説明

踏板連結体およびそれを用いた組立て式階段

【課題】 階段の組立ての労力を軽減し得る踏板連結体およびそれを用いた組立て式階段の提供。
【解決手段】 踏板をその下方で支持するとともに別の踏板連結体に連結して用いられる踏板連結体であって、連結体本体が上段側の支持筒体と下段側の支持筒体とを有して、該両支持筒体は踏板設置方向に距離を置いて一体に設けられ、前記上段側の支持筒体と下段側の支持筒体のそれぞれにおいて、踏板を支持する領域に、高さ調整ねじ部材が螺合するナット部材が位置決め固定されている構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立て式階段において踏板どうしを連結する踏板連結体およびそれを用いた組立て式階段に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、家屋に付設される階段設備として、踏板を、踏板連結体を用いて順次組立てるようにした組立て式階段が提案されている。この種の組立て式階段における踏板連結体として、例えば特許文献1に示す技術が提案されている。これは、水平エレメントの一方側および他方側にそれぞれ設けられた小径筒体および大径筒体からなる本体を有している。小径筒体には、縮径円筒部が内嵌螺合されており、この縮径円筒部の上部には、小径筒体とほぼ同径の可動筒体が固定されている。この可動筒体の裏面にはナットが固定され、また、可動筒体の板面には、縮径円筒部を回転させる工具の先端部を嵌合する操作孔が形成されている。
【0003】
一方、大径筒体の内周壁面には係止体が固定されている。この係止体の中央部にはボルトを挿入するボルト孔が形成されており、係止体の板面には、工具の先端部を操作孔に挿入するのを許容するとともに、工具の回転を所定の範囲で許容する開口部が形成されている。このような構成の踏板連結体を踏板に応じた数だけ準備しておき、踏板連結体を組付けつつ水平エレメントの上面に踏板を固定する。
【0004】
ここで、上記構成の踏板連結体どうしの組付けの方法説明する。例えば、下階の側から階段を組立てるには、仮止めした下段の踏板連結体の可動筒体を回転操作して可動筒体を小径筒体に対して上下動させ、高さ(踏板の蹴上げ寸法に相当する)の一次調整を行う。
【0005】
その後、上段の踏板連結体の回動筒体と小径筒体を嵌挿して、上段の踏板連結体を下段の踏板連結体上に配置し、上段の踏板連結体の係止体を下段の踏板連結体の可動筒体に載せる。さらに、係止体のボルト孔に連結用ボルトを緩くねじ込んで上段の踏板連結体の仮止めを行う。このような動作を繰返すことによって全ての踏板連結体の仮組立てがなされる。
【0006】
仮組立て終了後、上下の踏板連結体の高さが一次調整によって適正に設定されているかどうかを最終的に点検する。これが適正であるときには、各踏板連結体の連結用ボルトを最終的に強く締付け、上階の床板に仮止めした踏板連結体を床板に完全に固着する。
【0007】
図面寸法と現場寸法に差異があったり、組立て誤差があったりして、上下の踏板連結体間の高さが適正でないときには、該寸法や組立て誤差を上下の踏板連結体間に分配して吸収調整するために、連結用ボルトを未締付けの状態で、係止体の開口部より縮径円筒部の操作孔に工具の先端を挿入して可動筒体を正逆回転させ、これによって可動筒体を水平エレメントに対して上下動させて前記高さの第二次調整を行う。
【特許文献1】特公昭62−13459号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、従来の踏板連結体では、本体の高さ調整のために、縮径円筒部を有する可動筒体を、本体とは別に設けているからその分だけ部品点数が増加している。部品点数が増加すれば、その分だけ踏板連結体の重量も増すことになり、踏板連結体は踏板の数だけ準備するから、踏板の数が多ければ多いほど組立てに多くの労力を要することになる。
【0009】
そこで本発明は上記課題に鑑み、階段の組立ての労力を軽減し得る踏板連結体およびそれを用いた組立て式階段の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、踏板をその下方で支持するとともに別の踏板連結体に連結して用いられる踏板連結体であって、連結体本体が上段側の支持筒体と下段側の支持筒体とを有して、該両支持筒体は踏板設置方向に距離を置いて一体に設けられ、前記上段側の支持筒体と下段側の支持筒体のそれぞれにおいて、踏板を支持する領域に、高さ調整ねじ部材が螺合するナット部材が位置決め固定されていることを特徴としている。
【0011】
上記構成において、上段側の支持筒体と別の連結体本体の下段側の支持筒体とを上下方向に嵌合しあい、下段側の支持筒体と別の連結体本体の上段側の支持筒体とを上下方向で嵌合しあって、前記高さ調整ねじ部材を回転させることで上段側の踏板と下段側の踏板との間の高さ調整をするものである。このように、上段側の支持筒体と別の連結体本体の下段側の支持筒体とを上下方向に嵌合しあい、下段側の支持筒体と別の連結体本体の上段側の支持筒体とを上下方向で嵌合しあって、高さ調整ねじ部材を回転させるという簡単な動作で、支持する階段の踏板どうしの高さ位置の差(蹴上げ高さh)を調整することが可能となる。
【0012】
本発明の踏板連結体では、ナット部材は各支持筒体の上端部内径側に固定されていることを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、ナット部材を支持筒体の内部に装着する場合に比べて、踏板連結体その固定作業が容易である。
【0014】
本発明の踏板連結体は、下段側の支持筒体の上端面に、踏板を載置するための載置板が設けられていることを特徴としている。
【0015】
上記構成によれば、踏板連結体どうしの高さ調整を行った後、載置板に踏板を設置する。
【0016】
本発明の踏板連結体は、載置板の水平度を調整するための調整機構が設けられていることを特徴としている。
【0017】
上記構成によれば、調整機構を用いて、載置板を水平に調整して、安定感のある組立て式階段を確保することが可能となる。
【0018】
本発明の組立て式階段は、前記何れかの踏板連結体を連結し、各載置板上に踏板が載置固定されていることを特徴としている。
【0019】
踏板連結体どうしの連結が前述のように楽であるから、組立てを容易に行い得る組立て式階段となる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の踏板連結体によれば、高さ調整ねじ部材を回転させるという簡単な動作で、支持すべき踏板どうしの高さを調整することが可能となるから、踏板連結体の組立てが楽であり、このような踏板連結体を組立てることによって製造される組立て式階段は、その製造が楽な組立て式階段となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態に係る踏板連結体および組立て式階段を、図面に基づいて説明する。図1は本発明の組立て式階段の全体概略側面図、図2は平面図、図3は正面図である。
【0022】
これらの図に示すように、組立て式階段1は、複数段の踏板2と、これら各踏板2を蹴上げ高さhごとに位置決めする踏板連結装置3と、踏板2に取付けられる手摺り4とを有する。
【0023】
前記踏板連結装置3は、踏板2をその下方で支持するとともに別の踏板連結体5(6)に連結して用いられる踏板連結体5の連結構造を有する。また踏板連結装置3は、連結構造のうち所定の踏板連結体5を下階の下床面7で支持する支持脚8を有する。
【0024】
手摺り4は、所定の踏板2に支柱取付け構造10(図1〜図3では符号を省略している)を介して立設される複数の支柱11と、隣合う支柱11どうしを連結する横桟12と、支柱11の上端部間に亙すように設けられる手摺り棒13とを有する。
【0025】
ここで、前記踏板連結装置3について詳細に説明する。踏板連結装置3は、下階の下床面7に設置される下位連結具14と、例えば、下階の下床面7から立設する壁15の前面上部や、階上床面構成の梁前面等に設置される上位連結具17と、下位連結具14と上位連結具17との間に隣合う踏板連結体5(6)どうし互いに連結される複数個の踏板連結体5とを有する。
【0026】
次に、前記下位連結具14について説明する。図4(a)は下位連結具14の単体平面図、(b)は下位連結具14の中央縦断面図、(c)は下位連結具14の単体底面図である。
【0027】
下位連結具14は、下床面7に載置されて四隅部に形成したボルト孔20aに挿通されるボルト20によって固定されるベース板21と、このベース板21の中央にその板面から上方に向けて突出する円筒状のベース筒部22とを有する。ベース板21とベース筒部22とは、ベース筒部22の下端部がベース板21の中心に形成された取付け孔部23に嵌合することで一体に設けられている。
【0028】
ベース筒部22の上端面にはその内筒部を覆うように平面視円形のベース蓋部材24が載置されて、且つ固定(溶接)されている。ベース蓋部材24の中心部に挿通孔25が形成されており、この挿通孔25と連通する雌ねじ26を有するナット部材27(この場合、六角ナットが用いられている)がベース蓋部材24の裏面に溶接により固定されている。挿通孔25の外周部でベース蓋部材24の板面にタップ孔28が周方向に90°置きに形成されている。ベース筒部22は高さ方向に同一断面形状に形成されている。
【0029】
次に、前記踏板連結体5(6)を説明する。図5(a)は踏板連結体5(6)の一部破断側面図、(b)は平面図、(c)は背面図である。踏板連結体5(6)は、連結体本体30が上段側の垂直な第一支持筒体31と下段側の垂直な第二支持筒体32とを有して、第一支持筒体31および第二支持筒体32は、踏板設置方向V(図1参照)に距離を置くよう水平な中間介装体33を介して一体に設けられている。中間介装体33は矩形の中空断面に形成されているとともに、一方側が第一支持筒体31の外周面に溶接され、他方側が第二支持筒体32の外周面に溶接されている。
【0030】
第一支持筒体31は、上側の小径筒部35と下側の大径筒部36とが円錐台状のテーパ面37を介して上下方向略半分位置で連成されている。小径筒部35の上端面にはその内筒部を覆うように平面視円形の蓋部材38が載置されて、且つ固定(溶接)されている。蓋部材38の中心部に挿通孔40が形成されており、この挿通孔40と連通する雌ねじ41を有するナット部材42(この場合、六角ナットが用いられている)が溶接により固定されている。すなわちナット部材42は第一支持筒体31の上端部で第一支持筒体31の内径側に固定されている。挿通孔40の外周部で蓋部材38の板面にタップ孔43が周方向に90°置きに形成されている。
【0031】
第二支持筒体32は、上下方向に同一断面に形成されている。その上端面には平面視矩形の踏板載置板45が同心に固定されている。踏板載置板45は、その四辺が何れも第二支持筒体32の上端面に比べて径方向外方に突出して、フランジ部46を形成している。踏板載置板45の中心部に挿通孔47が形成されており、この挿通孔47に高さ調整ボルト(高さ調整ねじ部材)48が挿通されている。この高さ調整ボルト48は第二支持筒体32の高さに比べて長い長さを有している。この高さ調整ボルト48には、その上端部に、換言すれば踏板載置板45の表面側に、ナット部材50(この場合、六角ナットが用いられている)が溶接により固定されている。高さ調整ボルト48には、その途中位置で且つ踏板載置板45の裏面側の近傍位置に抜止め部材51が外嵌されている。この構成により、高さ調整ボルト48はわずかに上下動可能に且つ軸心回りに回転自在で、しかも踏板載置板45から上下に抜出ることを防止されている。
【0032】
第二支持筒体32において、挿通孔47の外周部で踏板載置板45の板面に、後述の水平調整ボルト52が挿通する挿通孔53が周方向に90°置きに形成されている。踏板載置板45のフランジ部46の各隅部近傍にタップ孔54が形成されている。第二支持筒体32の筒部下部の左右部に止め孔55が一対で形成されている。第二支持筒体32の筒部下部の左右部分内周面に緩衝材56が固定されている。
【0033】
次に、前記支持脚8の構成を説明する。図6(a)は支持脚8の下部を示す側面図、(b)は同じく平面図、図7(a)は支持脚8の上部の側面図、(b)は同じく平面図である。
【0034】
支持脚8は、組立て式階段1の高さ方向中ほどに配置される。支持脚8は、下階の下床面7に固定される平面視矩形のベース板60と、ベース板60の中心から一体に立設される下円筒状脚体61と、下円筒状脚体61の上端部に上方から嵌合する上円筒状脚体62とを有する。ベース板60は四隅部に形成された挿通孔60aにボルト59を挿通して下床面7に固定される。
【0035】
下円筒状脚体61の筒状本体部63は同一断面に形成されている。下円筒状脚体61の上端面には、内筒部を覆うように平面視円形の下脚蓋部材64が載置されて、且つ固定(溶接)されている。下脚蓋部材64の中心部に挿通孔65が形成されており、この挿通孔65と連通する雌ねじ67を有するナット部材68(この場合、六角ナットが用いられている)が下脚蓋部材64の裏面に溶接により固定されている。さらに、下脚蓋部材64の挿通孔65の外周部に、タップ孔64aが90°置きに形成されている。下円筒状脚体61の上部外周部には、保護シート70が巻かれている。
【0036】
上円筒状脚体62の筒状本体部71は、下円筒状脚体61の筒状本体部の断面に比べて該筒状本体部の厚み分ほどに大きな同一断面に形成されている。上円筒状脚体62の筒状本体部71の下部は、下円筒状脚体61の筒状本体部の上部(保護シート70が巻かれている高さ領域)に外嵌する嵌合領域とされている。
【0037】
上円筒状脚体62の筒状本体部71の上端部にリング部材72が内嵌固定されている。リング部材72の上端面に、リング部材72の内筒部を覆うように平面視円形の上脚蓋部材73が載置、且つ固定(溶接)されている。リング部材72は上円筒状脚体62の筒状本体部71の上端面から所定量だけ上方に突出した突出部74を有する。リング部材72は前記踏板連結体6の第二支持筒体32に上下方向で嵌合すべく、リング部材72の外径は第二支持筒体32の内径にほぼ一致している。
【0038】
上脚蓋部材73の中心部に挿通孔75が形成されており、この挿通孔75と連通する雌ねじ76を有するナット部材77(この場合、六角ナットが用いられている)が上脚蓋部材73の裏面に溶接により固定されている。ナット部材77に、脚ボルト80が螺合してその上端部がナット部材77に溶接されている。脚ボルト80は、上円筒状脚体62の筒状本体部71の高さとほぼ等しい長さを有している。
【0039】
ここで、支持脚8に取付けられる踏板連結体6と、他の踏板連結体5との相違点を記載すると、支持脚8に取付けられる踏板連結体5,6では、その下側の大径筒部36の下部に止めボルト81(図5参照)を挿入する止めタップ孔82の有無である。すなわち、支持脚8に取付けられる踏板連結体6には止めタップ孔82が形成されており、他の踏板連結体5ではこれを有しない。止めタップ孔82は、止めボルト81を挿入して前記リング部材72の突出部74の外周面に止めボルト81の先端平面を圧接するためのもので、大径筒部36の下部に周方向三か所に等間隔で形成されている。もしくは、リング部材72の突出部74の側面にタップ孔(図示せず)を、該側面に180°置きに形成して、止めボルト81を該タップ孔、止めタップ孔82の双方に螺合するようにして用いられる。
【0040】
前記踏板2は、前記踏板載置板45に取付け板85を介して載置される。図8(a)は取付け板85の平面図、同図(b)は側面図である。これらの図に示すように、取付け板85は、平面視して前側の幅が次第に小さくなる先端の台形部86と、台形部の基端部に延長して設けられる細長の矩形板部87と、矩形板部87の基端部から折曲げて立設させた埋込み部88とを一枚もので形成している。台形部86の左右方向中心には、前記第二支持筒体32における高さ調整ボルト48(図5参照)の頭部(ナット部材50)が挿通するのを許容する第一許容孔90が形成されている。
【0041】
第一許容孔90の外周部には、第二支持筒体32の挿通孔53に挿通する水平調整ボルト52の頭部52aの挿入を許容する第二許容孔91が、挿通孔53に対応する位置に形成されている。さらに、第二支持筒体32におけるフランジ部46の各隅部近傍のタップ孔54に対応する第二許容孔91の外周部四か所には、小孔92が形成されている。小孔92からタップ孔54に取付けねじ(図示せず)を挿通螺合することで、踏板載置板45の上面に取付け板85が載置固定される。なお、第一許容孔90および第二許容孔91は、台形部86の範囲内に配置されている。
【0042】
取付け板85の所要位置に、踏板2を取付け板85に固定するための固定ねじ93を下方から挿通する挿通孔94が複数形成されている。これら挿通孔94は、取付け板85の外周縁に沿うよう配置されている。
【0043】
次に、上位連結具17の説明をする。図9(a)は上位連結具17の側面図、(b)は平面図、(c)は正面図である。上位連結具17は、壁15の前面上部に設置される垂直方向の固定プレート95と、固定プレート95に一方側が溶接される水平方向の上位介装体96と、上位介装体96を介して固定プレート95に固定される上位支持筒体97とを有する。上位介装体96と上位支持筒体97とは溶接によって固定されている。上位介装体96は上位支持筒体97の左右方向中心で、且つ下方寄りに固定されている。固定プレート95の下縁を除く周縁部に、壁15の前面上部にに固定プレート95を固定するための固定ボルト98を挿通するボルト孔99が複数形成されている。上位介装体96は矩形の中空断面に形成されている。上位介装体96の他方側は上位支持筒体97の外周面に溶接されている。
【0044】
上位支持筒体97の構成は、前記第二支持筒体32の構成と同様であるので、図5と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0045】
この実施形態に係る踏板連結装置3は、踏板2どうしの蹴上げ高さを調整する高さ調整機構100および踏板載置板45の水平度を調整するための水平調整機構101が設けられている。
【0046】
高さ調整機構100は、踏板連結体5(6)および上位連結具17においては、踏板載置板45、高さ調整ボルト48、ナット部材50、抜止め部材51、第一支持筒体31の蓋部材38、蓋部材38に形成した挿通孔40、およびナット部材42から構成される。高さ調整機構100は、下位連結具14においては、ベース蓋部材24およびその板面に形成された挿通孔25およびナット部材27を含む。
【0047】
水平調整機構101は、踏板連結体5(6)および上位連結具17においては、踏板載置板45、その板面に形成された前記挿通孔53、水平調整ボルト52、第一支持筒体31の蓋部材38、およびその板面に形成されたタップ孔43から構成されている。水平調整機構101は、下位連結具14においては、ベース蓋部材24およびその板面に形成されたタップ孔28を含む。
【0048】
図10は踏板2の構成を示す図で、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は(a)におけるA−A線断面図である。これらの図に示すように、踏板2は、平面視して横長矩形に形成されている。踏板2の左右方向中心領域で、且つ前後方向中心領域、すなわち高さ調整ボルト48、水平調整ボルト52に対応する位置に、高さ調整ボルト48に螺合するナット部材50、水平調整ボルト52の頭部52aがそれぞれ挿入される頭部溝102,103が形成されている。高さ調整ボルト48用の頭部溝102は、水平調整ボルト52の頭部溝103に比べて深く形成されている。踏板2には、取付け板85の埋込み部88が嵌合する細長溝104が、踏板2の前面2aに平行に形成されている。踏板2の上面2bの前面2a側には、滑り止めとして二条の平行な掘込み溝2cが形成されている。
【0049】
図11は、踏板連結体5(6)を用いて踏板2を支持した状態の一部を示す下方からの斜視図である。ここで、上記踏板連結装置3、すなわち踏板連結体5(6)、下位連結具14、上位連結具17、および支持脚8を用いて複数段の踏板2を設置する手順を説明する。踏板2の設置手順としては、下段側、上段側の何れから行ってもよいが、まず、設置する踏板2の段数に応じて、下位連結具14、上位連結具17を予め設置しておくことが好ましい。下床面7から上階の上床面9までの高さは予めわかっているから、踏板2を何段設けるかを決めて、下床面7から上階の上床面9までの高さ、踏板2を設置する下床面7から上階の上床面9までの水平距離を決めて、下位連結具14、上位連結具17をそれぞれ壁15の前面上部、下床面7に設置する。
【0050】
上位連結具17を壁15の前面上部に設置する場合、図9で示したように、固定ボルト98をボルト孔99に挿通して壁15に螺合することで固定プレート95を壁15に固定する。下位連結具14を下床面7に設置する場合、図4で示したように、ベース板21のボルト孔20aにボルト20を挿通し下床面7に螺合することで固定する。
【0051】
上位連結具17とそれに隣合う踏板連結体5を連結するには、上位連結具17の上位支持筒体97に、踏板連結体5の第一支持筒体31における小径筒部35を下方から嵌合し、上位連結具17の高さ調整ボルト48を回転させて第一支持筒体31のナット部材42に高さ調整ボルト48を螺合する。これによって、上位連結具17に対してそれに隣合う踏板連結体5が仮支持される。
【0052】
さらに、上位連結具17の水平調整ボルト52を回転させて、これを踏板連結体5の蓋部材38に形成したタップ孔43に螺合する。このようにすることで、踏板連結体5は、上位連結具17に五本のボルトで支持されることになる。
【0053】
下位連結具14に、それに隣合う踏板連結体5を連結するには、下位連結具14のベース筒部22に対して踏板連結体5の第二支持筒体32を上方から嵌合するようにし、踏板連結体5の高さ調整ボルト48を下位連結具14のベース蓋部材24に形成した挿通孔25に挿通し、高さ調整ボルト48を回転させてナット部材27に螺合する。さらに、踏板連結体5の水平調整ボルト52を回転させて、ベース蓋部材24のタップ孔28に螺合する。このようにすることで、下位連結具14に、それに隣合う踏板連結体5が確実に連結される。
【0054】
踏板連結体5どうしを連結する場合を、下位側から連結していく場合を説明する。この場合は、下位にある踏板連結体5の第一支持筒体31における小径筒部35に、ひとつ上位に隣合う踏板連結体5の第二支持筒体32を上方から嵌合するようにし、上位にある踏板連結体5の高さ調整ボルト48を回転させて、下位にある踏板連結体5のナット部材27に螺合する。また、上位にある踏板連結体5の水平調整ボルト52を回転させて、下位にある踏板連結体5の蓋部材38に形成されたタップ孔43に水平調整ボルト52を螺合する。
【0055】
上記のようにして、下位から上位へ向けて踏板連結体5どうしを連結する。そして、下位の踏板連結体5の踏板載置板45と上位の踏板連結体5の踏板載置板45との高さの差は高さ調整ボルト48を回転させることで、例えば下位の踏板連結体5に対して上位の踏板連結体5を上下動させることで行うことができる。このとき、踏板載置板45に載置固定する取付け板85の厚み、踏板2の厚みは予め分かっているから、これらの厚みを考慮した上で、踏板載置板45どうしの高さの差を調整して実際の踏板2どうしの蹴上げ高さhとなるようにする。
【0056】
各踏板載置板45が水平になっているかどうかは、不図示の水準器を用いて行う。踏板載置板45を水平にするためには水平調整ボルト52を回転させて水準器を置く場所を変更しながら行うことが好ましい。第二支持筒体32の筒部下部の左右部の止め孔55に、それぞれ不図示の止めボルトを螺合することで、下位の踏板連結体5の第一支持筒体31の小径筒部35と、上位の踏板連結体5の第二支持筒体32とのぐらつきを確実に防止することができる。下位の踏板連結体5の第一支持筒体31の小径筒部35と、上位の踏板連結体5の第二支持筒体32とを嵌合すると、両者は緩衝材56を介して嵌合しているため、金属と金属の嵌合を回避している。したがって、金属と金属の接触による摩擦がなく、長期使用に伴うガタを吸収し易い。
【0057】
ところで、踏板連結体6はさらに支持脚8が連結される。支持脚8は、ベース板60を、挿通孔60aにボルト59を挿通して下床面7に螺合することで、下円筒状脚体61を下床面7に立設し、下円筒状脚体61の上端部に上方から上円筒状脚体62を嵌合し、ナット部材77に、脚ボルト80が螺合するよう上円筒状脚体62を回転させることで組立てられる。この場合も、下円筒状脚体61と上円筒状脚体62とは、保護シート70を介して嵌合しているから、金属と金属の嵌合を回避している。
【0058】
この支持脚8に踏板連結体6を連結するには、踏板連結体6の大径筒部36を上方からリング部材72の突出部74に嵌合するようにする。そして止めボルト81を止めタップ孔82に螺合して、止めボルト81の先端平面をリング部材72の突出部74の外周面に圧接するようにすることで、両者のガタをなくして、両者が確実に固定しあうようにする。もしくは、リング部材72の突出部74の側面に形成した不図示のタップ孔を側面に180°置きに形成して、止めボルト81を該タップ孔、止めタップ孔82の双方に螺合するようにして、支持脚8に踏板連結体6を固定しあうようにする。踏板連結体6と、その上位と下位の踏板連結体5との連結は、踏板連結体5どうしの連結と同様にして行うので、その説明を省略する。
【0059】
踏板載置板45に取付け板85を取付けるには、各踏板載置板45に取付け板85を、その第一許容孔90、第二許容孔91にそれぞれナット部材50、水平調整ボルト52の頭部52aを挿入するようにして載置し、取付け板85の小孔92から踏板載置板45のタップ孔54に取付けねじを挿通螺合することで両者を固定する。このとき、前述のようにして踏板載置板45の高さ位置調整、および水平度の調整を行っているから、取付け板85も実質的に水平になっている。しかし、仮に取付け板85を踏板載置板45に取付けた後に取付け板85の水平度が満足しないものであれば、再び水平調整ボルト52を回転させて取付け板85の水平調整を行えばよい。このとき、ナット部材50、水平調整ボルト52の頭部52aは取付け板85から上方に突出しているから、その操作を行うことが可能である。水平調整ボルト52は、蓋部材38に形成したタップ孔43に螺合して保持することで、高さ調整ボルト48での踏板連結体5(6)どうしの連結固定を確実なものとする機能を有している。
【0060】
なお、水平調整ボルト52は水平度調整という機能からは、四本ではなく、高さ調整ボルト48を中心として三角点上に配置するよう三本設ければよい。しかし、高さ調整ボルト48での踏板連結体5(6)どうしの連結固定を確実なものとする機能を考慮して、この実施形態では四本設けるようにしている。
【0061】
取付け板85の水平度が確保できたら、続いて踏板2を取付け板85に固定する。このとき、ナット部材50、水平調整ボルト52の頭部52aがそれぞれ頭部溝102,103に挿入されるよう、且つ取付け板85の埋込み部88が踏板2の細長溝104に挿入されるようにする。そして、取付け板85の挿通孔94にそれぞれ、固定ねじ93を下方から挿通し、踏板2の板面に固定ねじ93を裏面から螺合して、踏板2を各取付け板85に固定する。但し、ここでは手摺り4を設ける場合は、後述するように、踏板2を各取付け板85に固定するに先立って所定の踏板2、即ち前面2aに支柱11を固定する踏板2に関しては、その前面2aに第二取付け金具130を取付けておく。
【0062】
以上、踏板2を必要段数だけ設けてこれらを設置する手順について述べた。このように本発明の実施形態によれば、踏板連結体5(6)どうしの高さ方向の差、すなわち踏板2どうしの蹴上げ高さhの調整を、高さ調整ボルト48を回転させるという簡単な調整によって行うことができる。したがって、この実施形態におけるような複数の踏板2を有して、これらを踏板連結体5(6)どうしの連結により所定の蹴上げ高さhに設置していくタイプの組立て式階段1の組立て作業を、従来に比べて極めて容易に行うことができる。特に、踏板2の枚数が多ければ、従来ではその設置には多大な労力を必要としていた。しかしながら、本発明の実施形態における組立て式階段2では、踏板2どうしの蹴上げ高さhの調整が楽になった分だけ、踏板2の段数が多い場合であっても、組立て式階段1の組立てが楽になる。
【0063】
本発明の実施形態における組立て式階段1は、前記手摺り4を有する。この手摺り4は、前述のように、所定の踏板2に支柱取付け構造10(図1〜図3では符号を省略している)を介して立設される複数(図では五本)の支柱11と、隣合う支柱11どうしを連結する横桟12と、支柱11の上端部間に亙すように設けられる手摺り棒13とを有するものである。
【0064】
図12から図17は、主として手摺り4に関する説明図である。図12は手摺り4の一部を拡大した分解斜視図、図13は支柱11の形状を表しており(a)は一部正面図、(b)は底面図、図14(a)は第一取付け金具の平面図、(b)は同じく正面図、(c)は同じく断面図、図15は第一取付け金具を用いて支柱11を踏板2に設置した状態の支柱11の下部を中心とする斜視図、図16は支柱11を第一取付け金具および第二取付け金具を用いて踏板に設置した状態の底面側からの斜視図、図17(a)は第二取付け金具の単体斜視図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図である。
である。
【0065】
図12および図13に示すように、各支柱11は、前面側の上下方向のレール部105と後面側の上下方向のレール部106と、レール部105,106どうしを介装板107,107を介してその背中合わせに一体に形成され、且つ前後で対称となる高さか方向に同一断面形状に形成されている。
【0066】
各レール部105,106は、平面状の上下方向の案内面(凹面)110,111を有する案内板112,113と、この案内板112,113の左右両側からそれぞれ前後方向に突出して且つ左右方向内方に向けて折り曲げられる上下方向の押さえ部114,115を有する。押さえ部114,115は、前後に突出する連設板116,117を介して、案内面110,111に対向する押さえ面118a,119aを有する押さえ板118,119(凹面に対して突出している他の面である)を有する。押さえ面118a,119aは案内面110,111に連設板116,117による一定の距離dを保持してこれに平行な面とされている。すなわち、支柱11の前面部および後面部には、連設板116,117、押さえ板118,119によって上下方向に長い案内溝部11A,11Bが形成されている。
【0067】
前記介装板107,107は連設板116,117に対してわずかに左右方向内方に奥まった位置に配置されている。その対向板面の前後方向中心に、介装板107,107の高さ方向全域に亙って蟻溝部120,120が形成されている。上記支柱11において、その案内板112,113の下端は、後述の第一取付け金具129の上下方向厚み分、且つ左右方向幅分だけ切欠かれた切欠部11aが形成されている。
【0068】
図12に示すように、組立て式階段1は、踏板2に支柱11を取付けるための支柱取付け構造123を有する。この支柱取付け構造123は、支柱11を設置部としての所定の踏板2の板面に立設すべく支柱11をその基部で固定する第一固定構造部124を有する。また、支柱取付け構造123は、支柱11をその高さ方向途中で別の設置部としての踏板2の前面2aに固定するための第二固定構造部125を有する。
【0069】
同図に示すように、第一固定構造部124は、前記第一取付け金具129を有する。第一固定構造部124は、支柱11の下部と、第一取付け金具129と、支柱11の下部と第一取付け金具129とを踏板2の板面に固定するための複数の固定ボルト126と、これら固定ボルト126に螺合するナット部材127とから構成されている。
【0070】
第二固定構造部125は、支柱11の途中部分と、第二取付け金具130と、第二取付け金具130を支柱11の途中に固定するための固定ボルト131と、第二固定金物130を踏板2の前面2aに固定するための固定ボルト132(図12参照)とを有する。
【0071】
第一取付け金具129は、踏板2の上面に固定される平板状の設置部133と、この設置部133の前後端部から立上げられる平板状の保持部134,135とから一体に形成されている。設置部133の左右幅b1は保持部134,135の左右幅b2に比べて支柱11の略押さえ板118,119の幅分だけ小さく設定されている。保持部134,135の板面には、左右一対の取付け孔136,137がそれぞれ貫通して形成されている。取付け孔136,137どうしは、上下方向に位置ずれして配置されている。その位置ずれ量δは、保持部134,135の上端面134a,135aと踏板2の上面2bを位置にあわせした際に、取付け孔136が踏板2の前面2aに対向し、取付け孔137が、踏板2の前面2aから下方に外れる位置関係にある。設置部133の板面に左右一対の取付け孔140,140が形成されている。
【0072】
第二取付け金具130は、矩形のベース平板142と、このベース平板142の表面に固着された矩形の被案内板143とを有する。ベース平板142の左右幅b3は被案内板143の左右幅b4に比べて大きく設定されている。さらに詳細には、ベース平板142の左右幅b3は連設板116間の左右幅よりわずかに小さく、且つ押さえ板118間の左右幅に比べて大きく設定されている。被案内板143の左右幅b4は、押さえ板118間の左右幅に比べてわずかに小さく設定されている。なお、ベース平板142と被案内板143とは同一の高さに形成されている。
【0073】
第二取付け金具130には、ベース平板142および被案内板143を貫通する取付け孔145,146が形成されている。上方の左右一対の取付け孔145,145は、固定ボルト132が踏板2の前面2aに向けて挿通されるものであり、下方の左右一対の取付け孔146,146は、固定ボルト131が支柱11の案内面110に向けて挿通されるものである。
【0074】
ここで、第一固定構造部124および第二固定構造部125を用いて、支柱11を踏板2に固定するための手順を説明する。この実施形態では、支柱11は、踏板2を一段置きから二段置きに配置されている。
【0075】
所定の踏板2の後部上面の片側に、第一取付け金具129の設置部133を載置し、踏板2の下側から固定ボルト126を螺合して、設置部133の取付け孔140,140に挿通し、固定ボルト126に上方からこれにナット部材127を螺合することで第一取付け金具129を踏板2に確実に固定する。これによって、第一取付け金具129は上側を開放した状態で踏板2の上面2bに設置された状態となる。
【0076】
一方、踏板2を各取付け板85に固定するに先立って踏板2の前面2aには第二取付け金具130を取付けておく。第二取付け金具130を取付ける位置は、踏板2の下端面からほぼ蹴上げ高さhに等しい位置である。第二取付け金具130を踏板2の前面2aに取付けるには、踏板2の上面2bと第二取付け金具130の上端面134a,135aとを位置合わせした状態で取付け孔146に固定ボルト132を挿通するようにして、これを踏板2の前面2aに螺入することで行う。
【0077】
上記のように、踏板2の上面2bに第一取付け金具129を固定し、踏板2の前面2aに第二取付け金具130を固定した状態で、支柱11の案内溝部11Aに第二取付け金具130のベース平板142を摺動させて挿入するように、第二取付け金具130に対して支柱11を上方から挿入し下方へ向けて案内する。そして支柱11の案内溝部11A,11B双方の下端部に第一取付け金具129の保持部134,135がそれぞれ挿入されるようにする。そうすると、第一取付け金具129の保持部134,135は支柱11の案内溝部11A,11Bにそれぞれ嵌合して、且つ第一取付け金具129の設置部133が切欠部11aが嵌合することになり、支柱11の下端面は、踏板2の上面2bに当接することになる。これによって、上下に隣合う踏板2,2に対して、支柱11がそれぞれ下端部、上下高さ方向途中で、仮止めされた状態となる。
【0078】
次に、第一固定構造部124においては、取付け孔136,137それぞれに、固定ボルト126を挿入し、これら固定ボルト126を支柱11のレール部105,106の案内面110,111にそれぞれ螺合する。第二固定構造部125においては、取付け孔145に固定ボルト131を挿通するようにして、支柱11の案内面110に螺入するようにする。これによって、踏板2に仮止めされていた支柱11が上下の踏板2,2に確実に固定されて支持されることになる。
【0079】
このような第一固定構造部124および第二固定構造部125によれば、第一取付け金具129を踏板2の上面2bに固定し、第二取付け金具130を踏板2の前面2aに固定して支柱11を上方から両金具129,130に嵌込んでボルト止めするといった簡単な動作によって、支柱11を踏板2に確実に取付けることができる。
【0080】
特に、第一固定構造部124の第一取付け金具129、第二固定構造部125の第二取付け金具130を、固定踏板2の上面2b、前面2aに予め固定しておくことによりその取付け作業を楽に行うことができる。
【0081】
さらに、第一固定構造部124において、第一取付け金具129の設置部133は、支柱11の下端部によって上方から覆われて隠されることになるから見えない。第一取付け金具129の保持部134,135は押さえ板118,119の表面とほぼ面一となることで、外観上違和感が少ない。さらに支柱11は、基部を第一取付け金具129で支持されていて、支柱11の押さえ板119が保持部135に前後方向で係止し、支柱11の押さえ板118が保持部134に前後方向で係止することが可能であるから、第一固定構造部124において支柱11が前後方向に移動してしまうようなことはない。
【0082】
第二固定構造部125において、支柱11の押さえ板118が踏板2の前面2aに固定されている第二取付け金具130のベース平板142と前後方向で係止することが可能であるから、第二固定構造部125において支柱11が前後方向に移動してしまうようなことはない。
【0083】
このように支柱11は基端部と途中部という複数箇所で上下の踏板2で支持されており、前述のように前後方向への移動を確実に防止されており、且つ左右のボルト132,136等で支持されているから、左右方向のぶれやガタ(ぐらつき)を確実に防止することができる。
【0084】
次に図18および図19に基づいて、横桟12における横桟取付け構造150を説明する。横桟取付け構造150は、支柱11間に配置される杆状の横桟部材151(例えば、図12参照)を、支柱11の上下方向途中に亙してその両端で取付ける構造である。横桟取付け構造150は、支柱側横桟取付け金具148と、横桟側取付け金具149とを有する。図18(a)は横桟取付け金具の側面図、(b)は平面図、(c)正面図である。
【0085】
支柱側横桟取付け金具148は、支柱11間に配置される杆状の横桟部材151を支柱11の所定の上下方向途中位置に配置するものである。支柱側横桟取付け金具148は、ほぼ正方形のベース板部材152とこのベース板部材152から立設される受け側の支持ヒンジ153とを有する。ベース板部材152は支柱11の案内面110,111に固定されるものである。支持ヒンジ153の頭部155は球状に形成されて、中心に縦方向のスリット156が形成されている。頭部155には、スリット156に連通するとともにスリット156に直交する方向のピン157の挿入孔158a,158bが形成されている。ベース板部材152の上下部には、取付けボルト160,160を挿入するボルト孔161,161が一対で形成されている。
【0086】
図19(a)は横桟側取付け金具149の側面図、(b)は平面図、(c)は背面図である。横桟側取付け金具149は、横桟部材151の各長さ方向端部に外嵌する筒部162と、筒部162の先端に形成されて前記スリット156に挿入される円板部163とを有する。円板部163の中心には、ボルト孔158a,158bに連通するヒンジ孔165が形成されている。筒部162の途中には、挿入された横桟部材151の端部151aを固定する固定ボルト166が挿入されるボルト孔164が一対で形成されている。
【0087】
上記構成の、横桟取付け構造150では、支柱11の所要位置に上下対のねじ孔170,170を形成することで、このねじ孔170,170に支柱側横桟取付け金具148のベース板部材152に形成したボルト孔161,161に取付けボルト160,160を挿入してねじ孔170,170に螺入することで、支柱側横桟取付け金具148を支柱11に固定するようにする。
【0088】
一方で、横桟部材151の端部151aに筒部162を外嵌するよう装着してボルト孔164に固定ボルト166を挿入して螺着することで、横桟部材151の端部151aに横桟側取付け金具149を取付けておく。そして、円板部163を支柱側横桟取付け金具148のスリット156に嵌めて、挿入孔158a,158b、ヒンジ孔165にピン157を挿通する。これにより、横桟部材151の一方の片側の端部はピン157回りに回動自在に支持される。同様の取付け工程を横桟部材151の他方の片側においても行うことで横桟部材151が両端部で支柱11に支持される。上記のような工程を、必要な横桟部材151について行う。
【0089】
このような構成の横桟取付け構造150によれば、支柱側横桟取付け金具148のベース板部材152と支柱11の案内面110,111とは平面どうしで固定されるからガタが生じにくい。また、ねじ孔170,170を所望の位置に形成でき、横桟部材151の端部はピン157回りに回動自在に支持されるから、階段の傾斜等、場合に応じた横桟部材151の位置を設定することが可能になる。
【0090】
次に、図20および図21に基づいて、手摺り棒13における手摺り棒取付け構造175を説明する。図20(a)は支柱11に手摺り棒取付け構造175を取付けた正面図、(b)は側面図である。手摺り棒取付け構造175は、手摺り棒13を支柱11に支持すべく支柱11の上端解放部を覆うキャップ部材176と、このキャップ部材176に取付けられるとともに手摺り棒13をその途中で支持する受け部材177とを有する。
【0091】
始めにキャップ部材176を説明する。図21(a)はキャップ部材176の正面図、(b)は側面図、(c)は平面図である。これらの図に示すように、キャップ部材176は支柱11の上端面に載置されて支柱11の上端解放部を覆うベース板部材178と、ベース板部材178の上面からさらに上方に突出する受け側の支持ヒンジ180とを有する。ベース板部材178は支柱11の上端面に取付けねじ181を介して固定されるものである。すなわち、ベース板部材178の板面前後部に形成されたねじ孔182,182に取付けねじ181,181を挿入して、これを支柱11の蟻溝部120,120(特に図13参照)に上端側から螺着することで、確実に設置させる。
【0092】
支持ヒンジ180の頭部184は球状に形成されて、中心に縦方向のスリット185が形成されている。頭部184には、スリット185に連通するとともにスリット185に直交する方向のピン186の挿入孔187a,187bが形成されている。
【0093】
図20に示すように、受け部材177は、キャップ部材176のスリット185に挿入される円板部190と、この円板部190に平板状の連結部191を介してその上部に一体的に形成される手摺り棒13の受け体部192とを有する。円板部190は支持ヒンジ180の頭部184のスリット185に挿入されるもので、その中心には挿入孔187a,187bに連通するヒンジ孔193が形成されている。
【0094】
受け体部192は、断面円弧状に形成されている。受け体部192の上面は、手摺り棒13の外周面の曲率に合致した曲率を有するよう下方に凸となる受け面194となっている。受け体部192の板面には、手摺り棒13に螺合する取付けねじ195を挿通するための取付け孔196が適宜位置に形成されている。このような構成の手摺り棒取付け構造175を支柱11の数だけ有して、各支柱11と手摺り棒13との間に手摺り棒取付け構造175が設けられている。
【0095】
上記構成の手摺り棒取付け構造175では、ベース板部材178のねじ孔182,182に取付けねじ181,181を挿入し、これを支柱11の蟻溝部120,120に上端側から螺着してキャップ部材176を支柱11に固定し、スリット185に受け部材177の円板部190を挿入して、ピン186を挿入孔187a,187b、ヒンジ孔193に挿通させる。これにより、受け部材177がキャップ部材176に対して、ピン186回りに回動自在に支持された状態となる。この構成により、階段の傾斜にあわせて手摺り棒13を支柱11に設置することができる。上記取付けを各支柱11について行う。
【0096】
そして、手摺り棒取付け構造175の受け体部192に、手摺り棒13の途中部分を載置し、取付け孔196に取付けねじ195を挿通してこれを手摺り棒13の周面から螺着することで、受け体部192に手摺り棒13を固定する。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の組立て式階段の全体概略側面図
【図2】同じく平面図
【図3】同じく正面図
【図4】図4(a)は下位連結具の単体平面図、(b)は下位連結具の中央縦断面図、(c)は下位連結具の単体底面図
【図5】図5(a)は踏板連結体の一部破断側面図、(b)は平面図、(c)は背面図
【図6】図6(a)は支持脚の下部を示す側面図、(b)平面図
【図7】図7(a)は支持脚の上部の側面図、(b)は平面図
【図8】図8(a)は取付け板の平面図、b)は側面図
【図9】図9(a)は上位連結具の側面図、(b)は平面図、(c)は正面図
【図10】図10(a)は踏板の平面図、(b)は正面図、(c)は底面図、(d)は(a)におけるA−A線断面図
【図11】本発明の実施形態を示す踏板連結体を用いて踏板を支持した状態の一部を示す下方からの斜視図
【図12】同じく手摺りの一部を拡大した分解斜視図
【図13】同じく支柱の形状を表しており(a)は一部正面図、(b)は底面図
【図14】同じく(a)は第一取付け金具の平面図、(b)は正面図、(c)は断面図
【図15】同じく第一取付け金具を用いて支柱を踏板に設置した状態の支柱の下部を中心とする斜視図
【図16】同じく支柱を第一取付け金具および第二取付け金具を用いて踏板に設置した状態の底面側からの斜視図
【図17】同じく(a)は第二取付け金具の単体斜視図、(b)は縦断面図、(c)は横断面図
【図18】同じく(a)は横桟取付け金具の側面図、(b)は平面図、(c)正面図
【図19】同じく(a)は横桟側取付け金具の側面図、(b)は平面図、(c)は背面図
【図20】同じく(a)は支柱に手摺り棒取付け構造を取付けた正面図、(b)は側面図
【図21】同じく(a)はキャップ部材の正面図、(b)は側面図、(c)は平面図
【符号の説明】
【0098】
1…組立て式階段、2…踏板、3…踏板連結装置、4…手摺り、5,6…踏板連結体、7…下床面、8…支持脚、10…支柱取付け構造、11…支柱、11A,11B…案内溝部、12…横桟、13…手摺り棒、14…下位連結具、15…壁、17…上位連結具、21…ベース板、22…ベース筒部、24…ベース蓋部材、30…連結体本体、31…第一支持筒体、32…第二支持筒体、33…中間介装体、35…小径筒部、36…大径筒部、38…蓋部材、42…ナット部材、43…タップ孔、45…踏板載置板、46…フランジ部、48…高さ調整ボルト、50…ナット部材、53…挿通孔、60…ベース板、61…下円筒状脚体、62…上円筒状脚体、63…筒状本体部、64…下脚蓋部材、65…挿通孔、68…ナット部材、71…筒状本体部、72…リング部材、74…突出部、77…ナット部材、80…脚ボルト、82…止めタップ孔、85…取付け板、90…第一許容孔、91…第二許容孔、95…固定プレート、96…上位介装体、97…上位支持筒体、101…水平調整機構、105,106…レール部、107…介装板、110,111…案内面(凹面)、112,113…案内板、114,115…押さえ部、116,117…連設板、118…押さえ板、120…蟻溝部、123…支柱取付け構造、124…第一固定構造部、125…第二固定構造部、129…第一取付け金具、130…第二取付け金具、131…固定ボルト、133…設置部、134,135…保持部、142…ベース平板、143…被案内板、148…支柱側横桟取付け金具、149…横桟側取付け金具、150…横桟取付け構造、151…横桟部材、175…手摺り棒取付け構造、192…受け体部、194…受け面、h…蹴上げ高さ、δ…位置ずれ量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
踏板をその下方で支持するとともに別の踏板連結体に連結して用いられる踏板連結体であって、
連結体本体が上段側の支持筒体と下段側の支持筒体とを有して、該両支持筒体は踏板設置方向に距離を置いて一体に設けられ、前記上段側の支持筒体と下段側の支持筒体のそれぞれにおいて、踏板を支持する領域に、高さ調整ねじ部材が螺合するナット部材が位置決め固定されていることを特徴とする踏板連結体。
【請求項2】
ナット部材は各支持筒体の上端部内径側に固定されていることを特徴とする請求項1記載の踏板連結体。
【請求項3】
下段側の支持筒体の上端面に、踏板を載置するための載置板が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の踏板連結体。
【請求項4】
載置板の水平度を調整するための調整機構が設けられていることを特徴とする請求項3記載の踏板連結体。
【請求項5】
請求項3または請求項4記載の踏板連結体を連結し、各載置板上に踏板が載置固定されていることを特徴とする組立て式階段。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2007−247333(P2007−247333A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74734(P2006−74734)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(595130034)株式会社山善 (7)
【Fターム(参考)】