説明

車両モデル表示方法

【課題】2つの車両モデルをきめ細かく比較することができ、車両モデルの評価を的確に行う上で有利な車両モデル表示方法を提供する。
【解決手段】描画部14は第1車両モデルの3次元形状を表す第1車両モデル外形画像30を第1表示色で表示装置6Eの画面上に描画する。次いで、描画部14は、第2車両モデルデータD2に基づいて第2車両モデルの3次元形状を表す第2車両モデル外形画像32を第1表示色と異なる第2表示色で表示装置6Eの画面上に描画する。重ね合わせ部16は、表示装置6Eの画面上に描画された第1、第2車両モデル外形画像30、32の少なくとも一部を3次元空間上で互いに重ね合わせる。透過表示部18は、表示装置6Eの画面上に表示される第1、第2車両モデル外形画像30、32の何れか一方を透過表示させて第1、第2車両モデル外形画像30、32を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両モデル表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、効率的に車両の企画検討あるいは設計を行うために、企画検討あるいは設計を支援する技術が種々提案されている(特許文献1乃至5参照)。
これらの技術では、従来公知の様々な画像処理用のアプリケーションソフトウェアなどを使用して新車両企画検討用の車両モデルを構築し、該車両モデルの3次元形状を表す外形画像を表示装置の画面に表示している。
そして、このようにして構築された新車両企画検討用の車両モデルを評価するに際しては、新車両企画検討用の車両モデルの外形画像と、対比すべき他の車両、例えば、既存の車両モデルの外形画像とを表示装置の画面上に同時に表示し、車両モデル同士を比較して評価している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−99499号公報
【特許文献2】特開2003−108625号公報
【特許文献3】特開2004−302673号公報
【特許文献4】特開2002−366606号公報
【特許文献5】特開2007−4423号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、画面上において、新車両企画検討用の車両モデルの外形画像と、対比すべき他の車両モデルの外形画像とを並べて配置して表示しているに過ぎない。
そのため、それら車両モデル間における全長、全高、車幅の相違や、外形形状の大まかな相違を比較する程度にとどまっており、例えば、車室の大きさや形状の相違をきめ細かく比較するには不十分であった。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、2つの車両モデルをきめ細かく比較することができ、車両モデルの評価を的確に行う上で有利な車両モデル表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、互いに外形が異なる第1、第2車両モデルの3次元形状を表す外形画像を表示装置の画面に表示する車両モデル表示方法であって、前記第1車両モデルの3次元形状を表す第1車両モデルデータと、前記第2車両モデルの3次元形状を表す第2車両モデルデータとをそれぞれ取得する車両モデルデータ取得ステップと、前記第1車両モデルデータに基づいて前記第1車両モデルの3次元形状を表す第1車両モデル外形画像を第1表示色で前記画面上に描画する第1描画ステップと、前記第2車両モデルデータに基づいて前記第2車両モデルの3次元形状を表す第2車両モデル外形画像を前記第1表示色と異なる第2表示色で前記画面上に描画する第2描画ステップと、前記第1、第2車両モデル外形画像の少なくとも一部を3次元空間上で互いに重ね合わせる重ね合わせステップと、前記第1、第2車両モデル外形画像のいずれか一方を透過表示させて前記第1、第2車両モデル外形画像を表示する透過表示ステップとを含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、第1、第2車両モデル外形画像の少なくとも一部を3次元空間上で互いに重ね合わせ、第1、第2車両モデル外形画像のいずれか一方を透過表示させて第1、第2車両モデル外形画像を表示するようにした。
したがって、第1、第2車両モデル外形画像の対応する部分をきめ細かく比較する上で有利となり、車両モデルの評価を的確に行う上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明が適用される車両モデル表示システムの構成図である。
【図2】クライアント端末6の構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態におけるサーバ2およびクライアント端末6の機能ブロック図である。
【図4】第1の実施の形態における車両モデル表示方法のフローチャートである。
【図5】第1、第2車両モデルの3次元形状を示す外形画像が重ね合わせられた状態を示す説明図である。
【図6】第1、第2車両モデルの3次元形状を示す外形画像が透過表示された状態を示す説明図である。
【図7】第1、第2車両モデルの側面を示す外形画像が透過表示された状態を示す説明図である。
【図8】第1、第2車両モデルの平面を示す外形画像が透過表示された状態を示す説明図である。
【図9】第1、第2車両モデルの正面を示す外形画像が透過表示された状態を示す説明図である。
【図10】第1、第2車両モデルの3次元形状を示す外形画像が破断されて透過表示された状態を示す説明図である。
【図11】第2の実施の形態におけるサーバ2およびクライアント端末6の機能ブロック図である。
【図12】第2の実施の形態における車両モデル表示方法のフローチャートである。
【図13】第1、第2車両モデルの3次元形状を示す外形画像のうち互いに重なる部分の外側が表示された状態を示す説明図である。
【図14】第1、第2車両モデルの側面を示す外形画像のうち互いに重なる部分の外側が表示された状態を示す説明図である。
【図15】第1、第2車両モデルの平面を示す外形画像のうち互いに重なる部分の外側が表示された状態を示す説明図である。
【図16】第1、第2車両モデルの正面を示す外形画像のうち互いに重なる部分の外側が表示された状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施の形態)
次に本発明の実施の形態について図1乃至図10を参照して説明する。
まず、本発明方法を実行する車両モデル表示システムの構成について説明する。
図1に示すように、車両モデル表示システム8は、サーバ2と、通信ネットワーク4を介してサーバ2に接続された1つ以上のクライアント端末6とを含んで構成されている。
サーバ2は後述する各データベースを構成するものである。
通信ネットワーク4としては、LAN、WANなど従来公知のさまざまな通信ネットワークが使用可能である。
【0009】
クライアント端末6は、パーソナルコンピュータによって構成されている。
図2に示すように、クライアント端末6は、中央演算装置(CPU)6A、主記憶装置6B、外部記憶装置6C、入力装置6D、表示装置6E、通信装置6Fなどを含んで構成され、これら各部6A、6B、6C、6D、6E、6Fはバス6Gで接続されている。
主記憶装置6Bは、中央演算処理装置6Aのワーキングエリアを提供するものであり、RAMなどによって構成されている。
外部記憶装置6Cは、従来公知の制御プログラムや情報に加えて、車両モデル表示プログラムなどを格納するものであり、例えば、ハードディスク装置などによって構成されている。
入力装置6Dは、キーボードやマウスなどで構成され、操作者の入力操作を受け付けるものである。
表示装置6Eは、ディスプレイ装置で構成され、その画面上に画像や文字などのデータを出力するものである。
通信装置6Fは、通信ネットワーク4を介してサーバ2との間で情報の授受を行うものである。
中央演算装置6Aは、前記制御プログラムを実行することにより主記憶装置6B、外部記憶装置6C、入力装置6D、表示装置6E、通信装置6Fの制御を司るものである。
また、中央演算装置6Aは前記車両モデル表示プログラムを実行することにより、図3に示す車両モデルデータ取得部12、描画部14、重ね合わせ部16、透過表示部18などの機能を実現するものである。
【0010】
次にサーバ2、クライアント端末6について説明する。
図3に示すように、サーバ2は、車両モデルデータベース10を含んで構成され、クライアント端末6は、車両モデルデータ取得部12、描画部14、重ね合わせ部16、透過表示部18などを含んで構成されている。
【0011】
車両モデルデータベース10は、車両モデルの3次元形状を表す車両モデルデータを格納するものである。
車両モデルデータベース10は、新車両企画検討用の車両モデル(第1車両モデル)の3次元形状を表す第1車両モデルデータD1と、比較検討の対象となる既存の車両モデル(第2車両モデル)の3次元形状を表す第2車両モデルデータD2とを格納している。
新車両企画検討用の車両モデル(第1車両モデル)と、既存の車両モデル(第2車両モデル)とは互いに外形が異なっている。
また、本実施の形態では、車両モデルデータベース10は、複数の新車両企画検討用の車両モデルの第1車両モデルデータD1と、複数の既存の車両モデルの第2車両モデルデータD2とを格納しているものとする。
【0012】
車両モデルデータ取得部12は、第1車両モデルデータD1と、第2車両モデルデータD2とを車両モデルデータベース10からそれぞれ選択して取得するものである。
車両モデルデータ取得部12による車両モデルデータの選択と取得は、車両モデルデータ取得部12が使用者による入力装置6Dの操作入力を受け付けることにより設定される。
使用者による入力装置6Dの操作としては、例えば次のような方法が使用可能である。
すなわち、表示装置6Eの画面上にこれら選択対象となる複数の新車両企画検討用の車両モデルの識別名および複数の既存の車両モデルの識別名を列挙したリスト形式のメニューが表示される。
使用者が入力装置6Dを操作することにより該メニューから新車両企画検討用の車両モデルと複数の既存の車両モデルとを1つずつ選択する。
この選択操作に応じて車両モデルデータ取得部12が第1、第2車両モデルデータD1、D2を選択して、車両モデルデータベース10から取得する。
なお、これら車両モデルの選択操作として従来公知の様々な入力方法が使用可能であることは無論である。
【0013】
描画部14は、車両モデルデータ取得部12によって取得された第1車両モデルデータD1に基づいて第1車両モデルの3次元形状を表す第1車両モデル外形画像を第1表示色で表示装置6Eの画面上に描画するものである。
また、描画部14は、車両モデルデータ取得部12によって取得された第2車両モデルデータD2に基づいて第2車両モデルの3次元形状を表す第2車両モデル外形画像を第1表示色と異なる第2表示色で表示装置6Eの画面上に描画するものである。
【0014】
重ね合わせ部16は、表示装置6Eの画面上に描画された第1、第2車両モデル外形画像の少なくとも一部を3次元空間上で互いに重ね合わせるものである。
重ね合わせ部16による重ね合わせは、車両モデルの外形画像のうち、予め設定された基準位置を基準としてなされる。
基準位置としては、例えば、車両モデルの前後方向におけるフロントタイヤの中心点、車両モデルの前端、フロントデッキポイントなどが挙げられるが、基準位置を任意の位置に設定できるようにしてもよい。
ここで、フロントデッキポイントとは、車両モデルを側方から見た状態で、言い換えると、車両モデルの側面を示す外形画像において、ボンネットを構成する外板部分とフロントガラスとが交差する箇所である。
この基準位置は、重ね合わせ部16が使用者による入力装置6Dの操作入力を受け付けることにより設定される。
使用者による入力装置6Dの操作としては、例えば次のような方法が使用可能である。
すなわち、表示装置6Eの画面上にこれら選択対象となる複数の基準位置を列挙したリスト形式のメニューが表示され、使用者が入力装置6Dを操作することにより該メニューから基準位置を選択する。この選択操作に応じて重ねあわせ部16が基準位置を選択する。
あるいは、表示画面上に基準位置を設定するための基準位置設定用のカーソルを表示し、入力装置6Dとしてのマウスを用いて基準位置設定用のカーソルを所望の位置に設定してもよい。
なお、これら基準位置の設定操作として従来公知の様々な入力方法が使用可能であることは無論である。
【0015】
透過表示部18は、表示装置6Eの画面上に表示される第1、第2車両モデル外形画像30、32の何れか一方を透過表示させて第1、第2車両モデル外形画像30、32を表示するものである。
言い換えると、透過表示部18は、表示装置6Eの画面上に表示される第1、第2車両モデル外形画像30、32の一方の透過度を他方の透過度よりも低下させて第1、第2車両モデル外形画像30、32を表示するものである。
第1、第2車両モデル外形画像の透過度は、透過表示部18が使用者による入力装置6Dの操作入力を受け付けることによりそれぞれ設定される。あるいは、第1、第2車両モデル外形画像の透過度は、予め規定値として透過表示部18に設定されていてもよい。
第1、第2車両モデル外形画像の透過度が使用者による入力装置6Dの操作により設定される場合、使用者による入力装置6Dの操作としては、例えば次のような方法が使用可能である。
すなわち、表示装置6Eの画面上に複数の透過度を列挙するメニューが表示され、使用者が入力装置6Dを操作することにより該メニューから所望の透過度の値を選択して設定する。
あるいは、表示装置6Eの画面上に透過度を増減して調整するスライドバーが表示され、使用者が入力装置6Dを操作することによりスライドバーをスライドすることで所望の透過度の値を設定する。
なお、透過度の設定操作として従来公知の様々な入力方法が使用可能であることは無論である。
【0016】
次に、図4のフローチャートを参照して車両モデル表示システム8の動作、すなわち、車両モデル表示方法について説明する。
まず、使用者が入力装置6Eの操作により表示装置6Eの画面に表示させる新車両企画検討用の車両モデルと、既存の車両モデルとを選択する(ステップS10)。
【0017】
車両モデルデータ取得部12は、入力装置6Eの操作を受け付けると、選択された新車両企画検討用の車両モデルに対応する第1車両モデルデータD1と、選択された既存の車両モデルの第2車両モデルデータD2とを車両モデルデータベース10から読み出す(ステップS12:車両モデルデータ取得ステップ)。
【0018】
次に、重ね合わせ部16は、使用者による入力装置6Dの操作入力を受け付けることにより前記基準位置を設定する(ステップS14:基準位置設定ステップ)。
【0019】
描画部14は、図5に示すように、車両モデルデータ取得部12によりステップS12で取得された第1車両モデルデータD1に基づいて第1車両モデルの3次元形状を表す第1車両モデル外形画像30を第1表示色で表示装置6Eの画面上に描画する(ステップS16:第1描画ステップ)。
次いで、描画部14は、図5に示すように、車両モデルデータ取得部12によりステップS12で取得された第2車両モデルデータD2に基づいて第2車両モデルの3次元形状を表す第2車両モデル外形画像32を第1表示色と異なる第2表示色で表示装置6Eの画面上に描画する(ステップS18:第2描画ステップ)。
【0020】
重ね合わせ部16は、表示装置6Eの画面上に描画された第1、第2車両モデルの外形画像の少なくとも一部を3次元空間上で互いに重ね合わせる(ステップS20:重ね合わせステップ)。
この際、第1、第2車両モデルの外形画像の重ね合わせは、ステップS14で設定された基準位置に基づいて行われる。
例えば、基準位置がフロントタイヤの中心点であれば、図5に示すように、第1、第2車両モデル外形画像30、32の重ね合わせは、車両モデルの外形画像のフロントタイヤおよびリアタイヤの接地面を合わせ、かつ、車両モデルの前後方向における車両モデルの外形画像のフロントタイヤの中心点を合わせた状態で行われる。
図5において、符号3002、3004は第1車両モデルのフロントタイヤを示し、符号3202、3204は第2車両モデルのリアタイヤを示す。
図5においては、図示の都合上、第1車両モデル外形画像30を実線の外形線で示すと共に、第1車両モデル外形画像30にハッチングを施している。また、第2車両モデル外形画像32を破線の外形線で示している。
また、基準位置が車両モデルの前端であれば、第1、第2車両モデルの外形画像の重ね合わせは、車両モデルの外形画像のフロントタイヤおよびリアタイヤの接地面を合わせ、かつ、車両モデルの前後方向における車両モデルの外形画像の前端を合わせた状態で行われる。
また、基準位置がフロントデッキポイントであれば、第1、第2車両モデルの外形画像の重ね合わせは、車両モデルの外形画像のフロントタイヤおよびリアタイヤの接地面を合わせ、かつ、車両モデルの前後方向における車両モデルの外形画像のフロントデッキポイントを合わせた状態で行われる。
なお、ステップS16、S18、S20はこの順番に順次実行されても、同時に実行されてもよい。
【0021】
次に、透過表示部18は、図6に示すように、第1、第2車両モデル外形画像30、32の何れか一方を透過表示させて第1、第2車両モデル外形画像30、32を表示する(ステップS22:透過表示ステップ)。すなわち、透過表示部18は、表示装置6Eの画面上に表示される第1、第2車両モデル外形画像30、32の一方の透過度を他方の透過度よりも低下させて第1、第2車両モデル外形画像30、32を表示する(透過度変更表示ステップ)。
図6では、第1車両モデル外形画像30を外形線のみで示すと共に、第2車両モデル外形画像32にハッチングを施すことで、第1車両モデル外形画像30が透過表示された状態を表示している。
図7、図8、図9は、図6に示す第1、第2車両モデル外形画像30、32の側面、平面、正面を示している。
【0022】
第1の実施の形態によれば、第1、第2車両モデル外形画像30、32の少なくとも一部を3次元空間上で互いに重ね合わせた状態で、第1、第2車両モデル外形画像30、32の何れか一方を透過表示させて第1、第2車両モデル外形画像30、32を表示するようにした。
したがって、第1、第2車両モデル外形画像30、32の対応する部分をきめ細かく比較する上で有利となり、また、車両全体のバランスをきめ細かく比較する上でも有利となり、例えば、新車両企画検討用の車両モデルの評価を的確に行う上で有利となる。
従来技術では、比較する2つの車両モデルの外形画像が並べられて表示されるのみであったため、例えば、車室の大きさや形状などをきめ細かく比較することは困難であった。
これに対して、本実施の形態では、第1、第2車両モデル外形画像30、32が重ねあわされて表示されるため、車室の大きさや形状などをきめ細かく比較する上で格段に有利となる。
また、ステップS22における第1、第2車両モデル外形画像30、32の表示の際には、図10に示すように、透過表示部18により、第1、第2車両モデル外形画像30、32の一部を破断して表示してもよい。
この場合には、車両モデルの内部の比較をきめ細かく行う上で有利となる。
【0023】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について図11乃至図16を参照して説明する。
なお、以下の実施の形態では、第1の実施の形態と同様の部分には同一の符号を付してその説明を省略し、あるいは、説明を簡単に行う。
【0024】
図11に示すように、サーバ2は、第1の実施の形態と同様に、車両モデルデータベース10、車両モデルデータ取得部12、描画部14、重ね合わせ部16、透過表示部18を含んで構成されている。
【0025】
車両モデルデータベース10、車両モデルデータ取得部12、描画部14、重ね合わせ部16は、第1の実施の形態と同様に構成されている。
【0026】
透過表示部18は、表示装置6Eの画面上に表示される第1、第2車両モデル外形画像の何れか一方を透過表示させて第1、第2車両モデル外形画像30、32を表示するものである。
透過表示部18は、外側部分表示部19を有している。
外側部分表示部19は、第1、第2車両モデル外形画像30、32が互いに重なる部分において、3次元空間上で重なる部分の外側に位置する外形画像の部分を表示すると共に、3次元空間上で重なる部分の透過度を外形画像の部分の透過度よりも低下させて外形画像の部分を表示するものである。
【0027】
次に、図12のフローチャートを参照して車両モデル表示システム8の動作、すなわち、車両モデル表示方法について説明する。
まず、使用者が入力装置6Eの操作により表示装置6Eの画面に表示させる新車両企画検討用の車両モデルと、既存の車両モデルとを選択する(ステップS30)。
【0028】
車両モデルデータ取得部12は、入力装置6Eの操作を受け付けると、選択された新車両企画検討用の車両モデルに対応する第1車両モデルデータD1と、選択された既存の車両モデルの第2車両モデルデータD2とを車両モデルデータベース10から読み出す(ステップS32:車両モデルデータ取得ステップ)。
【0029】
次に、重ね合わせ部16は、使用者による入力装置6Dの操作入力を受け付けることにより前記基準位置を設定する(ステップS34:基準位置設定ステップ)。
【0030】
描画部14は、車両モデルデータ取得部12によりステップS32で取得された第1車両モデルデータD1に基づいて第1車両モデルの3次元形状を表す第1車両モデル外形画像30を第1表示色で表示装置6Eの画面上に描画する(ステップS36:第1描画ステップ)。
次いで、描画部14は、車両モデルデータ取得部12によりステップS32で取得された第2車両モデルデータD2に基づいて第2車両モデルの3次元形状を表す第2車両モデル外形画像32を第1表示色と異なる第2表示色で表示装置6Eの画面上に描画する(ステップS38:第2描画ステップ)。
【0031】
重ね合わせ部16は、表示装置6Eの画面上に描画された第1、第2車両モデルの外形画像の少なくとも一部を互いに重ね合わせる(ステップS40:重ね合わせステップ)。
この際、第1、第2車両モデルの外形画像の重ね合わせは、ステップS34で設定された基準位置に基づいて行われることは第1の実施の形態と同様である。
なお、ステップS36、S38、S40はこの順番に順次実行されても、同時に実行されてもよい。
【0032】
次に、透過表示部18は、表示装置6Eの画面上に表示される第1、第2車両モデル外形画像30、32の何れか一方を透過表示させて第1、第2車両モデル外形画像30、32を表示する。この場合、外側部分表示部19は、第1、第2車両モデル外形画像30、32が互いに重なる部分において、3次元空間上で重なる部分の外側に位置する外形画像の部分を表示すると共に、3次元空間上で重なる部分の透過度を外形画像の部分の透過度よりも低下させて外形画像の部分を表示する(ステップS42:透過表示ステップおよび外側部分表示ステップ)。
すなわち、図13に示すように、外側部分表示部19は、第1、第2車両モデル外形画像30、32が互いに重なる部分において、3次元空間上で重なる部分の外側に位置する第1、第2車両モデル外形画像30、32の部分を実線で示すように表示する。
図14、図15、図16は、図13に示す第1、第2車両モデル外形画像30、32の側面、平面、正面を示している。
図13乃至図16では、3次元空間上で重なる部分の内側に位置する第1、第2車両モデル外形画像30、32の部分、言い換えると、非表示となる外形画像の部分を二点鎖線の部分で示した。
また、第2車両モデル外形画像32にハッチングを施すことにより、第1車両モデル外形画像30の第1表示色に対して第2車両モデル外形画像32の第2表示色が異なることを表示した。
【0033】
第2の実施の形態によれば、第1、第2車両モデル外形画像30、32が互いに重なる部分において、3次元空間上で重なる部分の外側に位置する外形画像の部分を表示すると共に、3次元空間上で重なる部分の透過度を外形画像の部分の透過度よりも低下させて外形画像の部分を表示した。
したがって、第1、第2車両モデル外形画像30、32の対応する部分をきめ細かく比較する上で有利となり、また、車両全体のバランスをきめ細かく比較する上でも有利となり、例えば、新車両企画検討用の車両モデルの評価を的確に行う上で有利となる。
従来技術では、比較する2つの車両モデルの外形画像が並べられて表示されるのみであったため、例えば、車室の大きさや形状などをきめ細かく比較することは困難であった。
これに対して、本実施の形態では、3次元空間上で重なる部分の外側に位置する外形画像の部分を表示すると共に、3次元空間上で重なる部分を非表示とした。
そのため、車室の大きさや形状などをきめ細かく比較する上で格段に有利となる。
【0034】
なお、本実施の形態では、新車両企画検討用の車両モデルの外形画像と、比較検討の対象となる既存の車両モデルの外形画像とを表示装置6Eの画面に表示する場合について説明した。
しかしながら、比較する2つの車両モデルの外形画像の選択は任意であり、新車両企画検討用の車両モデルの外形画像を2つ表示させてもよいし、既存の車両モデルの外形画像を2つ表示させてもよいことは無論である。
【0035】
また、本実施の形態では、車両が乗用車である場合について説明したが、本発明方法が適用される車両は乗用車に限定されず、従来公知の様々な作業用車両や建築用車両に適用可能である。
【符号の説明】
【0036】
D1……第1車両モデルデータ、D2……第2車両モデルデータ、30……第1車両モデル外形画像、32……第2車両モデル外形画像、S12……車両モデルデータ取得ステップ、S16……第1描画ステップ、S18……第2描画ステップ、S20……重ね合わせステップ、S22……透過表示ステップ、S32……車両モデルデータ取得ステップ、S36……第1描画ステップ、S38……第2描画ステップ、S40……重ね合わせステップ、S42……外側部分表示ステップ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに外形が異なる第1、第2車両モデルの3次元形状を表す外形画像を表示装置の画面に表示する車両モデル表示方法であって、
前記第1車両モデルの3次元形状を表す第1車両モデルデータと、前記第2車両モデルの3次元形状を表す第2車両モデルデータとをそれぞれ取得する車両モデルデータ取得ステップと、
前記第1車両モデルデータに基づいて前記第1車両モデルの3次元形状を表す第1車両モデル外形画像を第1表示色で前記画面上に描画する第1描画ステップと、
前記第2車両モデルデータに基づいて前記第2車両モデルの3次元形状を表す第2車両モデル外形画像を前記第1表示色と異なる第2表示色で前記画面上に描画する第2描画ステップと、
前記第1、第2車両モデル外形画像の少なくとも一部を3次元空間上で互いに重ね合わせる重ね合わせステップと、
前記第1、第2車両モデル外形画像のいずれか一方を透過表示させて前記第1、第2車両モデル外形画像を表示する透過表示ステップと、
を含む車両モデル表示方法。
【請求項2】
前記第1、第2車両モデル外形画像の一方の透過度を他方の透過度よりも低下させて前記第1、第2車両モデル外形画像を表示する透過度変更表示ステップと、
を含む請求項1記載の車両モデル表示方法。
【請求項3】
前記第1、第2車両モデル外形画像が互いに重なる部分において、3次元空間上で前記重なる部分の外側に位置する外形画像の部分を表示すると共に、3次元空間上で前記重なる部分の透過度を前記外形画像の部分の透過度よりも低下させて前記外形画像の部分を表示する外側部分表示ステップと、
を含む請求項1記載の車両モデル表示方法。
【請求項4】
前記重ね合わせステップにおける重ね合わせは、フロントタイヤおよびリアタイヤの接地面を合わせ、かつ、車両モデルの前後方向におけるフロントタイヤの中心点の位置を合わせた状態で行われる、
請求項1乃至3に何れか1項記載の車両モデル表示方法。
【請求項5】
前記重ね合わせステップにおける重ね合わせは、フロントタイヤおよびリアタイヤの接地面を合わせ、かつ、車両モデルの前後方向における車両モデルの前端の位置を合わせた状態で行われる、
請求項1乃至3に何れか1項記載の車両モデル表示方法。
【請求項6】
前記重ね合わせステップにおける重ね合わせは、フロントタイヤおよびリアタイヤの接地面を合わせ、かつ、車両モデルの前後方向における車両モデルのフロントデッキポイントの位置を合わせた状態で行われ、
前記フロントデッキポイントは、車両モデルの側面を示す外形画像においてボンネットを構成する外板部分とフロントガラスとが交差する箇所である、
請求項1乃至3に何れか1項記載の車両モデル表示方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2010−244406(P2010−244406A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−94039(P2009−94039)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【出願人】(509101262)株式会社ワイドソフトデザイン (4)
【出願人】(505173717)株式会社MCOR (5)
【Fターム(参考)】