超高圧水銀放電灯
【課題】石英バルブの破損する恐れが少なく、信頼性の高い超高圧水銀放電灯を提供することを目的とする。
【解決手段】この発明に係る超高圧水銀放電灯は、石英バルブ内に一対の電極システム24a,24bを封止した発光管2を有する超高圧水銀放電灯において、一対の電極システム24a,24bは、夫々、溶接部21a−2,21b−2を有する電極21a,21bと、一端が溶接部21a−2,21b−2に溶接される箔22a,22bと、箔22a,22bの他端に接続されるリード線23a,23bとを備え、箔22a,22bの溶接部21a−2,21b−2の近傍に開口部22a―1,22b−1を設けたことを特徴とする。
【解決手段】この発明に係る超高圧水銀放電灯は、石英バルブ内に一対の電極システム24a,24bを封止した発光管2を有する超高圧水銀放電灯において、一対の電極システム24a,24bは、夫々、溶接部21a−2,21b−2を有する電極21a,21bと、一端が溶接部21a−2,21b−2に溶接される箔22a,22bと、箔22a,22bの他端に接続されるリード線23a,23bとを備え、箔22a,22bの溶接部21a−2,21b−2の近傍に開口部22a―1,22b−1を設けたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プロジェクター用光源に使用される超高圧水銀放電灯に関するもので、更に詳しくは発光管の箔の電極芯線との溶接部付近の形状に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター用光源に使用される超高圧水銀放電灯(以下、ランプと呼ぶ場合もある)の発光管は、石英ガラスチューブの中に電極システムを挿入し、これらを封止する。超高圧水銀放電灯の発光管の内部圧力は非常に高く、200気圧に達する場合もある。
【0003】
そのため、ランプの点灯中に発光管の石英バルブが、内圧に耐えきれずに破損することがある。特に、電極溶接部の石英ガラスチューブと箔との密着性が悪くその間に隙間が生じる。その隙間に高圧の水銀が入り込み、石英バルブが破損することがある。
【0004】
図10は従来の超高圧水銀放電灯の発光管102の断面図である。発光管102は、一対の電極システム124aと電極システム124bとが石英バルブ120内に配置される。電極システム124aは、電極121a、箔122a、リード線123aを備える。同様に、電極システム124bは、電極121b、箔122b、リード線123bを備える。発光管102内には、水銀125と希ガスが封入される。そして、発光管102の両端部は、石英バルブ120を加熱・溶融することで封止られる。
【0005】
図11は従来の発光管102の封止後の溶接部121a−2,121b−2付近における発光管102の中心線に直交する方向の断面図である。発光管102の封止工程において、溶接部121a−2,121b−2の断面形状が、例えば、図11に示すような円形の場合、同図に示すように、溶接部121a−2,121b−2と箔122a,122bとの接触部付近は溶融した石英バルブ120が届かずに、隙間126aが生ずる。この隙間126aに高圧の水銀125が進入すると、石英バルブ120が破損する恐れがある。
【0006】
図12は従来の発光管102の封止後の溶接部121b−2付近における発光管102の中心線方向の断面図である。電極121bと箔122bとは、固定強度を確保するため、箔122bと略円筒状の電極121bの端部とが重なるように溶接される。そのため、電極システム124bの封止行程において、溶接部121b−2の端面と箔122bとの角部には、図12に示すように、隙間126bが生ずる(電極システム124aにおいても同様)。
【0007】
隙間126bに高圧の水銀125が進入すると、石英バルブ120と箔122bとの剥離が生じる。この剥離がリード線123b方向に進行して、石英バルブ120が破損する恐れがある。
【特許文献1】特開平11−067156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、従来の超高圧水銀放電灯は、電極121a,121bと箔122a,122bとが、固定強度を確保するために、箔122a,122bと略円筒状の電極121a,121bの端部とが重なるように溶接される。そのため、発光管102の封止工程において、石英バルブ120と箔122a,122b及び電極121a,121bとの間に、隙間126a,126bが生じる。隙間126a,126bに高圧の水銀125が進入すると、石英バルブ120と箔122a,122bとの剥離が生じる。この剥離がリード線123a、123b方向に進行して、石英バルブ120が破損する恐れがあった。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、石英バルブの破損する恐れが少なく、信頼性の高い超高圧水銀放電灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、石英バルブ内に一対の電極システムを封止した発光管を有する超高圧水銀放電灯において、
一対の電極システムは、夫々、溶接部を有する電極と、一端が溶接部に溶接される箔と、箔の他端に接続されるリード線とを備え、
箔の溶接部の近傍に開口部を設けたことを特徴とする。
【0011】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、開口部を溶接部の端部付近に設けたことを特徴とする。
【0012】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、溶接部の先端が、箔の開口部に臨むように配置することを特徴とする。
【0013】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、開口部の幅L1を、箔の幅L0の70%以下にすることを特徴とする。
【0014】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、電極の溶接部の直径Dと、開口部の幅L1との関係を、D≦L1≦3Dとすることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、複数の開口部を、箔の電極の溶接部の周囲に配置することを特徴とする。
【0016】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、電極の溶接部を囲むような凹形状の開口部を箔に設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、箔の溶接部の近傍に開口部を設けたことにより、開口部で封止後の石英バルブ同士が密着するため、隙間を起点とした石英バルブと箔との剥離が発生しても、箔に沿ってリード線側への剥離の進行を止めることができる。従って、点灯中の発光管の破損を防止できる。
【0018】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、開口部を溶接部の端部付近に設けたことにより、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部の端面と箔との角部の隙間を無くすことができる。また、電極の溶接部の側部に生じる隙間は無くならないが、開口部では封止後の石英バルブ同士が密着するため、隙間を起点とした石英バルブと箔との剥離が発生しても、箔に沿ってリード線側への剥離の進行を止めることができる。
【0019】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、溶接部の先端が、箔の開口部に臨むように配置することにより、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部の端面と箔との角部の隙間を確実に無くすことができる。
【0020】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、開口部の幅L1を箔の幅L0の70%以下にすることにより、箔の電流密度が大きくなり、箔の温度が高くなるのを抑制できる。
【0021】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、電極の溶接部の直径Dと開口部の幅L1との関係を、D≦L1≦3Dとすることにより、箔の電流密度が大きくなり、箔の温度が高くなるのを抑制できる。また、従来の超高圧水銀放電灯に見られる隙間を起点とした石英バルブと箔との剥離が箔に沿ってリード線側へ進行するのを止める効果が減少するのを最小限に抑えることができる。
【0022】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、複数の開口部を箔の電極の溶接部の周囲に配置することにより、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部の両側部の隙間と、溶接部の端面と箔との角部の隙間とが減少する。また、複数の開口部において、石英バルブ同士が密着するため、隙間を起点とした石英バルブと箔との剥離が箔に沿ってリード線側へ進行するのを抑制できる。
【0023】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、電極の溶接部を囲むような凹形状の開口部を箔に設けることにより、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部の両側部の隙間と、溶接部の端面と箔との角部の隙間とが共に無くなる。また、仮に僅かな隙間が生じても、開口部において、石英バルブ同士が密着するため、隙間を起点とした石英バルブと箔との剥離が箔に沿ってリード線側へ進行するのを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
実施の形態1.
図1乃至図9は実施の形態1を示す図で、図1は反射鏡付放電灯100の一部を破断した側面図、図2は発光管2の断面図、図3は箔22bの平面図、図4は電極システム24bの部分平面図、図5は発光管2の封止後の溶接部21b−2付近における発光管2の中心線方向の断面図、図6は変形例1の箔22bの平面図、図7は変形例2の箔22bの平面図、図8は変形例3の箔22bの平面図、図9は変形例4の箔22bの平面図である。
【0025】
本実施の形態は、発光管2の内部に配置される箔の電極の溶接部付近の形状に特徴がある。従って、反射鏡付放電灯100(超高圧水銀放電灯の一例)の全体構成については、簡単に説明する。
【0026】
図1に示すように、反射鏡付放電灯100は、反射鏡3(図1の例は、放物型)の内部に発光管2が収納される。発光管2は、反射鏡3のネック部3bにセメント18により固定される。発光管2の中心軸2aが、反射鏡3の開口部3aとネック部3bを結ぶ中心軸に一致し、発光部11の中心が反射鏡3の焦点となる状態で固定される。セメント18の主成分は、シリカである。
【0027】
発光管2については後述するが、発光管2の電極システム24aの電極21aに接続するリード線23aが、発光管2の前面側端面(反射鏡3の開口部3a側)から引き出される。リード線23aは、第1の端子15aに接続する。
【0028】
また、発光管2の電極システム24bの電極21bに接続するリード線23bが、発光管2の背面側端面(反射鏡3のネック部3b側)から引き出される。リード線23bは、第2の端子15bに接続する。
【0029】
石英バルブ20のモリブデン箔22aの周囲を覆う部分に、トリガーコイル17が巻かれる。トリガーコイル17は、第2の端子15bに接続する。
【0030】
反射鏡3の前面の開口部3aに、透光性の前面ガラス19が取り付けられる。
【0031】
発光管2の発光部11の中心が、球面、楕円面、放物面等の碗状の反射鏡3の焦点に位置する。放射された光は、反射鏡3の内面に施された反射膜によって反射され、ランプ前方に放射される。放射された光はランプ前方に設けられた光学系に入射する。
【0032】
図2により、発光管2の構成を説明する。発光管2は、一対の電極システム24aと電極システム24bとが石英バルブ20内に配置される。電極システム24aは、電極21a、箔22a、リード線23aを備える。同様に、電極システム24bは、電極21b、箔22b、リード線23bを備える。発光管2内には、水銀25と希ガスが封入される。そして、発光管2の両端部は、石英バルブ20を加熱・溶融することで封止られる。
【0033】
詳細は追って説明するが、箔22a,22bには、電極21a,21bの端部付近に、一例では四角形の開口部22a−1,22b−1が開けられている。
【0034】
図3により、箔22a,22bの構成を説明する。図3は箔22bを示す平面図であるが、箔22aも箔22bと対称である。
【0035】
箔22a,22bは、材質はモリブデンであり、厚さが数十ミクロンである。箔22a,22bを薄くすることで石英バルブ20との密着性が向上し、気密性が良くなる。
【0036】
図3に示すように、箔22bは、電極21b側の端部に開口部22b−1を備える。ここでは、電極システム24bについて説明するが、電極システム24aについても同様である。
【0037】
図3の一例では、開口部22b−1の形状は、四角形である。開口部22b−1の幅L1(長手方向に直交する方向)は、箔22bの幅L0(長手方向に直交する方向)の70%以下にしている。理由については、後述する。
【0038】
図4に示すように、電極21bを箔22bに溶接する場合、電極21bの溶接部21b−2の先端が、箔22bの開口部22b−1に臨むように配置する。但し、電極21bの溶接部21b−2の先端が、箔22bの開口部22b−1の縁部に一致するように配置してもよい。さらに、電極21bの溶接部21b−2の先端を、箔22bの開口部22b−1の縁部より電極21b側に離れるように配置してもよい。
【0039】
電極21bの芯線21b−4(溶接部21b−2)の直径をDとする。開口部22b−1の幅L1は、
D≦L1≦3D (1)
の範囲が好ましい。
【0040】
L1が3Dを超えると、箔22bの電流密度が大きくなり、箔22bの温度が高くなる。
【0041】
開口部22b−1の幅L1(長手方向に直交する方向)を、箔22bの幅L0の70%以下にしているのも、同じ理由である。
【0042】
図4の電極システム24bを石英バルブ20に挿入し、石英バルブ20を加熱して封止する際に、箔22bに開口部22b−1が開けられているため、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部121b−2の端面と箔122bとの角部の隙間126b(図12参照)は無くなる。
【0043】
図5に示すように、電極21bの溶接部21b−2の先端が、箔22bの開口部22b−1に臨むように配置することにより、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部121b−2の端面と箔122bとの角部の隙間126bを確実に無くすことができる。
【0044】
電極21bの溶接部21b−2の側部に生じる隙間126a(図11参照)は無くならないが、開口部22b−1では封止後の石英バルブ20同士が密着するため、隙間126aを起点とした石英バルブ20と箔22bとの剥離が発生しても、箔22bに沿ってリード線23b側への剥離の進行を止めることができる。従って、点灯中の発光管2の破損を防止できる。
【0045】
(1)式において、L1がD未満になると、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部121b−2の端面と箔122bとの角部の隙間126b(図12参照)が若干生じる。また、隙間126aを起点とした石英バルブ20と箔22bとの剥離が箔22bに沿ってリード線23b側へ進行するのを止める効果が減少する。
【0046】
箔22bの開口部22b−1の形状は、四角形以外のものでもよい。どのような形状でもよい。以下、四角形以外の例を示す。
【0047】
図6は円形の開口部22b−2の例である。この場合も、電極21bを箔22bに溶接する場合、電極21bの溶接部21b−2の先端が、箔22bの開口部22b−2に臨むように配置する。但し、電極21bの溶接部21b−2の先端が、箔22bの開口部22b−2の縁部に一致するように配置してもよい。さらに、電極21bの溶接部21b−2の先端を、箔22bの開口部22b−2の縁部より電極21b側に離れるように配置してもよい。
【0048】
図7は三角形の開口部22b−3の例である。三角形の開口部22b−3の場合は、その一辺が箔22bの幅方向(長手方向に直交する方向)に略平行になるように配置する。これにより、四角形の開口部22b−1の場合と略同等の効果を奏する。
【0049】
三角形の開口部22b−3の場合も、電極21bを箔22bに溶接する場合、電極21bの溶接部21b−2の先端が、箔22bの開口部22b−3に僅かに臨むように配置する。但し、電極21bの溶接部21b−2の先端が、箔22bの開口部22b−3の縁部に一致するように配置してもよい。さらに、電極21bの溶接部21b−2の先端を、箔22bの開口部22b−3の縁部より電極21b側に離れるように配置してもよい。
【0050】
図8に示すように、複数の開口部22b−4を箔22bの電極21bの溶接部21b−2の周囲に配置するようにしてもよい。図8の例は、7個の円形の開口部22b−4が開けられている。
【0051】
7個の開口部22b−4は、電極21bの溶接部21b−2の端部に1個及び両側部に3個ずつ所定の間隔で配置される。
【0052】
開口部22b−4の大きさは、直径が0.1から0.5mm程度のものである。
【0053】
開口部22b−4の形状は、図8の円の以外の形状、例えば、楕円、四角、三角等どのような形状でもよい。
【0054】
図8に示すように、複数の開口部22b−4を箔22bの電極21bの溶接部21b−2の周囲に配置することにより、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部121b−2の両側部の隙間126aと、溶接部121b−2の端面と箔122bとの角部の隙間126bとが減少する。
【0055】
また、複数の開口部22b−4において、石英バルブ20同士が密着するため、隙間126a,126bを起点とした石英バルブ20と箔22bとの剥離が箔22bに沿ってリード線23b側へ進行するのを抑制する。
【0056】
図9に示すように、電極21bの溶接部21b−2を囲むような凹形状の開口部22b−5を箔22bに設けてもよい。
【0057】
箔22bに、電極21bの溶接部21b−2を囲むような凹形状の開口部22b−5を設けることにより、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部121b−2の両側部の隙間126aと、溶接部121b−2の端面と箔122bとの角部の隙間126bとが共に無くなる。
【0058】
また、仮に僅かな隙間126a,126bが生じても、開口部22b−5において、石英バルブ20同士が密着するため、隙間126a,126bを起点とした石英バルブ20と箔22bとの剥離が箔22bに沿ってリード線23b側へ進行するのを抑制する。
【0059】
以上のように、この実施の形態によれば、箔22a,22bの電極21a,21bの端部付近に、四角形、円形、三角形等の開口部22a−1,22b−1を開けることにより、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部121a−1,121b−2の端面と箔122a,122bとの角部の隙間126bを無くすことができる。
【0060】
また、電極21a,21bの溶接部21a−2,21b−2の側部に生じる隙間126a(図11参照)は無くならないが、開口部22a−1,22b−1では封止後の石英バルブ20同士が密着するため、隙間126aを起点とした石英バルブ20と箔22a,22bとの剥離が発生しても、箔22a,22bに沿ってリード線23a,23b側への剥離の進行を止めることができる。従って、点灯中の発光管2の破損を防止できる。
【0061】
電極21a,21bの芯線21a−4,21b−4の直径をDと、開口部22a−1,22b−1の幅L1との関係を、D≦L1≦3Dとすることにより、箔22a,22bの電流密度が大きくなり、箔22a,22bの温度が高くなるのを抑制できる。また、従来の超高圧水銀放電灯に見られる隙間126aを起点とした石英バルブ20と箔22bとの剥離が箔22bに沿ってリード線23b側へ進行するのを止める効果が減少するのを最小限に抑えることができる。
【0062】
また、開口部22b−1の幅L1を、箔22bの幅L0の70%以下にすることにより、箔22a,22bの電流密度が大きくなり、箔22a,22bの温度が高くなるのを抑制できる。
【0063】
また、直径が0.1から0.5mm程度の円形等の複数の開口部22a−4,22b−4を箔22a,22bの電極21a,21bの溶接部21a−2,21b−2の周囲に配置することにより、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部121a−2,121b−2の両側部の隙間126aと、溶接部121a−2,121b−2の端面と箔122a,122bとの角部の隙間126bとが減少する。また、複数の開口部22a−4,22b−4において、石英バルブ20同士が密着するため、隙間126a,126bを起点とした石英バルブ20と箔22a,22bとの剥離が箔22a,22bに沿ってリード線23a,23b側へ進行するのを抑制できる。
【0064】
さらに、電極21a,21bの溶接部21a−2,21b−2を囲むような凹形状の開口部22a−5,22b−5を箔22a,22bに設けることにより、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部121a−2,121b−2の両側部の隙間126aと、溶接部121a−2,121b−2の端面と箔122a,122bとの角部の隙間126bとが共に無くなる。
【0065】
また、仮に僅かな隙間126a,126bが生じても、開口部22a−5,22b−5において、石英バルブ20同士が密着するため、隙間126a,126bを起点とした石英バルブ20と箔22a,22bとの剥離が箔22a,22bに沿ってリード線23a,23b側へ進行するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施の形態1を示す図で、反射鏡付放電灯100の一部を破断した側面図。
【図2】実施の形態1を示す図で、発光管2の断面図。
【図3】実施の形態1を示す図で、箔22bの平面図。
【図4】実施の形態1を示す図で、電極システム24bの部分平面図。
【図5】実施の形態1を示す図で、発光管2の封止後の溶接部21b−2付近における発光管2の中心線方向の断面図。
【図6】実施の形態1を示す図で、変形例1の箔22bの平面図。
【図7】実施の形態1を示す図で、変形例2の箔22bの平面図。
【図8】実施の形態1を示す図で、変形例3の箔22bの平面図。
【図9】実施の形態1を示す図で、変形例4の箔22bの平面図。
【図10】従来の超高圧水銀放電灯の発光管102の断面図。
【図11】従来の発光管102の封止後の溶接部121a−2,121b−2付近における発光管102の中心線に直交する方向の断面図。
【図12】従来の発光管102の封止後の溶接部121b−2付近における発光管102の中心線方向の断面図。
【符号の説明】
【0067】
2 発光管、3 反射鏡、3a 開口部、3b ネック部、11 発光部、15a 第1の端子、15b 第2の端子、17 トリガーコイル、18 セメント、19 前面ガラス、20 石英バルブ、21a 電極、21a−2 溶接部、21b 電極、21b−1 放電部、21b−2 溶接部、21b−4 芯線、22a 箔、22a−1 開口部、22a−4 開口部、22a−5 開口部、22b 箔、22b−1 開口部、22b−2 開口部、22b−3 開口部、22b−4 開口部、22b−5 開口部、23a リード線、23b リード線、24a 電極システム、24b 電極システム、25 水銀、100 反射鏡付放電灯、102 発光管、121a 電極、121a−2 溶接部、121b 電極、121b−2 溶接部、122a 箔、122b 箔、123a リード線、123b リード線、124a 電極システム、124b 電極システム、125 水銀、126a 隙間、126b 隙間。
【技術分野】
【0001】
この発明は、プロジェクター用光源に使用される超高圧水銀放電灯に関するもので、更に詳しくは発光管の箔の電極芯線との溶接部付近の形状に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクター用光源に使用される超高圧水銀放電灯(以下、ランプと呼ぶ場合もある)の発光管は、石英ガラスチューブの中に電極システムを挿入し、これらを封止する。超高圧水銀放電灯の発光管の内部圧力は非常に高く、200気圧に達する場合もある。
【0003】
そのため、ランプの点灯中に発光管の石英バルブが、内圧に耐えきれずに破損することがある。特に、電極溶接部の石英ガラスチューブと箔との密着性が悪くその間に隙間が生じる。その隙間に高圧の水銀が入り込み、石英バルブが破損することがある。
【0004】
図10は従来の超高圧水銀放電灯の発光管102の断面図である。発光管102は、一対の電極システム124aと電極システム124bとが石英バルブ120内に配置される。電極システム124aは、電極121a、箔122a、リード線123aを備える。同様に、電極システム124bは、電極121b、箔122b、リード線123bを備える。発光管102内には、水銀125と希ガスが封入される。そして、発光管102の両端部は、石英バルブ120を加熱・溶融することで封止られる。
【0005】
図11は従来の発光管102の封止後の溶接部121a−2,121b−2付近における発光管102の中心線に直交する方向の断面図である。発光管102の封止工程において、溶接部121a−2,121b−2の断面形状が、例えば、図11に示すような円形の場合、同図に示すように、溶接部121a−2,121b−2と箔122a,122bとの接触部付近は溶融した石英バルブ120が届かずに、隙間126aが生ずる。この隙間126aに高圧の水銀125が進入すると、石英バルブ120が破損する恐れがある。
【0006】
図12は従来の発光管102の封止後の溶接部121b−2付近における発光管102の中心線方向の断面図である。電極121bと箔122bとは、固定強度を確保するため、箔122bと略円筒状の電極121bの端部とが重なるように溶接される。そのため、電極システム124bの封止行程において、溶接部121b−2の端面と箔122bとの角部には、図12に示すように、隙間126bが生ずる(電極システム124aにおいても同様)。
【0007】
隙間126bに高圧の水銀125が進入すると、石英バルブ120と箔122bとの剥離が生じる。この剥離がリード線123b方向に進行して、石英バルブ120が破損する恐れがある。
【特許文献1】特開平11−067156号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、従来の超高圧水銀放電灯は、電極121a,121bと箔122a,122bとが、固定強度を確保するために、箔122a,122bと略円筒状の電極121a,121bの端部とが重なるように溶接される。そのため、発光管102の封止工程において、石英バルブ120と箔122a,122b及び電極121a,121bとの間に、隙間126a,126bが生じる。隙間126a,126bに高圧の水銀125が進入すると、石英バルブ120と箔122a,122bとの剥離が生じる。この剥離がリード線123a、123b方向に進行して、石英バルブ120が破損する恐れがあった。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、石英バルブの破損する恐れが少なく、信頼性の高い超高圧水銀放電灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、石英バルブ内に一対の電極システムを封止した発光管を有する超高圧水銀放電灯において、
一対の電極システムは、夫々、溶接部を有する電極と、一端が溶接部に溶接される箔と、箔の他端に接続されるリード線とを備え、
箔の溶接部の近傍に開口部を設けたことを特徴とする。
【0011】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、開口部を溶接部の端部付近に設けたことを特徴とする。
【0012】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、溶接部の先端が、箔の開口部に臨むように配置することを特徴とする。
【0013】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、開口部の幅L1を、箔の幅L0の70%以下にすることを特徴とする。
【0014】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、電極の溶接部の直径Dと、開口部の幅L1との関係を、D≦L1≦3Dとすることを特徴とする。
【0015】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、複数の開口部を、箔の電極の溶接部の周囲に配置することを特徴とする。
【0016】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、電極の溶接部を囲むような凹形状の開口部を箔に設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、箔の溶接部の近傍に開口部を設けたことにより、開口部で封止後の石英バルブ同士が密着するため、隙間を起点とした石英バルブと箔との剥離が発生しても、箔に沿ってリード線側への剥離の進行を止めることができる。従って、点灯中の発光管の破損を防止できる。
【0018】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、開口部を溶接部の端部付近に設けたことにより、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部の端面と箔との角部の隙間を無くすことができる。また、電極の溶接部の側部に生じる隙間は無くならないが、開口部では封止後の石英バルブ同士が密着するため、隙間を起点とした石英バルブと箔との剥離が発生しても、箔に沿ってリード線側への剥離の進行を止めることができる。
【0019】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、溶接部の先端が、箔の開口部に臨むように配置することにより、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部の端面と箔との角部の隙間を確実に無くすことができる。
【0020】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、開口部の幅L1を箔の幅L0の70%以下にすることにより、箔の電流密度が大きくなり、箔の温度が高くなるのを抑制できる。
【0021】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、電極の溶接部の直径Dと開口部の幅L1との関係を、D≦L1≦3Dとすることにより、箔の電流密度が大きくなり、箔の温度が高くなるのを抑制できる。また、従来の超高圧水銀放電灯に見られる隙間を起点とした石英バルブと箔との剥離が箔に沿ってリード線側へ進行するのを止める効果が減少するのを最小限に抑えることができる。
【0022】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、複数の開口部を箔の電極の溶接部の周囲に配置することにより、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部の両側部の隙間と、溶接部の端面と箔との角部の隙間とが減少する。また、複数の開口部において、石英バルブ同士が密着するため、隙間を起点とした石英バルブと箔との剥離が箔に沿ってリード線側へ進行するのを抑制できる。
【0023】
この発明に係る超高圧水銀放電灯は、電極の溶接部を囲むような凹形状の開口部を箔に設けることにより、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部の両側部の隙間と、溶接部の端面と箔との角部の隙間とが共に無くなる。また、仮に僅かな隙間が生じても、開口部において、石英バルブ同士が密着するため、隙間を起点とした石英バルブと箔との剥離が箔に沿ってリード線側へ進行するのを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
実施の形態1.
図1乃至図9は実施の形態1を示す図で、図1は反射鏡付放電灯100の一部を破断した側面図、図2は発光管2の断面図、図3は箔22bの平面図、図4は電極システム24bの部分平面図、図5は発光管2の封止後の溶接部21b−2付近における発光管2の中心線方向の断面図、図6は変形例1の箔22bの平面図、図7は変形例2の箔22bの平面図、図8は変形例3の箔22bの平面図、図9は変形例4の箔22bの平面図である。
【0025】
本実施の形態は、発光管2の内部に配置される箔の電極の溶接部付近の形状に特徴がある。従って、反射鏡付放電灯100(超高圧水銀放電灯の一例)の全体構成については、簡単に説明する。
【0026】
図1に示すように、反射鏡付放電灯100は、反射鏡3(図1の例は、放物型)の内部に発光管2が収納される。発光管2は、反射鏡3のネック部3bにセメント18により固定される。発光管2の中心軸2aが、反射鏡3の開口部3aとネック部3bを結ぶ中心軸に一致し、発光部11の中心が反射鏡3の焦点となる状態で固定される。セメント18の主成分は、シリカである。
【0027】
発光管2については後述するが、発光管2の電極システム24aの電極21aに接続するリード線23aが、発光管2の前面側端面(反射鏡3の開口部3a側)から引き出される。リード線23aは、第1の端子15aに接続する。
【0028】
また、発光管2の電極システム24bの電極21bに接続するリード線23bが、発光管2の背面側端面(反射鏡3のネック部3b側)から引き出される。リード線23bは、第2の端子15bに接続する。
【0029】
石英バルブ20のモリブデン箔22aの周囲を覆う部分に、トリガーコイル17が巻かれる。トリガーコイル17は、第2の端子15bに接続する。
【0030】
反射鏡3の前面の開口部3aに、透光性の前面ガラス19が取り付けられる。
【0031】
発光管2の発光部11の中心が、球面、楕円面、放物面等の碗状の反射鏡3の焦点に位置する。放射された光は、反射鏡3の内面に施された反射膜によって反射され、ランプ前方に放射される。放射された光はランプ前方に設けられた光学系に入射する。
【0032】
図2により、発光管2の構成を説明する。発光管2は、一対の電極システム24aと電極システム24bとが石英バルブ20内に配置される。電極システム24aは、電極21a、箔22a、リード線23aを備える。同様に、電極システム24bは、電極21b、箔22b、リード線23bを備える。発光管2内には、水銀25と希ガスが封入される。そして、発光管2の両端部は、石英バルブ20を加熱・溶融することで封止られる。
【0033】
詳細は追って説明するが、箔22a,22bには、電極21a,21bの端部付近に、一例では四角形の開口部22a−1,22b−1が開けられている。
【0034】
図3により、箔22a,22bの構成を説明する。図3は箔22bを示す平面図であるが、箔22aも箔22bと対称である。
【0035】
箔22a,22bは、材質はモリブデンであり、厚さが数十ミクロンである。箔22a,22bを薄くすることで石英バルブ20との密着性が向上し、気密性が良くなる。
【0036】
図3に示すように、箔22bは、電極21b側の端部に開口部22b−1を備える。ここでは、電極システム24bについて説明するが、電極システム24aについても同様である。
【0037】
図3の一例では、開口部22b−1の形状は、四角形である。開口部22b−1の幅L1(長手方向に直交する方向)は、箔22bの幅L0(長手方向に直交する方向)の70%以下にしている。理由については、後述する。
【0038】
図4に示すように、電極21bを箔22bに溶接する場合、電極21bの溶接部21b−2の先端が、箔22bの開口部22b−1に臨むように配置する。但し、電極21bの溶接部21b−2の先端が、箔22bの開口部22b−1の縁部に一致するように配置してもよい。さらに、電極21bの溶接部21b−2の先端を、箔22bの開口部22b−1の縁部より電極21b側に離れるように配置してもよい。
【0039】
電極21bの芯線21b−4(溶接部21b−2)の直径をDとする。開口部22b−1の幅L1は、
D≦L1≦3D (1)
の範囲が好ましい。
【0040】
L1が3Dを超えると、箔22bの電流密度が大きくなり、箔22bの温度が高くなる。
【0041】
開口部22b−1の幅L1(長手方向に直交する方向)を、箔22bの幅L0の70%以下にしているのも、同じ理由である。
【0042】
図4の電極システム24bを石英バルブ20に挿入し、石英バルブ20を加熱して封止する際に、箔22bに開口部22b−1が開けられているため、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部121b−2の端面と箔122bとの角部の隙間126b(図12参照)は無くなる。
【0043】
図5に示すように、電極21bの溶接部21b−2の先端が、箔22bの開口部22b−1に臨むように配置することにより、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部121b−2の端面と箔122bとの角部の隙間126bを確実に無くすことができる。
【0044】
電極21bの溶接部21b−2の側部に生じる隙間126a(図11参照)は無くならないが、開口部22b−1では封止後の石英バルブ20同士が密着するため、隙間126aを起点とした石英バルブ20と箔22bとの剥離が発生しても、箔22bに沿ってリード線23b側への剥離の進行を止めることができる。従って、点灯中の発光管2の破損を防止できる。
【0045】
(1)式において、L1がD未満になると、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部121b−2の端面と箔122bとの角部の隙間126b(図12参照)が若干生じる。また、隙間126aを起点とした石英バルブ20と箔22bとの剥離が箔22bに沿ってリード線23b側へ進行するのを止める効果が減少する。
【0046】
箔22bの開口部22b−1の形状は、四角形以外のものでもよい。どのような形状でもよい。以下、四角形以外の例を示す。
【0047】
図6は円形の開口部22b−2の例である。この場合も、電極21bを箔22bに溶接する場合、電極21bの溶接部21b−2の先端が、箔22bの開口部22b−2に臨むように配置する。但し、電極21bの溶接部21b−2の先端が、箔22bの開口部22b−2の縁部に一致するように配置してもよい。さらに、電極21bの溶接部21b−2の先端を、箔22bの開口部22b−2の縁部より電極21b側に離れるように配置してもよい。
【0048】
図7は三角形の開口部22b−3の例である。三角形の開口部22b−3の場合は、その一辺が箔22bの幅方向(長手方向に直交する方向)に略平行になるように配置する。これにより、四角形の開口部22b−1の場合と略同等の効果を奏する。
【0049】
三角形の開口部22b−3の場合も、電極21bを箔22bに溶接する場合、電極21bの溶接部21b−2の先端が、箔22bの開口部22b−3に僅かに臨むように配置する。但し、電極21bの溶接部21b−2の先端が、箔22bの開口部22b−3の縁部に一致するように配置してもよい。さらに、電極21bの溶接部21b−2の先端を、箔22bの開口部22b−3の縁部より電極21b側に離れるように配置してもよい。
【0050】
図8に示すように、複数の開口部22b−4を箔22bの電極21bの溶接部21b−2の周囲に配置するようにしてもよい。図8の例は、7個の円形の開口部22b−4が開けられている。
【0051】
7個の開口部22b−4は、電極21bの溶接部21b−2の端部に1個及び両側部に3個ずつ所定の間隔で配置される。
【0052】
開口部22b−4の大きさは、直径が0.1から0.5mm程度のものである。
【0053】
開口部22b−4の形状は、図8の円の以外の形状、例えば、楕円、四角、三角等どのような形状でもよい。
【0054】
図8に示すように、複数の開口部22b−4を箔22bの電極21bの溶接部21b−2の周囲に配置することにより、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部121b−2の両側部の隙間126aと、溶接部121b−2の端面と箔122bとの角部の隙間126bとが減少する。
【0055】
また、複数の開口部22b−4において、石英バルブ20同士が密着するため、隙間126a,126bを起点とした石英バルブ20と箔22bとの剥離が箔22bに沿ってリード線23b側へ進行するのを抑制する。
【0056】
図9に示すように、電極21bの溶接部21b−2を囲むような凹形状の開口部22b−5を箔22bに設けてもよい。
【0057】
箔22bに、電極21bの溶接部21b−2を囲むような凹形状の開口部22b−5を設けることにより、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部121b−2の両側部の隙間126aと、溶接部121b−2の端面と箔122bとの角部の隙間126bとが共に無くなる。
【0058】
また、仮に僅かな隙間126a,126bが生じても、開口部22b−5において、石英バルブ20同士が密着するため、隙間126a,126bを起点とした石英バルブ20と箔22bとの剥離が箔22bに沿ってリード線23b側へ進行するのを抑制する。
【0059】
以上のように、この実施の形態によれば、箔22a,22bの電極21a,21bの端部付近に、四角形、円形、三角形等の開口部22a−1,22b−1を開けることにより、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部121a−1,121b−2の端面と箔122a,122bとの角部の隙間126bを無くすことができる。
【0060】
また、電極21a,21bの溶接部21a−2,21b−2の側部に生じる隙間126a(図11参照)は無くならないが、開口部22a−1,22b−1では封止後の石英バルブ20同士が密着するため、隙間126aを起点とした石英バルブ20と箔22a,22bとの剥離が発生しても、箔22a,22bに沿ってリード線23a,23b側への剥離の進行を止めることができる。従って、点灯中の発光管2の破損を防止できる。
【0061】
電極21a,21bの芯線21a−4,21b−4の直径をDと、開口部22a−1,22b−1の幅L1との関係を、D≦L1≦3Dとすることにより、箔22a,22bの電流密度が大きくなり、箔22a,22bの温度が高くなるのを抑制できる。また、従来の超高圧水銀放電灯に見られる隙間126aを起点とした石英バルブ20と箔22bとの剥離が箔22bに沿ってリード線23b側へ進行するのを止める効果が減少するのを最小限に抑えることができる。
【0062】
また、開口部22b−1の幅L1を、箔22bの幅L0の70%以下にすることにより、箔22a,22bの電流密度が大きくなり、箔22a,22bの温度が高くなるのを抑制できる。
【0063】
また、直径が0.1から0.5mm程度の円形等の複数の開口部22a−4,22b−4を箔22a,22bの電極21a,21bの溶接部21a−2,21b−2の周囲に配置することにより、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部121a−2,121b−2の両側部の隙間126aと、溶接部121a−2,121b−2の端面と箔122a,122bとの角部の隙間126bとが減少する。また、複数の開口部22a−4,22b−4において、石英バルブ20同士が密着するため、隙間126a,126bを起点とした石英バルブ20と箔22a,22bとの剥離が箔22a,22bに沿ってリード線23a,23b側へ進行するのを抑制できる。
【0064】
さらに、電極21a,21bの溶接部21a−2,21b−2を囲むような凹形状の開口部22a−5,22b−5を箔22a,22bに設けることにより、従来の超高圧水銀放電灯に見られる溶接部121a−2,121b−2の両側部の隙間126aと、溶接部121a−2,121b−2の端面と箔122a,122bとの角部の隙間126bとが共に無くなる。
【0065】
また、仮に僅かな隙間126a,126bが生じても、開口部22a−5,22b−5において、石英バルブ20同士が密着するため、隙間126a,126bを起点とした石英バルブ20と箔22a,22bとの剥離が箔22a,22bに沿ってリード線23a,23b側へ進行するのを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施の形態1を示す図で、反射鏡付放電灯100の一部を破断した側面図。
【図2】実施の形態1を示す図で、発光管2の断面図。
【図3】実施の形態1を示す図で、箔22bの平面図。
【図4】実施の形態1を示す図で、電極システム24bの部分平面図。
【図5】実施の形態1を示す図で、発光管2の封止後の溶接部21b−2付近における発光管2の中心線方向の断面図。
【図6】実施の形態1を示す図で、変形例1の箔22bの平面図。
【図7】実施の形態1を示す図で、変形例2の箔22bの平面図。
【図8】実施の形態1を示す図で、変形例3の箔22bの平面図。
【図9】実施の形態1を示す図で、変形例4の箔22bの平面図。
【図10】従来の超高圧水銀放電灯の発光管102の断面図。
【図11】従来の発光管102の封止後の溶接部121a−2,121b−2付近における発光管102の中心線に直交する方向の断面図。
【図12】従来の発光管102の封止後の溶接部121b−2付近における発光管102の中心線方向の断面図。
【符号の説明】
【0067】
2 発光管、3 反射鏡、3a 開口部、3b ネック部、11 発光部、15a 第1の端子、15b 第2の端子、17 トリガーコイル、18 セメント、19 前面ガラス、20 石英バルブ、21a 電極、21a−2 溶接部、21b 電極、21b−1 放電部、21b−2 溶接部、21b−4 芯線、22a 箔、22a−1 開口部、22a−4 開口部、22a−5 開口部、22b 箔、22b−1 開口部、22b−2 開口部、22b−3 開口部、22b−4 開口部、22b−5 開口部、23a リード線、23b リード線、24a 電極システム、24b 電極システム、25 水銀、100 反射鏡付放電灯、102 発光管、121a 電極、121a−2 溶接部、121b 電極、121b−2 溶接部、122a 箔、122b 箔、123a リード線、123b リード線、124a 電極システム、124b 電極システム、125 水銀、126a 隙間、126b 隙間。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
石英バルブ内に一対の電極システムを封止した発光管を有する超高圧水銀放電灯において、
前記一対の電極システムは、夫々、溶接部を有する電極と、一端が前記溶接部に溶接される箔と、前記箔の他端に接続されるリード線とを備え、
前記箔の前記溶接部の近傍に開口部を設けたことを特徴とする超高圧水銀放電灯。
【請求項2】
前記開口部を、前記溶接部の端部付近に設けたことを特徴とする請求項1記載の超高圧水銀放電灯。
【請求項3】
前記溶接部の先端が、前記箔の前記開口部に臨むように配置することを特徴とする請求項2記載の超高圧水銀放電灯。
【請求項4】
前記開口部の幅L1を、前記箔の幅L0の70%以下にすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の超高圧水銀放電灯。
【請求項5】
前記電極の前記溶接部の直径Dと、前記開口部の幅L1との関係を、D≦L1≦3Dとすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の超高圧水銀放電灯。
【請求項6】
複数の前記開口部を、前記箔の前記電極の前記溶接部の周囲に配置することを特徴とする請求項1記載の超高圧水銀放電灯。
【請求項7】
前記電極の前記溶接部を囲むような凹形状の前記開口部を前記箔に設けることを特徴とする請求項1記載の超高圧水銀放電灯。
【請求項1】
石英バルブ内に一対の電極システムを封止した発光管を有する超高圧水銀放電灯において、
前記一対の電極システムは、夫々、溶接部を有する電極と、一端が前記溶接部に溶接される箔と、前記箔の他端に接続されるリード線とを備え、
前記箔の前記溶接部の近傍に開口部を設けたことを特徴とする超高圧水銀放電灯。
【請求項2】
前記開口部を、前記溶接部の端部付近に設けたことを特徴とする請求項1記載の超高圧水銀放電灯。
【請求項3】
前記溶接部の先端が、前記箔の前記開口部に臨むように配置することを特徴とする請求項2記載の超高圧水銀放電灯。
【請求項4】
前記開口部の幅L1を、前記箔の幅L0の70%以下にすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の超高圧水銀放電灯。
【請求項5】
前記電極の前記溶接部の直径Dと、前記開口部の幅L1との関係を、D≦L1≦3Dとすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の超高圧水銀放電灯。
【請求項6】
複数の前記開口部を、前記箔の前記電極の前記溶接部の周囲に配置することを特徴とする請求項1記載の超高圧水銀放電灯。
【請求項7】
前記電極の前記溶接部を囲むような凹形状の前記開口部を前記箔に設けることを特徴とする請求項1記載の超高圧水銀放電灯。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
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【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−301752(P2009−301752A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−152055(P2008−152055)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(591015625)オスラム・メルコ株式会社 (123)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【出願人】(591015625)オスラム・メルコ株式会社 (123)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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