足場装置
【課題】車両に特定の作業台を常備させるのではなく、荷台に既に設けられているあおりを横に倒して上記荷台の側方に突設させた状態とし、その状態のあおりを足場として利用できるようにした足場装置を提供する。
【解決手段】トラックTの荷台Dの左右両側のあおりAの前後両端縁に形成されたあおり固定用金具に着脱自在に取り付けられる固定部材1と、この固定部材1と上記あおりA以外の車両部分に形成された掛止部との間に取り付けられる引張部材2とからなり、上記固定部材1および引張部材2の取り付けにより、上記左右両側のあおりAの少なくとも一方のあおりAを横に倒し足場として保持する。
【解決手段】トラックTの荷台Dの左右両側のあおりAの前後両端縁に形成されたあおり固定用金具に着脱自在に取り付けられる固定部材1と、この固定部材1と上記あおりA以外の車両部分に形成された掛止部との間に取り付けられる引張部材2とからなり、上記固定部材1および引張部材2の取り付けにより、上記左右両側のあおりAの少なくとも一方のあおりAを横に倒し足場として保持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラックの荷台のあおりを作業者の足場として利用するための足場装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
荷台を有するトレーラやトラック等の車両において、鋼材等の荷物を荷積みしたり荷降ろししたりする際には、玉掛け等の作業のため、作業者が荷台に乗る必要がある。しかしながら、荷台には、上記鋼材等の荷物が搭載されているため、荷台面(荷台の上面)において作業者の足場を確保することが困難になっており、作業者は僅かな隙間等を足場にして不安定な状態で作業を行うか、または必要に応じて、上記車両の横に別の作業台(脚立等)を準備し、作業者の足場を確保している。
【0003】
また、上記僅かな隙間や脚立等の作業台では、足場の確保が不充分であるため、上記玉掛け等の作業効率が悪く、危険でもある。そこで、充分な足場を確保すべく、従来より、車載式作業台装置が提案されている(特許文献1,2参照)。これらのものは、車両の荷台の側部に作業台を上下回動自在に常備させ、車両運行時には上記作業台を下方に回動させて荷台の側部の下方に垂下させておき、上記玉掛け等の作業時には上記作業台を上方に回動させて荷台の側方に張り出し、荷台の側部下方に固定した支持部材で下から支持するようにしている。
【特許文献1】実開平4−83840号公報
【特許文献2】特開平7−10044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1,2のように車両の荷台に作業台を常備させたものでは、作業台を垂下させた状態(車両運行時)においては、その作業台が荷台の下方部分や車両のタイヤ等と接触しないよう、車種に対応して設計する必要があり、また、作業台を支持部材で下から支持した状態(玉掛け等の作業時)においては、支持部材の形状や車両への固定構造等も、車種に対応して設計する必要がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、車両に特定の作業台を常備させるのではなく、荷台に既に設けられているあおりを横に倒して上記荷台の側方に突設させた状態とし、その状態のあおりを足場として利用できるようにした足場装置の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の第1の足場装置は、トラックの荷台の左右両側のあおりの前後両端縁に形成されたあおり固定用金具に着脱自在に取り付けられる下記(A)の固定部材と、この固定部材と上記あおり以外の車両部分に形成された掛止部との間に取り付けられる下記(B)の引張部材とからなり、上記固定部材および引張部材の取り付けにより、上記左右両側のあおりの少なくとも一方のあおりを横に倒し足場として保持するという構成をとる。
(A)上記あおり固定用金具を挿通させる貫通孔が形成された金属板と、上記貫通孔に下方と側方とから連通するよう上記金属板に形成された縦方向の切欠きと横方向の切欠きとに固定されたナットと、このナットに上記金属板の外側から螺合し上記貫通孔に挿通させる上記あおり固定用金具を圧接するボルトと、上記金属板の上端縁が傾斜状に形成されその上端縁に沿って固定されたパイプ材とを備えた固定部材。
(B)上記固定部材の傾斜状のパイプ材に挿通され、その一端部が上記あおり以外の車両部分に形成された掛止部に取り付けられ、他端部側が上記傾斜状のパイプ材に掛止されるる引張部材。
【0007】
また、本発明の第2の足場装置は、トラックの荷台の左右両側のあおりの前後両端縁に形成されたあおり固定用金具に着脱自在に取り付けられる下記(C)の固定部材と、この固定部材と上記トラックが停車している地面との間に取り付けられる下記(D)の支持部材とからなり、上記固定部材および支持部材の取り付けにより、上記左右両側のあおりの少なくとも一方のあおりを横に倒し足場として保持するという構成をとる。
(C)上記あおり固定用金具を挿通させる貫通孔が形成された金属板と、上記貫通孔に下方と側方とから連通するよう上記金属板に形成された縦方向の切欠きと横方向の切欠きとに固定されたナットと、このナットに上記金属板の外側から螺合し上記貫通孔に挿通させる上記あおり固定用金具を圧接するボルトと、上記金属板に直角に固定され貫通孔が形成された第2の金属板と、この第2の金属板にその貫通孔と同軸的に立設された第2のパイプ材と、この第2のパイプ材の側周面に貫通孔が形成されその貫通孔と同軸的に固定された第2のナットと、その第2のナットに上記第2のパイプ材の外側から螺合する第2のボルトとを備えた固定部材。
(D)上記固定部材の第2の金属板に形成された貫通孔および第2のパイプ材に挿通し、その下端面が地面に当接し、上記第2のパイプ材に対応する部分が上記第2のボルトの圧接により第2のパイプ材に固定される支持部材。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1および第2の足場装置は、その固定部材を上記あおりに取り付けるとともに、上記引張部材(第1の足場装置)または支持部材(第2の足場装置)を用いることにより、上記あおりを横に倒した状態に保持することができる。これにより、荷台に既に設けられているあおりを利用して、荷台の側方に、作業者の足場を安全かつ充分に確保することができる。
【0009】
特に、上記あおりの前後両端縁に取り付けられた固定部材が、上記あおり固定用金具を挿通させる貫通孔が形成された金属板に直角に固定された第3の金属板と、この第3の金属板に立設された第3のパイプ材とを備え、上記第3のパイプ材に、柱体の下端部が着脱自在に挿入されてその柱体が立設され、前側の柱体と後側の柱体との間に手摺が着脱自在に横設された場合には、作業者がそれら柱体や手摺につかまることができるため、作業の安全性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。但し、本発明は、これに限定されるわけではない。
【0011】
図1は、本発明の足場装置の第1の実施の形態を簡略して示している。この足場装置は、トラックTの荷台Dの左右両端縁に回動自在に設けられているあおりAの前後端縁に、着脱自在に取り付けられるようになっている。それを可能にするために、この足場装置は、つぎのような構成になっている。すなわち、上記足場装置は、上記あおりAの前後両端縁に設けられているあおり固定用金具101(図2,図8参照)に着脱自在に固定される固定部材1と、その一端部が上記固定部材1に取り付けられ他端部が車両部分に設けられているフック(掛止部)F(図2参照)に取り付けられ上記あおりAを横に倒した状態に保持する引張部材2とを備えている。さらに、この実施の形態では、上記あおりAの前後端縁に固定された固定部材1に、柱体3が着脱自在に立設され、その前側の柱体3と後側の柱体3との間に手摺4が着脱自在に横設されている。
【0012】
ここで、あおりAの前後端縁に設けられている上記あおり固定用金具101および車両部分に設けられている上記フックFの一例について説明する。トラックTの走行中等には、図2に示すように、上記あおりAは立てられた状態で固定金具Bにより固定される。それを可能とするために、トラックTには、上記あおり固定用金具101と上記フックFとが予め設けられている。すなわち、上記あおり固定用金具101は、あおりAと平行に設けられた略平板状の金属板からなり、あおりAを立てた状態において上側に開口した切欠き101aが形成されている。また、上記フックFは、金属製丸棒を曲げてなるL字状のものであり、上記あおりAの前後端に対応する荷台D部分に設けられた柱部C等の外側に溶接等により固定されている。そして、上記あおりAを立てると、上記あおり固定用金具101の切欠き101aを通って上記フックFが突出するようになっている。上記固定金具Bは、上記フックFが突設されている柱部C等において、上記フックFの下方に固定されており、上記フックFに掛ける逆U字状の掛金102と、その掛金102の根元部(逆U字状部分の開口側端部)が取り付けられている上下方向に回動自在な操作レバー103とを備えている。そして、上記あおりAを固定する際には、上記あおりAを立て、上記あおり固定用金具101の切欠き101aを通って上記フックFが突出した状態で、上記固定金具BのU字状の掛金102を上記フックFに掛けた後、上記操作レバー103を下方に回動させ、上記あおりAを立てた状態で固定する。上記あおりAを横に倒す際には、上記操作レバー103を上方に回動させ、上記U字状の掛金102を上記フックFから外した後、あおりAを横に倒す。上記あおり固定用金具101および上記フックFは、上記のようなものとなっている。
【0013】
つぎに、この実施の形態の足場装置について、より詳しく説明する。
【0014】
上記足場装置における、上記あおり固定用金具101に着脱自在に固定される固定部材1は、図3に示すように、金属板11に、上記あおり固定用金具101を挿通させる貫通孔11aが形成されており、上記固定部材1があおり固定用金具101に固定された状態では、上記金属板11は、あおりAと直角に立った状態になるようになっている。また、上記金属板11の上端縁は、上記固定部材1をあおり固定用金具101に固定した状態において、あおり固定用の上記フックF(図2参照)がある方向に略向くよう、傾斜状に形成されており、その角度は、特に限定されないが、通常、鉛直上向き方向から50°前後の方向に設定される。そして、その傾斜した上端縁に沿って、パイプ材15が溶接されている。このパイプ材15は、後で詳述するように、上記引張部材2(図4参照、図3では2点鎖線で略している)の一端部を取り付ける部分である。さらに、上記金属板11には、上記あおり固定用金具101挿通用の貫通孔11aに、上記金属板11の下端縁から連通する縦方向の切欠き12aと、上記金属板11の横端縁(車両側)から連通する横方向の切欠き12bとが形成されており、各切欠き12a,12b内に各切欠き12a,12bの長手方向に沿って長ナット13a,13bが溶接されている。そして、各長ナット13a,13bには、上記金属板11の外側からボルト14a,14bが螺合している。各ボルト14a,14bは、後で詳述するように、締め付けることにより上記あおり固定用金具101を押圧し、上記固定部材1をあおり固定用金具101に固定するためのものである。
【0015】
上記金属板11としては、鉄製のものが通常用いられ、その寸法は、特に限定されないが、例えば、高さ210mm程度、横200mm程度、厚み12mm程度のものが用いられる。上記長ナット13a,13bおよびボルト14a,14bとしては、例えば、M12程度のものが用いられ、各寸法は、長ナット13a,13bの長さ50mm程度、ボルト14a,14bの長さ80mm程度以上のものが用いられる。上記パイプ材15としては、例えば、鉄製のものが通常用いられ、その寸法は、特に限定されないが、外径48.6mm程度、外周壁厚み3.5mm程度、長さ120mm程度のものが用いられる。そして、上記あおり固定用金具101挿通用の貫通孔11aの位置は、例えば、上記金属板11の下端縁から70mm程度上側、金属板11の横端縁(車両側)から90mm程度内側が略中心となるように設定され、その貫通孔11aの大きさは、高さ17mm程度×横50mm程度に設定される。
【0016】
この実施の形態では、さらに、上記固定部材1の(第1の)金属板11のうち上記あおり固定用金具101挿通用の貫通孔11aよりも上側の位置の片面に、その金属板11と直角に柱体立設用金属板(第3の金属板)16が溶接されており、その柱体立設用金属板16の上面に、柱体立設用パイプ材(第3のパイプ材)17が立てられた状態で溶接されている。上記柱体立設用金属板16のうち、柱体立設用パイプ材17の中空部に対応する部分は、その中空部の内径と同径の貫通孔16aが形成されている。また、柱体立設用パイプ材17の側周面には、直角となる2方向にナット17aが溶接されており、各ナット17aの中空部に対応する部分は、そのナット17aの内径と同径の貫通孔が形成されている。そして、上記各ナット17aには、柱体立設用パイプ材17の外側からボルト17bが螺合している。上記柱体立設用パイプ材17は、手摺設置用の柱体3(図1,6参照、図3では2点鎖線で略している)を立設するためにその柱体3を挿入するのに使用される。そして、各ボルト17bは、後で詳述するように、上記柱体立設用パイプ材17の中空部に上記柱体3の下端部を挿入した状態で締め付けることにより上記柱体3を押圧し、上記柱体3を柱体立設用パイプ材17に固定するためのものである。なお、図3に示す固定部材1は、右側あおりAの後端縁(または左側あおりAの前端縁)に取り付けられるものであり、その右側あおりAの前端縁(または左側あおりAの後端縁)に取り付けられるものは、図3に示す固定部材1において、上記柱体立設用金属板16および柱体立設用パイプ材17(ナット17aおよびボルト17bを含む)が、(第1の)金属板11に対して面対称な位置に設けられている。
【0017】
上記柱体立設用金属板16としては、鉄製のものが通常用いられ、その寸法は、特に限定されないが、例えば、上記固定部材1の(第1の)金属板11から直角方向の長さが100mm程度、その(第1の)金属板11に沿う方向の長さが170mm程度、厚み12mm程度のものが用いられ、その溶接位置は、特に限定されないが、上記あおり固定用金具101挿通用の貫通孔11aから40mm程度上側に設定される。上記柱体立設用パイプ材17としては、鉄製のものが通常用いられ、その寸法は、特に限定されないが、例えば、外径60.5mm程度、外周壁厚み3.8mm程度、長さ135mm程度のものが用いられ、その溶接位置は、特に限定されないが、上記固定部材1の(第1の)金属板11から70mm程度離れた位置で、その(第1の)金属板11の横端縁(車両側)からその(第1の)金属板11に沿って130mm程度の位置に中心軸が通るように設定される。上記柱体立設用パイプ材17の側周面に溶接されるナット17aおよびそれに螺合するボルト17bとしては、例えば、M12程度のものが用いられる。
【0018】
上記足場装置における、上記あおりAを横に倒した状態に保持する引張部材2は、図4に示すように、雄螺子が螺刻された棒状の螺子棒21の上端部に、長ナット22が途中まで螺合しており、その状態で上記螺子棒21と長ナット22とが相対的に回転しないよう両者にピン23が貫通されピン止めされている。上記長ナット22の上端部の、上記螺子棒21が螺合していない部分には、チェーン24の先端部を掛止した状態でピン25が貫通されている。上記チェーン24の途中には、ショートニングクラッチ(チェーン調整金具)26が取り付けられており、そのショートニングクラッチ26は、上記あおり固定用のフックF(図2参照)に掛止される掛止具27に取り付けられている。
【0019】
上記掛止具27は、図5に示すように、U字状に曲げられた金属板27aの対向する2面の間に四角形の金属板27bが溶接されている。また、U字状の背面には、上記あおり固定用のフックF(図2参照)を挿通させる貫通孔27cが形成されている。さらに、対向する2面には、上記四角形の金属板27bよりもU字状の先端側(開口側)で、同軸的な貫通孔27dが形成されており、その貫通孔27dには、一方の外側からボルト27eが挿通され、他方の外側でナット27fが螺合している。そして、対向する2面の間において、上記ボルト27eに上記ショートニングクラッチ26が取り付けられている。
【0020】
上記螺子棒21および長ナット22としては、例えば、M12程度のものが用いられ、螺子棒21の長さは、150mm程度以上のものが用いられ、長ナット22の長さは50mm程度のものが用いられる。上記ショートニングクラッチ26としては、3t用であれば充分である。上記略U字状の掛止具27としては、例えば、長さ85mm程度、高さ(板幅)65mm程度、U字幅38mm程度、板厚6mm程度、上記あおり固定用のフックF(図2参照)を貫通させる貫通孔の内径20mm程度、対向する2面に形成された貫通孔の内径12mm程度のものが用いられる。
【0021】
上記手摺設置用の柱体3としては、特に限定されないが、通常、市販のものが用いられ、例えば、図6に示すように、アクトワンヤマイチ社製の手摺柱(品番:A−25S)等があげられる。このものは、略有天円筒状の金属製のものであり、上記手摺柱(柱体3)の中間部および上端部には、下記手摺4を取り付けるための突起が形成されている。
【0022】
上記柱体3に横設される手摺4は、特に限定されないが、例えば、図7に示すように、径の異なる2本の金属製パイプ41,42からなり、その大径パイプ41の中空部に小径パイプ42を進退自在に挿入し、手摺4の長さが調節可能となっているものがあげられる。また、上記手摺4の両端部は、平面状に形成され、その平面状部分に貫通孔43が形成されている。そして、その貫通孔43を上記柱体3に形成された突起31(図6参照)に掛止することにより、前後の柱体3の間に手摺4を架けることができるようになっている。それ以外にも、手摺4として、金属チェーン等を用いてもよい。
【0023】
このような足場装置は、例えば、つぎのようにして、トラックTに取り付けることができる。
【0024】
まず、上記固定金具BによるあおりAの固定を解除し、図8に示すように、あおりAを横に倒す。ついで、そのあおりAの前後端縁のあおり固定用金具101に、上記足場装置の固定部材1に形成されているあおり固定用金具101挿通用の貫通孔11aを通す。このとき、あおり固定用金具101の切欠き101aが上記貫通孔11aに位置決めされるようにする。つぎに、その貫通孔11aに連通する2方向(縦方向および横方向)のボルト14a,14bを締め付け、その各ボルト14a,14bの先端で上記あおり固定用金具101を押圧する。これにより、上記固定部材1をあおり固定用金具101に固定する。
【0025】
そして、図9に示すように、上記引張部材2の螺子棒21の先端を、上記固定部材1の傾斜状のパイプ材15の上側の開口から下側の開口に貫通させ、その貫通した螺子棒21部分に必要に応じて座金28を挿入した後、ナット29を螺合させて上記パイプ材15の下側開口に掛止する。つぎに、上記あおり固定用のフックF(図2参照)に、上記引張部材2の掛止具27に形成されているフック挿通用の貫通孔を通し、上記掛止具27を上記フックFに掛ける。その後、上記ショートニングクラッチ26によりチェーン24の長さを調節したり、上記螺子棒21を止めているナット29の螺合位置を調節したりして、上記あおりAを横に倒した状態に保持する。このようにして、上記足場装置がトラックTに取付られる。
【0026】
さらに、図8に示すように、上記柱体立設用パイプ材17の上端開口から手摺設置用の柱体3の下端部を挿入し、その柱体3の高さを調整し、その柱体立設用パイプ材17に取り付けられているボルト17bを締め付け、その各ボルト17bの先端で上記柱体3の周側面を押圧する。これにより、上記柱体3を柱体立設用パイプ材17に固定する。つぎに、図1に示すように、その柱体3に形成された突起31(図6参照)に、上記手摺4の両端部の貫通孔43(図7参照)を掛止し、その手摺4を前後の柱体3の間に架ける。
【0027】
そして、図1に示すように、上記横に倒した状態のあおりAの上面を、作業者の足場として使用することができる。
【0028】
作業を終えた後は、上記足場装置の取り付け方法とは逆の手順等で、足場装置の取り外しが行われ、その後、上記あおりAを立てた状態にして固定する。すなわち、まず、手摺4を柱体3から取り外した後、柱体3を固定部材1から取り外す。ついで、上記あおりAを少し持ち上げる等して引張部材2にかかる張力を緩め、引張部材2の掛止具27を上記あおり固定用のフックF(図2参照)から外す。つぎに、固定部材1をあおり固定用金具101を押圧していたボルト14a,14bを緩め、固定部材1をあおり固定用金具101から外す。その後、上記あおりAを立て、上記固定金具B(図2参照)により固定する。なお、足場装置の取り外しは、固定部材1をあおり固定用金具101から外した後、引張部材2の掛止具27を上記あおり固定用のフックF(図2参照)から外してもよい。
【0029】
なお、この第1の実施の形態における引張部材2の掛止具27としては、上記U字状のものに限定されるものではなく、他でもよい。例えば、図10に示すように、ペンチ状のものでもよい。このペンチ状の掛止具7は、略L字状の金属体7aと略I字状の金属体7bとがペンチ状となるよう、長手方向の中間部でピン7cでピン連結され、そのピン7cを中心に上記2つの金属体7a,7bが回動自在となっている。また、上記略L字状の金属体7aの底面の先端には、上記あおり固定用のフックF(図2参照)を挿通させる貫通孔7dが形成されている。さらに、上記ペンチ状の掛止具7の後端の対向する2面には、同軸的な貫通孔7eが形成されており、その貫通孔7eには、一方の外側からボルト7fが挿通され、他方の外側でナット7gが螺合している。そして、対向する2面の間において、上記ボルト7gに上記ショートニングクラッチ26(図9参照)が取り付けられる。また、上記略L字状の金属体7aの側面には、上記ピン連結とボルト7fとの間において、雌螺子7hが貫通形成されており、その雌螺子7hに外側から押圧用ボルト7iが螺合している。そして、上記あおり固定用のフックF(図2参照)を挿通させる貫通孔7dにそのフックFを挿通させた状態で、上記押圧用ボルト7iを締め込み、その先端で上記略I字状の金属体7bを押すと、上記ペンチ状の掛止具7の先端が閉じ、上記フックFを挟持するようになっている。このようなペンチ状の掛止具7を用いてもよい。
【0030】
さらに、他の例として、例えば、図11に示すような略コ字状の掛止具9でもよい。この略コ字状の掛止具9は、帯状の金属板がコ字状に曲げられ、さらにコ字状の上面9aの先端が上方に曲げられた形状になっている。上記コ字状の背面9bと上面9aとには、上記あおり固定用のフックF(図2参照)を挿通させる貫通孔9e,9fが形成されている。そのフックFは、背面9bの貫通孔9eから先に挿通させられてから上面9aの貫通孔9fに挿通させられる。コ字状の対向する2面(上面9aと下面9c)には、同軸的な貫通孔9gが形成されており、その貫通孔9gには、一方の外側からボルト9hが挿通され、他方の外側でナット9iが螺合している。そして、対向する2面(上面9aと下面9c)の間において、上記ボルト9hに上記ショートニングクラッチ26(図9参照)が取り付けられる。また、コ字状の上面9aの先端で上方に曲げられた正面9dには、雌螺子9jが貫通形成されており、その雌螺子9jに正面側(コ字状の開口側)からボルト9kが螺合している。そのボルト9kにより、上記フックFの先端部を押圧するようになっている。このような略コ字状の掛止具9を用いてもよい。
【0031】
また、この第1の実施の形態では、あおりAを横に倒した状態に保持するために、上記ショートニングクラッチ26(図9参照)によりチェーン24の長さを調節することを行ったが、それに代えて、図12に示すように、ターンバックル8を利用して行ってもよい。すなわち、上記引張部材2の長ナット22,ピン23,チェーン24,ピン25およびショートニングクラッチ26(図9参照)に代えて、上記(第1の)螺子棒21とは逆螺子の第2の螺子棒81およびそれら第1および第2の螺子棒21,81に螺合するターンバックル8を用いる。このターンバックル8は、上記(第1の)螺子棒21の上端部と第2の螺子棒81の下端部とに螺合している。そして、上記第2の螺子棒81の上端部は、上記掛止具7(図10参照),9(図11参照),27(図5参照)のボルト7f,9h,27eに取り付けられるよう、貫通孔81aまたはフック(図示せず)等が形成されている。
【0032】
さらに、上記引張部材2の他の例として、図13に示すものを用いてもよい。このものは、図12に示す、ターンバックル8,(第1の)螺子棒21および第2の螺子棒81からなるものに加えて、上記(第1の)螺子棒21の下端部に、図4に示す長ナット22,ピン23およびチェーン24が図4と同様にして構成されている。そして、上記固定部材1(図8参照)への掛止は、上記チェーン24を、上記固定部材1の傾斜状のパイプ材15の上側の開口から挿入し、上記傾斜状のパイプ材15にボルト(図示せず)を貫通させ、そのボルトを上記チェーン24の輪に通すことにより行われる。
【0033】
図14は、本発明の足場装置の第2の実施の形態を簡略して示している。この実施の形態の足場装置は、図15に示すように、上記第1の実施の形態の足場装置(図3参照)における柱体立設用金属板16および柱体立設用パイプ材17と同様の支持部材固定用金属板(第2の金属板)18および支持部材固定用パイプ材(第2のパイプ材)19が、(第1の)金属板11を挟んで対称に形成されている。それ以外は、上記第1の実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。なお、図15において、符号18aは上記支持部材固定用金属板18に形成された貫通孔、符号19aは上記支持部材固定用パイプ材19の側周面に溶接されたナット、符号19bはそのナット19aに螺合するボルトである。
【0034】
上記支持部材固定用パイプ材19は、図14に示すように、あおりAを横に倒した状態に保持する支持部材5を固定するためにその支持部材5を挿入するのに使用される。すなわち、上記第1の実施の形態の足場装置における引張部材2(図9参照)の掛止具27を掛けるフックF(図2参照)等が車両側になく上記引張部材2が使用できない場合やその引張部材2を使用しない場合に、上記支持部材固定用パイプ材19が使用される。そして、上記支持部材5によりあおりAを横に倒した状態に保持する際には、支持部材5として金属棒または金属パイプ等を用い、その支持部材5を支持部材固定用パイプ材19の中空部に挿入し、その支持部材5の下端面を地面に当接させ、その状態で、あおりAが横に倒れた状態を保持するよう、支持部材固定用パイプ材19の外周面に取り付けられた各ボルト19bを締め付け、上記支持部材5を押圧し、上記支持部材5を支持部材固定用パイプ材19に固定する。これにより、あおりAを横に倒した状態に保持することができる。
【0035】
この第2の実施の形態の足場装置は、あおりAの前後両端に使用してもよいが、上記第1の実施の形態の足場装置における引張部材2(図9参照)が使用できる状況であれば、あおりAの前端または後端のいずれかに上記第1の実施の形態の足場装置(図8参照)を使用してもよい。また、この第2の実施の形態の足場装置では、傾斜状のパイプ材15を利用しないが、この傾斜状のパイプ材15を備えていると、上記支持部材5に加えて、上記第1の実施の形態の足場装置における引張部材2(図9参照)を併用することもできる。
【0036】
図16は、本発明の足場装置の第3の実施の形態を簡略して示している。この実施の形態の足場装置は、上記第1の実施の形態の足場装置における引張部材2(図4参照)のショートニングクラッチ26および掛止具27をチェーン止め金具(シャックル)6に替えたものである。そして、上記引張部材2のチェーン24を上記チェーン止め金具(シャックル)6のボルト6aに取り付ける。それ以外は、上記第1の実施の形態と同様であり、同様の部分は図を省略している。
【0037】
この実施の形態における引張部材2は、図16に示すように、あおり固定用の上記フックF(図2参照)がない場合に使用される。すなわち、左右のあおりAの後端縁に設けられている上記あおり固定用金具101(図2参照)としては、上記あおり固定用のフックFに固定するのではなく、後側あおりE用ハンドルレバー104で固定するタイプのものもある。その後側あおりEは、荷台Dの後端縁に回動自在に設けられており、上記ハンドルレバー104は、後側あおりEを倒したり立てたりするための回動自在のレバーであり、上記後側あおりEの左右両端上部から略L字状に突出している。このタイプのものは、通常、後側あおりEの上端左右両側にフック105が設けられており、そのフック105に上記引張部材2のチェーン止め金具(シャックル)6を取り付けるようにする。そして、上記引張部材2の螺子棒21(図9参照)を止めているナットの螺合位置を調節することにより、上記左右のあおりAを横に倒した状態に保持する。
【0038】
上記タイプでは、左右のあおりAの後部を固定する際には、上記ハンドルレバー104を上側に回動させ、その状態で、上記あおりAを立て、上記あおり固定用金具101の切欠き101aに上記ハンドルレバー104の回動軸部(略L字状の一部)を通し、その後、上記ハンドルレバー104を下側に回動させ、上記ハンドルレバー104の腕部(略L字状の他部)を上記あおり固定用金具101の外側に重ね、あおりAの後部を固定する。上記あおりAの後部の固定を解除する際には、上記ハンドルレバー104を上側に回動させる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の足場装置の第1の実施の形態を簡略して示す斜視図である。
【図2】上記足場装置が取り付けられる、トラックに設けられているあおり固定用金具およびフックを示す斜視図である。
【図3】上記足場装置の固定部材を示す斜視図である。
【図4】上記足場装置の引張部材を示す、トラック後方から見た正面図である。
【図5】上記引張部材の掛止具を示す斜視図である。
【図6】上記足場装置に立設される、手摺設置用の柱体を示す斜視図である。
【図7】上記柱体に横設される手摺を示す斜視図である。
【図8】上記足場装置の固定部材をあおりのあおり固定用金具に固定する方法を示す斜視図である。
【図9】上記足場装置の引張部材を上記固定部材およびトラックのフックに取り付ける方法を示す、トラック後方から見た正面図である。
【図10】上記引張部材の掛止具の他の例を示す斜視図である。
【図11】上記引張部材の掛止具のさらに他の例を示す斜視図である。
【図12】上記引張部材の構成の他の例を示す、トラック後方から見た正面図である。
【図13】上記引張部材の構成のさらに他の例を示す、トラック後方から見た正面図である。
【図14】本発明の足場装置の第2の実施の形態を簡略して示す斜視図である。
【図15】上記足場装置の固定部材を示す斜視図である。
【図16】本発明の足場装置の第3の実施の形態を簡略して示す斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
A あおり
D 荷台
T トラック
1 固定部材
2 引張部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラックの荷台のあおりを作業者の足場として利用するための足場装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
荷台を有するトレーラやトラック等の車両において、鋼材等の荷物を荷積みしたり荷降ろししたりする際には、玉掛け等の作業のため、作業者が荷台に乗る必要がある。しかしながら、荷台には、上記鋼材等の荷物が搭載されているため、荷台面(荷台の上面)において作業者の足場を確保することが困難になっており、作業者は僅かな隙間等を足場にして不安定な状態で作業を行うか、または必要に応じて、上記車両の横に別の作業台(脚立等)を準備し、作業者の足場を確保している。
【0003】
また、上記僅かな隙間や脚立等の作業台では、足場の確保が不充分であるため、上記玉掛け等の作業効率が悪く、危険でもある。そこで、充分な足場を確保すべく、従来より、車載式作業台装置が提案されている(特許文献1,2参照)。これらのものは、車両の荷台の側部に作業台を上下回動自在に常備させ、車両運行時には上記作業台を下方に回動させて荷台の側部の下方に垂下させておき、上記玉掛け等の作業時には上記作業台を上方に回動させて荷台の側方に張り出し、荷台の側部下方に固定した支持部材で下から支持するようにしている。
【特許文献1】実開平4−83840号公報
【特許文献2】特開平7−10044号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1,2のように車両の荷台に作業台を常備させたものでは、作業台を垂下させた状態(車両運行時)においては、その作業台が荷台の下方部分や車両のタイヤ等と接触しないよう、車種に対応して設計する必要があり、また、作業台を支持部材で下から支持した状態(玉掛け等の作業時)においては、支持部材の形状や車両への固定構造等も、車種に対応して設計する必要がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、車両に特定の作業台を常備させるのではなく、荷台に既に設けられているあおりを横に倒して上記荷台の側方に突設させた状態とし、その状態のあおりを足場として利用できるようにした足場装置の提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明の第1の足場装置は、トラックの荷台の左右両側のあおりの前後両端縁に形成されたあおり固定用金具に着脱自在に取り付けられる下記(A)の固定部材と、この固定部材と上記あおり以外の車両部分に形成された掛止部との間に取り付けられる下記(B)の引張部材とからなり、上記固定部材および引張部材の取り付けにより、上記左右両側のあおりの少なくとも一方のあおりを横に倒し足場として保持するという構成をとる。
(A)上記あおり固定用金具を挿通させる貫通孔が形成された金属板と、上記貫通孔に下方と側方とから連通するよう上記金属板に形成された縦方向の切欠きと横方向の切欠きとに固定されたナットと、このナットに上記金属板の外側から螺合し上記貫通孔に挿通させる上記あおり固定用金具を圧接するボルトと、上記金属板の上端縁が傾斜状に形成されその上端縁に沿って固定されたパイプ材とを備えた固定部材。
(B)上記固定部材の傾斜状のパイプ材に挿通され、その一端部が上記あおり以外の車両部分に形成された掛止部に取り付けられ、他端部側が上記傾斜状のパイプ材に掛止されるる引張部材。
【0007】
また、本発明の第2の足場装置は、トラックの荷台の左右両側のあおりの前後両端縁に形成されたあおり固定用金具に着脱自在に取り付けられる下記(C)の固定部材と、この固定部材と上記トラックが停車している地面との間に取り付けられる下記(D)の支持部材とからなり、上記固定部材および支持部材の取り付けにより、上記左右両側のあおりの少なくとも一方のあおりを横に倒し足場として保持するという構成をとる。
(C)上記あおり固定用金具を挿通させる貫通孔が形成された金属板と、上記貫通孔に下方と側方とから連通するよう上記金属板に形成された縦方向の切欠きと横方向の切欠きとに固定されたナットと、このナットに上記金属板の外側から螺合し上記貫通孔に挿通させる上記あおり固定用金具を圧接するボルトと、上記金属板に直角に固定され貫通孔が形成された第2の金属板と、この第2の金属板にその貫通孔と同軸的に立設された第2のパイプ材と、この第2のパイプ材の側周面に貫通孔が形成されその貫通孔と同軸的に固定された第2のナットと、その第2のナットに上記第2のパイプ材の外側から螺合する第2のボルトとを備えた固定部材。
(D)上記固定部材の第2の金属板に形成された貫通孔および第2のパイプ材に挿通し、その下端面が地面に当接し、上記第2のパイプ材に対応する部分が上記第2のボルトの圧接により第2のパイプ材に固定される支持部材。
【発明の効果】
【0008】
本発明の第1および第2の足場装置は、その固定部材を上記あおりに取り付けるとともに、上記引張部材(第1の足場装置)または支持部材(第2の足場装置)を用いることにより、上記あおりを横に倒した状態に保持することができる。これにより、荷台に既に設けられているあおりを利用して、荷台の側方に、作業者の足場を安全かつ充分に確保することができる。
【0009】
特に、上記あおりの前後両端縁に取り付けられた固定部材が、上記あおり固定用金具を挿通させる貫通孔が形成された金属板に直角に固定された第3の金属板と、この第3の金属板に立設された第3のパイプ材とを備え、上記第3のパイプ材に、柱体の下端部が着脱自在に挿入されてその柱体が立設され、前側の柱体と後側の柱体との間に手摺が着脱自在に横設された場合には、作業者がそれら柱体や手摺につかまることができるため、作業の安全性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施の形態を図面にもとづいて詳しく説明する。但し、本発明は、これに限定されるわけではない。
【0011】
図1は、本発明の足場装置の第1の実施の形態を簡略して示している。この足場装置は、トラックTの荷台Dの左右両端縁に回動自在に設けられているあおりAの前後端縁に、着脱自在に取り付けられるようになっている。それを可能にするために、この足場装置は、つぎのような構成になっている。すなわち、上記足場装置は、上記あおりAの前後両端縁に設けられているあおり固定用金具101(図2,図8参照)に着脱自在に固定される固定部材1と、その一端部が上記固定部材1に取り付けられ他端部が車両部分に設けられているフック(掛止部)F(図2参照)に取り付けられ上記あおりAを横に倒した状態に保持する引張部材2とを備えている。さらに、この実施の形態では、上記あおりAの前後端縁に固定された固定部材1に、柱体3が着脱自在に立設され、その前側の柱体3と後側の柱体3との間に手摺4が着脱自在に横設されている。
【0012】
ここで、あおりAの前後端縁に設けられている上記あおり固定用金具101および車両部分に設けられている上記フックFの一例について説明する。トラックTの走行中等には、図2に示すように、上記あおりAは立てられた状態で固定金具Bにより固定される。それを可能とするために、トラックTには、上記あおり固定用金具101と上記フックFとが予め設けられている。すなわち、上記あおり固定用金具101は、あおりAと平行に設けられた略平板状の金属板からなり、あおりAを立てた状態において上側に開口した切欠き101aが形成されている。また、上記フックFは、金属製丸棒を曲げてなるL字状のものであり、上記あおりAの前後端に対応する荷台D部分に設けられた柱部C等の外側に溶接等により固定されている。そして、上記あおりAを立てると、上記あおり固定用金具101の切欠き101aを通って上記フックFが突出するようになっている。上記固定金具Bは、上記フックFが突設されている柱部C等において、上記フックFの下方に固定されており、上記フックFに掛ける逆U字状の掛金102と、その掛金102の根元部(逆U字状部分の開口側端部)が取り付けられている上下方向に回動自在な操作レバー103とを備えている。そして、上記あおりAを固定する際には、上記あおりAを立て、上記あおり固定用金具101の切欠き101aを通って上記フックFが突出した状態で、上記固定金具BのU字状の掛金102を上記フックFに掛けた後、上記操作レバー103を下方に回動させ、上記あおりAを立てた状態で固定する。上記あおりAを横に倒す際には、上記操作レバー103を上方に回動させ、上記U字状の掛金102を上記フックFから外した後、あおりAを横に倒す。上記あおり固定用金具101および上記フックFは、上記のようなものとなっている。
【0013】
つぎに、この実施の形態の足場装置について、より詳しく説明する。
【0014】
上記足場装置における、上記あおり固定用金具101に着脱自在に固定される固定部材1は、図3に示すように、金属板11に、上記あおり固定用金具101を挿通させる貫通孔11aが形成されており、上記固定部材1があおり固定用金具101に固定された状態では、上記金属板11は、あおりAと直角に立った状態になるようになっている。また、上記金属板11の上端縁は、上記固定部材1をあおり固定用金具101に固定した状態において、あおり固定用の上記フックF(図2参照)がある方向に略向くよう、傾斜状に形成されており、その角度は、特に限定されないが、通常、鉛直上向き方向から50°前後の方向に設定される。そして、その傾斜した上端縁に沿って、パイプ材15が溶接されている。このパイプ材15は、後で詳述するように、上記引張部材2(図4参照、図3では2点鎖線で略している)の一端部を取り付ける部分である。さらに、上記金属板11には、上記あおり固定用金具101挿通用の貫通孔11aに、上記金属板11の下端縁から連通する縦方向の切欠き12aと、上記金属板11の横端縁(車両側)から連通する横方向の切欠き12bとが形成されており、各切欠き12a,12b内に各切欠き12a,12bの長手方向に沿って長ナット13a,13bが溶接されている。そして、各長ナット13a,13bには、上記金属板11の外側からボルト14a,14bが螺合している。各ボルト14a,14bは、後で詳述するように、締め付けることにより上記あおり固定用金具101を押圧し、上記固定部材1をあおり固定用金具101に固定するためのものである。
【0015】
上記金属板11としては、鉄製のものが通常用いられ、その寸法は、特に限定されないが、例えば、高さ210mm程度、横200mm程度、厚み12mm程度のものが用いられる。上記長ナット13a,13bおよびボルト14a,14bとしては、例えば、M12程度のものが用いられ、各寸法は、長ナット13a,13bの長さ50mm程度、ボルト14a,14bの長さ80mm程度以上のものが用いられる。上記パイプ材15としては、例えば、鉄製のものが通常用いられ、その寸法は、特に限定されないが、外径48.6mm程度、外周壁厚み3.5mm程度、長さ120mm程度のものが用いられる。そして、上記あおり固定用金具101挿通用の貫通孔11aの位置は、例えば、上記金属板11の下端縁から70mm程度上側、金属板11の横端縁(車両側)から90mm程度内側が略中心となるように設定され、その貫通孔11aの大きさは、高さ17mm程度×横50mm程度に設定される。
【0016】
この実施の形態では、さらに、上記固定部材1の(第1の)金属板11のうち上記あおり固定用金具101挿通用の貫通孔11aよりも上側の位置の片面に、その金属板11と直角に柱体立設用金属板(第3の金属板)16が溶接されており、その柱体立設用金属板16の上面に、柱体立設用パイプ材(第3のパイプ材)17が立てられた状態で溶接されている。上記柱体立設用金属板16のうち、柱体立設用パイプ材17の中空部に対応する部分は、その中空部の内径と同径の貫通孔16aが形成されている。また、柱体立設用パイプ材17の側周面には、直角となる2方向にナット17aが溶接されており、各ナット17aの中空部に対応する部分は、そのナット17aの内径と同径の貫通孔が形成されている。そして、上記各ナット17aには、柱体立設用パイプ材17の外側からボルト17bが螺合している。上記柱体立設用パイプ材17は、手摺設置用の柱体3(図1,6参照、図3では2点鎖線で略している)を立設するためにその柱体3を挿入するのに使用される。そして、各ボルト17bは、後で詳述するように、上記柱体立設用パイプ材17の中空部に上記柱体3の下端部を挿入した状態で締め付けることにより上記柱体3を押圧し、上記柱体3を柱体立設用パイプ材17に固定するためのものである。なお、図3に示す固定部材1は、右側あおりAの後端縁(または左側あおりAの前端縁)に取り付けられるものであり、その右側あおりAの前端縁(または左側あおりAの後端縁)に取り付けられるものは、図3に示す固定部材1において、上記柱体立設用金属板16および柱体立設用パイプ材17(ナット17aおよびボルト17bを含む)が、(第1の)金属板11に対して面対称な位置に設けられている。
【0017】
上記柱体立設用金属板16としては、鉄製のものが通常用いられ、その寸法は、特に限定されないが、例えば、上記固定部材1の(第1の)金属板11から直角方向の長さが100mm程度、その(第1の)金属板11に沿う方向の長さが170mm程度、厚み12mm程度のものが用いられ、その溶接位置は、特に限定されないが、上記あおり固定用金具101挿通用の貫通孔11aから40mm程度上側に設定される。上記柱体立設用パイプ材17としては、鉄製のものが通常用いられ、その寸法は、特に限定されないが、例えば、外径60.5mm程度、外周壁厚み3.8mm程度、長さ135mm程度のものが用いられ、その溶接位置は、特に限定されないが、上記固定部材1の(第1の)金属板11から70mm程度離れた位置で、その(第1の)金属板11の横端縁(車両側)からその(第1の)金属板11に沿って130mm程度の位置に中心軸が通るように設定される。上記柱体立設用パイプ材17の側周面に溶接されるナット17aおよびそれに螺合するボルト17bとしては、例えば、M12程度のものが用いられる。
【0018】
上記足場装置における、上記あおりAを横に倒した状態に保持する引張部材2は、図4に示すように、雄螺子が螺刻された棒状の螺子棒21の上端部に、長ナット22が途中まで螺合しており、その状態で上記螺子棒21と長ナット22とが相対的に回転しないよう両者にピン23が貫通されピン止めされている。上記長ナット22の上端部の、上記螺子棒21が螺合していない部分には、チェーン24の先端部を掛止した状態でピン25が貫通されている。上記チェーン24の途中には、ショートニングクラッチ(チェーン調整金具)26が取り付けられており、そのショートニングクラッチ26は、上記あおり固定用のフックF(図2参照)に掛止される掛止具27に取り付けられている。
【0019】
上記掛止具27は、図5に示すように、U字状に曲げられた金属板27aの対向する2面の間に四角形の金属板27bが溶接されている。また、U字状の背面には、上記あおり固定用のフックF(図2参照)を挿通させる貫通孔27cが形成されている。さらに、対向する2面には、上記四角形の金属板27bよりもU字状の先端側(開口側)で、同軸的な貫通孔27dが形成されており、その貫通孔27dには、一方の外側からボルト27eが挿通され、他方の外側でナット27fが螺合している。そして、対向する2面の間において、上記ボルト27eに上記ショートニングクラッチ26が取り付けられている。
【0020】
上記螺子棒21および長ナット22としては、例えば、M12程度のものが用いられ、螺子棒21の長さは、150mm程度以上のものが用いられ、長ナット22の長さは50mm程度のものが用いられる。上記ショートニングクラッチ26としては、3t用であれば充分である。上記略U字状の掛止具27としては、例えば、長さ85mm程度、高さ(板幅)65mm程度、U字幅38mm程度、板厚6mm程度、上記あおり固定用のフックF(図2参照)を貫通させる貫通孔の内径20mm程度、対向する2面に形成された貫通孔の内径12mm程度のものが用いられる。
【0021】
上記手摺設置用の柱体3としては、特に限定されないが、通常、市販のものが用いられ、例えば、図6に示すように、アクトワンヤマイチ社製の手摺柱(品番:A−25S)等があげられる。このものは、略有天円筒状の金属製のものであり、上記手摺柱(柱体3)の中間部および上端部には、下記手摺4を取り付けるための突起が形成されている。
【0022】
上記柱体3に横設される手摺4は、特に限定されないが、例えば、図7に示すように、径の異なる2本の金属製パイプ41,42からなり、その大径パイプ41の中空部に小径パイプ42を進退自在に挿入し、手摺4の長さが調節可能となっているものがあげられる。また、上記手摺4の両端部は、平面状に形成され、その平面状部分に貫通孔43が形成されている。そして、その貫通孔43を上記柱体3に形成された突起31(図6参照)に掛止することにより、前後の柱体3の間に手摺4を架けることができるようになっている。それ以外にも、手摺4として、金属チェーン等を用いてもよい。
【0023】
このような足場装置は、例えば、つぎのようにして、トラックTに取り付けることができる。
【0024】
まず、上記固定金具BによるあおりAの固定を解除し、図8に示すように、あおりAを横に倒す。ついで、そのあおりAの前後端縁のあおり固定用金具101に、上記足場装置の固定部材1に形成されているあおり固定用金具101挿通用の貫通孔11aを通す。このとき、あおり固定用金具101の切欠き101aが上記貫通孔11aに位置決めされるようにする。つぎに、その貫通孔11aに連通する2方向(縦方向および横方向)のボルト14a,14bを締め付け、その各ボルト14a,14bの先端で上記あおり固定用金具101を押圧する。これにより、上記固定部材1をあおり固定用金具101に固定する。
【0025】
そして、図9に示すように、上記引張部材2の螺子棒21の先端を、上記固定部材1の傾斜状のパイプ材15の上側の開口から下側の開口に貫通させ、その貫通した螺子棒21部分に必要に応じて座金28を挿入した後、ナット29を螺合させて上記パイプ材15の下側開口に掛止する。つぎに、上記あおり固定用のフックF(図2参照)に、上記引張部材2の掛止具27に形成されているフック挿通用の貫通孔を通し、上記掛止具27を上記フックFに掛ける。その後、上記ショートニングクラッチ26によりチェーン24の長さを調節したり、上記螺子棒21を止めているナット29の螺合位置を調節したりして、上記あおりAを横に倒した状態に保持する。このようにして、上記足場装置がトラックTに取付られる。
【0026】
さらに、図8に示すように、上記柱体立設用パイプ材17の上端開口から手摺設置用の柱体3の下端部を挿入し、その柱体3の高さを調整し、その柱体立設用パイプ材17に取り付けられているボルト17bを締め付け、その各ボルト17bの先端で上記柱体3の周側面を押圧する。これにより、上記柱体3を柱体立設用パイプ材17に固定する。つぎに、図1に示すように、その柱体3に形成された突起31(図6参照)に、上記手摺4の両端部の貫通孔43(図7参照)を掛止し、その手摺4を前後の柱体3の間に架ける。
【0027】
そして、図1に示すように、上記横に倒した状態のあおりAの上面を、作業者の足場として使用することができる。
【0028】
作業を終えた後は、上記足場装置の取り付け方法とは逆の手順等で、足場装置の取り外しが行われ、その後、上記あおりAを立てた状態にして固定する。すなわち、まず、手摺4を柱体3から取り外した後、柱体3を固定部材1から取り外す。ついで、上記あおりAを少し持ち上げる等して引張部材2にかかる張力を緩め、引張部材2の掛止具27を上記あおり固定用のフックF(図2参照)から外す。つぎに、固定部材1をあおり固定用金具101を押圧していたボルト14a,14bを緩め、固定部材1をあおり固定用金具101から外す。その後、上記あおりAを立て、上記固定金具B(図2参照)により固定する。なお、足場装置の取り外しは、固定部材1をあおり固定用金具101から外した後、引張部材2の掛止具27を上記あおり固定用のフックF(図2参照)から外してもよい。
【0029】
なお、この第1の実施の形態における引張部材2の掛止具27としては、上記U字状のものに限定されるものではなく、他でもよい。例えば、図10に示すように、ペンチ状のものでもよい。このペンチ状の掛止具7は、略L字状の金属体7aと略I字状の金属体7bとがペンチ状となるよう、長手方向の中間部でピン7cでピン連結され、そのピン7cを中心に上記2つの金属体7a,7bが回動自在となっている。また、上記略L字状の金属体7aの底面の先端には、上記あおり固定用のフックF(図2参照)を挿通させる貫通孔7dが形成されている。さらに、上記ペンチ状の掛止具7の後端の対向する2面には、同軸的な貫通孔7eが形成されており、その貫通孔7eには、一方の外側からボルト7fが挿通され、他方の外側でナット7gが螺合している。そして、対向する2面の間において、上記ボルト7gに上記ショートニングクラッチ26(図9参照)が取り付けられる。また、上記略L字状の金属体7aの側面には、上記ピン連結とボルト7fとの間において、雌螺子7hが貫通形成されており、その雌螺子7hに外側から押圧用ボルト7iが螺合している。そして、上記あおり固定用のフックF(図2参照)を挿通させる貫通孔7dにそのフックFを挿通させた状態で、上記押圧用ボルト7iを締め込み、その先端で上記略I字状の金属体7bを押すと、上記ペンチ状の掛止具7の先端が閉じ、上記フックFを挟持するようになっている。このようなペンチ状の掛止具7を用いてもよい。
【0030】
さらに、他の例として、例えば、図11に示すような略コ字状の掛止具9でもよい。この略コ字状の掛止具9は、帯状の金属板がコ字状に曲げられ、さらにコ字状の上面9aの先端が上方に曲げられた形状になっている。上記コ字状の背面9bと上面9aとには、上記あおり固定用のフックF(図2参照)を挿通させる貫通孔9e,9fが形成されている。そのフックFは、背面9bの貫通孔9eから先に挿通させられてから上面9aの貫通孔9fに挿通させられる。コ字状の対向する2面(上面9aと下面9c)には、同軸的な貫通孔9gが形成されており、その貫通孔9gには、一方の外側からボルト9hが挿通され、他方の外側でナット9iが螺合している。そして、対向する2面(上面9aと下面9c)の間において、上記ボルト9hに上記ショートニングクラッチ26(図9参照)が取り付けられる。また、コ字状の上面9aの先端で上方に曲げられた正面9dには、雌螺子9jが貫通形成されており、その雌螺子9jに正面側(コ字状の開口側)からボルト9kが螺合している。そのボルト9kにより、上記フックFの先端部を押圧するようになっている。このような略コ字状の掛止具9を用いてもよい。
【0031】
また、この第1の実施の形態では、あおりAを横に倒した状態に保持するために、上記ショートニングクラッチ26(図9参照)によりチェーン24の長さを調節することを行ったが、それに代えて、図12に示すように、ターンバックル8を利用して行ってもよい。すなわち、上記引張部材2の長ナット22,ピン23,チェーン24,ピン25およびショートニングクラッチ26(図9参照)に代えて、上記(第1の)螺子棒21とは逆螺子の第2の螺子棒81およびそれら第1および第2の螺子棒21,81に螺合するターンバックル8を用いる。このターンバックル8は、上記(第1の)螺子棒21の上端部と第2の螺子棒81の下端部とに螺合している。そして、上記第2の螺子棒81の上端部は、上記掛止具7(図10参照),9(図11参照),27(図5参照)のボルト7f,9h,27eに取り付けられるよう、貫通孔81aまたはフック(図示せず)等が形成されている。
【0032】
さらに、上記引張部材2の他の例として、図13に示すものを用いてもよい。このものは、図12に示す、ターンバックル8,(第1の)螺子棒21および第2の螺子棒81からなるものに加えて、上記(第1の)螺子棒21の下端部に、図4に示す長ナット22,ピン23およびチェーン24が図4と同様にして構成されている。そして、上記固定部材1(図8参照)への掛止は、上記チェーン24を、上記固定部材1の傾斜状のパイプ材15の上側の開口から挿入し、上記傾斜状のパイプ材15にボルト(図示せず)を貫通させ、そのボルトを上記チェーン24の輪に通すことにより行われる。
【0033】
図14は、本発明の足場装置の第2の実施の形態を簡略して示している。この実施の形態の足場装置は、図15に示すように、上記第1の実施の形態の足場装置(図3参照)における柱体立設用金属板16および柱体立設用パイプ材17と同様の支持部材固定用金属板(第2の金属板)18および支持部材固定用パイプ材(第2のパイプ材)19が、(第1の)金属板11を挟んで対称に形成されている。それ以外は、上記第1の実施の形態と同様であり、同様の部分には同じ符号を付している。なお、図15において、符号18aは上記支持部材固定用金属板18に形成された貫通孔、符号19aは上記支持部材固定用パイプ材19の側周面に溶接されたナット、符号19bはそのナット19aに螺合するボルトである。
【0034】
上記支持部材固定用パイプ材19は、図14に示すように、あおりAを横に倒した状態に保持する支持部材5を固定するためにその支持部材5を挿入するのに使用される。すなわち、上記第1の実施の形態の足場装置における引張部材2(図9参照)の掛止具27を掛けるフックF(図2参照)等が車両側になく上記引張部材2が使用できない場合やその引張部材2を使用しない場合に、上記支持部材固定用パイプ材19が使用される。そして、上記支持部材5によりあおりAを横に倒した状態に保持する際には、支持部材5として金属棒または金属パイプ等を用い、その支持部材5を支持部材固定用パイプ材19の中空部に挿入し、その支持部材5の下端面を地面に当接させ、その状態で、あおりAが横に倒れた状態を保持するよう、支持部材固定用パイプ材19の外周面に取り付けられた各ボルト19bを締め付け、上記支持部材5を押圧し、上記支持部材5を支持部材固定用パイプ材19に固定する。これにより、あおりAを横に倒した状態に保持することができる。
【0035】
この第2の実施の形態の足場装置は、あおりAの前後両端に使用してもよいが、上記第1の実施の形態の足場装置における引張部材2(図9参照)が使用できる状況であれば、あおりAの前端または後端のいずれかに上記第1の実施の形態の足場装置(図8参照)を使用してもよい。また、この第2の実施の形態の足場装置では、傾斜状のパイプ材15を利用しないが、この傾斜状のパイプ材15を備えていると、上記支持部材5に加えて、上記第1の実施の形態の足場装置における引張部材2(図9参照)を併用することもできる。
【0036】
図16は、本発明の足場装置の第3の実施の形態を簡略して示している。この実施の形態の足場装置は、上記第1の実施の形態の足場装置における引張部材2(図4参照)のショートニングクラッチ26および掛止具27をチェーン止め金具(シャックル)6に替えたものである。そして、上記引張部材2のチェーン24を上記チェーン止め金具(シャックル)6のボルト6aに取り付ける。それ以外は、上記第1の実施の形態と同様であり、同様の部分は図を省略している。
【0037】
この実施の形態における引張部材2は、図16に示すように、あおり固定用の上記フックF(図2参照)がない場合に使用される。すなわち、左右のあおりAの後端縁に設けられている上記あおり固定用金具101(図2参照)としては、上記あおり固定用のフックFに固定するのではなく、後側あおりE用ハンドルレバー104で固定するタイプのものもある。その後側あおりEは、荷台Dの後端縁に回動自在に設けられており、上記ハンドルレバー104は、後側あおりEを倒したり立てたりするための回動自在のレバーであり、上記後側あおりEの左右両端上部から略L字状に突出している。このタイプのものは、通常、後側あおりEの上端左右両側にフック105が設けられており、そのフック105に上記引張部材2のチェーン止め金具(シャックル)6を取り付けるようにする。そして、上記引張部材2の螺子棒21(図9参照)を止めているナットの螺合位置を調節することにより、上記左右のあおりAを横に倒した状態に保持する。
【0038】
上記タイプでは、左右のあおりAの後部を固定する際には、上記ハンドルレバー104を上側に回動させ、その状態で、上記あおりAを立て、上記あおり固定用金具101の切欠き101aに上記ハンドルレバー104の回動軸部(略L字状の一部)を通し、その後、上記ハンドルレバー104を下側に回動させ、上記ハンドルレバー104の腕部(略L字状の他部)を上記あおり固定用金具101の外側に重ね、あおりAの後部を固定する。上記あおりAの後部の固定を解除する際には、上記ハンドルレバー104を上側に回動させる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の足場装置の第1の実施の形態を簡略して示す斜視図である。
【図2】上記足場装置が取り付けられる、トラックに設けられているあおり固定用金具およびフックを示す斜視図である。
【図3】上記足場装置の固定部材を示す斜視図である。
【図4】上記足場装置の引張部材を示す、トラック後方から見た正面図である。
【図5】上記引張部材の掛止具を示す斜視図である。
【図6】上記足場装置に立設される、手摺設置用の柱体を示す斜視図である。
【図7】上記柱体に横設される手摺を示す斜視図である。
【図8】上記足場装置の固定部材をあおりのあおり固定用金具に固定する方法を示す斜視図である。
【図9】上記足場装置の引張部材を上記固定部材およびトラックのフックに取り付ける方法を示す、トラック後方から見た正面図である。
【図10】上記引張部材の掛止具の他の例を示す斜視図である。
【図11】上記引張部材の掛止具のさらに他の例を示す斜視図である。
【図12】上記引張部材の構成の他の例を示す、トラック後方から見た正面図である。
【図13】上記引張部材の構成のさらに他の例を示す、トラック後方から見た正面図である。
【図14】本発明の足場装置の第2の実施の形態を簡略して示す斜視図である。
【図15】上記足場装置の固定部材を示す斜視図である。
【図16】本発明の足場装置の第3の実施の形態を簡略して示す斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
A あおり
D 荷台
T トラック
1 固定部材
2 引張部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラックの荷台の左右両側のあおりの前後両端縁に形成されたあおり固定用金具に着脱自在に取り付けられる下記(A)の固定部材と、この固定部材と上記あおり以外の車両部分に形成された掛止部との間に取り付けられる下記(B)の引張部材とからなり、上記固定部材および引張部材の取り付けにより、上記左右両側のあおりの少なくとも一方のあおりを横に倒し足場として保持することを特徴とする足場装置。
(A)上記あおり固定用金具を挿通させる貫通孔が形成された金属板と、上記貫通孔に下方と側方とから連通するよう上記金属板に形成された縦方向の切欠きと横方向の切欠きとに固定されたナットと、このナットに上記金属板の外側から螺合し上記貫通孔に挿通させる上記あおり固定用金具を圧接するボルトと、上記金属板の上端縁が傾斜状に形成されその上端縁に沿って固定されたパイプ材とを備えた固定部材。
(B)上記固定部材の傾斜状のパイプ材に挿通され、その一端部が上記あおり以外の車両部分に形成された掛止部に取り付けられ、他端部側が上記傾斜状のパイプ材に掛止されるる引張部材。
【請求項2】
トラックの荷台の左右両側のあおりの前後両端縁に形成されたあおり固定用金具に着脱自在に取り付けられる下記(C)の固定部材と、この固定部材と上記トラックが停車している地面との間に取り付けられる下記(D)の支持部材とからなり、上記固定部材および支持部材の取り付けにより、上記左右両側のあおりの少なくとも一方のあおりを横に倒し足場として保持することを特徴とする足場装置。
(C)上記あおり固定用金具を挿通させる貫通孔が形成された金属板と、上記貫通孔に下方と側方とから連通するよう上記金属板に形成された縦方向の切欠きと横方向の切欠きとに固定されたナットと、このナットに上記金属板の外側から螺合し上記貫通孔に挿通させる上記あおり固定用金具を圧接するボルトと、上記金属板に直角に固定され貫通孔が形成された第2の金属板と、この第2の金属板にその貫通孔と同軸的に立設された第2のパイプ材と、この第2のパイプ材の側周面に貫通孔が形成されその貫通孔と同軸的に固定された第2のナットと、その第2のナットに上記第2のパイプ材の外側から螺合する第2のボルトとを備えた固定部材。
(D)上記固定部材の第2の金属板に形成された貫通孔および第2のパイプ材に挿通され、その下端面が地面に当接し、上記第2のパイプ材に対応する部分が上記第2のボルトの圧接により第2のパイプ材に固定される支持部材。
【請求項3】
上記あおりの前後両端縁に取り付けられた固定部材が、上記あおり固定用金具を挿通させる貫通孔が形成された金属板に直角に固定された第3の金属板と、この第3の金属板に立設された第3のパイプ材とを備え、上記第3のパイプ材に、柱体の下端部が着脱自在に挿入されてその柱体が立設され、前側の柱体と後側の柱体との間に手摺が着脱自在に横設された請求項1または2記載の足場装置。
【請求項1】
トラックの荷台の左右両側のあおりの前後両端縁に形成されたあおり固定用金具に着脱自在に取り付けられる下記(A)の固定部材と、この固定部材と上記あおり以外の車両部分に形成された掛止部との間に取り付けられる下記(B)の引張部材とからなり、上記固定部材および引張部材の取り付けにより、上記左右両側のあおりの少なくとも一方のあおりを横に倒し足場として保持することを特徴とする足場装置。
(A)上記あおり固定用金具を挿通させる貫通孔が形成された金属板と、上記貫通孔に下方と側方とから連通するよう上記金属板に形成された縦方向の切欠きと横方向の切欠きとに固定されたナットと、このナットに上記金属板の外側から螺合し上記貫通孔に挿通させる上記あおり固定用金具を圧接するボルトと、上記金属板の上端縁が傾斜状に形成されその上端縁に沿って固定されたパイプ材とを備えた固定部材。
(B)上記固定部材の傾斜状のパイプ材に挿通され、その一端部が上記あおり以外の車両部分に形成された掛止部に取り付けられ、他端部側が上記傾斜状のパイプ材に掛止されるる引張部材。
【請求項2】
トラックの荷台の左右両側のあおりの前後両端縁に形成されたあおり固定用金具に着脱自在に取り付けられる下記(C)の固定部材と、この固定部材と上記トラックが停車している地面との間に取り付けられる下記(D)の支持部材とからなり、上記固定部材および支持部材の取り付けにより、上記左右両側のあおりの少なくとも一方のあおりを横に倒し足場として保持することを特徴とする足場装置。
(C)上記あおり固定用金具を挿通させる貫通孔が形成された金属板と、上記貫通孔に下方と側方とから連通するよう上記金属板に形成された縦方向の切欠きと横方向の切欠きとに固定されたナットと、このナットに上記金属板の外側から螺合し上記貫通孔に挿通させる上記あおり固定用金具を圧接するボルトと、上記金属板に直角に固定され貫通孔が形成された第2の金属板と、この第2の金属板にその貫通孔と同軸的に立設された第2のパイプ材と、この第2のパイプ材の側周面に貫通孔が形成されその貫通孔と同軸的に固定された第2のナットと、その第2のナットに上記第2のパイプ材の外側から螺合する第2のボルトとを備えた固定部材。
(D)上記固定部材の第2の金属板に形成された貫通孔および第2のパイプ材に挿通され、その下端面が地面に当接し、上記第2のパイプ材に対応する部分が上記第2のボルトの圧接により第2のパイプ材に固定される支持部材。
【請求項3】
上記あおりの前後両端縁に取り付けられた固定部材が、上記あおり固定用金具を挿通させる貫通孔が形成された金属板に直角に固定された第3の金属板と、この第3の金属板に立設された第3のパイプ材とを備え、上記第3のパイプ材に、柱体の下端部が着脱自在に挿入されてその柱体が立設され、前側の柱体と後側の柱体との間に手摺が着脱自在に横設された請求項1または2記載の足場装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−51421(P2009−51421A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−221474(P2007−221474)
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(504368055)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月28日(2007.8.28)
【出願人】(504368055)
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