説明

足関節強化訓練具

【課題】背屈力を強化して歩行動作を安定させることができるとともに、捻挫の治療及び治療に適用可能な足関節の背屈方向及び底屈方向の動きを規制し、かつ足首の外側方向及び内側方向の揺動を規制する足関節強化訓練具を提供することを課題とする。
【解決手段】訓練具1は、使用者の下腿部に巻付けて固定される帯状の下腿部固定帯2と、足関節に取付けられ、足関節側面及び足裏とそれぞれ当接し、足関節側面を挟込むようにして支持するための第一支持帯10を有する第一足関節支持部3及び第二支持帯11を有する第二足関節支持部4とを主に具備して構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足関節強化訓練具に関するものであり、特に足部の足関節に装着され、足先を下腿部方向に近接させる背屈力を強化し、訓練することにより、歩行安定性を獲得し、かつ足関節の捻挫等の治療及び予防に利用可能な足関節強化訓練具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、運動時に起きる足関節の捻挫を予防したり、或いは捻挫の治療の為に伸縮性を有する布製部材からなるサポーターを用いたり、一面に接着剤の塗布されたテープを利用し、足関節に該テープを巻付けて足関節の動きを固定することが行われている。これらのサポーター等は、対象となる足関節に装着または巻付けることにょり、足関節の動きの規制するものである。これにより、足関節に無理な方向から力が加えられた場合でも、該サポーター等によって加えられた力に抗することが可能となり、足関節が保護される。そのため、運動時等における捻挫の発生の可能性を小さくすることができる。
【0003】
一方、捻挫が発生した後でも、当該サポーターで足関節の動きを規制することにより、痛みの発生を抑え、かつ症状の早期改善が図られている。この場合、足関節を完全に固定するため、足首を軸として足先を下腿部方向に近接するように動かす背屈、或いは足先を下腿部から離間させるように動かす底屈の動きも同様に規制されている。すなわち、足首から先を動かすことはほとんどできないものである。
【0004】
以上の従来技術は、当業者において公然実施されているものであり、出願人は、係る従来技術が記載された文献を、本願出願時においては特に知見していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のサポーター等は、捻挫の予防及び治療を目的とするものであるが、係るサポーター等の機能は、足関節の動きを単純に規制するものにすぎなかった。すなわち、捻挫は足関節に対して、外側または内側から強い力が加えられた場合に多く起こるものであり、この捻挫を治療する場合、当該方向(外側または内側)への動きのみを規制するだけで良かった。ところが、従来のサポーター等は、本来は規制をする必要のない足関節の背屈方向及び底屈方向の動きも規制するものであり、この場合、該サポーター等を装着された使用者は、通常の歩行動作も困難になる、さらに換言すれば、歩き難い状況になってしまった。
【0006】
加えて、上述のサポーター等は、足関節本来の背屈や底屈等の力を強化するものではなかった。ここで、足関節に対する捻挫等の故障は、足関節の背屈方向への力(背屈力)を鍛えることにより、予防することができることを本願出願人は鋭意研究の結果、見出した。そのため、係る足関節の背屈力を日常から常に強化することで、捻挫等の故障の発生自体を抑えることができる。さらに、背屈力の強化は、日常の歩行動作を安定させることも可能である。すなわち、歩行方向に対して側方向へ足首が動くこと(ぶれること)は、歩行動作の安定性を著しく害することになる。そこで、足の筋力の衰えた高齢者等であっても、当該背屈力を強化することによって、ふらつきのない安定した歩行動作を行うことができる。
【0007】
そこで、本発明は、上記実情に鑑み、背屈力を強化して歩行動作を安定させることができるとともに、捻挫の治療及び治療に適用可能な足関節の背屈方向及び底屈方向の動きを可能とし、かつ足首の外側方向及び内側方向の揺動を規制する足関節強化訓練具の提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の足関節強化訓練具は、「下腿部に巻付けて固定される帯状の下腿部固定帯と、前記下腿部の外側から足部の足裏を経由し、前記下腿部固定帯の前記下腿部の内側位置に至るまで、前記足部の足関節側面及び前記足裏と当接し、前記足関節を外側方向及び内側方向から支持する伸縮性素材によって形成される帯状の第一支持帯、及び前記第一支持帯の一端に設けられ、前記下腿部固定帯の前記下腿部の内側位置と前記第一支持帯を着脱自在に接着する第一接着手段を有する第一足関節支持部と、前記下腿部の内側から前記足部の前記足裏を経由し、前記下腿部固定帯の前記下腿部の外側位置に至るまで、前記足部の前記足関節側面及び前記足裏と当接し、前記足関節を外側方向及び内側方向から支持する伸縮性素材によって形成される帯状の第二支持帯、及び前記第二支持帯の一端に設けられ、前記下腿部固定帯の前記下腿部の外側位置と前記第二支持帯を着脱自在に接着する第二接着手段を有する第二足関節支持部とを具備し、前記足関節の足関節側面とそれぞれ当接して支持する前記第一支持帯及び前記第二支持帯によって前記足関節の外側方向及び内側方向の揺動を規制する」ものから主に構成されている。
【0009】
ここで、下腿部固定帯は、足首及び膝の間の下腿部に巻付けて固定可能に形成されているものであり、例えば、布製部材によって形成したものを例示することができる。さらに、係る下腿部固定帯は、下腿部に巻付けるために、下腿部の周方向よりも長く形成されており、その一端に固定用の面ファスナー或いはフック等の従来から周知の固定接着手段が設けられている。なお、当該下腿部固定帯は、後述する第一支持帯及び第二支持帯を足関節に取付け、支持するための基礎となる箇所である。なお、第一足関節支持部及び第二足関節支持部の第一支持帯及び第二支持帯を過剰に長くすることは、装着の際の安定性にかけたり、また使用時において第一支持帯が足裏からずれるなどの問題が発生する可能性が高いため、例えば、係る下腿部固定帯を足首(或いは踝等)の直上位置に巻付けるものが想定される。
【0010】
一方、第一足関節支持部及び第二足関節支持部の第一支持帯及び第二支持帯は、同様に布製部材によって形成することが可能であるが、係る布製部材は引っ張り応力によって伸張可能な伸縮性素材が利用されている。
【0011】
したがって、本発明の足関節強化訓練具によれば、伸縮性を有する第一支持帯及び第二支持帯によって足関節の外側方向及び内側方向の足関節側面がそれぞれ支持される。このとき、第一支持帯及び第二支持帯は、それぞれ足関節側面から足裏を通して架渡すようにして支持されている。そのため、足関節の側面方向への動きは規制されるものの、足関節の背屈及び底屈方向の動きを規制することがない。そのため、従来のように、足関節の動きを完全に固定することなく足関節を支持することが可能となる。特に、外側から内側、及び内側から外側の一対の第一支持帯及び第二支持帯によって支持されるため、重心が偏ることなく安定した支持が可能となる。そのため、通常の歩行動作の際に主として足関節が動く背屈方向及び底屈方向への規制がなく、側面方向への動きのぶれが少なくなる。その結果、歩行動作が安定し、さらに捻挫の治療及び予防にも好適となる。ここで、底屈方向への足関節の動きは、歩行時における足の“蹴り”の動作によって日常的に行われている。そのため、底屈方向に向けた力は十分に鍛えられていることが多い。しかしながら、日常生活において背屈方向への足関節の動きを鍛えるための器具や装置は、従来には全く存在していない。そこで、本願出願人が見出した足関節の背屈方向への力を強化することにより、捻挫等の足の故障の発生を抑制等を可能とする理論に基づいた足関節等の訓練器具は、従来には全く存在しないものであり、この背屈力を鍛えることができる機能は、本発明の足関節強化訓練具に特有の作用を奏するものである。
【0012】
したがって、本発明の足関節強化訓練具によれば、下腿部固定帯への第一接着手段当として、面ファスナーが利用される。これにより、第一足関節支持部及び第二足関節支持部の下腿部固定帯への着脱が容易となる。さらに、本発明の足関節強化訓練具を使用する使用者の足のサイズが異なる場合でも、係る面ファスナーと伸縮性の第一支持帯及び第二支持帯によって調整を図ることができるため、足サイズの大きい成人、或いは足サイズの小さい高齢者等の幅広い対象層に対して適用することが可能となる。
【0013】
さらに、本発明の足関節強化訓練具は、上記構成に加え、「前記第一足関節支持部の前記第一支持帯、及び、前記第二足関節支持部の前記第二支持帯の少なくともいずれか一方は、前記第一接着手段または前記第二接着手段の設けられた一端と相対する他端に、前記下腿部に巻付けて固定するための下腿部取付部をさらに具備することを特徴とする」ものであっても構わない。
【0014】
したがって、本発明の足関節強化訓練具によれば、第一支持帯及び第二支持帯を下腿部固定帯と独立して(別個)に下腿部(足関節を含む)に巻付けて固定するための下腿部取付部をさらに有している。そのため、下腿部固定帯に制限されることなく、第一支持帯の始点を決定することができる。その結果、使用者の下腿部及び足関節のサイズが大きな場合であっても、下腿部固定帯と独立して形成された第一足首関節部及び第二足首関節部を当該サイズに合わせて適宜位置を変更することが可能となる。そのため、一サイズの足関節強化訓練具であっても、幅広い足サイズの使用者に対して対応することが可能となる。
【0015】
さらに、本発明の足関節強化訓練具は、上記構成に加え、「前記第一足関節支持部の前記第一支持帯、及び、前記第二足関節支持部の前記第二支持帯の少なくともいずれか一方は、前記下腿部固定帯の巻付方向に略直交する方向に沿って前記下腿部固定帯に連結されている」ものであっても構わない。
【0016】
したがって、本発明の足関節強化訓練具によれば、第一支持帯及び第二支持帯が、それぞれ下腿部固定帯と直接連結されている。ここで、第一支持帯及び第二支持帯が下腿部固定帯に連結されていることで、下腿部固定帯を下腿部に巻付けて固定した後に、当該第一支持帯等によって足関節の足関節側面を支持する際の位置合わせが容易にある。その結果、本発明の足関節強化訓練具の装着が簡易となる。なお、下腿部固定帯の所定位置に取付けられる第一支持帯等は、下腿部に下腿部固定帯を巻付けて固定した際に、足関節の外側位置及び内側位置に相当する箇所に設定して取付けられている。そのため、足関節及び下腿部のサイズが標準的な使用者に対して使用する場合には、このように下腿部固定帯と第一支持帯等とを予め連結した構成を有するものが好適である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、足関節の側方向への動きのみを規制し、背屈方向及び底屈方向の動きを自由にすることで、側方向へのぶれがなく、背屈力及び底屈力を安定させることができる。これにより、背屈方向への力(背屈力)を鍛えることができ、本願出願人によって見い出された背屈力の強化によって、足関節に対する捻挫等の故障を予防し、さらに該故障に対する治療を行うことが可能となる。さらに、歩行の困難な高齢者であっても、係る背屈力等を安定させることで歩行動作を良好なものとすることができる。また、上述したように、本発明の足関節強化訓練具を用いた場合、足関節の背屈方向及び底屈方向への動きが規制されないため、装着した状態であっても正座をすることができる。そのため、高齢者であっても使用を躊躇することがない。
【0018】
すなわち、従来の捻挫に対する治療とは異なり、足関節の動きを完全に規制するものではなく、捻挫によって痛みの生じやすい方向(足関節側面方向)への動きのみを規制し、歩行動作において主として利用される背屈方向及び底屈方向の動きを規制することがない。その結果、捻挫前と同じように違和感を覚えることなく歩行動作を進めることができる。さらに、捻挫からの回復を良好なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態である足関節強化訓練具1(以下、単に「訓練具1」と称す)について、図1乃至図6に基づいて説明する。ここで、図1は本実施形態の訓練具1の概略構成を示す説明図であり、図2は訓練具1の右足RFへの装着の一例を示す説明図であり、図3は下腿部固定帯2の巻付け固定の一例を示す説明図であり、図4は第一足関節支持部3の取付例を示す説明図であり、図5は第二足関節支持部4の取付例を示す説明図であり、図6は訓練具1の左足LFへの装着の一例を示す説明図である。なお、本実施形態の訓練具1は、左右両方の足RF,LFにそれぞれ装着し、高齢者(使用者)の歩行動作の安定を主たる目的として用いる例について示すものとする。
【0020】
本実施形態の訓練具1は、図1乃至図6に示すように、使用者(図示しない)の右足RFの下腿部5に巻付けて固定される帯状の下腿部固定帯2と、使用者の足部6の足関節7に取付けられ、足関節側面8a,8b及び足裏9とそれぞれ当接し、足関節側面8a,8bを挟込むようにして支持するための第一支持帯10を有する第一足関節支持部3及び第二支持帯11を有する第二足関節支持部4とを主に具備して構成されている。
【0021】
さらに詳細に説明すると、下腿部固定帯2は、布製部材によって形成され、下腿部5の下腿部外周長さよりも長い帯長さを有し、広幅の帯状部材からなるものである。そのため、下腿部固定帯2を下腿部5に巻付けけることにより、少なくとも一周以上の巻付けが可能となる。また、下腿部固定帯2の一端には、固定用面ファスナー12が取付けられ、下腿部5に下腿部固定帯2を巻付けて固定した状態を保持することができる。
【0022】
一方、第一足関節支持部3は、伸縮性を有するゴム状繊維を含んで構成される第一支持帯10と、第一支持帯10の一端に設けられた第一面ファスナー13と、第一面ファスナー13の設けられた第一支持帯10の一端10aと相対する他端近傍から延設され、第一足関節支持部3を下腿部5に巻付けて固定するための紐状の第一下腿部取付部14とを具備して構成されている。ここで、第一面ファスナー13が本発明における第一接着手段に相当し、第一下腿部取付部14が本発明における下腿部取付部に相当する。なお、第一面ファスナー13は、前述した下腿部固定帯2の表面の一部に着脱自在に接着されるものである。
【0023】
同様に、第二足関節支持部4は、伸縮性を有するゴム状繊維を含んで構成される第二支持帯11と、第二支持帯11の一端に設けられた第二面ファスナー15と、第二面ファスナー15の設けられた第二支持帯11の一端11aと相対する他端近傍から延設され、第二足関節支持部4を下腿部5に巻付けて固定するための紐状の第二下腿部取付部16とを具備して構成されている。ここで、第二面ファスナー15が本発明における第二接着手段に相当し、第二下腿部取付部16が本発明における下腿部取付部に相当する。なお、第二面ファスナー15は、前述した下腿部固定帯2の表面の一部に着脱自在に接着されるものである。
【0024】
さらに、第一足関節支持部3及び第二足関節支持部4について詳述すると、第一足関節支持部3の紐状の第一下腿部取付部14は、予め下腿部5に巻付けられた下腿部固定帯2の下方の帯表面に被さるようにして取付けられるものである。ここで、第一支持帯10から延設された第一下腿部取付部14の延設箇所の表面にはメス面ファスナー17が設けられ、一方、紐状の第一下腿部取付部14の一端にはオス面ファスナー18が設けられている。そのため、第一下腿部取付部14を下腿部5に巻付け、メス面ファスナー17の上にオス面ファスナー18を重ねるようにすることで、係る面ファスナー17,18同士が接着され、下腿部5に第一足関節支持部3が取付けられることになる。なお、第二足関節支持部4にも同様に、第二下腿部取付部16にそれぞれメス面ファスナー17及びオス面ファスナー18が設けられている(詳細は省略する)。また、面ファスナー17,18のオス・メスの関係は相互に入れ替えたものであってももちろん構わない。
【0025】
次に、本実施形態の訓練具1の装着方法及びこれを利用した背屈力等の強化及び訓練について説明する。始めに、装着する対象となる足部(ここでは、右足RF)の下腿部5に下腿部固定帯2を巻付けて固定する。前述したように、下腿部固定帯2の一端には固定用面ファスナー12が取付けられているため、該固定用面ファスナー12の下腿部固定帯2の表面の一部の密着させることにより接着させることができる。なお、固定用面ファスナー12は、既に周知の固定接着手段であり、その詳細については省略する。これにより、下腿部5の略中央付近に下腿部固定帯2が巻付けられた状態が創成される(図3参照)。なお、下腿部固定帯2の装着位置は、下腿部5であれば特に構わないが、図2等に示すように、足首関節の直上、すなわち、踝のすぐ上付近に巻付けるようにするものが好適である。
【0026】
その後、第一足関節支持部3の第一下腿部取付部14を下腿部固定帯2の下方付近の帯表面に被せるようにして巻き付ける。このとき、第一支持帯10は、足部6の外側の足関節側面8aに位置するように調整し、前述したメス面ファスナー17及びオス面ファスナー18によって当該位置に保持されるように固定する(図4参照)。これにより、第一支持帯10が足関節の外側から下方に垂下した状態となる。そして、第一支持帯10の一端10aを曲折し(図4における矢印A:紙面手前方向から奥行き方向に向かって折り返す)、足裏9を経由して、反対側の足関節側面8b(図6参照)に沿うようにして架渡す。その後、第一支持帯10の一端10aに設けられた第一面ファスナー13を下腿部5に巻付けられた下腿部固定帯2の帯表面の一部と接着させる(図6参照)。このとき、第一支持帯10は伸縮性を有する素材で形成されているため、上記操作によって第一支持帯10は少し伸張して支持される。これにより、第一支持帯10で足関節側面8a,8b及び足裏9を被覆した状態となる。その結果、足関節7の側方向への動きが規制されるとともに、背屈方向及び底屈方向(図2における矢印B及び矢印C参照)の動きは規制されることがない。
【0027】
さらに、同様に、第二足関節支持部4を第一足関節支持部3の上から重ねるようにして取付ける。ここで、取付方法は、第一足関節支持部3と外側及び内側が変更となったため詳細な説明は省略する。すなわち、第二下腿部取付部16を下腿部固定帯2及び第一下腿部取付部14の上から被せるようにして巻付け、内側の足関節側面8b(図6参照)に位置するように調整し、面ファスナー17,18によって当該位置から第二支持帯11が垂下するように支持する(図5参照)。そして、第一支持短11の一端11aを曲折し(図4における矢印D:紙面奥行き方向から紙面手前方向に向かって折り返す)、足裏9を経由して足関節側面8aに沿うように架渡す。そして、第二面ファスナー15を下腿部5に巻付けられた下腿部固定帯2の帯表面の一部と接着させる(図2参照)。これにより、第二支持帯11で足関節側面8a,8b及び足裏9を被覆した状態となる。これにより、第一足関節支持部3とともに、第二足関節支持部4によって、足関節を両側方から支持帯10,11によって支持し、該方向に対する動きを規制することができる。これにより、背屈方向及び底屈方向への動きを規制することがない。ここで、図2及び図5等において、第一支持帯10及び第二支持帯11の足裏9との当接する位置を、踵の前部付近に設定したものを図示したがこれに限定するものではない。例えば、係る当接する位置を足裏9の土踏まず付近に設定するものであってもよい。ここで、土踏まず付近は、踵及びつま先よりも窪んだ形状を有するため、第一支持帯10及び第二支持帯11を架渡して支持する際に、係る支持がより安定することが期待される。
【0028】
そして、上述した右足RFに対する本実施形態の訓練具1の装着を、同様に左足LFに対しても実施する(図6参照)。これにより、両足に訓練具1が装着されたことになる。このとき、前述したように、各足部6(または足関節)について、側方向への動きが規制される。その結果、係る側方向への動き、すなわち、ぶれによって歩行動作が困難であった高齢者でも、該ぶれを第一支持帯及び第二支持帯によって双方から抑制することにより、足関節7の背屈方向及び底屈方向への動きを安定させることができる。そのため、本実施形態の訓練具1を装着する前に比べ、歩行動作を安定させることができる。そして、本実施形態の訓練具1を装着した状態で歩行動作を継続することにより、正しい足部6の動かし方を習得することができ、訓練具1を外した場合でも元の安定した歩行が可能となる。
【0029】
さらに、本実施形態の訓練具1は、上述した足関節の動きを規制し、背屈力を強化し、歩行動作を安定させる機能を有するとともに、通常の捻挫等に対する予防及び治療にも利用することが可能である。
【0030】
すなわち、足関節の側方向への動きを規制することができるため、捻挫をした場合の当該方向への無理な力が足関節にかかるのを防ぐことができる。さらに、足関節に無理な力が掛かった場合でも、訓練具1によって足関節が保護されているため、捻挫を起こす可能性を低くすることができる。
【0031】
また、本実施形態の訓練具1は、帯状の下腿部固定帯2と、第一足関節支持部3及び第二足関節支持部4がそれぞれ独立して分離可能に形成されている。そのため、下腿部5のサイズ或いは足部6または足関節が極端に大きかったり、或いは逆に極端に小さかったりする使用者であっても、面ファスナー等によって固定する位置を適宜変更することにより、一のサイズの訓練具1であっても幅広い対象に採用することが可能である。
【0032】
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
【0033】
すなわち、本実施形態の訓練具1において、下腿部固定帯2及び第一足関節支持部3等を独立して形成するものを示したがこれに限定されるものではなく、第一足関節支持部3の第一支持帯10及び第二足関節支持部4の第二支持帯11をそれぞれ、下腿部固定帯2に直接連結して構成するものであっても構わない。この場合、上記に説明した第一下腿部取付部14及び第二下腿部取付部16の構成を省略することができ、さらに、第一支持帯10等の位置合わせの手間を省略することができる。
【0034】
さらに、本実施形態の訓練具1において、下腿部固定帯2及び第一支持帯10等の間の接着を従来から周知の固定接着手段である面ファスナー13等をそれぞれ用いるものを示したが、係る固定接着手段は面ファスナー13等に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施形態の足関節強化訓練具の構成を示す説明図である。
【図2】足関節強化訓練具の右足への装着の一例を示す説明図である。
【図3】下腿部に下腿部固定帯を巻付けて固定した状態の一例を示す説明図である。
【図4】下腿部固定帯に第一足関節支持部を取付けた状態の一例を示す説明図である。
【図5】下腿部固定帯に第二足関節支持部を取付けた状態の一例を示す説明図である。
【図6】足関節強化訓練具の左足への装着の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 訓練具(足関節強化訓練具)
2 下腿部固定帯
3 第一足関節支持部
4 第二足関節支持部
5 下腿部
6 足部
7 足関節
8a,8b 足関節側面
9 足裏
10 第一支持帯
11 第二支持帯
13 第一面ファスナー(第一接着手段)
14 第一下腿部取付部(下腿部取付部)
15 第二面ファスナー(第二接着手段)
16 第二下腿部取付部(下腿部取付部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下腿部に巻付けて固定される帯状の下腿部固定帯と、
前記下腿部の外側から足部の足裏を経由し、前記下腿部固定帯の前記下腿部の内側位置に至るまで、前記足部の足関節側面及び前記足裏と当接し、前記足関節を外側方向及び内側方向から支持する伸縮性素材によって形成される帯状の第一支持帯、及び前記第一支持帯の一端に設けられ、前記下腿部固定帯の前記下腿部の内側位置と前記第一支持帯を着脱自在に接着する第一接着手段を有する第一足関節支持部と、
前記下腿部の内側から前記足部の前記足裏を経由し、前記下腿部固定帯の前記下腿部の外側位置に至るまで、前記足部の前記足関節側面及び前記足裏と当接し、前記足関節を外側方向及び内側方向から支持する伸縮性素材によって形成される帯状の第二支持帯、及び前記第二支持帯の一端に設けられ、前記下腿部固定帯の前記下腿部の外側位置と前記第二支持帯を着脱自在に接着する第二接着手段を有する第二足関節支持部と
を具備し、
前記足関節の足関節側面とそれぞれ当接して支持する前記第一支持帯及び前記第二支持帯によって前記足関節の外側方向及び内側方向の揺動を規制することを特徴とする足関節強化訓練具。
【請求項2】
前記第一足関節支持部の前記第一接着手段、及び、前記第二足関節支持部の前記第二接着手段は、
面ファスナーが利用されることを特徴とする請求項1に記載の足関節強化訓練具。
【請求項3】
前記第一足関節支持部の前記第一支持帯、及び、前記第二足関節支持部の前記第二支持帯の少なくともいずれか一方は、
前記第一接着手段または前記第二接着手段の設けられた一端と相対する他端に、前記下腿部に巻付けて固定するための下腿部取付部をさらに具備することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の足関節強化訓練具。
【請求項4】
前記第一足関節支持部の前記第一支持帯、及び、前記第二足関節支持部の前記第二支持帯の少なくともいずれか一方は、
前記下腿部固定帯の巻付方向に略直交する方向に沿って前記下腿部固定帯に連結されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の足関節強化訓練具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−264151(P2008−264151A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−110200(P2007−110200)
【出願日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(394003519)
【Fターム(参考)】