説明

車両用サンバイザ

【課題】 インジケータの視認性、警報音の聞き取り易さ、スイッチの操作性、車室内の意匠等を損なうことなく、ETC車載器を車両に搭載でき、しかも、その盗難防止性を確保できるようにする。
【解決手段】 運転席用のサンバイザ2が格納位置にあるときにカード挿入口11aが車両の後方を向くよう、サンバイザ2内にETC車載器10を収納する。インジケータ12,14、操作スイッチ16,18、スピーカ20は、ETC車載器10とは別体で構成し、スピーカ20は、サンバイザ2が格納位置にあるときに車室内に向けられる面から音を放射するようにサンバイザ2内に収納する。またサンバイザ2の外周端縁の内、サンバイザ2が格納位置にあるときに車両の前方に向けられる側には、インジケータ12,14を設け、同じく車両の後方に向けられる側には、操作スイッチ16,18を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転席前方又は側方の窓から車室内に外光(太陽光等)が入射するのを防止する車両用サンバイザに関し、詳しくは、ETC車載器を内蔵した車両用サンバイザに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、有料道路の料金所で車両を停車させることなく通行料金を徴収できるようにした有料道路自動料金収受システム(ETC(Electronic Toll Collection)システム)が知られている(例えば、特許文献1等参照)。
【0003】
このETCシステムは、有料道路に接地された路側器と、車両に搭載されたETC車載器とから構成されており、ETC車載器を搭載した車両が有料道路を走行して路側器付近を通過する際には、ETC車載器が路側器との間で無線通信を行うことにより、料金決済に必要なデータ(通行者の識別情報等)を路側器側に送信し、路側器側ではそのデータに基づき有料道路を通行した通行者を識別する。
【0004】
また、ETC車載器が路側器との間の無線通信によって料金決済を行うのに必要なデータは、通常、ETC車載器とは別体に構成されたICカードに記憶するようにされている。
【0005】
このため、ETC車載器は、通常、路側器との間の無線通信やその無線通信のためのデータ処理を行うための通信制御回路と、ICカードからのデータの読み出し及びICカードへの情報の書き込みを行うカードリーダライタとを、一つの筐体内に一体的に組み込むことによって構成されている(例えば、特許文献2等参照)。
【0006】
また、ETC車載器は、路側器との間で無線通信を行うものであるため、無線通信用のアンテナも必要になるが、ETC車載器には、このアンテナを筐体内に組み込んだアンテナ一体型のもの(ICカードを含めて2ピースタイプとも呼ばれる)と、アンテナをETC車載器とは別体で構成したアンテナ別体型のもの(ICカードを含めて3ピースタイプとも呼ばれる)が知られている。
【特許文献1】特開平8−235490号公報
【特許文献2】特開2001−184536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記2種類のETC車載器のうち、アンテナ一体型(2ピースタイプ)のものは、自動車のインストルメントパネルの上等、路側器との間で直接電波を送受信し得る位置(換言すれば車両の外から見える位置)に設ける必要があるため、ETC車載器に設けられたインジケータの視認性を確保したり、ETC車載器から発せられた警報音を聞き取り易くする、といったことはできるものの、車室内の意匠を損なうとか、盗難防止性に劣る、といった問題があった。
【0008】
一方、アンテナ別体型(3ピースタイプ)のものは、アンテナだけを路側器との間で直接電波を送受信し得る位置に設ければよく、ETC車載器自体は、車室内の任意の位置に、外から隠れるように設けることができるため、盗難防止性を向上することができ、しかも、車室内の意匠に影響を与えるのを防止できる。
【0009】
しかし、このようにETC車載器を車両の外から隠れるように配置すると、ETC車載器のインジケータが運転者等の乗員から見え難くなるとか、ETC車載器からの警報音が聞き取り難くなる、といった問題が生じ、また、ETC車載器の操作性が低下するという問題もある。
【0010】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたものであり、ETC車載器を車両に搭載するに当たって、インジケータの視認性、警報音の聞き取り易さ、スイッチの操作性、車室内の意匠等を損なうことなく、ETC車載器を車両に搭載でき、しかも、その盗難防止性を確保できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
係る目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、車室内の運転席前方の上部位置に、支持部を介して、窓からの外光の入射を遮断する遮光位置と天井部分への格納位置との間で変位可能に設けられる車両用サンバイザであり、その内部に、車載アンテナを介して有料道路自動料金収受システムの路側器との間で料金決済のための無線通信を行うETC車載器を設けたことを特徴とする。
【0012】
従って、本発明の車両用サンバイザを用いれば、運転者が見易く、また、スイッチ操作等もし易い、運転席前方の上部位置に、ETC車載器を配置することができる。従って、ETC車載器にインジケータが設けられている場合には、運転者によるインジケータの視認性を確保することができ、ETC車載器が警報音を発生するように構成されている場合には、運転者が警報音を聞き取り易くすることができ、ETC車載器に操作用のスイッチが設けられている場合には、運転者はそのスイッチ操作を容易に行うことができる。
【0013】
また、ETC車載器は、外見上はサンバイザであることから、本発明の車両用サンバイザを用いれば、車室内の意匠を損なうことなく、車両にETC車載器を搭載することができるようになり、しかも、車両の外からはサンバイザにETC車載器が内蔵されていることを確認できないことから、ETC車載器の盗難防止性を向上することもできる。
【0014】
ここで、ETC車載器が、上述した従来のものと同様、路側器との間の無線通信によって料金決済を行うのに必要なデータをICカードから読み出し、決済結果に応じてICカード内のデータを更新するためのカードリーダライタを備えている場合、本発明の車両用サンバイザには、カードリーダライタのICカードの挿入口を設ける必要があるが、この場合、ICカードの挿入口は、請求項2に記載のように、サンバイザの外周端縁で、且つ、サンバイザが格納位置に配置されているときに車両の後方を向く位置もしくは、車両の側方を向く位置に形成することが望ましい。
【0015】
つまり、車両用サンバイザは、通常、格納位置に配置されており、車室外から入射する外光が運転の妨げになるような場合に、運転者の操作によって、その外光を遮光可能な遮光位置に配置されることから、サンバイザの外周端縁で、且つ、サンバイザが格納位置に配置されているときに車両の後方を向く位置に、ICカードの挿入口を設けるようにすれば、運転者は、サンバイザを格納位置から変位させることなく、ETC車載器に対するICカードの着脱操作をできるようになり、その際の操作性を向上できる。
【0016】
また、サンバイザの外周端縁で、且つ、サンバイザが格納位置に配置されているときに車両の側方(車両の外側もしくは、内側)を向く位置に、ICカードの挿入孔を設けるようにした場合でも、運転者はサンバイザを格納位置から少しだけ変位させることにより、ETC車載器に対するICカードの着脱操作をできるようになり、その際の操作性を確保できる。
【0017】
そして、ICカードの挿入口をこのように形成すれば、車両のフロントガラス越しにその挿入口が見えるようなことはないので、サンバイザ(ETC車載器)やICカードの盗難防止性を確保することもできる。
【0018】
次に、請求項3に記載の車両用サンバイザは、請求項1又は請求項2に記載のものにおいて、ETC車載器の作動状態を車両乗員に報知するための報知手段を備えたことを特徴とする。従って、この車両用サンバイザを用いれば、運転者は、ETC車載器の作動状態(例えばICカードの挿入状態等)を知ることができる。
【0019】
ここで、この報知手段は、サンバイザに内蔵する際にETC車載器と一体的に構成するようにしてもよいが、より好ましくは、請求項4に記載のように、ETC車載器とは別体で構成するとよい。
【0020】
つまり、報知手段をETC車載器と別体で構成すれば、サンバイザへの報知手段の配置位置を任意に設定することができるようになることから、本発明の車両用サンバイザの設計の自由度を高めることができる。
【0021】
また、報知手段としては、ETC車載器の作動状態を光で報知するために発光手段にて構成するようにしても良く、或いは、ETC車載器の作動状態を音で報知するためにスピーカにて構成するようにしてもよく、或いは、これらの両方を用いて構成するようにしてもよいが、報知手段を発光手段にて構成する場合には、請求項5に記載のように、サンバイザが格納位置にあるときに車両の前方に向けられるサンバイザの外周端縁、及び、サンバイザが格納位置にあるときに車両の後方に向けられるサンバイザの外周端縁、の少なくとも一方に、発光手段を設けるようにするとよい。
【0022】
つまり、サンバイザが格納位置にあるときに車両の前方に向けられるサンバイザの外周端縁に発光手段を設けた場合、サンバイザが格納位置にあるときと、サンバイザがフロントガラスからの入射光を遮光する遮光位置(以下、前方遮光位置という)に配置されたときには、運転席前方の上部位置(車両のフロントガラスと天井との境界付近)に発光手段が配置され、サンバイザが運転席横の窓からの入射光を遮光する遮光位置(以下、側方遮光位置という)に配置されたときには、運転席側方の上部位置(運転席横の窓と天井との境界付近)に発光手段が配置される。
【0023】
また、サンバイザが格納位置にあるときに車両の後方に向けられるサンバイザの外周端縁に発光手段を設けた場合、サンバイザが格納位置にあるときには、運転席前方の天井部分に発光手段が配置され、サンバイザが前方遮光位置若しくは側方遮光位置に配置されたときには、サンバイザの下端に発光手段が配置される。
【0024】
従って、報知手段として発光手段を用いる場合、その発光手段を、請求項5に記載のように配置するようにすれば、運転者は、発光手段の点灯状態を容易に確認することができるようになり、ETC車載器の作動状態を容易に検知することができるようになる。
【0025】
また、報知手段として発光手段を用いる場合、発光手段は、サンバイザが格納位置にあるときに車両の前方に向けられるサンバイザの外周端縁と、サンバイザが格納位置にあるときに車両の後方に向けられるサンバイザの外周端縁との両方に配置するようにしてもよいが、この場合、各外周端縁に配置した発光手段は、個々に異なる作動状態を報知するのではなく、請求項6に記載のように、互いに連動して動作することにより、ETC車載器の同一の作動状態を報知するようにすることが望ましい。
【0026】
つまり、このようにすれば、運転者は、何れかの外周端縁に配置した発光手段の点灯状態からETC車載器の作動状態を確認することができることから、サンバイザの位置によらずETC車載器の作動状態を確認することができるようになり、しかも、各外周端縁に配置された発光手段の点灯状態は同じになるため、運転者が、発光手段の点灯状態からETC車載器の作動状態を誤認識するのを防止できる。
【0027】
一方、サンバイザが格納位置にあるときに車両の後方に向けられるサンバイザの外周端縁に発光手段を配置した場合、サンバイザが前方遮光位置に配置された際には、フロントガラスから入射してくる外光(太陽光等)によって、発光手段の点灯状態が見難くなることが考えられる。
【0028】
そこで、このように、サンバイザが格納位置にあるときに車両の後方に向けられるサンバイザの外周端縁に発光手段を配置する場合には、請求項7に記載のように、発光手段には、サンバイザが前方遮光位置にあるときに発光手段に外光が入射するのを防止するための遮光壁を設けるようにするとよい。
【0029】
つまり、このように発光手段に遮光壁を設けるようにすれば、サンバイザが前方遮光位置に配置された際に、フロントガラスからの入射光が発光手段の発光部に入射して、運転者がその点灯状態を確認できなくなるのを防止することができる。
【0030】
また、サンバイザが格納位置にあるときに車両の前方に向けられるサンバイザの外周端縁に発光手段を配置する場合には、請求項8に記載のように、サンバイザにおける発光手段の配置位置には、凹部を設け、その凹部に、発光手段の発光部が突出されるように、発光手段をサンバイザに設けるようにするとよい。
【0031】
つまり、サンバイザが格納位置にあるときに車両の前方に向けられるサンバイザの外周端縁に発光手段を配置する場合、その発光手段の配置場所は、サンバイザを格納位置から前方遮光位置に変位(回動)させる際にサンバイザの支軸付近となるので、サンバイザの外周端縁に発光手段をそのまま取り付けると、サンバイザを変位させる際に発光手段が邪魔になることが考えられる。
【0032】
しかし、請求項8に記載のように、サンバイザにおける発光手段の設置場所に凹部を形成し、その凹部に発光手段の発光部を突出させれば、サンバイザを変位させる際に発光手段が邪魔になるようなことはなく、サンバイザに発光手段を設けることによってサンバイザの使い勝手が悪くなるのを防止できる。
【0033】
また次に、報知手段としてスピーカを用いる場合、このスピーカは、請求項9に記載のように、サンバイザが格納位置にあるときに車室内に向けられる面(換言すれば、天井側ではない面)から音を放射するように配置することが望ましい。
【0034】
つまり、サンバイザは、通常、格納位置に配置されることから、スピーカを請求項9に記載のように配置すれば、運転者は、スピーカからの報知音を聞き易くなり、その報知音からETC車載器の作動状態を良好に把握することができるようになる。
【0035】
なお、このようにサンバイザにスピーカを設ける場合、スピーカは、請求項10に記載のように、サンバイザの長手方向中心部分よりも支持部寄りに配置するとよい。
つまり、スピーカを、サンバイザの長手方向で支持部から離れた位置に配置した場合、サンバイザが格納位置や前方遮光位置にある時には、スピーカは、車両の左右方向の中心位置付近に配置されるが、サンバイザが側方遮光位置にあるときには、スピーカは、運転席横の窓付近に配置されることになるため、スピーカからの報知音の発生位置は、サンバイザの配置位置によって大きく変化し、運転者に違和感を与えてしまう。
【0036】
しかし、請求項10に記載のように、スピーカを、サンバイザの長手方向中心部分よりも支持部寄りに配置するようにすれば、サンバイザを格納位置から前方遮光位置或いは側方遮光位置に変位させた際に、スピーカの位置が大きく変化するのを防止し、スピーカからの報知音の発生位置が変化することによって運転者に違和感を与えるのを防止できる。
【0037】
また、この場合、特に、スピーカを、支持部付近、より好ましくは、サンバイザの支持部側端部位置に配置するようにすれば、運転者から見て、スピーカからの報知音の発生位置を略同一にすることができる。
【0038】
ところで、ETC車載器には、通常、操作スイッチが設けられるが、この操作スイッチについては、請求項11に記載のように、上述した報知手段と同様、ETC車載器とは別体で構成し、サンバイザが格納位置にあるときに車両の前方に向けられるサンバイザの外周端縁、若しくは、サンバイザが格納位置にあるときに車両の後方に向けられるサンバイザの外周端縁に配置するとよい。
【0039】
そして、この場合、特に、請求項12に記載のように、操作スイッチを、サンバイザ内部に格納されたスイッチ本体と、外部に露出した操作部とから構成し、その操作部を、サンバイザの外周端縁を挟むように断面コの字状に形成するようにすれば、サンバイザが格納位置、前方遮光位置、側方遮光位置の何れの位置に配置されても、運転者は操作スイッチを容易に操作できるようになる。
【0040】
つまり、このように、操作スイッチの操作部を、断面コの字状に形成し、サンバイザの外周端縁を挟むように配置すれば、運転者は、サンバイザの表・裏面の何れの側からでも操作部を介して操作スイッチを操作できるようになるのである。
【0041】
また次に、本発明のようにサンバイザ内にETC車載器を組み込む場合、このETC車載器には、車両側から動作用の電源を供給したり、或いは、路側器との間の通信のために車載アンテナを接続する必要があるが、このための電源線やアンテナ線については、請求項13に記載のように、サンバイザを支持する支持部を中空筒状のパイプ部材から構成し、その支持部の内部に挿通するようにすればよい。つまり、このようにすれば、サンバイザ内のETC車載器から車両側に電源線及びアンテナ線を簡単に引き出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下に本発明の実施形態を図面と共に説明する。
図1は、本発明が適用された実施形態の車両用サンバイザ(以下単にサンバイザという)2の内部構成を表す説明図であり、図2は、このサンバイザ2の車両への取付状態及び使用状態を表す説明図である。
【0043】
本実施形態のサンバイザ2は、フロントガラスや運転席横の窓から車室内に入射する外光(太陽光等)を遮断するために、運転席前方のフロントガラスの上部端部位置に支柱4を介して取り付けられる運転席用のサンバイザであり、通常は、支柱4及び支持棒6を介して、サンバイザ2の長手方向の一辺を支軸として回動自在に運転席前方の天井部分に固定され、その片面が車両の天井に当接するよう回動させることで、車両の天井部分に格納される周知のものである(図2(a)参照)。
【0044】
図1(a)は、サンバイザ2が車両の天井部分に格納されて、図2(a)の格納位置にあるときに、その内部をサンバイザ2の上方から見た状態を表しており、図の上方が車両の前方となっている。
【0045】
この図1(a)に示す如く、サンバイザ2の内部には、図示しない車載アンテナを介して有料道路自動料金収受システムの路側器との間で料金決済のための無線通信を行うETC車載器10が設けられている。
【0046】
このETC車載器10は、路側器との間の無線通信を行うための図示しない通信制御回路と、その無線通信によって料金決済を行うのに必要なデータをICカードから読み出し、決済結果に応じてICカード内のデータを更新するためのカードリーダライタ11とを、共通の基板若しくは筐体に組み付けることにより一体化したものであり、カードリーダライタ11のカード挿入口11aが、サンバイザ2の外周端縁で開口し、且つ、サンバイザ2が格納位置にあるときに車両の後方(図1(a)では下方)を向くよう、サンバイザ2に組み付けられている。
【0047】
また、このETC車載器10には、ETC車載器10の作動状態(詳しくは、ICカードの挿入状態、料金の支払い結果、異常状態等)を音声で報知するためのスピーカ20、このスピーカ20による報知音と連動して決済結果の正常・異常等を光学的に報知するためのLEDからなる2つのインジケータ12,14、及び、外部操作用の2つの操作スイッチ16,18が設けられるが、これら各部は、ETC車載器10本体とは別体で構成されて、サンバイザ2に組み付けられている。
【0048】
すなわち、スピーカ20は、サンバイザ2が格納位置にあるときに車室内に向けられる面から音を放射するようにサンバイザ2内に格納されており、2つのインジケータ12,14は、サンバイザ2が格納位置にあるときに車両の前方に向けられる側のサンバイザ2の外周端縁に取り付けられており、操作スイッチ16,18は、サンバイザ2が格納位置にあるときに車両の後方に向けられる側のサンバイザ2の外周端縁に取り付けられている。
【0049】
なお、スピーカ20は、運転者が聞こえる報知音の位置やその音量が、サンバイザ2の配置位置によって大きく変化することのないよう、サンバイザ2の長手方向で支柱4寄りの端部位置に配置されている。
【0050】
また、2つのインジケータ12,14は、例えば、緑色とオレンジ色というように、互いに異なる色で発光するLEDにて構成されている。そして、サンバイザ2のインジケータ12,14の取付部分は、サンバイザ2の外周の一部を内側に凹ませた凹部8となっており、インジケータ12,14は、その発光部が凹部8内に突出するよう、サンバイザ2に固定されている。
【0051】
また、操作スイッチ16,18は、例えば、スピーカ20からの音量を調整したり、過去の決済結果を確認するために、運転者によって操作されるものであるが、本実施形態では、サンバイザ2が、図2(a)に示す格納位置、図2(b)に示す前方遮光位置、図2(c)に示す側方遮光位置、の何れの位置に配置されても、運転者が容易に操作できるように構成されている。
【0052】
つまり、図1(b)に示すように、操作スイッチ16,18は、サンバイザ2内に固定されるスイッチ本体16a,18aと、このスイッチ本体16a,18aに突設された押圧操作用の操作部16b,18bとから構成され、この操作部16b,18bを、サンバイザ2の外周端縁を挟むように断面コの字状に形成することによって、サンバイザ2のどちらの面からでも操作できるようにされているのである。
【0053】
また、ETC車載器10には、車載アンテナを接続するためのアンテナ線Laや、車両に搭載されたバッテリから電源供給を行うための電源線Lbも接続されるが、これらの線La,Lbは、サンバイザ2を支持する支柱4の内部を通って、車両側に引き出されている。
【0054】
以上説明したように、本実施形態のサンバイザ2によれば、ETC車載器10が内部に収納されているが、外見上はサンバイザであることから、車室内の意匠を損なうことなく車両にETC車載器10を搭載することができるようになり、しかも、車両の外からはサンバイザ2にETC車載器10が内蔵されていることを確認しにくいことから、ETC車載器10の盗難防止性を向上することもできる。
【0055】
また、本実施形態のETC車載器10は、カードリーダライタ11を備えているが、そのカード挿入口11aは、サンバイザ2が格納位置(図2(a)参照)に配置されているときに車両の後方を向くように、サンバイザ2の外周端縁に設けられていることから、運転者がETC車載器10にICカードを着脱する際の操作性を向上できる。また、車両の駐車時等にカード挿入口がフロントガラス越しに見えるようなことはないので、ICカードの盗難防止性を向上することもできる。
【0056】
また、報知手段(詳しくは発光手段)としてのインジケータ12,14は、サンバイザ2が格納位置(図2(a)参照)にあるときに車両の前方に向けられるサンバイザの外周端縁に設けられていることから、サンバイザ2が格納位置(図2(a)参照)若しくは前方遮光位置(図2(b)参照)にあるときには、運転席前方のフロントガラスと天井との境界付近に配置され、サンバイザが側方遮光位置(図2(c)参照)にあるときには、運転席横の窓と天井との境界付近に配置されることになる。
【0057】
そして、このインジケータ12,14の発光部は、サンバイザ2の外周端縁に形成された凹部8に配置されていることから、運転者は、サンバイザ2が図2に示した何れの位置にあっても、インジケータ12,14の点灯状態を確認することができるようになる。
【0058】
また、インジケータ12,14は、サンバイザ2の全体の外周部分から外に突き出されることはないので、サンバイザ2を変位させる際にインジケータ12,14が邪魔になることはない。
【0059】
また、本実施形態のサンバイザ2には、報知手段として、スピーカ20も設けられており、しかも、このスピーカ20は、サンバイザ2が格納位置(図2(a)参照)にあるときに車室内に向けられる面(換言すれば、天井側ではない面)から音を放射するように、サンバイザ2内に収納されている。
【0060】
従って、図3に示す如く、運転者は、サンバイザ2が格納位置(図2(a)参照)にある通常時には、スピーカ20からの報知音を直接聞くことができ、サンバイザ2が前方遮光位置(図2(b)参照)にある時には、スピーカ20から発せされ、フロントガラスやインストルメントパネルの上部で反射した報知音を聞くことができる。また、図示しないが、サンバイザ2が側方遮断位置(図2(c)参照)にあるときには、スピーカ20からの報知音を直接聞くことができる。
【0061】
そして、特に、本実施形態では、スピーカ20を、サンバイザ2の長手方向で支柱4寄りの端部位置に配置しているので、サンバイザ2が図2の何れの位置に配置されても、運転者から見てス、ピーカ20からの報知音が聞こえる位置やその音量を略同じにすることができる。よって、運転者は、スピーカ20からの報知音の聞こえ方が変化することによって違和感を感じるようなことはなく、本実施形態のサンバイザ2(換言すればETC車載器10)によれば、運転者に対する音声案内を良好に行うことができる。
【0062】
また更に、本実施形態では、操作スイッチ16,18の操作部16b,18bを、サンバイザ2の外周端縁を挟むように、断面コの字状に形成していることから、運転者は、サンバイザ2が図2に示す何れの位置に配置されていても、指先で操作スイッチ16,18を操作することができる。よって、本実施形態によれば、ETC車載器10の操作性も確保することができる。
【0063】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術範囲内にて種々の態様を採ることができる。
例えば、上記実施形態では、インジケータ12,14は、サンバイザ2が格納位置(図2(a)参照)にあるときに車両の前方に向けられる側のサンバイザ2の外周端縁に取り付けられるものとして説明したが、図4(a)に示す如く、このインジケータ12,14に代えて、サンバイザ2が格納位置にあるときに車両の後方に向けられる側のサンバイザ2の外周端縁に、インジケータ22,24を設けるようにしてもよい。
【0064】
但し、この場合、図5(a)に示すようにサンバイザ2が格納位置にあるときには、運転者は、その後端部を見ることによってインジケータ22,24の点灯状態を容易に確認することができるが、図5(b)に示すようにサンバイザ2が前方遮光位置にあるときには、フロントガラスから入射する外光(太陽光等)がインジケータ22,24に入射して、運転者がその点灯状態を確認できなくなることも考えられる。
【0065】
そこで、このように、サンバイザ2が格納位置(図5(a)参照)にあるときに車両の後方に向けられる側のサンバイザ2の外周端縁にインジケータ22,24を設ける場合には、例えば、図4(b)に示す如く、インジケータ22,24を構成している発光素子(LED、電球等)22a,24aの周囲を所定の色を有する光透過性樹脂からなるカバー22b,24bで囲み、そのカバー22b,24bのフロントガラス側(詳しくはサンバイザ2が前方遮光位置に配置された際にフロントガラスに対向する側)には、遮光壁22c,24cを設けるようにするとよい。
【0066】
つまり、このようにすれば、図5(c)に示す如く、サンバイザ2が前方遮光位置(図5(b)参照)にあるときに、フロントガラスを通ってインジケータ22,24に入射してくる外光を遮光壁22c,24cにより遮断することができるようになり、運転者が外光によってインジケータ22,24の点灯状態を確認できなくなるのを防止することができる。
【0067】
また、図6に示すように、サンバイザ2には、図1に示したインジケータ12,14と、図4に示したインジケータ22,24との両方を設けるようにしてもよい。そして、このように、サンバイザ2が格納位置にあるときに車両の前方及び後方に向けられるサンバイザ2の外周端縁側に、インジケータ12,14及び22,24を設けるようにすれば、運転者によるインジケータの視認性をより向上することができる。
【0068】
なお、この場合、インジケータ12と22、及び、インジケータ14と24は、それぞれ、同じ色で点灯するように構成し、しかも、ETC車載器10は、これらを互いに連動して点灯或いは消灯させるように構成するとよい。つまり、このようにすれば、インジケータ12と22、及び、インジケータ14と24は、それぞれ、サンバイザ2の両端縁で連動して点灯或いは消灯することになり、運転者は、これら各インジケータの点灯状態から、ETC車載器10の作動状態を正確に把握することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施形態のサンバイザの内部構成を表す説明図である。
【図2】図1のサンバイザの車室内への取付状態及び使用状態を表す説明図である。
【図3】図1のサンバイザを車両の横方向から見た状態を表す説明図である。
【図4】図1のサンバイザに対してインジケータの取り付け箇所を変更したサンバイザの内部構成を表す説明図である。
【図5】図4のサンバイザの車室内への取付状態及び使用状態を表す説明図である。
【図6】図1及び図4に示すインジケータの両方を備えたサンバイザの内部構成を表す説明図である。
【符号の説明】
【0070】
2…サンバイザ、4…支柱、6…支持棒、8…凹部、10…ETC車載器、11…カードリーダライタ、11a…カード挿入口、12,14…インジケータ、16,18…操作スイッチ、16a,18a…スイッチ本体、16b,18b…操作部、20…スピーカ、22,24…インジケータ、22a,24a…発光素子、22b,24b…カバー、22c,24c…遮光壁、La…アンテナ線、Lb…電源線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の運転席前方の上部位置に、支持部を介して、窓からの外光の入射を遮断する遮光位置と天井部分への格納位置との間で変位可能に設けられる車両用サンバイザであって、
車載アンテナを介して有料道路自動料金収受システムの路側器との間で料金決済のための無線通信を行うETC車載器、を内蔵したことを特徴とする車両用サンバイザ。
【請求項2】
前記ETC車載器は、前記路側器との間の無線通信によって料金決済を行うのに必要なデータをICカードから読み出し、決済結果に応じてICカード内のデータを更新するためのカードリーダライタを備え、
該カードリーダライタのICカードの挿入口は、当該サンバイザの外周端縁で、且つ、当該サンバイザが前記格納位置に配置されているときに車両の後方を向く位置、もしくは車両の側方を向く位置に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用サンバイザ。
【請求項3】
前記ETC車載器の作動状態を車両乗員に報知するための報知手段を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用サンバイザ。
【請求項4】
前記報知手段は、前記ETC車載器とは別体で構成されていることを特徴とする請求項3に記載の車両用サンバイザ。
【請求項5】
前記報知手段として、前記ETC車載器の作動状態を光で報知するための発光手段を備え、
該発光手段は、当該サンバイザが前記格納位置にあるときに車両の前方に向けられるサンバイザの外周端縁、及び、当該サンバイザが前記格納位置にあるときに車両の後方に向けられるサンバイザの外周端縁、の少なくとも一方に配置されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の車両用サンバイザ。
【請求項6】
前記発光手段は、当該サンバイザが前記格納位置にあるときに車両の前方に向けられるサンバイザの外周端縁、及び、当該サンバイザが前記格納位置にあるときに車両の後方に向けられるサンバイザの外周端縁、の両方にそれぞれ配置されており、
該各外周端縁に配置された発光手段は、互いに連動して動作することを特徴とする請求項5に記載の車両用サンバイザ。
【請求項7】
当該サンバイザが前記格納位置にあるときに車両の後方に向けられるサンバイザの外周端縁に前記発光手段が設けられており、
該発光手段には、当該サンバイザが車両前方の窓から侵入する外光を遮光する遮光位置にあるときに、当該発光手段に外光が入射するのを防止する遮光壁、を設けたことを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の車両用サンバイザ。
【請求項8】
当該サンバイザが前記格納位置にあるときに車両の前方に向けられるサンバイザの外周端縁には、凹部が形成されており、該凹部には、前記発光手段の発光部が突出して設けられていることを特徴とする請求項5〜請求項7の何れかに記載の車両用サンバイザ。
【請求項9】
前記報知手段として、前記ETC車載器の作動状態を音で報知するためのスピーカを備え、
該スピーカは、当該サンバイザが前記格納位置にあるときに車室内に向けられる面から音を放射するように配置されていることを特徴とする請求項3〜請求項8の何れかに記載の車両用サンバイザ。
【請求項10】
前記スピーカは、当該サンバイザの長手方向中心部分よりも前記支持部寄りに配置されていることを特徴とする請求項9に記載の車両用サンバイザ。
【請求項11】
前記ETC車載器の操作スイッチを、前記ETC車載器とは別体で構成し、
該操作スイッチを、当該サンバイザが前記格納位置にあるときに車両の前方に向けられるサンバイザの外周端縁、若しくは、当該サンバイザが前記格納位置にあるときに車両の後方に向けられるサンバイザの外周端縁に配置してなることを特徴とする請求項1〜請求項10の何れかに記載の車両用サンバイザ。
【請求項12】
前記操作スイッチは、当該サンバイザ内部に格納されたスイッチ本体と、外部に露出した操作部とからなり、
該操作部は、当該サンバイザの外周端縁を挟むように断面コの字状に形成されていることを特徴とする請求項11に記載の車両用サンバイザ。
【請求項13】
前記支持部は、中空筒状のパイプ部材からなり、前記ETC車載器に電源供給を行うための電源線、及び、前記ETC車載器に車載アンテナを接続するためのアンテナ線は、前記支持部の内部を通って、当該サンバイザから車両側に引き出されることを特徴とする請求項1〜請求項12の何れかに記載の車両用サンバイザ。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図2】
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【図5】
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