説明

車両の前部構造

【課題】吹出ダクト及び表示装置の組付性を確保しながら、後席への空調効率を向上すること。
【解決手段】インストルメントパネルIPの内側に配設され、空調空気が流通するダクトD1と、ダクトD1に形成された開口部O1、O2と、インストルメントパネルIPに形成され、開口部O1、O2がインストルメントパネルIPの内側から当接することにより、開口部O1、O2と連通する通気口E1、E2と、一方端部が車室側からインストルメントパネルIPに当接することにより、通気口E1、E2と連通し、また、他方端部が後席に向けて空調空気を吹き出す吹出ダクトD2a、D2bと、吹出ダクトD2a、D2bの車両前後方向前方でインストルメントパネルIPに設けられ、表示装置A1aを取付可能である取付部A1と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の前後方向に車室が長い車両、例えば、ミニバンやワゴンタイプ等の車両では、インストルメントパネルの上面に設けられた吹出口からルーフに向けて空調空気を吹き出すことにより、ルーフに沿って空調空気を後席に送風するものがある。
【0003】
また、ダクトを覆うようにインストルメントパネルが組み付けられた後に、インストルメントパネルの内側のダクトとインストルメントパネルの表面に設けられた吹出口との間を連結する吹出ダクトを組み付けるものがある。この場合に、ダクトと吹出ダクトの連結部の位置が、インストルメントパネルに設けられた吹出口よりも上下方向上方に位置すると、吹出ダクトを上下方向上方に屈曲させる必要があるため、組付時には、屈曲された吹出ダクトを上下方向上方に持ち上げて連結しなければならない。この問題を解決するため、特許文献1では、インストルメントパネルの内側に吹出ダクトをまっすぐ挿入して、ダクトに吹出ダクトを押し付けるだけで両者を連結する技術が開示されている。
【特許文献1】特許4029682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、空調空気をルーフに沿って送風する場合には、後席乗員に直接風を当てることが困難であり、また、ルーフでの風の乱れや減衰、熱損失も懸念されるため、空調効率が損なわれてしまう可能性がある。
【0005】
一方、吹出ダクトをインストルメントパネルの上下方向上方に突出させて、吹出ダクトの開口を車両前後方向後方に向ければ後席への空調効率を向上できるが、吹出ダクトをダクトと一体的に形成した場合には、吹出ダクトの車両前後方向前方への表示装置の組付性が悪化してしまう。その一方で、特許文献1に開示された技術では、インストルメントパネルの内側で比較的柔らかいダクト同士を連結するため、これらのダクトに変形が生じて組付効率が悪化すると同時に、ダクト同士の気密性が低下して空調効率が低下する可能性がある。
【0006】
従って、本発明の目的は、吹出ダクト及び表示装置の組付性を確保しながら、後席への空調効率を向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明においては、インストルメントパネルの内側に配設され、空調空気が流通するダクトと、前記ダクトに形成された開口部と、前記インストルメントパネルに形成され、前記開口部が前記インストルメントパネルの内側から当接することにより、前記開口部と連通する通気口と、一方端部が車室側から前記インストルメントパネルに当接することにより、前記通気口と連通し、また、他方端部が後席に向けて前記空調空気を吹き出す吹出ダクトと、前記吹出ダクトの車両前後方向前方で前記インストルメントパネルに設けられ、表示装置を取付可能である取付部と、を備えたことを特徴とする車両のインストルメントパネル構造が提供される。
【0008】
本発明によれば、前記ダクト及び前記吹出ダクトのそれぞれが前記インストルメントパネルに当接するため、組付時に当接方向へのストロークが小さくなることにより着脱を容易に行うことができると共に、前記ダクト及び前記吹出ダクトの変形を抑制することができる。また、前記吹出ダクトが後席へ向けて前記空調空気を吹き出すため、後席への空調効率を向上することができる。従って、前記吹出ダクト及び前記表示装置の組付性を確保しながら、後席への空調効率を向上することが可能となる。
【0009】
また、本発明においては、前記開口部及び前記通気口は、上下方向上方に開口しており、前記吹出ダクトは、前記通気口に上下方向上方から当接する構成であってもよい。この構成によれば、前記吹出ダクトを前記通気口に合わせて当接すればよいため、前記インストルメントパネルへの組み付けを容易に行うことができる。
【0010】
また、本発明においては、前記ダクト及び前記吹出ダクトは、シール部材を介して、前記インストルメントパネルに当接する構成であってもよい。この構成によれば、気密性を確保することにより、空調効率を更に向上することができる。
【0011】
また、本発明においては、前記ダクトが、上下方向上方に起立した第1起立部と、前記第1起立部から車幅方向に離間して設けられ、上下方向上方に起立した第2起立部と、を備え、前記開口部が、前記第1起立部に設けられた第1開口部と、前記第2起立部において、前記第1開口部に対して車幅方向に対向する位置に設けられた第2開口部と、を備え、前記通気口が、前記第1開口部に連通する第1通気口と、前記第1通気口に対して車幅方向に対向する位置に設けられ、前記第2開口部に連通する第2通気口と、を備え、前記吹出ダクトが、前記第1通気口に配設された第1吹出ダクトと、前記第2通気口に配設され、前記第1吹出ダクトと挟み部材を挟んで車幅方向に並んで配設される第2吹出ダクトと、を備えた構成であってもよい。この構成によれば、前記第1及び第2吹出ダクトが、前記第1及び第2起立部との間で挟み部材を挟んで車幅方向に並んで配設されるため、車幅方向への付勢力が働くことにより前記第1及び第2吹出ダクトと前記インストルメントパネルとの間の気密性を更に高めることができる。
【0012】
また、本発明においては、前記吹出ダクトを上下方向上方から覆うカバー部と、前記カバー部に一体的に形成され、前記表示装置の上下方向上方において延在する庇部とを有するフード部材を更に備えた構成であってもよい。この構成によれば、前記カバー部と前記庇部とが一体的に形成されるため、簡易な構成により前記インストルメントパネル周辺の見栄え及び前記カバー部の取付強度を向上することができる。
【0013】
また、本発明においては、前記取付部は、車両前後方向後方から見て前記吹出ダクトと重なり、かつ、運転者の前記表示装置への視線を遮らないように、前記吹出ダクトから離間して配設される構成であってもよい。この構成によれば、前記吹出ダクトを前記インストルメントパネルに省スペースで配設することができる。
【0014】
また、本発明においては、前記吹出ダクトの上下方向下方側に近接して前記インストルメントパネルに配設され、前記表示装置とは異なる表示装置を取付可能である前記取付部とは異なる取付部を更に備えた構成であってもよい。この構成によれば、前記表示装置とは異なる表示装置を設けることにより、前記インストルメントパネルの剛性を向上することができる。また、前記取付部とは異なる取付部を前記吹出ダクトの上下方向下方側に近接して配設したため、乗員にとって見易い位置である比較的高い位置に前記表示装置を配設することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、吹出ダクト及び表示装置の組付性を確保しながら、後席への空調効率を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で以下の実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る車室内の状態を示す平面図であり、図2は、車室内の状態を示す側面図である。図3は、車室側から見たインストルメントパネルIPを示す図であり、図5は、フード部材H及び吹出ダクトD2a、D2bのインストルメントパネルIPへの組み付け状態を示す分解斜視図である。
【0018】
本実施形態では、車室が車両前後方向に長い車両(すなわち、ミニバンタイプやワゴンタイプ等)を想定しており、車室内には、車両前後方向に並んで3列のシートが配設される。1列目のシートは、運転席であるシートS1aと、助手席であるシートS1bからなる。2列目のシートは、シートS2a、S2b、S2cの3席からなり、シートS2cは、上下方向に折り畳み可能に構成される。3列目のシートは、シートS3a、S3bからなる。なお、2列又は4列以上のシートが車両前後方向に並んでいても本発明を適用することができる。1列目のシートの上下方向上方には、2及び3列目のシートの乗員のためのリアディスプレイRDがルーフRから車室内側に突出して配設される。
【0019】
シートS1a、S1bの車両前後方向前方には、インストルメントパネルIPが配設される。インストルメントパネルIPには、種々の計器類が配設される。例えば、シートS1aの車両前後方向前方には、運転速度やエンジン回転数等の走行状況が表示されるメータパネルと、図示しない熱交換器を有する空調装置の側方吹出口B5とが配設される。また、シートS1bの車両前後方向前方には、空調装置の側方吹出口B6と小物等を収容する収容部F1とが配設される。側方吹出口B5、B6には、風向を乗員の操作により手動で調節可能であるルーバユニットが配設される。このルーバユニットは、完全に遮蔽することにより、空調空気の吹き出しを完全に停止させることもできる。
【0020】
インストルメントパネルIPの車幅方向中央には、空調装置の後席用吹出口B1、B2と、液晶ディスプレイ等の表示装置A1aを取付可能である取付部A1と、取付部A1に取り付けられる表示装置A1aとは異なる表示装置A2aを取付可能である取付部A2と、空調装置の前席用吹出口B3、B4と、空調装置の操作パネルP1とが配設される。
【0021】
取付部A1は、インストルメントパネルIPの最上段に設けられる。取付部A1に取り付けられる表示装置A1aは、一般にサブディスプレイと呼ばれ、時刻や室内温度等の種々の情報を表示可能である。取付部A1は、吹出ダクトD2a、D2b(第1、第2吹出ダクト)よりも車両前後方向前方に設けられている。
【0022】
後席用吹出口B1、B2は、取付部A1の上下方向下方に配設され、その車両前後方向前方に吹出ダクトD2a、D2bが配設される。後席用吹出口B1、B2には、風向を乗員の操作により手動で調節可能であるルーバユニットが配設される。
【0023】
吹出ダクトD2a、D2bは、フード部材Hによって上下方向上方から覆われる。フード部材Hは、吹出ダクトD2a、D2bを上下方向上方から覆うカバー部H1と、カバー部H1に一体的に形成され、表示装置A1aの上下方向上方において延在する庇部H2とを有する。フード部材Hは、インストルメントパネルIPに設けられたクリップ孔にクリップを嵌め込むことにより、インストルメントパネルIPと一体となってインストルメントパネルIPの一部を構成することとなる。従って、後席用吹出口B1、B2は、インストルメントパネルIPの一部を構成するフード部材Hのカバー部H1に設けられる。フード部材Hは、例えば、樹脂等をブロー成形することにより形成される。カバー部H1は、車両前後方向前方に向かうにつれて低くなるように傾斜しており、表示装置A1aの下端部まで延びている。なお、フード部材Hは、本実施形態では、更にカバー部H1及び庇部H2と一体的に形成され、メーターパネルの上下方向上方に延在する庇部H3を更に有している。これにより、隙間を削減し、見栄えを向上することができる。
【0024】
取付部A1は、車両前後方向後方から見た場合には吹出ダクトD2a、D2bと重なるが、運転者の表示装置A1aへの視線を遮らないように、吹出ダクトD2a、D2bから予め定めた距離だけ離間して配設される。また、上述のカバー部H1の傾斜角度についても、この点を考慮して決定される。これにより、後席用吹出口B1、B2や吹出ダクトD2a、D2bをインストルメントパネルIPにコンパクトに配設することができる。また、表示装置A1aを着脱する際には、フード部材Hと吹出ダクトD2a、D2bとを車両前後方向に移動させて容易に着脱することができるため、メンテナンス性及び組付性を向上することができる。
【0025】
後席用吹出口B1、B2は、後述する構成により、シートS1a、S1bの間、例えば、シートS1aのヘッドレストとシートS1bのヘッドレストとの間を通過させるように空調空気を吹き出すことにより、シートS2a、S2b、S2c、S3a、S3bに着座する乗員に対して直接風を供給する。これにより、従来のようにルーフRに向けて、空調空気を吹き出して間接的にシートS2a、S2b、S2c、S3a、S3bの空調を行うものではないため、ルーフRにリアディスプレイRD等の突出部が設けられていたり、日射によりルーフRが加熱されていたとしてもルーフRでの風の乱れや減衰、熱損失を抑制し、また、後席乗員に直接風を供給することにより、シートS2a、S2b、S2c、S3a、S3bへの空調効率を向上することができる。ここで、空調空気とは、空調装置で加熱又は冷却処理を行った空気だけでなく、車室外又は車室内から取り入れた空気であって、空調装置で加熱又は冷却処理を行っていない空気をも含むものとする。
【0026】
なお、後席用吹出口B1、B2は、本実施形態では、後席に対する空調だけを行うものとしたが、これに限らず、例えば、後席に乗員が着座していない場合には、ルーバの角度を変更することにより、前席の空調のために用いることも可能である。
【0027】
取付部A2は、後席用吹出口B1、B2の上下方向下方側に近接してインストルメントパネルIPに設けられる。表示装置A2aは、一般にメインディスプレイと呼ばれ、交通情報を案内するナビゲーションやテレビ放送等を表示可能である。なお、この表示装置A2aは、ドライバの視線移動を抑制するため、可能な限り上下方向上方に設けられることが望ましい。
【0028】
前席用吹出口B3、B4は、取付部A2の上下方向下方でインストルメントパネルIPに設けられ、シートS1a、S1bに空調空気を吹き出す。前席用吹出口B3、B4には、風向を乗員の操作により手動で調節可能であるルーバユニットが配設される。
【0029】
操作パネルP1は、前席用吹出口B3、B4の上下方向下方でインストルメントパネルIPに設けられ、ユーザが操作することにより空調装置の設定温度や風量等を設定可能である。
【0030】
図5は、ダクトD1及び吹出ダクトD2a、D2bの構成を示す斜視図であり、図6は、ダクトD1及び吹出ダクトD2bをインストルメントパネルIPに当接させた状態を示す車幅方向の要部断面図である。なお、図5では、ダクトD1及び吹出ダクトD2a、D2bの構成を明確に示すため、インストルメントパネルIPの図示を省略している。
【0031】
ダクトD1は、車幅方向に延びており、空調装置から供給された空調空気を流通させることができる。ダクトD1は、車幅方向に延びて車体にボルト等で固定されたインストルメントパネルメンバIMに予め定めた位置で固定され、インストルメントパネルIPの内側に配設される。
【0032】
ダクトD1には、上下方向上方に開口した開口部O1、O2(第1、第2開口部)が形成されている。ダクトD1は、上下方向上方に起立した起立部T1(第1起立部)と、起立部T1から車幅方向に離間して設けられ、上下方向上方に起立した起立部T2(第2起立部)とを備える。起立部T1、T2は、略左右対称に形成されており、本実施形態では、車幅方向中央に向かうにつれて車両前後方向後方に向かうと共に低くなるように傾斜している。開口部O1は、起立部T1に設けられており、開口部O2は、起立部T2に設けられている。
【0033】
インストルメントパネルIPには、ダクトD1のそれぞれの開口部O1、O2がインストルメントパネルIPの内側から当接することにより、ダクトD1と連通する通気口E1、E2(第1、第2通気口)が形成されている。ダクトD1の開口部O1、O2がインストルメントパネルIPの通気口E1、E2に当接することにより、空調空気が車室内に吹出可能となる。
【0034】
ダクトD1は、樹脂をブロー成形することにより形成される。このため、車体重量の軽量化には貢献するが、厚みが比較的薄く、変形しやすいというデメリットがある。この点、ダクトD1は、本実施形態では、ダクトD1よりも硬いインストルメントパネルIPに付勢されて当接するため、当接時の変形を抑制することができる。なお、インストルメントパネルIPの通気口E1、E2の近傍には、表示装置A2aの上部が締結されて補強されている。これにより、通気口E1、E2を薄くして表示装置A2aをより高く配設することを可能にしている。
【0035】
吹出ダクトD2aは、通気口E1に配設される。吹出ダクトD2bは、通気口E2に配設され、吹出ダクトD2aとハザードランプの点灯スイッチユニットU1(挟み部材)を挟んで車幅方向に並んで配設される。吹出ダクトD2a、D2bは、通気口E1、E2に上下方向上方から当接する。ここで、起立部T1、T2は、本実施形態では、車幅方向中央に向かうにつれて低くなるように傾斜しているため、吹出ダクトD2a、D2bはこの傾斜面に当接することとなる。従って、吹出ダクトD2aは、起立部T1と点灯スイッチユニットU1との間に挟まれて配設され、また、吹出ダクトD2bは、起立部T2と点灯スイッチユニットU1との間に挟まれて配設されるため、カバー部H1の上下方向の強度のみに頼ることなく、車幅方向に突っ張ることにより当接状態をより強く、長期に渡り気密に保持することができる。
【0036】
ダクトD1は、シール部材SE1を介して、インストルメントパネルIPに当接する。また、吹出ダクトD2a、D2bは、シール部材SE2を介して、インストルメントパネルIPに当接する。これにより、気密性を更に確保することができるため、空調効率を更に向上することができる。
【0037】
吹出ダクトD2a、D2bは、一方端部が車室側からインストルメントパネルIPに当接することにより、通気口E1、E2と連通する。また、吹出ダクトD2a、D2bは、L字状に屈曲して形成され、その他方端部から後席に向けて後席用吹出口B1、B2から空調空気を吹き出す。すなわち、吹出ダクトD2a、D2bは、本実施形態では、上下方向下方に配設されたダクトD1から導入された空調空気を車両前後方向後方に吹き出すことができる。
【0038】
詳述すると、ダクトD1の開口部O1、O2と、吹出ダクトD2a、D2bの開口部には、インストルメントパネルIP側に延びるフランジが形成され、このフランジを挟むように各シール部材SE1、SE2が強固に取り付けられる。これにより、当接部の強度を向上することができる。
【0039】
以上述べた通り、本実施形態では、ダクトD1及び吹出ダクトD2a、D2bのそれぞれがインストルメントパネルIPに当接して組み付けられるため、ダクトD1及び吹出ダクトD2a、D2bの組付時の変形を抑制することができる。また、吹出ダクトD2a、D2bを組み付ける前に表示装置(サブディスプレイ)を組み付けることができるため、吹出ダクトが表示装置の組付時に邪魔になることもない。更に、吹出ダクトD2a、D2bが後席へ向けて空調空気を吹き出すため、後席への空調効率を向上することができる。従って、吹出ダクトD2a、D2b及び表示装置の組付性を確保しながら、後席への空調効率を向上することが可能となる。
【0040】
なお、開口部O1、O2及び通気口E1、E2は、本実施形態では、上下方向上方に開口しており、吹出ダクトD2a、D2bが上下方向上方から通気口E1、E2に当接するものとしたが、開口方向は上下方向に限定されるものではない。例えば、開口部O1、O2及び通気口E1、E2が車幅方向に開口している場合には、吹出ダクトD2a、D2bを車幅方向から通気口E1、E2に当接して、空調空気を後席側に吹き出せばよい。すなわち、開口方向は、吹出ダクトD2a、D2b及び表示装置A1aの組付性を確保可能な方向であれば任意に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施形態に係る車室内の状態を示す平面図である。
【図2】車室内の状態を示す側面図である。
【図3】車室側から見たインストルメントパネルIPを示す図である。
【図4】フード部材H及び吹出ダクトD2a、D2bのインストルメントパネルIPへの組み付け状態を示す分解斜視図である。
【図5】ダクトD1及び吹出ダクトD2a、D2bの構成を示す斜視図である。
【図6】ダクトD1及び吹出ダクトD2bをインストルメントパネルIPに当接させた状態を示す車幅方向の要部断面図である。
【符号の説明】
【0042】
A1、A2 取付部
A1a、A2a 表示装置
D1 ダクト
D2a、D2b 吹出ダクト
E1、E2 通気口
IP インストルメントパネル
O1、O2 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストルメントパネルの内側に配設され、空調空気が流通するダクトと、
前記ダクトに形成された開口部と、
前記インストルメントパネルに形成され、前記開口部が前記インストルメントパネルの内側から当接することにより、前記開口部と連通する通気口と、
一方端部が車室側から前記インストルメントパネルに当接することにより、前記通気口と連通し、また、他方端部が後席に向けて前記空調空気を吹き出す吹出ダクトと、
前記吹出ダクトの車両前後方向前方で前記インストルメントパネルに設けられ、表示装置を取付可能である取付部と、
を備えたことを特徴とする車両の前部構造。
【請求項2】
前記開口部及び前記通気口は、上下方向上方に開口しており、
前記吹出ダクトは、前記通気口に上下方向上方から当接することを特徴とする請求項1に記載の車両の前部構造。
【請求項3】
前記ダクト及び前記吹出ダクトは、シール部材を介して、前記インストルメントパネルに当接することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両の前部構造。
【請求項4】
前記ダクトが、上下方向上方に起立した第1起立部と、前記第1起立部から車幅方向に離間して設けられ、上下方向上方に起立した第2起立部と、を備え、
前記開口部が、前記第1起立部に設けられた第1開口部と、前記第2起立部において、前記第1開口部に対して車幅方向に対向する位置に設けられた第2開口部と、を備え、
前記通気口が、前記第1開口部に連通する第1通気口と、前記第1通気口に対して車幅方向に対向する位置に設けられ、前記第2開口部に連通する第2通気口と、を備え、
前記吹出ダクトが、前記第1通気口に配設された第1吹出ダクトと、前記第2通気口に配設され、前記第1吹出ダクトと挟み部材を挟んで車幅方向に並んで配設される第2吹出ダクトと、
を備えたことを特徴とする請求項3に記載の車両の前部構造。
【請求項5】
前記吹出ダクトを上下方向上方から覆うカバー部と、前記カバー部に一体的に形成され、前記表示装置の上下方向上方において延在する庇部とを有するフード部材を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の車両の前部構造。
【請求項6】
前記取付部は、車両前後方向後方から見て前記吹出ダクトと重なり、かつ、運転者の前記表示装置への視線を遮らないように、前記吹出ダクトから離間して配設されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の車両の前部構造。
【請求項7】
前記吹出ダクトの上下方向下方側に近接して前記インストルメントパネルに配設され、前記表示装置とは異なる表示装置を取付可能である前記取付部とは異なる取付部を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の車両の前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−100258(P2010−100258A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275864(P2008−275864)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】