跨座型モノレール軌道の分岐器
【課題】従来のモノレール軌道の分岐器の構成に比較して、減速機と減速機に接続する連結棒およびネジ棒の数を削減できる簡易な転換機能を備えるモノレール軌道の分岐器を提供すること。
【解決手段】直列に配設された複数の分岐桁と、前記分岐桁と前記分岐桁の連節部に備えられるとともに、前記連節部を移動可能に支持する支持台車と、前記支持台車が転動するレールと、前記レールの端部に備えられるとともに、前記支持台車が当接する緩衝装置とを備え、前記分岐桁を転換する駆動装置と、前記連節部に備えられるとともに、前記支持台車が前記緩衝装置に当接するまでの間、該支持台車に支持される該連節部の角折れを抑制するバネユニットを備えたことを特徴とする跨座型モノレール軌道の分岐器によって解決できる。
【解決手段】直列に配設された複数の分岐桁と、前記分岐桁と前記分岐桁の連節部に備えられるとともに、前記連節部を移動可能に支持する支持台車と、前記支持台車が転動するレールと、前記レールの端部に備えられるとともに、前記支持台車が当接する緩衝装置とを備え、前記分岐桁を転換する駆動装置と、前記連節部に備えられるとともに、前記支持台車が前記緩衝装置に当接するまでの間、該支持台車に支持される該連節部の角折れを抑制するバネユニットを備えたことを特徴とする跨座型モノレール軌道の分岐器によって解決できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、跨座型モノレールが走行する軌道に関するものであって、一方のモノレール軌道から他方のモノレール軌道に走行路を切り替える跨座型モノレール軌道の分岐器に関する。
【背景技術】
【０００２】
跨座型モノレール軌道の分岐器は、地上に固定された軌道桁に連続する態様で、直列に連節された複数の分岐桁と、分岐桁と分岐桁の連節部の下面を分岐桁を移動可能に支持する台車と、から構成されている。各台車は、台車の移動方向に沿って敷設されたレールと、レール長手方向の端部に備えられるストッパと、台車の移動速度および距離を決める減速機と、を備えられる基礎上に配置されている。
【０００３】
各台車が配置される基礎の上には、入力軸と出力軸とを備える減速機が配設されており、各減速機の入力軸は分岐桁の長手方向に沿う態様で配設されるとともに、隣接する減速機の入力軸同士が連結棒によって接続されている。各減速機の出力軸には、各台車に備えられるネジ部に螺合するとともに連結棒と交差する方向に配設されたネジ棒が、接続されている。
【０００４】
各分岐桁（各支持台車）の移動距離に応じた減速比が各減速機に与えられており、各減速機の入力軸に同一回転数が入力された場合に、減速比に応じた回転数のみ出力軸が回転し、出力軸に接続されるネジ棒の送り作用によって、各支持台車が分岐器の転換に要する移動量だけ移動して、一連の分岐桁からなる分岐器の転換が完了する。
【０００５】
各減速機に所定の減速比が与えられることによって、分岐桁の連節部において、同期ずれに起因する隣接する分岐桁同士の衝突、及び、角折れが抑制されるとともに、隣接する分岐桁に対して順次、分岐桁が転換方向に移動し、跨座型モノレール軌道の進路が切り替えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開２０１０−３１４８０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
従来のモノレール軌道の分岐器は、複数の直列に連節された分岐桁を連動駆動させるため、複数の減速機と、これら減速機の入力軸同士を接続する連結棒と、減速機の出力軸に接続されるネジ棒と、を必要としていた。このため、従来のモノレール軌道の分岐器において、減速機，連結棒、及びネジ棒に係る製造コスト、並びに、施工コストが大きくなる懸念があった。このため、跨座型モノレール軌道の分岐器において、分岐器を構成する分岐桁を支持する各支持台車に備えられる減速機，連結棒、及びネジ部に係る製造コスト、および、施工コストを小さくする点に関して課題があった。
【０００８】
本発明が開発しようとする課題は、従来のモノレール軌道の分岐器の構成に比較して、減速機と連結棒およびネジ棒の数を削減できる簡易な転換機能を備えるモノレール軌道の分岐器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記課題は、跨座型モノレール軌道をなす固定端側隣接桁と、第１可動端側隣接桁または第２可動端側隣接桁との間に備えられるとともに、直列に連節された複数の分岐桁と、前記分岐桁と前記分岐桁とが連節される連節部に備えられるとともに、前記連節部を移動可能に支持する支持台車と、前記支持台車が転動するレールと、前記レールの端部に備えられるとともに前記支持台車が当接する緩衝装置と、を備える跨座型モノレール軌道の分岐器において、前記第１可動端側隣接桁または前記第２可動端側隣接桁に接続する前記分岐桁を、前記第１可動端側隣接桁から前記第２可動端側隣接桁まで移動させる駆動装置と、複数の前記分岐桁からなる前記分岐器の転換動作中であって、前記支持台車が前記緩衝装置に当接するまでの間、該支持台車に支持されるとともに、該連節部における該分岐桁の角折れを抑制するバネユニットを、備えたことを特徴とする跨座型モノレール軌道の分岐器によって解決できる。
【発明の効果】
【００１０】
本発明によれば、従来のモノレール軌道の分岐器の構成に比較して、減速機と回転軸の個数を削減できる簡易な転換機能を備えるモノレール軌道の分岐器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】モノレール軌道の分岐器が直線軌道を構成した時の平面図である。
【図２】モノレール軌道の分岐器が曲線軌道を構成した時の平面図である。
【図３】モノレール軌道の分岐器の側面図である。
【図４】モノレール軌道の分岐器が直線軌道を構成した時のバネユニットの状態を示す平面図である。
【図５】モノレール軌道の分岐器が曲線軌道を構成した時のバネユニットの状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、本発明に関わる跨座型モノレール軌道の分岐器の実施形態を図面に従って説明する。図１は、跨座型モノレール軌道の分岐器が直線軌道を構成した時の平面図であり、図２は、跨座型モノレール軌道の分岐器が曲線軌道を構成した時の平面図である。図３は、図１に示した跨座型モノレール軌道の分岐器の側面図である。
【００１３】
本発明による跨座型モノレール軌道の分岐器は、固定端側隣接桁１と、第１可動端側隣接桁２ａまたは第２可動端側隣接桁２ｂとの間に配設される第１分岐桁３ａから第４分岐桁３ｄに至る計４基の分岐桁から構成されている。隣接する各分岐桁の長手方向の両端部には重なり部が設けてあり、この重なり部（連節部）において、各分岐桁同士が水平面内において回動可能に連節支持されている。
【００１４】
モノレール軌道の分岐器は、第１分岐桁３ａから第４分岐桁３ｄと、固定端側隣接桁１に接続する第１分岐桁３ａの長手方向の端部（直列に配置された複数の分岐桁全体の回転中心部）を支持する支持台車４と、隣接する各分岐桁同士の連節部および第１可動端側隣接桁２ａ（第２可動端側隣接桁２ｂ）に接続する分岐桁の長手方向の端部を支持する第１支持台車５ａから第４支持台車５ｄと、第１可動端側隣接桁２ａまたは第２可動端側隣接桁２ｂに隣接する第４分岐桁３ｄを水平面内で転換させる駆動装置６と、分岐器の転換時に第１支持台車５ａから第４支持台車５ｄの各停止位置を決める第１緩衝装置８ａから第４緩衝装置８ｄと、転換後に第１支持台車５ａから第４支持台車５ｄを固定する第１ロック装置７ａから第４ロック装置７ｄと、から構成される。
【００１５】
固定端側隣接桁１に隣接する第１分岐桁３ａの端部を支持する支持台車４は移動することはなく、第１分岐桁３ａの端部を水平面内に回動可能に支持している。これに対して、第１支持台車５ａから第４支持台車５ｄは、各支持台車の移動方向（分岐桁に交差する方向）に沿って敷設されたレールの上面を転動可能に載置されており、分岐器が直線状態から曲線状態に移行する時に各レールの終端部に備えられる第１緩衝装置８ａから第４緩衝装置８ｄに当接するまでの範囲を移動する。
【００１６】
駆動装置６は、第１可動端側隣接桁２ａまたは第２可動端側隣接桁２ｂに連続して敷設される第４分岐桁３ｄの近傍に備えられており、駆動装置６は、鉛直に配設された駆動軸と、この駆動軸に回動可能に一方の端部が接続されたアームとを備えている。アームの他方の端部は、第４分岐桁３ｄの下面に回動可能に接続されている。第４分岐桁３ｄとが接続されるとともに、駆動装置６のアームが水平面内で回転することによって第４分岐桁３ｄを第１可動端側隣接桁２ａに接続する状態から、第２可動端側隣接桁２ｂへ接続する状態へ移動させる。
【００１７】
第４分岐桁３ｄの移動に伴い、第４分岐桁３ｄに接続する第３分岐桁３ｃと、第３分岐桁３ｃに接続する第２分岐桁３ｂと、第２分岐桁３ｂに接続する第１分岐桁３ａが順次所定の位置（第１緩衝装置８ａから第３緩衝装置８ｃ）まで所定の距離を移動することによって、一連の分岐桁からなる分岐器全体の転換が完了する。
【００１８】
従来、各分岐桁の長手方向両端部の連節部を支持する台車が配設される基礎上には、減速機と、減速機の入力軸に接続する連結棒と、減速機の出力軸に接続されるネジ棒と、が設置されていた。これら装置は、製造および施工コストが大きくなる要因でもあったため、本発明による跨座型モノレール軌道の分岐器では、これら装置の機能を代替することができるとともに、簡易に構成できるバネユニット９（図４と図５参照）が備えられている。
【００１９】
図４は跨座型モノレール軌道の分岐器が直線軌道を構成した時のバネユニットの状態を示す平面図であり、図５は跨座型モノレール軌道の分岐器が曲線軌道を構成した時のバネユニットの状態を示す平面図である。バネユニット９ａ，９ｂ，９ｃは、第１分岐桁３ａと第２分岐桁３ｂとの連節部と、第２分岐桁３ｂと第３分岐桁３ｃとの連節部と、第３分岐桁３ｃと第４分岐桁３ｄとの連節部のそれぞれに備えられている。なお、各バネユニット９ａ，９ｂ，９ｃは同様の構成である。
【００２０】
バネユニット９ａは、第１支持台車５ａの一方の側面に備えられるバネ受１２と、バネ受１２に与圧された状態で内蔵されるコイルバネ１３と、コイルバネ１３の反発力を受けるバネ受軸１４と、バネ受軸１４に水平面内での回動を許容されたリンク継手を介して接続される受板１１と、受板１１に当接するとともに第１支持台車５ａの一方の側面に備えられる直線用ストッパー１０と、から構成される。なお、コイルバネ１３およびバネ軸受１４の軸方向は、第１支持台車５ａの長手方向に沿う方向（第２分岐桁３ｂの長手方向に直交する方向）に備えられている。
【００２１】
直線用ストッパー１０は、第１支持台車５ａの長手方向に交差する方向に延びる延伸部位１０ａを備えており、長方形の受板１１はその長辺を第１分岐桁３ａの長手方向に沿う形態で、第１分岐桁３ａの下面に備えられている。第１分岐桁３ａと第２分岐桁３ｂとが直線状に配置される時、受板１１はバネ受軸１４とバネ受１２との間に与圧された状態で備えられるコイルバネ１３の反発力によって、直線用ストッパー１０の延伸部位１０ａは、その全長に渡って受板１１の長辺に押し付けられている。
【００２２】
第１分岐桁３ａと第２分岐桁３ｂとが直線の態様から屈曲した態様に移行するとき、バネユニット９ａをなすバネ受軸１４と受板１１との間にコイルバネ１３の与圧力に見合う反発力を上回る圧縮力がコイルバネ１３に付加され、コイルバネ１３が圧縮するように設計されている。
【００２３】
次に、分岐器をなす第４分岐桁３ｄが第１可動端側隣接桁２ａに接続する直線の態様から、第４分岐桁３ｄが第２可動端側隣接桁２ｂに接続する曲線の態様へ転換される時の分岐器を構成する各部の動作を説明する。分岐器全体の一連の転換は、駆動装置６を動作させて、第４分岐桁３ｄを支持する第４支持台車５ｄを、その長手方向（移動方向）の端部が第４緩衝装置８ｄに当接するまで移動させることによって開始する。
【００２４】
第４分岐桁３ｄが移動を始めた直後は、第４分岐桁３ｄから第１分岐桁３ａに至る分岐器全体は、各分岐桁同士の連節部に備えられるバネユニット９ｃから９ａの作用によって、ほぼ直線の状態が維持されており、第１分岐桁３ａの一方の端部を水平面内で回動可能に支持する支持台車４を回転中心として転換される。
【００２５】
駆動装置６の転換動作がさらに進むと、まず、分岐桁全体の回転半径の小さく移動距離も小さい第１支持台車５ａがレールの終端部に備えられる第１緩衝装置８ａに当接し、第１分岐桁３ａの転換動作が完了する。駆動装置６は第４分岐桁３ｄの転換動作を継続しているため、第１分岐桁３ａと第２分岐桁３ｂとの連節部に備えられたバネユニット９ａに与圧をされて内蔵されたコイルバネ１３の反発力を超過した圧縮力がバネ受軸１４に作用し、コイルバネ１３が圧縮され始めるとほぼ同時に、第１分岐桁３ａと第２分岐桁３ｂとは直線状態を維持できず、その連節部を支点に角折れが生じる。この時、第２分岐桁３ｂから第４分岐桁４ｄに至る部位は直線状態を維持した状態で、転換動作を継続している。
【００２６】
転換動作が進むに従い、第２分岐桁３ｂと第３分岐桁３ｃとの連節部を支持する第２支持台車５ｂが第２緩衝装置８ｂに当接するとともに、その連節部を支点に角折れが生じて、第２分岐桁３ｂの転換が完了する。以上の一連の緩衝装置への台車端部の当接と、連節部の角折れ動作とが各連節部において順番に生じることによって、第４支持台車５ｄが緩衝装置８ｄに当接するとともにロック装置７ｄによって固定された時点で分岐器全体の分岐動作が完了する。
【００２７】
上述した分岐器全体が直線の状態から曲線の状態に移行する転換動作と反対の転換動作も同様に、駆動装置６によって第４分岐桁３ｄを支持する第４支持台車５ｄを初期の位置（直線の状態）まで移動させることによって開始される。
【００２８】
第４支持台車５ｄの移動が開始された直後は、第１分岐桁３ａを支持する第１支持台車５ａから第３分岐桁３ｃを支持する第３支持台車５ｃまでは、第１緩衝装置８ａから第３緩衝装置８ｃに当接された状態を継続している。第４分岐桁３ｄと第３分岐桁３ｃとの連節部の角折れが解消され、これら第４分岐桁３ｄと第３分岐桁３ｃと連節部に備えられるバネユニット９ｃの作用によって、これら第４分岐桁３ｄと第３分岐桁３ｃとが直線状態となる。ほぼ同時に、これら第４分岐桁３ｄと第３分岐桁３ｃとの連節部を支持する第３支持台車５ｃが緩衝装置８ｃから離れ、第４分岐桁３ｄと第３分岐桁３ｃとが直線状態を維持したまま、転換動作を継続する。以下、第２分岐桁３ｂを支持する第２支持台車５ｂ、第１分岐桁３ａを支持する第１支持台車５ａの順番に、転換動作が継続され、各支持台車５ａから５ｄが初期の位置まで戻ると、分岐器全体の転換動作が完了する。
【００２９】
上記の如く、分岐桁と分岐桁との連節部に備えられる減速機と、この減速機の入力軸に駆動装置の回転力を伝達する連結棒と、減速機の出力軸に接続されるネジ棒と、から構成される各連節部を支持する支持台車を移動させる機能の一部を、分岐桁の連節部に備えられるバネユニットによって代替することにより、減速機と、減速機に接続される連結棒およびネジ棒とを省略することができるので、これら部品に係る製造コストおよび施工コストを低減できる。
【符号の説明】
【００３０】
１ 固定端側隣接桁
２ａ 第１可動端側隣接桁
２ｂ 第２可動端側隣接桁
３ａ〜３ｄ 第１分岐桁〜第４分岐桁
４ 第１分岐桁３ａの固定端側隣接桁の側を支持する支持台車
５ａ〜５ｄ 第１支持台車〜第４支持台車
６ 駆動装置
７ａ〜７ｄ ロック装置
８ａ〜８ｄ 第１緩衝装置〜第４緩衝装置
９ａ〜９ｄ バネユニット
１０ 直線用ストッパー
１１ 受板
１２ バネ受
１３ コイルバネ
１４ バネ受軸
【技術分野】
【０００１】
本発明は、跨座型モノレールが走行する軌道に関するものであって、一方のモノレール軌道から他方のモノレール軌道に走行路を切り替える跨座型モノレール軌道の分岐器に関する。
【背景技術】
【０００２】
跨座型モノレール軌道の分岐器は、地上に固定された軌道桁に連続する態様で、直列に連節された複数の分岐桁と、分岐桁と分岐桁の連節部の下面を分岐桁を移動可能に支持する台車と、から構成されている。各台車は、台車の移動方向に沿って敷設されたレールと、レール長手方向の端部に備えられるストッパと、台車の移動速度および距離を決める減速機と、を備えられる基礎上に配置されている。
【０００３】
各台車が配置される基礎の上には、入力軸と出力軸とを備える減速機が配設されており、各減速機の入力軸は分岐桁の長手方向に沿う態様で配設されるとともに、隣接する減速機の入力軸同士が連結棒によって接続されている。各減速機の出力軸には、各台車に備えられるネジ部に螺合するとともに連結棒と交差する方向に配設されたネジ棒が、接続されている。
【０００４】
各分岐桁（各支持台車）の移動距離に応じた減速比が各減速機に与えられており、各減速機の入力軸に同一回転数が入力された場合に、減速比に応じた回転数のみ出力軸が回転し、出力軸に接続されるネジ棒の送り作用によって、各支持台車が分岐器の転換に要する移動量だけ移動して、一連の分岐桁からなる分岐器の転換が完了する。
【０００５】
各減速機に所定の減速比が与えられることによって、分岐桁の連節部において、同期ずれに起因する隣接する分岐桁同士の衝突、及び、角折れが抑制されるとともに、隣接する分岐桁に対して順次、分岐桁が転換方向に移動し、跨座型モノレール軌道の進路が切り替えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００６】
【特許文献１】特開２０１０−３１４８０号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００７】
従来のモノレール軌道の分岐器は、複数の直列に連節された分岐桁を連動駆動させるため、複数の減速機と、これら減速機の入力軸同士を接続する連結棒と、減速機の出力軸に接続されるネジ棒と、を必要としていた。このため、従来のモノレール軌道の分岐器において、減速機，連結棒、及びネジ棒に係る製造コスト、並びに、施工コストが大きくなる懸念があった。このため、跨座型モノレール軌道の分岐器において、分岐器を構成する分岐桁を支持する各支持台車に備えられる減速機，連結棒、及びネジ部に係る製造コスト、および、施工コストを小さくする点に関して課題があった。
【０００８】
本発明が開発しようとする課題は、従来のモノレール軌道の分岐器の構成に比較して、減速機と連結棒およびネジ棒の数を削減できる簡易な転換機能を備えるモノレール軌道の分岐器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
上記課題は、跨座型モノレール軌道をなす固定端側隣接桁と、第１可動端側隣接桁または第２可動端側隣接桁との間に備えられるとともに、直列に連節された複数の分岐桁と、前記分岐桁と前記分岐桁とが連節される連節部に備えられるとともに、前記連節部を移動可能に支持する支持台車と、前記支持台車が転動するレールと、前記レールの端部に備えられるとともに前記支持台車が当接する緩衝装置と、を備える跨座型モノレール軌道の分岐器において、前記第１可動端側隣接桁または前記第２可動端側隣接桁に接続する前記分岐桁を、前記第１可動端側隣接桁から前記第２可動端側隣接桁まで移動させる駆動装置と、複数の前記分岐桁からなる前記分岐器の転換動作中であって、前記支持台車が前記緩衝装置に当接するまでの間、該支持台車に支持されるとともに、該連節部における該分岐桁の角折れを抑制するバネユニットを、備えたことを特徴とする跨座型モノレール軌道の分岐器によって解決できる。
【発明の効果】
【００１０】
本発明によれば、従来のモノレール軌道の分岐器の構成に比較して、減速機と回転軸の個数を削減できる簡易な転換機能を備えるモノレール軌道の分岐器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】モノレール軌道の分岐器が直線軌道を構成した時の平面図である。
【図２】モノレール軌道の分岐器が曲線軌道を構成した時の平面図である。
【図３】モノレール軌道の分岐器の側面図である。
【図４】モノレール軌道の分岐器が直線軌道を構成した時のバネユニットの状態を示す平面図である。
【図５】モノレール軌道の分岐器が曲線軌道を構成した時のバネユニットの状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、本発明に関わる跨座型モノレール軌道の分岐器の実施形態を図面に従って説明する。図１は、跨座型モノレール軌道の分岐器が直線軌道を構成した時の平面図であり、図２は、跨座型モノレール軌道の分岐器が曲線軌道を構成した時の平面図である。図３は、図１に示した跨座型モノレール軌道の分岐器の側面図である。
【００１３】
本発明による跨座型モノレール軌道の分岐器は、固定端側隣接桁１と、第１可動端側隣接桁２ａまたは第２可動端側隣接桁２ｂとの間に配設される第１分岐桁３ａから第４分岐桁３ｄに至る計４基の分岐桁から構成されている。隣接する各分岐桁の長手方向の両端部には重なり部が設けてあり、この重なり部（連節部）において、各分岐桁同士が水平面内において回動可能に連節支持されている。
【００１４】
モノレール軌道の分岐器は、第１分岐桁３ａから第４分岐桁３ｄと、固定端側隣接桁１に接続する第１分岐桁３ａの長手方向の端部（直列に配置された複数の分岐桁全体の回転中心部）を支持する支持台車４と、隣接する各分岐桁同士の連節部および第１可動端側隣接桁２ａ（第２可動端側隣接桁２ｂ）に接続する分岐桁の長手方向の端部を支持する第１支持台車５ａから第４支持台車５ｄと、第１可動端側隣接桁２ａまたは第２可動端側隣接桁２ｂに隣接する第４分岐桁３ｄを水平面内で転換させる駆動装置６と、分岐器の転換時に第１支持台車５ａから第４支持台車５ｄの各停止位置を決める第１緩衝装置８ａから第４緩衝装置８ｄと、転換後に第１支持台車５ａから第４支持台車５ｄを固定する第１ロック装置７ａから第４ロック装置７ｄと、から構成される。
【００１５】
固定端側隣接桁１に隣接する第１分岐桁３ａの端部を支持する支持台車４は移動することはなく、第１分岐桁３ａの端部を水平面内に回動可能に支持している。これに対して、第１支持台車５ａから第４支持台車５ｄは、各支持台車の移動方向（分岐桁に交差する方向）に沿って敷設されたレールの上面を転動可能に載置されており、分岐器が直線状態から曲線状態に移行する時に各レールの終端部に備えられる第１緩衝装置８ａから第４緩衝装置８ｄに当接するまでの範囲を移動する。
【００１６】
駆動装置６は、第１可動端側隣接桁２ａまたは第２可動端側隣接桁２ｂに連続して敷設される第４分岐桁３ｄの近傍に備えられており、駆動装置６は、鉛直に配設された駆動軸と、この駆動軸に回動可能に一方の端部が接続されたアームとを備えている。アームの他方の端部は、第４分岐桁３ｄの下面に回動可能に接続されている。第４分岐桁３ｄとが接続されるとともに、駆動装置６のアームが水平面内で回転することによって第４分岐桁３ｄを第１可動端側隣接桁２ａに接続する状態から、第２可動端側隣接桁２ｂへ接続する状態へ移動させる。
【００１７】
第４分岐桁３ｄの移動に伴い、第４分岐桁３ｄに接続する第３分岐桁３ｃと、第３分岐桁３ｃに接続する第２分岐桁３ｂと、第２分岐桁３ｂに接続する第１分岐桁３ａが順次所定の位置（第１緩衝装置８ａから第３緩衝装置８ｃ）まで所定の距離を移動することによって、一連の分岐桁からなる分岐器全体の転換が完了する。
【００１８】
従来、各分岐桁の長手方向両端部の連節部を支持する台車が配設される基礎上には、減速機と、減速機の入力軸に接続する連結棒と、減速機の出力軸に接続されるネジ棒と、が設置されていた。これら装置は、製造および施工コストが大きくなる要因でもあったため、本発明による跨座型モノレール軌道の分岐器では、これら装置の機能を代替することができるとともに、簡易に構成できるバネユニット９（図４と図５参照）が備えられている。
【００１９】
図４は跨座型モノレール軌道の分岐器が直線軌道を構成した時のバネユニットの状態を示す平面図であり、図５は跨座型モノレール軌道の分岐器が曲線軌道を構成した時のバネユニットの状態を示す平面図である。バネユニット９ａ，９ｂ，９ｃは、第１分岐桁３ａと第２分岐桁３ｂとの連節部と、第２分岐桁３ｂと第３分岐桁３ｃとの連節部と、第３分岐桁３ｃと第４分岐桁３ｄとの連節部のそれぞれに備えられている。なお、各バネユニット９ａ，９ｂ，９ｃは同様の構成である。
【００２０】
バネユニット９ａは、第１支持台車５ａの一方の側面に備えられるバネ受１２と、バネ受１２に与圧された状態で内蔵されるコイルバネ１３と、コイルバネ１３の反発力を受けるバネ受軸１４と、バネ受軸１４に水平面内での回動を許容されたリンク継手を介して接続される受板１１と、受板１１に当接するとともに第１支持台車５ａの一方の側面に備えられる直線用ストッパー１０と、から構成される。なお、コイルバネ１３およびバネ軸受１４の軸方向は、第１支持台車５ａの長手方向に沿う方向（第２分岐桁３ｂの長手方向に直交する方向）に備えられている。
【００２１】
直線用ストッパー１０は、第１支持台車５ａの長手方向に交差する方向に延びる延伸部位１０ａを備えており、長方形の受板１１はその長辺を第１分岐桁３ａの長手方向に沿う形態で、第１分岐桁３ａの下面に備えられている。第１分岐桁３ａと第２分岐桁３ｂとが直線状に配置される時、受板１１はバネ受軸１４とバネ受１２との間に与圧された状態で備えられるコイルバネ１３の反発力によって、直線用ストッパー１０の延伸部位１０ａは、その全長に渡って受板１１の長辺に押し付けられている。
【００２２】
第１分岐桁３ａと第２分岐桁３ｂとが直線の態様から屈曲した態様に移行するとき、バネユニット９ａをなすバネ受軸１４と受板１１との間にコイルバネ１３の与圧力に見合う反発力を上回る圧縮力がコイルバネ１３に付加され、コイルバネ１３が圧縮するように設計されている。
【００２３】
次に、分岐器をなす第４分岐桁３ｄが第１可動端側隣接桁２ａに接続する直線の態様から、第４分岐桁３ｄが第２可動端側隣接桁２ｂに接続する曲線の態様へ転換される時の分岐器を構成する各部の動作を説明する。分岐器全体の一連の転換は、駆動装置６を動作させて、第４分岐桁３ｄを支持する第４支持台車５ｄを、その長手方向（移動方向）の端部が第４緩衝装置８ｄに当接するまで移動させることによって開始する。
【００２４】
第４分岐桁３ｄが移動を始めた直後は、第４分岐桁３ｄから第１分岐桁３ａに至る分岐器全体は、各分岐桁同士の連節部に備えられるバネユニット９ｃから９ａの作用によって、ほぼ直線の状態が維持されており、第１分岐桁３ａの一方の端部を水平面内で回動可能に支持する支持台車４を回転中心として転換される。
【００２５】
駆動装置６の転換動作がさらに進むと、まず、分岐桁全体の回転半径の小さく移動距離も小さい第１支持台車５ａがレールの終端部に備えられる第１緩衝装置８ａに当接し、第１分岐桁３ａの転換動作が完了する。駆動装置６は第４分岐桁３ｄの転換動作を継続しているため、第１分岐桁３ａと第２分岐桁３ｂとの連節部に備えられたバネユニット９ａに与圧をされて内蔵されたコイルバネ１３の反発力を超過した圧縮力がバネ受軸１４に作用し、コイルバネ１３が圧縮され始めるとほぼ同時に、第１分岐桁３ａと第２分岐桁３ｂとは直線状態を維持できず、その連節部を支点に角折れが生じる。この時、第２分岐桁３ｂから第４分岐桁４ｄに至る部位は直線状態を維持した状態で、転換動作を継続している。
【００２６】
転換動作が進むに従い、第２分岐桁３ｂと第３分岐桁３ｃとの連節部を支持する第２支持台車５ｂが第２緩衝装置８ｂに当接するとともに、その連節部を支点に角折れが生じて、第２分岐桁３ｂの転換が完了する。以上の一連の緩衝装置への台車端部の当接と、連節部の角折れ動作とが各連節部において順番に生じることによって、第４支持台車５ｄが緩衝装置８ｄに当接するとともにロック装置７ｄによって固定された時点で分岐器全体の分岐動作が完了する。
【００２７】
上述した分岐器全体が直線の状態から曲線の状態に移行する転換動作と反対の転換動作も同様に、駆動装置６によって第４分岐桁３ｄを支持する第４支持台車５ｄを初期の位置（直線の状態）まで移動させることによって開始される。
【００２８】
第４支持台車５ｄの移動が開始された直後は、第１分岐桁３ａを支持する第１支持台車５ａから第３分岐桁３ｃを支持する第３支持台車５ｃまでは、第１緩衝装置８ａから第３緩衝装置８ｃに当接された状態を継続している。第４分岐桁３ｄと第３分岐桁３ｃとの連節部の角折れが解消され、これら第４分岐桁３ｄと第３分岐桁３ｃと連節部に備えられるバネユニット９ｃの作用によって、これら第４分岐桁３ｄと第３分岐桁３ｃとが直線状態となる。ほぼ同時に、これら第４分岐桁３ｄと第３分岐桁３ｃとの連節部を支持する第３支持台車５ｃが緩衝装置８ｃから離れ、第４分岐桁３ｄと第３分岐桁３ｃとが直線状態を維持したまま、転換動作を継続する。以下、第２分岐桁３ｂを支持する第２支持台車５ｂ、第１分岐桁３ａを支持する第１支持台車５ａの順番に、転換動作が継続され、各支持台車５ａから５ｄが初期の位置まで戻ると、分岐器全体の転換動作が完了する。
【００２９】
上記の如く、分岐桁と分岐桁との連節部に備えられる減速機と、この減速機の入力軸に駆動装置の回転力を伝達する連結棒と、減速機の出力軸に接続されるネジ棒と、から構成される各連節部を支持する支持台車を移動させる機能の一部を、分岐桁の連節部に備えられるバネユニットによって代替することにより、減速機と、減速機に接続される連結棒およびネジ棒とを省略することができるので、これら部品に係る製造コストおよび施工コストを低減できる。
【符号の説明】
【００３０】
１ 固定端側隣接桁
２ａ 第１可動端側隣接桁
２ｂ 第２可動端側隣接桁
３ａ〜３ｄ 第１分岐桁〜第４分岐桁
４ 第１分岐桁３ａの固定端側隣接桁の側を支持する支持台車
５ａ〜５ｄ 第１支持台車〜第４支持台車
６ 駆動装置
７ａ〜７ｄ ロック装置
８ａ〜８ｄ 第１緩衝装置〜第４緩衝装置
９ａ〜９ｄ バネユニット
１０ 直線用ストッパー
１１ 受板
１２ バネ受
１３ コイルバネ
１４ バネ受軸
【特許請求の範囲】
【請求項１】
跨座型モノレール軌道をなす固定端側隣接桁と、第１可動端側隣接桁または第２可動端側隣接桁との間に備えられるとともに、直列に連節された複数の分岐桁と、
前記分岐桁と前記分岐桁とが連節される連節部に備えられるとともに、前記連節部を移動可能に支持する支持台車と、
前記支持台車が転動するレールと、
前記レールの端部に備えられるとともに前記支持台車が当接する緩衝装置と、
を備える跨座型モノレール軌道の分岐器において、
前記第１可動端側隣接桁または前記第２可動端側隣接桁に接続する前記分岐桁を、前記第１可動端側隣接桁から前記第２可動端側隣接桁まで移動させる駆動装置と、
複数の前記分岐桁からなる前記分岐器の転換動作中であって、前記支持台車が前記緩衝装置に当接するまでの間、該支持台車に支持されるとともに、該連節部における該分岐桁の角折れを抑制するバネユニットを、
備えたことを特徴とする跨座型モノレール軌道の分岐器。
【請求項２】
請求項１に記載された跨座型モノレール軌道の分岐器において、
前記バネユニットは、
前記支持台車の側面に備えられるバネ受と、
前記バネ受に与圧された状態で内蔵されるコイルバネと、
前記コイルバネの反発力を受けるバネ軸受と、
前記バネ軸受にリンク継手を介して接続される受板と、
前記受板に当接するとともに該支持台車の側面に備えられるストッパーと、
からなること、
を特徴とする跨座型モノレール軌道の分岐器。
【請求項３】
請求項１に記載された跨座型モノレール軌道の分岐器において、
前記駆動装置は、
鉛直に配設された駆動軸と、
前記駆動軸に一方の端部が固定されたアームと、
を備えており、
前記アームの他方の端部は、前記第１可動端側隣接桁または前記第２可動端側隣接桁に接続する前記分岐桁の下面に回動可能に接続されていること、
を特徴とする跨座型モノレール軌道の分岐器。
【請求項１】
跨座型モノレール軌道をなす固定端側隣接桁と、第１可動端側隣接桁または第２可動端側隣接桁との間に備えられるとともに、直列に連節された複数の分岐桁と、
前記分岐桁と前記分岐桁とが連節される連節部に備えられるとともに、前記連節部を移動可能に支持する支持台車と、
前記支持台車が転動するレールと、
前記レールの端部に備えられるとともに前記支持台車が当接する緩衝装置と、
を備える跨座型モノレール軌道の分岐器において、
前記第１可動端側隣接桁または前記第２可動端側隣接桁に接続する前記分岐桁を、前記第１可動端側隣接桁から前記第２可動端側隣接桁まで移動させる駆動装置と、
複数の前記分岐桁からなる前記分岐器の転換動作中であって、前記支持台車が前記緩衝装置に当接するまでの間、該支持台車に支持されるとともに、該連節部における該分岐桁の角折れを抑制するバネユニットを、
備えたことを特徴とする跨座型モノレール軌道の分岐器。
【請求項２】
請求項１に記載された跨座型モノレール軌道の分岐器において、
前記バネユニットは、
前記支持台車の側面に備えられるバネ受と、
前記バネ受に与圧された状態で内蔵されるコイルバネと、
前記コイルバネの反発力を受けるバネ軸受と、
前記バネ軸受にリンク継手を介して接続される受板と、
前記受板に当接するとともに該支持台車の側面に備えられるストッパーと、
からなること、
を特徴とする跨座型モノレール軌道の分岐器。
【請求項３】
請求項１に記載された跨座型モノレール軌道の分岐器において、
前記駆動装置は、
鉛直に配設された駆動軸と、
前記駆動軸に一方の端部が固定されたアームと、
を備えており、
前記アームの他方の端部は、前記第１可動端側隣接桁または前記第２可動端側隣接桁に接続する前記分岐桁の下面に回動可能に接続されていること、
を特徴とする跨座型モノレール軌道の分岐器。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１２−１７２３１８（Ｐ２０１２−１７２３１８Ａ）
【公開日】平成２４年９月１０日（２０１２．９．１０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２０１１−３２７２９（Ｐ２０１１−３２７２９）
【出願日】平成２３年２月１８日（２０１１．２．１８）
【出願人】（０００００５１０８）株式会社日立製作所 (27,607)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２４年９月１０日（２０１２．９．１０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２３年２月１８日（２０１１．２．１８）
【出願人】（０００００５１０８）株式会社日立製作所 (27,607)
【Ｆターム（参考）】
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