説明

車両用アウトサイドハンドル

【課題】 簡易な構成によって、車両アウトサイドハンドル部の照明と、足下照明(車両近傍の照明)とを同時に行う。
【解決手段】 凹部を有するパネルと、前記凹部の周縁側の一部を覆うように配置される把手部とを備える車両用アウトサイドハンドルにおいて、前記把手部の内側表面を光拡散性とし、前記把手部の後方に光源を配置する。また、前記把手部に光透過孔を形成する。この光透過孔を通って光源の光が車両外側へと取り出される。取り出された光の一部は把手部の車両外側下端と前記凹部の下端との間を通って斜め下方に進行する。一方、取り出された光の他の一部は把手部の内側表面に照射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用アウトサイドハンドルに関する。詳しくは、照明機能を備えた車両用アウトサイドハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
夜間等における視認性の向上を主な目的として、車両用アウトサイドハンドル部を照明ないし発光させることが行われている。これまでに提案されている方法は、ハンドル(把手部)自体を発光させる方法(例えば特許文献1を参照)、ハンドルの後方(パネル凹部表面)を発光(照明)させる方法(例えば特許文献2〜4を参照)に大別できる。後者については更に、光源の設置場所の異なる二つの方法、即ち、ハンドル内に光源が設置される方法と、ボディー(パネル)側に光源が設置される方法が提案されている。
一方、乗車時の安全性を向上することや演出効果を狙って、ドアロックが解除された時などに車両の近傍(足下照明)を照明することが行われる。かかる照明には、ドアの下部、ドアミラー、或いはアウトサイドハンドル部に取り付けられた光源の光が利用される。
要求される照明条件(照明場所、輝度、照明範囲など)が大きく異なることもあって、従来はアウトサイドハンドル部の照明と足下照明にはそれぞれ専用の光源が使用されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−244990号公報
【特許文献2】特開平3−125768号公報
【特許文献3】特開2003−113680号公報
【特許文献4】特開2003−113681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アウトサイドハンドル部の照明と足下照明を別個の光源で行う場合には、光源の使用数が多くなり、また各照明用にそれぞれ装置を構成する必要がある。その結果、製造コストが増大する。同時に全体としての構成が複雑化する。一方、光源(或いはそれを内蔵した照明装置)ごとにその点灯状態を制御する必要も生ずる。加えて、光源数が増加することによる消費電力の増大という問題も伴う。
本発明の目的は、以上の課題の少なくとも一つを解決することにある。また本発明は、高い照明効果でアウトサイドハンドル部を照明できる照明手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の目的を達成するために、本発明は以下の構成からなる。即ち、
凹部を有するパネルと、
前記凹部の周縁側の一部を覆うように配置される把手部と、を備える車両用アウトサイドハンドルにおいて、
前記把手部の内側表面が光拡散反射性であり、
前記把手部の後方に光源が備えられ、
前記把手部において前記光源が対向する領域に光透過孔(把手部光透過孔)が形成され、
前記光源の光は、前記光透過孔を通った後、一部が前記把手部の車両外側下端と前記凹部の下端との間を通って斜め下方に進行し、他の一部が前記把手部の前記内側表面に照射する、ことを特徴とする車両用アウトサイドハンドルである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の構成によれば、光源の光が、把手部に形成された光透過孔を介して車両外方向へと取り出される。取り出された光の一部が斜め下方に進行し、車両近傍を照明する(足下照明)。一方で、取り出された光の他の一部は、把手部の内側表面に照射する。把手部の内側表面を光拡散反射性としたことから、当該表面に照射した光は反射と同時に拡散される。その結果、輝度が均一化された光がパネル凹部に照射し、これによって把手部が間接的に照明される(アウトサイドハンドル照明)。このように、足下照明とアウトサイドハンドル照明が同一の光源によって行われる。従って、光源使用数を削減でき、それに伴い製造コストが低減する。また、消費電力の低下も図られる。併せて、全体としての構成が簡略化する。さらには、アウトサイドハンドル照明と足下照明における光源の点灯状態を個別に制御する必要がなくなる。加えて、一つの装置として構成されることから、組み付け作業性の面でも有利となる。
一方、アウトサイドハンドル部の照明に利用される光、即ちパネル凹部に照射する光は、把手部の内側表面での拡散作用によってその輝度が均一化されたものとなる。換言すれば、輝度ムラの少ない光によって照明が行われることになり、意匠性の高い照明態様となる。しかも、把手部の内側表面を介した光が照明に利用されることから、直接光による場合のはっきり(くっきり)とした光ではなく、やわらかな光による、高級感に富んだ照明態様が創出される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の構成要素を詳しく説明する。
(パネル)
本発明の車両用アウトサイドハンドルでは、凹部を有するパネルが用いられる。凹部の具体的な形状は特に限定されない。通常、凹部の形状は車両デザインを考慮して設計される。凹部の形状の例として、平面視形状が略楕円形、矩形等を挙げることができる。ここでのパネルは、車両ボディーパネルと別体として、又は車両パネルの一部として構成される。
パネルの凹部には最終的に光が照射し、これによって間接的に把手部が照明される。そこで、パネル凹部表面を光拡散性(光拡散面)にすることが好ましい。かかる構成によれば、パネル凹部表面における拡散効果によって、輝度が一層均一化された光による間接照明が行われる。即ち、輝度ムラの一層の低減が図られる。また、凹部に照射する光が拡散されることなく反射された場合に発生するぎらつき感を効果的に低減できる。光拡散面は例えば、ブラスト処理や、拡散剤含有の塗料の塗布等によって形成される。
本発明の一態様では、パネルの凹部に光透過孔が設けられる。光透過孔は把手部の後方(車両内方向)の位置に形成される。これによって、光透過孔が直接目視されることを防止できる。凹部に貫通孔を設け、これを光透過孔とすることができる。或いは、このような貫通孔に光透過性材料(例えば光透過性樹脂、ガラス)を充填したものを光透過孔としてもよい。光透過孔の大きさ及び位置の設定においては、光源の光を十分に透過できるものであること、及び最終的な照明位置などを考慮することが好ましい。また、意図しない光の漏洩が発生しないように、光透過孔の大きさ及び位置を設計することが好ましい。
【0008】
(把手部)
把手部(ハンドル)は、上記パネル凹部の周縁側の一部を覆うように配置される。例えば、パネル凹部の上端部分、左端部分、又は右端部分に把手部が取り付けられる。把手部は、所定距離を回動可能な状態で、その一端側でパネル(又は車両ボディー等)に固定される。本発明では、把手部の内側表面(裏面)が光拡散反射性(光拡散反射面)である。例えば、鏡面処理(例えば金属メッキ)が施された表面に拡散剤を含む透明樹脂層を形成することによって光拡散反射面を構成することができる。光拡散反射面を形成する場合の他の方法として、まず粗面処理(研磨処理など)をし、その後、表面が平坦にならない範囲で金属メッキを施す方法(結果的に金属メッキが施された粗面となる)を挙げることができる。
把手部の内側表面の実質的に全体を光拡散反射面とすることが好ましい。これによって、把手部の内側表面における光のロスを極力低減できる。
把手部において光源が対向する領域には、光透過孔(把手部光透過孔)が形成されている。この光透過孔を介して光源の光が車両内側から車両外側へと取り出される。把手部に貫通孔を設け、これを光透過孔とすることができる。或いは、このような貫通孔に光透過性材料(例えば光透過性樹脂、ガラス)を充填したものを光透過孔としてもよい。光透過孔の大きさ及び位置の設定においては、光源の光を十分に透過できるものであること、及び最終的な照明位置などを考慮することが好ましい。
光透過孔の車両外側を覆うハーフミラー層を形成することが好ましい。かかる構成では、外部が明るいとき(昼間)に、光透過孔が視認されにくくなるとともに、光透過孔を通して、把手部の後方(車両内方向)の部材が車両外部より観察されることを防止できる。これによって、特に、把手部が手前に引き上げられることによって操作者から光透過孔が見えやすい位置になったときにおける意匠性の低下を防止できる。ハーフミラー層としては、金属層、樹脂層などを積層した周知の構成を採用できる。
【0009】
(光源)
光源は特に限定されるものではなく、LED、バルブ等を用いることができる。中でもLEDを採用することが好ましい。LEDは小型であるため装置の小型化を図れるからである。また、発熱量が小さく、周囲の部材への熱の影響を少なくすることができるといった利点も有する。さらには、駆動電力が小さく、また長寿命であるといった利点も有する。LEDの種類は特に限定されず、砲弾型、チップ型等、種々のタイプのLEDを採用できる。小型化の観点から言えばチップ型LEDを採用することが好ましい。
光源の色は任意に選択できる。複数の光源を用い、これらを制御することにより発光色を変化させることも可能である。例えば、赤、緑、青の各色の発光素子を一つの基板上にマウントしたLEDを用い、各発光素子の発光態様を制御すれば、所望の色を発光させることができる。
光源は、把手部の後方(車両内方向)において、把手部に形成された光透過孔に対向するように備えられる。光源の光は、光透過孔を通って車両外側への取り出された後、その一部が把手部の車両外側下端とパネル凹部の下端との間を通って斜め下方に進行する。これによって車両外部が照明される(足下照明)。一方、光透過孔を通って車両外側へと取り出された光の他の一部は、把手部の内側表面に照射し、そこで反射及び拡散される。これによって、パネル凹部方向に向かう光が生成する。
尚、光源用の光透過孔をパネル凹部に形成した場合には、当該光透過孔の後方(車両内方向)に光源が配置されることとなる。
【0010】
本発明の構成では光源が把手部内ではなくボディー側に取り付けられることになるから、把手部に光源を内蔵する場合に生ずる種々の問題(光源の設置位置や使用数の制約、構造上の問題)が解消される。一方、光源が把手部の後方に配置されることで隠された状態となり、意匠性に優れたものとなる。
【0011】
(光漏洩防止部材)
本発明の好ましい一態様では、意図しない光の漏洩を防止する部材(光漏洩防止部材)を使用する。光漏洩防止部材は、上記光源に起因する光が、把手部とパネル凹部との間隙を通ってパネル凹部周縁側へと漏洩することを防止する。つまり、光漏洩防止部材は、一部の光を遮断することで、光源の光が意図した場所(即ち、原則として把手部の光透過孔)からのみ取り出されるようにする。この光漏洩防止手段によって、把手部の周囲から光が漏洩して意匠性が低下することを防止できる。例えば、把手部とパネル凹部との間隙内に、把手部の動作を妨げない範囲で遮光板を設けたり、把手部の一部及び/又はパネルの一部に突起部を設けたりすることによって、このような光漏洩防止効果を得ることができる。
尚、把手部とパネル凹部との間隙を通って凹部中央側へと漏出する光を遮断するための手段を併用してもよい。
【0012】
(遮光部材)
本発明の一態様では、更に遮光部材が備えられる。ここでの遮光部材は把手部の後方(車両内方向)に配置され、そして把手部が車両外方向に回動する動作に連動して、パネル凹部に設けられた光透過孔を覆う位置まで移動する。この遮光部材の使用によって、把手部が車両外方向に回動したときに光源の光が外部に漏出することを防止できる。
遮光部材を使用する代わりに、回動したときにも光源の光を効果的に遮断することが可能な構成の把手部を採用することによって、上記と同様の効果を得ることも可能である。但しこの場合には把手部がデザイン上の制約を受けることとなり、意匠性が低下するおそれがある。また、より確実に光の漏洩を防止するためにも、遮光部材を使用することが好ましい。
【実施例1】
【0013】
本発明の実施例を図1及び図2に示す。図1は、本発明を適用した自動車のアウトサイドハンドル部1の平面図である。図2は、図1におけるA−A線断面図であり、aはハンドル(把手部)が定位置にある状態を表し、bはハンドルが引き上げられた状態(ドア開時)を表す。
【0014】
本実施例のアウトサイドハンドル部1はパネル10と、ハンドル20と、LED30とを備えて構成される。パネル10は、概ねその中心に近づくに従って深くなるように、曲面で構成された凹部11を備える。凹部表面には拡散処理(例えば艶消し塗装)が施されている。その結果、凹部表面では高い光拡散効果が得られる。尚、本実施例ではパネル10を車両ボディーパネル40と別体として構成したが、車両ボディーパネル40の一部に上記のごとき凹部を設けてアウトサイドハンドル部を構成してもよい。
【0015】
パネル凹部11の上端には凸部13が形成されている。この凸部13は、ハンドル20の凹部側に形成された同様の凸部25(後述)と協同して、LED30の光が凹部11とハンドル20との間を通って上方及び側方から漏出することを防止する。即ち、遮光機能(光漏洩防止機能)を発揮する。
パネル凹部11には、ハンドル20の後方に位置するように水平方向で中央、且つ垂直方向で上端から約1/4の位置に貫通孔(凹部光透過孔17)が設けられている。本実施例では平面視形状が円の貫通孔を採用したが、貫通孔の形状はこれに限定されるものではない。例えば平面視形状が矩形、楕円などの貫通孔を採用してもよい。また、平面視形状が直線状(例えば水平方向に長い長方形)となる貫通孔を設けてもよい。凹部光透過孔17内に光透過性材料(例えば透明樹脂)を充填してもよい。光透過性材料として有色のものを用いれば、凹部光透過孔17を通過する光の色を変換することができる。
【0016】
ハンドル20は、パネル凹部11の上縁部を覆うように取り付けられる。ハンドル20は上端部を軸にして一定距離を車両外方向に回動可能な状態でパネル10に固定されている。ハンドル20は断面が略くの字形状である。ハンドル20の上端近くにおいてパネル凹部側には凸部25が形成されている。この凸部25は、上述のように、パネル凹部11の上端部に形成された同様の凸部13とともに遮光機能を発揮する。ハンドルの内側表面21は全体に亘って光拡散反射面となっている。具体的には金属メッキをした後、更に拡散剤含有の透明樹脂による塗装が施されている。一方、パネルの凹部側表面14は光拡散性反射面となっている。
ハンドル20のパネル凹部側部分においてほぼ中央の位置に光透過孔(ハンドル光透過孔22)が設けられている。このハンドル光透過孔22は、貫通孔に光透過性樹脂を充填して構成される。本実施例では平面視形状が円の貫通孔を採用したが、貫通孔の形状はこれに限定されるものではない。例えば平面視形状が矩形、楕円などの貫通孔を採用してもよい。また、平面視形状が直線状(例えば水平方向に長い長方形)となる貫通孔を設けてもよい。貫通孔に充填する光透過性材料として有色のものを用いれば、ハンドル光透過孔22を通過する光の色を変換することができる。
ハンドル内側表面21において、このハンドル光透過孔22の上にはハーフミラー層が形成されている。
【0017】
凹部光透過孔17の後方にLED30が備えられる。本実施例では砲弾型、白色発光のLED30を使用している。LED30は、その光軸が凹部光透過孔17及びハンドル光透過孔を通るようにその位置、及び角度が調整されている(光軸がパネル凹部11の下端の少し上を通る)。本実施例ではLEDを1個使用したが、複数のLEDを使用してもよい。その場合には異なる発光色のLEDを組み合わせてもよい。尚、LEDはドアロックの解除と連動して点灯する。
【0018】
次に、以上の構成からなるアウトサイドハンドル部1の照明態様を説明する。まず、リモコンキーの操作でドアロックが解除されるとLED30がON状態となり、白色に発光する。LED30から放出された光は凹部光透過孔17を通過し、続いてハンドル光透過孔22を通過する。その後、一部の光(光軸方向の光)はそのまま斜め下方に進行し、車両近傍の地面に照射する。これによって、スポットライト的な足下照明が行われる。
一方、凹部光透過孔17及びハンドル光透過孔22を介して取り出された光の一部は、ハンドル内側表面(ハンドルの車両外側の裏面)21に照射する。照射光はハンドル内側表面21に対する入射角に応じて反射される。その結果生ずる反射光の一部は下方ないし斜め下方に進行し、パネル凹部11の下部領域14に直接照射する。一方で、反射光の他の一部は水平方向ないし斜め上方に反射された後、続いてハンドル内側表面21の他の領域による反射を経て(一部の光については、さらにハンドル内側表面21における反射を繰り返す)、最終的に下方又は斜め下方に放出され、パネル凹部11の下部領域14に照射する。
【0019】
ここで、ハンドル内側表面21を拡散反射面としたことから、以上のような当該表面による反射作用に伴い、光の拡散作用が奏される。従って、ハンドル内側表面21による反射を介してパネル凹部11の下部領域14に照射する光は輝度が均一化されたものとなる。しかも、光が照射するパネル下部領域14の表面は光拡散性であるから、照射光はここにおいても拡散されることとなり、最終的に観察される光は輝度が高度に均一化されたものとなる。このように、本実施例のアウトサイドハンドル部1では、輝度ムラの非常に少ない光によってハンドル20が照明されることとなり、デザイン性に優れたものとなる。しかも間接照明であることから、やわらかな光による高い演出効果が得られる。
【0020】
ここで、LED30の光のほとんどは斜め下方に放出されて上記の通りの照明に利用されるものの、LEDの光の一部がパネル凹部11とハンドル20との間を通って上方ないし側方へと進行するおそれがある。しかし、本実施例の構成では、パネル凹部11上端部の突起13と、ハンドル20の上端近くに形成された凸部25が遮光機能(光漏出防止機能)を発揮して、このような意図しない光を遮断する。これによって、ハンドル20の上方又は側方から光が漏出することによる、意匠性の低下を防止できる。
【0021】
一方、図2bに示すように、ハンドル20が手前側に引き上げられた状態になると、LED30の光軸上からハンドル光透過孔22がはずれる。その結果、LED30の光がハンドル20によって遮られる。これに伴い、上記のごとき照明は行われなくなる。
ハンドル20の操作に連動してLED30が消灯するように制御してもよい。また、ハンドル20の操作が開始されたときから所定時間経過した後にLED30が消灯するように制御してもよい。消灯時にLED30の輝度が次第に小さくなるように制御することもできる(フェードアウト効果)。
【0022】
以上説明したように、本実施例のアウトサイドハンドル部1では、簡易な構造によって、アウトサイドハンドル部自体の照明と足下照明とが同時に行われる。光源が共有されることによって、各照明用に光源を用意し、それらを個別に点灯制御する必要がなくなる。また、省電力化も図られる。
一方、本実施例のアウトサイドハンドル部1では、ハンドル内側表面21による反射及び拡散作用、さらにはパネル凹部11の下部領域14における拡散作用の結果、輝度ムラが極めて少なく、しかもやわらかな光による間接照明が行われる。即ち、照明効果に優れ、高級感にあふれた照明態様が実現される。また、ハンドル20の上方及び側方からの光の漏出が防止されることによって、ハンドル20の下方のパネル凹部11のみが発光するように観察され、デザイン性に優れた照明態様となる。さらには、パネル光透過孔22上に形成されたハーフミラー層の作用によって、外部が明るいときにおいてパネル光透過孔22を通してハンドル20の後方(車両内方向)の部材が視認されることを防止できる。これによって意匠性が向上する。
【0023】
本実施例においてはハンドル20が手前に引き上げられたときにLED30の光がハンドル20で遮られる構成としたが、例えば、ハンドル20の回動方向に沿って連続する形状の光透過孔をハンドル20に設けることによって、ハンドル20が引き上げられたときにおいても当該光透過孔を介してLED30の光が車両外側に取り出されるように構成してもよい。かかる構成を採用した場合には、ハンドル20が引き上げられた状態(又は引き上げられる途中)においても、ハンドル20が定位置のときと同様の照明効果(アウトサイドハンドルの間接照明及び足下照明)を得ることが可能となる。
【実施例2】
【0024】
次に本発明の他の実施例を、図3を参照しながら説明する。図3において上記実施例と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。尚、図3a及びbは、上記実施例の説明で使用した図2と同様に、アウトサイドハンドル部の中央付近における断面図である。
図3aに示すアウトサイドハンドル部では、パネル凹部11の垂直方向のほぼ中央に、横方向に連続する段差面12が形成されており、当該段差面12によって凹部11の上部が一段下がった状態となっている。この段差面12は、パネル凹部11の下部領域14に対して上方からLED30の光が直接照射することを防止する。即ち、第1光透過孔17を通った後、ハンドル20とパネル凹部11の間を通って下方へ漏出する光をこの段差面12で遮断することができる。その結果、このような漏出光に起因して、凹部11の下部領域14に照射する光の輝度ムラが発生することを防止できる。
【0025】
一方、以下の構成を採用することによって、ハンドル20と凹部11との間隙を通って下方へと漏出する光をハンドル20の間接照明に積極的に利用することもできる。図3bに示すように、その表面とハンドル20の車両内側下端23との間に所定の距離を確保した状態で段差面15を凹部11に形成し、その表面を反射性又は反射拡散性とする。かかる構成によれば、ハンドル20と凹部11との間隙を通って下方へと漏出した光が段差面15に照射し、そこで反射(又は拡散反射)される。これによって、ハンドル内側表面21へ向かう光が生ずる。この光は、ハンドル内側表面21による反射及び拡散作用を受けた後、パネル凹部11の下部領域14に照射してハンドル20を間接的に照明する。このように以上の構成によれば光の利用率が高まり、照明効果が向上する。尚、段差面15を光拡散反射性とした場合には段差面15で光が反射されると同時に拡散もされることとなり、光の輝度の均一化が促進される。その結果、最終的な照明光の輝度ムラの低減に寄与できる。
【実施例3】
【0026】
次に本発明のさらに他の実施例を、図4を参照しながら説明する。図4において上記実施例と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。尚、図4は、上記実施例の説明で使用した図2と同様に、アウトサイドハンドル部の中央付近における断面図である。
この実施例のアウトサイドハンドル部では、ハンドル20が引き上げられたときに、凹部光透過孔17を遮蔽する部材(遮光板50)を使用する。遮光板50は不透光性材料(例えば黒色樹脂)からなり、平板形状を有する。遮光板50はスライド機構(図示せず)によって、ハンドル20の回動動作に連動してスライドする。具体的にはハンドル20が定位置にあるとき(図4a)は第1光透過孔17の車両内側斜め上方に位置し(定位置)、ハンドル20が回動するのと同時に斜め下方へとスライドして第1光透過孔17を覆う(図4b)。そして、ハンドル20が定位置に戻る動作に連動して今度は逆方向(斜め上方)にスライドし、定位置まで戻る。かかる遮光板50の動作によって、ハンドル20が引き上げられたときにはLED30の光が遮光板50で遮断され、照明が行われないこととなる。即ち、本実施例の構成では、ハンドル20が定位置にあるときには上記実施例と同様の照明効果が得られる一方で、ハンドル20が引き上げられたとき(即ちドアが開かれるとき)には照明されない。
尚、遮光板50の移動用のスライド機構は周知のもの(機械式、電動式のいずれでもよい)を採用できる。また、遮光板50の材質、形状、大きさは、遮光板50に期待される作用、即ち凹部光透過孔17を確実にカバーしてLED30の光を遮断するという作用が奏される限り特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、乗用車に限らず、トラックやバスなどの自動車に適用できる。また、電車などへもその利用が図られる。
【0028】
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は本発明の実施例であるアウトサイドハンドル部を示す平面図である。
【図2】図2は、図1におけるA−A線断面図である。aはハンドル20が定位置にあるときの状態、bはハンドル20が引き上げられた状態をそれぞれ表す。
【図3】図3は、本発明の他の実施例であるアウトサイドハンドル部の断面図である。aは遮光手段としての段差面12がパネル凹部11に形成された例、bは反射(又は反射拡散)手段としての段差面15がパネル凹部11に形成された例をそれぞれ示す。
【図4】図4は、本発明の他の実施例であるアウトサイドハンドル部の断面図である。aはハンドル20が定位置にあるときの状態、bはハンドル20が引き上げられた状態をそれぞれ表す。
【符号の説明】
【0030】
1 アウトサイドハンドル部
10 パネル
11 パネル凹部
12 段差面(光遮断面)
13、25 凸部
15 段差面(反射面又は拡散反射面)
17 凹部光透過孔
20 ハンドル(把手部)
21 ハンドルの内側表面
22 ハンドル光透過孔
30 砲弾型白色LED
50 遮光板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部を有するパネルと、
前記凹部の周縁側の一部を覆うように配置される把手部と、を備える車両用アウトサイドハンドルにおいて、
前記把手部の内側表面が光拡散反射性であり、
前記把手部の後方に光源が備えられ、
前記把手部において前記光源が対向する領域に光透過孔(把手部光透過孔)が形成され、
前記光源の光は、前記光透過孔を通った後、一部が前記把手部の車両外側下端と前記凹部の下端との間を通って斜め下方に進行し、他の一部が前記把手部の前記内側表面に照射する、ことを特徴とする車両用アウトサイドハンドル。
【請求項2】
前記凹部において前記把手部の後方に光透過孔(凹部光透過孔)が形成されており、該光透過孔の後方に前記光源が配置される、ことを特徴とする請求項1に記載の車両用アウトサイドハンドル。
【請求項3】
前記凹部の表面が光拡散性である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用アウトサイドハンドル。
【請求項4】
前記把手部と前記凹部との間隙を通って前記凹部周縁側へと前記光源に起因する光が漏洩することを防止する部材を更に備える、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用アウトサイドハンドル。
【請求項5】
前記把手部の後方に配置される遮光部材であって、前記把手部が車両外方向に回動する動作に連動して、前記凹部光透過孔を覆う位置まで移動する遮光部材を更に備える、ことを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の車両用アウトサイドハンドル。
【請求項6】
前記光源がLEDからなる、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の車両用アウトサイドハンドル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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