説明

車両用セキュリティシステム

【課題】キーを紛失した場合、そのキーではエンジンを始動できないようにして車両盗難を防止するシステムにおいて、紛失したキーの他に、スペアのキーを保有している場合、そのスペアキーを使用すれば、エンジンを始動させることができるようにする。
【解決手段】エンジン始動許可ID記憶部17にエンジンの始動を許可するキーのIDコードを記憶させておく。複数のキーのうち、いずれかを紛失した場合、その紛失したキーのIDコードを入力部20から入力する。すると、エンジン始動許可ID変更部23がエンジン始動許可ID記憶部23から入力されたIDコードのみを消去する。このため、またIDコードがエンジン始動許可ID記憶部23に記憶されているスペアのキーを用いれば、エンジンを始動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所有者確認用物品を紛失したような場合に他人がその所有者確認用物品を使用して車両の走行駆動源を始動できないようにして車両の盗難防止を行う車両用セキュリティシステムに係り、特に所有者確認用物品が複数存在する場合に対処したものに関する。
【背景技術】
【0002】
イモビライザを使用した車両盗難防止システムがある。これは、車両のキーにトランスポンダを設け、このトランスポンダの固有のIDコードと、車両側のIDコードとを照合し、一致すれば正規の所有者であると判定してエンジンの始動を許容するという内容のものである。
【0003】
このシステムにおいて、更に、キーを紛失したり、キーが盗まれたりした場合に対応できるようにしたものとして、例えば特許文献1に示されたシステムがある。このシステムは、キーがなくなったことに気付いた時点で、携帯電話などの情報端末から情報センタへ通報すると、情報センタから車両に対してエンジンの始動禁止を命令し、それ以後は、車両が盗まれたとしてエンジンを作動させないようにするというものである。
【特許文献1】特開2003−146185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両には、通常、スペアキーが存在する。このため、特許文献1のシステムでは、車両が手元にある状態で、いつも使用しているキーをなくしたような場合に、安全のために情報センタに通報すると、スペアキーがあるにもかかわらず、車両を運転できなくなってしまうという不具合を生ずる。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、所有者確認用物品が複数存在する場合、走行駆動源の始動を禁止することができる所有者確認用物品を個々に指定することができ、始動禁止されていない所有者確認用物品を使用すれば走行駆動源の始動を行うことができる車両用セキュリティシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、車両の所有者が携帯可能な複数の所有者確認用物品と、前記車両に設けられ、当該車両の走行駆動源の始動操作を行う者が前記複数の所有者確認用物品のいずれかによって車両の所有者であることを確認すると前記走行駆動源の始動を許容する始動許容装置とを備え、前記複数の所有者確認用物品の夫々に、互いに異なる識別情報を記憶した識別情報記憶手段と、この記憶手段に記憶された前記識別情報を送信する送信手段とを設け、前記始動許容装置に、前記複数の所有者確認用物品の前記識別情報を記憶した始動許可識別情報記憶手段と、この始動許可識別情報記憶手段に記憶された複数の前記識別情報のうちから、使用者が消去を希望する識別情報を、消去対象情報として入力する入力手段と、前記始動許可識別情報記憶手段に記憶された前記識別情報のうちから、前記入力手段により入力された識別情報を消去する消去手段と、前記複数の所有者確認用物品のうちのいずれかを携帯した者によって前記走行駆動源の始動操作が行われるとき、その所有者確認用物品から送信された前記識別情報を受信する受信手段と、この受信手段により受信された前記識別情報が前記始動許可識別情報記憶手段に記憶された識別情報のいずれかと一致するとき、前記車両の所有者であることが確認されたと判定して前記走行駆動源の始動を許容する確認判定手段とを設けたことを特徴とする車両用セキュリティシステムにある。
【0007】
この構成によれば、なくなった所有者確認用物品に対してだけ、走行駆動源の始動を禁止することができる。このため、車両が手元にあれば、なくした所有者確認用物品については走行駆動源の始動を禁止して当該所有者確認用物品による車両の盗難を効果的に防止でき、他の所有者確認用物品については、そのような禁止がなされないので、他の所有者確認用物品を使用して所有者確認を行い、走行駆動源を始動させることができる。
【0008】
請求項2の発明では、前記入力手段が手動操作手段から構成されているので、車両が手元にある場合、手動操作手段から走行駆動源の始動を禁止する所有者確認用物品の識別情報を簡易に入力できる。
請求項3の発明では、前記入力手段が情報センタと通信可能な移動通信手段から構成されているので、車両が手元になくても、情報端末から情報センタに通報することで、走行駆動源の始動を禁止する所有者確認用物品の識別情報を入力でき、盗難防止効果が向上する。
【0009】
請求項4の発明は、前記受信手段が前記走行駆動源の始動操作が行われる際に前記所有者確認用物品の識別番号を受信したとき、その識別番号を記憶し、および/または識別番号毎の使用回数を記憶する使用状況記憶手段を設け、前記入力手段は、前記所有者確認用物品の識別情報に代えて最後に使用した所有者確認用物品、および/または最も使用頻度の少ない所有者確認用物品と入力可能に構成され、前記入力手段から最後に使用した所有者確認用物品、または最も使用頻度の少ない所有者確認用物品を消去対象情報として受け取ったとき、前記消去手段は、前記使用状況記憶手段から最後に使用された識別情報、または最も使用頻度の少ない識別情報を検索してその識別情報を前記始動許可識別情報記憶手段から消去することを特徴とする。
この手段によれば、所有者確認用物品の識別情報を忘れてしまったような場合に効果的に対処できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の第1の実施形態を図1ないし図3に基づいて説明する。
図1に示すように車両1には、キースイッチ2が設けられており、同図に示す例えば3個のキー3〜5は、いずれも図2に示すキーシリンダ6に差し込んでキースイッチ2を操作可能となっている。キーシリンダ6をスタート位置まで回転操作すると、車両の走行駆動源としての例えばエンジン(図示せず)が始動される。なお、電気自動車の場合は、モータが走行駆動源となる。3個のキー3〜5には、制御部7、識別情報記憶手段としてのID記憶部8および送受信部9を備えたトランスポンダ10が夫々設けられており、ID記憶部8には、キー3〜5毎に異なるIDコード(識別情報)が記憶されている。
【0011】
車両1には、キースイッチ2の他に、始動許容装置としてのイモビECU11、走行駆動源制御手段としてのエンジンECU12、ナビゲーション装置13などが設けられている。イモビECU11は、制御部14、送受信部15およびID照合部16を備えている。送受信部15は、キーシリンダ6に設けられていて、キーシリンダ6に差し込まれたキーのトランスポンダ10の送受信部9と電波により通信して当該送受信部9から送信されるIDコードを受信する。ID照合部16は、送受信部15が受信したIDコードを、エンジン始動許可ID記憶部17に記憶されているIDコードと照合し、一致しているか否かを判定する(一致判定手段)。制御部14は、ID照合部16の判断結果に応じて始動許可信号または始動禁止信号をエンジンECU15に送信する。ここで、トランスポンダ10の送受信部9は、IDコードを送信する送信手段、イモビECU11の送受信部15は、IDコードを受信する受信手段、制御部14は、エンジンの始動を許容する確認判定手段として夫々機能する。
【0012】
一方、キーシリンダ6は、オフ位置、アクセサリ位置、オン位置、スタート位置の4位置にセット可能である。キーシリンダ6がスタート位置まで回されると、キースイッチ2は、エンジンの始動モータおよびイグニッションコイルに通電し、エンジンを始動させる。これに対し、エンジンECU12は、イモビECU11から始動許可信号を受け束愛には、キースイッチ2による上記始動モータおよびエンジンのイグニッションコイルへの通電を許容するが、イモビECU11から始動禁止信号を受けると、キースイッチ2と始動モータおよびイグニッションコイルとの間を遮断して始動モータおよびイグニッションコイルが通電されない(エンジンが始動しない)ようにする。
【0013】
前記始動許可ID記憶部17には、3個のキー3〜5のIDコードが記憶されている。このため、キーシリンダ6に差し込まれたキーのIDコードが始動許可ID記憶部17に記憶されたIDコードの中に存在すれば、車両1の所有者がエンジンを始動させようとしていると推定できる。従って、キー3〜5は、車両の所有者であることを確認するための所有者確認用物品として機能し、始動許可ID記憶部17は、始動許可識別情報記憶手段として機能するものである。
【0014】
ところで、キー3〜5が盗難にあったり、紛失したりすると、車両の所有者以外の者がそのキーを使用してエンジンを始動させることも考えられるので、このような場合には、なくなったキーのIDコードを始動許可ID記憶部17から消去する。この消去すべきIDコードの入力は、本実施形態では、ナビゲーション装置13を使用して行うようになっている。
【0015】
ナビゲーション装置13は、制御部18、表示部19、入力手段としての入力部20、個人認証部21および個人情報記憶部22を備えている。表示部19は、例えば液晶ディスプレイから構成されている。入力部20は、例えば表示部19の液晶ディスプレイ上に設けられたタッチパネルなどの手動操作手段から構成されている。個人認証部21は、入力部20から入力されたユーザIDコード(個人識別情報)およびパスワードを、個人情報記憶部22に記憶されたユーザIDコードおよびパスワードと照合し、一致すれば車両1の所有者と認証する。そして、制御部18は、入力部20から入力されるIDコードを消去するIDコード(消去対象情報)であるとしてこれをエンジン始動許可ID変更部23に与える。エンジン始動許可ID変更部23は、エンジン始動許可ID記憶部17に記憶されているIDコードの中から、消去対象情報として与えられたIDコードを消去する。従って、エンジン始動許可ID記憶部17は、消去手段として機能する。
【0016】
ここで、エンジン始動許可ID記憶部17に記憶されたIDコードを消去する場合の制御内容を、図3のフローチャートをも参照しながら説明する。3個のキー3〜5のうち、いつもは、例えばキー3を使用しているものとする。そして、何らかの原因でそのキー3を紛失してしまったとする。すると、そのキー3を使用して車両1が盗まれる恐れがあるので、そのキー3ではエンジンがかからないようするために、キー3のIDコードをエンジン始動許可ID記憶部17から消去するものとする。
【0017】
そのために、別のキー、例えばキー4を使用して車両1のドアを開いて車両1内に乗り込む。そして、キー4をキーシリンダ6に差し込んでキースイッチ2を操作し、ナビゲーション装置13の電源をオンする。そして、ナビゲーション装置13をIDコード消去モードにセットする(ステップS1)。IDコード消去モードにセットされると、ナビゲーション装置13の制御部18が表示部19にテンキーおよびアルファベットキーを表示するので、そのテンキーおよびアルファベットキーを操作し、ユーザIDコードおよびパスワードを入力すると共に、消去したいキーのIDコードを入力する(ステップS2)。
【0018】
ナビゲーション装置13の制御部18は、入力されたユーザIDコードおよびパスワードを個人情報記憶部22に記憶されているユーザIDコードおよびパスワードと照合し、一致していなければ、ステップS3で「NO」と判断して図3のIDコード消去処理ルーチンを終了する。入力されたユーザIDコードおよびパスワードが個人情報記憶部22に記憶されているユーザIDコードおよびパスワードと一致していれば、制御部18は、ユーザと認証し(ステップS3で「YES」)、入力されたIDコードをエンジン始動許可ID変更部23に送る(ステップS4)。
【0019】
エンジン始動許可ID変更部23は、エンジン始動許可ID記憶部17を検索し、送られてきたIDコードがエンジン始動許可ID記憶部17に存在するか否かを判断する(ステップS5)。消去すべきとして送られてきたIDコードがエンジン始動許可ID記憶部17に存在しなければ、エンジン始動許可ID変更部23は、ステップS5で「NO」と判断し、図3のIDコード消去処理ルーチンを終了する。消去すべきとして送られてきたIDコードがエンジン始動許可ID記憶部17に存在している場合、エンジン始動許可ID変更部23は、ステップS5で「YES」と判断し、エンジン始動許可ID記憶部17に記憶されているIDコードのうちから、消去すべきとして送られてきたIDコードを消去し、図3のIDコード消去処理ルーチンを終了する。
【0020】
以上のようにしてなくしたキーのIDコードをエンジン始動許可ID記憶部17から消去すれば、以後、なくしたキーを使用してエンジンを始動させようとしても、エンジンの始動は禁止されるので、車両1の盗難を防止することができる。
しかも、なくしたキー以外のキーを使用してエンジンを始動する場合には、エンジンは正常に始動されるので、車両1が手元にあリ、スペアのキーも手元にあるにも係わらずエンジンを始動できないといった不具合をなくすことができる。
【0021】
図4および図5は本発明の第2の実施形態を示す。
この実施形態が前記第1の実施形態と異なるところは、エンジン始動許可ID記憶部17に記憶されているIDコードを消去する場合、その消去するIDコードを情報センタを介してエンジン始動許可ID変更部23に入力するようにしたことにある。以下、この第2の実施形態を図4に図1と同一部分に同一符号を付して詳細な説明を省略し、異なる部分のみを説明する。
【0022】
図4に示すように、車両1には、移動通信手段として移動電話モジュール24が設けられている。一方、情報センタ25は、移動電話網やインターネットなどの通信網を介して車両1の移動電話モジュール24や携帯電話機やパソコンなどの情報端末27を用いて通信できるように構成されている。この情報センタ25は、通信部28、制御部29、個人認証部30およびデータベース31を備えている。
【0023】
通信部28は、通信網26に接続され、移動電話モジュール24や情報端末27と通信する。データベース31には、車両1毎に、車両IDコード、ユーザIDコード、パスワード、移動電話モジュール24の電話番号などを記憶している。個人認証部30は、情報端末27から送信されて来る車両IDコード、ユーザIDコードおよびパスワードがデータベース31に記憶されているか否かを判断し、記憶されていれば、制御部29は、当該車両1の移動電話モジュール24に電話を掛けて消去すべきIDコードを送信するようになっている。
【0024】
図5には、エンジン始動許可ID記憶部17に記憶されたIDコードを消去するための制御を示すフローチャートが記載されている。即ち、なくしたキーのIDコードをエンジン始動許可ID記憶部17から消去するには、まず、情報端末27から車両IDコード、ユーザIDコード、パスワードおよび消去するキーのIDコードを情報センタ25へ送信する(ステップA1)。
【0025】
車両IDコード、ユーザIDコード、パスワードおよび消去するキーのIDコードを通信部28により受信すると、情報センタ25の個人認証部30は、受信した車両IDコード、ユーザIDコード、パスワードをデータベース31と照合し(ステップA2)、データベース31に登録されているか否かを判断する(ステップA3)。受信した車両IDコード、ユーザIDコード、パスワードがデータベース31に登録されていなければ(ステップA3で「NO」)、制御部29は、ステップA3で「NO」と判断し、通信部28から情報端末27へ認証失敗を通知して(ステップA4)、エンドとなる。情報端末27は、受信した認証失敗を図示しない表示部に表示して使用者に報知する。
【0026】
受信した車両IDコード、ユーザIDコード、パスワードがデータベース31に登録されていた場合、制御部29は、ステップA3で「YES」となり、次のステップA5で車両1の移動電話モジュール24へ消去すべきキーのIDコードを通知する。移動電話モジュール24は、受信したIDコードをエンジン始動許可ID変更部23に送る。エンジン始動許可ID変更部23は、エンジン始動許可ID記憶部17を検索し、送られてきたIDコードがエンジン始動許可ID記憶部17に存在するか否かを判断する(ステップA6)。
【0027】
消去すべきとして送られてきたIDコードがエンジン始動許可ID記憶部17に存在しなければ、エンジン始動許可ID変更部23は、ステップA6で「NO」と判断し、移動電話モジュール24へその旨を通知し、移動電話モジュール24は、情報センタ25へIDコード不存在を通知する(ステップA7)。IDコード不存在を通知された情報センタ25の通信部28は、その旨を通信部28から情報端末27に通知し(ステップA8)、図5のIDコード消去処理ルーチンを終了する。情報端末27は、受信したIDコード不存在を図示しない表示部に表示して使用者に報知する。
【0028】
消去すべきとして送られてきたIDコードがエンジン始動許可ID記憶部17に存在している場合、エンジン始動許可ID変更部23は、ステップA6で「YES」と判断し、エンジン始動許可ID記憶部17に記憶されているIDコードのうちから、消去すべきとして送られてきたIDコードを消去し、このIDコードの消去を移動通信モジュール24に通知する(ステップA9)。移動電話モジュール24は、IDコードの消去を情報センタ25に送信し(ステップA10)、情報センタ25の制御部29は、そのIDコードの消去を情報端末27に通知し(ステップA11)、図5のIDコード消去処理ルーチンを終了する。
このように情報センタ25を介して消去すべきIDコードをエンジン始動許可ID変更部23に通知するように構成した場合には、実際に車両1が盗難にあった場合、これに気が付いた時点でエンジンを始動できないようにすることができ、盗難防止に効果を発揮する。
【0029】
図6および図7は、本発明の第3の実施形態を示すものである。
この実施形態は、消去すべきIDコードの指定の仕方がIDコードそのものではなく、キーの使用状況を指定することによって該当するキーのIDコードを消去するようにしたものである。その他の構成は、上記第2の実施形態と同じであるので、図6に図4と同一部分に同一符号を付して示し、異なる部分のみ説明する。
【0030】
即ち、本実施形態では、エンジンが始動される度に、その際に使用したキーのIDコードがイモビECU11の制御部14によって図6に示す使用状況記憶手段としての使用状況記憶部32に記憶される。この場合の記憶形態は、最後に使用したキーのIDコードが記憶されると共に、複数のキーのIDコード毎に使用回数の累計が記憶されるようになっている。
【0031】
そして、最後に使用したキーをなくした場合、情報端末27から消去したいIDコードに代えて、「最後に使用したキー」という使用状況による消去対象情報を情報センタ25に送信する(図7のステップB1)。情報センタ25は、その「最後に使用したキー」という消去対象情報を移動電話モジュール24に送信する(ステップB5)。移動電話モジュール24は、「最後に使用したキー」という消去対象情報をエンジン始動許可ID変更部23に与え、これに基づいてエンジン始動許可ID変更部23は、使用状況記憶部32から最後に使用したキーのIDコードを取得し(ステップB6)、エンジン始動許可ID記憶部17から最後に使用したキーのIDコードを消去する(ステップB7,10)。
【0032】
また、いつもは使用しないキーをなくした場合、「使用頻度の最も少ないキー」という消去対象情報の指定を行う(ステップB1)。すると、エンジン始動許可ID変更部23は、この「使用頻度の最も少ないキー」という消去対象情報を情報センタ25および移動電話モジュール24を介して取得し、使用状況記憶部32から使用頻度の最も少ないキーのIDコードを取得し(ステップB6)、エンジン始動許可ID記憶部17からそのキーのIDコードを消去する(ステップB7,10)。この場合、使用頻度が同じキーが複数存在すれば、それら複数のキーのIDコードが消去されることとなる。
【0033】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、以下のような拡張或いは変更が可能である。
所有者確認用物品としては、キー3〜5に限られない。トランスポンダを備えたICカードであっても良い。
キー3〜5或いはICカードからイモビECU11へのIDコード送信は、電波に限られず、赤外線によって行っても良い。また、無線に限られず、接触式であっても良い。
紛失したキーが見つかった場合、そのキーの識別情報をエンジン始動許可ID変更部23に再登録識別情報として与えることにより、当該始動許可ID変更部23がその識別情報をエンジン始動許可ID変更部23に再登録するように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すブロック構成図
【図2】キーシリンダに差し込んだキーの斜視図
【図3】キーのIDコードを消去する場合の制御内容を示すフローチャート
【図4】本発明の第2の実施形態を示す図1相当図
【図5】図3相当図
【図6】本発明の第3の実施形態を示す図1相当図
【図7】図3相当図
【符号の説明】
【0035】
図面中、1は車両、2はキースイッチ、3〜5はキー(所有者確認用物品)、7は制御部、8はID記憶部(識別情報記憶手段)、9は送受信部(送信手段)、10はトランスポンダ、11はイモビECU(始動許容装置)、12はエンジンECU、13はナビゲーション装置、14は制御部(確認判定手段)、15は送受信部(受信手段)、17はエンジン始動許可ID記憶部(始動許可識別情報記憶手段)、20は入力部(入力手段、手動操作手段)、23はエンジン始動許可ID変更部(消去手段)、24は移動電話モジュール(移動通信手段)、25は情報センタ、27は情報端末、32は使用状況記憶部(使用状況記憶手段)である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の所有者が携帯可能な複数の所有者確認用物品と、
前記車両に設けられ、当該車両の走行駆動源の始動操作を行う者が前記複数の所有者確認用物品のいずれかによって車両の所有者であることを確認すると前記走行駆動源の始動を許容する始動許容装置とを備え、
前記複数の所有者確認用物品の夫々に、
互いに異なる識別情報を記憶した識別情報記憶手段と、
この記憶手段に記憶された前記識別情報を送信する送信手段とを設け、
前記始動許容装置に、
前記複数の所有者確認用物品の前記識別情報を記憶した始動許可識別情報記憶手段と、
この始動許可識別情報記憶手段に記憶された複数の前記識別情報のうちから、使用者が消去を希望する識別情報を、消去対象情報として入力する入力手段と、
前記始動許可識別情報記憶手段に記憶された前記識別情報のうちから、前記入力手段により入力された識別情報を消去する消去手段と、
前記複数の所有者確認用物品のうちのいずれかを携帯した者によって前記走行駆動源の始動操作が行われるとき、その所有者確認用物品から送信された前記識別情報を受信する受信手段と、
この受信手段により受信された前記識別情報が前記始動許可識別情報記憶手段に記憶された識別情報のいずれかと一致するとき、前記車両の所有者であることが確認されたと判定して前記走行駆動源の始動を許容する確認判定手段とを設けたことを特徴とする車両用セキュリティシステム。
【請求項2】
前記入力手段は、前記車両に設けられた手動操作手段から構成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用セキュリティシステム。
【請求項3】
前記入力手段は、前記車両に設けられ、情報センタと通信可能な移動通信手段からなり、
情報端末から前記情報センタに前記消去を希望する前記識別情報を送信すると、前記情報センタは、前記情報端末から送信されて来た前記消去を希望する前記識別情報を前記移動通信手段に送信するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の車両用セキュリティシステム。
【請求項4】
前記受信手段が前記走行駆動源の始動操作が行われる際に前記所有者確認用物品の識別番号を受信したとき、その識別番号を記憶し、および/または識別番号毎の使用回数を記憶する使用状況記憶手段を設け、
前記入力手段は、前記所有者確認用物品の識別情報に代えて最後に使用した所有者確認用物品、および/または最も使用頻度の少ない所有者確認用物品と入力可能に構成され、
前記入力手段から最後に使用した所有者確認用物品、または最も使用頻度の少ない所有者確認用物品を消去対象情報として受け取ったとき、前記消去手段は、前記使用状況記憶手段から最後に使用された識別情報、または最も使用頻度の少ない識別情報を検索してその識別情報を前記始動許可識別情報記憶手段から消去することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の車両用セキュリティシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−1310(P2008−1310A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−175199(P2006−175199)
【出願日】平成18年6月26日(2006.6.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】