説明

路面表面の施工方法

【課題】道路初期開放時から骨材と路面との確実な接着力の強化を図る施工方法を提供する。
【解決手段】ストレートアスファルトに樹脂系の添加剤を加えた1次改質アスファルトにする工程と、1次改質アスファルトにオイル系添加剤を加えて2次改質アスファルトを作る工程と、所定温度まで加熱した前記2次改質アスファルトに水を加えて撹拌混合し発泡状態の2次改質アスファルト9を路面3に敷設する工程1と、発泡状態の2次改質アスファルト9の上から骨材17を散布する工程3と、骨材の散布完了後、転圧機19で平らに転圧する工程5とから成ることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォームド(泡)化したアスファルトで路面の表面を施工する施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、一般に行なわれているフォームドアスファルトによる路面表面の施工方法の概要は、ストレートアスファルトに水を加えて撹拌混合し、フォームド(泡)化したアスファルトを路面に敷設した後、そのフォームド化したアスファルトの上から骨材を散布し、骨材の散布完了後転圧機で平らに転圧する手段を採っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
フォームド化したアスファルトは、骨材を路面へ接着させるバインダとしての機能を有し、今まで使用されていたアスファルト乳剤に比べて発泡状態にある泡は早く消滅するため、接着力の発現までの時間が短くて済む利点を備える。
【0004】
この結果、路面開放までの時間を早くできるメリットにつながる反面、骨材を確実に接着させる接着力に難点があった。
【0005】
フォームドアスファルトは、接着力の点を除けば路面開放までの時間が早くできることから大変好ましい舗装材となる。
【0006】
一方、骨材は全周面にわたってバインダとなるアスファルトが確実に付着することで路面に対する確実な接着力が生まれる。
【0007】
接着力は、骨材の一部分にしか付着しない場合には接着力が弱くなり接着剥がれ(飛散量)が多くなる要因となる。
【0008】
骨材の一部分にしか付着しない要因としてはいくつかの条件があるが、その内でも粘度と発泡量があげられる。
【0009】
粘度は、粘性が大きいと散布した時に骨材の一部分にしか付着されず十分な接着面が得られにくい面がある。発泡量は小さいと散布時の骨材に対して十分に対応しきれず、一部分にしか付着されず十分な接着面が確保されないまま泡が消滅するためではないかと考えられる。
【0010】
このために、ストレートアスファルトに添加剤を加えて改良を加える等色々と試作してみるが図4、点線で示すように、道路の初期開放時の接着力がどうしても弱くなるため飛散率が大きくなり、早急な対応が求められていたものである。
【0011】
そこで、本発明にあっては道路の初期開放時から安定した骨材と路面との確実な接着力が得られるようにした路面表面の施工方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明にあっては、ストレートアスファルトに樹脂系の添加剤を加えた1次改質アスファルトにする工程と、1次改質アスファルトにオイル系添加剤を加えて2次改質アスファルトを作る工程と、所定温度まで加熱した前記2次改質アスファルトに水を加えて撹拌混合し発泡状態の2次改質アスファルトを路面に敷設する工程と、発泡状態の2次改質アスファルトの上から骨材を散布する工程と、骨材の散布完了後、転圧機で平らに転圧する工程とから成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ストレートアスファルトを1次改質,2次改質アスファルトにすることで、その2次改質アスファルトをフォームド化した時に、粘性の小さい、発泡量の大きい、しかも泡の消滅時間が長い状態にできるため、発泡状態にあるアスファルトに骨材を散布した時に、骨材の全周面にわたってバインダとなるアスファルトの確実な付着が確保されるようになり、道路の初期開放時から飛散の少ない安定した確実な骨材の接着力を得ることができる。
【0014】
この結果、路面の施工完了時から迅速に道路を開放することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明にあっては、オイル系添加剤を1次改質アスファルトに対して5%〜15%の添加割合とすることで、2次改質アスファルトを、フォームド化した時に、粘性の小さい、発泡量の大きい、泡の消滅時間が長い状態が得られるようにする。
【実施例】
【0016】
以下、図1乃至図4の図面を参照しながら本発明の実施形態について具体的に説明する。
【0017】
図1は本発明にかかる路面表面の施工方法の概要説明図を示している。路面表面の施工の方法は進行方向(矢印)に対してフォームドアスファルト敷設工程1,骨材散布工程3,転圧工程5の順に行なう。
【0018】
フォームドアスファルト敷設工程1は、撹拌装置7により所定の温度に加熱した2次改質アスファルトに対して水を加えて撹拌混合し、フォームド(泡)化したアスファルト9を放出口11から路面13へ向け放出し敷設する工程となっている。
【0019】
撹拌装置7に投入される2次改質アスファルトは、ストレートアスファルトに対してSBS樹脂等の樹脂系の添加剤を加えて1次改質アスファルトにした後、さらに、1次改質アスファルトに対してアロマ系オイルを添加したものとなっている。
【0020】
この場合、2次改質アスファルトは品質管理面から予め工場で作られたものを現場まで搬送し、使用することが望ましい。
【0021】
図2は2次改質アスファルトを作るにあたってアロマ系オイルを添加した添加割合の粘度と発泡量の関係を示したものである。縦軸が発泡量(路面に投入されてからの5〜15秒間),横軸が粘度となっている。
【0022】
粘度の下のカッコ内は、1次改質アスファルトに対してアロマ系オイルの添加割合を%で示したものである。
【0023】
これによれば、粘度の値が一番高い246mm2 ・Sの時でアロマ系オイルの添加割合が0%の時、即ち、1次改質アスファルトの発泡量は約55の値を示している。それが、添加割合が10%の時には粘度は246から190mm2 ・Sにまで下がると共に、発泡量は最大となる62の値を示す。発泡量が最大になるということは、散布される骨材17全体を確実に包み込み易くなることと、泡全体が消滅するまで時間がかかり、泡消滅までの時間が延長できることにつながる。
【0024】
一方、前記特性図から1次改質アスファルトに対して10%の添加割合が一番最適であることがわかる。この場合、アロマ系オイルの添加割合を増やすことで1次改質アスファルトの粘度を単純に下げればよいというものではなく、この特性図からも明らかなように、一定の添加割合を越えて大きくすると、それに比例して発泡量も低下することがわかる。
【0025】
したがって、添加割合としては5%〜15%の範囲内であることが望ましい。
【0026】
ちなみに、粘度の値が72mm2 ・Sとなるストレートアスファルト(点線で示す)にアロマ系オイルを同一条件で添加しても、発泡量の改善は全く認められず、むしろ低下していることから、ストレートアスファルトではなく1次改質された1次改質アスファルトに対する添加剤としてアロマ系オイルが最適であることがわかる。この場合、オイル系(石油等を含む)であれば必ずしもアロマ系オイルでなくてもよい。
【0027】
また、2次改質アスファルトを所定温度まで加熱する加熱温度は、170℃〜190℃の範囲が望ましい。
【0028】
この加熱温度は試験結果から導き出されたもので、その試験結果を図3に示す。
【0029】
図3は2次改質アスファルトの粘度が190mm2 ・Sの条件の時の特性図となっていて、横軸が温度(℃)、縦軸が摩耗量(g/m)(骨材の飛散量)となっている。この特性図から加熱温度が180℃〜190℃の範囲の時、摩耗量(飛散量)がゼロに近い値を示し、180℃〜190℃が最適温度であることが理解できる。特に、加熱温度は170℃を境としてそれより低くなると、急速に摩耗量(飛散量)が増加することから170℃以上で190℃の範囲内で使用することが望まれる。
【0030】
骨材散布工程3は、発泡状態にあるフォームドアスファルト9の上からチップスレッダ15によって骨材17を散布する工程となっている。
【0031】
骨材17は、そのまま使用してもよいが付着性をよくするために、砕石(5mm〜2.5mm)の表面にストレートアスファルトによって表面全体を被覆処理されたプレコートチップを用いることが望ましい。
【0032】
転圧工程5は、骨材17の散布完了後、その表面を転圧ローラ19によって平らに転圧し定着させる工程となっている。なお、転圧ローラ19としては均一に定着させることができるタイヤローラを用いることが望ましい。
【0033】
次に、具体的な施工方法について説明すると、1次、2次と改質し粘度を190mm2 ・Sとした2次改質アスファルトを180℃〜190℃の温度に加熱しながら水を加えて撹拌混合し、フォームド化したアスファルト9を放出口11から路面13へ向けて放出し敷設する。続いて発泡状態にあるアスファルト9の上から骨材17を散布する。この時、発泡量は最大になると共に散布された骨材17は全体が泡に包み込まれると共に、低い粘性と相俟ってバインダとなるアスファルトは骨材全体に付着する。次に、骨材17の散布完了後、転圧ローラ19によって平らに転圧する。この時、骨材17はバインダとなるアスファルトによって安定した確実な定着状態が得られる。
【0034】
この結果、経過時間と飛散率の関係を示した図5からでも明らかなように、実線で示した本発明によれば、道路開放の初期時から時間が経過してもほぼ飛散率がゼロに近い値が得られるようになり、強い付着力が初期段階から確保されていることが実験の結果でも裏付けられた。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明にかかる路面表面の施工方法を示した概要説明図。
【図2】粘度と発泡量の関係を示した説明図。
【図3】温度と摩耗量(飛散量)の関係を示した説明図。
【図4】本発明と従来例との経過時間と飛散率の関係を示した説明図。
【符号の説明】
【0036】
1 2次改質アスファルトをフォームド化した路面に敷設する工程
3 骨材を散布する工程
5 転圧機で平らに転圧する工程
7 撹拌装置
9 フォームド化したアスファルト
11 放出口
13 路面
15 チップスレッダ
17 骨材
19 転圧ローラ(転圧機)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストレートアスファルトに樹脂系の添加剤を加えた1次改質アスファルトにする工程と、1次改質アスファルトにオイル系添加剤を加えて2次改質アスファルトを作る工程と、所定温度まで加熱した前記2次改質アスファルトに水を加えて撹拌混合し発泡状態の2次改質アスファルトを路面に敷設する工程と、発泡状態の2次改質アスファルトの上から骨材を散布する工程と、骨材の散布完了後、転圧機で平らに転圧する工程とから成ることを特徴とする路面表面の施工方法。
【請求項2】
前記オイル系添加剤は、1次改質アスファルトに対して5%〜15%の添加割合となっていることを特徴とする請求項1記載の路面表面の施工方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate