるため、噴霧液が乾燥したり、不純物が噴霧液に混入したりすると、孔が詰まってしまう虞がある。そのため使用者は、随時噴霧メッシュをメンテナンスする必要がある。または使用者は孔が詰まった際に、噴霧メッシュを交換する必要がある。これにより交換に手間がかかり、またランニングコストが増加してしまう虞が生じる。また、孔の詰まりを解消するために、単純に孔の大きさを大きくした場合には霧化量が減少してしまう虞が生じる。
【0008】
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、超音波振動によって霧化状の薬液を吐出する際に、霧化量を減らすことなく詰まりを防止することができる超音波霧化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は目的を達成するために、超音波による振動を利用して液体を霧化する超音波霧化装置において、超音波を液体に照射して液体を振動させる超音波発生部と、超音波発生部によって振動される液体に接触し、液体の気液界面の形状を規定するとともに、気液界面の周縁から内側に向かって延びる、または、液体の深さ方向から気液界面に向かって延びる先鋭部を有する霧化板と、を具備することを特徴とする超音波霧化装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、超音波振動によって霧化状の薬液を吐出する際に、霧化量を減らすことなく詰まりを防止することができる超音波霧化装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る第1の実施形態について図1乃至図5を参照して説明する。
図1は、本実施形態における超音波霧化装置の概略図である。図2は、霧化された薬液が搬送される方向から見た際の異形開口部形成板の概略図である。図3は、圧電素子の斜視図である。図4は、本実施形態における異形開口部形成板の概略図である。図5は、本実施形態において薬液が霧化される際の異形開口部形成板の先端部付近の概略図である。
【0012】
超音波霧化装置1には、主要部として、液体(例えば薬液)11を保持する薬液保持部2と、超音波を発生させて薬液11を振動させる圧電素子64を有する超音波発生部3aと、圧電素子64によって振動される薬液11に接触して、霧化状の薬液11(薬液微粒子27)を吐出する異形開口部形成板74を有する霧化板3bと、が設けられている。また超音波霧化装置1には、異形開口部形成板74によって霧化された薬液11を搬送する薬液搬送機構部4と、薬液保持部2に保持されている薬液11を計量する計量部5が設けられている。
【0013】
薬液保持部2には、薬液11が充填され、薬液11を保持する充填部である薬液カートリッジ10と、薬液カートリッジ10から供給された薬液を一時的に充填するリザーバ室20と、リザーバ室20を保持する霧化室30と、薬液11を薬液カートリッジ10からリザーバ室20に供給する供給部であり、ステンレス製、中空構造である薬液供給針21と、薬液カートリッジ10を保持する保持部本体であるホルダー部材16と、が設けられている。
【0014】
薬液カートリッジ10は、透明の例えば樹脂製の容器である。そのため例えば目視により充填されている薬液11の充填量が容易に確認される。なお薬液11は、例えば被検体である患者の体内や体外の所定の部位6(例えば患部)に投与される。そのため超音波霧化装置1は、部位6が体内に位置する場合、薬液搬送機構部4を体内に挿入させる。また薬液カートリッジ10には、薬液11を計量する計量部5であるメモリ9が設けられており、薬液11の投与(消費、供給)量に比例して薬液面が移動(低下)する。このように計量部5は、薬液カートリッジ10に保持されている薬液11の残量を計量する残量計量部である。なおメモリ9の代わりに例えば薬液カートリッジ10に保持されている薬液11の液面高さを検出する液面検出センサを使用して薬液11の投与量を計量しても良い。
【0015】
薬液カートリッジ10の下部には、栓12が設けられている。栓12は、薬液11が漏れないように薬液カートリッジ10を略密閉し、中央に凹部13を有している。この凹部13において栓12は、薄肉構造である。この凹部13には、薬液供給針21が貫通する。なお栓12の材料は、薬液成分に影響を与えない材質とし、例えばゴム製である。
【0016】
また薬液カートリッジ10の上部には、大気に連通している微細な開口部14を有する例えばゴム製の連通部材15が設けられている。連通部材15は、薬液カートリッジ10に充填されている薬液11の分量に関係なく、開口部14によって薬液カートリッジ10の内圧と外圧を一定に維持する圧力維持機構である。これにより薬液カートリッジ10は、薬液11が減少した際に、内部圧力が負圧になることを防止されている。また開口部14は微細であるために、薬液11が開口部14から漏れ出すことない。なお連通部材15は、多孔質材料を用いても良く、薬液カートリッジ10内部と大気を連通する機能を有するものであればよい。
【0017】
ホルダー部材16は、電気的に絶縁された樹脂製であり、薬液カートリッジ10を上部にて保持している。詳細には、このホルダー部材16には、取り付け開口部17が設けられており、薬液カートリッジ10は、栓12をホルダー部材16側に向けて取り付け開口部17に挿入される。挿入された薬液カートリッジ10は、栓12を介してホルダー部材16の底面部18に載置される。これにより薬液カートリッジ10は、ホルダー部材16の上部にて保持される。
【0018】
またホルダー部材16は、底面部18において薬液供給針21に貫通されている。詳細には、薬液供給針21は、底面部18を貫通し、底面部18から突出している。この状態において、薬液カートリッジ10が上述したように底面部18に載置される際に、手動により押圧されることで、薬液供給針21が凹部13を貫通する。これにより薬液供給針21は、薬液カートリッジ10に容易に刺しこまれる。
【0019】
薬液11は、薬液カートリッジ10から、薬液カートリッジ10に刺しこまれた薬液供給針21を経由してリザーバ室20に毛細管現象によって供給される。つまり薬液カートリッジ10から減った分量の薬液11が、リザーバ室20に供給される。
【0020】
なお薬液カートリッジ10は、刺しこまれている薬液供給針21から抜去でき、ホルダー部材16から取り外すことが可能である。これにより例えば薬液11が減少した際に、薬液カートリッジ10を、薬液供給針21、及びホルダー部材16から取り外し、栓12を外して新たに薬液11を充填することが可能である。また上述したように薬液カートリッジ10が空になった際に、所定量の薬液11が充填している薬液カートリッジ10と交換可能である。このように薬液保持部2である薬液カートリッジ10は、薬液供給針21から着脱可能である。
【0021】
リザーバ室20を有する霧化室30において、リザーバ室20には電源19aが接続している。またリザーバ室20には、薬液供給針21、異形開口部形成板74が設けられている。圧電素子64には、圧電素子駆動電源19dが接続している。
【0022】
霧化室30は、ホルダー部材16と接続して設けられている。霧化室30の内面は、導電性膜又は導電性の金属部材等の導電性部材31により覆われている。また導電性部材31には、導電性部材電源19bにより後述する薬液微粒子27と同電位となる電圧が印加される。
【0023】
リザーバ室20は、振動伝達性に優れている。このリザーバ室20は、導電性の部材、例えばステンレス製であり、円柱形状である。リザーバ室20の一方の端面(前面)には、ステンレス製の薄板である異形開口部形成板74が接合され(設けられ)ている。リザーバ室20には、電源19aによりプラスの直流高電圧が印加される。これによりリザーバ室20に接合している異形開口部形成板74にもプラスの直流高電圧が印加される。リザーバ室20の他方の端面(後面)28bには、上述した薬液供給針21が設けられている。この薬液供給針21は、ステンレス製の中空構造であり、薬液カートリッジ10とリザーバ室20とを接続して、薬液11を薬液カートリッジ10からリザーバ室20に供給する。
【0024】
異形開口部形成板74には、後述する圧電素子64によって超音波振動される薬液11が接触し、薬液11の気液界面の形状を規定する。また、薬液11を霧化室30に吐出(噴霧)する。この異形開口部形成板74は、約100μmの厚さに形成されており、霧化室30に露出する面には、撥水性の膜が形成される。異形開口部形成板74は、リザーバ室20の薬液11に直接接するように例えばレーザ溶接によりリザーバ室20に接合されることが好適である。これにより超音波振動による疲労破壊が防止される。
【0025】
図2、図4に示されるように異形開口部形成板74には、鋭角である複数の先鋭部75を有する異形開口部76が形成されている。先鋭部75には、圧電素子64によって超音波振動される薬液11が接触する。その際、先鋭部75、及び異形開口部76は、薬液11の気液界面の形状を規定する。先鋭部75は、異形開口部76において、気液界面の周縁から内側に向かって延びている。異形開口部76は、例えばレーザ加工やエッチング加工によって異形開口部形成板74に形成されている。この異形開口部76から、約数μmの粒径を有する薬液微粒子27が後述する超音波振動によって吐出される。
【0026】
薬液11は、薬液供給針21を介して薬液カートリッジ10から毛細管現象によってリザーバ室20に供給される。さらに薬液11は、異形開口部形成板74にまで供給され、異形開口部形成板74から霧化室30に吐出される。その際、異形開口部形成板74とリザーバ室20には、電源19aにより、プラスの直流高電圧が印加される。これにより薬液カートリッジ10から供給された薬液11が帯電される。またリザーバ室20と異形開口部形成板74には、後述する圧電素子64によって超音波振動が伝播される。この超音波振動は、薬液11にも伝播する。よって薬液11は、超音波振動によって霧化状の微粒子(薬液微粒子27)として吐出される(薬液カートリッジ10における薬液11の消費量が吐出量に一致する)。
【0027】
なお端面28bには、図示しないドーナツ形状の薄板の電気絶縁板が隣接して接着している。この電気絶縁板には、端面28bと接する面とは反対の面において図3に示すようにドーナツ形状の圧電素子64が隣接して接着している。この圧電素子64には、電気絶縁板と接する面とは反対の面において、端面28bと略同形状の端面28cが接着している。このように端面28bと端面28cとの間には、図示しないドーナツ形状の薄板の電気絶縁板、及びドーナツ形状の圧電素子64が存在している。なお圧電素子64の中央の開口部65には、薬液供給針21が挿通される。
【0028】
この端面28cは、霧化室30の内面30aとは接着しておらず、端面28cの周縁部を介して図2に示すように支持部材24の一端と接着している。また支持部材24の他端は、霧化室30の内面30aに接着している。このようにリザーバ室20は、端面28b、電気絶縁板、圧電素子64、端面28c、支持部材24を介して霧化室30に保持されている。各支持部材24の間には、円弧状の空間25が設けられている。またリザーバ室20の側面である端面28dと霧化室30の内面30a、及び圧電素子64の側面72と霧化室30の内面30aは接着しておらず、同様に空間25が設けられている。そのため霧化室30と後述する送風室40は、この空間25を介して連通している。なお本実施形態は、霧化室30と後述する送風室40が連通していればこのような形状に限定する必要は無い。なお、図2において支持部材24は90度間隔に4本示されているが、この数は限定されない。また図1において、簡略化のために各支持部材24は、省略している。
【0029】
図3に示されるように、圧電素子64は厚み方向(霧化方向、部位6に向けて薬液11を吐出する方向)に分極されており、両端面には銀、又はニッケル電極が形成されている。圧電素子64は、圧電素子駆動電源19dと接続しており、圧電素子駆動電源19dにより交流電圧が印加される。これにより圧電素子64は、霧化方向に超音波振動する。圧電素子64の材質には、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等が使用できる。リザーバ室20やホルダー部材16と接合した後で空気に露出している圧電素子64の表面には、パリレンコートやシリコンコート等の防湿膜が形成される。
【0030】
なお圧電素子64とリザーバ室20は、図示しない電気絶縁板により電気的に絶縁されている。よって静電霧化を行うために電源19aによってリザーバ室20に印加される直流高電圧と、超音波振動を行うために圧電素子駆動電源19dによって圧電素子64に印加される交流電圧は、完全に分離されている。
【0031】
薬液搬送機構部4には、霧化室30の霧化方向後方に位置する送風部4aと、霧化室30の霧化方向前方に位置する薬液ガイド部4bが設けられている。
この送風部4aには、霧化方向において霧化室30の後方(端面28cよりも後方)に位置する送風室40と、送風室40に設けられている小型の送風部であるファン41と、ファン41の霧化方向後方に位置する面42に設けられている着脱交換可能なフィルター部材43が設けられている。送風室40には、薬液供給針21が位置している。ファン41は、制御部19cにより、回転数と動作開始、動作停止を制御されている。ファン41は、フィルター部材43によってゴミ等を除去されたクリーンな空気をホルダー部材16外部から送風室40内に吸引する。なお吸引された空気は、送風室40から空間25を介して霧化室30に流入させられる。このように送風部4aは、送風室40から霧化室30を介して部位6に向けて送風することで、霧化された薬液11(薬液微粒子27)を部位6に搬送する。
【0032】
薬液ガイド部4bには、可撓性の霧化チューブ32が設けられている。霧化チューブ32は、例えば体内の部位6に薬液11を投与する場合には、体内に挿入される。霧化チューブ32は、接続部33からチューブ本体部34まではテーパ形状をなし、接続部33の内面とチューブ本体部34の内面は、導電性膜又は導電性の金属部材等の導電性部材35により覆われている。導電性部材35は、チューブ本体部34に形成された薬液霧化放出口部37から所定量だけチューブ本体部34内部に入り込んだ位置まで形成されており、先端部36の内面には形成されていない。霧化チューブ32は、螺合により接続端子33aを介して霧化室30に着脱可能に接続されている。霧化チューブ32が霧化室30に取付けられた際に、導電性部材35は、接続端子33aを介して導電性部材31と接続する。そのため上述したように導電性部材31に導電性部材電源19bにより薬液微粒子27と同電位となる電圧が印加されると、導電性部材35にも、導電性部材電源19bにより薬液微粒子27と同電位となる電圧が印加される。これにより霧化チューブ32内面は、霧化室30内面と同様に薬液微粒子27と同電位となる。
【0033】
チューブ本体部34は、任意の長さを有する。上述した薬液11は、霧化室30からチューブ本体部34を通り、薬液霧化放出口部37から部位6に放出される。薬液霧化放出口部37は、薬液11が放出される時には薬液11を投与したい部位6に近接対向して配置される。
【0034】
部位6には、電源19aのグランド側が図示しないリストバンド等により接続されている。
【0035】
次に本実施形態における動作方法について説明する。
薬液カートリッジ10に所定量の薬液11が充填される。薬液11が充填された薬液カートリッジ10は、栓12によって略密閉状態となる。次に栓12が底面部18に当接するように、薬液カートリッジ10は手動にて押圧されてホルダー部材16によって保持される。その際、薬液供給針21が、凹部13を貫通し、薬液カートリッジ10に刺しこまれる。
【0036】
薬液11は、毛細管現象によって薬液カートリッジ10から薬液供給針21を経由してリザーバ室20に供給される。
【0037】
上述したようにリザーバ室20、異形開口部形成板74には、電源19aにより、プラスの直流高電圧(例えば、約1kV〜約10kV程度)が印加される。そのため薬液11は、帯電する。また霧化室30内、霧化チューブ32内において、導電性部材電源19bにより、導電部材31,35には、薬液微粒子27と同電位となる電圧が印加される。また部位6には、電源19aのグランドが接続される。
【0038】
この後、圧電素子64に、圧電素子駆動電源19dにより交流電圧が印加されると、圧電素子64はリザーバ室20を超音波によって振動させる。この超音波振動は、リザーバ室20内の薬液11に伝播する。また圧電素子64は、リザーバ室20を介して異形開口部形成板74を、さらに異形開口部形成板74を介して異形開口部76の薬液11に形成される空気と薬液界面(メニスカス)を超音波によって振動させる。メニスカスが超音波振動されると、キャピラリー波がメニスカス表面に伝播し、波頭により霧化された薬液が先鋭部75から吐出される。先鋭部75は、十分に小さな鋭角を有している。そのため約数μmの粒径を有する薬液微粒子27が異形開口部76から安定的に吐出される。薬液微粒子27の吐出量は、薬液カートリッジ10における薬液11の消費量と一致する。
【0039】
なおキャピラリー波を効率よく伝播する部位は、先鋭部75に集中する。そのため先鋭部75から約数μmの粒径を有する薬液微粒子27が勢い良く吐出される。なお先鋭部75は、十分に小さな鋭角を有することにより、薬液11の霧化をより安定化させる。よって約数μmの粒径を有する薬液微粒子27は、安定的に吐出される。なお吐出される薬液微粒子27は帯電している。
【0040】
このとき、制御部19cによってファン41が作動している。ファン41は、フィルター部材43を経由して外部から空気をホルダー部材16内に取り込み、送風室40から空間25を経由して霧化室30に流入させる。異形開口部76から吐出され、上述したように帯電されている薬液微粒子27は、流入した空気によって霧化方向に流れ、霧化室30からさらに霧化チューブ32に流入される。
【0041】
帯電されている薬液微粒子27は、導電性部材31によって薬液微粒子27と同電位に帯電している霧化室30と、導電性部材35によって同じく薬液微粒子27と同電位に帯電している霧化チューブ32とに反発する。そのため薬液微粒子27は、異形開口部76から素早く薬液霧化放出口部37に送達される。また薬液微粒子27は、上述したように霧化室30と、霧化チューブ32とに反発するため、霧化室30、及び霧化チューブ32に滞留することはない。そのため薬液微粒子27は、霧化チューブ32によってガイドされて薬液霧化放出口部37から外部に無駄なく放出される。
【0042】
放出された薬液微粒子27は、薬液霧化放出口部37に最も近いグランドの部位6に速やかに無駄なく送達され、直接的に吸着する。なお微細な薬液微粒子27は、部位6が例えば肺の深部に位置していても無駄なく直接的に吸着する。本実施形態は、薬液11を帯電させ、超音波振動によって霧化状の薬液(薬液微粒子27)を生成することで、部位6が例えば肺の深部に位置していても薬液11を無駄なく投与することができる。
【0043】
このように本実施形態は、リザーバ室20内の薬液11と接触する面に先鋭部75を有する異形開口部76を形成し、この先鋭部75から霧化した薬液11を吐出させる。さらに本実施形態は、先鋭部75の数を増加させることにより、薬液微粒子27の吐出量を増加させる事ができる。そのため本実施形態は、例えば数μmの微細な孔を複数形成して薬液11を霧化させる形態とは異なり、比較的大きな開口であっても霧化量を減少させることなく薬液11を霧化することができる。
【0044】
また、薬液11と接触する面に設けられる孔の大きさは比較的大きくても薬液11を霧化することができるので、薬液11の乾燥や不純物の析出による詰まりを防止することができる。これにより本実施形態は、長期間にわたって安定して霧化した(微細な)薬液11を部位6に放出することができる。また本実施形態は、詰まることを防止しているためにメンテナンスの回数は少なくてすむ。そのため本実施形態は、ランニングコストを抑えることができ、安価にすることができる。なお本実施形態における異形開口部76の大きさは、異形開口部76によってメニスカスを維持できる程度でよい。
【0045】
また薬液11には、分散粒子が混在する場合もある。例えば異形開口部形成板74に約数μmの微細な孔を形成し薬液11を霧化させようとすると、詰まりを起し、霧化が停止してしまう虞がある。しかしながら本実施形態は、上述したように詰まりを防止することができるので、分散粒子を含む薬液も使用することができ、薬剤投与に対する自由度を高くすることができる。
【0046】
また本実施形態において、霧化室30に露出する異形開口部形成板74には、撥水性の膜が形成される。この撥水性の膜によって、薬液11は確実に異形開口部76にメニスカスを形成するため、本実施形態は、薬液11が霧化室側に漏れて付着することを防止することができる。
【0047】
本実施形態は、先鋭部75の数を増減させることにより、薬液微粒子27の吐出量を調整することができ、且つ安定させる事ができる。
【0048】
また本実施形態は、圧電素子64に印加する交流電圧をより高い周波数とすることにより微細な粒径を有する薬液微粒子27を吐出することができる。また圧電素子64に印加される交流電圧の周波数を、リザーバ室20、異形開口部形成板74等を含めた構造を共振する際の周波数と一致させることで、より効率良く(入力電力に対して大きな振動変位を得られる)超音波振動を発生でき、微粒子化を促進させることができる。
【0049】
また本実施形態は、超音波振動によって薬液11を霧化させる際に、静電霧化によって薬液11を霧化させるよりも粒径の小さい薬液微粒子27を容易に吐出させることができる。例えば肺といった部位6に薬液11が投与される場合、肺の末端に位置する肺胞に到達するには、薬液微粒子27の粒径は、約1μm〜約5μmであることが必要である。本実施形態では、数μmの粒径を有する薬液微粒子27を吐出させることができるために、肺に到達できる薬液投与装置に搭載することができる。
【0050】
本実施形態は、ファン41により外部からフィルター部材43を介して空気を取り込む際に、クリーンな空気により薬液微粒子27を送達する事ができ、部位6に対しても安全である。また本実施形態は、フィルター部材43に例えば滅菌フィルター等を適用する事により、より高い清浄度を有するクリーンな空気により薬液微粒子27を搬送する事ができる。
【0051】
本実施形態は、霧化室30に対して霧化チューブ32を着脱可能である。そのため薬液11を投与する部位6が例えば生体内である場合、生体内に挿入される霧化チューブ32のみを廃棄し、静電霧化を行う霧化室30は、洗浄後再利用することができる。もちろん本実施形態は、霧化チューブ32を洗浄して再利用しても良い。
【0052】
また本実施形態は、霧化チューブ32の長さは任意に設定できるため、接続部33とホルダー部材16は部位6の外部に配置する事ができる。
【0053】
導電性部材35は、先端部36には形成されていないために、導電性部材35は部位6とは直接接触せず、生体に対して安全である。
【0054】
本実施形態は、薬液カートリッジ10に異なる薬液11を充填し、底面部18に複数の薬液供給針21を設けて切り換え式にする事により、様々な薬液11を部位6に投与する事ができる。
【0055】
異形開口部形成板74には、所定量の薬液11が毛細管現象によって薬液カートリッジ10から薬液供給針21、リザーバ室20を介して供給される。そのため本実施形態は、異形開口部形成板74に供給された薬液をすべて霧化することができる。よって本実施形態は、薬液11の無駄を防止することができる。
【0056】
なお本実施形態は、薬液11を用いて説明したがこれに限定する必要はなく、他の液体であっても良い。
【0057】
次に本実施形態に係る第1乃至第5の変形例について図6乃至図10を参照して説明する。図6は、異形開口部形成板における第1の変形例を示す図である。図7は、異形開口部形成板における第2の変形例を示す図である。図8は、異形開口部形成板における第3の変形例を示す図である。図9A乃至図9Bは、異形開口部形成板における第4の変形例を示す図である。図10は、異形開口部形成板における第5の変形例を示す図である。
【0058】
図6に示すように異形開口部形成板74には、複数の小さい異形開口部76が形成されている。本変形例の異形開口部76の形状は、前述した第1の実施形態における異形開口部76の形状と略同一である。このように本変形例の異形開口部76の大きさが、図4に示す異形開口部76の大きさに比べて小さくなっても、本変形例は、複数の先鋭部75を有することで安定した約数μmの粒径を有する薬液微粒子27を超音波振動によって吐出させることができる。また本変形例は、複数の異形開口部76を異形開口部形成板74の全面に設ける事により、例えば第1の実施形態に比べて広い面積から大量の薬液微粒子27を吐出できる。これにより薬液微粒子27の吐出量は、例えば第1の実施形態に比べて増加する。本変形例は、薬液11を短時間に部位6に投与したい場合や、局所に集中して多量に投与したい場合などに有効である。
【0059】
また図7に示すように異形開口部形成板74には、複数の鋭角な先鋭部75を有する長溝形状の異形開口部76が設けられていてもよい。先鋭部75は、互いに対向している。よって本変形例は、先鋭部75から2列にて霧化された薬液微粒子27を吐出することができる。これにより本変形例は、薬液11を詰まらせることなく、より多量の薬液微粒子27を吐出することができる。
【0060】
また図8に示すように異形開口部形成板74には、長溝形状の異形開口部76が複数設けられていてもよい。先鋭部75は、異形開口部76に形成された気液界面の周縁から内側(異形開口部形成板74の周縁から内側)に向かって延びており、互いに対向して配置されている。異形開口部76は、点対称に形成されている。よって本変形例は、薬液11を詰まらせることなく、また中心部から周辺部にわたって先鋭部75から複数列にて霧化された薬液微粒子27を第2の変形例よりも多く吐出することができる。なお本変形例において、異形開口部76の配置位置、数は限定されない。
【0061】
図9Aに示すように異形開口部形成板74には、中心部に略円形状の異形開口部76が設けられている。この異形開口部76は、図9Bに示すように、複数の鋭角な先鋭部91を有する例えば板状の部材92a,92bによって覆われている。部材92a,92bが位置する面が、霧化室30に露出する。部材92a,92bは、それぞれの先鋭部91が互い違いに配置されるように異形開口部形成板74に接合されている。このように本変形例は、部材92a,92bを組み合わせることで異形開口部76を形成している。これにより上述したように、本変形例は、薬液11を詰まらせることなく微細化して吐出することができる。なお部材92a,92bは、先鋭部91が設けられていない場合、例えば矩形である。
【0062】
また図10に示すように異形開口部形成板74には、鋭角ではない先鋭部を有する異形開口部76が設けられている。異形開口部76は、第1の開口部76a、第2の開口部76b、第3の開口部76cを足し合わせた構成である。
【0063】
異形開口部76の形状を具体的に説明すると、略円形状の開口部を平行な2本の直線90a,90bによって切った際に、直線90aとの接点を接点90d,90e、直線90bとの接点を接点90f,90gとする。接点90d,90eを結ぶ曲線において短い曲線を曲線90hとする。接点90f,90gを結ぶ曲線において短い曲線を曲線90iとする。第1の開口部76aは、直線90aと曲線90hによって囲まれている。第2の開口部76bは、直線90bと曲線90iによって囲まれている。第3の開口部76cは、第1の開口部76aと第2の開口部76bの間(直線90a,90b)に設けられている。略円形状の第3の開口部76cは、直線90aと2点で接している。この接点を接点90k,90lとする。また第3の開口部76cは、直線90bと2点で接している。この接点を接点90m,90nとする。本変形例の異形開口部76は、この第1の開口部76a、第2の開口部76b、及び第3の開口部76cとを足し合わせた形状をしている。なお第1の開口部76a、第2の開口部76bは、略半円形状や扇形であっても良い。
【0064】
接点90k,90l,90m,90nには、鋭角ではない突起部75aが互いに対向して形成される。ただし突起部75aは、薬液11を霧化するのに十分に先鋭な角を有している。本変形例のように、突起部75aが鋭角ではない形状であっても、突起部75aが十分に先鋭であれば薬液11を霧化状にすることができる。
【0065】
なお異形開口部76の形状は、上述した形態に限定する必要は無く、異形開口部76が先鋭部を有していれば、本実施形態は、異形開口部76の形状の影響されること無く、薬液11を霧化状にすることができる。
【0066】
次に図11を参照して本発明に係る第2の実施形態について説明する。
図11は、本実施形態における超音波霧化装置の概略図である。前述した第1の実施形態と同様の部分には同じ符合を付し、その詳細な説明については省略する。本実施形態における超音波霧化装置1は、前述した第1の実施形態と同様に超音波振動によって、微細な薬液微粒子27を放出する。また本実施形態における超音波霧化装置1の薬液保持部2と、異形開口部形成板74と、薬液搬送機構部4と、計量部5は、前述した第1の実施形態における超音波霧化装置1と略同様の構成であるために詳細な説明については省略する。
【0067】
本実施形態における超音波霧化装置1には、前述した第1の実施形態における超音波霧化装置のリザーバ室20において、圧電素子64の代わりに超音波を発生させるランジュバン型超音波振動子78が隣接して設けられている。このランジュバン型超音波振動子78は、図示しない電気絶縁部材を介して端面28bに接合され、またファン41の送風方向前方に位置している。
薬液供給針21は、リザーバ室20の端面28dに設けられており、リザーバ室20は、薬液供給針21を介して霧化方向中心軸に沿って霧化室30に保持されている。
【0068】
ランジュバン型超音波振動子78には、共振器80aと、共振器80bと、圧電素子81とが設けられている。共振器80aの一面は、一端がリザーバ室20の内部に露出し、薬液11に直接接触している。この共振器80aには、振動変位を拡大するステップ段差部82が設けられている。ステップ段差部82の端面83には、後述する圧電素子81が霧化方向に超音波振動を行った際に、リザーバ室20内の薬液11に超音波を照射する超音波放出面84が設けられている。共振器80aは、共振器80aの他面(リザーバ室20の内部に露出しない面)において後述する圧電素子81の一面と固定している。この圧電素子81は、圧電素子81の他面(共振器80aと接しない面)において共振器80bと固定している。共振器80bは、ファン41の前方に位置する。共振器80bは、後述する圧電素子81と同様にドーナツ形状であり、材質には超音波振動による疲労破壊に強いステンレス、又はチタン合金が好適である。共振器80a,80bは、それぞれ共振器駆動電源19eと接続している。共振器80a,80bには、共振器駆動電源19eにより交流電圧が印加される。交流電圧が印加された共振器80a,80bは、後述するように圧電素子81が霧化方向に超音波振動した際に、ステップ段差部82によって圧電素子81の振動変位を拡大する。この拡大率は、例えばステップ段差部82の段差比率やステップ段差部82の軸方向長さといったステップ段差部82の形状によって決定される。圧電素子81は、上述したように両端面において、共振器80a,80bによって挟みこまれている。共振器80a,80b、圧電素子81は、例えば接着剤により固定され、内部を貫通するボルトにより螺合されている。圧電素子81は、前述した第1の実施形態における圧電素子64と同様である。圧電素子81は、霧化方向に分極されているドーナツ形状であり、圧電素子64と同形状である。圧電素子81の両端面には、銀、又はニッケル電極が形成されている。圧電素子駆動電源19dにより交流電圧が圧電素子81に印加されると、圧電素子81は、霧化方向に超音波振動を行う。この超音波は、上述したように超音波放出面84からリザーバ室20内の薬液11に伝播される。圧電素子81の材質には、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等が使用できる。なお、圧電素子81は2枚構成で使用される場合が有り、このときは圧電素子81の分極方向を対向して配置される。そして、圧電素子81の向き合う電極にプラス、両端面の位置する共振器80a,80bに接触する電極をマイナスとして使用する場合が多い。
【0069】
なおランジュバン型超音波振動子78が、図示しない電気絶縁部材を介して端面28bに接合された後、空気に露出している圧電素子81表面には、パリレンコートやシリコンコート等の防湿膜が形成される。
【0070】
次に本実施形態における動作方法について説明する。
本実施形態では、超音波が発生する際の動作のみが前述した第1の実施形態と異なるために、この箇所のみ説明する。
【0071】
本実施形態における超音波振動の拡大率は、上述したようにステップ段差部82のステップ段差比率やステップ段差部82の軸方向長さ等の形状寸法により設定される。よってランジュバン型超音波振動子78は、リザーバ室20内の薬液11に対して圧電素子81によって前述した第1の実施形態より大きな振動変位を有する超音波振動を行う。これにより異形開口部76のメニスカスに前述した第1の実施形態より強力なキャピラリー波が発生するため、前述した第1の実施形態より薬液微粒子27の吐出量が増加する。
【0072】
本実施形態は、超音波振動の拡大率をステップ段差部82の形状によって設定できるため、前述した第1の実施形態より大きな振動変位を有する超音波振動を行うことができる。これにより本実施形態は、薬液微粒子27の吐出量を前述した第1の実施形態より増加できるために、部位6に対して短時間に多量の薬液11を投与することができる。また本実施形態は、前述した第1の実施形態に比べて直径が小さい薬液微粒子27を容易に発生させる事ができるため生体にのみ、局所的に薬液を投与する事ができる。
【0073】
次に図12乃至図14を参照して本発明に係る第3の実施形態について説明する。
図12は、本実施形態における先鋭突起形成板の斜視図である。図13は、先鋭突起形成板の断面図である。図14は、本実施形態において薬液が霧化される際の先鋭突起部の概略図である。前述した第1の実施形態と同様の部分には同じ符合を付し、その詳細な説明については省略する。本実施形態における薬液保持部2と、圧電素子64を有する超音波発生部3aと、薬液搬送機構部4と、計量部5は、前述した第1の実施形態と略同様の構成であるために詳細な説明については省略する。
【0074】
本実施形態における超音波霧化装置1は、前述した第1の実施形態における超音波霧化装置の霧化板3bにおいて、異形開口部形成板74の代わりに先鋭突起形成板96を設けている。先鋭突起形成板96は、リザーバ室20の一方の端面(前面)に接合されている。
【0075】
図12に示すように先鋭突起形成板96において、台座98は、シリコン製の基板である。台座98の端面100は、霧化室30に露出する。図13に示すように、この端面100上には、周縁部に設けられた縁によって薬液を保持する開口が形成されており、当該開口中には、エッチング加工により微小な複数の先鋭突起(先鋭部)102が形成されている。先鋭突起102は、薬液11の深さ(霧化)方向から気液界面に向かって延びており、端面100からメニスカスに向かって形成された突起である。先鋭突起102の先端部分104は、約数十nmの径を有している。台座98内には、先鋭突起102とリザーバ室20を接続する接続経路105が設けられている。薬液カートリッジ10から薬液供給針21を介してリザーバ室20に供給された薬液11は、接続経路105を経由して先鋭突起102にまで流入する。さらに、端面100及び先鋭突起102の表面には親水性コートが施されており、薬液11は、図14に示すように先端部分104にまで移送される。その際、第1の実施形態と同様にリザーバ室20には、電源19aによりプラスの直流高電圧が印加される。これによりリザーバ室20に接合している先鋭突起形成板96にもプラスの直流高電圧が印加され、薬液11は帯電する。この帯電した薬液11へ向けて圧電素子64が超音波を照射することによって、先端部分104とともに先端部分104と接触する薬液11が振動する。これによって、図14に示すように、薬液11は帯電された薬液微粒子27として先端部分104から霧化室30に吐出される。
【0076】
このように本実施形態は、先端部分104から薬液11を霧化して吐出させるので、薬液11の詰まりを防止することができる。さらに、先鋭突起102の数を調節することによって薬液微粒子27の吐出量を調節することができ、複数の先鋭突起102を設けた場合には多量の薬液微粒子27を霧化室30に吐出することができる。
【0077】
本実施形態は、半導体製造技術により台座98に無数の先鋭突起102を形成することが可能である。このため本実施形態は、端面100から超音波振動によって多量の薬液微粒子27を吐出することが可能である。このように、先鋭突起102を有する形状であっても第1の実施形態と同様に薬液11を霧化して吐出することができる。
【0078】
なお本実施形態では、接続経路105を先鋭突起102の間に配置したが、これに限定する必要はなく、接続経路105が、先鋭突起102の周縁部に形成されていても構わない。また例えば図15に示すように接続経路105が、先鋭突起形成板96内に形成されず、先鋭突起102の周縁部に薬液11が滲みでる幅約100μmを有する開口部114が設けられていてもよい。このように薬液11が先鋭突起102近傍にまで流入し、薬液11が端面100及び先端部分104を浸たすのであればその形状は限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1は、第1の実施形態における超音波霧化装置の概略図である。
【図2】図2は、霧化された薬液が搬送される方向から見た際の異形開口部形成板の図である。
【図3】図3は、圧電素子の斜視図である。
【図4】図4は、異形開口部形成板の概略図である。
【図5】図5は、薬液が霧化される際の微細開口部形成板の先端部付近の概略図である。
【図6】図6は、異形開口部形成板における第1の変形例を示す図である。
【図7】図7は、異形開口部形成板における第2の変形例を示す図である。
【図8】図8は、異形開口部形成板における第3の変形例を示す図である。
【図9A】図9Aは、異形開口部形成板における第4の変形例を示す図である。
【図9B】図9Bは、異形開口部形成板における第4の変形例を示す図である。
【図10】図10は、異形開口部形成板における第5の変形例を示す図である。
【図11】図11は、第2の実施形態における超音波霧化装置の概略図である。
【図12】図12は、第3の実施形態における先鋭突起形成板の斜視図である。
【図13】図13は、先鋭突起形成板の断面図である。
【図14】図14は、薬液が霧化される際の先鋭突起部の概略図である。
【図15】図15は、先鋭突起形成板における変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0080】
1…超音波霧化装置、2…薬液保持部、3a…超音波発生部、3b…霧化板、4…薬液搬送機構部、4a…送風部、4b…薬液ガイド部、5…計量部、6…部位、9…メモリ、10…薬液カートリッジ、11…薬液、12…栓、13…凹部、14…開口部、15…連通部材、16…ホルダー部材、17…開口部、18…底面部、19a…電源、19b…導電性部材電源、19c…制御部、19d…圧電素子駆動電源、19e…共振器駆動電源、20…リザーバ室、21…薬液供給針、24…支持部材、25…空間、27…薬液微粒子、28b…端面、28c…端面、28d…端面、30…霧化室、30a…内面、31…導電性部材、32…霧化チューブ、33…接続部、33a…接続端子、34…チューブ本体部、35…導電性部材、36…先端部、37…薬液霧化放出口部、40…送風室、41…ファン、42…面、43…フィルター部材、64…圧電素子、65…開口部、72…側面、74…異形開口部形成板、75…先鋭部、75a…突起部、76…異形開口部、76a…第1の開口部、76b…第2の開口部、76c…第3の開口部、78…ランジュバン型超音波振動子、80a…共振器、80b…共振器、81…圧電素子、82…ステップ段差部、83…端面、84…超音波放出面、90a…直線、90b…直線、90d,90e,90f,90g…接点、90h…曲線、90i…曲線、90j…曲線、90k,90l,90m,90n…接点、91…先鋭部、92a,92b…部材、96…先鋭突起形成板、98…台座、100…端面、102…先鋭突起、104…先端部分、105…接続経路、114…開口部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波による振動を利用して液体を霧化する超音波霧化装置において、
前記超音波を前記液体に照射して前記液体を振動させる超音波発生部と、
前記超音波発生部によって振動される前記液体に接触し、前記液体の気液界面の形状を規定するとともに、前記気液界面の周縁から内側に向かって延びる、または、前記液体の深さ方向から前記気液界面に向かって延びる先鋭部を有する霧化板と、
を具備することを特徴とする超音波霧化装置。
【請求項2】
前記霧化板は、前記気液界面の形状を規定する開口部を有することを特徴とする請求項1に記載の超音波霧化装置。
【請求項3】
前記霧化板は、複数の板によって構成されるものであって、
前記開口部は、複数の前記板を組み合わせることによって形成されることを特徴とする請求項2に記載の超音波霧化装置。
【請求項4】
前記開口部は、前記霧化板に複数設けられることを特徴とする請求項2に記載の超音波霧化装置。
【請求項5】
前記先鋭部は、前記気液界面の周縁から内側に向かって延びていることを特徴とする請求項1に記載の超音波霧化装置。
【請求項6】
前記先鋭部は、メニスカスに向かって形成された突起であることを特徴とする請求項1に記載の超音波霧化装置。
【請求項7】
前記超音波発生部は、前記液体を保持する液体保持部に隣接して配置される圧電素子、又はランジュバン型超音波振動子を有することを特徴とする請求項1に記載の超音波霧化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−168222(P2008−168222A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4683(P2007−4683)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】