車両用シートフレーム
【課題】 比較的簡素な構成で、シートベルトの張力に対する剛性が向上したシートバックフレームを備えるシートフレームを提供すること。
【解決手段】 シートバックフレームは、シートバックの両側部を支持するようにシートバックの上下方向に沿って長尺状に形成された第1のサイドメンバおよび第2のサイドメンバとを備える。第1のサイドメンバは、シートベルトの張力がシートベルトガイド部に作用する方向に対して平行であって且つ第1のサイドメンバの長手方向に沿って連続的に形成されたサイドメンバ側壁部と、サイドメンバ側壁部の車両前方側に形成されたサイドメンバ前壁部と、サイドメンバ側壁部の車両後方側に形成されたサイドメンバ後壁部とが形成された一枚の鋼板により構成される。また、その断面形状が開放断面形状である。
【解決手段】 シートバックフレームは、シートバックの両側部を支持するようにシートバックの上下方向に沿って長尺状に形成された第1のサイドメンバおよび第2のサイドメンバとを備える。第1のサイドメンバは、シートベルトの張力がシートベルトガイド部に作用する方向に対して平行であって且つ第1のサイドメンバの長手方向に沿って連続的に形成されたサイドメンバ側壁部と、サイドメンバ側壁部の車両前方側に形成されたサイドメンバ前壁部と、サイドメンバ側壁部の車両後方側に形成されたサイドメンバ後壁部とが形成された一枚の鋼板により構成される。また、その断面形状が開放断面形状である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシートフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の座席のシートクッションを支持するシートクッションフレームと、シートクッションフレームに連結され、座席のシートバックを支持するとともに、リトラクタ(シートベルト保持部材)が連結されたシートバックフレームとを備えるシートフレームが知られている。特許文献1は、シートバックの外形に沿うパイプフレームと、上下方向に延設されたタワーフレームとから構成されるシートバックフレームを開示する。このシートバックフレームのタワーフレーム上部には、乗員の肩部を拘束するショルダーベルトを案内するベルトガイド部が取り付けられている。また、タワーフレームの下部の内側に形成されるロアパイプ(ロアクロスメンバ)にブラケットが固着され、このブラケットにシートベルト巻取り用のリトラクタ(シートベルト保持部材)が固着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−283892号公報
【発明の概要】
【0004】
(発明が解決しようとする課題)
特許文献1に記載のシートフレームのタワーフレームは、アウター側サイドブラケットと、インナー側サイドブラケットとにより角柱状に形成された外壁部材と、外壁部材の内部に設けられたインサートブレースとから構成される。両ブラケットおよびインサートブレーズは溶接により部分的に接続される。インサートブレースによりタワーフレームが補強される。
【0005】
リトラクタが取り付けられたシートバックフレームにはシートベルトの張力が作用するため、この張力に見合った剛性を得るために必要に応じて補強される。上記特許文献1では、シートバックフレームを構成するタワーフレームがインサートブレースにより補強される。しかし、このインサートブレースはシートベルトから受ける張力の方向を考慮して設計されていない。したがって、シートベルトの張力に対するシートバックフレームの剛性はそれほど向上しない。また、タワーフレームを3枚の鋼板(アウター側サイドブラケット、インナー側サイドブラケット、インサイドブレース)により構成し、それぞれを一定間隔のスポット溶接によって部分的に接合しているので、接合点間での座屈変形が生じやすい。さらに、部品点数の増加および溶接工数の増大により、コストアップを招く。
【0006】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、比較的簡素な構成で、シートベルトの張力に対する剛性が向上したシートバックフレームを備えるシートフレームを提供することを目的とする。
【0007】
(課題を解決するための手段)
本発明のシートフレームは、車両の座席のシートクッション(30)を支持するシートクッションフレーム(10)と、前記シートクッションフレームに連結され、前記座席のシートバック(40)を支持するとともに、前記座席に座る乗員を拘束するためのシートベルト(29)の一端を保持するシートベルト保持部材(26)が連結されたシートバックフレーム(20)とを備える。前記シートバックフレームは、前記シートバックの両側部を支持するように前記シートバックの上下方向に沿って長尺状に形成された第1のサイドメンバ(21)および第2のサイドメンバ(22)と、前記第1のサイドメンバの上部に形成され、前記シートベルト保持部材に一端が保持されたシートベルトを案内するとともに、前記シートベルトが引っ張られたときに前記シートベルトの張力が作用するベルトガイド部(27)とを備える。前記第1のサイドメンバは、前記シートベルトの張力が前記シートベルトガイド部に作用する方向に対して平行であって且つ前記第1のサイドメンバの長手方向に沿って連続的に形成されたサイドメンバ側壁部(211)と、前記サイドメンバ側壁部の車両前方側に形成されたサイドメンバ前壁部(212)と、前記サイドメンバ側壁部の車両後方側に形成されたサイドメンバ後壁部(213)とが形成された一枚の鋼板により構成され、その断面形状が開放断面形状である。
【0008】
本発明によれば、ベルトガイド部が第1のサイドメンバの上部に形成される。このベルトガイド部はシートベルトを案内するとともに、シートベルトが引っ張られたときにその張力を受ける。また、第1のサイドメンバには、サイドメンバ側壁部と、サイドメンバ前壁部と、サイドメンバ後壁部が形成される。サイドメンバ側壁部は、第1のサイドメンバの長手方向に形成される。また、サイドメンバ側壁部は、シートベルトの張力がベルトガイド部に作用する方向に対し平行に形成される。したがって、シートベルトの張力がベルトガイド部に作用したときに、サイドメンバ側壁部がその張力に対する補強部として有効に機能する。よって、シートベルトの張力に対する剛性が向上したシートバックフレームを有するシートフレームを提供することができる。
【0009】
また、第1のサイドメンバは一枚の鋼板により構成される。そのため部品点数が減少し、シートフレームの製造コストを抑えることができる。さらに、第1のサイドメンバの断面形状が開放断面形状であり、複数の鋼板を溶接して閉断面を構成することを要しないので、溶接等の作業工数が低減される。このためより一層シートフレームの製造コストを抑えることができる。
【0010】
この場合、前記第1のサイドメンバ(21)と前記ベルトガイド部(27)が一枚の鋼板により一体的に成形されているとよい。これによれば、より一層シートフレームの製造コストを抑えることができる。
【0011】
また、前記サイドメンバ前壁部(212)は、前記サイドメンバ側壁部(211)に対して前記シートバック(40)の外方側に張り出す前方張り出し部(212a)を備え、前記サイドメンバ後壁部(213)は、前記サイドメンバ側壁部に対して前記シートバックの外方側に張り出す後方張り出し部(213a)を備えるのがよい。これらの前記前方張り出し部および前記後方張り出し部は、前記第1のサイドメンバの長手方向に沿って連続的に形成され、前記前方張り出し部の張り出し量が前記後方張り出し部の張り出し量よりも大きいとよい。
【0012】
これによれば、前方張り出し部により、サイドメンバ側壁部の車両前方側に、第1のサイドメンバの長手方向に沿った突条が形成され、後方張り出し部により、サイドメンバ側壁部の車両後方側に、第1のサイドメンバの長手方向に沿った突条が形成される。サイドメンバ側壁部の車両前方側に形成された突条(前方張り出し部)により、第1のサイドメンバが車両前方側に引っ張られたときに第1のサイドメンバの座屈変形が抑えられる。サイドメンバ側壁部の車両後方側に形成された突条(後方張り出し部)により、第1のサイドメンバが車両後方側に引っ張られたときに第1のサイドメンバの座屈変形が抑えられる。また、前方張り出し部の張り出し量が後方張り出し部の張り出し量よりも大きい。したがって、例えば車両が急制動したときなど、第1のサイドメンバが車両前方側に大きな力で引っ張られたときに、第1のサイドメンバの座屈変形がより効果的に抑えられる。
【0013】
また、前記ベルトガイド部(27)は、前記シートベルト(29)の張力が前記ベルトガイド部に作用する方向に対して平行に形成されたベルトガイド側壁部(271)と、前記ベルトガイド側壁部の車両前方側に形成され前記シートバック(20)の内方側に延在するベルトガイド前壁部(272)と、前記ベルトガイド側壁部の車両後方側に形成され前記シートバックの内方側に延在するベルトガイド後端部(273)とを備えるものであるのがよい。これによれば、第1のサイドメンバの上部に形成されたベルトガイド部にも、シートベルトの張力が作用する方向に対して平行なベルトガイド側壁部が形成されているので、シートベルトの張力に対する剛性がより一層向上する。
【0014】
また前記ベルトガイド前壁部(272)および前記ベルトガイド後壁部(273)は、前記シートベルト(29)の張力が前記ベルトガイド部(27)に作用する方向に直交する部分を有するものであるのがよい。これによれば、シートベルトの張力がベルトガイド部に作用する方向に直交する方向にベルトガイド前壁部およびベルトガイド後壁部が形成されているので、ベルトガイド部にシートベルトが掛けられたときにシートベルトのずれが防止される。よって、シートベルトの張力が正確にベルトガイド側壁部の形成方向に作用する。
【0015】
また、前記第1のサイドメンバ(21)は、ダイクエンチにより作製されるとよい。つまり、第1のサイドメンバは型成形されるとともに型内で金型との接触により急冷させられると良い。これによれば、例えばプレス成型により、一枚の鋼板からサイドメンバ側壁部とサイドメンバ前壁部とサイドメンバ後壁部とが形成された第1のサイドメンバを成形することができる。また、型内で成形した第1のサイドメンバを金型との接触により急冷させて焼き入れすることで、第1のサイドメンバの強度を高めることができる。なお、この場合、第1のサイドメンバおよびベルトガイド部をダイクエンチにより一体的に成形することにより、より製造コストを下げることができる。
【0016】
また、前記シートバックフレーム(20)は、前記第1のサイドメンバ(21)と前記第2のサイドメンバ(22)とを連結するクロスメンバ(24)を備えるのがよい。また、前記クロスメンバの断面形状の上下方向長さは幅方向長さよりも長く設定されているとよい。これによれば、クロスメンバの断面形状が上下に細長い形状であるので、クロスメンバを取り付けるために第1のサイドメンバに形成する凹部も上下に細長い形状にされる。このように第1のサイドメンバに形成される凹部を上下に細長い形状にしてできるだけ第1のサイドメンバに形成される凹部の面積を小さくすることにより、凹部が形成されることによる第1のサイドメンバの強度の低下を抑えつつ、クロスメンバを第1のサイドメンバに支持させることができる。この場合、前記クロスメンバに前記シートベルト保持部材が取り付けられているとよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るシートフレームの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るシートフレームの正面図である。
【図3】図2のIII−III断面図である。
【図4】図2のIV−IV断面図である。
【図5】シートバックフレームの左側面図である。
【図6】シートバック右サイドメンバおよびベルトガイド部を示す図である。
【図7】図2のVII−VII断面図である。
【図8】図6のVIII-VIII断面図である。
【図9】図6のIX−IX断面図である。
【図10】図6のX−X断面図である。
【図11】図6のXI−XI断面図である。
【図12】図6のXII−XII断面図である。
【図13】図6のXIII−XIII断面図である。
【図14】図6のXIV−XIV断面図である。
【図15】図6のXV−XV断面図である。
【図16】図6のXVI−XVI断面図である。
【図17】ベルトガイド部を上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るシートフレームの斜視図、図2は正面図である。これらの図に示すように、本実施形態に係るシートフレーム1は、シートクッションフレーム10とシートバックフレーム20とを備える。シートクッションフレーム10は、車両の座席の座部であるシートクッション30を支持する。シートバックフレーム20は、車両の座席の背もたれ部であるシートバック40を支持する。シートバックフレーム20は、リクライナ50を介して回転可能にシートクッションフレーム10に連結される。
【0019】
シートクッションフレーム10は、シートクッション右サイドメンバ11と、シートクッション左サイドメンバ12と、連結メンバ13とを備える。シートクッション右サイドメンバ11は、シートクッション30の右側方の下部に配置され、シートクッション左サイドメンバ12は、シートクッション30の左側方の下部に配置される。なお、本明細書において、左右方向は、車両の座席に座った乗員から見た方向である。
【0020】
シートクッション右サイドメンバ11は、車両の前後方向に沿って長尺状に形成されており、その基端部11aにてリクライナ50を介して後述するシートバック右サイドメンバ21に連結される。シートクッション左サイドメンバ12も車両の前後方向に沿って長尺状に形成され、その基端部12aにて後述するシートバック左サイドメンバ22に連結される。連結メンバ13は、シートクッション右サイドメンバ11の先端部11bとシートクッション左サイドメンバ12の先端部12bとを連結する。なお、シートクッション右サイドメンバ11の下面およびシートクッション左サイドメンバ12の下面には、それぞれ車両の前後方向に沿って形成されたシートレール61,61に嵌め合わされているレールガイド部材62,62が接続される。したがって、レールガイド部材62,62がシートレール61,61に沿って移動することにより、シートフレーム1の前後方向位置が調節される。
【0021】
シートバックフレーム20は、シートバック右サイドメンバ21と、シートバック左サイドメンバ22と、アッパクロスメンバ23と、ロアクロスメンバ24とを備える。シートバック右サイドメンバ21はシートバック40の右側部分を支持し、シートバック左サイドメンバ22はシートバック40の左側部分を支持する。これらのサイドメンバ21,22はシートバック40の上下方向に沿って長尺状に形成されている。シートバック右サイドメンバ21は、その下端部に形成されるリクライナ取り付け部21aにてリクライナ50を介してシートクッション右サイドメンバ11の基端部11aに連結される。シートバック左サイドメンバ22は、その下端部22aにてシートクッション左サイドメンバ12の基端部12aに連結される。アッパクロスメンバ23は車幅方向に延びており、シートバック右サイドメンバ21の上端部21bとシートバック左サイドメンバ22の上端部22bとを連結する。ロアクロスメンバ24も車幅方向に延びており、シートバック右サイドメンバ21のやや下方部分とシートバック左サイドメンバ22のやや下方部分とを連結する。
【0022】
図3は図2のIII−III断面図、すなわちロアクロスメンバ24の断面図である。図3に示すように、ロアクロスメンバ24は中空状の部材である。このロアクロスメンバ24は、例えば、断面円形状のパイプを潰して加工することができる。ロアクロスメンバ24の断面形状は上下方向に細長く、上下方向両端部分に円形状の部分が形成され、この円形状の部分を平行な直線部分で結ぶような形状とされている。ロアクロスメンバ24の上下方向長さHは幅方向長さWよりも長い。
【0023】
図4は図2のIV−IV断面図である。図4に示すように、ロアクロスメンバ24には、その幅方向に貫通するボルト挿通孔241が形成されており、このボルト挿通孔241にボルトBTが挿通されている。このボルトBTとボルトBTに螺合するナットNTによって、ロアクロスメンバ24にブラケット25が固定される。ブラケット25の先端にリトラクタ(シートベルト保持部材)26が取り付けられる。すなわちリトラクタ26はブラケット25を介してロアクロスメンバ24に取り付けられる。リトラクタ26はシートベルトの一端を保持する。また、リトラクタ26は、シートベルトから所定の張力が作用した場合にシートベルトを巻き取るように構成されていてもよい。
【0024】
図5はシートバックフレーム20の左側面図である。図5に示すように、シートバック左サイドメンバ22は、側方から見て上方に向かうほど先細りとなり、且つ後方に反っている。また、シートバック左サイドメンバ22には、ロアクロスメンバ24の一方端が挿通される第1凹部22cおよびアッパクロスメンバ23の一方端が挿通される第2凹部22dが形成されている。第1凹部22cの形状はロアクロスメンバ24の断面外形に等しく、第2凹部22dの形状はアッパクロスメンバ23の断面外形に等しい。本実施形態ではアッパクロスメンバ23の断面形状は略長方形である。
【0025】
また、図1および図2からわかるように、シートバック右サイドメンバ21の上部には、リトラクタ26に一端が保持されたシートベルト29を案内するためのベルトガイド部27が形成される。このベルトガイド部27にシートベルト29が掛けられる。ベルトガイド部27に掛けられたシートベルト29の中間部には図示しないタングプレートが挿通され、このタングプレートがシートバック左サイドメンバ22の下方部に設けられたバックル70に固定される(図2参照)。なお、シートベルト29の他端は、シートバック右サイドメンバ21の下方部に設けられた図示しないアンカプレートに固定される。したがって、乗員は、ベルトガイド部27とバックル70(タングプレート)との間のシートベルトによって、その右肩側から左腰側にかけて拘束される。
【0026】
図6は、シートバック右サイドメンバ21およびベルトガイド部27を示す図であり、(a)が上面図、(b)が正面図、(c)が右側面図である。図6(c)に示すように、シートバック右サイドメンバ21もシートバック左サイドメンバ22と同様に、側方から見て上方に向かうほど先細りとなり、且つ後方に反っている。また、シートバック右サイドメンバ21には、ロアクロスメンバ24の他方端が挿通される第1凹部21cおよびアッパクロスメンバ23の他方端が挿通される第2凹部21dが形成される。シートバック右サイドメンバ21に形成される第1凹部21cの形状とシートバック左サイドメンバ22に形成される第1凹部22cの形状は同一である。これらの第1凹部21c,22cによりロアクロスメンバ24が支持される。シートバック右サイドメンバ21に形成される第2凹部21dの形状とシートバック左サイドメンバ22に形成される第2凹部22dの形状は同一である。これらの第2凹部21d,22dによりアッパクロスメンバ23が支持される。
【0027】
図6(c)からわかるように、シートバック右サイドメンバ21の最下部にリクライナ取り付け部21aが形成される。リクライナ取り付け部21aにリクライナ50が取り付けられる。リクライナ50によりシートクッションフレーム10に対するシートバックフレーム20の角度が調整される。リクライナ50の構成は周知であるのでその説明は省略する。
【0028】
図7は、図2のVII−VII断面図である。図7は、シートバック右サイドメンバ21の長手方向中央付近における断面形状を示す。シートバック右サイドメンバ21は、図7に示すように車両前後方向の略中央部分に形成される直線状の部分により表わされるサイドメンバ側壁部211と、この直線状の部分よりも車両前方側(図において下側)に形成されるサイドメンバ前壁部212と、直線状の部分よりも車両後方側(図において上側)に形成されるサイドメンバ後壁部213とを有する。サイドメンバ側壁部211は図に示すように車両の前後方向に対して角度αだけ傾いている。
【0029】
また、サイドメンバ前壁部212は、サイドメンバ側壁部211を基準として外方(シートバック40の外方:図示左方)に張り出す前方張り出し部212aを有する。同様に、サイドメンバ後壁部213は、サイドメンバ側壁部211を基準として外方に張り出す後方張り出し部213aを有する。図からわかるように、前方張り出し部212aの張り出し量は後方張り出し部213aの張り出し量よりも大きい。
【0030】
図8乃至図16は、それぞれ、図6(b)のVIII−VIII断面図(図8)、IX−IX断面図(図9)、X−X断面図(図10)、XI−XI断面図(図11)、XII−XII断面図(図12)、XIII−XIII断面図(図13)、XIV−XIV断面図(図14)、XV−XV断面図(図15)、XVI−XVI断面図(図16)である。図8乃至図13は、シートバック右サイドメンバ21の長手方向の上方部分の断面図である。図14乃至図16はベルトガイド部27の断面図である。
【0031】
図8乃至図11に示すように、シートバック右サイドメンバ21の上方部分も、図7に示すシートバック右サイドメンバ21の中央部分と同様に、車両前後方向の略中央部分に形成される直線状の部分により表わされるサイドメンバ側壁部211と、サイドメンバ側壁部211の車両前方側(図において下側)に形成されたサイドメンバ前壁部212と、サイドメンバ側壁部211の車両後方側(図において上側)に形成されたサイドメンバ後壁部213とを有する。また、サイドメンバ前壁部212に前方張り出し部212aが、サイドメンバ後壁部213に後方張り出し部213aが形成される。前方張り出し部212aの張り出し量は、後方張り出し部213aの張り出し量よりも大きい。なお、図12および図13に示すシートバック右サイドメンバ21の断面位置には第2凹部21dが形成されているため、サイドメンバ側壁部211および前方張り出し部212a、後方張り出し部213aは、この位置に表わされない。
【0032】
また、図8乃至図11に示すサイドメンバ側壁部211は、図7に示すサイドメンバ側壁部211と同様に、車両前後方向に対して角度αだけ傾いている。サイドメンバ側壁部211は、図7乃至図11に示すように連続的に形成されている。すなわち、シートバック右サイドメンバ21には、車両前後方向に対して角度αだけ傾いた側壁が、その長手方向に沿って連続的に形成される。
【0033】
また、図7〜図11に示す前方張り出し部212aおよび後方張り出し部213aは連続的に形成されている。すなわち、サイドメンバ側壁部211の車両前方側には、前方張り出し部212aにより表わされる突条がシートバック右サイドメンバ21の長手方向に沿って連続的に形成され、サイドメンバ側壁部211の車両後方側には、後方張り出し部213aにより表わされる突条がシートバック右サイドメンバ21の長手方向に沿って連続的に形成される。サイドメンバ側壁部211の車両前方側に形成される突条の張り出し量は、サイドメンバ側壁部211の車両後方側に形成される突条の張り出し量よりも大きい。
【0034】
また、図14乃至図16からわかるように、ベルトガイド部27は、車両前後方向に対して角度αだけ傾いた面を持つベルトガイド側壁部271と、ベルトガイド側壁部271の車両前方側からシートバック40の内方側に延在するベルトガイド前壁部272と、ベルトガイド側壁部271の車両後方側からシートバック40の内方側に延在するベルトガイド後壁部273とを備える。ベルトガイド前壁部272およびベルトガイド後壁部273は、図14に示される位置においては車両前後方向に直交するが、図15および図16に示される位置、つまりベルトガイド部27の上方部分においては、車両の前後方向に対して角度αだけ傾いた方向に直交する。
【0035】
なお、本実施形態においては、シートバック右サイドメンバ21に形成されるサイドメンバ側壁部211と、ベルトガイド部27に形成されるベルトガイド側壁部271は、同一平面内に形成されるとよい。
【0036】
上述の角度αは、車両が急制動したときにシートベルト29に拘束された乗員が慣性力により車両前方に押し出されることにより生じるシートベルト29の張力がベルトガイド部27に作用する方向と車両前後方向とのなす角である。つまり、車両前後方向から角度αだけ傾斜した方向が、シートベルト29の張力がベルトガイド部27に作用する方向である。
【0037】
本実施形態において、乗員はシートベルト29に拘束されるが、このシートベルト29は、乗員の右肩付近に位置するベルトガイド部27を経て左腰付近に位置するバックル70に固定されたタングプレートを通る。したがって、乗員は、その上体の右上から左下に向かって掛けられるシートベルトに拘束される。このようにして乗員を拘束するシートベルト29が乗員により車両前方に引っ張られた場合、シートベルト29は上方から見て車両前後方向に対して斜めに延びた状態で引っ張られる。このためシートベルト29の張力がベルトガイド部27に作用する方向は車両前後方向に対して傾く。この傾斜角が本実施形態ではαにより表わされる。
【0038】
図17は、ベルトガイド部27を上方から見た図である。図に示すように、ベルトガイド前壁部272の上端とベルトガイド後壁部273の上端とを結ぶ稜部275の形成方向は、車両前後方向に対して角度αだけ傾いた方向に直交する。また、ベルトガイド部27には、シートベルトを通過させるためのガイドフレーム274が取り付けられている。このガイドフレームの向きは、車両前後方向に対して角度αだけ傾いている。
【0039】
また、本実施形態において、シートバック右サイドメンバ21およびベルトガイド部27は、一枚の鋼板をダイクエンチ製法により一体的に成形される。すなわち、一枚の鋼板をプレス成形してシートバック右サイドメンバ21とベルトガイド部27とを一体的に成形し、成形後に型内で金型と成形品とを接触させることにより成形品を急冷させる。この急冷により成形品に焼き入れが施される。そして、冷却後に成形品が型内から取り出される。
【0040】
上記構成のシートフレームにおいて、座席に座る乗員がシートベルト29により拘束されているときに、例えば車両が急制動したとき、乗員が車両前方に押し出される。このためシートベルト29が引っ張られてシートベルト29が張力を発生する。このシートベルト29の張力は、シートベルト29が掛けられるベルトガイド部27およびベルトガイド部27が取り付けられたシートバック右サイドメンバ21に作用する。シートベルト29の張力がシートバック右サイドメンバ21およびベルトガイド部27に作用する方向は、上述したように、車両前後方向に対して角度αだけ傾斜した方向である。
【0041】
本実施形態のシートバック右サイドメンバ21は、車両前後方向に対して角度αだけ傾斜したサイドメンバ側壁部211を有する。また、ベルトガイド部27も、車両前後方向に対して角度αだけ傾斜したベルトガイド側壁部271を有する。つまり、これらの側壁部211,271は、シートベルト29の張力がベルトガイド部27に作用する方向に平行に形成されている。したがって、シートベルト29の張力がベルトガイド部27に作用したときに、サイドメンバ側壁部211およびベルトガイド側壁部271がその張力に対する補強部として有効に機能し、シートベルト29の張力に対する剛性を向上させることができる。よって、本実施形態によれば、シートベルト29の張力に対する剛性が向上したシートフレームを提供することができる。
【0042】
また、シートバック右サイドメンバ21およびベルトガイド部27が一枚の鋼板により構成される。そのため部品点数が減少し、シートフレームの製造コストを抑えることができる。
【0043】
また、図7乃至図13を見てわかるように、シートバック右サイドメンバ21の断面形状は開放断面形状である。シートバック右サイドメンバ21の断面形状が閉断面形状である場合、複数の鋼板を重ね合わせて溶接等により接合する必要があるが、開放断面形状であれば一枚の鋼板で加工することができる。したがって、複数の鋼板を溶接するための作業工数が低減される。このためより一層シートフレームの製造コストを抑えることができる。
【0044】
また、前方張り出し部212aにより、サイドメンバ側壁部211の車両前方側にシートバック右サイドメンバ21の長手方向に沿った突条が形成される。この突条によって、シートバック右サイドメンバ21がシートベルト29の張力により車両前方側に引っ張られたときに、その座屈変形が抑えられる。また、後方張り出し部213aにより、サイドメンバ側壁部211の車両後方側にシートバック右サイドメンバ21の長手方向に沿った突条が形成される。この突条によりシートバック右サイドメンバ21が補強されることにより、シートバック右サイドメンバ21が車両後方側に引っ張られたときに、その座屈変形が抑えられる。
【0045】
また、前方張り出し部212aの張り出し量が後方張り出し部213aの張り出し量よりも大きい。したがって、例えば車両が急制動したときなど、シートバック右サイドメンバ21がシートベルト29により車両前方側に大きな力で引っ張られたときに、その座屈変形がより効果的に抑えられる。
【0046】
また、ベルトガイド部27にも、シートベルト29の張力がベルトガイド部27に作用する方向に対して平行に形成されたベルトガイド側壁部271が形成されている。このため、シートベルトの張力に対してベルトガイド側壁部271が補強部として有効に機能する。よって、シートベルトの張力に対する剛性がより一層向上する。
【0047】
またベルトガイド部27の上方部分におけるベルトガイド前壁部272およびベルトガイド後壁部273は、シートベルト29の張力がベルトガイド部27に作用する方向に直交する。このため、ベルトガイド部27にシートベルト29が掛けられてシートベルト29が張力を発生したときに、シートベルト29のずれが防止される。よって、シートベルト29の張力が正確にベルトガイド側壁部271およびサイドメンバ側壁部211の形成方向に作用する。
【0048】
また、シートバック右サイドメンバ21およびベルトガイド部27がダイクエンチにより一体的に作製されているので、これらの強度を高めることができる。
【0049】
また、ロアクロスメンバ24の断面形状の上下方向長さが幅方向長さよりも長く設定されている。このため、ロアクロスメンバ24を取り付けるためにシートバック右サイドメンバ21に形成する第1凹部21cも上下に細長い形状にされる。このように第1凹部21cを上下に細長い形状にしてできるだけシートバック右サイドメンバ21に形成される凹部の面積を小さくすることにより、凹部が形成されることによるシートバック右サイドメンバの強度の低下を抑えることができる。
【符号の説明】
【0050】
1…シートフレーム、10…シートクッションフレーム、11…シートクッション右サイドメンバ、12…シートクッション左サイドメンバ、13…連結メンバ、20…シートバックフレーム、21…シートバック右サイドメンバ、211…サイドメンバ側壁部、212…サイドメンバ前壁部、212a…前方張り出し部、213…サイドメンバ後壁部、213a…後方張り出し部、22…シートバック左サイドメンバ、23…アッパクロスメンバ、24…ロアクロスメンバ、26…リトラクタ、27…ベルトガイド部、271…ベルトガイド側壁部、272…ベルトガイド前壁部、273…ベルトガイド後壁部、29…シートベルト、30…シートクッション、40…シートバック、50…リクライナ
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のシートフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
車両の座席のシートクッションを支持するシートクッションフレームと、シートクッションフレームに連結され、座席のシートバックを支持するとともに、リトラクタ(シートベルト保持部材)が連結されたシートバックフレームとを備えるシートフレームが知られている。特許文献1は、シートバックの外形に沿うパイプフレームと、上下方向に延設されたタワーフレームとから構成されるシートバックフレームを開示する。このシートバックフレームのタワーフレーム上部には、乗員の肩部を拘束するショルダーベルトを案内するベルトガイド部が取り付けられている。また、タワーフレームの下部の内側に形成されるロアパイプ(ロアクロスメンバ)にブラケットが固着され、このブラケットにシートベルト巻取り用のリトラクタ(シートベルト保持部材)が固着される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−283892号公報
【発明の概要】
【0004】
(発明が解決しようとする課題)
特許文献1に記載のシートフレームのタワーフレームは、アウター側サイドブラケットと、インナー側サイドブラケットとにより角柱状に形成された外壁部材と、外壁部材の内部に設けられたインサートブレースとから構成される。両ブラケットおよびインサートブレーズは溶接により部分的に接続される。インサートブレースによりタワーフレームが補強される。
【0005】
リトラクタが取り付けられたシートバックフレームにはシートベルトの張力が作用するため、この張力に見合った剛性を得るために必要に応じて補強される。上記特許文献1では、シートバックフレームを構成するタワーフレームがインサートブレースにより補強される。しかし、このインサートブレースはシートベルトから受ける張力の方向を考慮して設計されていない。したがって、シートベルトの張力に対するシートバックフレームの剛性はそれほど向上しない。また、タワーフレームを3枚の鋼板(アウター側サイドブラケット、インナー側サイドブラケット、インサイドブレース)により構成し、それぞれを一定間隔のスポット溶接によって部分的に接合しているので、接合点間での座屈変形が生じやすい。さらに、部品点数の増加および溶接工数の増大により、コストアップを招く。
【0006】
本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、比較的簡素な構成で、シートベルトの張力に対する剛性が向上したシートバックフレームを備えるシートフレームを提供することを目的とする。
【0007】
(課題を解決するための手段)
本発明のシートフレームは、車両の座席のシートクッション(30)を支持するシートクッションフレーム(10)と、前記シートクッションフレームに連結され、前記座席のシートバック(40)を支持するとともに、前記座席に座る乗員を拘束するためのシートベルト(29)の一端を保持するシートベルト保持部材(26)が連結されたシートバックフレーム(20)とを備える。前記シートバックフレームは、前記シートバックの両側部を支持するように前記シートバックの上下方向に沿って長尺状に形成された第1のサイドメンバ(21)および第2のサイドメンバ(22)と、前記第1のサイドメンバの上部に形成され、前記シートベルト保持部材に一端が保持されたシートベルトを案内するとともに、前記シートベルトが引っ張られたときに前記シートベルトの張力が作用するベルトガイド部(27)とを備える。前記第1のサイドメンバは、前記シートベルトの張力が前記シートベルトガイド部に作用する方向に対して平行であって且つ前記第1のサイドメンバの長手方向に沿って連続的に形成されたサイドメンバ側壁部(211)と、前記サイドメンバ側壁部の車両前方側に形成されたサイドメンバ前壁部(212)と、前記サイドメンバ側壁部の車両後方側に形成されたサイドメンバ後壁部(213)とが形成された一枚の鋼板により構成され、その断面形状が開放断面形状である。
【0008】
本発明によれば、ベルトガイド部が第1のサイドメンバの上部に形成される。このベルトガイド部はシートベルトを案内するとともに、シートベルトが引っ張られたときにその張力を受ける。また、第1のサイドメンバには、サイドメンバ側壁部と、サイドメンバ前壁部と、サイドメンバ後壁部が形成される。サイドメンバ側壁部は、第1のサイドメンバの長手方向に形成される。また、サイドメンバ側壁部は、シートベルトの張力がベルトガイド部に作用する方向に対し平行に形成される。したがって、シートベルトの張力がベルトガイド部に作用したときに、サイドメンバ側壁部がその張力に対する補強部として有効に機能する。よって、シートベルトの張力に対する剛性が向上したシートバックフレームを有するシートフレームを提供することができる。
【0009】
また、第1のサイドメンバは一枚の鋼板により構成される。そのため部品点数が減少し、シートフレームの製造コストを抑えることができる。さらに、第1のサイドメンバの断面形状が開放断面形状であり、複数の鋼板を溶接して閉断面を構成することを要しないので、溶接等の作業工数が低減される。このためより一層シートフレームの製造コストを抑えることができる。
【0010】
この場合、前記第1のサイドメンバ(21)と前記ベルトガイド部(27)が一枚の鋼板により一体的に成形されているとよい。これによれば、より一層シートフレームの製造コストを抑えることができる。
【0011】
また、前記サイドメンバ前壁部(212)は、前記サイドメンバ側壁部(211)に対して前記シートバック(40)の外方側に張り出す前方張り出し部(212a)を備え、前記サイドメンバ後壁部(213)は、前記サイドメンバ側壁部に対して前記シートバックの外方側に張り出す後方張り出し部(213a)を備えるのがよい。これらの前記前方張り出し部および前記後方張り出し部は、前記第1のサイドメンバの長手方向に沿って連続的に形成され、前記前方張り出し部の張り出し量が前記後方張り出し部の張り出し量よりも大きいとよい。
【0012】
これによれば、前方張り出し部により、サイドメンバ側壁部の車両前方側に、第1のサイドメンバの長手方向に沿った突条が形成され、後方張り出し部により、サイドメンバ側壁部の車両後方側に、第1のサイドメンバの長手方向に沿った突条が形成される。サイドメンバ側壁部の車両前方側に形成された突条(前方張り出し部)により、第1のサイドメンバが車両前方側に引っ張られたときに第1のサイドメンバの座屈変形が抑えられる。サイドメンバ側壁部の車両後方側に形成された突条(後方張り出し部)により、第1のサイドメンバが車両後方側に引っ張られたときに第1のサイドメンバの座屈変形が抑えられる。また、前方張り出し部の張り出し量が後方張り出し部の張り出し量よりも大きい。したがって、例えば車両が急制動したときなど、第1のサイドメンバが車両前方側に大きな力で引っ張られたときに、第1のサイドメンバの座屈変形がより効果的に抑えられる。
【0013】
また、前記ベルトガイド部(27)は、前記シートベルト(29)の張力が前記ベルトガイド部に作用する方向に対して平行に形成されたベルトガイド側壁部(271)と、前記ベルトガイド側壁部の車両前方側に形成され前記シートバック(20)の内方側に延在するベルトガイド前壁部(272)と、前記ベルトガイド側壁部の車両後方側に形成され前記シートバックの内方側に延在するベルトガイド後端部(273)とを備えるものであるのがよい。これによれば、第1のサイドメンバの上部に形成されたベルトガイド部にも、シートベルトの張力が作用する方向に対して平行なベルトガイド側壁部が形成されているので、シートベルトの張力に対する剛性がより一層向上する。
【0014】
また前記ベルトガイド前壁部(272)および前記ベルトガイド後壁部(273)は、前記シートベルト(29)の張力が前記ベルトガイド部(27)に作用する方向に直交する部分を有するものであるのがよい。これによれば、シートベルトの張力がベルトガイド部に作用する方向に直交する方向にベルトガイド前壁部およびベルトガイド後壁部が形成されているので、ベルトガイド部にシートベルトが掛けられたときにシートベルトのずれが防止される。よって、シートベルトの張力が正確にベルトガイド側壁部の形成方向に作用する。
【0015】
また、前記第1のサイドメンバ(21)は、ダイクエンチにより作製されるとよい。つまり、第1のサイドメンバは型成形されるとともに型内で金型との接触により急冷させられると良い。これによれば、例えばプレス成型により、一枚の鋼板からサイドメンバ側壁部とサイドメンバ前壁部とサイドメンバ後壁部とが形成された第1のサイドメンバを成形することができる。また、型内で成形した第1のサイドメンバを金型との接触により急冷させて焼き入れすることで、第1のサイドメンバの強度を高めることができる。なお、この場合、第1のサイドメンバおよびベルトガイド部をダイクエンチにより一体的に成形することにより、より製造コストを下げることができる。
【0016】
また、前記シートバックフレーム(20)は、前記第1のサイドメンバ(21)と前記第2のサイドメンバ(22)とを連結するクロスメンバ(24)を備えるのがよい。また、前記クロスメンバの断面形状の上下方向長さは幅方向長さよりも長く設定されているとよい。これによれば、クロスメンバの断面形状が上下に細長い形状であるので、クロスメンバを取り付けるために第1のサイドメンバに形成する凹部も上下に細長い形状にされる。このように第1のサイドメンバに形成される凹部を上下に細長い形状にしてできるだけ第1のサイドメンバに形成される凹部の面積を小さくすることにより、凹部が形成されることによる第1のサイドメンバの強度の低下を抑えつつ、クロスメンバを第1のサイドメンバに支持させることができる。この場合、前記クロスメンバに前記シートベルト保持部材が取り付けられているとよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係るシートフレームの斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係るシートフレームの正面図である。
【図3】図2のIII−III断面図である。
【図4】図2のIV−IV断面図である。
【図5】シートバックフレームの左側面図である。
【図6】シートバック右サイドメンバおよびベルトガイド部を示す図である。
【図7】図2のVII−VII断面図である。
【図8】図6のVIII-VIII断面図である。
【図9】図6のIX−IX断面図である。
【図10】図6のX−X断面図である。
【図11】図6のXI−XI断面図である。
【図12】図6のXII−XII断面図である。
【図13】図6のXIII−XIII断面図である。
【図14】図6のXIV−XIV断面図である。
【図15】図6のXV−XV断面図である。
【図16】図6のXVI−XVI断面図である。
【図17】ベルトガイド部を上方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係るシートフレームの斜視図、図2は正面図である。これらの図に示すように、本実施形態に係るシートフレーム1は、シートクッションフレーム10とシートバックフレーム20とを備える。シートクッションフレーム10は、車両の座席の座部であるシートクッション30を支持する。シートバックフレーム20は、車両の座席の背もたれ部であるシートバック40を支持する。シートバックフレーム20は、リクライナ50を介して回転可能にシートクッションフレーム10に連結される。
【0019】
シートクッションフレーム10は、シートクッション右サイドメンバ11と、シートクッション左サイドメンバ12と、連結メンバ13とを備える。シートクッション右サイドメンバ11は、シートクッション30の右側方の下部に配置され、シートクッション左サイドメンバ12は、シートクッション30の左側方の下部に配置される。なお、本明細書において、左右方向は、車両の座席に座った乗員から見た方向である。
【0020】
シートクッション右サイドメンバ11は、車両の前後方向に沿って長尺状に形成されており、その基端部11aにてリクライナ50を介して後述するシートバック右サイドメンバ21に連結される。シートクッション左サイドメンバ12も車両の前後方向に沿って長尺状に形成され、その基端部12aにて後述するシートバック左サイドメンバ22に連結される。連結メンバ13は、シートクッション右サイドメンバ11の先端部11bとシートクッション左サイドメンバ12の先端部12bとを連結する。なお、シートクッション右サイドメンバ11の下面およびシートクッション左サイドメンバ12の下面には、それぞれ車両の前後方向に沿って形成されたシートレール61,61に嵌め合わされているレールガイド部材62,62が接続される。したがって、レールガイド部材62,62がシートレール61,61に沿って移動することにより、シートフレーム1の前後方向位置が調節される。
【0021】
シートバックフレーム20は、シートバック右サイドメンバ21と、シートバック左サイドメンバ22と、アッパクロスメンバ23と、ロアクロスメンバ24とを備える。シートバック右サイドメンバ21はシートバック40の右側部分を支持し、シートバック左サイドメンバ22はシートバック40の左側部分を支持する。これらのサイドメンバ21,22はシートバック40の上下方向に沿って長尺状に形成されている。シートバック右サイドメンバ21は、その下端部に形成されるリクライナ取り付け部21aにてリクライナ50を介してシートクッション右サイドメンバ11の基端部11aに連結される。シートバック左サイドメンバ22は、その下端部22aにてシートクッション左サイドメンバ12の基端部12aに連結される。アッパクロスメンバ23は車幅方向に延びており、シートバック右サイドメンバ21の上端部21bとシートバック左サイドメンバ22の上端部22bとを連結する。ロアクロスメンバ24も車幅方向に延びており、シートバック右サイドメンバ21のやや下方部分とシートバック左サイドメンバ22のやや下方部分とを連結する。
【0022】
図3は図2のIII−III断面図、すなわちロアクロスメンバ24の断面図である。図3に示すように、ロアクロスメンバ24は中空状の部材である。このロアクロスメンバ24は、例えば、断面円形状のパイプを潰して加工することができる。ロアクロスメンバ24の断面形状は上下方向に細長く、上下方向両端部分に円形状の部分が形成され、この円形状の部分を平行な直線部分で結ぶような形状とされている。ロアクロスメンバ24の上下方向長さHは幅方向長さWよりも長い。
【0023】
図4は図2のIV−IV断面図である。図4に示すように、ロアクロスメンバ24には、その幅方向に貫通するボルト挿通孔241が形成されており、このボルト挿通孔241にボルトBTが挿通されている。このボルトBTとボルトBTに螺合するナットNTによって、ロアクロスメンバ24にブラケット25が固定される。ブラケット25の先端にリトラクタ(シートベルト保持部材)26が取り付けられる。すなわちリトラクタ26はブラケット25を介してロアクロスメンバ24に取り付けられる。リトラクタ26はシートベルトの一端を保持する。また、リトラクタ26は、シートベルトから所定の張力が作用した場合にシートベルトを巻き取るように構成されていてもよい。
【0024】
図5はシートバックフレーム20の左側面図である。図5に示すように、シートバック左サイドメンバ22は、側方から見て上方に向かうほど先細りとなり、且つ後方に反っている。また、シートバック左サイドメンバ22には、ロアクロスメンバ24の一方端が挿通される第1凹部22cおよびアッパクロスメンバ23の一方端が挿通される第2凹部22dが形成されている。第1凹部22cの形状はロアクロスメンバ24の断面外形に等しく、第2凹部22dの形状はアッパクロスメンバ23の断面外形に等しい。本実施形態ではアッパクロスメンバ23の断面形状は略長方形である。
【0025】
また、図1および図2からわかるように、シートバック右サイドメンバ21の上部には、リトラクタ26に一端が保持されたシートベルト29を案内するためのベルトガイド部27が形成される。このベルトガイド部27にシートベルト29が掛けられる。ベルトガイド部27に掛けられたシートベルト29の中間部には図示しないタングプレートが挿通され、このタングプレートがシートバック左サイドメンバ22の下方部に設けられたバックル70に固定される(図2参照)。なお、シートベルト29の他端は、シートバック右サイドメンバ21の下方部に設けられた図示しないアンカプレートに固定される。したがって、乗員は、ベルトガイド部27とバックル70(タングプレート)との間のシートベルトによって、その右肩側から左腰側にかけて拘束される。
【0026】
図6は、シートバック右サイドメンバ21およびベルトガイド部27を示す図であり、(a)が上面図、(b)が正面図、(c)が右側面図である。図6(c)に示すように、シートバック右サイドメンバ21もシートバック左サイドメンバ22と同様に、側方から見て上方に向かうほど先細りとなり、且つ後方に反っている。また、シートバック右サイドメンバ21には、ロアクロスメンバ24の他方端が挿通される第1凹部21cおよびアッパクロスメンバ23の他方端が挿通される第2凹部21dが形成される。シートバック右サイドメンバ21に形成される第1凹部21cの形状とシートバック左サイドメンバ22に形成される第1凹部22cの形状は同一である。これらの第1凹部21c,22cによりロアクロスメンバ24が支持される。シートバック右サイドメンバ21に形成される第2凹部21dの形状とシートバック左サイドメンバ22に形成される第2凹部22dの形状は同一である。これらの第2凹部21d,22dによりアッパクロスメンバ23が支持される。
【0027】
図6(c)からわかるように、シートバック右サイドメンバ21の最下部にリクライナ取り付け部21aが形成される。リクライナ取り付け部21aにリクライナ50が取り付けられる。リクライナ50によりシートクッションフレーム10に対するシートバックフレーム20の角度が調整される。リクライナ50の構成は周知であるのでその説明は省略する。
【0028】
図7は、図2のVII−VII断面図である。図7は、シートバック右サイドメンバ21の長手方向中央付近における断面形状を示す。シートバック右サイドメンバ21は、図7に示すように車両前後方向の略中央部分に形成される直線状の部分により表わされるサイドメンバ側壁部211と、この直線状の部分よりも車両前方側(図において下側)に形成されるサイドメンバ前壁部212と、直線状の部分よりも車両後方側(図において上側)に形成されるサイドメンバ後壁部213とを有する。サイドメンバ側壁部211は図に示すように車両の前後方向に対して角度αだけ傾いている。
【0029】
また、サイドメンバ前壁部212は、サイドメンバ側壁部211を基準として外方(シートバック40の外方:図示左方)に張り出す前方張り出し部212aを有する。同様に、サイドメンバ後壁部213は、サイドメンバ側壁部211を基準として外方に張り出す後方張り出し部213aを有する。図からわかるように、前方張り出し部212aの張り出し量は後方張り出し部213aの張り出し量よりも大きい。
【0030】
図8乃至図16は、それぞれ、図6(b)のVIII−VIII断面図(図8)、IX−IX断面図(図9)、X−X断面図(図10)、XI−XI断面図(図11)、XII−XII断面図(図12)、XIII−XIII断面図(図13)、XIV−XIV断面図(図14)、XV−XV断面図(図15)、XVI−XVI断面図(図16)である。図8乃至図13は、シートバック右サイドメンバ21の長手方向の上方部分の断面図である。図14乃至図16はベルトガイド部27の断面図である。
【0031】
図8乃至図11に示すように、シートバック右サイドメンバ21の上方部分も、図7に示すシートバック右サイドメンバ21の中央部分と同様に、車両前後方向の略中央部分に形成される直線状の部分により表わされるサイドメンバ側壁部211と、サイドメンバ側壁部211の車両前方側(図において下側)に形成されたサイドメンバ前壁部212と、サイドメンバ側壁部211の車両後方側(図において上側)に形成されたサイドメンバ後壁部213とを有する。また、サイドメンバ前壁部212に前方張り出し部212aが、サイドメンバ後壁部213に後方張り出し部213aが形成される。前方張り出し部212aの張り出し量は、後方張り出し部213aの張り出し量よりも大きい。なお、図12および図13に示すシートバック右サイドメンバ21の断面位置には第2凹部21dが形成されているため、サイドメンバ側壁部211および前方張り出し部212a、後方張り出し部213aは、この位置に表わされない。
【0032】
また、図8乃至図11に示すサイドメンバ側壁部211は、図7に示すサイドメンバ側壁部211と同様に、車両前後方向に対して角度αだけ傾いている。サイドメンバ側壁部211は、図7乃至図11に示すように連続的に形成されている。すなわち、シートバック右サイドメンバ21には、車両前後方向に対して角度αだけ傾いた側壁が、その長手方向に沿って連続的に形成される。
【0033】
また、図7〜図11に示す前方張り出し部212aおよび後方張り出し部213aは連続的に形成されている。すなわち、サイドメンバ側壁部211の車両前方側には、前方張り出し部212aにより表わされる突条がシートバック右サイドメンバ21の長手方向に沿って連続的に形成され、サイドメンバ側壁部211の車両後方側には、後方張り出し部213aにより表わされる突条がシートバック右サイドメンバ21の長手方向に沿って連続的に形成される。サイドメンバ側壁部211の車両前方側に形成される突条の張り出し量は、サイドメンバ側壁部211の車両後方側に形成される突条の張り出し量よりも大きい。
【0034】
また、図14乃至図16からわかるように、ベルトガイド部27は、車両前後方向に対して角度αだけ傾いた面を持つベルトガイド側壁部271と、ベルトガイド側壁部271の車両前方側からシートバック40の内方側に延在するベルトガイド前壁部272と、ベルトガイド側壁部271の車両後方側からシートバック40の内方側に延在するベルトガイド後壁部273とを備える。ベルトガイド前壁部272およびベルトガイド後壁部273は、図14に示される位置においては車両前後方向に直交するが、図15および図16に示される位置、つまりベルトガイド部27の上方部分においては、車両の前後方向に対して角度αだけ傾いた方向に直交する。
【0035】
なお、本実施形態においては、シートバック右サイドメンバ21に形成されるサイドメンバ側壁部211と、ベルトガイド部27に形成されるベルトガイド側壁部271は、同一平面内に形成されるとよい。
【0036】
上述の角度αは、車両が急制動したときにシートベルト29に拘束された乗員が慣性力により車両前方に押し出されることにより生じるシートベルト29の張力がベルトガイド部27に作用する方向と車両前後方向とのなす角である。つまり、車両前後方向から角度αだけ傾斜した方向が、シートベルト29の張力がベルトガイド部27に作用する方向である。
【0037】
本実施形態において、乗員はシートベルト29に拘束されるが、このシートベルト29は、乗員の右肩付近に位置するベルトガイド部27を経て左腰付近に位置するバックル70に固定されたタングプレートを通る。したがって、乗員は、その上体の右上から左下に向かって掛けられるシートベルトに拘束される。このようにして乗員を拘束するシートベルト29が乗員により車両前方に引っ張られた場合、シートベルト29は上方から見て車両前後方向に対して斜めに延びた状態で引っ張られる。このためシートベルト29の張力がベルトガイド部27に作用する方向は車両前後方向に対して傾く。この傾斜角が本実施形態ではαにより表わされる。
【0038】
図17は、ベルトガイド部27を上方から見た図である。図に示すように、ベルトガイド前壁部272の上端とベルトガイド後壁部273の上端とを結ぶ稜部275の形成方向は、車両前後方向に対して角度αだけ傾いた方向に直交する。また、ベルトガイド部27には、シートベルトを通過させるためのガイドフレーム274が取り付けられている。このガイドフレームの向きは、車両前後方向に対して角度αだけ傾いている。
【0039】
また、本実施形態において、シートバック右サイドメンバ21およびベルトガイド部27は、一枚の鋼板をダイクエンチ製法により一体的に成形される。すなわち、一枚の鋼板をプレス成形してシートバック右サイドメンバ21とベルトガイド部27とを一体的に成形し、成形後に型内で金型と成形品とを接触させることにより成形品を急冷させる。この急冷により成形品に焼き入れが施される。そして、冷却後に成形品が型内から取り出される。
【0040】
上記構成のシートフレームにおいて、座席に座る乗員がシートベルト29により拘束されているときに、例えば車両が急制動したとき、乗員が車両前方に押し出される。このためシートベルト29が引っ張られてシートベルト29が張力を発生する。このシートベルト29の張力は、シートベルト29が掛けられるベルトガイド部27およびベルトガイド部27が取り付けられたシートバック右サイドメンバ21に作用する。シートベルト29の張力がシートバック右サイドメンバ21およびベルトガイド部27に作用する方向は、上述したように、車両前後方向に対して角度αだけ傾斜した方向である。
【0041】
本実施形態のシートバック右サイドメンバ21は、車両前後方向に対して角度αだけ傾斜したサイドメンバ側壁部211を有する。また、ベルトガイド部27も、車両前後方向に対して角度αだけ傾斜したベルトガイド側壁部271を有する。つまり、これらの側壁部211,271は、シートベルト29の張力がベルトガイド部27に作用する方向に平行に形成されている。したがって、シートベルト29の張力がベルトガイド部27に作用したときに、サイドメンバ側壁部211およびベルトガイド側壁部271がその張力に対する補強部として有効に機能し、シートベルト29の張力に対する剛性を向上させることができる。よって、本実施形態によれば、シートベルト29の張力に対する剛性が向上したシートフレームを提供することができる。
【0042】
また、シートバック右サイドメンバ21およびベルトガイド部27が一枚の鋼板により構成される。そのため部品点数が減少し、シートフレームの製造コストを抑えることができる。
【0043】
また、図7乃至図13を見てわかるように、シートバック右サイドメンバ21の断面形状は開放断面形状である。シートバック右サイドメンバ21の断面形状が閉断面形状である場合、複数の鋼板を重ね合わせて溶接等により接合する必要があるが、開放断面形状であれば一枚の鋼板で加工することができる。したがって、複数の鋼板を溶接するための作業工数が低減される。このためより一層シートフレームの製造コストを抑えることができる。
【0044】
また、前方張り出し部212aにより、サイドメンバ側壁部211の車両前方側にシートバック右サイドメンバ21の長手方向に沿った突条が形成される。この突条によって、シートバック右サイドメンバ21がシートベルト29の張力により車両前方側に引っ張られたときに、その座屈変形が抑えられる。また、後方張り出し部213aにより、サイドメンバ側壁部211の車両後方側にシートバック右サイドメンバ21の長手方向に沿った突条が形成される。この突条によりシートバック右サイドメンバ21が補強されることにより、シートバック右サイドメンバ21が車両後方側に引っ張られたときに、その座屈変形が抑えられる。
【0045】
また、前方張り出し部212aの張り出し量が後方張り出し部213aの張り出し量よりも大きい。したがって、例えば車両が急制動したときなど、シートバック右サイドメンバ21がシートベルト29により車両前方側に大きな力で引っ張られたときに、その座屈変形がより効果的に抑えられる。
【0046】
また、ベルトガイド部27にも、シートベルト29の張力がベルトガイド部27に作用する方向に対して平行に形成されたベルトガイド側壁部271が形成されている。このため、シートベルトの張力に対してベルトガイド側壁部271が補強部として有効に機能する。よって、シートベルトの張力に対する剛性がより一層向上する。
【0047】
またベルトガイド部27の上方部分におけるベルトガイド前壁部272およびベルトガイド後壁部273は、シートベルト29の張力がベルトガイド部27に作用する方向に直交する。このため、ベルトガイド部27にシートベルト29が掛けられてシートベルト29が張力を発生したときに、シートベルト29のずれが防止される。よって、シートベルト29の張力が正確にベルトガイド側壁部271およびサイドメンバ側壁部211の形成方向に作用する。
【0048】
また、シートバック右サイドメンバ21およびベルトガイド部27がダイクエンチにより一体的に作製されているので、これらの強度を高めることができる。
【0049】
また、ロアクロスメンバ24の断面形状の上下方向長さが幅方向長さよりも長く設定されている。このため、ロアクロスメンバ24を取り付けるためにシートバック右サイドメンバ21に形成する第1凹部21cも上下に細長い形状にされる。このように第1凹部21cを上下に細長い形状にしてできるだけシートバック右サイドメンバ21に形成される凹部の面積を小さくすることにより、凹部が形成されることによるシートバック右サイドメンバの強度の低下を抑えることができる。
【符号の説明】
【0050】
1…シートフレーム、10…シートクッションフレーム、11…シートクッション右サイドメンバ、12…シートクッション左サイドメンバ、13…連結メンバ、20…シートバックフレーム、21…シートバック右サイドメンバ、211…サイドメンバ側壁部、212…サイドメンバ前壁部、212a…前方張り出し部、213…サイドメンバ後壁部、213a…後方張り出し部、22…シートバック左サイドメンバ、23…アッパクロスメンバ、24…ロアクロスメンバ、26…リトラクタ、27…ベルトガイド部、271…ベルトガイド側壁部、272…ベルトガイド前壁部、273…ベルトガイド後壁部、29…シートベルト、30…シートクッション、40…シートバック、50…リクライナ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の座席のシートクッションを支持するシートクッションフレームと、前記シートクッションフレームに連結され、前記座席のシートバックを支持するとともに、前記座席に座る乗員を拘束するためのシートベルトの一端を保持するシートベルト保持部材が連結されたシートバックフレームとを備えるシートフレームであって、
前記シートバックフレームは、
前記シートバックの両側部を支持するように前記シートバックの上下方向に沿って長尺状に形成された第1のサイドメンバおよび第2のサイドメンバと、
前記第1のサイドメンバの上部に形成され、前記シートベルト保持部材に一端が保持されたシートベルトを案内するとともに、前記シートベルトが引っ張られたときに前記シートベルトの張力が作用するベルトガイド部と、を備え、
前記第1のサイドメンバは、前記シートベルトの張力が前記シートベルトガイド部に作用する方向に対して平行であって且つ前記第1のサイドメンバの長手方向に沿って連続的に形成されたサイドメンバ側壁部と、前記サイドメンバ側壁部の車両前方側に形成されたサイドメンバ前壁部と、前記サイドメンバ側壁部の車両後方側に形成されたサイドメンバ後壁部とが形成された一枚の鋼板により構成され、その断面形状が開放断面形状である、シートフレーム。
【請求項2】
請求項1のシートフレームにおいて、
前記サイドメンバ前壁部は、前記サイドメンバ側壁部に対して前記シートバックの外方側に張り出す前方張り出し部を備え、
前記サイドメンバ後壁部は、前記サイドメンバ側壁部に対して前記シートバックの外方側に張り出す後方張り出し部を備え、
前記前方張り出し部および前記後方張り出し部は、前記第1のサイドメンバの長手方向に沿って連続的に形成され、
前記前方張り出し部の張り出し量が前記後方張り出し部の張り出し量よりも大きい、シートフレーム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシートフレームにおいて、
前記ベルトガイド部は、前記シートベルトの張力が前記ベルトガイド部に作用する方向に対して平行に形成されたベルトガイド側壁部と、前記ベルトガイド側壁部の車両前方側に形成され前記シートバックの内方側に延在するベルトガイド前壁部と、前記ベルトガイド側壁部の車両後方側に形成され前記シートバックの内方側に延在するベルトガイド後端部とを備える、シートフレーム。
【請求項4】
請求項3に記載のシートフレームにおいて、
前記ベルトガイド前壁部および前記ベルトガイド後壁部は、前記シートベルトの張力が前記ベルトガイド部に作用する方向に直交する部分を有する、シートフレーム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシートフレームにおいて、
前記第1のサイドメンバは、ダイクエンチにより作製される、シートフレーム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシートフレームにおいて、
前記シートバックフレームは、前記第1のサイドメンバと前記第2のサイドメンバとを連結するクロスメンバを備え、
前記クロスメンバの断面形状の上下方向長さは、幅方向長さよりも長く設定されている、シートフレーム。
【請求項1】
車両の座席のシートクッションを支持するシートクッションフレームと、前記シートクッションフレームに連結され、前記座席のシートバックを支持するとともに、前記座席に座る乗員を拘束するためのシートベルトの一端を保持するシートベルト保持部材が連結されたシートバックフレームとを備えるシートフレームであって、
前記シートバックフレームは、
前記シートバックの両側部を支持するように前記シートバックの上下方向に沿って長尺状に形成された第1のサイドメンバおよび第2のサイドメンバと、
前記第1のサイドメンバの上部に形成され、前記シートベルト保持部材に一端が保持されたシートベルトを案内するとともに、前記シートベルトが引っ張られたときに前記シートベルトの張力が作用するベルトガイド部と、を備え、
前記第1のサイドメンバは、前記シートベルトの張力が前記シートベルトガイド部に作用する方向に対して平行であって且つ前記第1のサイドメンバの長手方向に沿って連続的に形成されたサイドメンバ側壁部と、前記サイドメンバ側壁部の車両前方側に形成されたサイドメンバ前壁部と、前記サイドメンバ側壁部の車両後方側に形成されたサイドメンバ後壁部とが形成された一枚の鋼板により構成され、その断面形状が開放断面形状である、シートフレーム。
【請求項2】
請求項1のシートフレームにおいて、
前記サイドメンバ前壁部は、前記サイドメンバ側壁部に対して前記シートバックの外方側に張り出す前方張り出し部を備え、
前記サイドメンバ後壁部は、前記サイドメンバ側壁部に対して前記シートバックの外方側に張り出す後方張り出し部を備え、
前記前方張り出し部および前記後方張り出し部は、前記第1のサイドメンバの長手方向に沿って連続的に形成され、
前記前方張り出し部の張り出し量が前記後方張り出し部の張り出し量よりも大きい、シートフレーム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のシートフレームにおいて、
前記ベルトガイド部は、前記シートベルトの張力が前記ベルトガイド部に作用する方向に対して平行に形成されたベルトガイド側壁部と、前記ベルトガイド側壁部の車両前方側に形成され前記シートバックの内方側に延在するベルトガイド前壁部と、前記ベルトガイド側壁部の車両後方側に形成され前記シートバックの内方側に延在するベルトガイド後端部とを備える、シートフレーム。
【請求項4】
請求項3に記載のシートフレームにおいて、
前記ベルトガイド前壁部および前記ベルトガイド後壁部は、前記シートベルトの張力が前記ベルトガイド部に作用する方向に直交する部分を有する、シートフレーム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシートフレームにおいて、
前記第1のサイドメンバは、ダイクエンチにより作製される、シートフレーム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のシートフレームにおいて、
前記シートバックフレームは、前記第1のサイドメンバと前記第2のサイドメンバとを連結するクロスメンバを備え、
前記クロスメンバの断面形状の上下方向長さは、幅方向長さよりも長く設定されている、シートフレーム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−96759(P2012−96759A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248561(P2010−248561)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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