説明

車両座席、特には、自動車座席

座部(3)、背もたれ(4)、及び前記車両座席(1)の前記座部(3)に配置されるチャイルドシートを固定するための保持要素(20、20b、27)を有する車両座席、特に、自動車座席において、前記チャイルドシート(30)は、その下方領域において少なくとも1つの連結器(12)によって少なくとも1つの第1の保持要素(27)に接続され、且つその上方領域において少なくとも1つの保持ベルト(36)によって少なくとも1つの第2の保持要素(20、20b)に接続されることが可能であり、前記背もたれ(4)は、背もたれフレーム(6)及び前記背もたれフレームによって保持されるクッション(8)を有し、前記第2の保持要素(20、20b)は、前記クッション(8)を同時に支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の特徴を有する車両座席、特には、自動車座席に関する。
【背景技術】
【0002】
車両座席にチャイルドシートを固定するために、チャイルドシートの下方領域が連結器によって座席構造の保持要素に開放可能に接続されることが可能な、所謂、「Isofix」システムが知られている。この場合、保持要素は、ブラケットとして構成される場合が多く、連結器は、チャイルドシートに固定されて、フック又は固定部として構成されるが、その逆の配置も考えられる。「つなぎ帯(top tether)」の固定点によって、保持ベルトがチャイルドシートの上方領域に固定されることによって、チャイルドシートの上方領域は車両座席に更に固定され得、この保持ベルトは、車両座席の背もたれ上で引っ張られて、その背面で第2の保持要素に固定される。この種類の車両座席は、DE 20 2007 018 785U1に開示されており、保持要素は、一部品に構成され且つ互いに直接接続される一般の保持装置の一部である。
【発明の概要】
【0003】
本発明の目的は、導入部で言及された種類の代替の車両座席を提供することである。この目的は、本発明に従えば、請求項1に記載の特徴を有する車両座席によって達成される。有利な実施形態によって、従属項の主題が形成される。
【0004】
第2の保持要素は、一方では、車両座席、この場合は、背もたれへの保持ベルトの接続、他方では、背もたれの構造上のクッションの支持という2つの機能を果たす。双方の機能に関して、例えば、先述のDE 20 2007 018 785 U1には保持ベルトへの接続に関して、及びEP 0 625 445 B1又はDE 10 1006 058 232 A1にはクッションの支持に関して、ワイヤを用いる別の解決策が開示されている。二重機能を有する本発明による解決策は、構成部品の数及び(材料及び締め具の)費用を減らすだけでなく、第2の保持要素の位置が座部の横材の近傍におけるほど低くなく、例えば、背もたれの中間において容易に到達され得るという利点も有する。第2の保持要素が長いワイヤとは別に作られるとすれば、それは移動方向及びその反対方向において非常に不安定になるであろう。第2の保持要素は、クッションを支持するために必要とされる構成部品に統合されることにより安定する。保持ベルトのみを介した力の流れは第2の保持要素のみを引張応力にさらすので、ワイヤとして費用対効果の良い構成が可能である。即ち、第2の保持要素は、曲げ応力を全く吸収せず、高度の強さをもたらす。
【0005】
本発明による車両座席は、理論的には、自動車又は異なる車両の全ての座席列に使用されてもよいが、実際には、後部座席列にのみ提供されている。車両座席が複数の座席を有する座席システムである場合、複数の座席が本発明により構成されても良い。「連結器」及び「保持ベルト」という用語は、広い意味で理解されることが意図されており、従って、同様に作用する手段が代替として使用されてもよい。
【0006】
本発明は、以下に、図面に示される例示的な実施形態を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】クッション及びカバー無しで背もたれの斜視図を示す。
【図2】チャイルドシートが所定の位置において固定された車両座席の概略的な部分側部断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
車両座席1は、本例示の実施形態において、自動車の後部座席列に設けられる。自動車の中の車両座席1の配置及びその通常の移動方向は、以後用いられる方向情報を定義する。車両座席1は、座部3及び少なくとも1つの背もたれ4を備える。
【0009】
背もたれ4は、支持構造として背もたれフレーム6を備え、この背もたれフレームは、前方を向く方向において、背もたれフレーム6に固定されるカバーによって覆われるクッション8を支承する。後方を向く側において、背もたれフレーム6は、カバーパネルを支承する。カバーパネルの代替として、織物の覆い又は別のカバーが設けられてもよい。
【0010】
背もたれフレーム6は、実質的に平面的な取り付け空間を取り囲む。複数のワイヤがこの取り付け空間の中に配置され、このワイヤは、端部が背もたれフレーム6に固定される。ワイヤは、クッション8を支持する役割を果たす。特に、均一の直径の第1のワイヤ20は、一端が2つの下方角部の一方の近傍において背もたれフレーム6の下方肢部6aに固定され、背もたれフレーム6のほぼ中央まで傾斜部20aに伸張し、ここで(この場合、同時に第1のワイヤ20の中央において)下方肢部6aに平行な水平部20bに伸張し、そして、更なる傾斜部20aはそれが他の下方角部の近傍に固定される下方肢部6aに平行に伸張する。全体として、台形の形状が生じる。好ましくは、2つの傾斜部20aは、同じ長さで、下方肢部6aに対して同じ角度で伸張する。
【0011】
特に、均一の直径の第2のワイヤ22は、第1のワイヤ20に対応する方法で、背もたれフレーム6の上方肢部6bに固定されて、中央を向く。第2のワイヤ22の上方肢部6bに(及び下方肢部6aに)平行な部分は、第1のワイヤ20の水平部20bの下方に配置されて、その結果、2つのワイヤ20及び22は傾斜部で互いに交差して、好ましくは交差点において互いに接続され、その結果、2本の接続されたワイヤ20及び22は、背もたれフレーム6において互いにきつく引っ張られる。次に、クッション8は、ワイヤ20及び22上にその中央で支持される。支持を改善するために、特に、均一の直径の横方向ワイヤ24が設けられてもよく、それは、例えば、背もたれフレーム6の2つの横肢部の間で引き伸ばされて、2つのワイヤ20及び22に更に接続されても良い。
【0012】
車両座席1の支持構造において、好ましくは、座部3の支持構造において、例えば、その横材において、2つの第1の保持要素27が、チャイルドシート30を車両座席1に配置して、そこに固定するために設けられる。この保持要素は、ブラケットの形状に構成されて、所謂、「Isofixブラケット」として知られている。このために、それ自体が周知のチャイルドシート30は、チャイルドシートの下方領域において後方に突出する2つの連結器32を備える。連結器32は、第1の保持要素27と、例えば、その中のフックと協働してもよい。第1のワイヤ20は、より正確には、その水平部20bは、チャイルドシート30の保持ベルト36と協働する、「つなぎ帯」として知られる第2の保持要素を画定する。このために、第1のワイヤ20の水平部20bは、好ましくは、背もたれフレーム6の後方を向く側におけるカバーパネルの凹所を介して案内され、その結果、それは外側からアクセス可能である。この保持ベルト36は、チャイルドシート30の上方領域に固定され、上方に案内され、車両座席1の背もたれ4の上方端部上で引っ張られて下方に案内される。次に、それは、第1のワイヤ20の水平部20bに固定され、例えば、フックで引き寄せられる。
【0013】
背もたれの長手方向は、下方肢部6aとそれに平行な上方肢部6bとの間に伸張する。例示の実施形態において、水平部20bは、背もたれ4のほぼ中央に配置される。背もたれの長手方向において、背もたれの長手方向における背もたれ4の寸法の50%± 20%、特に、50%± 10%の領域がそれによって理解されることが意図される。この配置は、低い配置に対してアクセス可能性が改善されるという利点があり、高い配置に対して小包棚又は積荷カバーからの障害がないという利点を有する。傾斜部20aは、背もたれの長手方向に対して斜めに、且つ下方肢部6aに対して斜めに伸張する。下方肢部6aに対して45°± 25° 、特に、45°± 15° の角度がそれによって理解されることが意図される。斜めの経路は、下方肢部への力の案内を最適化する。
【符号の説明】
【0014】
1 車両座席
3 座部
4 背もたれ
6 背もたれフレーム
6a 下方肢部
6b 上方肢部
8 クッション
20 第1のワイヤ
20a 傾斜部
20b 水平部
22 第2のワイヤ
24 横方向ワイヤ
27 (第1の)保持要素
30 チャイルドシート
32 連結器
36 保持ベルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部(3)、背もたれ(4)、及び車両座席(1)の前記座部(3)に配置されるチャイルドシート(30)を固定するための保持要素(20、20b、27)を有する車両座席、特に、自動車座席であって、
前記チャイルドシート(30)は、その下方領域において少なくとも1つの連結器(12)によって少なくとも1つの第1の保持要素(27)に接続され、且つその上方領域において少なくとも1つの保持ベルト(36)によって少なくとも1つの第2の保持要素(20、20b)に接続されることが可能であり、
前記背もたれ(4)は、背もたれフレーム(6)及び前記背もたれフレームによって支えられるクッション(8)を有し、
前記第2の保持要素(20、20b)は、前記クッション(8)を同時に支持することを特徴とする車両座席。
【請求項2】
前記第2の保持要素(20、20b)として、第1のワイヤ(20)が設けられ、前記第1のワイヤは、前記背もたれフレーム(6)の肢部(6a)に固定されて、台形の形状を形成することを特徴とする、請求項1に記載の車両座席。
【請求項3】
前記第1のワイヤ(20)は、前記背もたれフレーム(6)の前記肢部(6a)に固定するための2つの傾斜部(20a)、及びその間で保持ベルト(36)に接続するための水平部(20b)を備えることを特徴とする、請求項2に記載の車両座席。
【請求項4】
前記第2の保持要素(20)の部分(20a、20b)、特に、水平部(20b)が、前記背もたれフレーム(6)の略中央に、特に、前記背もたれフレーム(6)によって囲まれる取り付け空間の中に配置されることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両座席。
【請求項5】
前記水平部(20b)は、前記背もたれ(4)の後方を向く側からアクセス可能であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の車両座席。
【請求項6】
前記第1のワイヤ(20)は、前記背もたれフレーム(6)の下方肢部(6a)に固定され、
第2のワイヤ(22)が、前記背もたれフレーム(6)の上方肢部(6b)に固定されて台形の形状を形成し、
前記第2のワイヤ(22)も、前記クッション(8)を支持する機能を果たすことを特徴とする、請求項2乃至4の何れか1項に記載の車両座席。
【請求項7】
前記第1のワイヤ(20)及び前記第2のワイヤ(22)は、互いに交差して、交差点において互いに接続されることを特徴とする、請求項6項に記載の車両座席。
【請求項8】
前記クッション(8)を支持するために、横方向ワイヤ(24)が、前記背もたれフレーム(6)の少なくとも2つの肢部の間に引き伸ばされることを特徴とする、請求項1乃至7の何れか1項に記載の車両座席。
【請求項9】
設けられる前記ワイヤ(20、22、24)は、均一の直径を有することを特徴とする、請求項1乃至8の何れか1項に記載の車両座席。
【請求項10】
前記保持ベルト(36)は、前記チャイルドシート(30)に固定され、前記背もたれ(4)上で引っ張られ、且つ前記第2の保持要素(20、20b)に固定されることを特徴とする、請求項1乃至9の何れか1項に記載の車両座席。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−517182(P2013−517182A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549296(P2012−549296)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000457
【国際公開番号】WO2011/107193
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(511007886)カイパー ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (16)
【Fターム(参考)】