説明

超高収率静注免疫グロブリン製剤

高収率で非変性の二重ウイルス不活性化静注ヒト免疫ガンマグロブリン(IgG)産物を産生する、効果的な大規模アルコール不含血漿分画生成プロセス。本プロセスは、2つの最初の分画段階で、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及び塩化アンモニウムを含む塩の群からの1以上の塩を使用し、続いて、使用した塩を除去するために透析ろ過を行う。開示する本発明の方法のプロセスを介したアルコールを用いるプロセスも開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、全般的に、免疫血清グロブリン精製の方法、より具体的には、アルコールを用いずに血漿又はその他の血液ベースの材料から免疫グロブリンを分離するための方法に関する。興味深いことに、本発明の方法はまた、アルコールを用いても使用することができる。
【背景技術】
【0002】
一般に、免疫グロブリン(IgG)を血漿又はその他の血液ベースの材料から分離するための現在の方法は、Edwin J.Cohnによる初期の研究による。米国特許第5,177,194号(Maria E.Sarnoら(SARNO)に対して1993年1月5日発行)で見出されるように、「広く使用されているあるスキームは、周知のCohn分画法であり、これは、冷エタノールを用いた分別沈殿に基づくものである。」。Cohnら、J.Am.Chem.Soc.68,459(1946)。
【0003】
米国特許第2,390,074号(Edwin J.Cohn(Cohn)に対して1945年12月4日発行)は、このような分画プロセスにおける、沈殿剤としての、アルコール、アセトン、ジオキサンの使用を開示した。引き続き、沈殿剤としてアルコールに依存しており、これは、米国特許第6,893,639 B2号(Joshua Levyら(Levy)に対して2005年5月17日発行)でさらに述べられており、ここで、「血漿からの免疫グロブリン精製の従来の工業的方法は、0℃以下の温度にて、あるアルコール濃度で、等電点に基づきタンパク質の群を共沈殿させる、冷エタノール分画に基づく。」と述べられている。
【0004】
Cohnらの研究は、凍結乾燥血漿の代わりとなるものとして、第二次世界大戦中に血漿増量剤としての使用のための安定した溶液が軍隊で必要とされたことにより刺激を受けた。結果として、Cohn法は、血漿増量剤に必要な浸透圧を与えるアルブミン分画を分離するための方法を最適化することに焦点を当てたものであった。
【0005】
とは言え、Cohnにより次のように説明されるように、アルコール沈殿剤の使用には困難な点がある:「アルコールなどのいくつかのタンパク質沈殿剤は、それらと接触する多くのタンパク質を変性させる傾向があり、変性のリスクはアルコール濃度に伴い上昇し、温度を上昇させる。多くのタンパク質に対して、タンパク質の変性を避けるために、血漿又はその他のタンパク質溶液と沈殿剤の混合において細心の注意を払う必要があることが分かっている。」。このため、IgG精製を含む、血漿及びその他の血液ベースの材料の分画のためのアルコール不含の方法を提供することが賢明であると考えられる。
【0006】
タンパク質の変性に対して、エタノールと水との組み合わせに対してさらに考慮すべき事柄があり得る。例えば、水500mLにエタノール(100%)500mLを添加する場合、50%エタノール1000mLを得られない。それどころか、最終体積はおよそ956mLとなる。体積の減少はエタノールと水分子との間の強力な結合によると推測される。このような結合は、タンパク質立体配置の変化の原因となり得、結果として、ある永久的なタンパク質分子の変性が起こり得、これはエタノールが除去され水が戻された後もなお残る。
【0007】
1970年代に、クロマトグラフィーが血漿タンパク質の分離及び精製において有用であることが分かった。クロマトグラフィーは、分子サイズ(ゲルろ過)、電荷(イオン交換クロマトグラフィー)及び特定の分子との既知の相互作用(アフィニティークロマトグラフィー)を含む、ユニークなそれぞれの性質を特異的に標的にすることによって血漿タンパク質を分離する。
【0008】
Cohn又はCohn法の変法により、血漿由来の、第VIII因子など、低重量の高値タンパク質の単離のために、及び、血漿からの分離後のガンマグロブリンの最終精製のために、工業スケールでの様々なクロマトグラフィー法が採用されてきた。しかし、工業スケールでの、アルブミン及びガンマグロブリンなどの、高重量、低値分画のクロマトグラフィー分離は実際的でないことが分かっている。
【0009】
それぞれ、2003年1月30日及び2003年7月10日に出願された、2つの米国特許出願(Edward Shanbromにより出願、出願番号20030022149(Shanbromの149)及び20030129167(Shanbromの167)は、血漿からの寒冷沈降物の形成を促進するための試薬としてカルボン酸塩(例えばクエン酸三ナトリウム)の使用を教示する。Shanbromの方法は、全般的に、寒冷沈降物からの血液凝固因子の生成を促進するための試薬としてクエン酸三ナトリウム及びその他のクエン酸塩を含む。
【0010】
Shanbromの’149は、段落0009において、「本発明の目的は、寒冷沈降物の高収率を提供することである。」と教示する。Shanbromはまた、段落0011において、寒冷沈降物からの血液凝固因子の生成を促進するためにカルボン酸が効果的な試薬であることを教示する。Shanbromの149は、血漿へのクエン酸の添加、特に2から10重量%の濃度での添加により、不安定なタンパク質を感知できるほどには変性させないと述べている。さらに、Shanbromの149において、クエン酸が、熱処理による微生物の殺菌を可能にするか又は促進することが述べられている。
【0011】
Shanbromの’167は、段落0015において、「クエン酸の添加により寒冷沈降物の量が増えるだけでなく、寒冷沈降物を回収するために血漿を凍結する必要が減少することによりプロセスが単純化される。」と述べている。Shanbromは、2から10%の濃度のクエン酸三ナトリウムの使用によって寒冷沈降物から産物を分画する目的で寒冷沈降物の生成を使用することを明確に教示する。
【0012】
Shanbromの’149及び’167は、クエン酸化合物、特にクエン酸三ナトリウムの使用により形成される寒冷沈降物からの不安定な凝固産物の抽出及びクエン酸化合物を用いた寒冷沈降物中の微生物の殺菌を直接行うが、一方で、本発明は、塩化合物の使用により形成される上清からの不安定でない産物(例えば、アルブミン、ガンマグロブリン及びα−1アンチトリプシン)の抽出を直接行う。Shanbromは、上清を使用することを何ら教示していないし、取り組んでいない。
【0013】
1950年代に、様々な因子を含有する血液ベースの材料由来の「寒冷沈降物」が、血友病などの凝固疾患を治療するのに有用であることが発見された。このような寒冷沈降物は、その名前が示すように、血漿を凍結し、次いで沈殿の懸濁液を形成させるために0から4℃で制御凍結融解することにより得られた。次に、アルブミン及びガンマグロブリンを生成させるためのCohnによる方法を用いた分画のために、寒冷沈降プロセス由来の上清が利用可能であった。続く展開により、寒冷沈降物の分画から第VIII因子、フォンビレブランド因子及びその他の凝固因子の純粋な濃縮物が得られた。これらは、非アルコール性の分離及びクロマトグラフィー精製を使用することにより行われ得る。
【発明の開示】
【0014】
概要において、本発明は、血漿からガンマグロブリンを単離し、それを静注可能な製剤に処方する、新規の効果的な方法を提供する。したがって、「超高収率静注免疫グロブリン製剤」であると定義され得る本発明は、非変性沈殿剤(クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム及びグルコン酸ナトリウムを含む有機塩の群から、及び硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及び塩化アンモニウムを含む無機塩の群から、選択的に選ばれ得る。)を用いて血漿から直接及び迅速にガンマグロブリンを分離することにより、非常に優れた品質のガンマグロブリンを高収率で回収することを達成する。これらの塩の使用の驚くべき2つの性質は、(1)分画が、効果的な重量%溶液を用いることに依存すること及び(2)これらの塩が、単独で使用される場合、及び2以上の塩の組み合わせ(この組合せは、同じ効果的な重量%を有する。)で使用される場合、このような分画において効果的であることである。
【0015】
また、溶液中のタンパク質へのこれらの塩の添加は、以前の方法によるエタノールの添加ほど水の除去に対する反応性がないことが分かっている。これらの塩を用いた迅速な単離、得られた分画の除去とそれに続く得られた分画からの塩の除去及びタンパク質の内部の水分子の素早い回復は、現在利用されている方法を用いたエタノール分画よりも優れていることが分かった。
【0016】
本発明の方法は、次の重要な段階を含む、有用な非変性免疫グロブリン(IgGと呼ばれることがある。)産物を生成させるために血液ベースの産物を分画するためのものである:
(a)添加される第一の選択された塩又は塩の組み合わせを、エーグロブリン不含の上清産物(上清は残留産物ペーストから分離可能であり、この2つに分離する。)を形成する第一の予め定められた濃度レベルにするために、分画されるべき血液ベースの材料の量に、選択された塩又は塩の組み合わせの十分な第一の量を添加することと;
(b)選択された塩又は塩の組み合わせを第二の予め定められた濃度レベルにするために、分離された上清産物に同じ又は別の選択された塩もしくは選択された塩の組み合わせの第二の量を添加することにより第二の分画段階を行い、それによりペーストである第二の分離可能な産物及び、上清である第二の残留産物を形成させ、その後産物を分離することと;
(c)第二の分離可能なペースト産物の希釈液を形成させることと;
(d)実質的に選択塩不含であり、有用な非変性IgGの生成を完遂するために現在知られている及び実施されている手法により処理できる状態になっている、低体積の結果として生じる産物を形成させるために、第二の分離され、液化されたペースト産物を透析ろ過すること。
【0017】
段階(a)において、第一の体積は、血液ベースの材料に対する、添加された濃縮塩溶液又は乾燥塩の添加を利用して、血液ベースの材料の量に混合される場合、11から13重量%溶液を得る。この濃度において、添加された塩により、上清及び沈殿残留産物ペーストを形成させるために、血液ベースの材料の一部が選択的に脱水される。上清が、結果として、選択された塩又は塩の組み合わせの11から13重量%濃度の範囲の塩濃度を有することに注意。好ましくは、この濃度は、およそ12%であるべきである。必要に応じて、第VIII、IX及びフォンビレブランド因子及びフィブリノーゲンを含む血液因子へと残留産物ペーストをさらに分画し得る。遠心するか又は化学の技術分野で周知の既存の方法により、この産物の分離を行い得る。さらなる処理のために上清を確保する。
【0018】
段階(b)において、第二の体積は、確保された上清の一部を選択的に脱水するための、確保上清へのより濃縮度の高い塩溶液の添加又は乾燥塩の十分量の添加を利用して、第二のペースト産物及び残留産物である第二の上清産物を得る。第二のペースト及び第二の上清の両方の総重量濃度は、およそ21から23%の範囲となるべきである。選択された塩又は塩の組み合わせの重量濃度がおよそ22%となることが好ましい。段階(a)のように、必要に応じて、アルブミン、α−1−アンチトリプシン及びその他のタンパク質を含む成分の群へと、残留産物(この場合、第二の上清)をさらに処理し得る。遠心、ろ過又は化学の技術分野で周知のその他の方法により、産物を分離し得る。
【0019】
驚くべきことに、塩を用いた沈殿は、ある種のモル反応に依存しないと思われる。むしろ、沈殿は、(a)及び(b)の両段階において、単純な重量%関係に基づくものと思われる。次の表(表1)において、有機塩及び無機塩両方の効果的な濃度を示す。効果的な重量濃度は、列挙される各塩に対して実質的に同じ%であることに注意。
【0020】
【表1】

【0021】
また、驚くべきことに、総重量濃度が段階(a)及び(b)に対して引用されたように維持されるならば、何らかの組合せで上記で挙げた塩を使用し得る。
【0022】
段階(c)において、ペースト産物の重量のおよそ4倍の水でペースト産物を希釈することが好ましいが、本発明の範囲内で水のその他の体積を思慮深く選択し得る。
【0023】
段階(d)において、工業スケールにおいてさらなる処理を可能にするように、得られた産物から選択された塩及び過剰な水を分離するために、30KDろ過膜を有する透析ろ過系を使用し得る。このようなろ過は、段階(a)の上清からエーグロブリンを抽出することにより容易かつ可能になることに注意。本明細書中で使用される場合、エーグロブリンは、水中で不溶性であるが、食塩水中で可溶性であるグロブリンと定義される。
【0024】
最も重要なこととして、エーグロブリンが溶液から除去されない場合、及びその溶液のイオン強度が脱イオン水と比較して低い場合(例えば、本発明の場合)、エーグロブリンは、透析ろ過系に付着し、それにより透析ろ過系が使用できなくなる。
【0025】
クエン酸ナトリウムは血漿の回収、保存及び保管中に低濃度で長く使用されてきたことがよく知られている。沈殿剤としての、クエン酸ナトリウム及び/又はその他の塩の高濃度を使用した後の続く透析ろ過により、イオン強度及びガンマグロブリン溶液の体積が実質的に低下するが、これにより、工業スケールでのクロマトグラフィー精製を行うことができるようになる。
【0026】
この方法により血漿からガンマグロブリンを分離した後、Cohn又はその他からの利用可能な方法により、残存タンパク質からアルブミン及びα−1−アンチトリプシンが実質的に除去される。本発明による方法によって、Cohnの方法で使用されるエタノールの変性の影響にガンマグロブリンを曝すことなく、ガンマグロブリンを分離することができるので、ガンマグロブリンはネイティブの状態のままである。アルコールの変性の影響には、分子における、ガンマグロブリン分子の、ポリマー、凝集物及び断片の形成が含まれる。しかし、既に述べた選択塩の1つ又は組み合わせを使用することにより、凝固タンパク質の実質的に全ての沈殿が起こり、したがって、酵素活性化因子及びタンパク質分解酵素の生成を妨げながら、血漿が安定化される。
【0027】
エタノールの変性効果の欠如、選択された塩による血漿の安定化及び選択された塩による凝固タンパク質のその後の除去の結果、抗補体活性が非常に低いガンマグロブリン製剤が得られる。
【0028】
要約すると、本発明の方法は、1以上の予め選択された塩の高濃度を使用することと、続く透析ろ過(1980年代に工業スケールで実用化された技術)によってガンマグロブリン濃縮物からこれらの塩を除去することを組み合わせたものである。次に、既知のクロマトグラフィー精製技術の使用によって、得られたガンマグロブリンの最終精製を実際的かつ効果的に行う。本発明により、収率が高くなり、分画段階が少なくなり、全体の処理時間が短くなり、エネルギーコストが低くなり、化学物質コストが低くなる結果として、生産コストが低下する。必要なスペースが小さくなり、仕掛け品が少なくなり、処理時間が短くなり、エタノール処理に必要な防爆環境が不要なので資本コストがより低くなる。
【0029】
驚くべきことに、本発明の方法は、上述の塩の濃度と同様の濃度でアルコールを使用し得る。エタノールの使用に伴い変性の心配がある一方、実験結果は興味深いものであった。以前からのエタノール法との間の基本的な相違は、本方法による手法の終了後、エタノールが迅速に除去されることであり、その結果、現在のエタノール法よりも以前の静注ガンマグロブリンよりも変性が少なく、収率が高くなる。また、本発明によるアルコール法は、0から25℃の範囲の温度で行われ得る。
【0030】
したがって、主たる目的は、現行の方法より安いコストで、効果的な静注ガンマグロブリン製剤を提供することである。
【0031】
したがって、基本的な目的は、ガンマグロブリンを調製するためのアルコール不含の方法を提供することである。
【0032】
重要な目的は、このような方法及び高収率である調製を提供することである。
【0033】
さらなる目的は、アルコールを用いる伝統的な方法により生成されたガンマグロブリンよりも患者の耐容性が高い、迅速に注入可能なガンマグロブリン製剤を提供することである。
【0034】
目的は、収率が高く、現在の方法よりも変性度が低い、アルコールを用いる、以前は使用されなかった方法を提供することである。
【0035】
目的は、伝統的なアルコールに基づく方法を用いて生成された同様の製剤と比較して、処理中に、ポリマー、凝集物、断片、酵素活性化因子及びタンパク質分解酵素の生成が少ない、ガンマグロブリンを生成させることである。
【0036】
さらなる目的は、分画により、第VIII因子、フォンビレブランド因子及びその他の凝固因子が生成される寒冷沈降物の懸濁液を形成させるために、本発明による任意の方法として寒冷沈降物を得ることである。
【0037】
添付の図面を参照して行う詳細な説明から、本発明の、これら及びその他の目的及び特性が明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
図1−4で示される流路の印についてここで述べる。全般的に、各長方形ボックスは、手順の段階を説明するために使用し;各菱型は分離段階を表すために使用し;各楕円円筒は、前述の手順又は分離段階から得られる産物を指し;各丸は、出発点又はこの図の外の延長経路点の何れかを示すために使用する。
【0039】
好ましいIgG処理流路の最初の部分10−1(通常、番号10)が示される図1をここで述べる。最初の出発点20の後に示されるように、処理すべき血漿30の体積を処理のために選択する。図入りの実施形態のこの説明において血漿30を例に挙げて使用するが、本発明の範囲内でその他の血液ベースの産物を処理し得ることに注意すべきである。また、本明細書中で後により詳細に開示するように、使用のための調製後、調製した脱クリオ血漿50からペースト44を分離するために、分離段階42を使用する。
【0040】
手順40の一部として、調製血漿を形成するために、選択された凍結血漿30をおよそ5℃に温める。標的となる血漿30の処理温度は5℃であるが(これは、プロセス10の続く段階の間中維持されるべきである。)、2℃から8℃のリミットの範囲の温度は本発明の範囲内に入り得る。凍結状態で選択されない場合(例えば、慣習的方法により低温沈降物を除去するプロセスの間に凍結融解される場合)、血漿30を直接使用し得る。
【0041】
手順52による血漿50への添加に対して、塩の量(これは、上述の表Iで挙げる塩から選択し得る。)を選択する。1種類の塩又は塩の組み合わせを選択し、使用し得るので、使用する量が、上述のように、段階(a)及び(b)それぞれで1種類の塩又は塩の組み合わせを含有し得るように、添加される塩の量を「少なくとも1つの塩」とみなすことが賢明である。一般に、塩又は塩の組み合わせを溶液中で調製するか、乾燥塩として添加するか又は脱水及び乾燥塩の組み合わせとして添加し得る(手順54)。いずれにせよ、最も重要なことは、添加する塩の総濃度を予め定められた重量濃度にすることである。
【0042】
例として、クエン酸ナトリウムを選択し使用する場合、クエン酸ナトリウム500gを精製水600mLへと撹拌することにより50%クエン酸ナトリウムを調製する。撹拌時間は、30分から60分か、あるいは、クエン酸ナトリウムが溶解するまでとなるはずである。この点で、1000mLになるように純水で混合液を希釈する。pH7.0に到達するまでこの混合液に50%クエン酸溶液を添加する。
【0043】
有機化学分野で周知のように、50%クエン酸溶液を得るために次の段階を使用し得る。クエン酸50グラムを精製水60mLに添加する。撹拌時間は、約30分か、あるいはクエン酸が溶液になるまでとなるはずである。クエン酸が溶液となった後、体積が100mLとなるまで十分な精製水を添加し、よく混合する。この溶液の一部をクエン酸ナトリウム1000mLに添加し、pHが7.0になるように調整する。したがって、pHが7.0になるまでクエン酸ナトリウム溶液にクエン酸を添加する。pHが7.0になるように調整するために添加する必要があるクエン酸量はごく少量であることに注意。
【0044】
第一の分画段階(クエン酸ナトリウムに対する手順54)を行うための準備として、血漿50に添加すべき分画溶液の体積を計算する。塩濃度(この場合、クエン酸ナトリウム分画溶液)が12重量%となることが目標である。また、分画溶液のpHはおよそ7.0となるはずである。
【0045】
分画溶液(クエン酸ナトリウム)及び血漿50のそれぞれの体積を計算するための式(式I)は次のとおりである:x=(C*V)/(0.5−C)(式中、xは50%クエン酸ナトリウム溶液の所望の体積であり;Cはクエン酸ナトリウムの所望の分画重量濃度であり;(例えば0.12又は12%):Vは希釈する溶液の体積である(例えば血漿50の体積)。
【0046】
式Iによる計算の例は:
500リットルの血漿50の体積(V)に対して、クエン酸ナトリウムの所望の分画重量濃度は12%である。
【0047】
x=(0.12*500)/(0.5−0.12)=158リットル
Cに対して式Iを解くことにより、血漿50及びクエン酸ナトリウムの体積の値を次のように当てはめ得る式IIが得られる。
C=(0.500*158)/(500+158)=0.12
【0048】
手順54に対して、およそ5分間にわたり、調製したクエン酸ナトリウム分画溶液(室温、すなわちおよそ20℃であり得る。)を5℃の出発温度を有する血漿50に添加する。クエン酸ナトリウム溶液を添加しながら穏やかに撹拌する。クエン酸ナトリウム溶液を血漿50に添加し終えたら、得られるスラリーをおよそ60分間穏やかに撹拌し続けるが、この間、スラリーの温度を2から8℃の範囲内に下げる。(このスラリーのpHはおよそ7.0から7.1に維持されるはずである。)。
【0049】
手順54が終了したら、手順56として遠心する。当業者にとって通常の手順によりスラリーの成分を上清液60とペースト62とに分離するために、フロースルー遠心(例えばWestphalia Centrifuge)を使用することを推奨する(この間、スラリーの温度は2から8℃の範囲に維持する。)。
【0050】
本発明方法の不可欠な部分として、さらなる処理のために、元の血漿のIgGの実質的に全てを含有する上清液60を取っておき、一方で、第VIII、IX及びフォンビレブランド因子及びフィブリノーゲンを含む血液因子を回収するためにペースト62をさらに処理し得る。
【0051】
クエン酸ナトリウムを用いる第二の分画フェーズに対して、さらなるクエン酸ナトリウム分画溶液を上清液60に添加する処理段階64を行う。クエン酸ナトリウムの重量濃度を12%から22%に向上させるために、十分な50%クエン酸ナトリウムを液体60に添加する。段階64で使用するその他の塩に対して、使用する少なくとも1つの塩の重量総濃度が21から23%の範囲、好ましくは22%の範囲となるべきことに注意。
【0052】
添加すべき50%クエン酸ナトリウムの体積を計算するために、次のように式IIIが与えられる:
=((V60*C60)+(V*C0.50))/(V60+V)(式中、Cはクエン酸ナトリウムの所望の最終重量濃度であり;V60は上清液60の体積であり;C60は上清液60中のクエン酸ナトリウム濃度であり;Vは添加すべき50%クエン酸ナトリウムの体積であり;C0.50は50%クエン酸ナトリウムの濃度(すなわち0.50)である。)。
【0053】
溶液中のクエン酸ナトリウムの所望の最終重量濃度が0.22又は22%であることに注意。
【0054】
に対して解くことにより、添加すべきクエン酸ナトリウムの体積を計算するために使用し得る式IVが得られる。
【0055】
=V60*(C−C60)/(C0.50−C
例として、V60の体積が552リットル;Cの重量濃度が0.22;C60の重量濃度が0.12;C0.50の重量濃度が0.50である場合、V=197リットルである。
【0056】
クエン酸ナトリウムの体積Vを添加した後、この混合物の温度を2から8℃に維持しながら2時間から4時間(体積が小さい場合、1から2時間で十分な場合が多い。)撹拌する。さらなるクエン酸ナトリウムを添加し、この混合物を撹拌するにしたがい、この溶液の色が淡黄色に変化することに注意。
【0057】
撹拌後、段階66により、混合物を遠心し、温度を2から8℃の範囲に維持しながら連続フロー遠心を用いて、上清72からペースト70を分離する。得られた上清(上清72)は、基本的にIgG不含である。血漿50の実質的に全てのIgGはこの段階ではペースト70中で見られる。
【0058】
流路10の流路部分10−2に対してポイント80がポイント80’に続くように、図2についてここで述べる。ペースト70の内容には、IgG、その他の血清タンパク質及びクエン酸ナトリウムが含まれる。クエン酸ナトリウム(及び/又はその他の使用される塩)は、IgGがイオン交換クロマトグラフィーにより単離できるように、ペースト70から除去されねばならない。最初に、段階90として、精製水(ペースト70の体積の約4倍)を用いてペースト70を液化する。段階90の産物はIgGに富む溶液100である。溶液100の最初の伝導度はおよそ20ミリシーメンス/cm(mS/cm)である。
【0059】
クエン酸ナトリウム(及び/又はその他の使用塩)の除去は、段階102(除去したクエン酸ナトリウム110及び脱塩IgG保持液112へと溶液100を分離する。)において、溶媒として精製水を用いた連続的透析ろ過により行われる。この段階は常に、選択された少なくとも1つの塩と独立して行われるべきことに注意。保持液112の伝導度が100−900マイクロシーメンス/cm(μS/cm)に低下したら、段階102の終了となる。段階102の透析ろ過に対して、30KDカットオフ膜を備えたMillipore(又は同等のもの)透析ろ過系を使用し得る。
【0060】
第一の溶媒/界面活性剤(S/D)法と、それに続く増強(augmented)S/D法を含む二重ウイルス不活性化段階として、段階120に付随して、IgGに富む保持液112のウイルス不活性化を行い得る。第一の方法では、保持液112の温度をおよそ27℃に上げる(温度は24から30℃の範囲であり得る。)。次に、Triton X−100又はTween80の十分な体積を添加して1%溶液を調製し、十分なTri−N−ブチルホスフェートを添加して、0.3%溶液を調製し、第一のS/D添加混合液を調製する。脂質エンベロープを有するウイルスが不活性化される間、第一のS/D添加混合液を27℃にて3時間インキュベートすることにより、第一の方法を続ける。この点から、現在利用可能な不活性化及び分画プロセスの手順を利用し得る。しかし、本明細書中で以後、完全を期すために現在好ましいプロセスを提供する。
【0061】
段階120に対して、次のようにS/D濃縮物を調製し得る。
【0062】
Tri−N−ブチルホスフェート30mLを精製水800mLに添加する。よく混合する。Triton X−100又はTween80の何れか100mLを混合溶液に添加する。再びよく混合し、最終的な混合S/D溶液を得る。十分な精製水を添加して、最終混合溶液の総体積を1000mLにする。もう一度よく混合する。このように準備したら、最終溶液は10x濃縮液となる。この濃縮液100mLを保持液112の各900mLに添加し、第一のS/D添加混合物を形成する。
【0063】
3時間インキュベートした後、第一のS/D法から得られた溶液に十分なホルムアルデヒドを添加し、0.3%溶液を調製し、十分なフェノールを添加して、0.3%溶液を調製し、増強混合物を形成し、段階120の増強法フェーズを開始する。およそ27℃にてさらに3時間インキュベートし、その後、エンベロープのない、及びエンベロープのあるウイルスを不活性化する。
【0064】
段階120に対して、次のようにして「増強」濃縮液を調製し得る。
【0065】
37.5%ホルムアルデヒド溶液13.4mLを精製水900mLに添加する。よく混合する。フェノール(試薬グレード)50gをこの混合物に添加する。再びよく混合する。十分な精製水を添加し、「増強」調製物の総体積が1000mLになるようにする。もう一度よく混合する。この調製物はホルムアルデヒド及びフェノールそれぞれを50,000ppm含有する(各5%)。第一のS/D添加混合物の体積を測定する。第一のS/D添加混合物の各833mLに増強濃縮液167mLを添加し、増強混合物を形成させる。
【0066】
処理した増強混合物を2から8℃の温度に冷却することにより、段階120を終了する。このように冷却し、増強混合物はIgGウイルス不活性化(VI)溶液122となる。
【0067】
あるいは、必要に応じてその他の方法(例えば、クロマトグラフィー、ナノフィルトレーション、低温殺菌)によりウイルスを除去し得る。
【0068】
段階124は、ウイルス不活性化化学物質を除去するためのカラムクロマトグラフィーの使用を含む。次の段階により、これを行い得る:
1.Toyopearl CM−65 OC樹脂が詰まった短く幅が広いカラムを用意する。Toyopearl樹脂は、溶液122中のIgGを捕捉するために使用される弱陽イオン交換樹脂であり、一方、溶液122からのその他のタンパク質に対してはこのカラムを通過させる。溶液122の伝導度が100から900マイクロシーメンス/cm(μS/cm)の範囲になることが重要である。(このような伝導度が400から600マイクロシーメンス/cmの範囲になることが好ましい。)。血漿50からのIgGは、低イオン強度の溶液中でこの交換樹脂に結合する。
【0069】
2.低速でこの交換樹脂に溶液122を導入する。カラムから流出液を回収し、高品質分光光度計において1cmシリカキュベットで280nmにて流出液を測定する。(例として重水素光源付きのBeckman DU−7を使用し得る。)。樹脂カラムにタンパク質が導入されると流出液の光学密度が上昇することに注意。ウイルス不活性化溶液(使用する場合)中のフェノールでもまた、測定光学密度が上昇し得る。溶液122全てが樹脂カラムを通過し、滅菌液がカラムから洗い流された後、その元の値からの光学密度の上昇を測定する場合、流出液の回収を開始する。光学密度の上昇は、流出液中のタンパク質の指標である。この時間の後、光学密度は、溶液中にあるタンパク質がごく少量であるか又は存在しない指標であるレベルに低下する。この時点で回収を停止し得る。この時点で、脱イオン水で樹脂を完全に洗浄することが好ましい。結合物質はIgGであり、結合IgG130として、経路10−2に従って同定される。カラムから回収した流出液は、IgG以外の血漿50からの全タンパク質を含む。この流出液は流出液132である。IgGが溶液132中に殆ど又は全く放出されていないことを確認するために流出液132において血清タンパク質電気泳動を行うことを推奨する。
【0070】
樹脂カラムのサイズによって、塩化ナトリウムの2%溶液の体積を調製する。結合したIgGを樹脂粒子から放出させるために、塩化ナトリウムの添加を行う。化学分野で周知のように、塩化ナトリウム20gを脱イオン水1Lに混合することによって、2%溶液を調製する。樹脂カラムの体積の約10倍となるように2%塩化ナトリウム溶液の十分な体積を調製すべきである。
【0071】
段階134に対して、塩化ナトリウム溶液をカラムに添加し、カラムから流出液を回収する。同時に、1cmシリカキュベットで分光光度計を用いて280nmにて流出液の光学密度を測定する。IgGが樹脂からはずれ、流出液に入るにつれて、得られる光学密度(OD)が急激に上昇するのが分かるであろう。全ての高OD測定溶液を回収する。流出液のODが低い(通常)範囲に低下したら、溶液の回収を停止する。得られる溶液はIgG溶液140である。高ODは溶液中にタンパク質が含有されている指標であり、溶液140が、さらに除去する必要がある、少量のIgM及びIgAを含有し得ることに注意。さらに、溶液140は、純粋なIgGを単離し得る前に除去しなければならない塩化ナトリウムを含有する。
【0072】
ここで、図2の継続点150(流路10の流路部分10−3に対する図3の継続点150’に続く。)について述べる。塩化ナトリウムは、好ましくは、透析ろ過系を用いる連続透析ろ過によって溶液140から除去する。このようなものは、30KDカットオフ膜を備えたMillipore(又は同等物)透析ろ過系から構成され得る。段階152で行われる場合、透析ろ過溶媒は精製水である。述べられ得るように、溶液140の最初の伝導度は、およそ50ミリシーメンス/cm(mS/cm)である。透析ろ過の終了時に、伝導度は100−900マイクロシーメンス/cm(μS/cm)まで低下する。
【0073】
透析ろ過の産物は、IgGに富む保持液160であり、塩化ナトリウム164が除去されている。保持液160のタンパク質分画を確認するために、本プロセスのこの段階で血清電気泳動を行うことを推奨する。
【0074】
段階166は、IgGに富む保持液160を精製するための最終段階である。段階166に対して、Toyopearl QAE−550C樹脂を備えた短く幅広い樹脂カラムを準備することが好ましい。このような樹脂は、IgGに富む保持液160中のその他のタンパク質を捕捉するために強い陰イオン交換を行い、一方、溶液中のIgGについてはこのカラムを通過させる。保持液160の伝導度が100から900マイクロシーメンス/cmの範囲であることが重要であり、400から600マイクロシーメンス/cmの範囲内であることが好ましい。このようにして、段階166で保持液160中のIgGは結合せずにこの樹脂カラムを通過し、一方、IgM及びIgAを含むその他のタンパク質はこのカラムにおいて樹脂に結合し、したがって、溶液から除去される。このようにして、夾雑残存タンパク質170が精製IgG溶液172から効率的に分離される。
【0075】
プロセスが続く際、IgG溶液172を回収し、280nmでODを測定することを推奨する。高OD流出液を回収する。測定ODが低下したら、回収を停止する。プール溶液は比較的希薄である。
【0076】
限外ろ過を介して段階180を用いてプール溶液を濃縮する。このような限外ろ過に対して、12%IgG溶液182を濃縮するために、中空糸フィルターを使用するか、又はMillipore限外ろ過システム(Pellicon)もしくは同等物(10Kから30Kダルトンの保持性)を使用し得る。段階180のプロセスで過剰な水184を除去する。得られる12%濃縮液に含まれる塩化ナトリウムはごく微量のみであるはずであり、pHはおよそ7となるはずである。伝導度は約100から900マイクロシーメンス/cmとなるはずである。
【0077】
12%IgG溶液182を安定化するために、マルトース又はソルビトール溶液を添加して(段階190)、12%溶液を正確に10%に希釈する。最終10%溶液(IgG溶液192)は、およそ5%マルトース又はソルビトール(何れか使用したもの)を含有するはずである。
【0078】
場合によっては、IgG溶液192からウイルス204を除去するために、10%溶液192をウイルス保持膜に通すことにより、ナノフィルトレーションを行い得(段階200)、ナノフィルトレーション済み濃縮液202を生成させる。
【0079】
流路10の流路部分10−4に対する図4の継続点210’についてここで述べるが、これは、図3の継続点210から続く。標準的手順のように、(前の任意の段階200の実行による。)安定化IgG濃縮液192又はナノフィルトレーション済みIgG濃縮液202の何れかを段階220において脱イオン水で希釈し、バルク精製IgG溶液222を生成させる。段階230で溶液222を滅菌フィルターに通すことにより混入細菌を除去し、滅菌バルクIgG溶液232を生成させ得る。当技術分野で現在知られている方法により、除去した混入細菌234を廃棄し得る。
【0080】
段階240において標準的手順を介し、得られた滅菌溶液232をバイアルに満たして、溶液232のバイアルのロット242を生成させ得る。品質保証の必要に応じて、段階246と組み合わせて、段階244においてロット242の最終試験及び検査を行い、廃液252が除かれた溶液232の有効バイアルのロット250を生成させ得る。
【0081】
ここで、フローチャート10−1が、その他の産物(例えば第VIII因子、フォンビレブランド因子及び、分画され得るその他の凝固因子)が見られるペーストを分離する段階を開示する、図1について述べる。図1で見られる産物44に付随する段階は任意であり、第VIII因子、フォンビレブランド因子及びその他の凝固因子が除去され得る寒冷沈降物を生成させるために行われ得る。この場合、手順40は、血漿30を0から4℃に徐々に温めるものと定義される。
【0082】
このような加温の結果、寒冷沈降物が懸濁される血漿が凍結融解される。段階42により、凍結融解血漿を遠心し、ペースト44の形態で寒冷沈降物を得る。次いで、ペースト44を分離し、既知の方法により処理して、第VIII因子、フォンビレブランド因子及びその他の凝固因子を得る。残りの分離された物質は、脱クリオ血漿50と呼び、上記で開示したように処理する。
【0083】
本発明に従い行われる分画手順の結果:
本明細書中で開示した本発明の段階の効率及び精度を示すために、2005年8月8日の日付の実験報告からクエン酸ナトリウムを用いた次の結果を抽出した。
【0084】
この手順において、新鮮な凍結ヒト血漿を使用した。このような手順における典型であるように、凍結融解血漿の4から8バッグからプールを作った(段階40、図1参照。)。Beckman−Coulterより入手可能な市販の装置を使用して、入手できたとき、様々な分画を評価した。Paragon Electrophoresis Systemの一部として、Beckman、「Appraise」密度計を使用して、血清タンパク質電気泳動に対して、Beckmanアガロースゲルをスキャンした。プールから生成された各分画に対して、3から5のゲルスリットの間に、産物5μLを載せた。各分画に対してより良い典型的な結果を得るために、結果を平均した。本明細書中で後に提供する表においてこのような結果を示す。
【0085】
25分間、100VDCで、pH8.6で、ゲルを電気泳動にかけ、後でParagon青色染色により染色した。Appraise密度計を使用して、各ゲルスリットに対して2回、染色し乾燥したゲルを600nmの波長でスキャンした(ゲルあたり10のゲルスリットを使用した。)。付着した色素の密度ならびに各分画の数値での表示に基づく、5種類の異なるタンパク質分画の分布の平均グラフ表示を得た。数値での表示は、各ゲルの陽極と陰極との間で生じるようなゲルパターン内の選択した位置での、生成グラフのピーク及び谷のコンピュータ分析を基とした。表示値を総計し、総色素量で色素%を割り、評価のための%を与えた。各個別の血液分画を合計した総計は必ず100%に等しくなることに注意。
【0086】
下記表IIで見られるように、5種類の異なるタンパク質分画は、アルブミン、アルファ1、アルファ2、ベータ及びガンマグロブリンと同定される。分画前に、試料をプールから採取し、電気泳動にかけて、分画開始前に各分画の平均分画値を出した。平均ベースプール物質に対する代表的結果を全血漿の%として下記で挙げる。
【0087】
【表2】

【0088】
50%クエン酸ナトリウムの体積を血漿の体積に添加することによりプールからの血漿(すなわち血漿50)を処理し、クエン酸ナトリウムの12%溶液を調製した(段階54)。この混合物を2から8℃にて60分間撹拌し、次いで、2から8℃にて60分間遠心した(段階56)。得られた上清液60を測定した。残りのペースト62の重量を測定し、脱イオン水を添加することにより溶液にした。
【0089】
上述の手順を用いて2種類の溶液(60及び62(溶解済み))を電気泳動にかけたが、その結果を下記表IIIでまとめる。
【0090】
【表3】

【0091】
ペースト62(溶解済み)においてガンマグロブリンは見られなかった。しかし、上清60においてガンマグロブリンが見られた。
【0092】
次に、十分な50%溶液クエン酸ナトリウムを上清60に添加し(段階64)、22%クエン酸ナトリウムを含有する最終混合物を得た。この溶液もまた2から8℃にて60分間撹拌した。2から8℃にて60分間遠心した後(段階66参照。)、得られた上清液72を測定した。残存ペースト70の重量を測定し、脱イオン水を添加することにより溶液にして(段階90)(mLでのペースト70の4倍重量)、IgGに富む溶液100を形成させた。上述の手順により上清72及びIgGに富む溶液100の試料を電気泳動にかけたが、その結果を下記表IVでまとめる。
【0093】
【表4】

【0094】
上清72においてガンマグロブリンは見られなかった。しかし、IgGに富む溶液100においてガンマグロブリンが見られた。
【0095】
22%上清液(殆どアルブミンを含有する。)は、基本的にベータ及びガンマグロブリンを含有しなかった(すなわち、このようなものは検出されなかった。)。22%ペースト溶液100は、注射用の静注ガンマグロブリンを得るためのさらなる分画化に対して重要なガンマグロブリンを含有していた。段階90において、電気泳動を行う前にこのペーストが溶媒和される時間をとるべきことにも注意。実験プロセスにおいて、この単離手順において使用するために、12%と22%クエン酸ナトリウムとの間の血漿分画を選択的に単離した。
【0096】
22%ペースト溶液において捕捉されたクエン酸ナトリウムを除去するために(段階102)、Pelliconユニットを選択して、溶液100を透析ろ過した。何らかのカラムワークを行う前に、クエン酸ナトリウムを透析ろ過し、得られる溶液の伝導度を400から800マイクロシーメンス/cm(μS/cm)の間に低下させるために、平均で、溶液100の体積の約7倍が必要であった。
【0097】
透析ろ過後、脱塩タンパク質溶液112を電気泳動にかけ、透析ろ過段階102の結果として何らかの変化又は損失があるかを調べた。クエン酸ナトリウムを除去したので、含有される塩との相互作用がなくなることにより電気泳動パターンにおけるタンパク質移動度が幾分変化した。得られたパターンは、高塩濃度パターンよりも幾分長かった。このようにパターンが伸びることにより、ベータグロブリンからIgGがより容易に分離できるようになり、下記で与える表Vで見られるように測定%が結果として上昇した。
【0098】
【表5】

【0099】
表Vで見られるように、溶液112のおよそ45%がガンマグロブリンであり、溶液112では、電気泳動パターンにおいてより良く分離していた。ベータ分画が下に移動し、電気泳動パターンでの分離が良くなったことに注意。
【0100】
この点において、溶液112中のガンマグロブリンを精製するために、現在利用されている様々な方法を使用することができた。このため、この実験の完了は、図2−4で見られる段階と異なり得た。この実験の場合、この溶液を最初に溶媒/界面活性剤溶液で27℃にて3時間処理した。次に、増強滅菌溶液(米国特許第6,881,573号、題名「AUGMENTED SOLVENT/DETERGENT METHOD FOR INACTIVATING ENVELOPED AND NON−ENVELOPED VIRUSES」(Allan L.Louderbackに対して発行、2003年9月12日出願に従い行われる。)を混合物に添加し、27℃にてさらに3時間、さらにインキュベートした。透析透析ろ過溶液のこの二重不活性化処理により、エンベロープを有するウイルス及びエンベロープのないウイルスの両方が不活性化される。
【0101】
Toyopearl CM−650C樹脂を搭載したイオン交換カラムに滅菌処理済み溶液を移した。この樹脂は、ガンマグロブリンを吸着し、溶液中に存在するその他の全てのタンパク質をカラムから流出液中で通過させた。この溶液をカラムに添加し、流出液エンドを通してゆっくり滴下するようにカラムの流れを調整した後、全ての遊離タンパク質及び滅菌物がいつカラムを通ったかを調べるために、280nmにて流出液を測定した。後に、流出液の280nmで測定した光学密度が非常に低くなるようにカラムを精製水2倍体積で洗浄した。
【0102】
次に、塩化ナトリウムの2%溶液をカラムの上端に置き、カラムに染み込ませた。樹脂粒子が吸着したガンマグロブリンを遊離させてカラムから受容容器へと流出させた。
【0103】
樹脂粒子からのガンマグロブリンの選択された単離及び放出の結果を示すために、精製水を用いてカラムから回収した流出液(精製水としてラベルされる。)及び2%溶液を用いたカラムからの流出液(2%NaClとしてラベルされる。)を電気泳動により試験した。この段階の結果を下記の表VIで示す。
【0104】
【表6】

【0105】
ガンマグロブリンの98%を超えるものが第一の樹脂処理で単離されたことに注意。1.9%のベータグロブリンの値は、溶液をゲルに適用した場合の適用スポットの結果であり得る。2%塩化ナトリウム溶液はガンマグロブリン(IgG)を含有し、おそらく、より大きい血漿のプールを用いると、除去されるべきIgA及びIgMグロブリンを幾分含有し得る。
【0106】
したがって、次のカラム処理のために、2%塩化ナトリウム溶液を透析ろ過して塩化ナトリウムを除去した。塩を除去するPelliconユニットに溶液を通すことにより、透析ろ過を再び行い、伝導度が400から800マイクロシーメンス/cm(μS/cm)である最終産物を得た。2%溶液を透析ろ過するために、脱イオン精製水約6体積を要するであろうことに注意。
【0107】
最終段階として、カラムにToyopearl 560−C樹脂を充填し、脱塩溶液をカラムの上端に添加し、カラムにゆっくりと染み込ませた。このカラムにおいて、IgGは樹脂を通過して流れ、全てのその他のタンパク質は樹脂に結合し(例えばIgA及びIgM)、カラムから液体ベースで100%IgGである最終流出液(溶液172)が得られた。この流出液の試験を行い、下記表VIIで示す。
【0108】
【表7】

【0109】
チャート10−1及び10−2の経路に従い、新鮮な凍結血漿を分画化する際に様々な塩を用いてその他の実験を行った。上記で概説するように2段階で分画手順を完了するために、様々な塩を用いて段階52、54及び64を繰り返した。下記表VIIで見られるように、及び、クエン酸ナトリウムに対して開示した方法に従い、第一の段階52及び54には、濃縮塩溶液(可能であれば)の第一の予め定められた体積と一連の体積の血漿を混合することが含まれた。水中で塩を溶解することにより塩の必要な濃縮を達成できなかった場合は、所望の重量濃度を得るために、乾燥塩を単純に添加した。
【0110】
塩溶液の第一の予め定められた体積は12重量%であった。2から8℃にて1時間、反応混合を行った。反応混合後、得られた混合物を2から8℃にて4500rpmで1時間沈降させた。ペースト沈殿剤62の上に重なった第一の上清液60を穏やかに注ぎ出し、回収した。第一の上清液60が、使用した塩の12重量%溶液を含有したことに注意。一般に、得られたペースト沈殿剤62を脱イオン水(通常、回収した沈殿剤62の重量の4倍)の重量%で希釈し、さらなる分析のために2から8℃にて一晩保存した。
【0111】
段階64により、上清60の体積を測定し、濃縮塩溶液の量を添加して、塩の濃度を22重量%のレベルに上げた。2から8℃にて1時間、得られた組成物を混合し、次いで一晩冷蔵した。翌朝、この組成物を短時間、約5分、再び混合し、次いで2から8℃にて4500rpmで1時間遠心した。全上清、上清72を注ぎ出し何らかの所望のさらなる処理のために保存した。上清72からの分離後、この手順の目標であるペースト70の重量を測定し、希釈した(ペースト70の重量の約4倍であると計算される脱イオン水の量を添加することにより、段階90により再溶解)。
【0112】
様々な組み合わせで、有機塩及び無機塩の両方に対して、上記で開示した手順を繰り返した。下記で示される表VIIIは、Beckman−Coulterシステムを用いて行われる血清電気泳動により調べた場合の本手順の結果を与える。この電気泳動の結果をBeckman−Coulterスキャナーでスキャンし、アルブミン、アルファ−1、アルファ−2、ベータ及びIgGという5種類のレベルそれぞれでのタンパク質の%として示す。Beckmanアルゴリズムによる、各スキャンに対する総計は、合計した場合100%になると概算される。
【0113】
【表8】

【0114】
ペースト62及び上清72の何れでもIgGは見られなかった。IgGは全てペースト70で見られた。混合有機塩(クエン酸ナトリウム)及び無機塩(硫酸アンモニウム)の場合、IgGに対して値が高くなるので混乱しないはずである。血漿からのその他のタンパク質の分別抽出の結果はこのようなものである。ある一部のタンパク質の沈殿パターンは塩によって異なる。重要な結果は、実質的に全てのIgGがペースト70で見出されるということである。
【0115】
エタノールを用いて本発明の方法を介して行った手順の結果
驚くことに、分画化合物として本発明の範囲内でエタノールを使用し得ることが分かった。このエタノールの使用は、血液分画でエタノールを使用する、現在の及び古典的な方法とは明らかに異なることに注意すべきである。
【0116】
上記で開示した実験と比較するために、1本の凍結FFP−血漿ボトルを用いて、本方法を試験し、2005年12月8日の日付で実験ノートに記録した。この実験において、塩に対して開示された同様の方法で%により測定される濃度でエタノールを使用した。したがって、95%エタノール溶液を希釈して、50%エタノール溶液(95%の105mLを脱イオン水95mLに添加した。)を調製した。このように調製して、溶液を氷浴中に置き、温度を5℃に低下させた。
【0117】
段階54により、50%エタノール溶液63mLを5℃に維持したFFP−血漿(予備より)200mLに添加した。得られた溶液(即ち12%エタノール)を氷浴中(2から8℃)で1時間撹拌した。撹拌後、段階56により、Beckman J−6遠心機(4500rpm)を用いて1時間溶液の沈降を行い、その間、温度を2から8℃に維持した。上清60を注ぎ出し、このように分離したペースト62を測定した。
【0118】
上清60の体積は260mLであった。ペースト62の重量は3.823グラムであった。ペースト62を水で再水和し(4倍体積、即ち15.3mL)、よく混合した。ペースト62は、典型的な塊様の沈殿を示した。最終希釈体積は18mLであった。
【0119】
上清60をすぐに氷浴に置いた。エタノール濃度を22重量%に上げるために、さらなる50%エタノール(93mL)を上清60に添加した(段階64)。この得られた溶液を2から8℃にて1時間撹拌し、次に、冷蔵庫(2から8℃)で一晩保存した。
【0120】
冷蔵庫から取り出した際にこの保存溶液を約5分間撹拌し、次いで遠心管にすぐに入れ、2から8℃にて4500rpmで1時間遠心した(段階66による。)。上清72を注ぎ出し、ペースト70を回収した。ペースト70が鮮黄色であることに注目した。(通常、塩を用いて生成される場合、ペースト70は灰白色である。)。正確には分からないが、黄色であるのはビリルビン及びその他の色素がエタノールにより血漿から抽出されたためであると考えられた。ライブラリ試料を各分画段階で作製した。
【0121】
上清体積を測定し(336mL)、5℃で保存した。ペースト70の重量は8.583gであった。脱イオン水4倍体積(34.3mL)によりペースト70を再水和し、よく混合し、2から8℃にて一晩保存した。溶媒和した場合に、ペースト70中の予想外の大量のIgGを認めたことは興味深い。
【0122】
測定結果を下記表IX、X及びXIでまとめる。
【0123】
【表9】

【0124】
【表10】

【0125】
【表11】

【0126】
最初のベース材料において電気泳動を行わなかった。しかし、血漿1LあたりIgG約6.7グラムあることに注意。ペースト62のIgGをペースト70のIgGに加える場合、6.8の総量は、予想される6.7グラム/Lとよく一致する。
【0127】
本発明はその精神又は本質的な特徴から逸脱することなく、その他の具体的な形態で具体化され得る。したがって、本実施形態は、あらゆる点で、説明であり、限定ではないとみなされ、本発明の範囲は、先行する明細書ではなく、添付の特許請求の範囲により示され、したがって、特許請求の範囲の均等の意味及び範囲内である変更は全て、その中に包含されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】図1は、本発明によるプロセスに付随する重要な一連の最初の段階の流れ図である。
【図2】図2は、図1で見られる段階のすぐ後の一連の段階を開示する流れ図である。
【図3】図3は、図2で見られる段階のすぐ後の手順の段階を開示する流れ図である。
【図4】図4は、有用な産物を提供するための、図3で見られる段階のすぐ後の段階を開示する流れ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)処理するための血液ベースの材料の予め定められた量を得て;
(b)処理するための血液ベースの材料の前記の量を調製する、
段階を含み;次の段階(c)から(j):
(c)複数の有機塩を含む化合物の群、アルコールベースの化合物を含む群及び複数の無機塩を含む群から選択される少なくとも1つの第一の化合物を選択し;
(d)第一の分離可能な産物及び第一の残留産物を形成させるために、血液ベースの材料の前記量を用いて溶液中に第一の予め定められた重量濃度を生成させるため、前記選択された少なくとも1つの第一の化合物の第一の予め定められた量を添加することによって、第一の分画段階を行うことも特徴とし、前記第一の分離可能な産物が実質的にエーグロブリン不含であることを特徴とし;
(e)第一の分画段階を完了するために、前記第一の残留産物から前記第一の分離可能な産物を分離し;
(f)複数の有機塩を含む化合物の群、アルコールベースの群及び、複数の無機塩を含む群から選択される第二の少なくとも1つの化合物を選択し;
(g)第二の分離可能な産物及び第二の残留産物を形成させるために、前記第一の分離可能な産物を用いて溶液中に第二の予め定められた重量濃度を得るため、第一の分離可能な産物へ前記第二の選択された少なくとも1つの化合物の第二の予め定められた量を添加することにより、第二の分画段階を行い;
(h)第二の分画段階を完了するために、前記第二の残留産物から前記第二の分離可能な産物を分離し;
(i)透析ろ過のために前記第二の分離可能な産物を調製し;
(j)実質的に少なくとも1つの第一の選択された化合物及び少なくとも1つの第二の選択された化合物不含である、より小さい体積の第三の産物を形成させるために、前記第二の分離可能な産物を透析ろ過すること、
を特徴とする、有用な非変性静注免疫グロブリン(IgG)製品を産生するための、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項2】
段階(a)が、血液ベースの材料として血漿の量を選択することを含む、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項3】
段階(a)が、血液ベースの材料として血液分画産物の量を選択することを含む、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項4】
段階(b)が、血液ベースの材料の前記量を凍結融解することを含む、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項5】
段階(c)が、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム及びグルコン酸ナトリウムを含む有機塩の群から少なくとも1つの化合物を選択することを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項6】
段階(c)が、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及び塩化アンモニウムを含む無機塩の群から少なくとも1つの化合物を選択することを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項7】
段階(c)が、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及び塩化アンモニウムの塩を含む群から少なくとも1つの化合物を選択することを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項8】
段階(d)が、12%の、少なくとも1つの化合物の重量濃度を生成させるために、選択された少なくとも1つの化合物の量を添加することを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項9】
段階(d)が、11%から13%の範囲内の、少なくとも1つの化合物の重量濃度を生成させるために、選択された少なくとも1つの化合物の量を添加することを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項10】
段階(c)が、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及び塩化アンモニウムを含む塩の群から複数の化合物を選択することを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項11】
段階(d)が、12%の、複数の化合物の総重量による合わせた濃度を生成させるために、各選択された複数の化合物の量を添加することを特徴とする、請求項10に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項12】
段階(d)が、11%から13%の範囲内の、複数の化合物の総重量による合わせた濃度を生成させるために、各選択された複数の化合物の量を添加することを特徴とする、請求項7に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項13】
段階(d)が、第一の上清液として、第一のペースト残留産物としての前記第一の残留産物と組み合わせて、第一の予め定められた少なくとも1つの化合物濃度を有する前記第一の分離可能な産物を形成させることを含む、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項14】
段階(d)が、第一の上清液として、第一のペースト残留産物としての前記第一の残留産物と組み合わせて、12%の少なくとも1つの化合物濃度を有する前記第一の分離可能な産物を形成させることを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項15】
段階(d)が、第一の上清液として、第一のペースト残留産物としての前記第一の残留産物と組み合わせて、11%から13%の第二の範囲内の、少なくとも1つの化合物濃度を有する前記第一の分離可能な産物を形成させることを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項16】
第VIII、IX及びフォンビレブランド因子及びフィブリノーゲンを含む血液因子を含有する産物の群へと前記第一の残留産物を分画するさらなる段階を特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項17】
段階(e)が、遠心することにより前記第一の残留産物から前記第一の分離可能な産物を分離することを含む、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項18】
段階(e)が、前記第一の分離可能な産物を第一の上清液として取ることを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項19】
段階(f)が、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム及びグルコン酸ナトリウムを含む有機塩の群から少なくとも1つの化合物を選択することを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項20】
段階(f)が、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及び塩化アンモニウムを含む無機塩の群から少なくとも1つの化合物を選択することを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項21】
段階(f)が、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及び塩化アンモニウムを含む塩の群から少なくとも1つの化合物を選択することを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項22】
段階(g)が、22%の、少なくとも1つの化合物の総重量による濃度を生成させるために、選択された少なくとも1つの化合物の量を添加することを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項23】
段階(g)が、21から23%内の、少なくとも1つの化合物の総重量による濃度を生成させるために、選択された少なくとも1つの化合物の量を添加することを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項24】
段階(f)が、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及び塩化アンモニウムを含む塩の群から複数の化合物を選択することを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項25】
段階(g)が、22%の、複数の化合物の総重量による合わせた濃度を生成させるために、各選択された複数の化合物の量を添加することを特徴とする、請求項24に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項26】
段階(g)が、21%から23%の範囲内の、複数の化合物の総重量による合わせた濃度を生成させるために、各選択された複数の化合物の量を添加することを特徴とする、請求項25に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項27】
段階(g)が、第二の予め定められた少なくとも1つの化合物の重量濃度を有する前記第二の上清残留産物と組み合わせて、第二の沈殿物として前記第二の分離可能な産物を形成させることを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項28】
段階(g)後の、アルブミン及びα−1−アンチトリプシンを含む産物の群へと前記第二の残留産物を分画するさらなる段階を特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項29】
段階(h)が、遠心することにより前記第二の残留産物から前記第二の分離可能な産物を分離することを含む、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項30】
段階(h)が、ろ過することにより前記第二の残留産物から前記第二の分離可能な産物を分離することを含む、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項31】
段階(h)が、結果として生じる測定可能な重量を有するペーストとして、前記第二の分離可能な産物を分離することを含む、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項32】
段階(i)が、前記結果として生じる重量の4倍の水の体積と前記分離可能なペースト産物の前記結果として生じる体積を合わせることにより、分離可能なペーストの希釈液を形成させることを含む、請求項31に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項33】
段階(h)が、実質的に少なくとも1つの化合物不含の第三の産物を提供するために、添加された少なくとも1つの化合物から第三の産物の一部を分離する目的のためにろ過膜に希釈液を通すことを特徴とする、請求項32に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項34】
段階(j)が、実質的に少なくとも1つの化合物不含の第三の産物を提供するために、添加された少なくとも1つの化合物から第三の産物の一部を分離する目的のために30KD透析ろ過膜に希釈液を通すことを特徴とする、請求項33に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項35】
段階(j)が、透析ろ過前に、第一の予め定められた伝導度について第三の産物の伝導度を試験すること及び、実質的に少なくとも1つの化合物不含の第三の産物を第二の予め定められた伝導度について試験することを含む、請求項33に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項36】
段階(j)が、実質的に少なくとも1つの化合物不含の第三の産物の伝導度が500マイクロシーメンス/cm(μS/cm)±400マイクロシーメンス/cm(μS/cm)の範囲であることを確認するために伝導度を試験することを含む、請求項35に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項37】
次のさらなる段階を特徴とする、請求項36に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法:
(k)IgGウイルス不活性化溶液を生成させるために、実質的に少なくとも1つの化合物不含の第三の産物中に含有されるウイルスを不活性化する目的で、溶媒界面活性剤及び増強溶媒界面活性剤(augmented solvent detergent)を含む界面活性剤の群から選択される界面活性剤の予め定められた濃度の予め定められた体積を添加すること。
【請求項38】
次のさらなる段階を含む、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法:IgG不活性化溶液を2から8℃の範囲まで冷却すること。
【請求項39】
次のさらなる段階を含む、請求項38に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法:
(l)樹脂結合IgG及び流出液を生成させるためにIgGウイルス不活性化溶液においてカラムクロマトグラフィーを行うことと;
(m)樹脂結合IgGを流出液から分離することと;
(n)ウイルス不活性化化学物質不含のIgGに富む溶液を生成させるために、塩化ナトリウムの予め定められた濃度で、カラム樹脂結合IgGを洗浄すること。
【請求項40】
段階(l)が、精製IgG溶液を生成させるために、ウイルス不活性化化学物質不含のIgGに富む溶液を精製する目的で弱陽イオン交換樹脂を使用することを含む、請求項39に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項41】
段階(l)が、Toyopearl CM−650C樹脂を使用することを含む、請求項39に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項42】
段階(l)が、ウイルス不活性化化学物質不含のIgG濃縮溶液が100から900マイクロシーメンス/cm(μS/cm)の範囲の伝導度を有することを確認するために、ウイルス不活性化化学物質不含のIgGに富む溶液の伝導度を試験することを含む、請求項39に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項43】
次のさらなる段階を含む、請求項39に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法:
(o)精製IgG溶液を限外ろ過することにより、IgG溶液の予め定められた濃度まで精製IgG溶液を濃縮すること。
【請求項44】
段階(o)が、精製IgG溶液を限外ろ過することにより、IgG溶液の12%濃度まで精製IgG溶液を濃縮することを含む、請求項42に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項45】
次のさらなる段階を特徴とする、請求項39に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法:
(p)安定化IgG濃縮溶液を生成させるために、マルトース及びソルビトールを含む化学物質の群から選択される安定化化学物質を添加することにより、IgG溶液の予め定められた濃度を安定化させること。
【請求項46】
次のさらなる段階を含む、請求項37に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法:
(q)ナノフィルトレーションされた安定化IgG濃縮溶液を生成させるために、安定化IgG濃縮溶液をナノフィルトレーションすること。
【請求項47】
次のさらなる段階を含む、請求項37に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法:
(r)注射用滅菌水を使用し、バルク精製IgGの予め定められた濃度に安定化IgG濃縮溶液を希釈すること。
【請求項48】
次のさらなる段階を含む、請求項45に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法:
(s)注射用滅菌水を使用し、10%バルク精製IgGの濃度に安定化IgG濃縮溶液を希釈すること。
【請求項49】
次のさらなる段階を含む、請求項48に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法:
(t)バルク精製IgG濃縮溶液を滅菌する目的でろ過すること。
【請求項50】
次のさらなる段階を含む、請求項49に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法:
(u)滅菌済みバルク精製濃縮IgG溶液を販売のために滅菌バイアルに分配すること。
【請求項51】
次のさらなる段階を含む、請求項50に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法:
(v)安全及び効力について滅菌バイアルの中身の試料を試験し、バイアルが予め定められた試験基準に合格した場合、販売チャネルに向けてバイアルを発売すること。
【請求項52】
段階(i)の後のさらなる段階が、アルブミン及びα−1−アンチトリプシンを分離するために、前記第二の残留産物を処理する、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項53】
血液ベースの材料の前記量の前記調製が、血漿を凍結し、次いで、懸濁液中で沈殿を形成させるために0から4℃で制御凍結融解し、血液ベースの材料の結果として得られた量を与えるために沈殿物を分離することにより、寒冷沈降物を得るさらなる段階を含む、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項54】
段階(c)が、エタノールを含むアルコール化合物の群から少なくとも1つの化合物を選択することを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項55】
段階(c)が、(i)クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及び塩化アンモニウムの塩及び(ii)エタノールを含む群からのアルコールベース化合物から少なくとも1つの化合物を選択することを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項56】
段階(c)が、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及び塩化アンモニウムの塩及びアルコールベースの化合物を含む群から複数の化合物を選択することを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項57】
段階(f)が、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及び塩化アンモニウムの塩及びアルコールベースの化合物を含む化合物の群から少なくとも1つの化合物を選択することを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。
【請求項58】
段階(f)が、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム及び塩化アンモニウムの塩及びアルコールベースの化合物を含む化合物の群から複数の化合物を選択することを特徴とする、請求項1に記載の、血液ベースの材料の分画のための方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2009−507015(P2009−507015A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−529047(P2008−529047)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2006/030465
【国際公開番号】WO2007/030244
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(508064447)プラズマ・テクノロジーズ・エル・エル・シー (1)
【Fターム(参考)】