説明

車両の減速エネルギー回生システム

【課題】減速エネルギー回生システムを搭載していない使用過程車両に回生システムを後付けにより搭載するにあたり、緩降坂路定速走行時の軽負荷領域で回生機能が働くようにする。
【解決手段】Gセンサ10出力からの信号によって、双方向DC−DCコンバータ14を制御する減速エネルギー回生システム1を車両へ搭載可能したもので、Gセンサ10から出力の信号が0m/sより大きい減速方向である場合に予備蓄電手段16を充電する構成としたから、緩やかな降坂路走行時に、アクセルペダルに微小の操作で車速を維持しているエンジン2a負荷においても回生運転ができ、燃費向上が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速時の車両運動エネルギーを利用して車両用発電機の発電電力を予備蓄電手段に電力回生し、減速時以外には前記予備蓄電手段より車両電気負荷へ電力を供給することにより、減速時以外の車両用発電機の発電量を減らして燃費向上を図る減速エネルギー回生システムであって、特に係る減速エネルギー回生システムと車両との接続配線数を最小限とすることによって、使用過程車両へも容易に装着可能となしたことを特徴とする車両の減速エネルギー回生システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の技術には、走行用エンジンによって駆動される車両用発電機及び主蓄電手段を含む車両用電源と、予備蓄電手段と、前記車両用電源と前記予備蓄電手段間に接続される双方向に切換え接続可能でかつ双方向に電圧変換可能なDC−DCコンバータとを具備し、電子演算装置によって、車両の走行状態を検出し、減速時に前記予備蓄電手段を充電し、減速時以外にこの充電された電力を主蓄電手段よりも優先して放電し車両電気負荷へ供給するように前記DC−DCコンバータを切換制御するものが公知である。
【0003】
また、上記電子演算装置は信号受信用端子にアイドリング、加速時、定速走行時、減速時、エンジンの停止時、或いはフューエルカット信号を入力し、係る入力信号から車両が減速状態か否かを判別している(特許文献1参照)。
【0004】
また、より具体的な減速状態検出手段としては、加速度センサ(以下Gセンサと称す)、車速センサ(車速の微分値)、ブレーキペダルのストロークセンサ、踏力センサ、ブレーキ液圧センサ等がある(特許文献2参照)。
【0005】
さらに、車速,スロットル開度およびブレーキのオン/オフの検出結果に基づいて上記車両の減速状態を検出することができる(特許文献3参照)。
【0006】
加えて、車両に搭載された発電機の回転数から加速度/減速度を検出し、その加速度/減速度の状態に応じて発電電圧の設定値を変化させる技術が開示されている(特許文献4参照)。
【0007】
一方、追加概念として上記減速状態検出手段以外に、ナビゲーションシステムを用いて先行路に存在する降坂路を識別し、かかる降坂路において積極的に電力回生を行う考え方が開示されている(特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平6−296332号公報
【特許文献2】特開2010−104086号公報
【特許文献3】特開平7−310566号公報
【特許文献4】特開平11−252997号公報
【特許文献5】特開2011−116223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年の地球環境問題・エネルギー消費問題に鑑み、車両の燃費向上は、新規に開発生産される新型車量のみならず、既に市販されて市場を走行している使用過程車両における対策も重要な技術課題である。
【0010】
そこで、課題の一側面は、燃費向上に有意な車両の減速エネルギー回生システムを搭載していない使用過程車両において、係る回生システムを後付けにより搭載するにあたり、特許文献1乃至3に開示された従来技術によると、車両の減速状態を判別するためにアイドリングスイッチ、フューエルカット信号、車速センサ、ブレーキペダルのストロークセンサ、踏力センサ、ブレーキ液圧センサ等との配線手段を要するので、当該システムの装着作業が困難な点である。
【0011】
特許文献4に開示された従来技術によると、上記配線手段が不要であるものの回転数検出機能を付加した専用の発電機が必要となり、該専用発電機を含めた上記減速エネルギー回生システムのコストが増大するという問題がある。
【0012】
課題の他の側面は、前記車両の減速エネルギー回生システムの回生効率向上にある。即ち、特許文献1〜4の何れかに開示される先行技術は全て車両の減速時に限り、車両運動エネルギーを電力として回生するものである。
【0013】
ところが、緩やかな降坂路を一定走行する場合を前提とすると、エンジンのスロットルバルブ全閉、即ちアクセルペダルから足を離した状態では公知のポンピングロス等によるエンジンの動力損失によって車速が低下する場合がある。そのような場合に運転者は、アクセルペダルに微小の操作量を与えて車速を維持することになる。
【0014】
然る場合に、上記アイドリングスイッチはONとなっていない。また、エンジンは燃焼を継続する必要があるので上記フューエルカットとはならない。さらにブレーキペダルは操作されない。加えて車速は低下していない。
従って、これらの状態からは上記減速状態とは判別されないので車両の運動エネルギーは回生されない。
【0015】
一方、理論上は、上記緩やかな降坂路の一定速度走行時に回生作用を働かせると、かかる回生作用によるエンジンの負トルクによって車速が低下するから、運転者はアクセル操作量を増加しなければ一定の車速を維持できないと考えられる。
【0016】
しかしながら、実際の道路環境下で上記緩やかな降坂路を一定速度走行している場合には、路面勾配がさらに下り方向へ微増変化した場合にも、一般的に運転者のアクセルペダル操作が該路面勾配の変化に伴わないことによって車速が増加してしまう。その瞬間には、上記減速判別の各因子は“減速でない“となっており、加えて車速は加速方向にあるのにも係わらず、車両としては回生作用を働かせて車両の運動エネルギーを回生するとともに、増加する車速を抑えることが望ましい。
【0017】
このように、回生機能の作動・停止の判定において、路面勾配変化に対する運転者のアクセル操作が理論上の最適操作とは成り得ないので、上記従来の減速状態判定手段だけでは該回生機能の作動を最適化して効率良く車両の減速エネルギーを回生することができない。
【0018】
そこで、新たな概念として、前記特許文献5に開示されるように路面勾配を識別することによって、降坂路では積極的に回生システムを作動させるものがある。
この技術によると、車速を維持可能な理想的スロットル開度値と比較して、運転者によるアクセルペダルの操作量に多少の差異があったとしても、全体では降坂路のようにエンジン負荷が微小な運転領域で積極的に回生動作を働かせることができるので、車両の減速エネルギー回生領域が広がり燃費向上に有利になる。
【0019】
しかしながら、降坂時にも運転者によって意図的な加速操作が行われた場合には回生動作を停止させるべきである。然るに、前記路面勾配のみならず、車両の走行速度とアクセル操作量とエンジン回転数等との多くの制御因子を基に、上記回生システムの作動を制御することが望ましい。
【0020】
ところが、このような多くの制御因子を基にした回生制御を行うには、ナビゲーションシステムとの連携、及び各種センサ情報の収集を必要とするから車両と前記減速エネルギー回生システムとの接続配線が増加するとともに、マイクロプロセッサ等を用いた大規模な制御装置が必要であるので、前記使用過程車両への装着は困難で、且つコスト増を招くといった問題がある。
【0021】
そこで、車両に搭載したGセンサを利用して、該Gセンサの出力信号が車両の減速方向であるときに、前記減速エネルギー回生システムを作動させることが考えられる。即ち、Gセンサは降坂路の下り勾配においても重力加速度によって、減速時と同方向の信号を出力するから、上記ナビゲーションシステムを用いなくても路面勾配に応じた回生システムの制御が可能となる。
【0022】
しかし、車両が下り勾配路面上で停車している場合の前記Gセンサ出力は前記重力加速度によって減速状態と同じ方向の信号を出し続けるから、車両が停止状態であるにも係わらず、前記回生システムが作動してしまうといった問題が発生する。逆に、車両が上り勾配路を走行している場合の前記Gセンサ出力は該上り勾配の重力加速度に応じて加速時と同方向の信号を出力しているから、車両がスロットル全閉でエンジンブレーキによる緩減速へ移行したとしても、前記Gセンサ出力が減速方向とならないので回生システムが作動しないといった問題がある。
【0023】
かかる問題の解決手段として、Gセンサ信号と車輪速センサ信号を組み合わせて車両の進行方向加速度と路面勾配とを分離して演算する技術が公知である。しかしながら、これを実現するには車両との間で配線手段を要する、またマイクロプロセッサ等を用いた大規模な制御装置が必要であるので前記使用過程車両への装着は困難で、且つコスト増を招くといった問題がある。
【0024】
本願の発明は以上のような課題に鑑み案出されたもので、使用過程車両において、既存の主蓄電池と減速エネルギー回生装置とを接続するだけで搭載可能であり、上記緩やかな降坂路を含む車両の走行状態における微小エンジン負荷領域で積極的に減速エネルギーを回生可能な、車両の減速エネルギー回生システムを、簡単な構成にして低価格で提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記目的を達成するために請求項1に記載された発明によれば、走行用エンジンによって駆動される車両用発電機及び主蓄電手段を含む車両用電源と、予備蓄電手段と、前記車両用電源と前記予備蓄電手段間に接続される双方向DC−DCコンバータと、車両の進行方向における減速度を検出するGセンサと、前記Gセンサの出力信号と接続されるとともに、車両の平均的走行速度における単位時間当たりの道路勾配変化周期に近い周波数をカットオフ周波数としたハイパスフィルターと、前記ハイパスフィルターの出力信号が前記Gセンサの0m/sより大きい減速方向の信号を出力しているか否かを検出する減速検出手段と、前記減速検出手段が減速を検出した時に前記予備蓄電手段を充電し、減速検出時以外にこの充電された電力を主蓄電手段よりも優先して放電して車両電気負荷へ供給するように前記双方向DC−DCコンバータを制御する制御手段と、を具備することを特徴とする、車両の減速エネルギー回生システムが提案される。
【0026】
請求項2に記載された発明によれば、請求項1に記載の構成に加えて、前記ハイパスフィルターのカットオフ周波数は0.0001Hzから0.01Hzであることを特徴とする。
【0027】
請求項3に記載された発明によれば、請求項1又は請求項2の何れか1項に記載の構成に加え前記減速検出手段は、減速を判定する減速度閾値において0.1m/sから0.5m/sであることを特徴とする。
【0028】
請求項4に記載された発明によれば請求項1〜3の何れか1項に記載の構成に加えて、前記制御手段は、前記主蓄電手段の電圧値と前記予備蓄電手段の電圧値と、の差電圧が所定の値以下となった場合に、前記双方向DC−DCコンバータが前記予備蓄電手段を充電する動作を停止するように構成したことを特徴とする。
【0029】
請求項5に記載された発明によれば請求項1〜3の何れか1項に記載の構成に加えて、前記制御手段は、前記予備蓄電手段の電圧値が所定の値以下となった場合に、前記双方向DC−DCコンバータが前記予備蓄電手段を放電する動作を停止するように構成したことを特徴とする。
【0030】
請求項6に記載された発明によれば請求項1〜5の何れか1項に記載の構成に加えて、前記制御手段は、前記ハイパスフィルターの出力信号が前記Gセンサの0m/sより大きい減速方向の信号を出力しているか否かを検出する減速検出手段の出力信号からローパスフィルターを介して生成した信号に比例して、前記予備蓄電手段の充放電電流を制御するように構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0031】
上記構成によれば、上記予備蓄電手段と、上記双方向DC−DCコンバータと、上記Gセンサと、上記ハイパスフィルターと、上記減速検出手段と、上記制御手段と、を一体として構成することによって、かかる減速エネルギー回生システムは車両のバッテリと接続するだけで、簡単に使用過程車両へ搭載することができる。
【0032】
また、請求項1の車両の減速エネルギー回生システムによれば、前記減速検出手段によって前記Gセンサ出力から前記ハイパスフィルターを介した信号が0m/sより大きい減速方向であることを検出して減速検出とし、かかる減速検出に従って上記予備蓄電手段を充電するものとしたから、前記緩やかな降坂路走行時に運転者が、アクセルペダルに微小の操作量を与えて車速を維持している前記微小エンジン負荷領域場合においても、前記Gセンサが、前記降坂路の下り勾配に応じた重力加速度の大きさによって等価的に減速検出となるので、前記予備蓄電手段を充電して車両の運動エネルギーが回生される。
【0033】
また、車両が走行中に平坦路から上り勾配へ差し掛かった直後に車両の進行方向加速度は、路面勾配による走行負荷によって車速が低下して減速加速度が発生する。しかし、前記Gセンサは上り勾配における重力加速度の大きさによって等価的に0m/sより小さい加速方向の加速度を同時に受けることになるから、前記減速検出手段は減速検出せず、前記走行負荷による車速の低下によって誤って回生システムが作動することがない。
【0034】
また、前記Gセンサの出力に前記ハイパスフィルターを設けたから、車両が下り勾配路で停車した場合には、Gセンサ出力信号が前記重力加速度に応じた所定の減速状態を示しているにも係わらず、前記ハイパスフィルター出力信号は所定時間後に0m/s相当になるので前記回生作用は停止し、予備蓄電手段に充電された電力を主蓄電手段よりも優先して放電して車両電気負荷へ供給するから、前記車両用発電機の負荷が低下して燃費向上が図られる。
【0035】
また、前記Gセンサの出力に前記ハイパスフィルターを設けたから、車両が所定期間の間、連続して上り勾配路を走行している場合に前記Gセンサ出力は該上り勾配の重力加速度に応じて加速時と同方向の信号を出力しているにも係わらず、前記ハイパスフィルター出力信号は所定時間後に0m/s相当になるので、車両が登坂走行中に緩減速した場合には、前記減速検出手段は速やかに減速検出が可能であり、前記予備蓄電手段を充電して車両の運動エネルギーが回生される。
【0036】
また、請求項2の車両の減速エネルギー回生システムによれば、前記ハイパスフィルターのカットオフ周波数は、車両の平均的走行速度における単位時間当たりの道路勾配変化周期に近い周波数である0.0001Hz〜0.01Hzの範囲で適宜設定するものとしたから、前記減速検出手段によって検出される減速検出信号は、車両の平坦路走行時の減速継続時間、及び走行中に遭遇する降坂路の継続時間において、前記予備蓄電手段を充電するのに十分な減速検出時間を得ることができる。
【0037】
また、請求項3の車両の減速エネルギー回生システムによれば、前記減速検出手段が、車両の減速を判定する減速加速度閾値において0.1m/sから0.5m/sであるとしたから、車両が平坦路から僅かに下り勾配となる緩やかな降坂路を一定速度で走行する場合にも確実に降坂路として検出することができると同時に、前記平坦路の一定速度走行時に誤って減速状態であると検知することが無い。
【0038】
また、請求項4及び請求項5に記載の車両の減速エネルギー回生システムによれば、前記双方向DC−DCコンバータの不要な作動が防止されるので、かかる減速エネルギー回生システムを車両のバッテリと直接、接続しても車両停止中に前記双方向DC−DCコンバータ電流が暗電流として消費されることが無いので、バッテリ上がり等の問題を生じることがない。
【0039】
また、請求項6に記載の車両の減速エネルギー回生システムによれば、前記ハイパスフィルターの出力信号が前記Gセンサの0m/sより大きい減速方向の信号を出力しているか否かを検出する減速検出手段の出力信号からローパスフィルターを介して生成した信号に比例して、前記予備蓄電手段の充放電電流を制御するように構成したから、車両の平坦路走行中に発生する上下振動によって、前記減速検出手段の出力信号が短時間にON/OFFする場合にも前記双方向DC−DCコンバータの制御電流が急変することが無いので、車両の主蓄電手段の電圧変動や電源ノイズ発生の問題がない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両の減速エネルギー回生システムを模式的に示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車両の減速エネルギー回生システムにおいて、車両が平坦路を走行した場合の制御様態を表す図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る車両の減速エネルギー回生システムにおいて、車両が平坦路から降坂路へ移行した場合の制御様態を表す図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る車両の減速エネルギー回生システムにおいて、車両が降坂路において停止した場合の制御様態を表す図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る車両の減速エネルギー回生システムにおいて、車両が平坦路から登坂路へ移行した場合の制御様態を表す図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る車両の減速エネルギー回生システムの減速検出手段の実施様態を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る車両の減速エネルギー回生システムの制御手段と双方向DC−DCコンバータの実施様態を示す図である。
【図8】発明の一実施形態に係る車両の減速エネルギー回生システムにおいて、車両が凸凹路を走行した場合の制御様態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0041】
以下、各図に従って、本発明の一実施様態について説明する。
図1は、本発明の車両の減速エネルギー回生システムを模式的に示した図であり、1は本発明の車両の減速エネルギー回生システム、2は走行用エンジンによって駆動される車両用発電機2b及び主蓄電手段2cを含む車両用電源、10は車両の減速エネルギー回生システム1に内蔵されて車両の減速度を検知するGセンサであり、かかるGセンサ10は定電圧電源VDDと接地VSSとに接続されて作動用電源を供給されるとともに、コンデンサ11と抵抗12、抵抗13とによって構成されたハイパスフィルターを介して、端子15aから、減速検出手段15へ減速信号を入力する。また、前記減速検出手段15は定電圧電源VDDと接地VSSとに接続されて作動用電源が供給される。
【0042】
次に、前記減速検出手段15の出力端子15bは前記制御手段17と接続してあり、該制御手段17は端子T1を介して前記主蓄電手段2cと接続するとともに端子14bと接続して予備蓄電手段16の充放電を行う双方向DC−DCコンバータ14を制御するが如く構成してある。
【0043】
また、前記車両の減速エネルギー回生システム1は、端子T2を介して前記主蓄電手段2cの接地電位と接続するように構成される。
【0044】
前記減速検出手段15は、図6に示す如く前記ハイパスフィルターからの信号15aと、定電圧電源VDDから接地VSS間の電圧を分圧した抵抗151と抵抗152との分圧電位153aとを比較する比較器153によって構成され、該比較器153の出力信号は端子15bから出力される。
【0045】
尚、前記分圧電位153aは、車両が減速方向へ0.3m/sの時に前記Gセンサが出力する信号と同等の電位となるように設定してある。
【0046】
前記制御手段17の詳細は、図7に示す如く前記減速検出手段15の出力端子15bの信号を受けて、抵抗171とコンデンサ172とによるローパスフィルターを介して誤差増幅器173の一方の端子へ入力してある。該誤差増幅器173の他方の端子は前記双方向DC−DCコンバータ14の出力端子へ直列に挿入した電流検出抵抗175の両端を差動増幅する電流検出増幅器176の出力信号が入力してある。
【0047】
また図7において、前記主蓄電手段2cの高電位側と接続した端子14aの電圧と、前記予備蓄電手段16の高電位側と接続した端子14bとの信号を入力して、前記双方向DC−DCコンバータ14の、後述する駆動回路手段143の作動/停止を制御する駆動判定手段174を具備している。
【0048】
次に、前記双方向DC−DCコンバータ14は図7に示す如く、図示しない三角波発振回路、の出力信号141と、前記誤差増幅器173の出力信号を入力したコンパレータ142の出力信号と、を前記駆動回路手段143に入力して、トランジスタ群144を相補的に駆動することによってコイル145の一端を公知のPWM駆動し、前記電流検出抵抗175に流れる電流を双方向に可変するが如く構成してある。
【0049】
以上のように構成して、本発明の車両の減速エネルギー回生システム1はハイパスフィルターを介したGセンサ10の出力信号が、車両の減速方向へ0.3m/sより大きい場合に、前記制御手段17が前記双方向DC−DCコンバータ14をPWM駆動して、前記主蓄電手段2cから前記予備蓄電手段16へ、所定の電流が流れるように制御して車両の運動エネルギーを、該予備蓄電手段16へ回生するように作用する。
【0050】
また、上記Gセンサ10の出力信号が、車両の減速方向へ0.3m/s未満の場合に、前記制御手段17が前記双方向DC−DCコンバータ14をPWM駆動して、前記予備蓄電手段16から前記主蓄電手段2cへ所定の電流を放電するように制御して、該予備蓄電手段16に充電された電力を主蓄電手段2cよりも優先して放電して車両電気負荷へ供給して、前記車両用発電機2bの負荷を低下することによって燃費向上を図るように作用する。
【0051】
さらに、前記駆動判定手段174は端子14aから主蓄電手段2cの電圧を検出するとともに、端子14bから前記予備蓄電手段16の電圧を検出して、かかる主蓄電手段2cの電圧と予備蓄電手段16の電圧の差が小さい場合には、該予備蓄電手段16の充電電圧が飽和状態であるとして前記双方向DC−DCコンバータ14の駆動回路手段143を停止する。
【0052】
加えて、前記駆動判定手段174は端子14bから前記予備蓄電手段16の電圧を検出して、かかる予備蓄電手段16の電圧が0Vに近い低電圧状態となった場合には、前記双方向DC−DCコンバータ14の駆動回路手段143を停止する。
このように作用して、前記駆動判定手段174は前記予備蓄電手段16への充放電が不要な状態を検知して前記双方向DC−DCコンバータ14の作動を停止するので、本発明の減速エネルギー回生システムを車両のバッテリと直接接続しても車両停止中に前記双方向DC−DCコンバータ14の作動電流が暗電流として消費されることが無いので、バッテリ上がり等の問題を生じることがない。
【0053】
次に、図2を参照して、車両走行状態における本発明の減速エネルギー回生システムの作動様態を説明する。図2は車両が平坦路を、加減速を伴いながら走行している状態を示している。区間▲1▼は、車両が停止状態から等加速する区間であり、前記Gセンサ10の出力は非減速方向へ所定の一定電圧を出力する。この区間では、前記ハイパスフィルター(コンデンサ11、抵抗12、抵抗13)の出力信号は、該Gセンサ10の出力と略等しい電圧波形を出力するので、前記減速検出手段15は車両が減速状態でないと判断して、前記予備蓄電手段16から前記主蓄電手段2cへ所定の放電電流が流れるように、前記双方向DC−DCコンバータ14の制御手段17へ制御信号を送出する。
【0054】
尚、上記ハイパスフィルターは前記Gセンサ10の出力状態が加速、又は減速の何れかの状態を示している期間の間、連続して該Gセンサ10の出力信号状態を前記減速検出手段15へ伝達する必要があるので、前記コンデンサ11、抵抗12、抵抗13より成るカットオフ周波数を0.003Hz程度とすることが望ましい。
【0055】
区間▲2▼で、車両が定速走行へ移行すると前記Gセンサ10の出力信号は0m/s相当の電圧値(1/2VDD)となるが、前記ハイパスフィルターの出力信号は、前記区間▲1▼において前記コンデンサ11が一定量の電荷を蓄積した状態となっているから、該Gセンサ10の出力信号の立下り微分において、一定時間だけ車両の減速方向の加速度を示し、これによって前記減速検出手段15の出力信号は、車両が減速状態であると判断して、前記主蓄電手段2cから、前記予備蓄電手段16へ所定の充電電流が流れるように前記双方向DC−DCコンバータ14の制御手段17へ制御信号を送出する。
【0056】
このように、車両が一定時間だけ加速状態を継続した後に定速走行へ移行した直後には、該車両の走行速度が減速状態でないにも係わらず、前記減速検出手段が減速であると判断して、車両の運動エネルギーを回生するように作用する。これは、一般的に運転者が加速走行から定速走行へ移行する場合のアクセル操作には減速方向へのオーバーシュートを伴うので、かかるオーバーシュートの期間中は実際のエンジン負荷が負の状態となり、且つ車速は車体の慣性モーメントによって殆ど低下しない状態、であることが多く、そのような場合には、車両が減速状態であると判断して回生機能が働くことが望ましいからである。しかるに、本発明の減速エネルギー回生システムは、区間▲2▼において前記予備蓄電手段16を充電するように回生機能が作用する。
【0057】
また、区間▲3▼、区間▲5▼及び区間▲7▼の定速走行区間は、前記ハイパスフィルターの出力信号は、該Gセンサ10の出力と略等しい電圧波形を出力するので、前記減速検出手段15は車両が減速状態でないと判断して、前記予備蓄電手段16から、前記主蓄電手段2cへ所定の放電電流が流れるように前記双方向DC−DCコンバータ14の制御手段17へ制御信号を送出して、該予備蓄電手段16に充電された電力を車両電気負荷へ供給するから、燃費向上が図られる。
【0058】
また、区間▲4▼及び区間▲6▼の減速走行区間は、前記ハイパスフィルターの出力信号は、該Gセンサ10の出力とほぼ等しい電圧波形を出力するので、前記減速検出手段15は車両が減速状態であると判断して、前記主蓄電手段2cから、前記予備蓄電手段16へ所定の充電電流が流れるように前記双方向DC−DCコンバータ14の制御手段17へ制御信号を送出して、該予備蓄電手段16を充電するから、車両の減速エネルギーが回生される。
【0059】
上述の如く、本発明の減速エネルギー回生システムは、Gセンサの出力信号へ所定の定数からなるハイパスフィルターを付加したので、簡単な構成によって、車両減速時の運動エネルギー回生のみならず、車両が加速走行から定速走行へ移行した直後の運転者のアクセル操作オーバーシュート期間における負のエンジン負荷領域での回生動作を自動的に行うことができるので車両の運動エネルギー回生領域が拡大する。
【0060】
次に図3は、車両が平坦路から降坂路走行へ移行する状態を示している。区間▲1▼は、車両が平坦路走行をしている区間であり、前記Gセンサ10の出力は0m/s相当の電圧値(1/2VDD)を出力する。この区間では、前記ハイパスフィルター(コンデンサ11、抵抗12、抵抗13)の出力信号は、該Gセンサ10の出力と略等しい電圧波形を出力するので、前記減速検出手段15は車両が減速状態でないと判断して、前記予備蓄電手段16から、前記主蓄電手段2cへ所定の放電電流が流れるように前記双方向DC−DCコンバータ14の制御手段17へ制御信号を送出する。
【0061】
区間▲2▼で、車両が降坂路走行へ移行すると、車両走行負荷の低下に伴って車速が増加するが、前記Gセンサ10の出力信号は路面勾配に従った重力加速度を検出して車両の減速方向と等価の電圧値を出力する。従って、前記ハイパスフィルターの出力信号は、該区間▲2▼において車両の減速方向の加速度を示し、これによって前記減速検出手段15の出力信号は、車両が減速状態であると判断して、前記主蓄電手段2cから、前記予備蓄電手段16へ所定の充電電流が流れるように前記双方向DC−DCコンバータ14の制御手段17へ制御信号を送出する。
【0062】
さらに、区間▲2▼において運転者のアクセル操作によって車速が減少及び定速状態となるが、この期間においても前記Gセンサ10の出力信号は車速低下に伴う減速度及び路面勾配による重力加速度を検出するので、前記減速検出手段15の出力信号は、車両が減速状態であると判断して、車両運動エネルギーが回生される。
【0063】
尚、前記減速検出手段15は、車両の減速を判定する減速度閾値において、一般的な緩降坂路の路面勾配3%程度を検出可能にすべく、0.3m/s程度に設定するのが望ましい。
【0064】
以上のように作用して、車両が平坦路走行から降坂路走行へ移行すると、該車両の走行速度が減速状態でないにも係わらず、前記Gセンサが路面勾配による重力加速度を検出するので、前記減速検出手段15が等価的に減速であると判断して、車両の運動エネルギーを回生するように作用する。
【0065】
上述の如く、本発明の減速エネルギー回生システムは、Gセンサの出力信号を用いて、該Gセンサが降坂路の路面勾配における重力加速度を検出した場合に車両の減速度判定を行い、回生システムが作動するように構成したので、簡単な構成によって、車両減速時の運動エネルギー回生のみならず、降坂路の道路勾配を同時に検出することによって、車速が減速状態でないエンジンの微小負荷領域での車両運動エネルギーの回生を自動的に行うことができるので車両の運動エネルギー回生領域が拡大する。
【0066】
次に図4は、車両が降坂路走行中に停止した状態を示している。区間▲1▼は、車両が降坂路走行をしている区間であり、例えば5%下り勾配の降坂路を走行している場合の前記Gセンサ10の出力は車両の減速方向へ0.5m/s相当の電圧値を出力する。このような走行条件が所定期間継続すると、前記ハイパスフィルターのコンデンサ11は、該コンデンサ11の前記Gセンサ側が該0.5m/s相当の電圧値となるとともに、抵抗12/抵抗13側が0m/s相当の電圧値(1/2VDD)となるように、該コンデンサ11が充電される。従って区間▲1▼では前記減速検出手段15は車両が減速状態でないと判断して、前記予備蓄電手段16から、前記主蓄電手段2cへ所定の放電電流が流れるように前記双方向DC−DCコンバータ14の制御手段17へ制御信号を送出する。
【0067】
続いて、車両が停止するに至る区間▲2▼は、車両の走行速度低下に従った減速度が前記Gセンサ10に働くので、該Gセンサ10の出力電圧が減速方向に変化すると共に、前記ハイパスフィルターの出力電圧が減速方向へ略等しく変化して、前記減速検出手段15は、車両が減速状態であると判断し、車両運動エネルギーの回生動作が行われる。
【0068】
区間▲3▼で、車両が完全に停止すると前記Gセンサ10の出力は上記降坂路走行中と等しく、車両の減速方向へ0.5m/s相当の電圧値を出力するが上記ハイパスフィルターのコンデンサ11の充電電圧によって前記減速検出手段15は車両が減速状態でないと判断して、前記予備蓄電手段16から、前記主蓄電手段2cへ所定の放電電流が流れるように前記双方向DC−DCコンバータ14の制御手段17へ制御信号を送出して予備蓄電手段16に充電された電力を車両電気負荷へ供給する。
【0069】
上述の如く、本発明の減速エネルギー回生システムは、Gセンサの出力信号へ所定の定数からなるハイパスフィルターを付加したので、車両が降坂路で停止した場合には、前記減速検出手段15は車両が減速状態でないと判断して、予備蓄電手段16から、放電した電力を車両電気負荷へ供給するから、燃費向上が図られる。
【0070】
次に図5は、車両が平坦路走行中に登坂路走行へ移行した状態を示している。区間▲1▼は、車両が停止から加速し、平坦路を走行している過程であり、前記Gセンサ10の出力は車両の加速に伴う非減速側の電圧値を出力するのに続いて、定速走行中には0m/s相当の電圧値(1/2VDD)を出力するので、前記ハイパスフィルターの出力信号は、車両の非減速方向の加速度信号を出力し、これによって前記減速検出手段15の出力信号は、車両が非減速状態であると判断して、前記予備蓄電手段16から放電した電力を車両電気負荷へ供給する。
【0071】
区間▲2▼は、車両が登坂路へ差し掛かることによる走行負荷の増加によって車速が減少するが、前記Gセンサ10の出力信号は路面勾配に従った重力加速度を検出して車両の減速方向と逆方向の電圧値を出力する。従って、前記ハイパスフィルターの出力信号は、該区間▲2▼において車両の非減速方向の加速度を示し、これによって前記減速検出手段15の出力信号は、車両が減速状態でないと判断して、前記予備蓄電手段16から車両電気負荷へ電力を供給する。
【0072】
区間▲3▼は、前記Gセンサ10の出力信号が車速の増加による加速度と、路面勾配に従った重力加速度とを検出して車両の減速方向と逆方向の電圧値を出力する。従って、前記ハイパスフィルターの出力信号は、該区間▲3▼において車両の非減速方向の加速度を示し、これによって前記減速検出手段15の出力信号は、車両が減速状態でないと判断して、前記予備蓄電手段16から車両電気負荷へ電力を供給する。
【0073】
尚、区間▲3▼は、例えば車両が上り勾配5%の登坂路を一定速度で走行している場合の前記Gセンサ10の出力は路面勾配による重力加速度に従って車両の非減速方向へ0.5m/s相当の電圧値を出力する。このような走行条件が所定期間継続すると、前記ハイパスフィルターのコンデンサ11は、該コンデンサ11の前記Gセンサ側が非減速側へ0.5m/s相当の電圧値となるとともに、抵抗12/抵抗13側が0m/s相当の電圧値(1/2VDD)となるように該コンデンサ11が充電されて、前記減速検出手段15は上記と同様に車両が減速状態でないとの判断を継続する。
【0074】
区間▲4▼は、車両が登坂路走行中に、緩減速した状態を示している。先の区間▲3▼では、例えば車両が上り勾配5%の登坂路を走行している場合の前記Gセンサ10の出力は車両の非減速方向へ0.5m/s相当の電圧値を出力するとともに、前記ハイパスフィルターのコンデンサ11は、該コンデンサ11の抵抗12/抵抗13側が0m/s相当の電圧値に充電されている。しかるに、区間▲4▼で車両が緩減速するとGセンサ10が受ける車両の進行方向減速度によって該センサの出力電圧が低下し、前記ハイパスフィルターの出力電圧が減速方向へ略等しく変化するので、前記減速検出手段15は、車両が減速状態であると判断して、車両運動エネルギーの回生動作が行われる。
【0075】
上述の如く、本発明の減速エネルギー回生システムは、Gセンサの出力信号へ所定の定数からなるハイパスフィルターを付加したので、車両が登坂路を継続して走行中に運転者のアクセル操作によって車両が緩減速した場合には、前記減速検出手段15は車両が減速状態であると判断して、予備蓄電手段16へ、車両の運動エネルギーが回生される。
【0076】
次に図8は、車両が凹凸のある平坦路走行中に、車速が一定であるにも係わらず車体の傾斜角度変動や、Gセンサ構造による加速度検出方向分離性能の不足、或いは車体に対する前記Gセンサ10の取り付け角度の水平面からのずれによって、該Gセンサの出力信号が短時間に増減して、所謂チャタリングした場合のGセンサ出力信号と、該出力信号から前記制御手段17のローパスフィルター(抵抗171、コンデンサ172)を介した信号との波形を示す。
【0077】
かかる状況において、前記Gセンサ出力信号から前記ハイパスフィルターを経由した信号を、そのまま前記誤差増幅器へ入力すると前記双方向DC−DCコンバータの制御電流が急変してエンジンの駆動トルク変動や主蓄電手段の電圧変動、及び電源ノイズの問題が発生することがある。
【0078】
そこで、図8に示す如く前記減速検出手段15の出力信号15bからローパスフィルターを介して、前記誤差増幅器173へ入力することによって前記双方向DC−DCコンバータ14の制御電流の急変を抑制しエンジンの駆動トルク変動や主蓄電手段2cの電圧変動、及び電源ノイズの問題を防止することができる。
【0079】
以上のように、本発明の減速エネルギー回生システムは、Gセンサの出力信号へ所定の定数からなるハイパスフィルターを付加したので、車両減速時の運動エネルギー回生のみならず、車両が加速走行から定速走行へ移行した直後の運転者のアクセル操作オーバーシュート期間における負のエンジン負荷領域での回生動作を自動的に行うことができ、さらに、登坂路を継続して走行中に運転者のアクセル操作によって車両が緩減速した場合の走行エネルギーの回生が可能であり、加えて、降坂路の道路勾配を同時に検出することによって、車速が減速状態でない微小なエンジン負荷領域での車両運動エネルギーの回生が可能になるので車両の運動エネルギー回生領域が拡大して燃費性能が改善する。
【0080】
さらに、上記ハイパスフィルターの効果として、車両が降坂路で停止した場合に、減速検出手段が路面の下り勾配による重力加速度を検出し、車両が減速状態でないと判断することによる誤った回生動作を行うことがない。
【0081】
また、本発明の減速エネルギー回生システムは、Gセンサの出力信号を用いて、該Gセンサの3%程度の下り勾配路に対応した出力電圧を閾値として車両の減速度判定を行うように構成したから、車両の運動エネルギー回生領域と非回生領域とを確実に区別して検出することができる。
【0082】
加えて、本発明の減速エネルギー回生システムは車両の主蓄電手段(バッテリ)の+/−と本システムとを1対の電線で接続するだけで良く、使用過程車両へも容易に搭載可能である。
【0083】
尚、本実施例におけるGセンサは車両の進行方向の減速度を検出するものとしたが、かかるGセンサを車両の上下方向と進行方向との間の任意の方向へ向けて配置すれば、重力加速度に対応した路面勾配の検出感度と、車両進行方向における車速の変化による加速度の検出感度との比率を任意に設定できることは当該領域の技術者であれば容易に類推可能な設計的事項である。
【符号の説明】
【0080】
1 減速エネルギー回生システム
10 Gセンサ
14 双方向DC−DCコンバータ
141 三角波発振回路の出力信号
142 コンパレータ
143 駆動回路手段
144 トランジスタ群
145 コイル
15 減速検出手段
153 比較器
16 予備蓄電手段
17 制御手段
173 誤差増幅器
174 駆動判定手段
175 電流検出抵抗
176 電流検出増幅器
2 車両用電源
2a エンジン
2b 車両用発電機
2c 主蓄電手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行用エンジンによって駆動される車両用発電機及び主蓄電手段を含む車両用電源と、予備蓄電手段と、前記車両用電源と前記予備蓄電手段間に接続される双方向DC−DCコンバータと、車両の進行方向における減速度を検出するGセンサと、前記Gセンサの出力信号と接続されるとともに、車両の平均的走行速度における単位時間当たりの道路勾配変化周期に近い周波数をカットオフ周波数としたハイパスフィルターと、前記ハイパスフィルターの出力信号が、前記Gセンサの0m/sより大きい減速方向の信号を出力しているか否かを検出する減速検出手段と、前記減速検出手段が減速を検出した時に前記予備蓄電手段を充電し、減速検出時以外にこの充電された電力を主蓄電手段よりも優先して放電して車両電気負荷へ供給するように前記双方向DC−DCコンバータを制御する制御手段と、を具備することを特徴とする、車両の減速エネルギー回生システム。
【請求項2】
前記ハイパスフィルターのカットオフ周波数は0.0001Hzから0.01Hzであることを特徴とする請求項1記載の、車両の減速エネルギー回生システム。
【請求項3】
前記減速検出手段は、車両の減速を判定する減速度閾値において0.1m/sから0.5m/sであることを特徴とする請求項1か請求項2の何れか1項に記載の、車両の減速エネルギー回生システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記主蓄電手段の電圧値と前記予備蓄電手段の電圧値と、の差電圧が所定の値以下となった場合に、前記双方向DC−DCコンバータが前記予備蓄電手段を充電する動作を停止するように構成したことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の、車両の減速エネルギー回生システム。
【請求項5】
前記制御手段は、前記予備蓄電手段の電圧値が所定の値以下となった場合に、前記双方向DC−DCコンバータが前記予備蓄電手段を放電する動作を停止するように構成したことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の、車両の減速エネルギー回生システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記減速検出手段の出力信号からローパスフィルターを介した信号に比例した電流値で、前記予備蓄電手段の充放電を行うように、前記双方向DC−DCコンバータを制御する構成としたことを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の、車両の減速エネルギー回生システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−106509(P2013−106509A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−265247(P2011−265247)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(504438233)
【Fターム(参考)】