説明

車両チェーン用の容器

本発明は、上部(OBT)及び下部(UNT)からなる2分割のケーシング(GEH)からなる車両チェーン、例えばスノーチェーン用の容器、特に保管ケース及び運搬ケースにおいて、少なくとも一方のケーシング半部(OBT、UNT)の内面に、少なくとも1つの分離エレメント(TRE)が設けられていて、前記分離エレメントはチェーンの開放位置と固定位置との間で可動である、車両チェーン用の容器に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上部及び下部からなる2分割のケーシングからなる車両チェーン用の、例えばスノーチェーン用の容器、特に保管ケース及び運搬ケースに関する。
【0002】
車両チェーン用の従来の容器は、その容器中にチェーンを保管することができるだけであるという欠点を有する。
【0003】
更に、複数のチェーン、つまり大抵は2つのチェーンの保管用の相応する空間を提供する容器は公知である。この場合に、しかしながらチェーンは相互に絡まるかもしくはチェーンの異なるストランドが相互に絡まることが生じやすく、チェーンの相互の絡みを再び解くことは使用者にとって大変でありかつ時間もかかることが多い。
【0004】
本発明の課題は、1つ以上のチェーンの保管及び運搬が行え、その際に先行技術の欠点が回避されている車両チェーン用の容器を提供することであった。
【0005】
前記課題は、冒頭に述べた容器において、本発明の場合に、少なくとも一方のケーシング半部の内側に少なくとも1つの分離エレメントが設けられていて、この分離エレメントはチェーンの開放位置と固定位置との間で可動であることにより解決される。
【0006】
1つ又は複数の分離エレメントを使用することによりチェーンの絡まりは防止される、それというのも前記のチェーンはこの分離エレメントの構成に応じて相互に完全にもしくは少なくとも相互に部分的に隔てられているためである。
【0007】
第1の実施態様の場合には、少なくとも1つの分離エレメントがチェーン用の遮断エレメントであり、前記遮断エレメントは、上部/下部の外側でほぼ法線方向の軸を中心にして開放位置と固定位置との間で旋回可能である。このチェーンは、上部/下部中に簡単に収納することができ、かつ引き続き遮断エレメントを固定位置に旋回することによってそこに固定することができる。
【0008】
特にこのチェーンは、2つの遮断エレメントが設けられている場合に信頼性が保持される。
【0009】
チェーンの望ましくない開放及び解除を抑制するために、遮断エレメントがその固定位置でロックされ、望ましくない解除を防止することが考慮される。従って、この遮断装置の「開放」は手で加える力でのみ可能であり、従ってチェーンの偶発的な解除は高い信頼性で防止される。
【0010】
原則的に容器内での2つのチェーンの完全な分離が可能な他の実施態様の場合に、2つの相互に少なくとも区分ごとに分離される領域内で、容器の内部空間を細分化するために、ケーシング半部中の一方に収納するための分離エレメントは平面状に構成されている。
【0011】
このような分離エレメントは、相応する構成の場合に、両方のチェーンの完全な分離を行うことができる。例えば、一方のケーシング部分中に第1のチェーンを収納することができ、このチェーンは引き続き分離エレメントでカバーされる。この分離エレメントは、例えばケーシング半部中に単にインサートされていてもよいが、又は相応する手段を介して前記ケーシング半部に固定結合されていてもよい。引き続き、第2のチェーンは、他方のケーシング半部内に収納されるか、又は分離エレメント上に載置され、次いでこのケーシングは閉じられる。
【0012】
従って、分離エレメントがケーシング半部と固定結合可能である場合が、簡単な取り扱いのために有利である。
【0013】
例えば、分離エレメントは突起部、例えばピンによってケーシング半部中の相応する開口部にクリップ止め可能である。
【0014】
簡単でかつ安定な様式では、これは分離エレメントが十字形もしくはX字形に構成されている場合に実現される。
【0015】
チェーンはこのような分離エレメントにおいて、十字形もしくはX字形の平坦な脚部の間に環状の結合面が配置されていて、それにより分離ディスクが形成されている場合に、特に良好に分離される。
【0016】
分離エレメントと一緒の容器を三角表示板等として使用するために、下記に詳細に説明するように、この分離エレメントは少なくとも一つの面が少なくとも部分的に反射性である場合が有利である。
【0017】
このために、分離エレメントは例えば相応して塗装されているか又は反射シートを備えている。
【0018】
特に簡単に容器は開放及び閉鎖でき、ケーシングの上部及び下部は相互にヒンジ結合されていて、かつ相互に相対的に開放位置と閉鎖位置との間で可動である。
【0019】
車両チェーン用の容器は、一般に嵩張り、相対的に扱いにくい対象であり、これはしばしば別のことで利用したい空間を必要とする。
【0020】
この理由から、このような容器に付加的機能を付与し、その結果、この付加的機能を満たす少なくとも他の対象は、容器に対して付加的に運搬する必要がなくなることが有利である。
【0021】
このような付加的機能は、容器の開放位置において平面状の分離エレメントが上部及び下部の外側領域の間で嵌め込んで固定可能である容器によって実現される。相応する付形及び場合による着色等で、このようにして例えば三角表示板の機能を実現することができる。
【0022】
しかしながら、このような付加的機能は、ケーシングが正面もしくは背面で見てほぼ環状の形状を有し、このケーシングがその下側領域において2つの側面側の突起部を有し、この突起部がその下側でケーシングの最下点で終わっているか又は少なくともいくらか突出し、かつこの下側は平行でかつ相互に同じ高さに配置されていてかつこの下側は平坦に構成されているか又は支持面を形成する手段を有する容器によって満たすこともできる。
【0023】
このような容器の場合に、この容器はケーシングの正面又は背面を下にして置かれるかもしくは収納されるだけではなく、この容器は直立した位置で置くこともできる。このように、この容器は警標として、例えば三角表示板の代わりに使用することができる。
【0024】
ケーシングがその上側領域で下側突起部に対して対角線上で反対側に他の突起部を備え、その際、この突起部は一緒に十字形を形成する場合に、特に良好にこの機能を満たすことができる。
【0025】
道路交通においてこのような容器の最適な認識性を可能にするために、ケーシングの正面及び/又は背面が少なくとも突起部の領域で反射性である場合が特に有利である。
【0026】
これは、例えば反射性の被覆もしくは反射性シート、反射性塗装の形で又は反射性材料の形の突出部の構成の形で実現することができる。
【0027】
基本的にもちろん全体の容器が反射性であることも可能である。
【0028】
次に本発明を図面を用いて詳細に説明する。
【0029】
図1は、閉じた状態での本発明による容器の斜視図を表し、
図2及び図3は、開放した状態での本発明による容器の第1の実施態様を表し、
図4は、分離ディスクを立てた位置での分離ディスクの他の実施態様を有する容器を表し、
図5〜図8は、本発明による容器の他の実施態様のケーシング部の内側を上から見た図を表す。
【0030】
図1は、車両チェーンを保管するための容器BEH、特にキャリングケースを表す。このようなチェーンは例えばスノーチェーンである。
【0031】
この容器BEHは、上部OBTと下部UNTとからなる2分割のケーシングGEHを有する。この両方の部分は基本的に開放及びチェーンの保管のために完全に相互に分離されていても良い。しかしながら、両方の部分のOBT及びUNTは相互にヒンジ結合されているため、図2及び3に示されているようにケーシングGEHは簡単に開くことができる場合が有利である。
【0032】
閉鎖した状態では、この両方の部分はロックVSUで相互に固定結合されていて、更に、なお容器BETを簡単に運搬できるためのグリップGRIが設けられている。
【0033】
ケーシングGEHは基体からなり、前記基体は背面図もしくは下から見た図並びに正面図もしくは上から見た図で示されているように主に円形の形状を有する。しかしながら原則として他の形状も考えられる。
【0034】
この容器中で、2つの車両チェーンが絡み合わないように、この2つの車両チェーンを収納するために、本発明の場合には、容器が1つ又は複数の分離エレメントを有し、前記分離エレメントはチェーン用の開放位置とチェーン用の固定位置との間で可動である。
【0035】
図2及び3において詳細に説明されている本発明の第1の実施態様の場合には、この分離手段は平面状の分離エレメントTREとして、例えば分離ディスクとして構成されている。図示された実施態様の場合には、この分離ディスクTREは十字形又はX字形として構成されている。このような分離エレメントTREは、容器BEHから取り出された分離エレメントTRE(チェーン用の開放位置)において、チェーンをこの部分の内側に、例えば上部OBTの内側に収納することができる。引き続き、このチェーンを分離エレメントTREでカバーし、第2のチェーンをケーシングの他の半部UNT中に収納することができる。容器BEHの閉じた状態でのチェーンの絡まりは、この分離エレメントTREによって高い信頼性で防止される。
【0036】
分離エレメントTREが固定位置でケーシング部分OBTと固定結合可能である場合が特に有利である。例えば、この分離ディスクTREは、図2もしくは3から明らかなように、その角部で結合エレメント、例えば突起部、例えばピンFORを介して、ケーシング半部OBTの内側に取り付けられた対応する開口部OEF中に固定され、例えば嵌め込まれていてもよい。
【0037】
分離エレメントTREの固定操作は、容器がチェーンを収納した場合に取り扱いがより良好となり、既に容器内に存在するチェーンがこの容器から外に落ちるか又は著しく脱落する恐れはなくなるという利点を有する。
【0038】
図4は、分離ディスクの他の実施態様の容器を表す。分離ディスクTRE自体はここでもX字形を有する。分離ディスクの脚部SE、SE′は、環状の面VEBによって相互に結合されている。面VEBに対するこの結合によって、チェーンは、図1〜3からの分離ディスの場合と同様に相互になお著しく良好に分離される。
【0039】
図4は、開放位置での容器を示す。この分離ディスクは、分離ディスクの脚部の端部でそれぞれ容器の上部OBTと下部UNTとのそれぞれの外側領域で嵌め込まれて固定されている。このようにして、この容器は分離ディスクと一緒になって、例えば三角表示板の機能を満たす。
【0040】
この関連で、分離ディスクが例えば目立つ色を有する場合が有利であることが明らかである。なおさらに、少なくとも前記分離ディスクの、相応して外側に向かう面が反射性に構成されている場合が有利である。これは、相応する塗装によって実現することができるか、又は分離ディスク上に反射性のシートを取り付ける、例えば貼り付けることができる。分離ディスクの両面が反射性である場合も、もちろん有利である、それというのもこの容器を相応して立てる前に分離ディスクの配置をなお確認する必要が生じないためである。
【0041】
分離エレメントTREの使用により、両方のチェーンの特に良好な分離が達成され、それにより絡まりが高い信頼性で抑制される。
【0042】
図2及び3による実施態様とは反対に、チェーンの収納のために分離エレメントの取り出しがもはや必要ではない他の実施態様が、図5〜8に詳細に記載されている。
【0043】
この実施態様の場合には、分離エレメントは遮断エレメントHEB、HEB′であり、この遮断エレメントはチェーンの開放位置から固定位置に旋回可能である。例えば、この分離エレメントは、これらの図面中に記載されているように、カバーOBT、UNTの外側の面に対してほぼ平行で、平面状のレバーHEB、HEB′であり、前記レバーはカバーの外側の面に対して法線方向の軸ACHを中心として旋回可能である。
【0044】
図5は、チェーン用の開放位置でのレバーHEB、HEB′を表し、この両方の脚部はカバーの外壁付近に存在するかもしくは前記外壁に当接している。チェーンは容易に取り出しもしくは収納できる。
【0045】
この両方のレバーHEB、HEB′は、図6及び7に示されているように、カバーの内側方向に向けて旋回させることができる。このレバーHEB、HEB′は、この場合、例えば旋回時に比較的高い摩擦力が反対に作用するように支承されているため、前記レバーの旋回は手で加える力によってはなお快適に可能であるが、前記レバーが固定位置から(「通常」の条件下では)望んでいないのにはずれることは不可能である。この場合に、レバーHEB、HEB′はチェーンの固定のために、例えば図6に示されているように、任意の中間位置のままにしておくことができる。
【0046】
しかしながら、これとは別に又は付加的に、図8に示されたように、単に最終位置もしくは単に固定位置に存在し、その際、この位置において手で加える力なしではレバーは不所望にはずれないようにロックされることを考慮することもできる。
【0047】
固定のために、単に1つのレバーだけで十分であるが、このレバーは次いで相応して構成されていなければならない。図示されたように、チェーンの高い信頼性でかつ快適な固定を可能にする2つのレバーが特に有利であることが判明した。しかしながら、原則として複数のレバーを使用することも考えられる。
【0048】
基本的に、一方のカバー内側だけにレバーが設けられていることにより十分である、それというのもチェーンの絡まりは既に高い信頼性で抑制されるためである。しかしながら、相応するレバーが両方のカバー内側に取り付けられている場合に、特に高い信頼性が生じる。
【0049】
もう1回図1に戻り、容器BEHはそれ自体でも三角表示板等に使用することができることが明らかである。
【0050】
このために、ケーシングGEH(前面及び裏面からなる)は、正面又は背面から見て、ほぼ円形の形状を有し、その際、ケーシングGEHはその下側領域で2つの側面の突起部SAT、SAT′を有し、これらの突起部の下側はケーシングの最下点で終わっているか又は少なくともいくらか突出しており、かつ下側UNS、UNS′は平行でかつ相互に同じ高さに配置されていて、かつこの下側UNS、UNS′は平坦に構成されているか、又は支持面を形成する手段MIT、例えば支柱を有する。
【0051】
ケーシングGHEの上側領域で、前記ケーシングには、下側の突起部SAT、SAT′の対角線上の反対側に他の突起部SAT″、SAT″′が配置されていて、その際、これらの突起部SAT、SAT′、SAT″、SAT″′は一緒になって十字形又はX字形を形成する場合も有利である。
【0052】
更に、ケーシングGEHの正面及び/又は背面は突起部SAT、SAT′、SAT″、SAT″′の範囲内で少なくとも反射性である場合が有利である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部(OBT)及び下部(UNT)からなる2分割のケーシング(GEH)からなる車両チェーン、例えばスノーチェーン用の容器のような、特に保管ケース及び運搬ケースにおいて、少なくとも一方のケーシング半部(OBT、UNT)の内面に、少なくとも1つの分離エレメント(HEB、HEB′;TRE)が設けられていて、前記分離エレメントはチェーンの開放位置と固定位置との間で可動であることを特徴とする、車両チェーン用の容器。
【請求項2】
少なくとも1つの分離エレメントがチェーン用の遮断エレメント(HEB、HEB′)であり、前記遮断エレメントは、上部/下部(OBT、UNT)の外側でのほぼ法線にある軸を中心にして開放位置と固定位置との間で旋回可能であることを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
2つの遮断エレメント(HEB、HEB′)が設けられていることを特徴とする、請求項2に記載の容器。
【請求項4】
遮断エレメント(HEB、HEB′)がその固定位置でロックされ、不所望な開放を抑制することを特徴とする、請求項2又は3に記載の容器。
【請求項5】
2つの相互に少なくとも区分ごとに分離される領域内で、容器の内部空間を細分化するためにケーシング半部(OBT、UNT)の一方に収納するための分離エレメント(TRE)が平面状に構成されていることを特徴とする、請求項1に記載の容器。
【請求項6】
分離エレメント(TRE)がケーシング半部(OBT、UNT)と固定結合可能であることを特徴とする、請求項5に記載の容器。
【請求項7】
分離エレメント(TRE)は突起部(FOR)、例えばピンによって、ケーシング半部(OBT、UNT)中の相応する開口部にクリップ止め可能であることを特徴とする、請求項6に記載の容器。
【請求項8】
分離エレメント(TRE)が十字形もしくはX字形に構成されていることを特徴とする、請求項5から7のいずれか1項に記載の容器。
【請求項9】
十字形もしくはX字形の平面状の脚部(SE、SE′)の間に環状の結合面(VEB)が配置されていることを特徴とする、請求項8に記載の容器。
【請求項10】
分離エレメントの少なくとも1つの平面が少なくとも部分的に反射性であることを特徴とする、請求項5から9のいずれか1項に記載の容器。
【請求項11】
分離エレメントが相応して塗装されているか又は分離エレメントに反射性のシートが設けられていることを特徴とする、請求項10に記載の容器。
【請求項12】
ケーシング(GEH)の上部(OBT)と下部(UNT)とが相互にヒンジ結合されていて、かつ相互に相対的に開放位置と閉鎖位置との間で可動であることを特徴とする、請求項1から11のいずれか1項に記載の容器。
【請求項13】
容器の開放位置において、平面状の分離エレメントが、上部(OBT)及び下部(UNT)の外側領域の間で嵌め込んで固定可能であることを特徴とする、請求項12に記載の容器。
【請求項14】
ケーシング(GEH)が正面もしくは背面で見てほぼ環状の形状を有し、前記ケーシング(GEH)がその下側領域において2つの側面側の突起部(SAT、SAT′)を有し、前記突起部がその下側で前記ケーシングの最下点で終わっているか又は少なくともいくらか突出し、かつこの前記下側(UNS、UNS′)は平行でかつ相互に同じ高さに配置されていて、かつ前記下側(UNS、UNS′)は平坦に構成されているか又は支持面を形成する手段(MIT)を有することを特徴とする、請求項1から13のいずれか1項に記載の容器。
【請求項15】
ケーシング(GEH)は、その上側領域で、下側の突起部(SAT、SAT′)に対して対角線上で反対側に他の突起部(SAT″、SAT″′)が設けられていて、その際、これらの突起部(SAT、SAT′、SAT″、SAT″′)は一緒になって十字形を形成することを特徴とする、請求項14に記載の容器。
【請求項16】
ケーシング(GEH)の正面及び/又は背面は少なくとも突起部(SAT、SAT′、SAT″、SAT″′)の領域内で反射性であることを特徴とする、請求項14又は15に記載の容器。


【公表番号】特表2007−537932(P2007−537932A)
【公表日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−519720(P2006−519720)
【出願日】平成16年6月21日(2004.6.21)
【国際出願番号】PCT/AT2004/000212
【国際公開番号】WO2005/005282
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(504187434)ペヴァグ オーストリア ゲーエムベーハー (3)
【Fターム(参考)】