説明

足温器及びセラミックスボール

【課題】足の裏側からだけでなく上面からも遠赤外線による加温効果や抗菌効果を得ることができる足温器を提供する。また、足温器その他の各種用途に使用できるセラミックスボールを提供する。
【解決手段】足温器1は、両足が載る大きさの内底面を備えた筐体10と、前記筐体内を加温する加温装置30とを備えている。この筐体10は、両下肢を緩挿する穴12のある蓋体11及びその下面に取り付けられた保温シート13を備え、熱の外部への放出を防いでいる。そして、筐体の内底面上に、セラミックスを主成分とし直径5〜20mmの略球形に成形されたセラミックスボール20の多数個を少なくとも40mmの高さの層をなすように装填することにより、セラミックスボール20の層内に足を分け入れたときに足の上面にセラミックスボール20が被るようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
セラミックスの遠赤外線効果を利用した足温器及びセラミックスボールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の足温器として以下のものが知られている。
(a)図3(a)に示すように、木製の箱に遠赤セラミックスのボール51がまばらに入れられた状態で、足をそのボールの上に乗せて用いる健康器具50(特許文献1)。
(b)図3(b)に示すように、セラミックスの粒61を袋体に詰め込んだ状態で、その袋体を足の下に敷いて用いる足温器60(特許文献2)。
(c)図3(c)に示すように、医王石71を収納筐体に収納して、その上に足を乗せて用いるヒーリングボックス70(特許文献3)。
【特許文献1】特開平9−313568号公報
【特許文献2】特開2003−180724号公報
【特許文献3】特開2004−337479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記(a)〜(c)のいずれにおいても、セラミックスのボール等が足の裏側にある状態で用いられるため、セラミックスの遠赤外線による加温効果や抗菌効果を足の裏側からしか得ておらず、それらの効果を十分に堪能しているとはいえない。
また、従来のセラミックスボールは、セラミックス粉末を固めたものと、天然石を所定寸法に加工したものとに大別される。因みに上記(a)(b)のセラミックスのボール等は、直径の記載はあるが、材料・内部構造が不明である。(c)の医王石は天然のものと思われる。そして、セラミックス粉末を固めたものは、セラミックスによる効果と外力で破損しない高い強度とを両立させることが難しかった。セラミックスによる効果を高めようとしてセラミックス粉末のみを固めると強度が低下し、強度を高めようとして結合材の添加を増すと遠赤外線効果が低下するからである。また、天然石を所定寸法にしたものは、その加工に手間とコストがかかる。
【0004】
そこで、本発明の目的は、足の裏側からだけでなく上面からも遠赤外線による加温効果や抗菌効果を得られ、防臭効果もある足温器を提供することにある。
また、遠赤外線による加温効果、抗菌効果及び防臭効果と、外力で破損しない高い強度とを兼ね備え、足温器をはじめ種々の用途に使用できるセラミックスボールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明の足温器は、両足が載る大きさの内底面を備えた筐体と、前記筐体内を加温する加温装置とを備えた足温器において、前記内底面上に、セラミックスを主成分とし直径5〜20mmの略球形に成形されたセラミックスボールの多数個を少なくとも40mmの高さの層をなすように装填し、前記セラミックスボールの層内に足を入れたときに足の上面にセラミックスボールが被るようにしたことを特徴とする。
【0006】
本明細書において、下肢とは腰より下の脚部を指すものとし、足とは足首より下の部分を指すものとする。また、内底面とは、筐体の底板の上面に限られず、足及びセラミックスボールを乗せる面を指すものとする。
【0007】
前記セラミックスボールは、より好ましくは、少なくとも50mmの高さの層をなすように装填される。セラミックスボールが足の上面により十分に被るようにするためである。
【0008】
前記筐体は、特に限定されないが、両下肢を緩挿する穴のある蓋体を備えていることが好ましい。さらに、蓋体には、特に限定されないが、足を入れたときに穴の隙間を埋められる保温シートを取り付けるのが好ましい。これは、筐体内の熱を外に逃がさないようにするためである。
【0009】
筐体の内底面に必要最小限のセラミックスボールを層をなして積み上げるためには、筐体の下部は、特に限定されないが、両足が置ける限り幅及び長さの小さいものが好ましい。それに対して、両下肢を緩挿する穴のある蓋体を備えた筐体の上部は、ゆとりを持って足を緩挿できるものが好ましい。従って、筐体の上部は、特に限定されないが、下部に比べ長さ及び幅の大きいものが好ましい。
【0010】
前記セラミックスボールは、特に限定されないが、角閃石の粉末を主成分とする組成物を成形して焼成したものを例示できる。
このセラミックスボールは、特に限定されないが、角閃石の粉末よりなる芯玉と、角閃石の粉末と粘土との混合物よりなる外層とから構成されたものを例示できる。粘土としては、シリカ・アルミナ粘土を例示できる。また、前記芯玉の直径は、特に限定されないが、1〜4mmを例示でき、前記焼成する温度としては、特に限定されないが、1050〜1200℃を例示できる。前記外層の成分比率としては、特に限定されないが、角閃石を85%、シリカ・アルミナ粘土を15%としたものを例示できる。
【0011】
セラミックスボールの製造方法は、特に限定されないが、角閃石を粉砕して角閃石の粉末を形成する工程と、角閃石の粉末を焼成して芯玉を成形する工程と、芯玉を角閃石の粉末と粘土との混合物で包み込み焼成する工程とを含む方法を例示できる。
【0012】
加温装置としては、電熱ヒータ、温水パイプ等を例示できる。また、加温装置は、特に限定されないが、筐体の内底面の下方に取り付けられるのが好ましい。場所を取らず、効率良くセラミックスボールを温められるからである。
上記足温器において、特に限定されないが、足温器全体を移動可能にする車輪と、足温器全体を押し引き可能にする取っ手とを備えたものが好ましい。
【0013】
また、上記のセラミックスボールは、足温器のみならず、例えば次の(1)〜(6)のような種々の用途に使用することができる。
(1)炊飯の際に、セラミックスボールを容器(袋等)に装入した上、炊飯器に入れて炊飯する。セラミックスボールの遠赤外線による加温効果により、ご飯がよりふっくらとおいしく炊きあがる。
(2)天ぷらを揚げる際に、セラミックスボールを油中に入れる。油が酸化しにくくなる。
(3)浄水器にセラミックスボールを入れる。セラミックスボールの消臭効果により水の塩素臭等が緩和され、味も良く感じる。
(4)冷蔵庫の中(例えば野菜室)に、セラミックスボールを通気性容器に装入した上で入れる。セラミックスボールの消臭・抗菌効果により、野菜等の鮮度を保つ。
(5)風呂に、セラミックスボールを容器(袋、ネット等)に装入した上で入れる。セラミックスボールの消臭、殺菌効果により、お湯の塩素臭等が緩和され、汚れにくくなる。
(6)花瓶にセラミックスボールを入れる。セラミックスボールの抗菌効果により水の腐敗が緩和され、花が長持ちする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1及び2記載の発明に係る足温器によれば、セラミックスボールの層内に足を入れたときに足の上面にセラミックスボールが被るようにしているため、足の裏側からだけでなく上面からも遠赤外線による足への加温効果や抗菌効果を得ることができる。加えて、このボールの材料としてセラミックを用いたことによる、足及び足温器への抗菌効果も期待できる。
また、請求項3記載の発明によれば、上記効果に加え、筐体内の熱を外に逃がさないようにできる。
また、請求項4記載の発明によれば、足温器内部にセラミックスボール等を装填して重くなった状態でも、その足温器を容易に動かすことができる。
請求項5記載の発明に係るセラミックスボールによれば、遠赤外線による加温効果、抗菌効果及び防臭効果と、外力で破損しない高い強度とを兼ね備え、足温器をはじめ種々の用途に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
足温器は、両足が載る大きさの内底面を備えた筐体と、前記筐体内を加温する加温装置とを備えている。また、この筐体は、両下肢を緩挿する穴のある蓋体及びその下面に取り付けられた保温シートにより、熱の外部への放出を防いでいる。
そして、筐体の内底面上に、セラミックスの粉末を主成分とし直径5〜20mmの略球形に成形されたセラミックスボールの多数個を少なくとも50mmの高さの層をなして積み上がるように装填することにより、セラミックスボールの層内に足を入れたときに足の上面にセラミックスボールが被るようにしている。
【実施例1】
【0016】
本実施例の図1〜2に示す足温器1は、外枠となる筐体10と、足を温める足温部Aと、筐体10の内部を加温する加温部Bとを備えている。筐体10の内部を仕切り板31により仕切り、上部には足温部A、下部には加温部Bが設けられている。
本実施例では、足及びセラミックスボール20を仕切り板31の上に乗せるため、仕切り板31の上面を耐熱シート32で覆い筐体10の内底面としている。
【0017】
筐体10は、底板15と、底板15の上面に立設されその周囲を囲む側板16と、側板16の上端に設けられた蓋体11と、前述の筐体10内部を仕切る仕切り板31とを備えている。筐体10の内底面の長さ及び幅は両足が載る程度で、例えば、20〜40cmとなっている。また、筐体10の上部は、下部に比べ長さ及び幅が大きく成形されており、上部内面の長さ及び幅は内底面の1.2〜1.5倍程度となっている。
【0018】
蓋体11には、両下肢を緩挿する穴12が形成されている。この穴12は、蓋体11の中央にその大部分を占めて形成され、下方から保温シート13で覆われている。この保温シート13は、面ファスナ18により蓋体11の下面に取り付けられている。また、保温シート13には足の出し入れができる袖状に垂れた小穴14が二つ形成されている。
筐体10の側板16の内側面は断熱材17で覆われていて、筐体10の内部の熱が外部に伝わらないようにしている。
【0019】
足温部Aは、筐体10の内部のうち仕切り板31に仕切られた上部であり、セラミックスボール20が約60mmの高さの層をなして積み上がるように装填されている。これは、足をセラミックスボール20の層内に分け入れて埋めたときに足の上面にセラミックスボール20が被るようにするためである。
セラミックスボール20は、中心に据えられる芯玉23と、その周囲を覆う外層22とから構成されている。
芯玉23は、角閃石の粉末を直径2〜3mmの略球形に成形して、1100〜1150℃で焼成したものである。
外層22は、角閃石の粉末約85%と、繋ぎとしてのシリカ・アルミナ粘土約15%との混合物であって、芯玉表面を覆い直径8〜12mmの略球形に成形して、1100〜1150℃で焼成したものである。
【0020】
加温部Bは、筐体10の内部のうち仕切り板31に仕切られた下部であり、筐体10の内部を加温する加温装置30が設置されている。詳しくは、筐体10の底板15の上面に加温装置30としての電熱ヒータ30が設置されている。
【0021】
また、本実施例の足温器1には、全体を移動可能にする車輪40と、全体を押し引き可能にする取っ手41及び取っ手ケース42とが取り付けられている。
この車輪40はロック機能付きのものであり、取っ手41は、図2のように、伸縮自在のものである。
【0022】
以上で説明した足温器1は、例えば、足温部Aに装填されたセラミックスボール20を加温部Bに設置されたヒータ30により温めておき、足をセラミックスボール20の層に埋め、足の上面にセラミックスボール20を被せて使用される。
【0023】
本実施例によれば、以下の効果が得られる。
(a)足をセラミックスボール20の層内に分け入れて埋め、足の上面にセラミックスボール20を被せているため、足の裏側からだけでなく上面からも遠赤外線による足への加温効果及び抗菌効果が得られる。
(b)ボール20の主成分がセラミックスであるため、足への抗菌効果があり、さらに、ボール20自身や筐体10の内面にも抗菌効果が得られ、臭いの発生を抑え、清潔に保つことができる。
(c)筐体10の長さ及び幅を、下部では小さくし、上部では大きくしているため、積み上げるのに必要なセラミックスボール20が少なく済み、かつ、両下肢を緩挿する穴12の大きさを十分確保できる。
(d)蓋体11の下面に穴12の足の隙間を覆う保温シート13を取り付けているため、熱の筐体外部への放出を防ぐ効果が得られる。
(e)面ファスナ18により保温シート13を蓋体11に着脱自在に取り付けているため、洗濯等での保温シート13の交換が容易となる。
(f)筐体10に取っ手41及び車輪40を取り付けたことで、内部にセラミックスボール20やヒータ30を有した状態でも、その筐体10を容易に移動させることができる。さらに、車輪40にロック機能を付けたことで、使用するときの固定もできる。
【0024】
(g)セラミックスボール20は、角閃石の粉末を主成分とする組成物を成形・焼成してなるものなので、上記の遠赤外線による加温効果、抗菌効果及び防臭効果が高い。
(h)セラミックスボール20は、角閃石の粉末よりなる芯玉を、角閃石の粉末と粘土との混合物よりなる外層で包み込んで直径5〜20mmの略球形に成形・焼成してなるものなので、セラミックスによる効果と外力で破損しない高い強度とを両立させることができる。すなわち、強度に効く外層で、角閃石の粉末に強度上必要な量の結合材としての粘土を加えることにより、外力で破損しない高い強度を得ることができる。また、外層で保護される芯玉では、角閃石の粉末の含有率を高める(100%も可)ことにより、セラミックスによる効果(遠赤外線加温効果、抗菌効果及び防臭効果)を高めることができる。従って、足による踏み付けやボールどうしの擦れ等が起こる過酷な使用時においても、セラミックスボール20は割れや摩耗による破損が生じにくく耐久性に優れる。
【0025】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。セラミックスボール20は、足温器のみならず、例えば上記[課題を解決するための手段]に記載したような遠赤外線効果、抗菌効果又は防臭効果の少なくとも一つが要求される種々の用途に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施例に係る足温器を示す断面図である。
【図2】同足温器を示す斜視図である。
【図3】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 足温器
10 筐体
11 蓋体
12 穴
14 小穴
20 セラミックスボール
22 外層
23 芯玉
30 加温装置(ヒータ)
32 耐熱シート
40 車輪
41 取っ手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両足が載る大きさの内底面を備えた筐体と、前記筐体内を加温する加温装置とを備えた足温器において、前記内底面上に、セラミックスを主成分とし直径5〜20mmの略球形に成形されたセラミックスボールの多数個を少なくとも40mmの高さの層をなすように装填し、前記セラミックスボールの層内に足を入れたときに足の上面にセラミックスボールが被るようにしたことを特徴とする足温器。
【請求項2】
前記セラミックスボールが、角閃石の粉末を主成分とする組成物を成形して焼成したものである請求項1記載の足温器。
【請求項3】
前記筐体が、両下肢を緩挿する穴のある蓋体を備えた請求項1又は2記載の足温器。
【請求項4】
足温器全体を移動可能にする車輪と、足温器全体を押し引き可能にする取っ手とを備えた請求項1、2又は3記載の足温器。
【請求項5】
角閃石の粉末よりなる芯玉を、角閃石の粉末と粘土との混合物よりなる外層で包み込んで直径5〜20mmの略球形に成形し、焼成してなるセラミックスボール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2008−136834(P2008−136834A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37240(P2007−37240)
【出願日】平成19年2月17日(2007.2.17)
【出願人】(507095781)株式会社イオジー (2)
【Fターム(参考)】