説明

身体情報記録装置

【課題】電極の接続部にゴミや垢、あるいは身体貼り付けに使用するゲル剤等が付着したり、接続構造が破損したりして電気導通機能が劣化した場合であっても、心電計自体の交換を要することなく容易に電気導通機能を回復し得ると共に、常時装着の用に供するべく防水性、耐振動性、耐外圧強度と共に一層の軽量化、小型化を可能とする。
【解決手段】身体に貼り付けて身体情報用の電気信号を取得する生体電極1と、生体電極1からの電気信号を身体情報として記録する記録装置2とを具備するものであって、記録装置2は、電池を収容する収容部30と、収容部30から取り外し可能に設けられた、電池の収容蓋31とを備え、この収容蓋31は、前記生体電極1との第一電気接続部、及び収容部30との第二電気接続部を備え、生態電極1から取得された電気信号は、第一電気接続部、第二電気接続部を介して記録装置2に伝達される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は身体に装着して携帯し、心電図波形、体動記録およびRR値等を測定、記録することで、装着者の内臓機能を検査する携帯型の身体情報記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、心電図、胎動記録などを記録する検査用器具として、患者の身体に装着して発作時の心臓活動(心電図)を記録するホルター心電計(携帯型心電計)が開示される(例えば特許文献1参照)。このホルター心電計(携帯型心電計)は患者ユニットに取り付けられる患者用電極からの信号を一時記憶するために受けるコネクタと、患者ユニットに記憶された心電信号を再生出力するために外部データ解析装置と接続するためのコネクタとを共用化し、それ以外には他と電気的に接触する手段を持たないようにした。この構成によれば、患者に患者用電極が接続され、それがまた患者ユニットに接続された状態で、患者ユニットから解析用データを取り出すためにデータ解析装置とも接続されるという重複状態が存在しなくなり、本質的に患者が感電することはなくなる、とされる。
【0003】
また従来、心電計又は類似の装置のための生医学電極として、導電性ゲル層と円滑な層フィルムとを備えた使い捨て電極が開示される(例えば特許文献2参照)。この使い捨て電極は、比較的高価な金属導電性材料を有する再使用可能なリード線コネクタとインターフェイス接続され、再使用可能なリード線アダプタは表面吸引を介して使い捨て電極の円滑な層フィルムに取り付けられるビニル製の頂層を有する。また再使用可能なリード線アダプタは部分的な真空を介して使い捨て電極に取り付けられる吸引カップを有することができ、再使用可能なリード線はまた標準のリード線コネクタ内にスナップ嵌合するスタッド部材をも有する、とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−197875号公報
【特許文献2】特表2001−506154号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の心電計は、電極を患者の身体に取り付け、患者ユニットを衣服等に常時装着して持ち運ぶ必要があり、これに関し、上記のような使い捨て電極をコネクタ接続可能とした携帯型の心電計(患者ユニット)といった、運搬性或いは携帯性に優れたものが必要とされていた。
【0006】
しかし、上記使い捨て電極のコネクタは心電計(患者ユニット)との電気的接続が必要であり、心電計(患者ユニット)側の接続部にゴミや垢、あるいは身体貼り付けに使用するゲル剤等が付着したり、接続構造が破損したりして電気導通機能が劣化した場合に容易に清掃、修理することができず、心電計自体の交換を要するという問題が生じてしまう。
【0007】
また特に、携帯型の心電計は常時装着の用に供するべく防水性、耐振動性、耐外圧強度と共に一層の軽量化、小型化が求められている。
【0008】
そこで本発明は、患者に取り付ける電極を接続する接続部にゴミや垢、あるいは身体貼り付けに使用するゲル剤等が付着したり、接続構造が破損したりして電気導通機能が劣化した場合であっても、心電計自体の交換を要することなく容易に電気導通機能を回復し得ると共に、常時装着の用に供するべく防水性、耐振動性、耐外圧強度と共に一層の軽量化、小型化を可能とする携帯型の身体情報記録装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決すべく本発明では下記(1)〜(4)の手段を講じている。
(1)本発明の身体情報記録装置は、身体に接触させて身体情報用の電気信号を取得する生体電極1と、
この生体電極1との有線接続によるリード線12を介して、生体電極1からの電気信号を身体情報として記録する記録装置2とを具備するものであって、
記録装置2は、電池Bを収容する収容部30と、収容部30から取り外し可能に設けられた、電池Bの収容蓋31とを具備してなり、
この収容蓋31は、前記生体電極1との第一電気接続部311、及び収容部30との第二電気接続部312を備え、
生体電極1から取得された電気信号は、第一電気接続部311、第二電気接続部312を介して記録装置2に伝達されることを特徴とする。
【0010】
第一電気接続部311、第二電気接続部312を両備した収容蓋31は、生体電極1と記録装置2とを取り外しあるいは交換可能に仲介する中間接続部としてなる。接続構造の破損や汚れによる電気接触不良が生じた場合には、この収容部31を交換することで容易かつ安価に機能回復を行える。また、前記中間接続部が電池Bの収容蓋31の機能を兼ねた電池Bの収容蓋31からなることで、記録装置2がコンパクトに構成される。
【0011】
(2)前記リード線12の少なくとも一端側には、生体電極1又は収容蓋31に対して繰り返し装着又は取り外し可能に電気導通されるコネクタ構造4を有してなることが好ましい。
【0012】
コネクタ構造4は例えば、後述の図1のように、リード線12の生体電極1側の接続端部に設けたコネクタ突部41と、生体電極1の身体貼り付け面と反対の面に設けたコネクタ受け部42とによって構成される。
【0013】
なお図1のコネクタ突部41はリード線12端部を覆う基板の板面からその法線方向に突出し、その突出端が頭部として膨出した棒状体からなる。一方、コネクタ受け部42はシート状のディスポ電極枠の中央に形成され、前記コネクタ突部41の頭部が嵌入固定される、弾性留め具内蔵の嵌入穴からなる。
【0014】
コネクタ構造4はまた、後述の図9のように、リード線12の記録装置2側の接続端部と記録装置2の側端部とに設けた嵌入構造からなるものとしても良い。コネクタ構造4によって交換可能に導電接続されることで、生体電極1または記録装置2のいずれかのみが破損し或いは電気的不良となった場合に、容易/安価に交換対応することができる。
【0015】
(3)前記収容蓋31及び収容部30はそれぞれ対向当接部32を有するとともに各対向当接部32が対向当接したまま回転によって係止する係止構造を具備してなり、また、第二電気接続部312として、収容蓋31の対向当接部32には収容部30に対して電気接続するコンタクト部31cが、収容部30の対向当接部32には閉蓋時にコンタクト部に接触し得る接続端子30cがそれぞれ設けられ、
係止構造の回転による係止によって、各対向当接部32が摺動することで、前記第二電気接続部312の接続端子30c及びコンタクト部31cが互いに擦動した状態で電気導通されることが好ましい。
【0016】
つまり第二電気接続部312が収容蓋31の回転による係止構造を利用して構成され、接続端子30c及びコンタクト部31cが互いに擦動した状態で電気導通することで、各端子表面の電気導通面が研磨されることで電気導通機能が確実に得られるものとなる。
【0017】
(4)前記収容蓋31または収容部30の少なくともいずれかの対向当接部32であって、接続端子30c及びコンタクト部31cの外周部には、外部からの水の侵入を防ぐ止水パッキン35が備えられることが好ましい。収容蓋31の係止によって外周から止水パッキン35で止水することで、第二電気接続部312への水の浸入を容易に防ぐことができる。また止水パッキン35は対向当接部32に備えられるため、電池交換作業等の際など、止水状況を用意に確認することができる。
【発明の効果】
【0018】
上記手段により、電極との電気接続構造を設けた蓋部を設け、この蓋部を本体から取り外しあるいは交換可能に装着することで、電極や電極配線ないし蓋部における電気導通機能が劣化した場合であっても、当該蓋部を交換することで、心電計自体の交換を要することなく容易に電気導通機能を回復し得る。
【0019】
また、この蓋部を電池収容部の蓋部の機能を兼ねたものとすることで、コネクタ構造と電池収容構造とを別途設ける必要がなく、より一層の軽量化、小型化を可能とする携帯型の身体情報記録装置を提供することが可能となった。また上記身体情報記録装置は、常時装着の用に供するべく防水性、耐振動性、耐外圧強度と軽量化、小型化とを兼ね備えたものとなり得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1の身体情報記録装置の正面視概観図。
【図2】実施例1の身体情報記録装置の背面視構造説明図。
【図3】実施例1の身体情報記録装置における電気接続部の背面視説明図。
【図4】実施例1の身体情報記録装置の側面視構造説明図。
【図5】図4のうち第二電気接続部の構造を示す側面視部分拡大説明図。
【図6】図4のうち本体ケースの嵌合部の構造を示す側面視部分拡大説明図。
【図7】図4のうち電池の電気接続部の構造を示す側面視部分拡大説明図。
【図8】実施例1の身体情報記録装置の全体構成説明図。
【図9】実施例2の身体情報記録装置の全体構成及び使用状態説明図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の身体情報記録装置及びこれによる身体情報記録装置の形態例を、実施例1として示す図1〜図8、及び実施例2として示す図9と共に説明する。身体情報記録装置は身体に取り付けて使用する携帯型の身体情報記録装置であって、基本的に、
・身体に接触させて身体情報用の電気信号を取得する複数の生体電極1と、
・この生体電極1との有線電気接続部であるリード線12を介して、生体電極1からの電気信号を身体情報として記録する記録装置2とを具備する。
【0022】
前記記録装置2は電池Bを収容する収容部30と、収容部30から取り外し可能に設けられた電池Bの収容蓋31とを具備してなる。このうち収容蓋31は、閉蓋によって、収容部30の電池収容空間内に収納した駆動用の電池Bを固定するものである。収容蓋31はまた、リード線12を介して生体電極1に電気接続された第一電気接続部311と、収容部30との閉蓋による電気接触によって電気接続し得る第二電気接続部312とを備えており、第一電気接続部311と第二電気接続部312は収容蓋31内部で電気的に接続されている。
【0023】
身体に貼り付けた生体電極1から取得された、身体情報の電気信号は、リード線12を介して収容蓋31の第一電気接続部311に伝達され、収容蓋31内部の電気的接続によって第二電気接続部312に伝達され、そして第二電気接続部312の電気接触によって、記録装置2の収容部30内の記録部に伝達される。収容蓋31の閉/開動作によって、収容部30に収容した電池Bの導通状態がオン/オフされると共に、第二電気接続部312の収容部30への電気接触自体がオン/オフされる。
【0024】
複数の生体電極1はそれぞれリード線12の先端部と接続され、各リード線12の基端部は、各第一電気接続部311として収容蓋31の片端位置に集合して接続される。第二電気接続部312は、収容部30と収容蓋31の閉蓋時の各対向当接部32にそれぞれ設けられた一対の導電体(接続端子30cとコンタクト部31c)からなり、閉蓋時にこれら導電体同士(接続端子30cとコンタクト部31c)が互いに接触することで電気接続状態となる。
【0025】
ここで、収容蓋31とリード線12、生体電極1とリード線12、或いは収容蓋31に接続された基端側のリード線12と生体電極1に接続された先端側のリード線12、の少なくともいずれかは、繰り返し連結/取り外し可能なコネクタ構造を介して接続されるものとしてもよい。以下、実施例の具体的構成につき詳述する。
【実施例1】
【0026】
実施例1の身体情報記録装置は、記録装置2の収容蓋31を、身体面と当接する記録装置2の背面側に設けており(図2)、また収容蓋31の外周部の一部から複数本のリード線12が接続され、それぞれのリード線12の先端に一対一対応で複数の生体電極1が接続されている(図1)。
【0027】
収容部30と収容蓋31をそれぞれの対向当接部32に当接させたまま一方向に相対回転させることで、回転前記収容蓋31が収容部30に対して係止した閉蓋状態となる。このとき、対向当接部32の各対向面に設けた一対の導電体の電気接触によって第二電気接続部312の電気接続が行われる。逆方向に相対回転させることで係止解除した開蓋状態となる。
【0028】
(生体電極1)生体電極1は身体に貼り付けることで身体面に直接接触可能なシート状のディスポ電極枠と、ディスポ電極枠の貼り付け面側の円形中央部に突出形成された円板状の導電性弾性材と、導電性弾性材とディスポ電極枠の間に設けられて弾性材から伝わった生体電気信号を検知する信号検知部とを有する。
【0029】
ディスポ電極枠は貼り付け面側の円形周囲の環状部分に粘着剤が設けられ、粘着剤によって身体へ定着可能となっている。また円周の一方向にはつまみ部が張り出し形成され、このつまみ部が身体から取り外すときの手がかりとなっている(図1)。
【0030】
ディスポ電極枠の形状は円形のほか矩形、多角形をはじめ任意形状のものを採用することができる。身体表面に直接装着するものであればよく、実施例のような貼付け式のもののほか、身体を挟み込むとともに挟みこんだ内側に電極を有するクリップ式電極枠を使用してもよい。
【0031】
実施例の生体電極1は、シート状のディスポ電極枠の中央に、信号検知部と電気導通した嵌入穴状電極からなるコネクタ受け部42が形成される。一方、生体電極1とつながれるリード線の接続端に、先端に頭部を有する棒状のコネクタ突部41が設けられ、このコネクタ突部41がコネクタ受け部42へ嵌入することで取り外し可能に電気接続される。
【0032】
(リード線12)リード線12は導電体製の伸長線からなり、両端に接続された収容蓋21と生体電極1とを電気導通させる。伸長途中にコネクタ構造が介設され、このコネクタ構造によって生体電極1側接続のリード線12と収容蓋31側接続のリード線12とに分離されるものでもよい(図示せず)。
【0033】
(記録装置2との電気接続)
実施例1では薄型箱状に成形された記録装置2の、片側の側端部から、複数本のリード線12が取り外し不能のまま電気接続されて伸長し、各リード線12の先端に、接続シートを介して同一形状のコネクタ突部41が形成される。各コネクタ突部41に対応して、それぞれコネクタ受け部42を有する5つの生体電極1を嵌入して取り付け、5つの生体電極1を身体の各位置に貼り付ける(図8参照)。実施例1の記録装置2は平面視円形の一部分を三方辺で突出させた形状からなるが、このほかに平面視矩形形状、6角形、8角形といった多角形状からなるものでもよい。
【0034】
(記録装置2)記録装置2は、身体面と当接する背面側に駆動用の電池Bを収容するための収容口を備えた収容部30と、収容部30の収容口を覆うように収容口周囲と対向当接させて一方向へ回転させることで閉蓋状態を維持する電池Bの収容蓋31とを具備してなる。
【0035】
(収容部30)収容部30は電池Bを収容する収容空間と、記録を保存する記録部と、収容蓋31から電気接続される第二電気接続部の受け側の接続端子30cとを内臓する。収容部30の内部には内部基盤23が固定され、内部基盤23の上面に接触端子61,62が配設される(図3、図7)。電池Bはこの内部基板23上に収容され、閉蓋状態で接触端子61,62によって電気導通する。また図4及び図6に示すように、記録装置2の収容部30は、つめ部21cを有した収容下枠21が本体パッキン2Pを介して収容上枠22に嵌入連結されることで形成される。
【0036】
(収容蓋31)収容蓋31は、リード線12を介して前記生体電極1側と電気的に接続する第一電気接続部311と、閉蓋状態で収容部30と電気的に接続する第二電気接続部312とを備える(図4)。生体電極1から取得された身体情報の電気信号は、リード線12を介して第一電気接続部311へ伝達され、さらに第一電気接続部311から図示しない収容蓋31内の導電部を通じて第二電気接続部312へ伝達され、第二電気接続部312の受け側の接続端子30cを介して記録装置2内に伝達される。収容蓋3の上部にはまた、通電状態を表示する点灯表示部52が設けられ、通電時に点灯しまたは電池の電圧消耗時に点滅することで通電状態を使用者に知らしめる。
【0037】
また収容蓋3外周と収容部30上面の外周部には、開蓋位置、閉蓋位置を示す開閉位置表示部36が設けられる。中央には起動又は電源オフ用スイッチボタン51が設けられる。また収容蓋31の外面中央には固定用穴7が設けられ、この固定用穴7に、身体貼付けシート6の外面中央に設けたコネクタ突部42を突入させて取り付けるものとしている(図8)。
【0038】
(対向当接部32、係止構造)
収容蓋31及び収容部30はそれぞれ閉蓋状態で対向当接する対向当接部32を有すると共に、各対向当接部32が対向当接したまま回転摺動して係止する係止構造を具備してなる(図2)。係止構造は図2に示すように、平面視環状の対向当接部32に沿って収容部30上面に等間隔に設けられた複数の係止穴34と、同じく平面視環状の対向当接部32に沿って収容蓋31の下面に等間隔に設けられた同数の係止突片8とから構成される。
【0039】
係止突片8は断面視にて略L字状を形成し、略L字状の片先に、収容蓋31の回転閉蓋方向へ張り出した先部を有する。図2の仮想線(二点鎖線)で示すように収容蓋31を平面視にて収容部に対して平面視左回りにわずかに回転させてずらした状態であわせると、各係止突片8が各係止穴34の位置と合致して各係止穴34内に突入する。この状態で収容蓋31を平面視右回りに回転させることで収容蓋31と収容部30とが同一形状で重なり、このとき収容蓋31とともに回転移動した各係止突片8が各係止穴34の穴端に係止して閉蓋状態を維持する。
【0040】
また図3、図4、図5に示すように、収容蓋31の対向当接部32には収容部30に対して電気接続するコンタクト部31cが設けられ、収容部30の対向当接部32には閉蓋時にコンタクト部に接触し得る接続端子30cが設けられる。係止構造の係止を伴う前記図2の閉蓋動作によって各対向当接部32が摺動することで、前記接続端子30c及びコンタクト部31cが互いに擦動した状態で電気導通される。
【0041】
接続端子30cは収容部の内部基盤23から上方へ突出するコイルバネ内蔵の端子枠30Sの先部に設けられた半球先端の導電性棒体からなり、端子枠30S内にて上方へ弾性付勢されて上方突出支持される(図5)。
【0042】
一方、コンタクト部31cは収容蓋31の下面の対向当接部32に露出して埋め込まれた導電板からなる。接続端子30c及びコンタクト部31cは、収容蓋31の開閉回転方向に沿ってそれぞれ環状に、かつ3つずつが隣接して三方向に等間隔に配置され、閉蓋状態で3つずつ三箇所それぞれの接続端子30c及びコンタクト部31cが位置合わせされて一対一で接触した状態となる(図3)。
【0043】
接続端子30cは具体的には、円筒状の端子枠30Sに支持されて端子枠30Sの先端から、図5に示す弾性突出状態30c´で保持される。開蓋状態ではこのような弾性突出状態30c´となり、上方突出する方向へ弾性付勢され、閉蓋状態では当接するコンタクト部31cに対向接触したまま擦動して、端子枠30S内に没入し、端子枠30S内のコイルバネの弾性反力によって接続端子30cに常時接触した状態となる(図5)。接続端子30cとコンタクト部31cはこのように、開閉時の回転に伴う擦動接触によって電気接続状態となるため、接触部表面の腐食、錆や汚物の付着があった場合でも、擦動接触に伴うふき取り又は研磨効果によって、常に高効率の導電接触を維持することができ、電気接触機能の耐久性に優れたものとなる。
【0044】
なお端子枠30Sは、収容部30の内部を亘って固定された内部基盤23に設けた固定孔にあわせて配置され、各固定孔を挿通する固定ピン30tによって、上方へ突出する状態で固定される(図5)。この内部基盤23の上方が、電池収容のための収容空間となる。また前記収容蓋31または収容部30の少なくともいずれかの対向当接部32には、外部からの水の侵入を防ぐ止水パッキン35が備えられる(図4)。
【実施例2】
【0045】
実施例2の身体情報記録装置は、図9に示すように記録装置2から1本のリード線12を介して接続された生体電極1と、記録装置2の下面に直接コネクタ接続された生体電極1とを有する。実施例2の記録装置2側の第一電気接続部311は、生体電極1から延伸されたリード線12に対し、繰り返し装着及び取り外し可能に電気導通されるコネクタ構造4からなる。また実施例2の記録装置2の背面には、ディスポ電極枠を有した貼りつけ式の生体電極1が、当該生体電極1の身体貼り付け面と反対面中央に設けたコネクタ突部41によって、記録装置2の背面中央部へ直接コネクタ接続される。この記録装置2裏面と生体電極1との直接のコネクタ接続構造4はまた、第一電気接続部311を構成している。実施例2のように、本体を身体へ定着させるためのシートを貼りつけ式の生体電極機能を有するものとし、本体部である記録装置2と、コネクタ接続又は分離可能に連結することで、不要なリード線12の電気接続構造が不要となり、コンパクトに構成することがっできる。なお記録装置2はコネクタ構造4を介さずに裏面の身体当接面に直接身体情報取得用の電極を備えたものとしても良い。他の特記しない構造及び使用方法は実施例1と同様である。
【0046】
その他、本発明は上述した実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜要素の抽出、形態の変更、番手の調整、各実施例間の要素同士の組み合わせの変更、各構成の平面配置及び表裏面の構成順序の入れ替え、および複数の生体電極1や爪部といった複数の構成部品の増減や嵌合形状の変更、蓋部形状や記録部形状といった平面形状の変更、収容蓋のスライド移動による嵌合といった嵌合方式の変更、或いは別体構造の一体化が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の身体情報記録装置は、心電図のほかに血圧、Sp02、呼扱波形、気管音、体位などを記録するものも含まれ、臓器障害の発症の予測、睡眠時無呼扱症の検査などにも利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 生体電極
12 リード線
2 記録装置
30 収容部
30c 第二接続端子
31 収容蓋
31c コンタクト部
311 第一電気接続部
312 第二電気接続部
32 対向当接部
35 止水パッキン
4 コネクタ構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
身体に接触させて身体情報の電気信号を取得する生体電極(1)と、
この生体電極(1)との有線接続による電気接続部を介して、生体電極(1)からの電気信号を身体情報として記録する記録装置(2)とを具備する携帯型の身体情報記録装置であって、
記録装置(2)は、電池を収容する収容部(30)と、収容部(30)から取り外し可能に設けられた、電池の収容蓋(31)とを具備してなり、
この収容蓋(31)は、前記生体電極(1)との第一電気接続部(311)、及び収容部(30)との第二電気接続部(312)を備え、
生態電極(1)から取得された電気信号は、第一電気接続部(311)及び第二電気接続部(312)を介して記録装置(2)に伝達されることを特徴とする身体情報記録装置。
【請求項2】
前記第一電気接続部(311)は、生体電極(1)から延伸されたリード線(12)に対し、繰り返し装着及び取り外し可能に電気導通されるコネクタ構造(4)からなる請求項1記載の身体情報記録装置。
【請求項3】
前記収容蓋(31)及び収容部(30)はそれぞれ閉蓋状態で対向当接する対向当接部(32)を有すると共に、各対向当接部(32)が対向当接したまま回転摺動して係止する係止構造を具備してなり、
また、収容蓋(31)の対向当接部(32)には収容部(30)に対して電気接続するコンタクト部(31c)が設けられ、収容部(30)の対向当接部(32)には閉蓋時に前記コンタクト部(31c)に接触し得る接続端子(30c)が設けられ、
前記係止構造の係止によって、前記接続端子(30c)及びコンタクト部(31c)が擦動した状態で電気導通される請求項1又は2記載の身体情報記録装置。
【請求項4】
前記収容蓋(31)または収容部(30)の少なくともいずれかの対向当接部(32)には、外部からの水の侵入を防ぐ止水パッキン(35)が備えられる請求項1、2、3のいずれか記載の身体情報記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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