説明

車両用フィニッシャ取付け構造

【課題】フィニッシャの外観品質が低下することなく、フィニッシャ取付け本体とフィニッシャとの相互固定性が向上し、加えて、隣接するフィニッシャの面差及び間隙の管理の容易化が図られる車両用フィニッシャ取付け構造を提供すること。
【解決手段】コンソール本体2に複数のフィニッシャを隣接配置する車両用フィニッシャ取付け構造において、第1に、前方フィニッシャ3と後方フィニッシャ4とが重なり合うオーバーラップ部Wを設定し、このオーバーラップ部Wに、後方フィニッシャ4をコンソール本体2に固定する本体固定部41を設定した。これにより、本体固定部41を表面に露呈させず、もって後方フィニッシャ4の外観品質が確保した。第2に、前記オーバーラップ部Wにおいて、前方フィニッシャ3にスライド嵌合軸31を、後方フィニッシャ4にスライド嵌合溝42を設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体に固定したフィニッシャ取付け本体に、複数のフィニッシャを隣接して取付ける車両用フィニッシャ取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車体におけるフィニッシャ取付け本体に複数のフィニッシャを隣接して取付けることを目的とし、フィニッシャをフィニッシャ取付け本体に嵌合させて取り付ける車両用フィニッシャ取付け構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−16997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の車両用フィニッシャ取付け構造にあっては、フィニッシャは専らフィニッシャ取付け本体に嵌合により取付けられていたため、車両走行による振動や乗員との干渉に対する取付け強度が十分でなく、このため、複数のフィニッシャを隣接させてフィニッシャ取付け本体に取り付けると、隣接するフィニッシャ相互の面差や間隙が発生することが問題となっていた。
【0004】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、フィニッシャの外観品質が低下することなく、フィニッシャ取付け本体とフィニッシャとの相互固定性が向上し、加えて、隣接するフィニッシャの面差及び間隙の管理の容易化が図られる車両用フィニッシャ取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明では、車体に固定したフィニッシャ取付け本体に、複数のフィニッシャを隣接して取付けるフィニッシャ取付け構造において、
前記複数のフィニッシャのうち、第1フィニッシャと第2フィニッシャとが重なり合うオーバーラップ部を設定し、
前記オーバーラップ部に、第1フィニッシャを前記フィニッシャ取付け本体に固定する本体固定部と、第1フィニッシャと第2フィニッシャとをスライド嵌合により連結するスライド嵌合部と、を設定したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
よって、本発明の車両用フィニッシャ取付け構造にあっては、第1フィニッシャをフィニッシャ取付け本体に固定する本体固定部は、第2フィニッシャにより覆われる。このため、第1フィニッシャの固定部が表面に露呈することなく、第1フィニッシャの外観品質が確保される。
【0007】
また、第2フィニッシャは、スライド嵌合部により第1フィニッシャと連結される。すなわち、両フィニッシャの連結はスライド嵌合であるため、両フィニッシャの連結部たるスライド嵌合部には大きな力が作用しない。このため、第2フィニッシャの表面には、第1フィニッシャとの連結による外観品質の低下(例えば、連結部において、締結力に起因したフィニッシャ表面のヒケの発生)の問題は生じない。また、第2フィニッシャは、フィニッシャ取付け本体に固定される第1フィニッシャに連結されることから、第2フィニッシャとフィニッシャ取付け本体との固定性は、第1フィニッシャとフィニッシャ取付け本体との固定性と同等のものとなる。したがって、例えば、第1フィニッシャとフィニッシャ取付け本体との固定を、ビス等を用いた強固な固定とすれば、第2フィニッシャは、フィニッシャ取り付け本体に強固に固定されることとなる。
【0008】
さらに、第1フィニッシャと第2フィニッシャとは、これらに設けられたスライド嵌合部により直接連結されるため、両フィニッシャの相対的な面差及び間隙の管理は、いずれか一方のフィニッシャを管理することによって可能となり、両フィニッシャを独立して管理する必要はないものとなる。
【0009】
この結果、本発明によれば、フィニッシャの外観品質が低下することなく、フィニッシャ取付け本体とフィニッシャとの相互固定性が向上し、加えて、隣接するフィニッシャの面差及び間隙の管理の容易化が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の車両用フィニッシャ取付け構造を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
まず、構成を説明する。
【0012】
図1は実施例1の車両用フィニッシャ取付け構造が適用されたコンソールボックスを示す図である。
【0013】
このコンソールボックス1は、図1に示すように、車両の室内に設置されるコンソール本体2(フィニッシャ取付け本体)と、このコンソール本体2の上面を覆い、互いに隣接して取付けられた前方フィニッシャ3(第2フィニッシャ)と、後方フィニッシャ4(第1フィニッシャ)とを備えている。なお、前方フィニッシャ3には変速操作部5及び灰皿6が配置され、後方フィニッシャ4には収納部7が配置されている。
【0014】
図2は実施例1の車両用フィニッシャ取付け構造を示す図であり、(a)は下方から見た斜視図であり、(b)は図1におけるA―A´断面図である。また、図3は上方から見た実施例1の車両用フィニッシャ取付け構造の斜視図である。
【0015】
実施例1の車両用フィニッシャ取付け構造は、図2(b)にも示すように、前方フィニッシャ3と後方フィニッシャ4とが互いに重合するオーバーラップ部Wと、このオーバーラップ部Wの領域内において、後方フィニッシャ4に設けられ、後方フィニッシャ4をコンソール本体2に固定する本体固定部41と、同じくオーバーラップ部Wの領域内において、前方フィニッシャ3と後方フィニッシャ4とを連結するスライド嵌合部、すなわち、前方フィニッシャ3に設けられて下方に突設させたスライド嵌合軸31(第2スライド嵌合部)と、後方フィニッシャ4に設けられて前記スライド嵌合軸31がスライドにより挿入されて係り止めされるスライド嵌合溝42(第1スライド嵌合部)とを備えている。
【0016】
前記本体固定部41には、図3に示すように、ビス46を挿通するビス穴45が設けられ、一方、コンソール本体2には、このビス46と螺合する雌ねじ部21が設けられ、後方フィニッシャ4とコンソール本体2とはビス46により締結される。
【0017】
また、前記スライド嵌合溝42には、図2(b)にも示すように、前記スライド嵌合軸31が挿入されるスライド開口部43が設けられており、一方、前記スライド嵌合軸31には、前記スライド開口部43の周縁部と係り合う第1係り止め部32が設けられている。尚、第1係り止め部32に変えて、スライド嵌合軸部31に樹脂製または金属製からなる弾性クリップ(図示せず)を装着してもよい。前方フィニッシャ3と後方フィニッシャ4とは、このスライド嵌合軸31とスライド嵌合溝42とのスライド嵌合により連結され、第1係り止め部32がスライド開口部43の周縁に係り合うことにより固定される。
【0018】
さらに、前記スライド嵌合溝42の下端には、このスライド嵌合溝42から下方に突設され、第2係り止め部48を備えた位置決め嵌合軸44(第2位置決め嵌合部)と(図2(b)参照)、コンソール本体2に設けられた位置決め嵌合溝22(第1位置決め嵌合部)とから構成される位置決め嵌合部が設けられている(図3参照)。尚、第2係り止め部48に変えて嵌合軸44に樹脂製または金属製からなる弾性クリップ(図示せず)を装着してもよい。後方フィニッシャ4とコンソール本体2とは、位置決め嵌合軸44が位置決め嵌合溝22にスライド挿入されることにより相対位置が決定され、第2係り止め部48が位置決め嵌合溝22の周縁部に係り合うことにより固定されたうえで取り付けられる。
【0019】
後方フィニッシャ4には、図3に示すように、補助ビス(不図示)が挿入される補助ビス穴47が設けられており、一方、コンソール本体2には、補助ビスと螺合する補助ビス穴23が設けられている。必要に応じて補助ビスを用いて、後方フィニッシャ4とコンソール本体2との相互の固定強度を高めている。
【0020】
そして、前方フィニッシャ3及び後方フィニッシャ4の表面は、図2(b)に示すように、これら前後フィニッシャが嵌合された状態にて面差mが現れない同一面になるように形状設定されている。なお、図2(b)は、便宜上、前方フィニッシャ3と後方フィニッシャ4との完全なスライド嵌合状態ではない状態を示している。また、前方フィニッシャ3と後方フィニッシャ4とは、両者の間隙sがスライド嵌合状態で製造の誤差及び組み付け分を考慮した最小間隙となるように形状設定されている。
【0021】
次に、作用を説明する。
【0022】
ここで、作用説明に入る前に背景技術並びに本発明に至る経緯について説明する。
【0023】
図4は本発明者により創作された別形態の車両用フィニッシャ取付け構造が適用されたコンソールボックスを示す図であり、(a)はコンソール本体にフィニッシャが取付けられた状態を示す図であり、(b)はコンソール本体にフィニッシャが取付けられない状態を示す図である。また、図5は図4に示すフィニッシャの要部を示す図である。
【0024】
この別形態による車両用フィニッシャ取付け構造は、図5に示すように、前方フィニッシャ3Aが嵌め込み式の締結部93Aを備えており、この前方フィニッシャ3Aは、コンソール本体2Aに強固に固定される。これにより、専らフィニッシャとコンソール本体との嵌合に頼る車両用フィニッシャ取付け構造に比べて、フィニッシャの固定性が向上したものとなる。なお、後方フィニッシャ4Aについても同様にして固定される。
【0025】
ところが、前方フィニッシャ3A及び後方フィニッシャ4Aとは、共に締結部を介してコンソール本体2Aに固定されるため、この締結部に作用する力によりフィニッシャ表面における締結部周辺のヒケが顕在化するという問題が生じていた。また、複数のフィニッシャを隣接配置するフィニッシャ取付け構造(図4(b)参照)にあっては、隣接するフィニッシャの相対的な面差や間隙が発生しやすく、外観品質上好ましくないといった問題も生じていたのである。
【0026】
そこで、このようなヒケの顕在化や面差及び間隙の発生による外観品質の低下のうち、面差及び間隙の発生による外観品質の低下に対しては、コンソール本体2Aのリブ8Aに設けた位置規制リブ81A(図4(b)参照)に、フィニッシャ側に設けた位置規制リブ82A(図5参照)を嵌合することにより、この面差及び間隙の拡大を抑制するようにした。しかしながら、前方フィニッシャ3Aと後方フィニッシャ4Aとは相互に独立しているため、前後のフィニッシャの相対的な面差の管理については、前方フィニッシャ3Aとリブ8Aとの面差及び間隙の管理、後方フィニッシャ4Aとリブ8Aとの面差及び間隙の管理を、別個独立に管理する必要が生じる。
【0027】
すなわち、従来の車両用フィニッシャ取付け構造に比べて、フィニッシャの固定性は向上し、面差及び間隙の発生による外観品質の低下は解消させることができた。しかしながら、前方フィニッシャ3A及び後方フィニッシャ4Aをコンソール本体2に固定する力で生じるフィニッシャ表面のヒケによる外観品質の低下と、前後のフィニッシャの相対的な面差及び間隙の管理手間が一層省かれることが望まれていた。
【0028】
そこで、本発明者は、図2乃至図3に示すように、前方フィニッシャ3と後方フィニッシャ4とでオーバーラップ部Wを設定し、スライド嵌合溝軸31とスライド嵌合溝42とから成るスライド嵌合構部により前後フィニッシャを連結するようにした。その理由は次に通りである。
【0029】
(i)前後のフィニッシャが上述のリブを介した独立なものとはならず、前後フィニッシャ相互の相対的な面差mや間隙sの管理に関し、互いに隣接する一方のフィニッシャとリブとの管理、他方のフィニッシャとリブとの管理との別個の管理によることなく、いずれか一方のフィニッシャの管理により面差m及び間隙sを管理することができること、(ii)また、前後のフィニッシャの連結は、ビス等の締結力を利用しないスライド嵌合によるため、前方フィニッシャ(オーバーラップ部Wの上面)におけるヒケの発生が防止されること、(iii)そして、前方フィニッシャ3と後方フィニッシャ4とは、スライド嵌合による固定であるが、この前方フィニッシャ3は、コンソール本体2に強固に固定される後方フィニッシャ4に連結されているため、前方フィニッシャについての強固な固定性が担保されることにより、上述した要求に応えることができる点に着目したためである。
【0030】
このようにして、実施例1の車両用フィニッシャ取付け構造、すなわち、フィニッシャ取付け本体とフィニッシャとの相互固定性が向上し、この際、フィニッシャの外観品質が低下することなく、また、隣接するフィニッシャの面差及び間隙の管理の容易化も図られる車両用フィニッシャ取付け構造が実現されるに至ったものである。
【0031】
以下、図1乃至図3に基づき、実施例1の車両用フィニッシャ取付け構造における作用を、フィニッシャとコンソール本体との相互固定に関する「固定作用」、フィニッシャ表面のヒケ防止に関する「外観品質維持作用」及びフィニッシャの相対的な面差及び間隙に関する「面差等管理容易作用」に分けて説明する。
【0032】
[固定作用]
前方フィニッシャ3及び後方フィニッシャ4は、コンソール本体2に固定されるが、図2(b)にも示すように、この固定にはビス46が用いられる。このため、ビス46とコンソール本体2に形成した雌ねじ部21との締結力によって、後方フィニッシャ4及びコンソール本体2の相互の固定力を高めることができ、車両の走行時の振動や乗員との干渉により問題となる後方フィニッシャ4とコンソール本体2との相互固定の緩みが抑制される。
【0033】
また、後方フィニッシャ4がコンソール本体2に取り付けられる際、後述する外観品質維持の作用を奏する後方フィニッシャ4におけるスライド嵌合溝42の下端に突設した位置決め嵌合軸44が、コンソール本体2に設けられている位置決め嵌合溝22に嵌合される。このため、位置決め嵌合軸44が位置決め嵌合溝22に嵌合した状態で上記ビス固定が行なわれるようになっており、後方フィニッシャ4とコンソール本体2との相互固定の際の相対的位置決めの容易化が図られている。
【0034】
[外観品質維持作用]
上述したように、前方フィニッシャ3は後方フィニッシャ4に連結されるが、この連結は、図2(b)にも示すように、前方フィニッシャ3に設けられたスライド嵌合軸31が、後方フィニッシャ4に設けられたスライド嵌合溝42にスライド嵌合されることによる。すなわち、スライド嵌合軸31が設けられた前方フィニッシャ3の表面にて、前後のフィニッシャの連結に際して作用する力は小さいものとなるため、前方フィニッシャ3の表面におけるヒケの発生が防止される。そして、前方フィニッシャ3は、コンソール本体2に強固にビス固定された後方フィニッシャ4に連結されるため、コンソール本体2との十分な固定性も担保される。
【0035】
加えて、後方フィニッシャ4に設けられ、後方フィニッシャ4をコンソール本体2に固定するための本体固定部41は、前方フィニッシャ3と重合する部分たるオーバーラップ部Wにより覆われる。このため、フィニッシャ上面からは、この本体固定部41が視認されず、固定部が露呈することによる外観品質の低下も防止される。
【0036】
[面差等管理容易化作用]
前方フィニッシャ3と後方フィニッシャ4とは、これらフィニッシャのスライド嵌合状態でフィニッシャ間に面差mが生じないように形状が設定されており、また、前後フィニッシャの間隙sに関しては、スライド嵌合状態で製造の誤差や組み付け分を考慮した間隙s(最小間隙)が設定されたうえで相互に連結される。このため、別途面差m及び間隙sの管理を行なう必要がない。また、車両走行による振動により面差m或いは間隙sが生じても、この面差m及び間隙sは、前方フィニッシャ3の組み込み位置を調整するのみで、面差m及び間隙s等の管理が至って容易に行なわれる。すなわち、上述したリブ8Aを用いる場合のように、前方フィニッシャ3とリブ8Aとの関係における面差及び間隙の管理と、後方フィニッシャ4とリブ8Aとの関係における面差m及び間隙sの管理とを別個独立に行う必要がない。
【0037】
また、リブ8Aの不要化により、リブ8Aの設置に必要なスペースが省略できる。
【0038】
次に、効果を説明する。
実施例1の車両用フィニッシャ取付け構造にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
【0039】
(1)車体に固定したコンソール本体2に、複数のフィニッシャを隣接して取付ける車両用フィニッシャ取付け構造において、複数のフィニッシャのうち、前方フィニッシャ3と後方フィニッシャ4とが重なり合うオーバーラップ部Wを設定し、オーバーラップ部Wに、後方フィニッシャ4をコンソール本体2に固定する本体固定部41と、フィニッシャ3と後方フィニッシャ4とをスライド嵌合により連結するスライド嵌合部とを設定したため、フィニッシャの外観品質が低下することなく、コンソール本体2と、前方フィニッシャ3及び後方フィニッシャ4との相互固定性が向上し、加えて、隣接するフィニッシャの面差及び間隙の管理の容易化が図られる。
【0040】
(2)スライド嵌合部は、前方フィニッシャ3のうち、後方フィニッシャ4とのオーバーラップ部Wに設けたスライド嵌合軸31と、後方フィニッシャ4のうち、前方フィニッシャ3とのオーバーラップ部Wに設けたスライド嵌合溝42とから構成し、スライド嵌合溝42に、コンソール本体2との位置決めを行なう位置決め嵌合軸44を設け、コンソール本体2に位置決め嵌合軸44と嵌合する位置決め嵌合溝22を設けたことから、(1)の効果を奏する車両用フィニッシャ取付け構造を容易に構成することができる。
【0041】
加えて、位置決め嵌合軸44と位置決め嵌合溝22との嵌合により後方フィニッシャ4とコンソール本体2との相対位置が決定されるため、後方フィニッシャ4とコンソール本体2との相互組み付けが容易となる。
【0042】
(3)前方フィニッシャ3及び後方フィニッシャ4の表面は、これら両表面がスライド嵌合状態で同一面となるように形状設定したため、前方フィニッシャ3に対する組み付け位置の管理のみで面差mが解消され、面差mの管理が容易となる。
【0043】
(4)前方フィニッシャ3と後方フィニッシャ4とは、両者の間隙sがスライド嵌合状態で製造及び組み付け分を考慮した最小間隙となるように形状設定したため、前方フィニッシャ3に対する組み付け位置の管理のみで間隙sが解消され、間隙sの管理が容易となる。
【0044】
以上、本発明の車両用フィニッシャ取付け構造を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0045】
実施例1では、前方フィニッシャ3及び後方フィニッシャ4の2つのフィニッシャを隣接配置する例を示したが、3つ以上のフィニッシャを隣接配置する例としても良い。この際、中間に配置される中間フィニッシャには、その前方に本体固定部を設け、後方にスライド嵌合部を設けることにより可能である。なお、前後の構成は当然に逆であってもよい。
【0046】
実施例1では、スライド嵌合部は、前方フィニッシャ3及び後方フィニッシャ4の両側部における2箇所に設ける例を示したが、その中間部にも設け、3つ以上のスライド嵌合部を設けても良い。この場合は、前方フィニッシャとコンソール本体との相互固定性が一層良好なものとなる。
【0047】
要するに、車体に固定したフィニッシャ取付け本体に、複数のフィニッシャを隣接して取付ける車両用フィニッシャ取付け構造において、前記複数のフィニッシャのうち、第1フィニッシャと第2フィニッシャとが重なり合うオーバーラップ部を設定し、前記オーバーラップ部に、第1フィニッシャを前記フィニッシャ取付け本体に固定する本体固定部と、第1フィニッシャと第2フィニッシャとをスライド嵌合により連結するスライド嵌合部とを設定したものであれば、実施例1には限られることはない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
実施例1では、車両用フィニッシャ取付け構造を、前方フィニッシャ3及び後方フィニッシャ4とコンソール本体2とから成るコンソールボックス1に適用する例を示したが、例えば、インストルメントパネルやドアトリム等の車両用フィニッシャ取付け構造に対しても適用することができる。要するに、車体に固定したフィニッシャ取付け本体に、複数のフィニッシャを隣接して取付ける車両用フィニッシャ取付け構造であれば適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は実施例1の車両用フィニッシャ取付け構造が適用されたコンソールボックスを示す図である。
【図2】図2は実施例1の車両用フィニッシャ取付け構造を示す図であり、(a)は下方から見た斜視図であり、(b)は図1におけるA―A´断面図である。
【図3】図3は上方から見た実施例1の車両用フィニッシャ取付け構造の斜視図である。
【図4】図4は本発明者により創作された別形態の車両用フィニッシャ取付け構造が適用されたコンソールボックスを示す図であり、(a)はコンソール本体にフィニッシャが取付けられた状態を示す図であり、(b)はコンソール本体にフィニッシャが取付けられない状態を示す図である。
【図5】図5は図4に示すフィニッシャの要部を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
2 コンソール本体(フィニッシャ取付け本体),
22 位置決め嵌合溝(第1位置決め嵌合部),
3 前方フィニッシャ(第2フィニッシャ),
31 スライド嵌合軸(第2スライド嵌合部),
4 後方フィニッシャ(第1フィニッシャ),
42 スライド嵌合溝(第1スライド嵌合部),
44 位置決め嵌合軸(第2位置決め嵌合部),
W オーバーラップ部,

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体に固定したフィニッシャ取付け本体に、複数のフィニッシャを隣接して取付ける車両用フィニッシャ取付け構造において、
前記複数のフィニッシャのうち、第1フィニッシャと第2フィニッシャとが重なり合うオーバーラップ部を設定し、
前記オーバーラップ部に、第1フィニッシャを前記フィニッシャ取付け本体に固定する本体固定部と、第1フィニッシャと第2フィニッシャとをスライド嵌合により連結するスライド嵌合部と、を設定したことを特徴とする車両用フィニッシャ取付け構造。
【請求項2】
請求項1に記載された車両用フィニッシャ取付け構造において、
前記スライド嵌合部は、前記第1フィニッシャのうち、第2フィニッシャとのオーバーラップ部に設けた第1スライド嵌合部と、前記第2フィニッシャのうち、第1フィニッシャとのオーバーラップ部に設けた第2スライド嵌合部と、から構成し、
前記第1スライド嵌合部に、前記フィニッシャ取付け本体との位置決めを行なう第1位置決め嵌合部を設け、前記フィニッシャ取付け本体に前記第1位置決め嵌合部と嵌合する第2位置決め嵌合部を設け、
前記第1位置決め嵌合部と第2位置決め嵌合部との嵌合により、前記第1フィニッシャとフィニッシャ取付け本体との相対位置を決定することを特徴とする車両用フィニッシャ取付け構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載された車両用フィニッシャ取付け構造において、
前記第1フィニッシャと第2フィニッシャの表面は、両表面がスライド嵌合状態で同一面となるように形状設定したことを特徴とする車両用フィニッシャ取付け構造。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載された車両用フィニッシャ取付け構造において、
前記第1フィニッシャと第2フィニッシャとは、両者の間隙がスライド嵌合状態で製造及び組み付け分を考慮した最小間隙となるように形状設定したことを特徴とする車両用フィニッシャ取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−302722(P2008−302722A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−149077(P2007−149077)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【出願人】(000004765)カルソニックカンセイ株式会社 (3,404)
【Fターム(参考)】