説明

踏板及びこれを備えた料金収受システム

【課題】車両の押圧や軸重の検出精度を低下させることなく、車両特定情報と軸重情報との一元的な管理を実現することが可能な踏板フレームを提供する。
【解決手段】車両用有料施設の通行処理用の通路の幅方向に沿って設けられ、内部に幅方向に延在する空間32が車両進行方向に複数形成された踏板本体21と、空間32の内面33に上下に対向して設けられた一対の接点体34とを備え、該一対の接点体34の接触によって車両の押圧を検知する踏板20において、複数の空間32のうちの少なくとも一つの空間32の内部の圧力を検出する圧力センサ40と、該圧力センサ40の検出結果に基づいて通路を通過した車両の軸重を求める軸重検出部50とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば有料道路や駐車場等の車両用有料施設の料金所において車両の押圧を検知する踏板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高速道路等の有料道路や駐車場等の料金所ゲートにおいて、料金の収受を自動化するシステムとしてETC(Electronic Toll Collection Sysem)が導入されている。このETCによる料金収受方法は、車両に搭載された車載器にセットしたICカードと料金所に設置された料金収受システムのアンテナとの間で無線通信を行うことで当該車両の車両特定情報を取得し、通行料金を収受するものである。
【0003】
この料金収受システムにおける料金所の通行処理用の通路には、車両の押圧を検出するための踏板が設けられている(例えば特許文献1参照)。この踏板は、通路に埋設されており、内部に設けられた接点体が車両の重量によって短絡されることで当該車両の押圧を検知する。押圧の有無を示す押圧信号は料金収受システムの車線サーバに出力され、車線サーバは押圧信号に基づいて車両の進入検知や前後進検知を行う。
【0004】
また、この他、車両における車輪の左右間の距離(トレッド)を検知可能な踏板も知られている(例えば特許文献2参照)。
このような踏板によって検出される車両の押圧に基づく情報(以下、踏板検出情報と称する)は、アンテナが取得する車両特定情報と車線サーバにて紐付けられ、有料道路の円滑な運用に供されている。
【0005】
一方、有料道路の料金所の手前には、上記料金収受システムとは別個に軸重計が設けられている(例えば特許文献3参照)。この軸重計は、道路保全等の目的から、通行する車両の軸重を測定してその過積載の可能性有無を判定するものである。
また、車両の軸重を歪ゲージ等の感圧センサで検出するとともに当該検出された軸重情報に基づいて車両の軸数やトレッド、前後進等の踏板検出情報を取得可能な踏板も知られている(例えば特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2941650号公報
【特許文献2】特開昭61−166688号公報
【特許文献3】特開2008−039489号公報
【特許文献4】特開平07−225891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、現状の道路交通システムでは、料金収受システムにおける踏板と軸重計とは車両進行方向にある程度離間して配置されて別個独立に管理されている。したがって、例えば車両の軸重情報を料金収受システムで一括して管理しようとした場合、アンテナが取得する車両特定情報と軸重計が取得する軸重情報とを紐付けての一元的な管理が困難であるという問題があった。
【0008】
即ち、例えば先行車両が軸重計を一旦通過した後に後退して別のレーンに移動した場合、アンテナによって取得される後続車両の車両特定情報が先行車両の軸重情報と紐付けられてしまうおそれがある。また、大型トレーラー等のように軸数が多く車長の大きな車両の場合、最後輪の軸重情報が後続車両の車両特定情報と紐付けられてしまうおそれがある。よって、いかなる車両が過積載の可能性があるかの特定を誤るおそれがあり、車両特定情報と軸重計とを紐付けての一元的な管理が困難であった。
【0009】
ここで、例えば特許文献4に記載の踏板のように、車両の軸重情報から踏板検出情報を取得することが可能な踏板ならば、軸重情報とアンテナが取得する車両特定情報との一元的な管理を行うことができるとも考えられる。
【0010】
ところが、この特許文献4に記載の踏板では、例えば特許文献1に記載のような接点体を備えた踏板と比較して処理が複雑となるため、信頼性や寿命が不足するという欠点がある。また、特許文献4に記載の踏板はそもそも過積載を検出することを想定していないため、車両から過剰な軸重が作用した際にはその軸重計測はおろか踏板検出情報の取得を適切に行うことができないおそれがある。
したがって、特許文献4に記載の踏板では、過積載判定をできるだけの軸重の計測精度を担保しつつ車両の押圧の検知を信頼性高く行うことができないという問題がある。
【0011】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、車両の押圧や軸重の検出精度を低下させることなく、車両特定情報と軸重情報との一元的な管理を実現することが可能な踏板、及び、この踏板を備えた料金収受システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
即ち、本発明に係る踏板は、車両用有料施設の通行処理用の通路の幅方向に沿って設けられ、内部に幅方向に延在する空間が車両進行方向に複数設けられた踏板本体と、前記空間の内面に上下に対向して設けられた一対の接点体とを備え、該一対の接点体の接触によって車両の押圧を検知する踏板であって、複数の前記空間のうちの少なくとも一つの前記空間内を検出空間として該検出空間の圧力を検出する圧力センサと、該圧力センサの検出結果に基づいて前記通路を通過した車両の軸重を求める軸重検出部とを備えることを特徴とする。
【0013】
このような特徴の踏板によれば、踏板上を車両が通過する際には車両の重量によって踏板本体内部の空間が上下に潰れて一対の接点体が接触する。また、この空間の潰れに伴って空間の容積が車両の重量に応じて減少することで空間内の圧力は車両の軸重に応じて増加する。そのため、圧力センサが検出した空間内の圧力に基づいて軸重検出部により車両の軸重を求めることができる。
したがって、車両の押圧を検出と車両の軸重の検出を別個に行う構成としつつも、通路を走行する車両の押圧の検出と軸重の検出を同時に行うことが可能となる。
【0014】
また、本発明に係る踏板フレームにおいては、前記空間が前記踏板本体の外部と隔離された密閉状態とされていることが好ましい。
【0015】
これによって、踏板本体内部の空間が車両の軸重によって潰れた結果、空間の容積が変化した際には、該空間に圧力変動が速やかに生じる。即ち、圧力変動が空間の容積の変化に線形に対応するため、軸重の検出精度を向上させることができる。
なお、踏板本体内部の空間が密閉状態とされていない場合、即ち、踏板本体内部の空間と踏板本体外部とが連通状態とされている場合であっても、軸重によって空間が潰れた結果として該空間内部に圧力変動が生じれば、当該圧力変動に基づいて軸重を検出することは可能である。
【0016】
さらに、本発明に係る踏板は、複数の前記空間のうちの少なくとも一つの空間の内部に前記一対の接点体に代えて設けられたバルーンをさらに備え、前記圧力センサが前記空間内における前記バルーンの内部を検出空間として該検出空間の圧力を検出するものであってもよい。
【0017】
これによって、車両の軸重によって踏板本体内部の空間が潰れた際には、当該空間内に設けられたバルーンも同様に潰れることになる。これによって、バルーン内部に軸重に応じた圧力変動が生じることになるため、該バルーン内の圧力を検出することで軸重を求めることができる。
また、このようにバルーンを設けた場合、踏板本体内部の空間が該踏板本体外部と連通している場合であっても、圧力変動がバルーンの容積変動に線形に対応するため軸重の検出精度を向上させることができる。
【0018】
また、本発明に係る踏板は、複前記検出空間と前記踏板本体との外部を連通させるチューブをさらに備え、前記踏板本体の外部に設けられた前記圧力センサが前記チューブを介して前記検出空間の圧力を検出するものであってもよい。
【0019】
ここで、例えば圧力センサを踏板本体内に設けた場合、踏板上を繰り返し車両が通過することによる衝撃や振動によって圧力センサ自体の故障頻度が高くなってしまうおそれがある。また、故障した場合であっても踏板本体内から圧力センサを取り外すのに手間がかかるため、容易にメンテナンスを施すことができないという欠点がある。
この点、本発明によれば、圧力センサを踏板本体の内部に設けなくとも検出空間の圧力を検出することができるため、故障頻度を低減させることができるとともに容易に交換等のメンテナンスを行うことができる。
【0020】
そして、本発明に係る料金収受システムは、車両用有料施設に設置され、該有料施設の利用料金を収受する料金収受システムであって、上記いずれかの踏板を供えることを特徴とする。
【0021】
これによって、上記同様、車両の押圧を検出と車両の軸重の検出を別個に行う構成としつつも、通路を走行する車両の押圧の検出と軸重の検出を同時に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の踏板及び料金収受システムによれば、車両の押圧の検出と車両の軸重の検出とを別個に行う構成のため、車両の押圧や軸重の検出精度を高く維持することができる。一方で、通路を走行する車両の押圧の検出と軸重の検出を同時に行うことができるため、例えば先行車両の軸重が後続車両の車両特定情報に紐付けられることを回避することができる。したがって、車両特定情報と軸重情報との一元的な管理を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第一実施形態の料金収受システムの概略構成を示す平面図である。
【図2】第一実施形態の踏板における通路幅方向に直交する方向の縦断面図である。
【図3】踏板本体内部の空間が潰れた状態を示す図であって、(a)は過積載ではない通常車両が通過した場合、(b)は過積載車両が通過した場合を示す図である。
【図4】第一実施形態の変形例の踏板における通路幅方向に直交する方向の縦断面図である。
【図5】第二実施形態の踏板における通路幅方向に直交する方向の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態に係る踏板及び料金収受システムについて、図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
図1に示すように、料金収受システム1は、例えば有料道路の料金所におけるアイランド9,9の間の通行処理用の通路に設けられており、第一車両検知器2と、第二車両検知器3と、第三車両検知器4と、第一アンテナ5と、第二アンテナ6と、発進制御機7と、路側表示器8と、料金収受システム1の各装置を制御する車線サーバ10と、踏板20とを備えている。
【0026】
第一車両検知器2、第二車両検知器3及び第三車両検知器4は、 図1に示すように、通路を挟んで対向するようにして該通路の両側に設置される一対の光センサから構成されており、これら一対の光センサの間が通光状態であるか遮光状態であるか否かを示す車両検知信号を車線サーバ車線サーバ10に出力する。なお、車線サーバ10は、車両検知信号が通光状態から遮光状態に遷移することで車両の進入を検出し、車両検知信号が遮光状態から通光状態に遷移することで車両の通過を検出する。
【0027】
第一車両検知器2は通路の入り口に設置されており、第二車両検知器3は第一車両検知器2より車両進行方向前方側に設置されている。また、第三車両検知器4は第二車両検知器3よりもさらに車両進行方向前方側に設置されている。
【0028】
第一アンテナ5は、通路を走行する車両に搭載された車載器との通信を行い、車線サーバ10の制御によって車載器から車両を特定する車両特定情報を読み出す。この第一アンテナ5は、第二車両検知器3と車両進行方向に隣接するように該第二車両検知器3の車両進行方向前方側に設置されており、第一車両検知器2と第二車両検知器3との間の範囲を通信領域とする。
【0029】
第二アンテナ6は、通路を走行する車両に搭載された車載器との通信を行い、車線サーバ10の制御によって踏板20により計数された車軸数を用いて決定した車種情報を車載器に書き込む。
【0030】
発進制御機7は、第三車両検知器4の車両進行方向後方に設置されており、通路を開閉自在に設置された阻止棒を備えている。この発進制御機7は、車線サーバ10の制御によって阻止棒を開閉することで通路を開放又は閉鎖する。
路側表示器8は、車線サーバ10の制御によって車両の運転者に通知する情報を表示する。
【0031】
踏板20は、図1に示すように、通路の入口において、即ち、第一車両検知器2と同様の車両進行方向位置において、通路の幅方向に延在するように配置されている。
この踏板20は、図2に示すように、例えばゴム等の弾性体によって形成された踏板本体21を有している。この踏板本体21は踏板20の外郭を形成しており、通路幅方向を長手方向とするとともに車両進行方向を短手方向とした平面視矩形状をなしている。また、この踏板本体21はその上下方向に所定の厚みを有しており、その内部には複数の孔部22が形成されている。
【0032】
この孔部22は踏板本体21の内部において通路幅方向に延在するように形成されており、その延在方向に直交する方向の断面形状は上下及び車両進行方向にそれぞれ対向する辺を備えた略四角形状とされている。このような孔部22は踏板本体21の内部において車両進行方向に間隔をあけて複数(本実施形態では3つ)形成されている。
【0033】
さらに、踏板本体21の上面における上記複数の孔部22の直上に当たる箇所には、上方に向かって突出するとともにそれぞれ孔部22と同様に通路幅方向に延在する複数(本実施形態では3つ)の凸部23が形成されている。
【0034】
また、複数の孔部22にはそれぞれ接触型センサ30が設けられている。この接触型センサ30は、孔部22に隙間無く嵌り込む四角筒状をなす筐体31を備えている。この筐体31は孔部22同様、例えば弾性体から形成されるとともに通路幅方向に延在しており、その外面が孔部22の内面33に密着している。さらに、筐体31の内側には通路幅方向に延びる空間32が形成されており、本実施形態ではこの空間32は踏板本体21の外部と隔離された密閉空間32とされている。
【0035】
そして、空間32を囲む筐体31の内面33には上下に対向するようにして一対の接点体34が設けられている。即ち、筐体31の内面33における上部及び下部には、空間32を間に挟んで上下に離間する接点体34が設けられている。接触型センサ30においては、これら一対の接点体34が互いに接触して短絡した際に車線サーバ10に対して車両の押圧の有無を示す押圧信号が出力される。
【0036】
このようにして本実施形態においては、内部に空間32を有する筐体31が踏板本体21の孔部22内に設置されており、これによって踏板本体21内部に通路幅方向に延びる空間32が形成されている。そして、この空間32の内面33に上下に対向するようにして一対の接点体34が設けられているのである。
【0037】
また、本実施形態の踏板20は、上記構成に加えて圧力センサ40及び軸重検出部50を備えている。
圧力センサ40は、筐体31内部の空間32、即ち、踏板本体21内部の空間32を検出空間として該検出空間の圧力を検出するセンサであって、例えば空間32内に挿入された気圧プローブによって空間32内の気体の圧力を検出可能とされている。この圧力センサ40が検出する空間32の圧力の値は軸重検出部50に出力される。
なお、圧力センサ40はその全体が空間32内に設けられていてもよいし、気圧プローブの先端部のみが空間32内に挿入された構成であってもよい。また、圧力センサ40は、空間の気圧を測定可能であればいかなる形式のものであってもよい。
【0038】
軸重検出部50は圧力センサ40から入力される空間32の圧力の値に基づいて車両の軸重を演算する。即ち、この軸重検出部50は、空間32の圧力の値に対応する軸重の値を記憶したテーブル、あるいは、空間32の圧力と軸重との関係式に基づいて空間32の圧力から車両の軸重を求める。このように求められた軸重情報は、車線サーバ10へと出力される。
【0039】
次に、このような踏板20を備えた料金収受システム1の動作及び処理について説明する。
料金収受システム1の通路に車両が進入すると、まず第一車両検知器2の光センサが遮光状態とされることで車線サーバ10が車両の進入を検知する。これと同時に、車両が車両進行方向前方側の踏板20上を通過する。
【0040】
車両が踏板20上を通過すると踏板本体21の上面に車両の車輪による軸重が作用することにより、弾性体からなる踏板本体21及び筐体31は内部の空間32を潰すようにして変形し、図3に示すように、上下に対向する一対の接点体34が互いに接触する。これによって、接触型センサ30から車線サーバ10に対して車両の押圧の有無を示す押圧信号が出力される。
【0041】
車線サーバ10は踏板20の押圧信号に基づいて車軸数を計数する。即ち、車線サーバ10は、第一車両検知器2により車両の進入が検知されている間の押圧信号の出力数を車両の車軸数として計数する。そして、車線サーバ10は、例えば、車軸数が「2」の場合に「普通車」であると判定し、車軸数が「3」または「4」の場合に「大型車」であると判定し、車軸数が「5」以上の場合に「特大車」であると判定する。
さらに、車線サーバ10は複数の接触型センサ30からの出力の順番によって、車両の前後進を判断する。
【0042】
一方、上記のように空間32が潰れることにより空間32の容積が減少すると、該空間32内部の気体の圧力が増加する。この空間32の容積の減少度は軸重が大きいほど顕著となる。例えば図3(a)に示すように過積載ではない通常車両による軸重が作用した場合に比べて、図3(b)に示すように過積載車両による軸重が作用した場合の方が空間32の容積は小さなものとなる。即ち、軸重が大きいほど空間32の容積は減少し、これに伴って空間32内の圧力は増加する。
【0043】
このような空間32内の圧力は圧力センサ40によって検出され、軸重検出部50が圧力センサ40の出力に基づいて車両の軸重を演算する。即ち、軸重が大きいほど空間32内の圧力が大きくなるため、このような軸重と空間32内の圧力との対応関係を軸重検出部50が予め記憶しておくことで、空間32内の圧力に基づいて容易に軸重を求めることができる。そして、このように求められた軸重が軸重検出部50から車線サーバ10に対して軸重情報として出力される。
【0044】
この車両の総重情報が予め定めた閾値を超えた結果、車線サーバ10が過積載であると判断した場合、車線サーバ10は路側表示器8に過積載である旨の表示情報を出力し、路側表示器8は当該表示情報を画面に表示する。
【0045】
上記第一車両検知器2による車両の進入の検知によって、第一アンテナ5が起動される。この第一アンテナ5は車両の車載器と通信を行い、車載器に挿入されたICカードが記憶する車両特定情報等を取得して車線サーバ10に送信する。車線サーバ10は、この車両特定情報を軸重情報と紐付けて管理する。
【0046】
次いで、車両が進行して第二車両検知器3の光センサが遮光状態とされると、車線サーバ10は、車両特定情報等が正常であるか否かを判定し、正常であると判定した場合には、正常時処理を実行する。即ち、車線サーバ10は発進制御機7に開放命令を出力し、発進制御機7は当該開放命令に基づいて通路を開放する。また、車線サーバ10は、路側表示器8に通行を許可する旨を示す表示情報を出力し、路側表示器8は、当表示情報を画面に表示する。
【0047】
そして、進行する車両が第三車両検知器4の光センサを遮光状態とした際、車線サーバ10は路側表示器8に消灯命令を出力し、これに基づいて路側表示器8は画面を消灯する。さらに車両が第三車両検知器4の光センサの照射範囲を通過して当該光センサが通光状態となった場合、車線サーバ10は発進制御機7に閉鎖命令を出力し、発進制御機7は当該閉鎖命令に基づいて阻止棒を下げて通路を閉鎖する。その後、第二アンテナ6が車両の車載器と通信を行い、踏板20により計数された車軸数を用いて決定した車種情報を車載器に書き込む。
一方、車線サーバ10が車両特定情報等が異常であると判定した場合には、車線サーバ10は異常時処理を実行し、車線サーバ10による通路の閉鎖状態を維持する。
【0048】
以上のような料金収受システム1の踏板20によれば、踏板20上を車両が通過する際には車両の重量によって踏板本体21内部の空間32が上下潰れて一対の接点体34が接触することで、車両の押圧を検知する。また、空間32の潰れに伴って該空間32の容積が車両の重量に応じて減少することで空間32内の圧力は車両の軸重に応じて増加する。そのため、圧力センサ40が検出した空間32内の圧力に基づいて軸重検出部50により車両の軸重を求めることができる。したがって、車両の押圧を検出と車両の軸重の検出を別個に行う構成としつつも、通路を走行する車両の押圧の検出と軸重の検出を同時に行うことが可能となる。
【0049】
即ち、本実施形態によれば、車両の押圧を検出と車両の軸重の検出を別個に行う構成としたので、車両の押圧や軸重の検出精度を高く維持することが可能となる。一方で、通路を走行する車両の押圧の検出と軸重の検出を同時に行うことができるため、例えば先行車両の軸重が後続車両の車両特定情報に紐付けられることを回避することができる。したがって、車両特定情報と軸重情報との一元的な管理を実現することが可能となる。
【0050】
さらに、本実施形態では踏板本体21内の空間32が密閉状態とされているため、踏板本体21内部の空間32が車両の軸重によって潰れた結果、空間32の容積が変化した際には、該空間32に圧力変動が速やかに生じる。即ち、圧力変動が空間32の容積の変化に線形に対応するため、感度高く軸重を検出することができる。
【0051】
なお、この第一実施形態の変形例の踏板20として、例えば図4に示すように、検出空間としての踏板本体21内の空間32と踏板本体21の外部とを連通させるチューブ60を設け、圧力センサ40が当該チューブ60を介して空間32内の圧力を検出する構成であってもよい。
即ち、この変形例では圧力センサ40が踏板本体21の外部に設けられており、チューブ60における空間32とは反対側の端部から該チューブ60内の圧力を空間32内の圧力として検出する。
【0052】
ここで、第一実施形態の踏板20の圧力センサ40を踏板本体21内に設けた場合、踏板20上を繰り返し車両が通過することによる衝撃や振動によって圧力センサ40自体の故障頻度が高くなってしまうおそれがある。また、故障した場合であっても踏板本体21内から圧力センサを取り外すのに手間がかかるため、容易にメンテナンスを施すことができないという欠点がある。
【0053】
なお、第一実施形態のように踏板本体21内に圧力センサ40を一体設ける場合には、ゴムからなる踏板本体21の製造時において加硫加工前に圧力センサ40を踏板本体21に内挿する必要がある。そのため、その後の加硫温度によって圧力センサ40が故障してしまうおそれがある。この点についても、本変形例のように外部に圧力センサを配置することによって、製造時における圧力センサ40の故障を回避することができる。
【0054】
また、第一実施形態のように踏板本体21内に圧力センサ40を一体設ける場合に、踏板本体21に形成された空間32と外部とを連通させる孔に気圧プローブ等の圧力センサ40を挿入し、その後この孔を接着等により閉塞させることも考えられる。しかしながら、孔内において接着不良が生じた場合には、空間32内の圧力変動を正確に計測できないおそれがある。この点についても、本変形例のように外部に圧力センサを配置することにより、空間32内の圧力変動を正確に検出することができる。
【0055】
この点、本変形例によれば、圧力センサ40を踏板20本体の内部に設けなくとも検出空間の圧力を検出することができるため、車両の軸重の検出を可能としながらも故障頻度を低減させることができ、軸重計としての信頼性を向上させることができる。また、
圧力センサ40を容易に交換等することができるため、メンテナンス性を向上させることが可能となる。
【0056】
次に第二実施形態の踏板20について図5を参照して説明する。この第二実施形態では第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略する。この第二実施形態では、踏板本体21の複数の孔部22のうちの一の孔部22(本実施形態では車両進行方向中央の孔部22)には接触型センサ30が設けられておらず、該接触型センサ30の構成部品である筐体31のみが設けられている。そして、この筐体31内にはバルーン35が設けられている。換言すれば、踏板本体21の複数の孔部22内に配置された筐体31のうちの一の筐体31においては、その内部に接点体34体に代えてバルーン35が設けられている。
【0057】
このバルーン35はゴム等の伸縮自在な弾性体からなる密閉された袋状の部材であって、その内部に気体が充填されて膨らんだ状態で空間32内に配置されている。このバルーン35は、空間32内において筐体31の内面33の上面及び下面に接触していることが好ましく、より好ましくは筐体31の内面33のうち車両進行方向に対向する一対の側面にも接触していることが好ましい。また、バルーン35は孔部22や筐体31と同様、通路幅方向に延在していることが好ましい。
【0058】
そして、本実施形態の圧力センサ40は空間32内に代えてバルーン35内部を検出空間として該検出空間の圧力を検出するように設けられており、例えばバルーン35内に挿入された気圧プローブによって検出空間内の気体の圧力を検出可能とされている。この圧力センサ40が検出するバルーン35内の圧力の値は軸重検出部50に出力される。
なお、圧力センサ40はその全体がバルーン35内部に設けられていてもよいし、気圧プローブの先端部のみがバルーン35内部に挿入された構成であってもよい。また、バルーン35内の圧力を検出可能ならばいかなる形式の圧力センサ40を用いてもよい。
【0059】
このような踏板20では、車両が踏板20上を通過する際に第一実施形態と同様、軸重によって踏板本体21及び筐体31が弾性変形し、上下に離間する一対の接点体34が接触することで車両の押圧を検出する。なお、第二実施形態では、筐体31及びバルーン35が配置された踏板本体21の孔部22を除いた他の孔部22、即ち、筐体31及び接点体34体が配置された孔部22のみにおいて車両の押圧が検出される。
【0060】
一方、筐体31及びバルーン35が配置された孔部22では、車両の軸重に応じて空間32内の容積が小さくなることで当該空間32内に配置されたバルーン35もその容積が小さくなる。即ち、バルーン35が筐体31の内面33によって潰されることで該バルーン35内の容積が小さくなり、バルーン35内の圧力が上昇する。
そして、このバルーン35内の圧力を圧力センサ40が検出することにより、当該圧力センサ40の出力に基づいて軸重検出部50が車両の軸重を求めることができる。
【0061】
ここで、踏板本体21の複数の孔部22は、車両進行方向に例えば数mm〜数十mmの間隔で形成されているため、車両の通過時には接点体34の短絡と圧力センサ40による空間32内の圧力変動の検出はほぼ同時に行なわれる。
これによって第一実施形態同様、車両の押圧を検出と車両の軸重の検出を別個に行う構成としつつも、通路を走行する車両の押圧の検出と軸重の検出とをほぼ同時に行うことが可能となる。したがって、車両特定情報と軸重情報との一元的な管理を実現することが可能となる。
【0062】
また、このようにバルーン35を設けた場合、踏板本体21内部の空間32が該踏板本体21外部と連通している場合であっても圧力変動がバルーン35の容積変動に線形に対応するため、精度高く軸重を求めることができる。
【0063】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の技術的思想を逸脱しない限り、これらに限定されることはなく、多少の設計変更等も可能である。
例えば実施形態では軸重検出部50を車線サーバ10とは独立して設けたが、この軸重検出部50を車線サーバ10の一構成としてもよく、即ち、車線サーバ10に軸重検出部50の機能を設けてもよい。
【0064】
また、第二実施形態でも第一実施形態の変形例と同様、検出空間としてのバルーン35の内部と踏板本体21の外部とを連通させるチューブ60を設け、圧力センサ40が当該チューブ60を介して空間32内の圧力を検出する構成であってもよい。これによっても、上記同様、圧力センサの信頼性やメンテナンス性を向上させることができる。また、製造時に圧力センサ40が故障したり該圧力センサ40により気圧変動を正確に検出できなくなってしまうことを回避することができる。
【0065】
なお、空間32内又はバルーン35内に接続されたチューブ60は接触型センサ30の配線とともにケーブル内に収納し該チューブ60車線サーバ10内に導入することが好ましい。この場合、圧力センサ40も車線サーバ10内に配置され、該車線サーバ10内にてチューブ60を介して空間32又はバルーン35内の圧力を検出する。
このように構成した場合、例えば車線サーバ10内に設けられたファンや遮熱板によって圧力センサ40の温度対策を図ることができるため、圧力センサ40に対して高熱による負荷がかかってしまうことを回避できる。
【0066】
また、第一実施形態では踏板本体21内の空間32を該踏板本体21の外部と隔離された密閉状の空間32としたが、空間32と踏板本体21外部とが連通状態とされていてもよい。この場合であっても車両の通過によって空間32内に圧力変動が生じれば軸重を求めることができる。
【0067】
また、実施形態では、踏板本体21の孔部22及び接触型センサ30を3つ設けたものについて説明したが、これらの数を1つ又は2つとしても良いし、4つ以上としても良い。
さらに、接触型センサ30は必ずしも筐体31を備えてなくともよく、接点体34を孔部22の内面33に直接的に設けた構成であってもよい。
また、第二実施形態では踏板本体21の複数の孔部22のうち中央の孔部22にバルーン35を配置したが、他の孔部22にバルーン35を配置してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 料金収受システム
2 第一車両検知器
3 第二車両検知器
4 第三車両検知器
5 第一アンテナ
6 第二アンテナ
7 発進制御機
8 路側表示器
9 アイランド
10 車線サーバ
20 踏板
21 踏板本体
22 孔部
23 凸部
30 接触型センサ
31 筐体
32 空間
33 内面
34 接点体
35 バルーン
40 圧力センサ
50 軸重検出部
60 チューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用有料施設の通行処理用の通路の幅方向に沿って設けられ、内部に幅方向に延在する空間が車両進行方向に複数設けられた踏板本体と、前記空間の内面に上下に対向して設けられた一対の接点体とを備え、該一対の接点体の接触によって車両の押圧を検知する踏板であって、
複数の前記空間のうちの少なくとも一つの前記空間内を検出空間として該検出空間の圧力を検出する圧力センサと、
該圧力センサの検出結果に基づいて前記通路を通過した車両の軸重を求める軸重検出部とを備えることを特徴とする踏板。
【請求項2】
前記空間が前記踏板本体の外部と隔離された密閉状態とされていることを特徴とする請求項1に記載の踏板。
【請求項3】
複数の前記空間のうちの少なくとも一つの空間の内部に前記一対の接点体に代えて設けられたバルーンをさらに備え、
前記圧力センサが前記空間内における前記バルーンの内部を検出空間として該検出空間の圧力を検出することを特徴とする請求項1又は2に記載の踏板。
【請求項4】
前記検出空間と前記踏板本体との外部を連通させるチューブをさらに備え、
前記踏板本体の外部に設けられた前記圧力センサが前記チューブを介して前記検出空間の圧力を検出することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の踏板。
【請求項5】
車両用有料施設に設置され、該有料施設の利用料金を収受する料金収受システムであって、
請求項1から3のいずれか一項に記載の踏板を備えることを特徴とする料金収受システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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