説明

足場

【課題】Uターン形式の階段の折り返し部に仮設された場合においても、他の作業者が容易に階段を昇降することができる足場を提供する。
【解決手段】足場1を折り返し部21に仮設することで、作業者Aは、床部2に乗って折り返し部21の上方における種々の作業を行うことができる。他の作業者は、床支持部10の内側に形成された折り返し通路15を通りながら階段20を昇降することができる。よって、Uターン形式の階段20の折り返し部21に足場1が仮設された場合においても、足場1が障害となることが防止され、他の作業者は容易に階段20を昇降することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、Uターン形式の階段の折り返し部に仮設される足場に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1〜3に記載されるように、建物等の建設時や改築時において階段に仮設される足場が知られている。特許文献1に記載された足場では、3段以上隔てて立設された支持脚体の間に床部が架設されており、この床部が、複数の作業段から構成されている。特許文献2に記載された足場では、高さが調節可能な脚体に歩み板(床部)が架設されると共に、その脚体には、左右の側壁を押圧するアームが設けられている。特許文献3に記載された足場では、脚体にジャッキが設けられ、このジャッキにより足場の盛替えを容易にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61−26852号公報
【特許文献2】特開平6−346588号公報
【特許文献3】実公平7−35013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような足場を階段に仮設すると、足場の床面上に作業者が乗って作業を行うこととなるが、一方で、他の作業者が階段を昇降する必要性が生じる場合もある。具体的には、他の作業者が上下階の間を移動したり、階段を利用して資材を運搬したりする場合等である。この場合、仮設された足場が障害となって、他の作業者は階段を昇降し難くなるおそれがある。
【0005】
例えば、商業施設やビル等のように階段を複数備えた大規模な建物であれば、他の作業者は、足場が設置されていない他の階段を利用することができる。また、階段の幅寸法が十分大きければ、足場を階段の幅方向の片側に寄せることにより、他の作業者の通路を確保することもできる。また、新築工事の場合であれば、建物の外部に階段や昇降機を仮設することもできる。
【0006】
しかしながら、例えば戸建て住宅等のように小規模な建物の場合、階段が複数設置されることは稀であり、多くの場合、階段は1つである。しかも、その階段の幅は比較的小さい。また、新築工事においても、コストやスペース上の制約から、外部に階段や昇降機を仮設することは実際には困難である。
【0007】
階段には種々の形式があるが、その一種として、途中で180度折り返すいわゆるUターン形式の階段がある。このUターン形式の階段においても、折り返し部に足場を仮設した場合には、上述したのと同様の問題が生じる。すなわち、Uターン形式の階段の折り返し部に足場を仮設すると、その足場が障害となって、他の作業者は階段を昇降し難くなるという問題があった。
【0008】
本発明は、Uターン形式の階段の折り返し部に仮設された場合においても、他の作業者が容易に階段を昇降することができる足場を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る足場は、Uターン形式の階段の折り返し部に仮設される足場であって、作業者が乗る床部と、床部を支持すると共に折り返し部の外端縁に沿って配置される床支持部と、を備え、床支持部は、内側に階段の折り返し通路を形成することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る足場によれば、折り返し部に足場を仮設することで、作業者は、床部に乗って折り返し部の上方における種々の作業を行うことができる。ここで、床部を支持する床支持部は、折り返し部の外端縁に沿って配置される。さらに、この床支持部の内側には折り返し通路が形成される。このため、他の作業者は、折り返し通路を通りながら階段を昇降することができる。よって、Uターン形式の階段の折り返し部に足場が仮設された場合においても、足場が障害となることが防止され、他の作業者は容易に階段を昇降することができる。
【0011】
ここで、床支持部は、互いに対向する第1及び第2の脚体と、第1及び第2の脚体を連結する連結体と、を有し、床支持部は、平面視においてコ字状をなすと好適である。
【0012】
上記構成によれば、互いに対向する第1及び第2の脚体と、これらの脚体を連結する連結体とは、折り返し部の外端縁に沿って配置され、平面視においてコ字状をなす。これにより、床支持部には、折り返し部の手前側に向けて開放された開放部が形成される。そして、この開放部が折り返し通路の出入り口となり、他の作業者は折り返し通路に対して容易に出入りすることができる。さらには、床支持部がコ字状をなして折り返し通路を形成するため、床支持部は、他の作業者が階段を昇降する際のガイドとして機能する。例えば、建物の建設途中において折り返し部の外壁が未完成の場合であっても、床支持部によって、階段を昇降する他の作業者の外部への落下を防止することができる。
【0013】
また、第1及び第2の脚体のそれぞれは、上下方向に延びる第1及び第2の軸線回りを回動可能なように連結体に対して取り付けられると共に、第1及び第2の軸線を含む平面に対して垂直な回動位置で床部によって固定されると好適である。
【0014】
上記構成によれば、第1及び第2の脚体のそれぞれが床部によって固定されるため、上記したコ字状の形態が確実に形成される。また、第1及び第2の脚体のそれぞれは第1及び第2の軸線を含む平面に対して垂直な回動位置で固定されるため、第1及び第2の脚体同士の間隔が下方に向かうにつれて広がるようなことがなく、第1及び第2の脚体は互いに平行に保たれることとなる。その結果として、足場としての安定性が高められる。
【0015】
また、平板状の床部は、第1及び第2の脚体により両端部が支持されて折り返し部の奥行き方向に並設された複数の板材からなり、少なくとも手前側の板材は床支持部に対して着脱自在であると好適である。
【0016】
上記構成によれば、手前側の板材を床支持部から脱着することにより、折り返し通路の手前側の上面に開放部が形成される。よって、足場全体を移動したりバラしたりしなくとも、例えば資材を運搬する場合などにおける取り回しの自由度を向上させることができ、他の作業者による作業をよりスムーズに行うことができる。
【0017】
また、第1及び第2の脚体の少なくとも一方は、階段の段板面に接触する一対の足部を有し、一対の足部の少なくとも一方は、その長さが調整自在であると、第1の脚体または第2の脚体が高さの異なる2つの段板面に跨る場合であっても、足部の長さを調整することによって、支障なく且つ安定して足場を仮設することができる。
【0018】
また、床部の高さは、上階の床高さに対応していると、床部と上階の床との間に作業板を架設することができ、折り返し部と上階とを連絡する直線部の上方にも平坦な床を仮設することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る足場によれば、Uターン形式の階段の折り返し部に仮設された場合においても、他の作業者が容易に階段を昇降することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係る足場の斜視図である。
【図2】図1中の床支持部を展開させた状態を示す正面図である。
【図3】図1の足場における床部の取り付け構造の説明図である。
【図4】折り返し部に図1の足場を設置した状態を示す斜視図である。
【図5】(a)及び(b)は、折り返し方向の異なる階段に適用した場合における床支持部を示す上面図である。
【図6】手前側の板材を取り外した状態を示す斜視図である。
【図7】上階との間に作業板を架設した状態を示す斜視図である。
【図8】第2実施形態に係る足場において手前側の板材を跳ね上げた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0022】
図1は、第1実施形態に係る足場1の斜視図である。図1に示すように、足場1は、建物等の建設時や改築時において、階段に仮設されるものである。段差を有する階段20上に足場1を仮設することにより、平坦な床面が形成される(図4参照)。作業者Aは、この足場1上に乗り、階段20上部の内部造作工事や設備工事等を行うことができる。
【0023】
足場1は、途中で180度折り返すいわゆるUターン形式の階段20に仮設される足場である。足場1は、階段20の折り返し部21に仮設される。Uターン形式の階段には、昇り方向を基準として右に折り返す形式の階段と、左に折り返す形式の階段とがある。足場1は、左右に折り返す形式の階段、すなわち左右勝手の違う階段のいずれに対しても用いることができる。
【0024】
足場1は、作業者Aが乗る平板状の床部2と、折り返し部21に立設されると共に床部2を支持する床支持部10と、を備えている。
【0025】
まず、床支持部10について説明する。床支持部10は、互いに対向する第1の脚体11及び第2の脚体12と、第1の脚体11及び第2の脚体12を連結する連結体13と、を有している。第1の脚体11及び第2の脚体12のそれぞれは、複数の棒状部材から構成された略長方形状の枠体である。第1の脚体11、第2の脚体12、及び連結体13は、金属製である。
【0026】
図1及び図2に示すように、第1の脚体11は、上下方向に延びると共に互いに平行に配置された足部11a及び足部11bを有している。この一対の足部11a,11bは、第1の脚体11における側枠に相当する。足部11a,11bは、上端部において上枠11cにより連結されている。また、足部11a,11bは、下部において下枠11dにより連結されている。足部11a,11bは、下枠11dの下方に延出している。足部11a,11bの下端には、底面に滑り止めのゴム板を有する円錐台形状の下端板11f,11gが設けられている。
【0027】
第2の脚体12は、上下方向に延びると共に互いに平行に配置された足部12a及び足部12bを有している。この一対の足部12a,12bは、第2の脚体12における側枠に相当する。足部12a,12bは、上端部において上枠12cにより連結されている。また、足部12a,12bは、下部において下枠12dにより連結されている。足部12a,12bは、下枠12dの下方に延出している。足部12a,12bの下端には、底面に滑り止めのゴム板を有する円錐台形状の下端板12f,12gが設けられている。
【0028】
第1の脚体11及び第2の脚体12は、下端板11f,11g,12f,12gの底面が階段20の段板面(例えば図4の第1の段板面21a,21d)に接触するようにして立設される。
【0029】
ここで、第1の脚体11の上下方向の長さは、第2の脚体12の上下方向の長さよりも短くなっている。より具体的には、足部11a,11bは、足部12a,12bよりも短くなっている。
【0030】
足部11aには、下枠11dとの連結位置より下側において伸縮機構11eが設けられている。伸縮機構11eは、下枠11dの下方における足部11aの延出長さを自在に調整する機能を有する。足部11aの下端(下端板11fの底面)の位置は、伸縮機構11eによって、図2の実線で示す足部11bに等しい位置から、図2の仮想線で示す足部11bよりも所定長さ下方に延びた位置までの間で調整可能になっている。ここでの所定長さは、例えば階段1段分の段差に相当する。
【0031】
足部12bには、下枠12dとの連結位置より下側において伸縮機構12eが設けられている。伸縮機構12eは、下枠12dの下方における足部12bの延出長さを自在に調整する機能を有する。伸縮機構12eによって、足部12bの下端(下端板12gの底面)の位置は、図2の実線で示す足部12aに等しい位置から、図2の仮想線で示す足部12aよりも所定長さ下方に延びた位置までの間で調整可能になっている。ここでの所定長さは、例えば階段1段分の段差に相当する。
【0032】
第1の脚体11の足部11b及び第2の脚体12の足部12aの長さは固定されている。足部11bの長さは、足部12aの長さよりも例えば2〜6段分の段差だけ短くなっている。なお、足部11a,11b,12a,12bのすべてに伸縮機構を設けてもよいし、いずれか1本の足部に伸縮機構を設けてもよい。さらには、足部11a,11b,12a,12bのいずれにも伸縮機構を設けず、足部11a,11b,12a,12bの長さが予め決められていてもよい。
【0033】
連結体13は、水平方向に延びると共に互いに平行に配置された棒状の上枠13a及び下枠13bを有している。上枠13a及び下枠13bの長さは等しくなっている。
【0034】
上枠13aの両端は、第1の脚体11の足部11a及び第2の脚体12の足部12aに連結されている。上枠13aの両端に設けられた連結部13f,13fは、上下方向に延びる円筒状の部分を有している。連結部13f,13fは、足部11a,12aの上端部から多少低い位置において、足部11a,12aを保持している。足部11a,12aのそれぞれは、連結部13f,13fの円筒状の部分内に配置され、上枠13aに対して回動可能になっている。
【0035】
また、下枠13bの両端は、第1の脚体11の足部11a及び第2の脚体12の足部12aに連結されている。下枠13bの両端に設けられた連結部13g,13gは、上下方向に延びる円筒状の部分を有している。連結部13g,13gは、足部11a,12aの下枠11d,12dとの連結位置より多少高い位置において、足部11a,12aを保持している。足部11a,12aのそれぞれは、連結部13g,13gの円筒状の部分内に配置され、下枠13bに対して回動可能になっている。
【0036】
上枠13a及び下枠13bは、上下方向に延びる縦枠13eにより連結されている。また、上枠13a及び下枠13bには、縦枠13eとの連結位置と足部12aとの間の長さを調整自在とする伸縮機構13c,13dがそれぞれ設けられている。
【0037】
上記構成を有する床支持部10において、第1の脚体11は、連結体13に保持された足部11aの軸線X1回りを回動可能になっている。また、第2の脚体12は、連結体13に保持された足部12aの軸線X2回りを回動可能になっている。すなわち、第1の脚体11及び第2の脚体12のそれぞれは、上下方向に延びる各軸線X1,X2回りを回動可能なように連結体13に対して取り付けられている。
【0038】
第1の脚体11及び第2の脚体12は、軸線X1,X2を含む平面に対して平行な位置(図2に示す展開状態)を基準として、その平面の一方側と他方側とに少なくとも90度回動可能になっている(図5(a),(b)も参照)。
【0039】
次に、床部2について説明する。図1に示すように、床部2は、軸線X1,X2を含む平面に直交する方向(図4に示す奥行き方向)に並設された2枚の床板3,4から構成されている。床板3,4は、鋼製である。床板3,4は、連結体13の延在方向(図4に示す幅方向)の長さよりも多少長い長辺を有する長方形状をなしている。
【0040】
床板3,4の長手方向(図4に示す幅方向)の両端部下面には、脚体12,13を把持する把持部材としてC字状のバネ6が固定されている(図3参照)。このバネ6に脚体12,13の上枠11c,12cが嵌め込まれることにより、バネ6が上枠11c,12cを把持すると共に、第1の脚体11及び第2の脚体12が固定される。床板3,4を取り付けることにより、第1の脚体11及び第2の脚体12は、軸線X1,X2を含む平面すなわち連結体13を含む鉛直平面に対して垂直な回動位置で固定される。また、床板3,4は、上方に引っ張り上げられることにより、上枠11c,12cから脱着される。このように、床板3,4は床支持部10に対して着脱自在になっている。
【0041】
以上説明した足場1の使用方法について説明する。図4は、Uターン形式の階段20の折り返し部21に足場1を設置した状態を示す斜視図である。ここでは、昇り方向を基準として右に折り返す形式の階段20に足場1を仮設する場合について説明する。
【0042】
階段20は、例えば戸建て住宅において1階と2階との間に設けられた階段である。階段20は、折り返し部21において180度折り返された形状になっている。階段20は、この折り返し部21と、1階と折り返し部21とを直線状に結ぶ下側の直線部22と、折り返し部21と2階とを直線状に結ぶ上側の直線部23と、を有している。折り返し部21には、低い方から順に、第1の段板面21a、第2の段板面21b、第3の段板面21c、及び第4の段板面21dの4つの略扇状の段板面が形成されている。
【0043】
図4に示す階段20の折り返し部21に足場1を仮設する場合、足部11a及び足部11bの長さは等しくなっている。また、足部12a及び足部12bの長さは等しくなっている。足部11a,11bは最も高い第4の段板面21d上に立設されると共に、足部12a,12bは最も低い第1の段板面21a上に立設される。ここでは、足部11a,11bの長さは、足部12a,12bの長さよりも3段分の段差だけ短くされ、その結果、床部2は水平に保たれる。さらに、床部2の上面の高さは、2階の床26(図8参照)の高さに等しくなっている。
【0044】
図5(a)は、図4に示す場合における床支持部10を示す上面図である。図5(a)に示すように、連結体13は、折り返し部21の奥行き方向奥側の端縁31に沿って配置される。また、第1の脚体11は、上側の直線部23に連絡する側端縁33に沿って配置され、第2の脚体12は、下側の直線部22に連絡する側端縁32に沿って配置される。すなわち、床支持部10は、折り返し部21の外端縁である端縁31〜33に沿って配置されて、平面視においてコ字状をなしている。
【0045】
上記構成により、床支持部10は、その内側に折り返し通路15を形成している。折り返し通路15は、幅方向の両側においては脚体11,12によって、奥行き方向の奥側においては連結体13によって、上下方向の両側においては床部2及び段板面21a〜21dによって画成されている。折り返し通路15の奥行き方向手前側には、足部11bを上底とし、足部12bを下底とする略台形状の開放部16が形成されている(図4参照)。折り返し通路15は、折り返し部21に足場1が仮設された状態においても、他の作業者による階段20の昇降を許容する。
【0046】
足場1によれば、折り返し部21に仮設することで、作業者Aは、床部2に乗って折り返し部21の上方における種々の作業を行うことができる。しかも、他の作業者は、床支持部10の内側に形成された折り返し通路15を通りながら階段20を昇降することができる。よって、Uターン形式の階段20の折り返し部21に足場1が仮設された場合においても、足場1が障害となることが防止され、他の作業者は容易に階段20を昇降することができる。
【0047】
この効果は、例えば戸建て住宅等のように小規模な建物であって、幅の狭い階段が1つだけ設置される場合には、顕著に発揮される。また、外部に施工用の階段や昇降機を仮設することが困難な場合にも、上記効果は顕著に発揮される。
【0048】
また、互いに対向する第1の脚体11及び第2の脚体12と、これらの脚体11,12を連結する連結体13とが折り返し部21の外端縁31〜33に沿って配置され、平面視においてコ字状をなすため(図5(a)参照)、床支持部10には、折り返し部21の奥行き方向手前側に向けて開放された開放部16が形成される。この開放部16が折り返し通路15の出入り口となり、他の作業者は折り返し通路15に対して容易に出入りすることができる。さらには、床支持部10がコ字状をなして折り返し通路15を形成するため、床支持部10は、他の作業者が階段20を昇降する際のガイドとして機能する。例えば、建物の建設途中において折り返し部の外壁が未完成の場合であっても、床支持部10によって、階段20を昇降する他の作業者の外部への落下を防止することができる。
【0049】
また、第1の脚体11及び第2の脚体12のそれぞれが床部2によって固定されるため、上記したコ字状の形態が確実に形成される。また、第1の脚体11及び第2の脚体12のそれぞれは軸線X1,X2を含む平面に対して垂直な回動位置で固定されるため、第1の脚体11及び第2の脚体12同士の間隔が下方に向かうにつれて広がるようなことがなく、第1の脚体11及び第2の脚体12は互いに平行に保たれる。その結果として、足場としての安定性が高められる。
【0050】
上記の効果は、図5(a),(b)に示すような左右勝手違いの階段20,40に足場1を仮設する場合、特に顕著に発揮される。すなわち、連結体13を中心として第1の脚体11及び第2の脚体12のそれぞれを180度回動させることにより、床支持部10を面対称の形状に変化させることができる。よって、右に折り返す階段20または左に折り返す階段40のいずれであっても、高い方の段板上(図5(a)の段板面21dまたは図5(b)の段板面41d)に第1の脚体11を立設すると共に、低い方の段板上(図5(a)の段板面21aまたは図5(b)の段板面41a)に第2の脚体12を立設し、且つ、連結体13を折り返し部21,41の奥側の端縁31に沿わせることで、折り返し通路15を容易に形成することができる。このように、足場1は階段のUターン方向によらず適用できるため、汎用性が非常に高い。
【0051】
さらにまた、足場1を使用しない収納時においては、床部2を取り外して第1の脚体11及び第2の脚体12を折りたたみ、床支持部10をコンパクトに収納することもできる。
【0052】
また、図6に示すように、奥行き方向手前側の床板4を床支持部10から脱着することにより、足場1の手前側の上面に長方形状の開放部17が形成される。よって、足場1全体を移動したりバラしたりしなくとも、例えば資材を運搬する場合などにおける取り回しの自由度を向上させることができ、他の作業者による作業をよりスムーズに行うことができる。
【0053】
また、上記の場合、奥行き方向奥側の床板3を床支持部10上に残すことにより、第1の脚体11及び第2の脚体12は床板3によって固定されて互いに平行に保たれるため、足場1の安定性を保つことができる。
【0054】
また、足部11a及び足部12bの長さが調整自在であるため、第1の脚体11または第2の脚体12が高さの異なる2つの段板面に跨る場合であっても、足部11a,12bの長さを調整することによって、支障なく且つ安定して足場1を仮設することができる。
【0055】
また、図7に示すように、床部2の高さが2階の床26の高さに等しいため、床部2と2階の床26との間に作業板27を架設することができ、折り返し部21と2階とを連絡する直線部23の上方にも平坦な床を仮設することができる。
【0056】
Uターン形式の階段は、段板が扇状に複数形成される等、折り返し部の構成が複雑であることが多い。足場1によれば、どのような構成の折り返し部であっても、他の作業者の通路を確保しつつ容易且つ確実に足場1を仮設することができる。
【0057】
図8は、第2実施形態に係る足場1Aの斜視図である。図8の足場1Aが第1実施形態の足場1と異なる点は、床部2に代えて、蝶番50で互いに連結された2枚の床板3A,4Aから構成される床部2Aを備えた点である。この場合、手前側の床板4Aを跳ね上げて床支持部10から脱着し、床板3A上に重ねることで、足場1Aの手前側の上面に長方形状の開放部17が形成される。よって、上述した足場1と同様の作用・効果を得ることができる。
【0058】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、第1の脚体及び第2の脚体は、複数の棒状部材から構成された枠体である場合に限られず、棒状部材と板状部材とによって構成されてもよい。また、連結体は、上枠13aと下枠13bとによって脚体11,12を連結する場合に限られず、板状部材であってもよい。連結体は、脚体11,12を互いに平行に保つよう、脚体11,12のそれぞれに対して上下方向の2点以上で連結されているか、または、上下方向に連続的に連結されていてもよい。
【0059】
また、床部の上面の高さは、2階の床26の高さと多少異なってもよい。また、床部は、2枚の床板3,4から構成される場合に限られず、3枚以上の板材から構成されてもよいし、単一の板材であってもよい。第1の脚体、第2の脚体、及び連結体は樹脂製であってもよい。また、床板は、木製であってもよい。
【0060】
また、床支持部は、平面視においてコ字状をなす場合に限られず、奥行き方向手前側が開放された台形状であってもよいし、奥行き方向奥側に膨らむように湾曲した形状であってもよい。
【符号の説明】
【0061】
1,1A…足場、2、2A…床部、3,3A…床板(板材)、4,4A…床板(板材)、10…床支持部、11…第1の脚体、11a,11b…足部、12…第2の脚体、12a,12b…足部、13…連結体、20,40…階段、21,41…折り返し部、26…2階の床(上階の床)、31〜33…端縁(外端縁)、A…作業者、X1…第1の軸線、X2…第2の軸線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Uターン形式の階段の折り返し部に仮設される足場であって、
作業者が乗る床部と、
前記床部を支持すると共に前記折り返し部の外端縁に沿って配置される床支持部と、を備え、
前記床支持部は、内側に前記階段の折り返し通路を形成することを特徴とする足場。
【請求項2】
前記床支持部は、互いに対向する第1及び第2の脚体と、前記第1及び第2の脚体を連結する連結体と、を有し、
前記床支持部は、平面視においてコ字状をなすことを特徴とする請求項1記載の足場。
【請求項3】
前記第1及び第2の脚体のそれぞれは、上下方向に延びる第1及び第2の軸線回りを回動可能なように前記連結体に対して取り付けられると共に、前記第1及び第2の軸線を含む平面に対して垂直な回動位置で前記床部によって固定されることを特徴とする請求項2記載の足場。
【請求項4】
平板状の前記床部は、前記第1及び第2の脚体により両端部が支持されて前記折り返し部の奥行き方向に並設された複数の板材からなり、少なくとも手前側の板材は前記床支持部に対して着脱自在であることを特徴とする請求項2または3記載の足場。
【請求項5】
前記第1及び第2の脚体の少なくとも一方は、前記階段の段板面に接触する一対の足部を有し、
前記一対の足部の少なくとも一方は、その長さが調整自在であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の足場。
【請求項6】
前記床部の高さは、上階の床高さに対応していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の足場。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−193518(P2012−193518A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−57024(P2011−57024)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(303046244)旭化成ホームズ株式会社 (703)
【Fターム(参考)】