説明

車両ナンバー情報読取システム

【課題】今後も随時導入されるであろうご当地ナンバーへの対応を容易且つ迅速に対応することができるばかりでなく、導入のための作業コストや機器コスト等の高騰を抑制しつつ地域毎のフォントの違いに対する文字認識処理を独自で且つ適切に対応し得て、認識精度を大幅に向上することができる車両ナンバー情報読取システムを提供する。
【解決手段】入出場のレーンに設置した撮像装置によりナンバープレートを撮像し、撮像した画像を基にパターンマッチング処理とOCR処理とを行い、OCR処理結果を管理端末上で管理し、出場時のパターンマッチング処理の合致度が予め設定したレベルより高く、且つ、OCR処理結果の合致度が予め設定したレベルより低い場合、管理端末において当該ナンバーの個々のテンプレート文字データを合致度と共に低レベル合致度を収集するDBに保存し、テンプレートデータと比較閲覧可能で、データ再登録を容易に可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、料金徴収等を行うために、駐車場や高速道路に出入りする車両のナンバープレートに刻印されたナンバー情報のうち、地域名を含む少なくとも一部を撮像・識別する車両ナンバー情報読取システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コインパーキング等の駐車場にあっては利用時間等に応じた料金徴収等を行うために、或いは、高速道路にあっては通行券への印字等を行うために、出入りする車両のナンバープレートに刻印されたナンバー情報のうち、地域名を含む少なくとも一部を撮像・識別する車両ナンバー情報読取システムが周知である。
【0003】
一方、日本国内においては、平成18年9月に道路運送車両法施行規則等の一部を改正する省令として自動車登録規則(昭和45年運輸省令第7号)の一部改正が実施され、所謂「ご当地ナンバー」の採用が可能となった。
【0004】
この「ご当地ナンバー」とは、「新たな地域名表示ナンバープレート」の通称であり、国土交通省が自動車のナンバープレートに表示(刻印)するナンバー情報のうちの地域名について、対象市町村の区域を限定し、その限定区域での独自の地域名等を表示することができる制度で、平成18年10月10日以降、多くの新たな地域名等を表示した「ご当地ナンバー」が発行された。
【0005】
具体的には、仙台、会津、つくば、那須、高崎、川越、成田、柏、金沢、諏訪、富士山、伊豆、豊田、岡崎、一宮、鈴鹿、堺、倉敷、下関、等が新設され、さらに、今後導入が提唱されている地域としては、平泉、くまの、天草、日光、博多、前橋、等が予定されている。
【0006】
ところで、このような「ご当地ナンバー」の導入以前から、ナンバー情報を利用して車両を特定することによって駐車場や高速道路の出入り等を管理する車両ナンバー情報読取システムにおいては、既存のナンバー情報を予めデータベースに既知のデータとして保存することでナンバー情報の識別を行っている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平06−215293号公報
【特許文献2】特開2008−059326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、従来の車両ナンバー情報読取システムにおいては、上述したように、新たに「ご当地ナンバー」として導入される予定の地域名は事前に明らかになっているものの、実際に実用化された際のフォント(文字形状)等の情報を事前に収集することは不可能であった。
【0009】
即ち、ナンバー情報の地域名等は、上述したように事前に明らかであるが、使用されるフォント、特に、地域名を表す部分に採用されるフォントに関しては、製造する業者の違いや画数等の関係上、国内統一規格とはされず、地域名毎に異なるフォントが採用されている。
【0010】
このように、未知のご当地ナンバーで適用されるフォントが事前に情報収集することができない場合、ナンバー情報を利用する車両ナンバー情報読取システムでは、ご当地ナンバーが交付された後に、実際にそのフォントを確認する等によってフォント情報を収集してシステムデータの追加・変更・入れ替え等を行う必要がある。
【0011】
従って、新規のご当地ナンバーが発行されてそのフォント情報に関するシステムデータの入れ替え等が完了するまでの間は、ナンバー情報の認識精度は低いレベルとなってしまうことは避けられないのが実情であった。
【0012】
例えば、図15に示すように、陸運支局名のフォントの例として、既知の陸運支局名である「愛媛」の場合、図15(1)に示した実際のフォントは、画数を減らす等の抽象化等を行うことで目視による認識率を向上させており、図15(2)に示したような通常の文字フォントとは大きく異なっている。
【0013】
この様に、今後新たに採用されるご当地ナンバーにおいて、同様に画数を減らすような抽象的な漢字等のフォントが採用される可能性があり、実際に発行されたナンバーのデータを入手しないことには正確なデータを整備することができないのが現状であった。
【0014】
さらに、発行されたご当地ナンバーが流通したり通行するには地域差があるため、新規に採用されたご当地ナンバーが試験などをしている場所からみて遠隔地の場合には、わざわざその地方まで出向いてデータを収集する必要があり、このような作業を今後も続けていくことは合理的な手段とは言い難かった。
【0015】
また、日本国内における通常のナンバー情報の構成は(国交省自動車登録規則によるナンバー(車両番号標)の文字構成)、以下の通りである。
【0016】
(1)用途名:自動車運送事業の用に供するかどうかの別等を表示する平仮名又はローマ字
(2)陸運支局名:自動車の使用の本拠の位置を管轄する運輸支局又は自動車検査登録事務所の名称等(地域名)を表示する平仮名又は漢字
(3)車種番号:自動車の種別及び用途による分類番号を表示する3桁以下のアラビア数字
(4)一連番号:一連指定番号を表示する4桁以下のアラビア数字
これらの構成文字のうち、(3)車種番号と(4)一連番号とは、基本的にアラビア数字で示され、その適用フォントが地域や製造業者によって異なることは殆ど無い。
【0017】
これに対し、(2)陸運支局名に関しては、前述の通り記載内容(地域名等)が異なるため、画数等が多いと目視での識別力を確保することが困難になる等の理由から、適用フォントは地域名毎等によって異なる。
【0018】
また、(1)用途名の平仮名(ローマ字は対象数が少ないためにここでは除外して考える)に関しては、陸運支局名毎や、発行する都道府県、地方によって差異があることは既知である。
【0019】
ただし、陸運支局毎等でナンバー情報に使用しているフォントの一覧表等が公表されていることはなく、どのようなフォントが使用されているかは利用するものが独自に調査するしかないのが実状である。
【0020】
例えば、ある陸運支局発行のナンバーにおける用途名の平仮名の「ま」と、別の陸運支局発行のナンバーにおける用途名の平仮名の「ま」とは、図14に示すように、大きく異なっている。尚、同様に「ぬ」や「ふ」等でも顕著な違いが存在することは公知である。
【0021】
このように、車両のナンバープレートに刻印されたナンバー情報を撮像・認識し、利用料金を計算するコインパーキング等の駐車場や、通行券に印字する高速道路の発券機等に設置の車両ナンバー情報読取システムにおいて、ナンバー情報の認識精度を向上させるためには、ナンバーの文字フォントのデータ収集は極めて重要な要因となっている。
【0022】
しかしながら、このようなナンバーのフォント情報を製品開発段階等の事前に収集すること不可能であり、認識精度は導入する地域によって大きな差異ができてしまうという問題が生じていた。
【0023】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、今後も随時導入されるであろうご当地ナンバーへの対応を容易且つ迅速に対応することができるばかりでなく、導入のための作業コストや機器コスト等の高騰を抑制しつつ地域毎のフォントの違いに対する文字認識処理を独自で且つ適切に対応し得て、認識精度を大幅に向上することができる車両ナンバー情報読取システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0024】
上記の課題を解決するため、本発明の請求項1に係る車両ナンバー情報読取システムは、車両通過レーン若しくは駐車エリア周辺に設置した撮像装置によりナンバープレートに刻印されたナンバー情報を撮像したうえでナンバー情報を識別する管理端末を備えた車両ナンバー情報読取システムであって、前記管理端末は、予め文字単位毎又は単語単位毎のテンプレート文字データとで関連付けして登録された登録画像データと撮像したナンバー情報の撮像画像データとをOCR処理によって文字単位又は単語単位で比較することでテンプレート文字データを特定して文字識別すると共に、そのOCR処理による文字単位又は単語単位での各画像データ間の合致度が予め設定したレベルよりも低い場合には、該当する撮像画像データと合致度とを関連付けして低レベル合致度収集用データベースに保存することを特徴とする。
【0025】
本発明の請求項1に係る車両ナンバー情報読取システムによれば、OCR処理結果による各画像データ間の合致度の低い撮像画像データを収集・閲覧することが可能となり、早期にデータ入れ替えのためデータ収集が可能で、適正なデータかどうかを人為的に閲覧比較して人為的判断による入れ替えデータの取捨選択を容易に行うことができる。また、利用可能な撮像画像データをOCR処理用のテンプレート文字データ更新に供するために自動的に蓄積されるため、特に個別にデータ収集したり、現物の入手をする必要無く、登録画像データと対応するテンプレート文字データとを設定入力するといったデータ入れ替えを容易に行うことが可能となる。
【0026】
本発明の請求項2に係る車両ナンバー情報読取システムは、車両通過レーン若しくは駐車エリア周辺に設置した撮像装置によりナンバープレートを撮像したうえでそのナンバープレートに刻印されたナンバー情報を識別する管理端末を備えた車両ナンバー情報読取システムであって、前記管理端末は、過去に撮像したナンバープレートの撮像プレート画像データと直近で撮像したナンバープレートの撮像プレート画像データとを比較するパターンマッチング処理と、予め文字単位毎又は単語単位毎のテンプレート文字データとで関連付けして登録された登録画像データと撮像したナンバープレートの撮像プレート画像データとを文字単位又は単語単位で比較することでテンプレート文字データを特定して文字識別するOCR処理とを行い、パターンマッチング処理結果による各撮像プレート画像データ間の合致度が予め設定したレベルより高く且つOCR処理結果による各画像データ間の合致度が予め設定したレベルよりも低い場合には、該当する撮像画像データと合致度とを関連付けして低レベル合致度収集用データベースに保存することを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項2に係る車両ナンバー情報読取システムによれば、パターンマッチング処理による新旧撮像プレート画像データ間の合致度とOCR処理による登録撮像画像データ間の合致度とのうち、OCR処理結果の合致度が低い場合にはテンプレート文字データが適切でない可能性が高く、そのOCR処理結果を収集することで、テンプレート文字データの更新の可否の判断が容易となる。さらに、パターンマッチング処理結果とOCR処理結果との各合致度との比較によってデータ蓄積の有無を判断するため、パターンマッチング処理結果自体が低レベルである場合には収集せず、撮像プレート画像データが画像として鮮明でないものや、撮像装置に対する車体斜め入場等に起因してナンバープレートが傾いた状態で撮像されている場合等の画像データをOCR処理用のテンプレート文字データ更新用に供するために蓄積してしまうことがなく、比較的鮮明で良好なデータだけを効率良く蓄積することができる。
【0028】
また、本発明の請求項3に記載の車両ナンバー情報読取システムは、前記管理端末は、前記OCR処理結果による各画像間の合致度の比較を行なうテンプレート文字データ及び登録画像データとして、陸運支局名と用途名(仮名)とを用いることを特徴とする。
【0029】
本発明の請求項3に係る車両ナンバー情報読取システムによれば、陸運支局名を蓄積することによって、当地ナンバーに対応したテンプレート文字データ及び登録画像データを早期に収集することが可能となり、複数の文字形状のフォントが存在する「仮名」に関するデータの蓄積も自動的に行うことができ、蓄積データの適正化が早期に実現することによって、ナンバー情報の文字認識精度(OCR処理精度)の向上に繋がる。
【0030】
本発明の請求項4に記載の車両ナンバー情報読取システムは、前記管理端末は、前記低レベル合致度収集用データベースにおいて、OCR処理結果として判定した同一の陸運支局名を収集して整理させると共に、撮像されたナンバー情報の撮像画像データの画像テンプレート文字登録画像データの画像とを比較閲覧可能とする表示画面を備えていることを特徴とする。
【0031】
本発明の請求項4に係る車両ナンバー情報読取システムによれば、複数のフォントが存在する陸運支局名毎の登録されたテンプレート文字が適正かどうかも容易に分析できテンプレート文字データの適正化によってナンバー情報の文字認識精度(OCR処理精度)のさらなる向上に繋がる。
【0032】
本発明の請求項5に記載の車両ナンバー情報読取システムは、前記管理端末は、前記低レベル合致度収集用データベースにおいて、OCR処理結果として判定した陸運支局名毎に用途名(仮名)を収集して整理させると共に、撮像されたナンバー情報陸運支局名と用途名の夫々の撮像画像データと登録画像データとを比較閲覧可能とする表示画面を備えていることを特徴とする。
【0033】
本発明の請求項5に係る車両ナンバー情報読取システムによれば、駐車場管理担当者陸運支局名と用途名の夫々の撮像画像データと登録画像データとを比較閲覧して登録画像データの画像状態(例えば、フォント状態)の良し悪しが判断できるため、現場においてその地域のデータの蓄積と修正データの反映が容易となる。
【0034】
本発明の請求項6に記載の車両ナンバー情報読取システムは、前記管理端末は、低レベル合致度と判定されたデータを前記表示画面で比較閲覧されたテンプレート文字データ及び登録画像データと入れ替え可能であることを特徴とする。
【0035】
本発明の請求項6に係る車両ナンバー情報読取システムによれば、駐車場管理担当者が比較閲覧したなかで良好と判断したフォントを簡単に現場で入れ替えできるため、その地域のデータの早期蓄積と修正データのタイムリーな反映が可能となる。
【0036】
本発明の請求項7に記載の車両ナンバー情報読取システムは、前記管理端末は、低レベル合致度と判定された複数のデータを画像処理を施して生成された適正なテンプレート文字データと入れ替え可能であることを特徴とする。
【0037】
本発明の請求項7に係る車両ナンバー情報読取システムによれば、駐車場管理担当者が比較閲覧したなかで良好と判断した複数のフォントによって適正に処理されたデータをOCR処理用のテンプレート文字データとして簡単に現場で入れ替えできるため、適切な修正データの反映が可能となり、ナンバー情報の認識精度の向上に繋がる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の車両ナンバー情報読取システムは、今後も随時導入されるであろうご当地ナンバーへの対応を容易且つ迅速に対応することができるばかりでなく、導入のための作業コストや機器コスト等の高騰を抑制しつつ地域毎のフォントの違いに対する文字認識処理を独自で且つ適切に対応し得て、認識精度を大幅に向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両ナンバー情報読取システムにおけるシステム構成の説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車両ナンバー情報読取システムにおける撮像装置のブロック図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る車両ナンバー情報読取システムにおけるパターンマッチング処理の説明図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る車両ナンバー情報読取システムにおけるOCR処理の説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る車両ナンバー情報読取システムにおける入場時の発券機動作のフロー図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る車両ナンバー情報読取システムにおける入場時の撮像処理動作のフロー図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る車両ナンバー情報読取システムにおける入場時の管理端末動作のフロー図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る車両ナンバー情報読取システムにおける出場時の出口精算機動作のフロー図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る車両ナンバー情報読取システムにおける出場時の撮像処理動作のフロー図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る車両ナンバー情報読取システムにおける出場時の管理端末動作のフロー図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る車両ナンバー情報読取システムにおけるOCR処理のフロー図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る車両ナンバー情報読取システムにおける駐車データの説明図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る車両ナンバー情報読取システムにおける低レベル合致度文字閲覧手段の説明図である。
【図14】フォントの差異の例を示した説明図である。
【図15】陸運支局名の文字フォントの例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明に係る車両ナンバー情報読取システムの一実施形態について、駐車場に設置された車両ナンバー情報読取システムに適用し、図面に基づいて説明する。尚、以下に示す実施形態は、本発明の好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定を付している場合もあるが、本発明の技術範囲は、特に本発明を限定する記載がない限りこれらの態様に限定されるものではない。
【0041】
図1は本発明の一実施形態に係る車両ナンバー情報読取システムにおけるシステム構成の説明図である。
【0042】
図1において、MPは実際に車両を駐車するための駐車スペースである。この駐車スペースMPの付近には、第1入場レーン10aと第2入場レーン10b、第1出場レーン20aと第2出場レーン20b、各入場レーン10a,10bの車両進行方向前後及び各出場レーン20a,20bの車両進行方向前後に配置された第1ループ11aと第2ループ11b、各入場レーン10a,10b及び各出場レーン20a,20bを区画するように配置されたメインアイランド12aとセンターアイランド12bとサイドアイランド12c、とを備えている。
【0043】
各アイランド12a,12b,12cには、各入場レーン10a,10b及び各出場レーン20a,20bを挟むように互いに対向するもの同士で対として車両の出入りを検出するための発光トリガーセンサー13又は受光トリガーセンサー14が設けられている。また、各入場レーン10a,10bのメインアイランド12aとセンターアイランド12bとには、発券機15、通信ライン16、ゲートバー18を備えたゲート装置17、撮像装置19、が設けられている。さらに、各出場レーン20a,20bのメインアイランド12aとセンターアイランド12bとには、通信ライン16、ゲートバー18を備えたゲート装置17、撮像装置19、出口精算機22、が設けられている。
【0044】
また、図1において、21は出口精算機とは別に事前に清算処理を行うことができる事前精算機、23は事前精算機21用の通信ライン、24はイーサネット(登録商標)、50a及び50bは車両である。さらに、図1において、30は駐車場管理室である。
【0045】
駐車場管理室30は、サーバー31、管理端末としてのパーソナルコンピュータ(PC)等の演算処理装置(以後、単に「管理PC」と称する。)32、データベース(DB)33、とを備えている。
【0046】
データベース33は、契約車データベース(DB)33a、在車データベース(DB)33b、画像データベース(DB)33c、テンプレート文字データベース(DB)33d、を備えている。
【0047】
発光トリガーセンサー13から赤外線ビームが各受光トリガーセンサー14に向けて照射され、この間への車両50a又は車両50bの進入によって赤外線ビームが遮光されるとトリガーオン(ON)となる。
【0048】
この際、各入場レーン10a,10bにおいては、車両50a又は車両50bの金属部分が第1ループ11aに検知されて車両有りと判断された場合のみ、トリガーオンと判断されるようにAND構成を採用しており、人や小動物の通過によってトリガーオンとはならないようになっている。
【0049】
各撮像装置19は、通信ライン16を介して発券機15又は出口精算機22と接続されている。また、発券機15と出口精算機22とは同一アイランド12a,12bのゲート装置17と接続されている。さらに、撮像装置19は、イーサネット(登録商標)24を通じて他の撮像装置19や管理PC32とLAN(Local Area Network)接続されている。
【0050】
駐車場スペースMPの一角に設置された事前精算機21は、管理PC32と通信ライン23で接続され、各出場レーン20a,20bから離れた場所(例えば、ビル等の出入り口付近や駐車エリアMPの一角等に設置し、事前に清算することで清算後の所定時間内(例えば、5分)であれば出口精算機22での清算を不要とするものである。従って、この事前精算機22の設置場所は限定されるものではない。
【0051】
尚、第1,第2出場レーン20a,20bは、第1,第2入場レーン10a,10bの車両進行方向を反転させた構成になっているため、その詳細な構造の説明は省略する。
【0052】
図2は上述した撮像装置19の構成を示したものである。撮像装置19は、中央演算処理部(CPU)34、メモリー35、外部入力部36、外部通信部37、LANボード38、カメラ39、キャプチャーボード40、フラッシュ41、インターフェイス42、を備え、バス43を介して相互接続されている。また、撮像装置19は、各入場レーン10a,10b及び各出場レーン20a,20bの何れに設置されたものでも同じ構成であるが、個々の装置IDやLAN接続のためのIPアドレス等を異ならせることによって撮像装置19の特定を行うことができる。従って、入出場処理のプログラム自体は後述するように各入場レーン10a,10bと出場レーン20a,20bとでは若干異なる仕組みに成っている。
【0053】
通常、発光トリガーセンサー13は、常に赤外線ビームを照射しており、受光トリガーセンサー14が物体によって遮蔽されることで撮像装置19にトリガー信号が入力され、フラッシュ41を焚きカメラ39で撮像する。その際に周辺の光量を計測する光センサー等(図示せず)を用いてフラッシュ41を制御するか、カメラ39のレンズ部にオートアイリス機構を仕組んでもよい。
【0054】
本実施の形態においては、撮像した画像はカメラ39からキャプチャーボード40で静止画像化され、予めプログラムされたアプリケーションソフトウエアがCPU34上で動作し、車両50a又は車両50bのナンバープレートの抽出及びナンバー情報の二値化や画像圧縮データの生成などを行い、これをメモリー35に保存する。
【0055】
第1,第2入場レーン10a,10bの撮像装置19の例では、メモリー35には契約車の画像圧縮データが多数保存されている。実施例ではデータ保存はメモリー35としたが、HDD(ハードディスク)やコンパクトフラッシュ(登録商標)などの記憶デバイスを用いてもよい。また、アプリケーションソフトウエアのプログラムなどは予めメモリー35の一部に書き換え不可能に保存されている。パターンマッチング処理は、予めプログラムされたアプリケーションソフトウエアがCPU34上で動作し、撮像画像から生成した画像圧縮データとメモリー35上に保存された画像圧縮データを比較して処理を行う。また、ナンバープレート抽出、二値化、画像圧縮データの生成、さらにパターンマッチング処理などの一連の動作を専用の画像ボードを設けて行うことも可能である。
【0056】
具体的には、図1で例示した構成の駐車場の場合、入場時に撮像したナンバープレートの画像データを過去の撮像プレート画像データとしてメモリー35に記憶し、出場時に撮像したナンバープレートの画像データを直近の撮像プレート画像データとし、これら新旧の撮像プレート画像データを比較する。
【0057】
尚、過去の撮像プレート画像データとしては、契約車両の駐車と一時利用車両の駐車とが混在する有料駐車場等の場合には、契約車両のナンバープレートの画像データを過去の撮像プレート画像データとしてメモリー35に記憶し、駐車場への入場時に撮像したナンバープレートの画像データを直近の撮像プレート画像データとして契約車か否かを判定する際に用いる場合等もある。
【0058】
ここで、パターンマッチング処理とOCR処理とでは、利点と欠点(得意と不得意)がある。即ち、パターンマッチング処理では、ノーマッチング(合致しない)の原因(パターンマッチング処理の弱点)として、入場時と出場時に車両進入角度(姿勢)が、例えば反対方向に異なる方向に曲がりながらレーンに進入した車両の画像のパターンマッチング処理はノーマッチングになりやすい。
【0059】
このことは、比較するナンバープレートの画像同士の歪みの方向が異なることにより、各々のナンバープレートの文字の形が異なるためにノーマッチングとなりやすい。これに対してOCR処理では、文字1つ1つを読み取ってテキストに置き換えているため、入場時と出場時に逆方向に歪んだナンバープレートの画像を撮像した場合でも、それらの画像同士を比較する訳ではないのでナンバープレートの文字は正常に認識できる。
【0060】
OCR処理の弱点は、ナンバープレートの文字がかすれていたり、汚れている場合に文字と認識できないか、最も似ている他のテキストを当てはめてしまうため、誤認識が生じることもあるが、パターンマッチング処理では入場時と出場時の画像同士を直接比較するために、ナンバープレートの文字のかすれや汚れも含めて同一の車両かどうかが判断され、誤認識が生じ難いとされている。
【0061】
パターンマッチング処理は処理速度が速く、出場レーン20a,20bでのパターンマッチング処理では入場台数分のデータからベストマッチング(一番マッチングスコアが高い=合致点数が高い)を選択すればよいから、対象数は在車数に限られ処理対象数が少ない。また、入場レーン10a,10bでは対象数は定期契約車に限られる。これに対してOCR処理では、常に全ての文字の可能性を考慮して一文字づつ認識処理するため、処理全体に時間がかかる。入場レーン10a,10bや出場レーン20a,20bの撮像装置19側でパターンマッチング処理とOCR処理の両方を実行すると全体の処理に時間がかかり、それをカバーするためにCPU34のクロック周波数の速いものを採用したり、内部のメモリー35の容量をアップさせなければならず、装置のコストアップとなる。
【0062】
図3を基にパターンマッチング処理を説明する。
【0063】
例えば、図3(イ)に示すように、入場時(又は出場時)の車両進行方向が右折状態である場合、車両50のナンバープレート51は左に曲がった姿勢で入場することとなる。従って、その際のナンバープレート51の画像も図3(イ)に示すように曲がって撮像される。
【0064】
これに対し、図3(ロ)に示すように、入場時(又は出場時)の車両進行方向が略直進状態である場合、ナンバープレート51は直進(平面)姿勢で入場することとなる。従って、その際のナンバープレート51の画像も図3(ロ)に示すように撮像される。
【0065】
一方、図3(ハ)に示すように、出場時(又は入場時)の車両進行方向が左折状態ある場合、ナンバープレート51は右に曲がった姿勢で出場することとなる。従って、その際のナンバープレート51の画像も図3(ハ)に示すように曲がって撮像される。
【0066】
パターンマッチング処理を概念的に言うと、画像圧縮データ同士を重ね合わせて、その一致する部分の多さで点数をつけ、それが予め設定した閾値以上であれば「マッチング」とし、閾値以下であれば「ノーマッチング」となり、これを撮像したものと保存してあるものとで総当たり処理して、「マッチング」のなかの「ベストマッチング」を選択する。
【0067】
ここで、入場時と出場時とのナンバープレート51の関係が、図3(イ)と図3(ロ)又は、図3(ロ)と図3(ハ)というように、一方のみがずれた状態であれば比較的高いスコアでマッチングするが、図3(イ)と図3(ハ)とのように、互いに逆方向にずれた場合には比較的低いスコアとなり、場合によっては「ノーマッチング」となってしまうことがある。
【0068】
この際、この状態であっても常に「マッチング」するように閾値を下げたり、アルゴリズムを変更すると、本当に異なるナンバープレート同士を「マッチング」と見なしてしまう「ミスマッチング」が生じる危険性がある。
【0069】
このように、車両の姿勢の食い違いにより画像の歪み方向が大きく異なるナンバープレート画像同士では比較的スコアが低く「ノーマッチング」と判定されることがあるが、仮に、OCR処理する場合では図3(イ)、図3(ロ)、図3(ハ)において全て正常にナンバー情報を認識し、例えば、テキストデータ「名古屋400わ0444」を処理結果として得ることができる(尚、この「名古屋400わ0444」のナンバー情報を有する車両は、一連番号の1桁目に「0」は採用されないため実在しない)。
【0070】
次に、図4のフロー図を参照してOCR処理の説明をする。
【0071】
このOCR処理を概念的に説明すると、画像に含まれる文字部と予め設定された形態(フォント)の文字との「テンプレートマッチング処理」を行うものである。
【0072】
まず、図4の(1)でナンバーを抽出し(パターンマッチング処理で抽出された画像を使用する)、(2)ナンバーの文字部だけを抽出し(同様にパターンマッチング処理の前処理で抽出済み)、(3)でそれらを要素別に分け(後述する図11でも説明している)、(4)で文字のDBに保管してある様々な文字のデータと比較して1文字づつ「総当たり」で当てはめ、(5)でその結果をテキストデータとして出力する。また(5’)として、その際に各要素の合致度、確からしさを採点しており、その最高点の文字を割り当てている。
【0073】
OCR処理は対象となる文字のデータ数が多いと処理時間が長くかかるため、駐車場の入出場レーンで採用するには、高速の処理が必要でありCPUのクロック周波数の速いものが必要で、それを多数の処理装置に設置するとコストが増大する。そこで、管理PC32のように他に高速の処理を司る用途のためにハイスペックなPCがある場合は、そこでOCR処理を行わせることで、CPUの高速化のコストアップが全体のコストに影響され難くすることも可能である。
【0074】
ただし、OCR処理を行うための画像を送信するのにも時聞がかかるため、複数のレーンの画像を一箇所で集中的にOCR処理し、その結果を入出場レーン側に返すといったシステムだけで駐車場の入出場を管理するには、画像送信と結果の返信に常に数秒の時間を待たねばならず、これだけでの運用は現実的でない(常にレスポンスが遅い)。
【0075】
そこで、上述したパターンマッチング処理とOCR処理の利点と欠点に鑑みて、本発明の実施例による車両ナンバー情報読取システムでは、図5から図11に示すような処理を実行する。
【0076】
図5は車両入場時における発券機15の動作フローを示し、ステップS1で第1ループ11aがオンかオフかを判断し、オンであればステップS2に進みトリガー受付許可信号を(A)に示すそのレーンに設置された撮像装置19へ送信する。
【0077】
また、ステップS3でパターンマッチング処理結果を含む駐車データを(B)に示す撮像装置19から受信し、ステップS4でパターンマッチング処理結果を判断し、ノーマッチングであればステップS5に進み、(B’)に示す撮像装置19からOCR処理結果がNO(合致無し)を受信した場合、ステップS6へと移行して案内放送を開始する。
【0078】
さらに、ステップS7で発券機15の発券釦を押下すると、ステップS8で駐車券が発行され、ステップS9で駐車券もしくは定期券が抜き取られたか否かを判断し、抜き取られたらステップS10でゲートバー18が開く。
【0079】
また、ステップS11で車両50a又は車両50bが第2ループ11bを通過したか否かを判断し、通過していればステップS12でゲートバー18が閉じ、ステップS13で入場時刻、券No等の駐車データを更新すると共に、トリガー受付禁止指令を(C)に示す撮像装置19へと送信する。
【0080】
また、ステップS7で発券機15の発券釦が押下されなければ、ステップS14に進み定期券が挿入されたか否かを判断し、挿入されればステップS9に進み、挿入されなければステップS7で待機をし続ける。
【0081】
この様に、入場レーン10a又は入場レーン10bでは、契約車に対しては通常はパターンマッチング処理結果が「マッチング」となってゲート開信号が出力され、一般車に対してはパターンマッチング処理結果が「ノーマッチング」となって、発券釦が押下された場合に駐車券が発行され、駐車券を抜き取るとゲート開信号が出力され、夫々第2ループ11bを通過するとゲートが閉じ、その後駐車データに入場時刻、券No等が付加されたデータとトリガー受付禁止信号が撮像装置19へと送信される。
【0082】
図6は車両入場時の撮像装置19の動作フローを示し、ステップS21でトリガー入力がオンかオフかを判断し、オフであればステップS22で(A)に示すようにそのレーンに設置された発券機15からトリガー受付許可信号を受信するが、受信されない場合はステップS21のトリガー入力判断を繰り返す。
【0083】
また、ステップ21でトリガー入力がオンの場合はステップS23でトリガー受付許可か禁止かを判断し、許可状態の場合はステップS24で適宜にフラッシュ発光撮像すると共に画像キャプチャーを実行し、ステップS25でナンバープレート抽出処理を行い、ステップS26で(D)に示すようにナンバー位置情報を含む駐車データと画像を管理PC32へ送信する。
【0084】
さらに、ステップS27で画像圧縮データを生成し、ステップS28でパターンマッチング処理を実行した後、ステップS29でパターンマッチング処理結果を判断し、ステップS30で(B)に示すようにパターンマッチング処理結果を含む駐車データを発券機15へ送信する。
【0085】
ここで、そのまま待機している状態で車両50a又は車両50bが駐車スペースMP内に入場するとステップS31に進み、(C)に示すように発券機15から入場時刻や券ナンバーなどを含む更新された駐車データ及びトリガー受付禁止指令を受信し、ステップS32で(E)に示すように駐車データと画像圧縮データを管理PC32へ送信する。
【0086】
一方、ステップS29でノーマッチングだった場合には、ステップS33へと移行し、(E)に示すように管理PC32からOCR処理結果を受信したか否かを判断し、受信していればステップS34でOCR処理結果を含む駐車データを発券機15へ送信する。
【0087】
図7は車両入場時における管理PC32の動作フローであって、ステップS41で(D)に示すように撮像装置19からナンバー位置情報を含む駐車データ及び画像を受信し、ステップS42でOCR処理を実行する。
【0088】
また、ステップS43で契約車DB33aの検索を行った後、ステップS44で該当車が有るか無いかを判断し、該当車が無ければステップS45でOCR処理で得られたナンバープレート情報のみをデータにセットしてステップS46で(E)に示すようにOCR処理結果として撮像装置19へ送信した後に、ステップS47で画像を画像DB33cに保存する。
【0089】
さらに、ステップS48で(F)に示すように撮像装置19から駐車データと画像圧縮データを受信し、ステップS49で在車情報を在庫DB33bに保存する。
【0090】
また、ステップS50で車両50a又は車両50bが契約車か否かを判断し、契約車でなければステップS53で蓄積台数が有るか否かを判断し、蓄積台数が有ればステップS51へと移行する。また、契約車でない場合にはステップS54でタイムアウトか否かを判断し、タイムアウトであればステップS51に進み蓄積台数やタイムアウトの初期化を行い、ステップS52で(F’)に示すように駐車データと画像圧縮データを各出口の撮像装置19へ送信する。
【0091】
ステップS44で該当車があればステップS55に進みOCR処理で得られたナンバープレート情報と契約車DBから抽出した情報をデータにセットして、ステップS46に進む。また、ステップS50で契約車であればステップS51へ進む。
【0092】
このように、契約車以外の情報の場合には、予め設定した台数若しくは時間が経過するまでは駐車場データと画像圧縮データを配信せず、例えば、一般車が10台連続して入場したら、10台分まとめて駐車場データと画像圧縮データを各出場レーンの撮像装置19へ配信するようになっており、入場の度にデータを複数の出口レーンの撮像装置19へ返信する場合に比較して、LANのトラフィックを混雑させるのを極力避けることができると共に、時間のかかる画像の送受信を少しでも速く実行するように工夫されている。
【0093】
図8は車両出場時における出口精算機22の動作フローを示し、ステップS61でそのレーンの第1ループ11aがオンであるかオフであるかを調べ、第1ループ11aがオンであればステップS62でトリガー受付許可指令を(G)に示すそのレーンに設置された撮像装置19に送信する。
【0094】
また、ステップS63でパターンマッチング処理結果を含む駐車データを(H)に示すように受信した後に、ステップS64でパターンマッチング処理結果を調べる。
【0095】
ここで、ノーマッチングであればステップS65に進み、(H')に示す撮像装置19からOCR処理結果がNO(合致無し)を受信した場合には、ステップS66へ進み案内放送を開始し、ステップS67で駐車券が挿入されたか否かを判断し、挿入されていればステップS68で料金が発生したか否かを判断し、料金が発生していればステップS69に進み料金精算処理を実行する。
【0096】
また、ステップS70で出口のゲートバー18が開き、次にステップS71で第2ループ11bを車両50a又は車両50bが通過したか否かを調べ、通過していればステップS72でゲートバー18が閉じ、ステップS73で出場時刻などの駐車データを更新し、(J)に示すようにトリガー受付禁止指令を撮像装置19へ送信する。
【0097】
一方、ステップS67で駐車券が挿入されなければ、ステップS74で定期券が挿入されたか否かを判断し、定期券が挿入されていなければステップS67に戻り、挿入されていればステップS75に進む。
【0098】
また、ステップS64でマッチングしていればステップS68に進み、ノーマッチングであってもステップS65で(H')に示す撮像装置19からのOCR処理結果が合致しているか否かを調べ、合致していればステップS68に進む。
【0099】
図9は車両出場時における撮像装置19の動作フローを示し、ステップS81でトリガー入力がオンであるかオフであるかを判断し、オフであればステップS82で(G)に示すそのレーンに設置された出口精算機22から受付許可指令を受信するが、受信されない場合はステップS81のトリガー入力判断を繰り返す。
【0100】
また、ステップS81でトリガー入力がオンした場合はステップS83でトリガー受付許可か禁止かを判断し、許可状態の場合はステップS84で適宜にフラッシュ発光撮像すると共に画像キャプチャーを実行し、ステップS85でナンバープレート抽出処理を行う。 さらに、ステップS86で、ナンバー位置情報を含む駐車データと画像を(K)に示す管理PC32に送信した後、ステップS87で画像圧縮データを生成し、ステップS88でパターンマッチング処理を行う。
【0101】
また、ステップS89でパターンマッチング処理結果がどうかを判断し、ステップS90でパターンマッチング処理結果を含む駐車データを(H)に示す出口精算機22へ送信する。
【0102】
ここで、そのまま待機しているうちに車両50a又は車両50bが駐車スペースMPから出場すると、ステップS91に進み、出場時刻や券Noなどの更新された駐車データ及びトリガー受付禁止指令を(J)に示す出口精算機22から受信し、ステップS92で契約車か否かを判断する。
【0103】
ここで、契約車でなければステップS93で駐車データと画像圧縮データを削除し、ステップS94で駐車データ削除指示を(M)に示す各出場レーンの撮像装置19と管理PC32へ送信する。
【0104】
一方、ステップS89でノーマッチングだった場合には、ステップS95に進み(L)に示す管理PC32からOCR処理結果を受信したか否かを調べ、ステップS96でOCR処理結果を含む駐車データを(H')に示す出口精算機22へ送信する。
【0105】
また、ステップS92で契約車であれば、ステップS97で駐車データを(N)に示す各入場レーンの撮像装置19へ送信すると共に、ステップS93に戻る。
【0106】
さらに、ステップS83でトリガー受付禁止の場合には、ステップS98で配信受付処理を行った後にステップS81に戻る。
【0107】
図10は出場時における管理PC32の動作フローであって、ステップS101で(K)に示す撮像装置19からナンバープレート位置情報と画像を受信し、ステップS102でOCR処理を行う。
【0108】
また、ステップS103で在車DB33bのデータを検索し、ステップS104で該当車が有るか否かを判断する。該当車がなければ、ステップS105でOCR処理結果のみをデータにセットして、ステップS106でOCR処理結果として(L)に示す撮像装置19へ送信する。
【0109】
さらに、ステップS107で画像を画像DB33cに保存した後に、ステップS108で(M)に示す撮像装置19から、駐車データと画像圧縮データを削除する旨の指示指令を受信し、ステップS109で在車DB33bから駐車データを削除する。
【0110】
一方、ステップS104で該当車があれば、ステップS110に進み、OCR処理で得られたナンバー情報と在車DBから抽出した情報をデータにセットして、ステップS106に進む。
【0111】
この際、パターンマッチング処理でノーマッチングの場合でも、正常にナンバープレートが撮像されて、OCR処理結果から在車情報を検索して該当するものが見つかれば「マッチング」(=合致するものがある)と同様に扱う。また、各レーン10a,10b,20a,20bの撮像装置19でパターンマッチング処理をするのと同時に画像をLANで管理PC32に送信する。
【0112】
パターンマッチング処理を撮像装置19で実行している時には内部CPUがフル稼働しているが、画像送信などの通信処理は専用のLANボード38(若しくは単にLAN専用回路)が司るため、並列処理で画像を送信してもパターンマッチング処理が遅くはならない。
【0113】
OCR処理はCPUにかかる負荷が大きいため、ハイスペックなCPUを搭載した管理PC32に画像を送信してそれを基にOCR処理させ、結果だけを撮像装置19に返信させる。
【0114】
この際、撮像装置19は管理PC32に画像を送信する際に、画像の中に含まれるナンバープレートの位置データを付加して送信する。
【0115】
管理PC32は、ナンバープレート位置情報を含む画像エリアだけ、ナンバープレート画像抽出とOCR処理することで、OCR処理の時聞を短くできる。
【0116】
図11はOCR処理の動作フローであって、ステップS111で一連番号を抽出し、ステップS112ではその一連番号の位置から他の各文字や番号の領域を算出し、ステップS113でまず一連番号の数字を認識してその結果は図示しないがメモリーに保管しておき、ステップS114では車種番号を認識して同様にその結果をメモリーに保管しておき、ステップS115では陸運支局名を認識するが、その際には文字DB33d内の陸運支局名DBにある陸運支局名のテンプレートとの比較を行なって、最もスコアの高い陸運支局名をOCR処理結果としてメモリーに保管する。
【0117】
尚、文字認識時のスコアとは、各テンプレート(陸運支局名として登録された文字の文字形状)との比較を行い、合致する度合いが高いものに高いスコアをつけ、合致度が低いほど低いスコアとし、最も合致度が高いテンプレートの文字(支局名)をOCR認識結果として採用する。
【0118】
ただし、実際のOCR処理には誤認識を防止するために他の特徴による判定手法なども同時に採用しており、単なる絵合わせだけではないが、簡単なため、ここでは単にテンプレートに絵合わせを行なって、最も絵の輪郭のズレが少ないものに高スコアをつけるものとする。
【0119】
実施例では、完全に合致した場合にはスコアが100点とし、低スコアの閾値を50点とする。また、20点以下の場合には「該当なし」や「認識不可」として、あえて低いスコアの文字を認識結果として採用しないこととしている。
【0120】
また、前述の一連番号と車種番号の認識についても同様に、数字の文字形状に対しての絵合わせによって最も高いスコアの数字を認識結果として採用するものであるが、数字の場合には陸運支局毎の文字形状の差異が無く、後からの書き換えの必要が無いため、0〜9までの10種類の数字の文字形状のテンプレートデータは文字DBではなく、OCR処理プログラムの中に持たせている。
【0121】
次のステップS116では、まずパターンマッチング処理の段階におけるマッチングスコアが予め設定した閾値以上かどうかを判定する。この場合のマッチングスコアは、入場レーンでの一般車であれば、ほとんど低スコアであり、ノーマッチとなっているもので、パターンマッチングによる判定の閾値と同じスコアを設定してもよい。
【0122】
よって、ノーマッチの場合のナンバーのOCRにおいては、ステップS116ではマッチングスコア閾値以上でNOとなり、ステップS117へと移行する。
【0123】
ステップS117では、用途名の認識を行なうが、前述の陸運支局名と同様に、文字DB33d内の仮名文字DBにある仮名文字のテンプレートとの比較を行なって、最もスコアの高い仮名文字をOCR処理結果としてメモリーに保管する。ただし、この場合の仮名文字DBにおいて認識処理に比較対照として参照する仮名文字のテンプレートは、前述のステップS115の陸運支局名認識でOCR処理結果としてメモリーに保管された陸運支局名毎に異なるテンプレートとなっており、その中から最もスコアの高い仮名文字をOCR処理結果としてメモリーに保管する。次のステップS118でも、まずパターンマッチング処理の段階におけるマッチングスコアが予め設定した閾値以上かどうかを判定し、パターンマッチング処理でノーマッチの場合にはステップS118ではマッチングスコア閾値以上でNOとなり、次のステップS119に進み、メモリーに保管してある各文字のOCR処理結果を出力し(ナンバー全体のOCR処理結果として次の処理に使用できる状態とする)、RETURNで元の処理に戻る。
【0124】
前述のステップS116でマッチングスコアが閾値以上だった場合には、YESとなりステップS120に移行して陸運支局名のOCRスコアが閾値以下かどうかを判定し、閾値以上であればステップS117に移行するが、<閾値以下?>がYESだった場合にはステップS121に移行してその際の陸運支局名を抽出した文字画像と、認識結果(OCRスコア)を文字DB33d内の陸運支局名低スコア文字DBに保存してからステップS117に移行する。
【0125】
また、前述のステップS118でマッチングスコアが閾値以上だった場合には、YESとなりステップS122に移行して用途名(仮名)のOCRスコアが閾値以下かどうかを判定し、閾値以上であればステップS119に移行するが、閾値以下だった場合にはステップS123に移行してその際の用途名を抽出した文字画像と、認識結果(OCRスコア)、ならびにその際の陸運支局名のOCR処理結果を文字DB33d内の仮名低スコア文字DBに保存してからステップS119に移行する。
【0126】
図12は本発明の実施例による車両ナンバー情報読取システムにおける駐車データの内容を示す図である。前述のマッチングスコアやOCR処理結果は駐車データに含まれて、その後の在車管理や出庫履歴管理に活用されることになる。また、OCR処理結果は例えば一般車として駐車券を取って入場した車両のドライバーが、駐車券を紛失してしまった場合など、ドライバーが車両のナンバーを申告することですぐさま該当する車両の在車管理データより入場時刻が判明し、駐車券の再発行なども確実に行なえる。
【0127】
また、OCR処理結果から駐車場施設利用者の陸運支局名の統計を採り、どの地域からの来場者が多いかなどが解析できれば顧客ニーズにあったサービスの展開も可能となる。
【0128】
さらに、一連番号データの末尾が偶数か奇数かによって入場を制限するような利用形態も可能である。
【0129】
また、ブラックリストや盗難車等のナンバー情報を登録して通報することも容易となり、この様に単に入場・退場時の車両判定を正確に行うためにはパターンマッチング処理だけでも問題ないが、OCR処理には他の使い勝手があるためにどちらも精度良く認識することができるのが好ましい。
【0130】
図13は本発明の実施例の低レベル合致度文字閲覧手段を示し、図13の上段は用途名(仮名)低スコアリスト表示状態のモニタ正面図、図13の下段は陸運支局名低スコアリスト表示状態のモニタ正面図である。
【0131】
これらの表示画面は管理PC32のディスプレイに表示させたもので、通常の管理PC画面(図示せず)から係員操作によって遷移してこの図に示した画面61に移行される。
【0132】
画面61には、その全体にリスト表示部62が設定されているが、操作の便宜性の確保のために下部にファンクション表示部63が設けられている。
【0133】
このファンクション表示部63は、図示しないキーボード装置のファンクションキー(F1〜F12)に割り当てられた操作内容を表示する。また、リストの選択は図示しないマウスなどのポインティングデバイスを使用したり、図示しないキーボード装置のカーソルキー(←↓→↑)で移動させて選択することができる。
【0134】
用途名低スコアの例では、OCR認識した仮名名の順で、OCRスコアの高い順にソートして表示されており、その際の陸運支局名も示されている。画面右側には、OCR処理の際に使用された画像と、その際にテンプレートとして使用された画像も同時に比較閲覧可能となっている。このリストでは仮名の画像とテンプレートを比較して、あきらかに異なる文字形状が見つかった場合には、ファンクションキーで「登録」を押下し、該当するテンプレートを変えることもできる。
【0135】
また、その際に一度の登録で切替えるのではなく、複数の画像を登録し、別途それらを輪郭・位置・角度補正等をおこなったうえで、それら複数の画像データを平均化するなどの適正な画像処理を施してから、テンプレートを入れ替えるのも良い。
【0136】
このように、仮名名が陸運支局毎に表示されているのは、文字DB内で陸運支局名毎に使用されている仮名が保存されているからであるが、全ての陸運支局名で全ての仮名が整理されていない場合には、複数の陸運支局で共通の仮名を採用するようなデータテーブルが別途用いられている。陸運支局名の低スコアリストも同様に、陸運支局毎にOCRスコアの高い順にソートして表示されており、画面右側には、OCR処理の際に使用された画像と、その際にテンプレートとして使用された画像も同時に比較閲覧可能となっている。同様にこのリストでは陸運支局名の画像とテンプレートを比較して、あきらかに異なる文字形状が見つかった場合には、ファンクションキーで「登録」を押下し、該当するテンプレートを変えることもできる。その際に一度の登録で切替えるのではなく、複数の画像を登録し、別途それらを平均化するなどの適正化処理を施してから、テンプレートを入れ替えるのも良い。図の例ではご当地ナンバーとして新規採用された「富士山」で、テンプレートと実際の画像の差異が多数リストアップされており、これらを「登録」していくことで、陸運支局名のOCRスコアが向上し、全体的にOCR処理結果が向上することで、ナンバー情報の認識精度が改良されていく。
【0137】
なお、本発明の実施例で説明した駐車場システムにおいては、パターンマッチング方式とOCR方式を撮像装置19と管理PC32とで別個に処理しているが、これらをすべて管理PC32で行うか、逆に全て撮像装置内でおこなうことも、本発明の請求の範囲に含まれる。さらに、複数の駐車場において、OCR登録されたテンプレートデータを共有し、遠隔地でのDB間で共同して精度の向上を図ることも有効であり、本発明の応用の範囲といえる。
【0138】
加えて、本発明の実施形態は実施例で説明した様な入口出口の車路において撮像するシステムの駐車場に留まらず、車両を駐車エリア毎に管理して駐車料金精算前の車両を駐車エリアから退出不可状態に拘束する装置を備えたフラップ式駐車場にも使用可能であり、その場合には撮像装置を駐車エリア周辺に個々の駐車エリア毎に設置したり、複数の駐車エリアをまとめて撮像したり、さらに撮像装置のカメラ部が複数の駐車エリアを巡回しながら監視する様な形態であっても、本発明で述べたナンバー情報認識の技術を採用するも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0139】
以上詳述したように本発明は、駐車場システムにおいて用いられるナンバー情報の認識処理に関するものであり、ナンバーのOCR処理の精度向上に効果を発揮することで、スムーズな入場・出場が恒久的に実現されるためのものであり、十分に産業上の利用可能性を有している。
【符号の説明】
【0140】
10a,10b 入場レーン
11a,11b ループ
12a,12b,12c アイランド
13 発光トリガーセンサー
14 受光トリガーセンサー
15 発券機
16 通信ライン
17 ゲート装置
18 ゲートバー
19 撮像装置
20a,20b 出場レーン
21 事前精算機
22 出口精算機
23 通信ライン
24 イーサネット(登録商標)
30 駐車場管理室
31 サーバー
32 管理PC(管理端末)
33 データベース(DB)
33a 契約車DB
33b 在車DB
33c 画像DB
33d 文字DB
34 CPU
35 メモリー
36 外部入力部
37 外部通信部
38 LANボード
39 カメラ
40 キャプチャーボード
41 フラッシュ
42 インターフェイス
43 バス
50a,50b 車両
MP 駐車スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両通過レーン若しくは駐車エリア周辺に設置した撮像装置によりナンバープレートに刻印されたナンバー情報を撮像したうえでナンバー情報を識別する管理端末を備えた車両ナンバー情報読取システムであって、
前記管理端末は、予め文字単位毎又は単語単位毎のテンプレート文字データとで関連付けして登録された登録画像データと撮像したナンバー情報の撮像画像データとをOCR処理によって文字単位又は単語単位で比較することでテンプレート文字データを特定して文字識別すると共に、
そのOCR処理による文字単位又は単語単位での各画像データ間の合致度が予め設定したレベルよりも低い場合には、該当する撮像画像データと合致度とを関連付けして低レベル合致度収集用データベースに保存することを特徴とする車両ナンバー情報読取システム。
【請求項2】
車両通過レーン若しくは駐車エリア周辺に設置した撮像装置によりナンバープレートを撮像したうえでそのナンバープレートに刻印されたナンバー情報を識別する管理端末を備えた車両ナンバー情報読取システムであって、
前記管理端末は、過去に撮像したナンバープレートの撮像プレート画像データと直近で撮像したナンバープレートの撮像プレート画像データとを比較するパターンマッチング処理と、予め文字単位毎又は単語単位毎のテンプレート文字データとで関連付けして登録された登録画像データと撮像したナンバープレートの撮像プレート画像データとを文字単位又は単語単位で比較することでテンプレート文字データを特定して文字識別するOCR処理とを行い、
パターンマッチング処理結果による各撮像プレート画像データ間の合致度が予め設定したレベルより高く且つOCR処理結果による各画像データ間の合致度が予め設定したレベルよりも低い場合には、該当する撮像画像データと合致度とを関連付けして低レベル合致度収集用データベースに保存することを特徴とする車両ナンバー情報読取システム。
【請求項3】
前記管理端末は、前記OCR処理結果による各画像間の合致度の比較を行なうテンプレート文字データ及び登録画像データとして、陸運支局名と用途名(仮名)とを用いることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両ナンバー情報読取システム。
【請求項4】
前記管理端末は、前記低レベル合致度収集用データベースにおいて、OCR処理結果として判定した同一の陸運支局名を収集して整理させると共に、撮像されたナンバー情報の撮像画像データの画像テンプレート文字登録画像データの画像とを比較閲覧可能とする表示画面を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の車両ナンバー情報読取システム。
【請求項5】
前記管理端末は、前記低レベル合致度収集用データベースにおいて、OCR処理結果として判定した陸運支局名毎に用途名(仮名)を収集して整理させると共に、撮像されたナンバー情報の撮像画像データと登録画像データとを比較閲覧可能とする表示画面を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の車両ナンバー情報読取システム。
【請求項6】
前記管理端末は、低レベル合致度と判定されたデータを前記表示画面で比較閲覧されたテンプレート文字データ及び登録画像データと入れ替え可能であることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の車両ナンバー情報読取システム。
【請求項7】
前記管理端末は、低レベル合致度と判定された複数のデータを画像処理を施して生成された適正なテンプレート文字データと入れ替え可能であることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の車両ナンバー情報読取システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−198305(P2010−198305A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42229(P2009−42229)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000101617)アマノ株式会社 (174)
【Fターム(参考)】