説明

車両用ホイール

【課題】 意匠性に優れ構成も簡単な車両用ホイールを提供する。
【解決手段】
車両用ホイールは、ホイール本体10と加飾部材20とを備えている。ホイール本体10は、ハブ部13からリム部11に向かって放射状に延びる複数のスポーク部14を有し、スポーク部14間に飾り穴15が形成されている。加飾部材20は、スポーク部14の裏面に固定される取付部21と、この取付部21に設けられて飾り穴15に配置される加飾部22とを有している。スポーク部14の裏面にはねじ穴が形成され、加飾部材20の取付部21は、このねじ穴にねじ込まれるボルトにより固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホイール本体に別体をなす加飾部材を装着した車両用ホイールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜3に開示されているように、ホイール本体に別体をなす加飾部材を装着した車両用ホイールは公知である。これら加飾部材は、ホイール本体のディスク部の意匠面の一部または全部を覆うようにして装着されている。
【特許文献1】特開平11−227402号公報
【特許文献2】特開2002−79801号公報
【特許文献3】特開2003−159901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記車両用ホイールでは、ホイール本体の意匠面が隠れるため、ホイール本体自身の意匠を十分に生かすことができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、ホイール本体と加飾部材とを備え、ホイール本体が、ハブ部からリム部に向かって放射状に延びる複数のスポーク部を有し、スポーク部間に飾り穴を形成してなる車両用ホイールにおいて、上記加飾部材は、スポーク部の裏面に固定される取付部と、この取付部に設けられて上記飾り穴に配置される加飾部とを有することを要旨とする。
【0005】
この構成によれば、ホイール本体の意匠面が加飾部材によって殆ど覆われず、ホイール本体と加飾部材が協働して、良好な意匠性を発揮することができる。また、加飾部材をスポーク部に固定する手段がスポーク部に隠され、加飾部材に露出することもないので、この点から意匠性を向上させることができる。
【0006】
好ましくは、上記スポーク部の裏面にねじ穴が形成され、上記加飾部材の取付部にはこのねじ穴に対応した箇所に貫通穴が形成され、ボルトを取付部の貫通穴に通しスポーク部のねじ穴にねじ込むことにより、取付部をスポーク部に固定する。
この構成によれば、加飾部材を固定する手段を簡単な構成にすることができる。また、加飾部の交換も可能である。
【0007】
好ましくは、上記スポーク部の裏面において、少なくとも上記取付部を固定する領域が平坦をなし、上記加飾部材の取付部が平板形状をなして、この固定領域に当たっている。
この構成によれば、上記ボルトによる固定を確実に行うことができる。
【0008】
好ましくは、上記加飾部が、上記取付部からホイール本体の軸方向に突出して上記飾り穴に入り込んでいる。この構成によれば、加飾部が立体的に視認され、意匠効果をより一層高めることができる。
好ましくは、上記加飾部が上記スポーク部に近接している。この構成によれば、加飾部とスポーク部の対比効果が高まり、意匠効果をより一層高めることができる。
好ましくは、上記加飾部が上記スポーク部に沿って細長く延びている。この構成によれば、上記加飾部とスポーク部の対比効果をより一層高めることができる。
【0009】
好ましくは、上記加飾部材が複数装備され、各加飾部材の取付部におけるスポーク部の幅方向の両端に、上記加飾部が設けられている。この構成によれば、スポーク部の両側の加飾部により、意匠効果をさらに高めることができる。
【0010】
好ましくは、上記ホイール本体のスポーク部が小さい間隔で離間して対をなし、このスポーク部の対が複数設けられ、これにより、上記飾り窓は、隣り合う異なる対のスポーク部間に形成された複数の第1飾り窓と、対をなすスポーク部間に形成された複数の第2飾り窓とを含み、上記取付部は、上記対をなすスポーク部に掛け渡されるようにしてこれらスポーク部に固定され、その両端に第1加飾部が設けられ、その中央に第2加飾部が設けられ、上記第1加飾部が上記第1飾り窓に入り込んで対をなすスポーク部の外側の側縁に近接し、上記第2加飾部が上記第2飾り窓に入り込んでいる。
この構成によれば、対をなすスポーク部と3つの飾り部により、意匠効果をさらに高めることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、加飾部材を装着するにも拘わらずホイール本体の意匠を生かすことができるので、意匠性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の第1実施形態に係わる車両用ホイールを図1〜図4を参照しながら説明する。図1に示すように、車両用ホイールは、ホイール本体10と、複数例えば5個の加飾部材20とを備えている。
【0013】
図2に示されているように、上記ホイール本体10は、例えばアルミ合金等の軽金属の鋳造品からなり、外周にタイヤを装着する略円筒形のリム部11と、このリム部11の軸方向の端部に設けられたディスク部12とを備えている。
【0014】
上記ディスク部12は、中央部のハブ部13と、このハブ部13からリム部11に向かって放射状に延びる複数例えば5本のスポーク部14とを有している。
上記ハブ部13は、周知のように車軸に固定するための部位であり、ハブ穴13aと、ハブ穴13aの周囲に配置された複数のボルト穴13bとを有している。
【0015】
上記スポーク部14はホイール本体10の周方向に等しい間隔で離間しており、隣り合うスポーク部14間には飾り窓15が形成されている。
ディスク部12において、ホイール本体10を車軸に固定した状態で車両の反対側を向く面、すなわち図1、図2において手前を向く面が、意匠面となる。この意匠面には塗装等による表面処理がなされている。
【0016】
図4に示すように、スポーク部14において、意匠面の反対側の面すなわち裏面は平坦面をなしている。このスポーク部14の長手方向中央部の平坦な裏面は、上記加飾部材20のための固定領域14xとして提供され、この領域には、スポーク部14の幅方向(ホイール本体10の周方向)に離れた一対のねじ穴14aが形成されている。
【0017】
本実施形態では、上記加飾部材20は各スポーク部14に装着されるようになっている。加飾部材20は、例えば樹脂の射出成形品からなり、図3に示すように、平板形状の取付部21と、この取付部21の両端(スポーク部14の幅方向の両端)に設けられた一対の加飾部22とを一体に有している。加飾部材20において、少なくとも加飾部22には、メッキ処理、塗装処理等の表面処理がなされている。
【0018】
図4に示すように、上記取付部21は、上記スポーク部14の裏面の上記固定領域に固定されている。詳述すると、取付部21には、上記スポーク部14のねじ穴14aに対応した2箇所に貫通穴21aが形成されている。ボルト30を、取付部21の裏側から貫通穴21aに通し、スポーク部14のねじ穴14aにねじ込むことにより、ボルト30の頭部で取付部21をスポーク部14の裏面に押し付けるようにして固定する。
【0019】
上述したように、加飾部材20をスポーク部14に固定する手段は、ボルト30と、加飾部材20の貫通穴21aと、スポーク部14のねじ穴14aにより構成され、構造が簡単であるとともに、加飾部材20の取り付けおよび交換も容易である。
また、平板形状の取付部21をスポーク部14の裏面の平坦な固定領域14xに直接当てて固定するため、固定強度を高めることができる。
【0020】
図4に示すように、上記加飾部22は取付部21とほぼ直交するようにして、ホイール本体10の軸方向に突出しており、飾り窓15に入り込んでいる。また、一対の加飾部22はスポーク部14の両側縁に近接し、この両側縁に沿って細長く延びている。
【0021】
上記構成をなす車両用ホイールでは、加飾部材20をホイール本体10のスポーク部14の裏面に固定し、加飾部22を飾り窓15に配置するので、ホイール本体10の意匠面をそのまま生かすことができ、このホイール本体10の意匠面と加飾部材20の加飾部22とが協働して、良好な意匠性を発揮することができる。しかも、加飾部材20をホイール本体10へ固定するための手段がスポーク部に隠されており、その一部が加速部材に露出されることも無いので、この点からも意匠性を高めることができる。
【0022】
また、スポーク部14の両側縁に近接しこの両側縁に沿うようにして加飾部22を配置したので、良好なさらに意匠性を向上させることができる。
【0023】
次に、本発明の第2実施形態について図5〜図8を参照しながら説明する。本実施形態において、前述した第1実施形態に対応する構成部には同番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0024】
本実施形態のホイール本体10Aは、ツインスポーク型と称されるものであり、図5、図6に示すように、第1実施形態の幅広の1本のスポーク部14に代わって、対をなす2本の細いスポーク部14Aを有している。対をなすスポーク部14Aの間隔は小さく、これにより、狭い飾り窓16(第2飾り窓)が形成されている。
隣り合う異なる対のスポーク部14A間の間隔は、上記対をなすスポーク部14A間に間隔に比べて大きく、これにより広い飾り窓15(第1飾り窓)が形成されている。
【0025】
本実施形態で用いられる加飾部材20Aは、第1実施形態の加飾部材20と同様にして製造され、取付部21と、この取付部21の両端(スポーク部14Aの幅方向の)に設けられた加飾部22(第1加飾部)と、取付部21の中央に設けられた加飾部23(第2加飾部)とを一体に有している。
【0026】
上記取付部21は細長い平板形状をなし、スポーク部14Aの幅方向に延び、対をなす2本のスポーク部14Aに掛け渡されており、これらスポーク部14Aの平坦な裏面の固定領域に接し、ボルト30により固定されている。
【0027】
上記加飾部22,23は、取付部21からホイール本体10Aの軸方向に突出しており、加飾部22が飾り窓15に入り込み、加飾部23が飾り窓16に入り込んでいる。
【0028】
上記加飾部22は、対をなすスポーク部14Aの外側の側縁(対峙するスポーク部14Aの反対側の側縁)に近接し、このスポーク部14Aの側縁に沿って細長く延びている。上記加飾部23もスポーク部14Aに沿って細長く延びている。
【0029】
本発明は上記実施形態に制約されず、種々の態様を採用可能である。例えば、加飾部材はスポーク部毎に装着せず、選択したスポーク部だけに装着してもよい。
また、単一の加飾部材をホイール本体に装着するようにしてもよい。この場合、加飾部材は、例えば環状部とこの環状部に設けられた加飾部とを有し、環状部においてホイール本体のスポーク部裏面に固定される領域が取付部として提供される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1実施形態をなす車両用ホイールの正面図である。
【図2】同車両用ホイールのホイール本体を示す正面図である。
【図3】同車両用ホイールの加飾部材を示す正面図である。
【図4】図1におけるIV―IV線に沿う断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態をなす車両用ホイールの正面図である。
【図6】同車両用ホイールのホイール本体を示す正面図である。
【図7】同車両用ホイールの加飾部材を示す正面図である。
【図8】図5におけるVIII―VIII線に沿う断面図である。
【符号の説明】
【0031】
10,10A ホイール本体
14、14A スポーク部
14a ねじ穴
14x 固定領域
15 飾り穴、第1飾り穴
16 第2飾り穴
20,20A 加飾部材
21 取付部
21a 貫通穴
22 加飾部、第1加飾部
23 第2加飾部
30 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホイール本体と加飾部材とを備え、ホイール本体が、ハブ部からリム部に向かって放射状に延びる複数のスポーク部を有し、スポーク部間に飾り穴を形成してなる車両用ホイールにおいて、
上記加飾部材は、スポーク部の裏面に固定される取付部と、この取付部に設けられて上記飾り穴に配置される加飾部とを有することを特徴とする車両用ホイール。
【請求項2】
上記スポーク部の裏面にねじ穴が形成され、上記加飾部材の取付部にはこのねじ穴に対応した箇所に貫通穴が形成され、ボルトを取付部の貫通穴に通しスポーク部のねじ穴にねじ込むことにより、取付部をスポーク部に固定することを特徴とする請求項1に記載の車両用ホイール。
【請求項3】
上記スポーク部の裏面において、少なくとも上記取付部を固定する領域が平坦をなし、上記加飾部材の取付部が平板形状をなしてこの固定領域に当たっていることを特徴とする請求項2に記載の車両用ホイール。
【請求項4】
上記加飾部が、上記取付部からホイール本体の軸方向に突出して上記飾り穴に入り込んでいることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用ホイール。
【請求項5】
上記加飾部が上記スポーク部に近接していることを特徴とする請求項4に記載の車両用ホイール。
【請求項6】
上記加飾部が上記スポーク部に沿って細長く延びていることを特徴とする請求項5に記載の車両用ホイール。
【請求項7】
上記加飾部材が複数装備され、各加飾部材の取付部におけるスポーク部の幅方向の両端に、上記加飾部が設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の車両用ホイール。
【請求項8】
上記ホイール本体のスポーク部が小さい間隔で離間して対をなし、このスポーク部の対が複数設けられ、これにより、上記飾り窓は、隣り合う異なる対のスポーク部間に形成された複数の第1飾り窓と、対をなすスポーク部間に形成された複数の第2飾り窓とを含み、
上記取付部は、上記対をなすスポーク部に掛け渡されるようにしてこれらスポーク部に固定され、その両端に第1加飾部が設けられ、その中央に第2加飾部が設けられ、
上記第1加飾部が上記第1飾り窓に入り込んで対をなすスポーク部の外側の側縁に近接し、上記第2加飾部が上記第2飾り窓に入り込んでいることを特徴とする請求項5または6に記載の車両用ホイール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−247131(P2008−247131A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−89152(P2007−89152)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)