説明

車両接近報知装置

【課題】ドップラー効果による周波数変調の影響を低減することが可能な車両接近報知装置を得る。
【解決手段】車両接近報知装置50は、車両1に搭載されて車両1の接近を報知する車両接近報知装置であって、走行車両に関する所定の報知音を出力する音源15と、車両1の周囲に位置する人物を検出する人物検出部11と、車両1に対して人物が位置する方向を検出する方向検出部12と、車両1と人物との相対速度を算出する相対速度算出部14と、車両1と人物との位置関係及び相対速度に基づいて、ドップラー効果による周波数変調の影響が低減されるように報知音を補正する周波数補正部16A〜16Dと、周波数補正部16A〜16Dによって補正された報知音を、人物が位置する方向に向けて送出するスピーカ3A〜3Dと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車又はハイブリッド自動車等の車両の接近を歩行者等の報知対象に報知する車両接近報知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、電気自動車用警報装置が開示されている。当該警報装置は、車両の接近音に関する音声信号を発生する発音部と、車両のフロント部分に取り付けられ、車両の前方に向けて当該接近音を発する発音器とを備えている。発音部が発生した音声信号は、車速が低い時には低い音に、車速が高い時には高い音にというように、人の感覚的に違和感のないように周波数的に変調される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−205753号公報(特に明細書の第0015段落参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の接近を報知すべき報知対象には、路上で立ち止まっている人物のみならず、路上を歩いている又は走っている人物や、自転車等に乗って路上を走行している人物等の、移動している人物も含まれる。従って、上記特許文献1に開示された警報装置において、車速に応じて適切に調整された接近音を発音器から発したとしても、ドップラー効果による周波数変調の影響によって、人物が聞く接近音の高さが変化してしまう。そのため、車速に応じた適切値とは異なる高さの接近音を人物が聞くこととなり、当該人物に対して違和感を与える結果となる。
【0005】
本発明はかかる問題を解決するために成されたものであり、ドップラー効果による周波数変調の影響を低減することが可能な車両接近報知装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る車両接近報知装置は、車両に搭載されて当該車両の接近を報知する車両接近報知装置であって、走行車両に関する所定の報知音を出力する音源と、前記車両の周囲に位置する報知対象を検出する報知対象検出手段と、前記車両に対して前記報知対象が位置する方向を検出する方向検出手段と、前記車両と前記報知対象との相対速度を算出する算出手段と、前記車両と前記報知対象との位置関係及び相対速度に基づいて、ドップラー効果による周波数変調の影響が低減されるように前記報知音を補正する補正手段と、前記補正手段によって補正された前記報知音を、前記報知対象が位置する方向に向けて送出する送出手段と、を備えることを特徴とするものである。
【0007】
第1の態様に係る車両接近報知装置によれば、方向検出手段は、車両に対して報知対象が位置する方向を検出し、算出手段は、車両と報知対象との位置関係の時間変化に基づいて、車両と報知対象との相対速度を算出する。そして、補正手段は、車両と報知対象との位置関係及び相対速度に基づいて、ドップラー効果による周波数変調の影響を考慮した上で、当該影響が低減されるように報知音を補正する。従って、報知対象が車両に近付いている場合には報知音を低周波数側に補正して、補正後の報知音を送出手段から送出することにより、報知対象は、車両との位置関係及び相対速度に応じた適切な高さの報知音を聞くこととなる。その結果、報知対象に与える違和感を解消することが可能となる。また、送出手段は、報知対象が位置する方向に向けて報知音を送出するため、車両の接近を報知対象にいち早く気付かせることができるとともに、無関係の方向への報知音の送出を行わないことにより、報知音が周辺環境への騒音となることを回避することができる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る車両接近報知装置は、第1の態様に係る車両接近報知装置において特に、前記車両と前記報知対象との距離を検出する距離検出手段と、前記距離に基づいて、前記送出手段から送出する前記報知音の音量を調整する音量調整手段と、をさらに備えることを特徴とするものである。
【0009】
第2の態様に係る車両接近報知装置によれば、距離検出手段は、車両と報知対象との距離を検出し、音量調整手段は、当該距離に基づいて、送出手段から送出する報知音の音量を調整する。従って、車両と報知対象とが接触する危険性が高い場合には大音量の報知音を送出手段から送出することにより、車両の接近を報知対象に気付かせることができる。しかも、送出手段は、報知対象が位置する方向に向けて報知音を送出するため、無関係の方向へは大音量の報知音が送出されないことにより、報知音が周辺環境への騒音となることを回避することができる。
【0010】
本発明の第3の態様に係る車両接近報知装置は、第1又は第2の態様に係る車両接近報知装置において特に、前記送出手段は、前記車両の少なくとも四隅に配置されており、前記車両と前記報知対象との位置関係に基づいて、複数の前記送出手段の中から前記報知音を送出する少なくとも一つの前記送出手段が選択されることを特徴とするものである。
【0011】
第3の態様に係る車両接近報知装置によれば、車両の四隅に送出手段を配置し、報知音を送出する送出手段を選択することにより、報知対象が位置する方向に向けて報知音を確実に送出することができる。しかも、指向性を有するスピーカの向きを変更することによって報知対象が位置する方向に向けて報知音を送出する場合と比較すると、スピーカの駆動部が不要となるため、コストの低減を図ることができる。
【0012】
本発明の第4の態様に係る車両接近報知装置は、第1〜第3のいずれか一つの態様に係る車両接近報知装置において特に、前記送出手段は、前記車両の少なくとも四隅に配置されており、前記車両の進行方向に基づいて、複数の前記送出手段の中から前記報知音を送出する少なくとも一つの前記送出手段が選択されることを特徴とするものである。
【0013】
第4の態様に係る車両接近報知装置によれば、車両の進行方向に基づいて、複数の送出手段の中から前記報知音を送出する少なくとも一つの前記送出手段が選択される。従って、車両が交差点を例えば前進右折する場合において、交差点の障害物によって検出できない報知対象が右折先に存在する場合であっても、車両の前右方に配置された送出手段から報知音を送出することにより、当該報知対象に対して車両の接近を報知することが可能となる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ドップラー効果による周波数変調の影響を低減することが可能な車両接近報知装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両接近報知装置が搭載された車両を模式的に示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車両接近報知装置の構成を示すブロック図である。
【図3】音声信号のパワースペクトルの一例を簡略化して示す図である。
【図4】周波数変換部による音声信号の補正を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る車両接近報知装置が搭載された車両1を模式的に示す図である。車両1は、電気自動車又はハイブリッド自動車等の、低速走行時に無音又は微量音となる自動車である。車両1には、車両1の前方を撮影するための前方カメラ2Fと、車両1の後方を撮影するための後方カメラ2Rとが配置されている。また、車両1には、低速(例えば時速20km以下)の走行時に、走行車両に関する所定の報知音(エンジン音又はタイヤノイズ音等の疑似音。以下の例ではエンジン音の疑似音とする。)を送出するための複数のスピーカ(送出手段)が配置されている。具体的には、車両1の前左方に向けて報知音を送出する前左方スピーカ3Aと、車両1の前右方に向けて報知音を送出する前右方スピーカ3Bと、車両1の後左方に向けて報知音を送出する前左方スピーカ3Cと、車両1の後右方に向けて報知音を送出する後右方スピーカ3Dとが配置されている。
【0018】
図2は、本実施の形態に係る車両接近報知装置50の構成を示すブロック図である。図2の接続関係で示すように、車両接近報知装置50は、前方カメラ2F、後方カメラ2R、人物検出部11(報知対象検出手段)、方向検出部12(方向検出手段)、距離検出部13(距離検出手段)、相対速度算出部14(算出手段)、音源15、周波数補正部16A〜16D(補正手段)、音量調整部17A〜17D(音量調整手段)、前左方スピーカ3A、前右方スピーカ3B、後左方スピーカ3C、及び後右方スピーカ3Dを備えて構成されている。
【0019】
人物検出部11は、前方カメラ2Fによって撮影された撮影画像に関する画像信号S1、及び後方カメラ2Rによって撮影された撮影画像に関する画像信号S2に基づいて、車両1の周囲に位置する報知対象(人物等)を検出する。例えば、立ち止まっている人物、歩いている人物、走っている人物、及び自転車に乗って走行している人物等の、人物に関する様々な画像パターンを予め保存しておく。そして、入力された画像信号S1,S2に対して当該画像パターンを用いてパターンマッチングを行うことにより、当該画像パターンに一致する画像が画像信号S1,S2内に含まれていたら、人物の存在を検出する。
【0020】
方向検出部12は、画像信号S1,S2内に人物が含まれている場合に、画像信号S1,S2内における人物の位置に基づいて、車両1に対して人物が位置する方向を検出する。
【0021】
距離検出部13は、画像信号S1,S2内に人物が含まれている場合に、車両1と人物との距離を検出する。例えば、車両1に搭載されている操舵角センサ18及び車速センサ19を用いて、あるいは車両1にGPS受信機が搭載されている場合にはGPS情報に基づいて、現時点である第1時点における車両1の位置と、直前(例えば1秒前)の第2時点における車両1の位置とをそれぞれ求める。そして、第1時点及び第2時点の各時点における車両1の位置と、第1時点において撮影された画像信号S1,S2内に含まれている人物の位置と、第2時点において撮影された画像信号S1,S2内に含まれている同一人物の位置とに基づいて、現時点における車両1と人物との距離を算出する。
【0022】
相対速度算出部14は、画像信号S1,S2内に人物が含まれている場合に、車両1と人物との相対速度を算出する。例えば、第1時点及び第2時点の各時点における車両1と人物との距離と、第1時点及び第2時点の各時点における車両1の位置とに基づいて、人物の移動速度(速さ及び方向)を算出する。そして、車両1の移動速度と人物の移動速度とに基づいて、車両1と人物との相対速度を算出する。
【0023】
音源1は、車両1の走行速度が所定値(例えば時速20km)以下である場合に、車両1の走行速度に応じた報知音(この例ではエンジン音の疑似音)に関する音声信号S6を出力する。走行速度が比較的高い場合には、比較的高い報知音の音声信号S6が出力され、走行速度が比較的低い場合には、比較的低い報知音の音声信号S6が出力される。
【0024】
図3は、音声信号S6のパワースペクトルの一例を簡略化して示す図である。一般的に自動車のエンジン音のパワースペクトルは、周波数が低いほどパワーが大きく、周波数が高いほどパワーが小さい右下がりの特性となる。音声信号S6の特性K1は、エンジン音のパワースペクトルのうち、人間の可聴域(20Hz〜20kHz)の範囲の特性を抜き出したものに相当する。また、図3に示した特性K1においては、可聴域ではあるが個人差によって聞き取りにくい100Hz以下の帯域のパワーを減衰させている。これにより、万人が聞き取りやすい100Hz〜10kHzの帯域の占める割合が大きくなっている。なお、図3に示した音声信号S6の特性K1はあくまでも例示であり、この例とは異なる特性の報知音を採用してもよい。例えば、音声信号S6の特性K1を、車速に応じた適正値よりも高周波数寄りの特性に設定してもよい。これにより、報知音を聞く人物は、車両1が実際の速度よりも高速で近付くように感じるため、車両1に対する退避行動を早期に開始することが期待される。
【0025】
音源15から出力された音声信号S6は、周波数変換部16A〜16Dに入力される。また、周波数変換部16A〜16Dには、相対速度算出部14から出力された、車両1と人物との相対速度を示す信号S5が入力される。周波数変換部16A〜16Dは、信号S5に基づいて、音声信号S6の周波数を補正する。
【0026】
図4は、信号S5で表される相対速度がプラス値(つまり人物が車両1に近付いている状況)である場合の、周波数変換部16A〜16Dによる音声信号S6の補正を示す図である。周波数変換部16A〜16Dは、相対速度の絶対値に応じて特性K1を低周波数側(図4では左側)にシフトすることにより、補正後の特性K3を得る。この場合、車速に応じた適正値よりも低周波数寄りの報知音が車両1から報知されることとなるが、人物が車両1に近付いており、ドップラー効果によって報知音は高周波数側に周波数変調されるため、人物は適正値の報知音を聞くこととなる。
【0027】
なお、信号S5で表される相対速度がマイナス値(つまり人物が車両1から遠ざかっている状況)である場合には、車両1から報知対象へ最適な報知音を送出する必要がないため、周波数変換部16A〜16Dによる音声信号S6の補正処理も不要である。
【0028】
周波数変換部16A〜16Dから出力された補正後の音声信号S7A〜S7Dは、音量調整部17A〜17Dに入力される。また、音量調整部17A〜17Dには、方向検出部12から制御信号S3が入力されるとともに、距離検出部13から制御信号S4が入力される。
【0029】
方向検出部12は、車両1に対して人物が位置する方向に対応する少なくとも一つの音量調整部に関しては音量を上げ、それ以外の音量調整部に関しては音量を下げる(又はゼロにする)旨の制御信号S3を出力する。例えば、前進する車両1に対して人物が正面に位置している場合には、音量調整部17A,17Bに関しては音量を上げ、それ以外の音量調整部17C,17Dに関しては音量をゼロにする旨の制御信号S3を出力する。また例えば、後進する車両1に対して人物が右斜め後方に位置している場合には、音量調整部17Dに関しては音量を上げ、それ以外の音量調整部17A〜17Cに関しては音量をゼロにする旨の制御信号S3を出力する。
【0030】
距離検出部12は、車両1と人物との距離が所定値(例えば数メートル)以下となった場合に、車両1に対して人物が位置する方向に対応する少なくとも一つの音量調整部に関して、音量を極端に上げる旨の制御信号S4を出力する。例えば、前進する車両1に対して人物が正面に位置しており、車両1と人物との距離が所定値以下となった場合には、音量調整部17A,17Bに関して音量を極端に上げる旨の制御信号S4を出力する。
【0031】
音量調整部17A〜17Dは、周波数補正部16A〜16Dから入力された音声信号S7A〜S7Dに対して、制御信号S3,S4に基づいて音量調整を行うことにより、音量調整後の音声信号S8A〜S8Dを出力する。音声信号S8A〜S8Dで表される報知音は、前左方スピーカ3A、前右方スピーカ3B、後左方スピーカ3C、及び後右方スピーカ3Dからそれぞれ車外に送出される。
【0032】
また、上記の制御に加えて、右左折時の車両1の進行方向に基づいて音量調整部17A〜17Dを制御することも可能である。具体的には、車速センサ19に基づいて車両1の前進又は後進を検出するとともに、操舵角センサ18に基づいて車両1の右左折の方向を検出する。そして、これらの検出結果に基づいて、車両1の進行方向に対応する少なくとも一つの音量調整部に関して音量を上げる制御を行う。例えば、車両1が前進右折する場合には、音量調整部17Bに関して音量を上げる制御が行われ、その結果、前右方スピーカ3Bから報知音が送出される。
【0033】
なお、以上の説明では前方カメラ2F及び後方カメラ2Rによって撮影した画像に基づいて人物を検出する例について述べたが、レーザレーダ又はミリ波レーダ等によって人物を検出してもよい。
【0034】
また、以上の説明では車両1の四隅にスピーカを配置する例について述べたが、さらに細かな方向制御を行うべく、車両1のフロント中央部及びリア中央部等に追加のスピーカを配置してもよい。
【0035】
また、前進時の車両接近報知のみを行う場合には、後方カメラ2R、後左方スピーカ3C、及び後右方スピーカ3Dの配置を省略してもよい。
【0036】
また、車両1の四隅にスピーカを配置する代わりに、方向変更が可能な指向性スピーカを車両1のフロント中央部及びリア中央部にそれぞれ配置し、検出した人物の方向に合わせてスピーカの向きを変更することにより、所望の方向に報知音を送出することもできる。
【0037】
このように本実施の形態に係る車両接近報知装置50によれば、方向検出部12は、車両1に対して人物が位置する方向を検出し、相対速度算出部14は、車両1と人物との位置関係の時間変化に基づいて、車両1と人物との相対速度を算出する。そして、周波数補正部16A〜16Dは、車両1と人物との位置関係及び相対速度に基づいて、ドップラー効果による周波数変調の影響を考慮した上で、当該影響が低減されるように報知音を補正する。従って、人物が車両1に近付いている場合には報知音を低周波数側に補正して、補正後の報知音を対応するスピーカ3A〜3Dから送出することにより、人物は、車両1との位置関係及び相対速度に応じた適切な高さの報知音を聞くこととなる。その結果、人物に与える違和感を解消することが可能となる。また、人物が位置する方向に向けて対応するスピーカ3A〜3Dから報知音を送出するため、車両1の接近を人物にいち早く気付かせることができるとともに、無関係の方向への報知音の送出を行わないことにより、報知音が周辺環境への騒音となることを回避することができる。
【0038】
また、本実施の形態に係る車両接近報知装置50によれば、距離検出部13は、車両1と人物との距離を検出し、音量調整部17A〜17Dは、当該距離に基づいて、対応するスピーカ3A〜3Dから送出する報知音の音量を調整する。従って、車両1と人物とが接触する危険性が高い場合には大音量の報知音を対応するスピーカ3A〜3Dから送出することにより、車両1の接近を人物に気付かせることができる。しかも、人物が位置する方向に対応するスピーカ3A〜3Dのみから報知音を送出するため、無関係の方向へは大音量の報知音が送出されないことにより、報知音が周辺環境への騒音となることを回避することができる。
【0039】
また、本実施の形態に係る車両接近報知装置50によれば、車両1の四隅にスピーカ3A〜3Dを配置し、報知音を送出するスピーカ3A〜3Dを選択することにより、人物が位置する方向に向けて報知音を確実に送出することができる。しかも、指向性を有するスピーカの向きを変更することによって人物が位置する方向に向けて報知音を送出する場合と比較すると、スピーカの駆動部が不要となるため、コストの低減を図ることができる。
【0040】
また、本実施の形態に係る車両接近報知装置50によれば、右左折時の車両1の進行方向に基づいて、スピーカ3A〜3Dの中から報知音を送出する少なくとも一つのスピーカが選択される。従って、車両1が交差点を例えば前進右折する場合において、交差点の障害物によって検出できない人物が右折先に存在する場合であっても、車両1の前右方に配置されたスピーカ3Bから報知音を送出することにより、右折先の人物に対して車両1の接近を報知することが可能となる。
【0041】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0042】
1 車両
2F 前方カメラ
2R 後方カメラ
3A 前左方スピーカ
3B 前右方スピーカ
3C 後左方スピーカ
3D 後右方スピーカ
11 人物検出部
12 方向検出部
13 距離検出部
14 相対速度算出部
15 音源
16A〜16D 周波数補正部
17A〜17D 音量調整部
18 操舵角センサ
19 車速センサ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されて当該車両の接近を報知する車両接近報知装置であって、
走行車両に関する所定の報知音を出力する音源と、
前記車両の周囲に位置する報知対象を検出する報知対象検出手段と、
前記車両に対して前記報知対象が位置する方向を検出する方向検出手段と、
前記車両と前記報知対象との相対速度を算出する算出手段と、
前記車両と前記報知対象との位置関係及び相対速度に基づいて、ドップラー効果による周波数変調の影響が低減されるように前記報知音を補正する補正手段と、
前記補正手段によって補正された前記報知音を、前記報知対象が位置する方向に向けて送出する送出手段と、
を備える、車両接近報知装置。
【請求項2】
前記車両と前記報知対象との距離を検出する距離検出手段と、
前記距離に基づいて、前記送出手段から送出する前記報知音の音量を調整する音量調整手段と、
をさらに備える、請求項1に記載の車両接近報知装置。
【請求項3】
前記送出手段は、前記車両の少なくとも四隅に配置されており、
前記車両と前記報知対象との位置関係に基づいて、複数の前記送出手段の中から前記報知音を送出する少なくとも一つの前記送出手段が選択される、請求項1又は2に記載の車両接近報知装置。
【請求項4】
前記送出手段は、前記車両の少なくとも四隅に配置されており、
前記車両の進行方向に基づいて、複数の前記送出手段の中から前記報知音を送出する少なくとも一つの前記送出手段が選択される、請求項1〜3のいずれか一つに記載の車両接近報知装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−255830(P2011−255830A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−133531(P2010−133531)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】