説明

車両用のLEDを用いた表示板

【課題】列車やバス等の車両の種別や走行路線等の所定の内容を表示するに際し、その内容の変更等に迅速に対応することができるLEDを用いた表示板を提供しようとするものである。
【解決手段】面発光体からなる透明基板上に、光が透過できる紙媒体、樹脂媒体、ガラス媒体等から選ばれた表示媒体を載せ、これに透明カバーを被せた上、前記面発光体の背面もしくはエッジ面からLED光源の光を導入して発光させることにより、表示内容が夜間でも確認できるようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は車両用のLEDを用いた表示板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在使用されている社名や広告、イベント案内、その他の車両用の各種表示板は、日中明るい場合は目視にて記述内容を確認できるが、夜間等のように暗くなると車内表示の明るさもあって闇に埋没して見えなくなるという問題点があった。
そこで、LEDを用いて表示板を夜間等でもよく見えるようにすることも種々試みられている。
【0003】
例えば、特開2000−255317号公報(特許文献1参照)には、「乗客が乗降中である」ことを表す表示形式を、発光ダイオ−ドを利用し「色」発光による表示を行うものであり、プリント基板の「人」と「バス停」の図柄(形)部分に、複数の発光ダイオ−ドをモザイク状に配列、実装した表示部を、黒色半透明のアクリル板よりなる前面カバ−で覆われたケ−スに収納し、バス車体後部に設置することにより、バス停留所などにおいて、後続車、特にモ−タ−バイクや自転車に対して「乗客が乗降中である」ことを認識させ、乗降客の安全注意を喚起するための視認性と識別性を向上したバス車両用乗降中表示装置が提案されている。
【0004】
特開2003−122266号公報(特許文献2参照)には、移動車両体にボディに広告等の情報提供サービスにおいて、ペーパー状電子ディスプレイに、情報提供装置に記憶されている情報データをGPSや運行システムから場所を認知して、この場所に対応した広告情報データの画像を該ペーパー状電子ディスプレイに表示させる情報提供方法が提案されている。
【0005】
特開平10−49076号公報(特許文献3参照)には、バスのフロントウィンドウの上部にマトリクス状に配設したLEDを用いた前面表示ユニットを設置し、同様にリアウィンドウの上部にLEDを用いた後面表示ユニットを、さらに、乗降用ドア等の上部にLEDを用いた側面表示ユニットを設置するとともに、各表示ユニットは、表示内容の視認性が外光により悪化するのを改善するための仕切り板、フィルタ等を表示面に備えており、各表示ユニットの制御はホストコントローラにより行うようにしたバスの行き先表示装置が提案されている。
【0006】
特開平10−188645号公報(特許文献3参照)には、列車やバス等の車両の種別や走行路線等の所定の内容を表示する、その車両の車体に設けられる表示帯からなる車両用表示装置であって、前記表示帯は、前記所定の内容に対応して色彩を可変としたことを特徴とする車両用表示装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−255317号公報
【特許文献2】特開2003−122266号公報
【特許文献3】特開平10−49076号公報
【特許文献4】特開平10−188645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながらいずれの先行技術においても、LED光源を用いて直接、列車やバス等の車両の種別や走行路線等の所定の内容を表示するものであって、手書きやオリジナルの表示をした紙やプラスチック、その他印刷物等の非発光体の照明には対応することができず、また列車やバス等の車両の種別や走行路線等の表示の変更等に迅速に対応することができないという問題があった。
【0009】
そこでこの発明の車両用のLEDを用いた表示板は従来例の前記欠点を改良するものであって、列車やバス等の車両の種別や走行路線等の所定の内容を表示するに際し、その内容の変更等に迅速に対応することができるLEDを用いた表示板を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわちこの発明の車両用のLEDを用いた表示板は、面発光体からなる透明基板上に、光が透過できる紙媒体、樹脂媒体、ガラス媒体等から選ばれた表示媒体を載せ、これに透明カバーを被せた上、前記面発光体の背面もしくはエッジ面からLED光源の光を導入して発光させることにより、表示内容が夜間でも確認できるようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
この発明の車両用のLEDを用いた表示板は、前記表示媒体上に被せた透明カバーが、透明基板上に開閉可能に保持され、透明カバーの周囲に配置した磁性体で透明基板上に吸着できるようにしたことをも特徴とするものである。
【0012】
この発明の車両用のLEDを用いた表示板は、前記面発光体が、カラー表示が可能であり、カラー表示することによってデザイン的要素、目につき易さなどが得られ、バスなどによる複数での移動の場合等において一台一台が別々のカラー表示を行うことにより、乗り間違い等が解消されるようにしたことをも特徴とするものである。
【0013】
この発明の車両用のLEDを用いた表示板は、前記面発光体が、コントローラによってLEDを制御することにより、リモコンを用いてON/OFF、明るさの制御、RGBのカラーコントロールを可能としたことをも特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
以上のようにこの発明の車両用のLEDを用いた表示板は、面発光体からなる透明基板上に、光が透過できる紙媒体、樹脂媒体、ガラス媒体等から選ばれた表示媒体を載せ、これに透明カバーを開閉可能に被せた上、前記面発光体の背面もしくはエッジ面からLED光源の光を導入して発光させるようにしたものである。
そうすることによって、列車やバス等の車両の種別や走行路線等の表示内容が夜間でも確認できるという顕著な効果を奏することが可能となり、しかも表示内容の変更等にも迅速に対応することができ、従来例の問題点を根本的に解消することに成功したのである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】この発明の車両用のLEDを用いた表示板の1実施例を示す斜視図である。
【図2】透明カバーを開いた状態の斜視図である。
【図3】透明カバーを閉じた状態の正面図である。
【図4】(a)は透明カバーを閉じた状態の側面図、(b)は透明カバーを開いた状態の側面図である。
【図5】この発明の車両用のLEDを用いた表示板の他の実施例を示す斜視図である。
【図6】基本回路の構成図である。
【図7】リモコンの1例を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の車両用のLEDを用いた表示板の実施の形態を図面に基いてより詳しく説明する。
図1ないし図4に示すこの発明の車両用のLEDを用いた表示板の実施例において、面発光体11からなる透明基板上に、光が透過できる紙媒体、プラスチック媒体、ガラス媒体等から選ばれた表示媒体12を載せ、これに透明カバー13を開閉可能に被せた上、前記面発光体11の背面もしくはエッジ面に設けた光導入部14を介してLED光源からの光を導入して発光させることにより、表示媒体12に記述した表示内容が夜間でも確認できるようにしたものである。
【0017】
前記面発光体11からなる透明基板としては、アクリル樹脂等の透明樹脂基板、光透過率に優れたガラス基板等の、いわゆる導光板として従来から使用されている適宜の基板が使用可能である。
このような面発光体11からなる透明基板の表裏のいずれか、あるいはその両面にはLED光源からの光を表示媒体12に向けて拡散させるプリズム、ドット、ブラスト等(図示せず)が適宜形成されていることが望ましい。
【0018】
前記表示媒体12上に開閉可能に被せた透明カバー13は、面発光体11からなる透明基板の幅方向の一端に蝶番15を介して開閉自在に取り付けられ、かつ透明カバー13の周囲に配置した帯状の磁性体16を、面発光体11からなる透明基板の周囲に配置した帯状の磁性体17に吸着させることにより、面発光体11からなる透明基板とシート状に一体化できるようにしたものである。
もちろん、透明カバー13を面発光体11からなる透明基板に取り付ける手段はこのような磁性体16を用いる方法に限られるものではない。
図4(a)は透明カバー13を閉じた状態、(b)は透明カバーを開いた状態を示すものである。
【0019】
この実施例の車両用のLEDを用いた表示板は、前記面発光体11としてカラー表示が可能となっている。すなわち、カラー表示することによってデザイン的要素、目につき易さなどが得られるのである。したがって、バスなどによる複数での移動の場合等において一台一台が別々のカラー表示を行うことにより、乗客の乗り間違い等が解消されるようになるのである。
また、手書きやオリジナルの表示をした紙やプラスチック、その他印刷物等の表示媒体12の照明を簡単に行うことができ、また列車やバス等の車両の種別や走行路線等の表示の変更等にも迅速に対応することができるようになった。
【0020】
図5にこの発明の車両用のLEDを用いた表示板の他の実施例を示す。
この例では、透明カバー13は面発光体11からなる透明基板上に構造的に一体となるように取り付けてある。そして、透明カバー13は面発光体11からなる透明基板との間には、表示媒体12を差し込むスリット18が設けられており、適宜このスリット18に表示媒体12を出し入れすることが可能である。14は光導入部である。
したがって、手書きやオリジナルの表示をした紙やプラスチック、その他印刷物等の表示媒体12の照明を簡単に行うことができ、また列車やバス等の車両の種別や走行路線等の表示の変更等にも迅速に対応することができるようになった。
【0021】
図6にそのようなカラーコントロールの基本回路の構成を示す。
すなわち前記面発光体21には、電圧変換器・コンバータ23をの間に受光ユニットもしくはコントローラ22が接続されており、この受光ユニットもしくはコントローラ22によってLEDを制御するのである。
このように構成したことにより、リモコン24を用いて前記面発光体21のON/OFF操作、明るさの制御、RGBのカラーコントロール等を行うことを可能としているのである。
【0022】
図7にそのようなカラーコントロールに使用するリモコン24の1例を示す。
リモコン24の制御盤にはON/OFFスイッチ25、RGBのカラーコントロール用スイッチ26等が適宜配置されている。
【産業上の利用可能性】
【0023】
この発明は以上の通り、面発光体からなる透明基板上に、光が透過できる紙媒体、樹脂媒体、ガラス媒体等から選ばれた表示媒体を載せ、これに透明カバーを開閉可能に被せた上、前記面発光体の背面もしくはエッジ面からLED光源の光を導入して発光させることにより、表示内容が夜間でも確認できるようにしたものである。
したがって、社名や広告、イベント案内、その他の車両用の各種表示板としてのみならず、この発明の要旨を変更しない限度において、他の用途にも転用可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0024】
11 面発光体
12 表示媒体
13 透明カバー
14 光導入部
15 蝶番
16,17 磁性体
18 スリット
21 面発光体
22 受光ユニットもしくはコントローラ
23 電圧変換器・コンバータ
24 リモコン
25 ON/OFFスイッチ
26 カラーコントロール用スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面発光体からなる透明基板上に、光が透過できる紙媒体、樹脂媒体、ガラス媒体等から選ばれた表示媒体を載せ、これに透明カバーを被せた上、前記面発光体の背面もしくはエッジ面からLED光源の光を導入して発光させることにより、表示内容が夜間でも確認できるようにしたことを特徴とする車両用のLEDを用いた表示板。
【請求項2】
前記表示媒体上に被せた透明カバーが、透明基板上に開閉可能に保持され、透明カバーの周囲に配置した磁性体で透明基板上に吸着できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の車両用のLEDを用いた表示板。
【請求項3】
前記面発光体が、カラー表示が可能であり、カラー表示することによってデザイン的要素、目につき易さなどが得られ、バスなどによる複数での移動の場合等において一台一台が別々のカラー表示を行うことにより、乗り間違い等が解消されるようにしたことを特徴とする請求項1記載の車両用のLEDを用いた表示板。
【請求項4】
前記面発光体が、コントローラによってLEDを制御することにより、リモコンを用いてON/OFF、明るさの制御、RGBのカラーコントロールを可能としたことを特徴とする請求項1記載の車両用のLEDを用いた表示板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−81244(P2011−81244A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−234281(P2009−234281)
【出願日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【出願人】(509281298)
【Fターム(参考)】