説明

車両用フロアマットおよびその選択使用方法

【課題】 ゴムマットの使用時に不要となったカーペットマットをゴムマットの下側に収納してコンパクトに格納できるとともに、カーペットマットの使用・不使用に関わらずゴムマットの表面を常に上側に配置して水や泥の落下を防止できる車両用フロアマットの提供を図る。
【解決手段】 ゴムマット3の表面3aの周縁部に、その表面3aに重ねたカーペットマット2の外周を囲繞するとともに、ゴムマット3の下側へのひっくり返しを可能に変形する側壁4を設ける。そして、ゴムマット3の使用時にカーペットマット2をゴムマット3の裏面3bに配置し、下側にひっくり返した側壁4内のスペースSに収納する。従って、カーペットマット2をコンパクトに収納でき、かつ、ゴムマット3の表面3aが常に上側に配置されるので、その表面3aに溜まった水や付着した泥がフロアカーペットに落下するのを防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーペットマットとゴムマットとを選択的に使い分けるようにした車両用フロアマットおよびその選択使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カーペットマットとゴムマットとを選択的に使い分けることができる従来の車両用フロアマットとしては、ゴムマットの表面にカーペットマットを分離可能に重ねて二重構造とし、カーペットマットの使用時には、ゴムマットの表面に重ねた状態でカーペットマットを使用する一方、ゴムマットの使用時には、そのゴムマットを裏返して裏面を上側に配置して使用するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実用新案登録第3039625号公報(第7頁、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、かかる従来の車両用フロアマットは、ゴムマットの使用時にはそれを裏返して裏面を上側にするため、カーペットマットの使用時にゴムマットの表面が下側となるため、その表面に溜まったり付着した水や泥がゴムマットの使用時にフロアカーペットに落下してしまう。
【0004】
また、ゴムマットの使用時にカーペットマットを取り外した場合は、そのカーペットマットの保管場所が必要になってしまう。
【0005】
そこで、本発明はゴムマットの使用時に不要となったカーペットマットをゴムマットの下側に収納してコンパクトに格納できるとともに、カーペットマットの使用・不使用に関わらずゴムマットの表面を常に上側に配置して水や泥の落下を防止できる車両用フロアマットおよびその選択使用方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用フロアマットは、ゴムマットとカーペットマットとを備え、ゴムマットの表面の周縁部に、その表面に重ねたカーペットマットの外周を囲繞するとともに、ゴムマットの下側へのひっくり返しが可能な側壁を設け、ゴムマットの使用時に、不要となったカーペットマットをゴムマットの裏面に配置して、下側にひっくり返した前記側壁内のスペースに収納可能としたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、カーペットマットの使用時は、該カーペットマットをゴムマットの表面に重ねて、そのゴムマットの周縁部に設けた側壁で囲繞することにより、カーペットマットのずれを防止できる。
【0008】
一方、ゴムマットの使用時は、ゴムマットの側壁を下側にひっくり返すとともに、カーペットマットをゴムマットの裏面に配置して、ひっくり返した前記側壁内のスペースに収納することにより、カーペットマットを余分な保管場所を必要とすることなくコンパクトに収納できるとともに、ゴムマットの表面を常に上側に配置した状態で使用できるため、その表面に溜まった水や付着した泥がゴムマットの使用時にフロアカーペットに落下するのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0010】
図1〜図7は本発明にかかる車両用フロアマットおよびその選択使用方法の一実施形態を示し、図1はカーペットマットの使用状態を示すフロアマットの斜視図、図2はカーペットマットとゴムマットとを分離した状態を示す斜視図である。
【0011】
また、図3はゴムマットの側壁をひっくり返す手順を(a)〜(c)に順を追って示す斜視図、図4はゴムマットの使用状態でカーペットマットを分離した状態を示す斜視図、図5はカーペットマットの使用状態からゴムマットの使用状態に変更する手順を(a)〜(d)に順を追って示す要部を拡大した断面図であり、図6はカーペットマットの裏面を示す斜視図、図7は易屈曲部の異なる構成例を(a),(b)に示す拡大断面図である。
【0012】
本実施形態の車両用フロアマット1は、図1,図2に示すようにカーペットマット2とゴムマット3とを備え、天候や環境に応じてカーペットマット2とゴムマット3とを使い分けるようになっている。例えば、通常の使用状態ではカーペットマット2を用い、雨天時等の足下が濡れる場合等はゴムマット3を用いることができるようになっている。
【0013】
カーペットマット2は、カーペットや絨毯等の生地を用いて形成されて足下の高級感を醸し出すとともに、ゴムマット3は天然ゴムや合成ゴム等の水不透過性の弾性部材で形成される。
【0014】
カーペットマット2およびゴムマット3は、図2に示すように乗員足下のフロア形状に沿って形成され、ゴムマット3の表面3aの周縁部に、その表面3aに重ねたカーペットマット2の外周を囲繞するとともに、ゴムマット3の下側へのひっくり返しを可能に変形する側壁4を設けて、ゴムマット3の使用時に、不要となったカーペットマット2をゴムマット3の裏面3bに配置して、下側にひっくり返した前記側壁4内のスペースS(図5(c)参照)に収納するようになっている。
【0015】
また、本実施形態の車両用フロアマット1の選択使用方法は、カーペットマット2の使用時は、そのカーペットマット2をゴムマット3の表面3aに重ねてそのゴムマット3の周縁部に設けた側壁4で囲繞するとともに、ゴムマット3の使用時は、カーペットマット2をゴムマット3の裏面3bに配置して、ひっくり返した前記側壁4内のスペースSに収納するようになっている。
【0016】
即ち、前記ゴムマット3は、側壁4をゴムマット3の下側にひっくり返すことができるようになっており、その側壁4のひっくり返しは、まず、図3(a)の側壁4がゴムマット3の表面3aから起立した通常状態から図3(b)に示すように側壁4の一部をひっくり返し、そのひっくり返し部分を図3(c)に示すように側壁4の全周に亘らせるようになっている。
【0017】
そして、ゴムマット3の使用時には、図4に示すように側壁4をひっくり返したゴムマット3の下側に使用しない前記カーペットマット2を配置して、ゴムマット3の下側に側壁4をひっくり返して形成されるスペースS(図5(c)参照)内にカーペットマット2を収納するようにしてある。
【0018】
つまり、前記カーペットマット2の使用状態からゴムマット3の使用状態に移行する一連の動作を図5にまとめて説明すると、同図(a)はカーペットマット2の使用状態で、ゴムマット3の表面3aにカーペットマット2を重ねて載置するとともに、側壁4によってカーペットマット2の外周を囲繞してそのずれを防止してあり、この状態から同図(b)に示すようにゴムマット3からカーペットマット2を取り出す。
【0019】
そして、同図(c)に示すようにゴムマット3の側壁4を下側にひっくり返して、その側壁4の内方に形成されるスペースS内に、同図(d)に示すように前記カーペットマット2を収納する。このとき、カーペットマット2は通常の使用面となる表面2aを上側に配置した状態としておくことが望ましい。
【0020】
また、本実施形態では図2,図5(a)に示すように前記側壁4がゴムマット3の表面3aから起立した状態で、その側壁4の上端部に外方に突出する庇部5を設けてある。
【0021】
従って、このように庇部5を設けることにより、図5(c)に示すように側壁4を下側にひっくり返した際には、その庇部5がスペースSの内方に配置されることになる。
【0022】
更に、本実施形態では図2,図5に示すように前記ゴムマット3の表面3aに水溜用の凹部6を設けてある。凹部6は図2に示すように個々に菱形状に形成してゴムマット3の表面3aの全面に亘って多数配置してある。
【0023】
更にまた、図6に示すように前記カーペットマット2の裏面2bに、前記ゴムマット3の表面3aに設けた水溜用の凹部6に合致する多数の凸部7を設けて、図5(a)に示すようにカーペットマット2の使用状態で凹部6と凸部7とを互いに嵌合してある。
【0024】
また、本実施形態では図5(a),(b)に示すように、側壁4の付け根部分4aに、側壁4のひっくり返しを容易にする易屈曲部8を設けてある。
【0025】
この易屈曲部8としては、図7(a)に示すように側壁4の付け根部分4aの内側角部に溝8aを設けたり、同図(b)に示すように前記付け根部分4aの外側角部に溝8aを設けて構成することもできる。
【0026】
また、このように前記付け根部分4aの角部に溝8aを設けて易屈曲部8とする他に、図8に示すように前記付け根部分4aに中空部8bを設けて易屈曲部8とすることもできる。
【0027】
以上の構成により本実施形態によれば、カーペットマット2の使用時は、そのカーペットマット2をゴムマット3の表面3aに重ねて、そのゴムマット3の周縁部に設けた側壁4で囲繞することにより、カーペットマット2のずれを防止できる。
【0028】
一方、ゴムマット3の使用時は、ゴムマット3の側壁4を下側にひっくり返すとともに、カーペットマット2をゴムマット3の裏面3bに配置して、ひっくり返した前記側壁4内のスペースSに収納することにより、不要となったカーペットマット2を余分な保管場所を必要とすることなくコンパクトに収納できる。
【0029】
また、ゴムマット4は、カーペットマット2の使用時およびゴムマット3の使用時のいずれにあっても、そのゴムマット3の表面3aを常に上側に配置した状態で使用できるため、その表面3aの凹部6に溜まった水や表面3aに付着した泥がゴムマット3の使用時にフロアカーペットに落下するのを防止できる。
【0030】
更に、本実施形態では前記作用効果に加えて、前記側壁4の上端部には外方に突出する庇部5を設けたので、ゴムマット3の使用時に側壁4を下側にひっくり返した時に前記庇部5がスペースSの内方に配置されるため、その庇部5でゴムマット3の裏面3bに配置したカーペットマット2の周縁部下側を保持して、スペースSに収納したカーペットマット2の保持性を向上することができる。
【0031】
また、前記ゴムマット3の表面3aに水溜用の凹部6を設けたので、ゴムマット3に水が垂れた場合にも凹部6によってその水を確実に捉えることができるため、ゴムマット3に垂れた水をフロアカーペットにこぼれにくくすることができる。
【0032】
更に、前記カーペットマット2の裏面2bに、前記ゴムマット3の表面3aに設けた水溜用の凹部6に合致する凸部7を設けて、カーペットマット2の使用状態で凹部6と凸部7とを互いに嵌合したので、カーペットマット2とゴムマット3との一体性を高めてカーペットマット2のずれをより確実に防止できる。
【0033】
更にまた、側壁4の付け根部分4aに易屈曲部8を設けたので、側壁4のひっくり返しを容易にし、ひいては、カーペットマット2をゴムマット3の裏面3bに格納する作業を容易にすることができる。
【0034】
このとき、易屈曲部8としては、図7(a),(b)に示すように側壁4の付け根部分4aの内側角部または外側角部に溝8aを設けることにより容易に構成することができる。
【0035】
また、この他、図7(c)に示すように側壁4の付け根部分4aに中空部8bを設けて易屈曲部8を構成することにより、外観を向上することができる。
【0036】
なお、付け根部4aの角部の材質を軟質性で形成して易屈曲部8とすることもできる。
【0037】
ところで、本発明は前記実施形態に例をとって説明したが、この実施形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施形態を各種採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の一実施形態におけるカーペットマットの使用状態を示すフロアマットの斜視図。
【図2】本発明の一実施形態におけるカーペットマットとゴムマットとを分離した状態を示す斜視図。
【図3】本発明の一実施形態におけるゴムマットの側壁をひっくり返す手順を(a)〜(c)に順を追って示す斜視図。
【図4】本発明の一実施形態におけるゴムマットの使用状態でカーペットマットを分離した状態を示す斜視図。
【図5】本発明の一実施形態におけるカーペットマットの使用状態からゴムマットの使用状態に変更する手順を(a)〜(c)に順を追って示す要部を拡大した断面図。
【図6】本発明の一実施形態におけるカーペットマットの裏面を示す斜視図。
【図7】本発明の一実施形態における易屈曲部の異なる構成例を(a),(b),(c)に示す拡大断面図。
【符号の説明】
【0039】
1 車両用フロアマット
2 カーペットマット
2a カーペットマットの表面
2b カーペットマットの裏面
3 ゴムマット
3a ゴムマットの表面
3b ゴムマットの裏面
4 側壁
5 庇部
6 凹部
7 凸部
8 易屈曲部
8a 溝
8b 中空部
S スペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムマットとカーペットマットとを備え、ゴムマットの表面の周縁部に、その表面に重ねたカーペットマットの外周を囲繞するとともに、ゴムマットの下側へのひっくり返しが可能な側壁を設け、ゴムマットの使用時に、不要となったカーペットマットをゴムマットの裏面に配置して、下側にひっくり返した前記側壁内のスペースに収納可能としたことを特徴とする車両用フロアマット。
【請求項2】
側壁がゴムマットの表面から起立した状態で、その側壁の上端部に外方に突出する庇部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両用フロアマット。
【請求項3】
ゴムマットの表面に水溜用の凹部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の車両用フロアマット。
【請求項4】
カーペットマットの裏面に、前記ゴムマットの表面に設けた水溜用の凹部に嵌る凸部を設けて、カーペットマットの使用状態でそれら凹部と凸部とを互いに嵌合するようにしたことを特徴とする請求項3に記載の車両用フロアマット。
【請求項5】
側壁の付け根部分に、側壁のひっくり返しを容易にする易屈曲部を設けたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の車両用フロアマット。
【請求項6】
易屈曲部を、側壁の付け根部分の内側角部または外側角部に溝を設けて構成したことを特徴とする請求項5に記載の車両用フロアマット。
【請求項7】
易屈曲部を、側壁の付け根部分に中空部を設けて構成したことを特徴とする請求項5に記載の車両用フロアマット。
【請求項8】
カーペットマットの使用時は、該カーペットマットをゴムマットの表面に重ねて該ゴムマットの周縁部に設けた側壁で囲繞するとともに、ゴムマットの使用時は、カーペットマットをゴムマットの裏面に配置して、ひっくり返した前記側壁内のスペースに収納することを特徴とする車両用フロアマットの選択使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−55533(P2007−55533A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−245888(P2005−245888)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】