説明

車両玩具

【課題】異なる形態に変化可能で、かつ、小型玩具を発射可能な車両玩具を提供する。
【解決手段】 第1の形態と第2の形態とに変化し、小型玩具を発射可能な車両玩具であって、表面が前記第1の形態の一部を構成し、裏面が前記第2の形態の一部を構成する基部材と、前記基部材に対して回動自在に結合され、それぞれが前記第1の形態と第2の形態を呈するように表裏面に異なる外観が施された複数の回動部材と、からなり、前記基部材および前記複数の回動部材のうち、少なくともいずれか一つには前記小型玩具を発射可能な発射装置を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両玩具に係る。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に記載の運搬車が知られている。特許文献1に記載の運搬車は内部に収容された玩具自動車を発射する発射手段を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3139551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された運搬車の外観は大きくは変化しないものであった。
【0005】
そこで、本発明は、異なる形態に変化可能で、かつ、小型玩具を発射可能な車両玩具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る車両玩具は、第1の形態と第2の形態とに変化し、小型玩具を発射可能な車両玩具であって、表面が前記第1の形態の一部を構成し、裏面が前記第2の形態の一部を構成する基部材と、前記基部材に対して回動自在に結合され、それぞれが前記第1の形態と第2の形態を呈するように表裏面に異なる外観が施された複数の回動部材と、からなり、前記基部材および前記複数の回動部材のうち、少なくともいずれか一つには前記小型玩具を発射可能な発射装置が設けられていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る車両玩具においては、第1の形態と第2の形態のいずれにおいても小型玩具を発射可能であり、前記発射装置は、前記基部材および前記複数の回動部材のうち少なくともいずれか一つの部材の裏面に設けられた第1の発射装置と、前記基部材および前記複数の回動部材のうち少なくともいずれか一つの部材の表面に設けられた第2の発射装置とで構成しても良い。
【0008】
また、本発明に係る車両玩具においては、前記第1の発射装置および第2の発射装置は、それぞれ前記基部材及び前記複数の回動部材のうち少なくとも一つの部材の裏面および表面に設けられていることとしても良い。
【0009】
また、本発明に係る車両玩具においては、前記第1の発射装置に設けられ前記小型玩具を押出可能な第1押出部材と、前記第2の発射装置に設けられ前記小型玩具を押出可能な第2押出部材と、前記第1押出部材と前記第2押出部材のそれぞれを前記小型玩具を押し出す方向へ付勢する第1付勢手段および第2付勢手段と、前記第1押出部材と前記第2押出部材のそれぞれを前記小型玩具を押し出す方向と反対の方向に移動させた際に、前記第1押出部材と前記第2押出部材をそれぞれ係止する第1係止手段および第2係止手段と、前記第1押出部材の前記第1係止手段による係止、および、前記第2押出部材の前記第2係止手段による係止のいずれも解除可能な共通スイッチ機構とから構成されていることとしても良い。
【0010】
また、本発明に係る車両玩具においては、前記第1係止手段と前記第2係止手段は一体とされた共通係止手段であることとしても良い。
【0011】
また、本発明に係る車両玩具においては、前記第1付勢手段と前記第2付勢手段は一体とされた共通付勢手段であることとしても良い。
【0012】
また、本発明に係る車両玩具においては、前記第1押出部材と前記第2押出部材は連結されていることとしても良い。
【0013】
また、本発明に係る車両玩具においては、前記第1の発射装置は、前記車両玩具が第1の形態のとき当該車両玩具の内部に位置することとしても良い。
【0014】
また、本発明に係る車両玩具においては、前記第2の発射装置は、前記車両玩具が第1の形態のとき当該車両玩具の内部に位置することとしても良い。
【0015】
また、本発明に係る車両玩具においては、前記小型玩具は、前記車両玩具より小さく発射可能な玩具であることとしても良い。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、異なる形態に変化可能で、かつ、小型玩具を発射可能な車両玩具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による車両玩具が新幹線の形態(第1の形態)をとっている場合を示す具体的構成図(左側側面部の描画を省略)である。
【図2】本発明による車両玩具からシャーシ部(発射装置が設けられた部材)を取り出して示した斜視図である。
【図3】図1に示した形態(新幹線)の車両玩具を底面側から観た斜視図(左側側面部の描画を省略)である。
【図4】本発明による車両玩具がトラックの形態(第2の形態)をとっている場合を示す具体的構成図(左側側面部の描画を省略)である。
【図5】図4に示した形態(トラック)の車両玩具を底面側から観た斜視図(左側側面部の描画を省略)である。
【図6】シャーシ部を一方の面側から観た場合のシャーシ本体と該シャーシ本体の当該一方の面を被って配置される第1カバー部を示す斜視図である。
【図7】シャーシ部を他方の面側から観た場合のシャーシ本体と該シャーシ本体の当該他方の面を被って配置される第2カバー部を示す斜視図である。
【図8】本発明による車両玩具の概略的な構成を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る好適な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面について同一符号が付された部材は同一あるいは同機能を有する部材を示している。
(実施形態1)
【0019】
図8は、本発明による車両玩具の概略的な構成を示す分解斜視図である。図は、新幹線の外観を呈する状態(第1の形態)から車両前頭部(基部材)に対して左側側面部、右側側面部、シャーシ部等(複数の回動部材)を若干回動させトラックの外観を呈する状態(第2の形態)へ変形させる段階を示している。
【0020】
図8において、車両玩具100には、まず、車両前頭部(基部材)10がある。この車両前頭部10は、表面側に相当する一方の側においてたとえば新幹線の前頭部の外観を呈する新幹線前頭部10Aとして構成され、裏面側に相当する他方の側においてたとえばトラックの前頭部の外観を呈するトラック前頭部10Bとして構成されている。すなわち、車両前頭部10は表面が新幹線の形態(第1の形態)の一部を構成し、裏面がトラックの形態(第2の形態)の一部を構成する。
【0021】
車両前頭部10の左側側面であって新幹線前頭部10Aとトラック前頭部10Bとの境界にはヒンジ部2を介して左側側面部20が取り付けられ、この左側側面部20は前記ヒンジ部2を中心として矢印a方向へほぼ180°の範囲で回動できるようになっている。また、左側側面部20の図中上側の辺にはヒンジ部3を介して左側天井部30が取り付けられ、この左側天井部30は前記ヒンジ部3を中心として矢印b方向へほぼ180°の範囲で回動できるようになっている。なお、左側天井部30は後述の右側天井部50とともに車両の天井部を構成するようになっている。以上の通り、左側側面部20、左側天井部30は一体となって車両前頭部10に対して回動自在に結合された回動部材を構成する。
【0022】
同様に、車両前頭部10の右側側面であって新幹線前頭部10Aとトラック前頭部10bとの境界にはヒンジ部4を介して右側側面部40が取り付けられ、この右側側面部40は前記ヒンジ部4を中心として矢印c方向へほぼ180°の範囲で回動できるようになっている。また、右側側面部40の図中上側の辺にはヒンジ部5を介して右側天井部50が取り付けられ、この右側天井部50は前記ヒンジ部5を中心として矢印d方向へほぼ180°の範囲で回動できるようになっている。右側天井部50は、上述したように、左側天井部30とともに車両の天井部を構成すようになっている。以上の通り、右側側面部40、右側天井部50は一体となって車両前頭部10に対して回動自在に結合された回動部材を構成する。
【0023】
車両前頭部10の底面であって新幹線前頭部10Aとトラック前頭部10Bとの境界にはヒンジ部6を介してシャーシ部60が取り付けられ、このシャーシ部60は前記ヒンジ部6を中心として矢印e方向へほぼ180°の範囲で回動できるようになっている。シャーシ部60は、車輪9が取り付けられている。また、シャーシ部60の後端にはヒンジ部7を介して後端部材70が取り付けられ、この後端部材70は前記ヒンジ部7を中心として矢印f方向へほぼ180°の範囲で回動できるようになっている。この後端部材70は車両の後端部を開閉する後方側面部として機能する。すなわち、シャーシ部60と後端部材70は一体となって車両前頭部10に対して回動自在に結合された回動部材を構成する。なお、車輪9は、その周面がシャーシ部60の表面、裏面から突出するように、シャーシ部60に取り付けられている。このことにより、車輪9は新幹線の形態(第1の形態)とトラックの形態(第2の形態)の両方で共通して使用されることになるため、構成を簡素にすることができる。なお、車輪9を取り付ける部材は、本実施例ではシャーシ部60としているが、これに限られず、基部材および複数の回転部材のうちいずれに設けても良い。
【0024】
図8に示す状態では、左側側面部20、左側天井部30、右側側面部40、右側天井部50、シャーシ部60、および後端部材70のそれぞれは、車両前頭部10のトラック前頭部10B(すなわち、基部材の裏面)を内包するように、または、トラック前頭部10Bが不可視となるように(反対に、新幹線前頭部10Aは露出するように)して配置されている。この場合において、左側側面部20、左側天井部30、右側側面部40、右側天井部50、シャーシ部60、および後端部材70のそれぞれの表面(新幹線の形態における外側の面)には新幹線(第1の形態)の外観を呈する模様および色等が施されているようになっている。そして、左側側面部20、左側天井部30、右側側面部40、右側天井部50、シャーシ部60、および後端部材70のそれぞれの裏面(新幹線の形態における内側の面)にはトラック(第2の形態)の外観を呈する模様および色等が施されているようになっている。すなわち、新幹線の形態(第1の形態)においては、トラック前頭部10B、並びに、左側側面部20、左側天井部30、右側側面部40、右側天井部50、シャーシ部60、および後端部材70のそれぞれにおけるトラック(第2の形態)の外観を呈する模様および色等は、玩具の内側に位置するか、内側となる面に施されていることになるため、外部からは明確には視認できない。そのため、新幹線の形態からはトラックの形態に変形することは予測困難であり、変形の前後で使用者に驚きを与えることができる。
【0025】
また、図8に示す状態から、左側側面部20、左側天井部30、右側側面部40、右側天井部50、シャーシ部60、および後端部材70のそれぞれを、車両前頭部10のトラック前頭部10B(基部材の裏面)を露出させるように(新幹線前頭部10A(基部材の表面)を内包させるように、または、不可視となるように)回動させると、今度は、トラック前頭部10B、並びに、左側側面部20、左側天井部30、右側側面部40、右側天井部50、シャーシ部60、および後端部材70のそれぞれのトラックの外観を呈する模様および色等は、玩具の外側に現れることになり、トラックの形態(第2の形態)へと変形できる。また、このとき、新幹線前頭部10A、並びに、左側側面部20、左側天井部30、右側側面部40、右側天井部50、シャーシ部60、および後端部材70のそれぞれの新幹線(第1の形態)の外観を呈する模様および色等は、玩具の内側に位置するか、内側の面に施されていることになるので、外部からは明確には視認できない。そのため、トラックの形態から新幹線の形態に変形することは予測困難であり、変形の前後で使用者に驚きを与えることができる。
【0026】
なお、このような構成からなる車両玩具は、たとえば樹脂から構成されている。
【0027】
図1は、車両玩具100が、新幹線の形態をとっている場合を示す具体的な構成を示している。なお、図1においては、車両内部を目視できるように左側側面20の描画を省略して示している。図1から明らかとなるように、トラック前頭部10Bが左側側面部20、左側天井部30、右側側面部40、右側天井部50、シャーシ部60等に内包されて配置されている。また、左側天井部30、右側側面部50の外側の面(表面)には、新幹線の外観を呈する模様および色等が施されているのに対し、右側側面部40の内側の面(裏面)には、トラックの模様および色等が施されていることが明らかになる。そして、シャーシ部60の内側の面には線路RLがたとえば描画されている。図2は、シャーシ部60のみを取り出して示した拡大図である。図2に示すように、シャーシ部60の表面には、新幹線の走行方向に沿って線路RLがたとえば描画されている。この場合、シャーシ部60に凹凸を施して線路RLが形成されているように構成するようにしてもよい。また、本物らしく見せるため、別部材で線路RLを構成し、この線路RLをシャーシ部60の表面に固定させる構成としてもよい。このようにシャーシ部60の表面に線路RLが形成されているのは、新幹線の本体内に、たとえば当該新幹線と同一あるいは類似の形態をとる小型玩具(図1中点線枠αで示す)が収納できるように構成され、この小型玩具αが前記線路RL上に載置されていることを想起させるようになっているためである。また、車両玩具100は、シャーシ部60の後端にヒンジ部7を介して取り付けられた後端部材70を回動させることによって、その後端を開口させることができるようになっている。小型玩具αは、この開口を通して、車両玩具100内に収納できるとともに、車両玩具100内から取り出されるようになっている。この時、図1に示すように、車両玩具100の後端を開口させた後端部材70は地面との間の段差解消板として機能させることができ、小型玩具αをこの段差解消板上を走行させることによって、小型玩具αのスムーズな収納および取り出しを行うことができるようになっている。
【0028】
そして、この実施形態では、図2に示すように、小型玩具αを車両玩具100内から押し出す場合に、シャーシ部60に形成された発射装置の駆動によって、自動的に小型玩具αが車両玩具100の外側に押し出されるように構成されている。これによって、車両玩具100の遊びにおいて興味を向上させるようにしている。発射装置のうち、シャーシ部60の裏面(第1の形態である新幹線の形態時に車両玩具の内側の面となるのが裏面である)に設けられている第1の発射装置80Aは、第1押出部材83Aを備え、この第1押出部材83Aは、トラック前頭部10Bから若干離間する位置からトラック前頭部10Bに近接する位置へ移動できるように構成され、この際に、第1押出部材83Aには前記移動に抗するような付勢がシャーシ部100に内蔵される第1付勢手段によって印加され、第1押出部材83Aは、トラック前頭部に近接する位置で図示しない第一係止部材によって係止されるようになっている。図中符号64Aは第1押出部材83Aの移動を案内する長孔である。また、第1の発射装置80Aは、シャーシ部60の側辺の一部に押しボタン86が設けられ、この押しボタン86を押すことによって、前記第1係止部材による係止が解除され、トラック前頭部10Bに近接して配置された第1押出部材83Aはトラック前頭部10Bから若干離間する方向へ勢いよく移動することになる。このため、車両玩具100内の第1押出部材83A近傍に収納されている小型玩具αは、第1押出部材83Aによって勢いよく押圧され、車両玩具100外へ押し出されるようになる。すなわち、本実施例においてはトラック前頭部10Bから離間する方向が、小型玩具αを押し出す方向となり、反対にトラック前頭部10Bに接近していく方向が、小型玩具αを押し出す方向と反対の方向となる。なお、この第1発射装置80Aの具体的な構成については、図6を用いて後述する。
【0029】
なお、図3は、図1に示した形態(新幹線)の車両玩具100を底面側から観た斜視図である。図1と同様に左側面部20の描画は省略している。図3において、左側天井部30、右側側面部50の内側の面には、トラックの模様および色等が施されているのに対し、後端部材70の外側の面には、新幹線の外観を呈する模様および色等が施されていることが明らかになる。後端部材70は、図3に示すように、シャーシ部60と反対側の辺部に突出部72が形成され、この突出部72は、後端部材70が車両の後端を閉塞する際に、左側天井部30、右側側面部50の対応する辺部に設けた切り欠き32、52に係合されるようになっている。これら切り欠き32、52は、対向する内壁の一部に幅が小さくなる部分を有し、前記突出部72が係合される際に前記突出部72をクリック的に係止できるようになっている。そして、シャーシ部60の表面(第1の形態である新幹線の形態時に車両玩具の外側の面となるのが表面である)には第2の発射装置80Bが設けられている。シャーシ部60の裏面および表面のそれぞれには第1の発射装置80A、第2の発射装置80Bが設けられている。また、後に説明するように、第1の発射装置80Aと第2の発射装置80Bは1つの押しボタン(共通スイッチ機構)によって連動するように構成されている。
【0030】
図4は、車両玩具100が、トラックの形態(第2の形態)をとっている場合を示す具体的な構成を示している。なお、図4においては、車両内部を目視できるように左側側面部20の描画を省略して示している。図4から明らかとなるように、新幹線前頭部10Aが左側側面部20、左側天井部30、右側側面部40、右側天井部50、シャーシ部50等に内包されて配置されている。また、左側天井部30、右側側面部40の外側の面(裏面)には、トラックの外観を呈する模様および色等が施されているのに対し、右側側面部40の内側の面(表面)には、新幹線の模様および色等が施されていることが明らかになる。そして、シャーシ部60の内側の面(表面)にはスリップ止め板STがたとえば描画されている。スリップ止め板STは、シャーシ部60に凹凸を施してスリップ止め板STが配置されているように構成するようにしてもよい。また、本物らしく見せるため、別部材でスリップ止め板STを構成し、このスリップ止め板STをシャーシ部60の表面に固定させる構成としてもよい。このようにシャーシ部60の表面にスリップ止め板STが形成されているのは、トラックの本体内に、たとえば当該トラックと類似の形態をとる小型玩具(図中点線枠で示す)βが収納できるように構成され、この小型玩具βが前記スリップ止め板ST上に載置されていることを想起させるようになっているためである。この場合、車両玩具100は、シャーシ部60の後端にヒンジ部7を介して取り付けられた車両後端部70を回動させることによって、その後端を開口させることができるようになっている。前記小型玩具βは、この開口を通して、車両玩具100内に収納できるとともに、車両玩具100内から取り出されるようになっている。この時、車両玩具100の後端を開口させた後端部材70は地面との間の段差解消板として機能させることができ、小型玩具βをこの段差解消板上を走行させることによって、小型玩具βのスムーズな収納および取り出しを行うことができるようになっている。
【0031】
そして、この形態では、図4に示すように、小型玩具βを車両玩具100内から取り出す場合に、シャーシ部60に形成された発射装置の駆動によって、自動的に小型玩具βが車両玩具100の外側に押し出されるように構成されている。これによって、車両玩具100の遊びにおいて興味を向上させるようにしている。
【0032】
発射装置のうち、シャーシ部60の表面に設けられた第2の発射装置80Bは、第2押出部材83Bを備え、この第2押出部材83Bは、新幹線前頭部10Aから若干離間する位置から新幹線前頭部10Aに近接する位置へ移動できるように構成され、この際に、第2押出部材83Bには前記移動に抗するような付勢がシャーシ部60に内蔵される第2付勢手段によって印加され、第2押出部材83Bは、新幹線前頭部10Aに近接する位置で図示しない第2係止部材によって係止されるようになっている。また、第2発射装置80Bは、シャーシ部60の側辺に設けられた前記押しボタン86を押すことによって、前記第2係止部材による係止が解除され、新幹線前頭部10Aに近接して配置された第2押出部材83Bは新幹線前頭部10Aから若干離間する方向へ勢いよく移動することになる。このため、車両玩具100内の第2押出部材83B近傍に収納されている小型玩具βは、第2押出部材83Bによって勢いよく押圧され、車両玩具100外へ押し出されるようになる。すなわち、本実施例においては、新幹線前頭部10Aから離間する方向が小型玩具βを押し出す方向となり、反対に新幹線前頭部10Aに接近していく方向が、小型玩具βを押し出す方向と反対の方向となる。なお、この発射装置80Bの具体的な構成については、図7を用いて後述する。
【0033】
なお、図5は、図4に示した形態(トラック)の車両玩具を底面側から観た斜視図である。図4と同様に左側側面部20の描画は省略している。図5において、左側天井部30、右側天井部50、右側側面部40の内側の面(裏面)には、新幹線の模様および色等が施されているのに対し、後端部材70の外側の面(表面
)には、トラックの外観を呈する模様および色等が施されていることが明らかになる。そして、シャーシ部60の外側の面(裏面)は前記線路RLおよび第1の発射装置80Aが目視されている。
【0034】
図6、図7は、それぞれ、シャーシ部60の分解斜視図を示した図である。図6は一方の面側(裏面側)から観た場合の当該一方の面を構成する第1カバー部64が示され、図7は他方の面側(表面側)から観た場合の当該他方の面を構成する第2カバー部66が示されている。すなわち、シャーシ部60は、第1カバー部64、第2カバー部66を合わせて構成されている。ここで、図7は、図6に示す状態から車両の走行方向(図中矢印A方向)を軸として上下にひっくり返した状態を示している。図6に示すシャーシ部60は、図2に示したシャーシ部60と同方向で観た状態のものであり、図7に示すシャーシ部60は、図2に示したシャーシ部60の反対側から観た状態のものである。
【0035】
シャーシ部60には前記第1の発射装置80A、第2の発射装置80Bの機構が内蔵されている。すなわち、図6において、第2カバー部66には、車両の走行方向(図中矢印A方向)に沿った長孔66Aが形成され、この長孔66AにはA方向に延在して形成されたガイド部材81が嵌合されている。ガイド部材81は長孔66Aの長手方向に沿って所定の距離だけ移動できるように構成されている。このガイド部材81は後述するスプリング82によって車両後端側へ常時付勢されるようになっている。ガイド部材81の一端(車両前頭部側の端)であって、第1カバー部64側の面には、第1の発射装置80Aを構成する第1押出部材83Aが取り付けられている。この場合、第1押出部材83Aは第1カバー部64に形成されている長孔64Aを通してガイド部材81に取り付けられるようになっている(図2参照)。長孔64Aは図中矢印A方向に延在された形成され、その長さはガイド部材81の可動距離とほぼ等しくなっている。
【0036】
ガイド部材81には、その側面から突出した後に車両前頭部側へ延在するL字状の係止部84が形成され、この係止部84の先端はガイド部材81が車両前端側(第1押出部材が小型玩具αを押し出す方向とは反対の方向)に移動させた際に、後述する押ボタン機構85の孔(あるいは切り欠き)88に係止され、押ボタン機構85の押圧に伴って係止が解除がなされるようになっている。この押ボタン機構85の構成については後述する。前記スプリング82は、第2カバー部66の先端部と係止部84のガイド部材81との取り付け部との間に配置され、ガイド部材81を車両後端側(第1押出部材が小型玩具αを押し出す方向)へ付勢させるようになっている。すなわち、スプリング82はガイド部材81に取り付けられた第1押出部材83Aを付勢する第1付勢手段として機能している。また、係止部84と押ボタン機構85の孔(あるいは切り欠き)88は、ガイド部材81とともに、ガイド部材81に取り付けられた第1押出部材83Aをも係止することになるので、第1押出部材83Aを車両前端側(第1押出部材が小型玩具αを押し出す方向とは反対の方向)に移動させた際に、第1押出部材83Aを係止する第1係止手段として機能している。
【0037】
また、図7に示すように、ガイド部材81の他端(車両後端側の端)であって、第2カバー部66側の面には、第2の発射装置を構成する第2押出部材83Bが取り付けられている。この場合、第2押出部材83Bは第2カバー部66に形成されている長孔66Aを通してガイド部材81に取り付けられるようになっている(図3、4参照)。ガイド部材81は、前述の通りスプリング82によって車両後端側(第2押出部材が小型玩具βを押し出す方向)へ付勢されているので、ガイド部材81に取り付けられている第2押出部材83Bも同様に付勢されていることになる。すなわち、スプリング82は第2押出部材83Bを小型玩具βを押し出す方向に付勢する第2付勢手段として機能している。また、前述したとおり、スプリング82は第1押出部材83Aを付勢する第1付勢手段としても機能している。すなわち、スプリング82は第1付勢手段と第2付勢手段が一体とされた共通付勢手段として機能している。
【0038】
また、ガイド部材81に形成された係止部84の先端はガイド部材81が車両前端側(第2押出部材83Bが小型玩具βを押し出す方向とは反対の方向)に移動させた際に、後述する押ボタン機構85の孔(あるいは切り欠き)88に係止されるようになっているので、ガイド部材81に取り付けられた第2押出部材83Bも同様に係止されていることになる。すなわち、係止部84と押ボタン機構85の孔(あるいは切り欠き)88は、第2押出部材83Bが小型玩具βを押し出す方向と反対の方向に移動させた際に、第2押出部材83Bを係止する第2係止手段として機能している。また、前述したとおり、係止部84と押ボタン機構85の孔(あるいは切り欠き)88は、第1押出手段83Aを係止する第1係止手段としても機能している。すなわち、係止部84と押ボタン機構85の孔(あるいは切り欠き)88は、第1係止手段と第2係止手段が一体とされた共通係止手段として機能している。
【0039】
押ボタン機構85は、図7に示すように、シャーシ部60の側辺側から突出して配置された押ボタン86を備え、この押ボタン86はガイド機構によって図中矢印A方向と直交する方向へ移動できるようになっている。押ボタン86は、スプリング(付勢部材)87によって突出する方向へ常時付勢された状態となっている。また、押ボタン機構85は、たとえば孔(あるいは切り欠き)88が形成され、この孔88には係止部84の先端が挿入できるようになっている。係止部材84の先端は段差を有する頭部が形成され、押ボタン機構85の孔88に係止部材84の頭部が挿入された際には、この頭部の段差が押ボタン機構85の前記孔88の周縁に係止されるようになっている。この状態で押ボタン86を押した場合、前記孔88の移動により係止部84の頭部が前記孔88の周縁から外れ、係止部84の押ボタン機構85の孔88による係止が解除されることになる。これにより、ガイド部材81と、ガイド部材81に取り付けられた第1押出部材83Aおよび第2押出部材83Bは、スプリング82によって車両後端側に勢いよく移動し、前述した小型玩具α(あるいはβ)を車両後端の開口側へ押し出すようになる。このように押ボタン機構85は、第1押出部材83Aの係止、第2押出部材の係止のいずれも解除できる共通スイッチ機構として機能している。また、押ボタン86を押した後は、押ボタン86は元の位置に戻り、再び第1押出部材83Aあるいは第2押出部材83Bの移動に伴う係止部84の押ボタン機構85の孔88による係止を待機できるようになっている。
【0040】
このように構成した車両玩具100は、異なる形態に変化可能で、かつ、小型玩具α、βを発射可能な興趣性の高い玩具となる。
【0041】
また、第1の発射装置80A、第2の発射装置80Bを、それぞれいずれかの部材(本実施例ではシャーシ部60)の裏面、表面に設けたので、第1の形態、第2の形態のいずれにおいても小型玩具α、βの発射が可能である。
【0042】
また、前述のような共通スイッチ機構を用いれば、第1押出部材83Aの係止と第2押出部材83Bの係止をそれぞれ解除するための押ボタン機構(スイッチ機構)を、第1の発射装置、第2の発射装置ごとに設ける必要がなくなるため、複雑な構成を回避でき、極めて簡単な構成とすることができる。
【0043】
また、前述の車両玩具100の構成にように、第1係止手段と第2係止手段を一体とされた共通係止手段としたり、第1付勢手段と第2付勢手段を一体とされた共通付勢手段としたりすることで、より簡便な構造で共通スイッチ機構を達成することができるようになる。また、さらに第1押出部材83Aと第2押出部材83Bを連結することで、より簡便な構造で共通スイッチ機構を達成することができるようになる。
【0044】
また、第1の発射装置80Aは新幹線の形態(第1の形態)のときに車両玩具100の内部に位置し、また、第2の発射装置80Bはトラックの形態(第2の形態)のときに車両玩具100の内部に位置するので、新幹線とトラックの各形態それぞれにおいて、車両玩具100の内部に収容された小型玩具α、βを発射することができる。
【0045】
上述した実施形態では、新幹線およびトラックの形態に変化できるものとして構成したものである。しかし、これに限定されることはなく、他の車両間での形態に変化できるようにしてもよいことはもちろんである。
【0046】
また、上述した実施形態では、車両玩具内に収納される小型玩具は前記車両玩具に形態が同一あるいは類似のものとして示したものであるが、これに限られない。小型玩具は車両でなく、人形であったり、ミサイルであったり様々な玩具体が考えられ、車両玩具より小さく発射可能であれば良い。すなわち、小型玩具は前記車両玩具と形態が全く非類似のものであってもよいことはもちろんである。さらに、上述した実施形態では、車両玩具内に収納される小型玩具は1個として示したものであるが、これに限定されず、複数個配置し、これら複数の小型玩具が発射装置によって同時に押し出されるように構成するようにしてもよいことはもちろんである。
【0047】
また、本発明の車両玩具は、樹脂から作られる構成としたが、これに限定されず、金属や木材などから構成してもよい。
【符号の説明】
【0048】
100……車両玩具、2、3、4、5、6、7……ヒンジ部、9……車輪、10……車両前頭部(基部材)、10A……新幹線前頭部(基部材の表面)、10B……トラック前頭部(基部材の裏面)、20……左側側面部、30……左側天井部、32……切り欠き、40……右側側面部、50……右側天井部、52……切り欠き、60……シャーシ部、64……第1カバー部、64A……長孔、66……第2カバー部、66A……長孔、70……後端部材、72……突起部、80A……第1の発射装置、80B……第2の発射装置、81……ガイド部材、82……スプリング、83A……第1押出部材、83B……第2押出部材、84……係止部、85……押ボタン機構(スイッチ機構)、86……押しボタン、87……スプリング、RL……線路、ST……スリップ止め板、α、β……小型玩具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の形態と第2の形態とに変化し、小型玩具を発射可能な車両玩具であって、
表面が前記第1の形態の一部を構成し、裏面が前記第2の形態の一部を構成する基部材と、
前記基部材に対して回動自在に結合され、それぞれが前記第1の形態と第2の形態を呈するように表裏面に異なる外観が施された複数の回動部材と、
からなり、
前記基部材および前記複数の回動部材のうち、少なくともいずれか一つには前記小型玩具を発射可能な発射装置が設けられていることを特徴とする車両玩具。
【請求項2】
前記車両玩具は、第1の形態と第2の形態のいずれにおいても小型玩具を発射可能であり、前記発射装置は、前記基部材および前記複数の回動部材のうち少なくともいずれか一つの部材の裏面に設けられた第1の発射装置と、前記基部材および前記複数の回動部材のうち少なくともいずれか一つの部材の表面に設けられた第2の発射装置とで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両玩具。
【請求項3】
前記第1の発射装置および第2の発射装置は、それぞれ前記基部材及び前記複数の回動部材のうち少なくとも一つの部材の裏面および表面に設けられていることを特徴とする請求項2記載の車両玩具。
【請求項4】
前記第1の発射装置に設けられ前記小型玩具を押出可能な第1押出部材と、
前記第2の発射装置に設けられ前記小型玩具を押出可能な第2押出部材と、
前記第1押出部材と前記第2押出部材のそれぞれを前記小型玩具を押し出す方向へ付勢する第1付勢手段および第2付勢手段と、
前記第1押出部材と前記第2押出部材のそれぞれを前記小型玩具を押し出す方向と反対の方向に移動させた際に、前記第1押出部材と前記第2押出部材をそれぞれ係止する第1係止手段および第2係止手段と、
前記第1押出部材の前記第1係止手段による係止、および、前記第2押出部材の前記第2係止手段による係止のいずれも解除可能な共通スイッチ機構とから構成されていることを特徴とする請求項3に記載の車両玩具。
【請求項5】
前記第1係止手段と前記第2係止手段は一体とされた共通係止手段であることを特徴とする請求項4記載の車両玩具。
【請求項6】
前記第1付勢手段と前記第2付勢手段は一体とされた共通付勢手段であることを特徴とする請求項4または5のいずれかに記載の車両玩具。
【請求項7】
前記第1押出部材と前記第2押出部材は連結されていることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の車両玩具。
【請求項8】
前記第1の発射装置は、前記車両玩具が第1の形態のとき当該車両玩具の内部に位置することを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載の車両玩具。
【請求項9】
前記第2の発射装置は、前記車両玩具が第2の形態のとき当該車両玩具の内部に位置することを特徴とする請求項2乃至8のいずれか一項に記載の車両玩具。
【請求項10】
前記小型玩具は、前記車両玩具より小さく発射可能な玩具であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の車両玩具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−81343(P2012−81343A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−19226(P2012−19226)
【出願日】平成24年1月31日(2012.1.31)
【分割の表示】特願2010−150887(P2010−150887)の分割
【原出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(000135748)株式会社バンダイ (246)
【Fターム(参考)】