説明

超音速軽飛行乗物

本発明は、超音速及び30,000フィートから宇宙空間への高度のために最適化された軽宇宙飛行乗物を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員及び積み荷を軌道に乗せるための軽超音速飛行乗物及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高度を得てロケット燃料を節約するために、気球の浮力を利用して、高い高度で気球からロケットを発射することが、技術分野でよく知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
米国特許第6,119,983号及び同第6,357,700号は、浮揚用気体、即ち水素を、球形の飛行船/宇宙船を軌道に乗せる動力を供給する燃料として使用することを教示する。その中で示唆される飛行船/宇宙船は、地球表面から軌道までずっと移動する。超音速のためには、球形は、高い抵抗が効率を減少させるので、理想的でない。
【0004】
本発明者は、軽飛行乗物が、大気圏上層部及び宇宙空間での超音速飛行のために最適化された従来技術を知らない。
本発明者は、効率的な超音速飛行のための形状を有する軽飛行乗物を知らない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、乗員及び積み荷を、従来の宇宙船に関連する強いスラスト荷重にさらすことなく、約30,000フィートから軌道へ効率よく移動させる手段を提供することにある。
【0006】
本発明の更なる目的は、約30kmの高度で亜音速で始まり、効率的に軌道速度及び軌道高度に達し、ペイロード及び乗員を運び、決定された期間巡航し、そして30km近くの高度に制御された降下を行いながら亜音速に減速することができる、軽飛行宇宙乗物200を提供することにある。宇宙乗物200の特徴は、その形状が、揚抗比を改善し、且つ宇宙乗物200の音速でのより高い効率を可能にするものである。本発明の他の特徴は、宇宙乗物200が、熱分散のための荷重外皮1の広い表面を用いて軌道高度および速度から安全に降下することができ、再利用することができることである。
【0007】
宇宙乗物200の他の特徴は、他の飛行船100及び宇宙船と合体させることができることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、図5の宇宙乗物200を含み、30,000フィートから宇宙空間へ、超音速及び高度のために最適化されている。
宇宙乗物
1 荷重外皮及び骨組み
2 ガス容器及び移動
3 動力貯蔵、生産、及び分配
4 スラスト生産
5 指令及び制御航空電子工学
6 生命維持
7 ペイロード維持
【0009】
1 荷重外皮及び骨組み
構造的剛性及び荷重伝達が、荷重外皮1の主な機能である。マッハ1からより高速への経路は、外皮1の形状を変形させる可能性のある、外皮1の外側の動圧力を置く。この外皮1の形状は、骨組み7のタイプ及び配置による変形と、骨組み7内で圧力を変化させる能力を考慮に入れる。
【0010】
荷重外皮1の好ましい形状は、くさびのようなものである。くさびの円錐角は、約15度程度であり、よいCFDアプリケーションでの解析によって決定される。
【0011】
この乗物の骨組み7は、或るセクションでの炭素複合ポールと及び連結部を含んでもよい。好ましくは、骨組み7は、荷重外皮に使用されるのと同様の、一組の繊維の加圧チューブであってもよい。様々な圧力が必要とされるようなので、様々な繊維が使用されるであろう。
【0012】
2 ガス容器及び移動
バッフル5が、リフトセル3及び補助気嚢セル2を分離する責務を行う。ポンプ4,6は、セル3からの浮揚用気体を除去し、加圧タンク8にそれを貯蔵するためにある。これらのユニットは、乗物200が、非常に高い高度で且つ比較的低速で動作しているとき、荷重外皮1の過圧を減少するのを助ける。
【0013】
3 動力貯蔵、生産、及び分配
宇宙乗物200は、動力貯蔵及び生産のための装置を使用し、また、ACグリッドを含む。DCグリッドが、AC経路でより小さい領域グリッドに分割され、ACグリッドは、それらの領域グリッドを、より大きな距離にわたって連結する。これは、AC/DC変換器、RFI保護手段、及び他の既知の構成要素を必要とする。
【0014】
4 スラスト生産
宇宙乗物200は、スラストを生産するシステムを船上に有する。小さい化学燃料ロケット及び電気プラズマ/ガススラスターが、高度変更を管理するのに必要であろう。
【0015】
好ましい実施形態では、この乗物は、乗物を高い高度及び高速に押し出すように取り付けられた比較的大きな化学燃料ロケット9を有する。これらのロケットは、軌道に到達するのに必要ないくつかの大部分の速度及び高度に乗物を押し出す。それが終了すると、電気プラズマエンジンが取って代わり、必要な残りの運動量を配達する。化学燃料エンジン9の操作と電気エンジンとの間の切換点は、乗物の設計に依存し、更に決定されければならない。電気エンジンは、宇宙乗物200がほぼ軌道に乗るまで、おそらく使用されない。
【0016】
5 指令及び制御航空電子工学
制御ユニットが、エンジン、ポンプ、及びモータを制御するために、tcp/ipネットワークに取り付けられる。
【0017】
6 生命維持
熱分散が、人工衛星の場合と同様に、遮光及び冷却流体によって管理される。炭素壁を厚くし且つ堅くすることは、放熱保護を提供する。
【0018】
7 ペイロード維持
通信ハードウェアが、ドップラー偏移を軌道速度で処理するが、ペイロードはその複雑さからは隔離される。
【0019】
前述の記載は、本発明の単なる例示的な実施形態を開示し、記載する。当業者は、そのような解説及び添付図面及び請求項から、次の請求項で定められるように本発明の精神及び範囲から逸脱しない範囲で、様々な変更、改造、及び変形がなされてもよいことは、容易に認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】上昇乗物100を示す図である。
【図2】上昇乗物100の飛行輪郭を示す図である。
【図3】合体操縦を行っている2つの上昇乗物100を示す図である。
【図4】乗物100,200の内部構成部品を示す図である。
【図5】宇宙乗物200を示す図である。
【図6】宇宙乗物200の飛行輪郭を示す図である。
【図7】上昇乗物100に向かう、宇宙乗物200の低巡航進入を示す図である。
【図8】上昇乗物100と合体する宇宙乗物200を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a. 骨組みと、
b. 前記骨組みに取り付けられた推進手段と、
c. 前記骨組みに固定的に取り付けられ、海抜30キロメートルより高い高度で超音速移動するのに最適に形状付けられ、頂部及び底部を有する荷重外皮であって、
i. 軽飛行乗物に浮力を提供する前記荷重外皮頂部に隣接して、空気より軽い浮揚用気体を含有する浮揚用気体セルと、
ii. 前記荷重外皮又は前記骨組みに取り付けられた浮揚用気体ポンプと、
iii. 前記浮揚用気体セルを前記浮揚用気体ポンプに連結し、前記乗物の浮力及び高度を変更するように、浮揚用気体を浮揚用気体セルに送り出したり、浮揚用気体セルから汲み上げたりすることができる配管と、を含む荷重外皮と、
d. 前記荷重外皮または前記骨組みに固定的に取り付けられた浮揚用気体タンクと、
e. 前記浮揚用気体タンクを前記浮揚用気体ポンプに連結する配管と、
f. 前記荷重外皮を加圧する手段と、
g. バルブ、前記浮揚用気体ポンプ、他のポンプ、及び前記推進手段のための制御ユニットを含む制御システムと、
h. 動力生産及び貯蔵のための手段と、を含む、
ことを特徴とする軽飛行乗物。
【請求項2】
前記乗物は、超音速からマッハ25を超える速度まで加速することができる、
請求項1に記載の乗物。
【請求項3】
前記推進手段は、
a. 化学燃料ロケットエンジン及び電気プラズマエンジンと、
b. 前記骨組みに固定的に取り付けられた推進剤タンクと、
c. 前記推進剤タンクを前記エンジンに連結する配管と、を含む、
請求項1に記載の乗物。
【請求項4】
前記推進手段は、
a. 前記乗物に主加速手段を提供することができる、大きな化学燃料ロケットエンジン及び電気プラズマエンジンと、
b. 前記乗物の高度を変更することができる、小さな化学燃料ロケット、電気プラズマスラスター、またはガススラスターと、
c. 前記骨組みに固定的に取り付けられた推進剤タンクと、
d. 前記推進剤タンクを前記エンジン及びスラスターに連結する配管と、を含む、
請求項1に記載の乗物。
【請求項5】
遮光され、温度制御されたキャビンと、有人宇宙飛行を維持することができる生命維持システムと、を更に含む、
請求項1に記載の乗物。
【請求項6】
前記制御ユニットは、tcp/ipネットワークに連結する、
請求項1に記載の乗物。
【請求項7】
前記制御システムは、ポンプが、バラストガスを、前記荷重外皮または補助気嚢に送り出したり、前記荷重外皮または補助気嚢から汲み上げたりすることによって、前記荷重外皮上の外部荷重を補償する、
請求項1に記載の乗物。
【請求項8】
動力貯蔵及び生産のための前記装置は、
a. ACグリッドと、
b. AC経路によって大きな距離にわたって連結された複数の領域DCグリッドを含むDCグリッドと、
c. AC/DC変換器と、
d. RFI保護手段と、を含む、
請求項1に記載の乗物。
【請求項9】
前記骨組みは、強度−重量比が高い材料で作られたポール及び連結部を含む、
請求項1に記載の乗物。
【請求項10】
前記骨組みは、加圧繊維チューブと、炭素複合材料で作られたポール及び連結部と、を含む、
請求項1に記載の乗物。
【請求項11】
前記外皮の形状は、約15度のくさび状である、
請求項1に記載の乗物。
【請求項12】
前記荷重外皮は、前記荷重外皮頂部を前記荷重外皮底部に連結するバッフルを含む、
請求項1に記載の乗物。
【請求項13】
前記荷重外皮は、前記荷重外皮頂部を前記荷重外皮底部に連結する、膨らませることができるバッフルを含む、
請求項1に記載の乗物。
【請求項14】
前記浮揚用気体セルは、前記荷重外皮底部に固定的に取り付けられる、
請求項1に記載の乗物。
【請求項15】
a. 前記荷重外皮は、
i. 前記荷重外皮底部に隣接する気嚢セルと、
ii. 前記気嚢セルをバラストガスポンプに連結し、前記乗物の浮力及び高度を変更するように、バラストガスを前記気嚢セルに送り出したり、前記気嚢セルから汲み上げたりすることができる前記配管と、を追加的に含み、
b. バラストガスタンクは、前記骨組み又は前記荷重外皮に固定的に取り付けられ、
c. 配管は、前記バラストガスタンクを前記バラストガスポンプに連結する、
請求項1に記載の乗物。
【請求項16】
前記荷重外皮を加圧するための前記手段は、
a. 前記骨組みまたは前記荷重外皮に固定的に取り付けられたバラストガスタンクと、
b. 前記骨組み又は前記荷重外皮に固定的に取り付けられたバラストポンプと、
c. 前記バラストガスタンクを前記バラストポンプに連結する配管と、
d. 前記バラストポンプを前記荷重外皮に連結する配管と、を含む、
請求項1に記載の乗物。
【請求項17】
他の乗物及び宇宙船と合体する手段を更に含む、
請求項1に記載の乗物。
【請求項18】
一つの乗物から他の乗物にペイロードを移送する手段を更に含む、
請求項1に記載の乗物。
【請求項19】
ペイロードを軌道に運ぶ手段を更に含む、
請求項1に記載の乗物。
【請求項20】
a. 繊維の加圧チューブと、炭素複合材料で作られたポール及び連結部と、を含む骨組みと、
b. 推進手段であって、
i. 前記骨組みに固定的に取り付けられた推進剤タンクと、
ii. 前記乗物に主加速手段を提供することができる大きな化学燃料ロケットエンジン及び電気プラズマエンジンと、
iii. 前記乗物の高度を変更することができ、前記骨組みに取り付けられた、小さな化学燃料ロケット、電気プラズマスラスター、またはガススラスターと、
iv. 前記推進剤タンクを前記ロケット及び前記スラスターに連結する配管と、を含む推進手段と、
c. 前記骨組みに固定的に取り付けられ、海抜30キロメートルより高い高度で超音速からマッハ25を超える速度まで加速することができるように約15度のくさび状に最適に形状付けられ、頂部及び底部を有する荷重外皮であって、
i. 前記荷重外皮頂部を前記荷重外皮底部に連結するバッフルと、
ii. 前記荷重外皮頂部に隣接し、前記バッフルの間で前記荷重外皮底部に固定的に取り付けられ、前記乗物に浮力を提供する空気より軽い浮揚用気体を含む浮揚用気体セルと、
iii. 前記荷重外皮、前記バッフル、または前記骨組みに取り付けられた浮揚用気体ポンプと、
iv. 前記浮揚用気体セルを前記浮揚用気体ポンプに連結し、前記乗物の浮力及び高度を変更するように、浮揚用気体を前記浮揚用気体セルに送り出したり、前記浮揚用気体セルから汲み上げたりすることができる配管と、
v. 前記骨組み、前記荷重外皮、または前記バッフルに固定的に取り付けられた浮揚用気体タンクと、
vi. 前記浮揚用気体タンクを前記浮揚用気体ポンプに連結する配管と、
vii. 前記前記荷重外皮底部に隣接する気嚢セルと、
viii. 前記骨組み、前記荷重外皮、または前記バッフルに固定的に取り付けられたバラストガスポンプと、
ix. 前記気嚢セルを前記バラストガスポンプに連結し、バラストガスを、前記乗物の浮力及び高度を変更するように、前記気嚢セルに送り出したり、前記気嚢セルから汲み上げたりすることができる配管と、
x. 前記骨組み、前記バッフル、または前記荷重外皮に固定的に取り付けられ、配管によってバラストポンプに連結されるバラストガスタンクと、
xi. tcp/ipネットワークに連結され、バルブ、前記ポンプ、及び推進手段のための制御ユニットを含み、前記バラストポンプが、バラストガスを、前記荷重外皮または前記気嚢セルに送り出したり、前記荷重外皮または前記気嚢セルから汲み上げたりすることにより、前記荷重外皮上の外部荷重を補償する制御システムと、
xii. 動力貯蔵及び生産のための手段であって、
1. ACグリッドと、
2. AC経路によって大きな距離にわたって連結された複数の領域DCグリッドを含むDCグリッドと、
3. AC/DC変換器と、
4. RFI保護手段と、を含む動力貯蔵及び生産のための手段と、を含む荷重外皮と、
d. 前記骨組み及び有人宇宙飛行のための生命維持システムに固定的に取り付けられた、遮光され、温度制御されたキャビンと、
e. 他の乗物及び宇宙船と合体するための手段と、を含む、
ことを特徴とする軽飛行乗物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−539131(P2008−539131A)
【公表日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509189(P2008−509189)
【出願日】平成18年4月29日(2006.4.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/016336
【国際公開番号】WO2006/119056
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(507357140)ジェネラル オービタル コーポレイション (1)