車両用ボールタイプ等速ジョイント
【課題】最大切れ角量の向上と共に、ボール及びアウターレースの接触圧力を減らせる、車両用ボールタイプ等速ジョイントを提供する。
【解決手段】シャフトの一端に連結設けられるインナーレースと、それの外部に設けられるアウターレースと、前記インナーレースの回転動力を該アウターレースに伝達する複数個のボールと、該ボールを各々保持する窓が形成されているケージとを含んでおり、前記アウターレースのボールトラックはアウターレースの半径トラックと、それに連接されているアウターレースの直線トラックの区間に分け、前記インナーレースのボールトラックはインナーレースの直線トラックと、それに連接されているインナーレースの半径トラックの区間に分けて、切れ角にならない場合、前記アウターレースの半径トラックの回転中心と前記インナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上の同じ点に位置し、同一の垂直オフセット量を有する。
【解決手段】シャフトの一端に連結設けられるインナーレースと、それの外部に設けられるアウターレースと、前記インナーレースの回転動力を該アウターレースに伝達する複数個のボールと、該ボールを各々保持する窓が形成されているケージとを含んでおり、前記アウターレースのボールトラックはアウターレースの半径トラックと、それに連接されているアウターレースの直線トラックの区間に分け、前記インナーレースのボールトラックはインナーレースの直線トラックと、それに連接されているインナーレースの半径トラックの区間に分けて、切れ角にならない場合、前記アウターレースの半径トラックの回転中心と前記インナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上の同じ点に位置し、同一の垂直オフセット量を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ボールタイプ等速ジョイントに関し、より詳しくは、アウターレースのボールトラックをアウターレースの半径トラックとアウターレースの直線トラックの二つの区間に分け、インナーレースのボールトラックをインナーレースの直線トラックとインナーレースの半径トラックの二つの区間に分けて、アウターレースの半径トラックの回転中心とインナーレースの半径トラックの回転中心が同一の垂直オフセット量を有し、垂直中心軸上の同じ点に位置することによって最大切れ角量を向上させると共に、ボールとアウターレースとの接触圧力を減らすことができる、車両用ボールタイプ等速ジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ジョイントは回転軸の角度が互いに異なる回転軸に回転動力(トルク)を伝達するためのものであって、動力伝達角度が小さい推進軸の場合にはフックジョイントおよびフレキシブルジョイントなどが使用され、動力伝達角度が大きい前輪駆動車の駆動軸の場合には等速ジョイントが使用される。
【0003】
前記等速ジョイントは駆動軸と受動軸との交差角が大きい場合においても等速で円滑に動力を伝達できるので独立懸架方式の前輪駆動車のアクスル軸に主に用いられ、シャフトを中心としてエンジン側(インボード側)はトライポッドタイプジョイントからなり、シャフトを中心としてタイヤ側(アウトボード側)はボールタイプジョイントからなる。
【0004】
図1は一般的な等速ジョイントの断面構成図であり、図2は一般的な等速ジョイントの外形構成図である。
【0005】
図1および図2に示されているように、一般的な等速ジョイントの構成は、シャフト1を中心としてエンジン側(インボード側)はトライポッドタイプジョイントからなり、シャフト1を中心として車輪側(アウトボード側)はボールタイプジョイントからなる。
【0006】
シャフト1を中心としてエンジン側(インボード側)に設置されているトライポッドタイプジョイントの構成は、エンジン(図示せず)の回転動力を伝達し、内部にグルーブが形成されているハウジング2と、前記ハウジング2の回転動力が伝達されて回転するシャフト1と、前記ハウジング2とシャフト1とを連結するために前記シャフト1の一端に連結されて前記ハウジング2の内部に設けられ、トライポッドタイプのトラニオンが形成されているスパイダー3と、前記スパイダー3のトラニオンの外周面に設けられるニードルローラ6と、前記ニードルローラ6の外周面に設けられる球面ローラー5と、前記球面ローラー5の外周面に設けられて前記ハウジング2とシャフト1との摩擦を減少させる円筒ローラ4と、前記ニードルローラ6および球面ローラー5の上端に設けられるストライクアウト7と、クリップ8と、前記スパイダー3の側端に設けられるリテーナリング9と、前記ハウジング2に一端が連結され前記シャフト1に他端が連結されるブーツ10と、前記ブーツ10をそれぞれ固定させるためのクランピングバンド11、12とを含んで構成される。
【0007】
また、シャフト1を中心として車輪側(アウトボード側)に設置されているボールタイプジョイントの構成は、前記トライポッドタイプジョイントの回転動力が伝達されて回転するシャフト1と、前記シャフト1の一端に連結設けられるインナーレース15と、前記インナーレース15の外部に設けられるアウターレース13と、前記インナーレース15の回転動力を前記アウターレース13に伝達するための複数個のボール16と、前記ボール16を保持するためのケージ14と、前記アウターレース13の外部に設けられるセンサリング17と、前記シャフト1に一端が連結され前記アウターレース13に他端が連結されるブーツ18と、前記ブーツ18を固定させるためのクランピングバンド19、20とを含んで構成される。
【0008】
そして、シャフト1の中間にはダンパー21がバンド22、23を利用して設けられ、前記ダンパー21は本体212の内部に質量体211が設けられる構造からなる。
【0009】
以下、前記構成による一般的な等速ジョイントの作用について説明する。
エンジン(図示せず)から出力された回転動力がトランスミッション(図示せず)を経由してハウジング2に伝達されるとハウジング2が回転し、このようなハウジング2の回転動力は円筒ローラ4、球面ローラー5およびニードルローラ6を通じてスパイダー3に伝達されることによって、スパイダー3に連結されているシャフト1を回転させる。
【0010】
また、前記シャフト1の回転動力はインナーレース15およびボール16を経由してアウターレース13に伝達されることによって、アウターレース13に連結される車輪(図示せず)を回転させることになる。
【0011】
この場合、シャフト1を中心としてエンジン側(インボード側)に設置されているトライポッドタイプジョイントでは円筒ローラ4がハウジング2のグルーブ内をスライディング移動することによって、円筒ローラ4と関連しているシャフト1の回転角度が異なることになり、これによって、車両の変位によって切れ角になり、シャフト1を中心として車輪側(アウトボード側)に設置されているボールタイプジョイントではボール16によってアウターレース13の回転角度が異なることになるので、車両の変位によって切れ角になる。
【0012】
これと共に、トライポッドタイプジョイント側のブーツ10およびボールタイプジョイント側のブーツ18は、それぞれトライポッドタイプジョイントおよびボールタイプジョイントの外部を取り囲んで密封させることによって、トライポッドタイプジョイントおよびボールタイプジョイントが外部汚染物質によって損傷するのを防止する。
【0013】
また、エンジンから出力されたトルクがトランスミッションを経由してシャフト1を通じて車輪側にトルクを伝達する時、高速で回転するシャフト1においてある回転速度では不均衡回転が発生することになるが、このような不均衡回転は望ましくない振動をもたらして駆動系の作動に好ましくない影響を与えることになる。このような不均衡回転による望ましくない振動を抑制するためにシャフト1の中間部分に設けられたダンパー2はシャフト1の高速回転時、シャフト1から発生する有害な振動周波数によるブーミングノイズ(booming noise)を防止する。
【0014】
図3は従来の車両用ボールタイプ等速ジョイントの分解構成図であり、図4は従来の車両用ボールタイプ等速ジョイントの斜視構成図であり、図5は従来の車両用ボールタイプ等速ジョイントの切れ角前の断面構成図であり、図6は従来の車両用ボールタイプ等速ジョイントの切れ角後の断面構成図である。
【0015】
図3乃至図6に示されているように、従来の車両用ボールタイプ等速ジョイントは、ケージ14およびインナーレース15がボール16を固定しており、操向によってボール16がアウターレース13の内周面に長さ方向に形成されているグルーブ131内を移動する構造からなる。
【0016】
アウターレース13のボールトラックOBTは回転中心r2から半径R2の軌跡を描き、インナーレース15のボールトラックIBTは回転中心r3から半径R3の軌跡を描いて形成される。
【0017】
ボール16の中心からアウターレース13のボールトラックOBTの回転中心r2とインナーレース15のボールトラックIBTの回転中心r3とのなす漏斗角fは六つのボールタイプジョイントである場合は14〜17であり、八つのボールタイプジョイントである場合は8〜14である。前記漏斗角fはジョイントの切れ角および回転運動を円滑にするが、このような漏斗角fが確保できないとジョイントの挟みおよび効率低下などが発生することになる。
【0018】
前記アウターレース13のボールトラックOBTの回転中心r2と前記インナーレース15のボールトラックIBTの回転中心r3はジョイント回転中心r1を基準にして一定のオフセット量R1を有して平行に位置している。切れ角時にケージ14およびボール16はインナーレース15の切れ角量の半角ほど回転し、アウターレース13のボールトラック回転中心r2とインナーレース15のボールトラック回転中心r3はジョイント回転中心r1を基準にしてオフセット量R1を半径にして回転する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、前記従来のボールタイプ等速ジョイントは、最大切れ角量が46度乃至50度までに限られる問題点がある。
【0020】
本発明の目的は前記のような従来の問題点を解決するためのものであって、アウターレースのボールトラックをアウターレースの半径トラックとアウターレースの直線トラックの二つの区間に分け、インナーレースのボールトラックをインナーレースの直線トラックとインナーレースの半径トラックの二つの区間に分けて、アウターレースの半径トラックの回転中心とインナーレースの半径トラックの回転中心が同一の垂直オフセット量を有し、垂直中心軸上の同じ点に位置することによって最大切れ角量を向上させると共に、ボールとアウターレースとの接触圧力を減らすことができる、車両用ボールタイプ等速ジョイントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記目的を達成するための手段として本発明の構成は、シャフトの一端に連結設けられるインナーレースと、前記インナーレースの外部に設けられるアウターレースと、前記インナーレースの回転動力を前記アウターレースに伝達するための複数個のボールと、前記ボールをそれぞれ保持するための窓が形成されているケージを含んで構成され、前記アウターレースのボールトラックはアウターレースの半径トラックとそれに連接されているアウターレースの直線トラックの二つの区間に分け、前記インナーレースのボールトラックはインナーレースの直線トラックとそれに連接されているインナーレースの半径トラックの二つの区間に分けて、切れ角にならない場合は、前記アウターレースの半径トラックの回転中心と前記インナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上の同じ点に位置し、同一の垂直オフセット量を有した方が望ましい。
【0022】
本発明の構成は、前記アウターレースの半径トラックの回転中心とインナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上のジョイント回転中心より上方の同じ点に位置した方が望ましい。
【0023】
本発明の構成は、前記アウターレースの半径トラックの回転中心と前記インナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上のジョイント回転中心より上方の同じ点にある時、オフセット量f1とP.C.Dとの比率f1/P.C.Dは0〜0.2である方が望ましい。
【0024】
本発明の構成は、前記アウターレースの半径トラックの回転中心とインナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上のジョイント回転中心より下方の同じ点に位置した方が望ましい。
【0025】
本発明の構成は、前記アウターレースの半径トラックの回転中心と前記インナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上のジョイント回転中心より下方の同じ点にある時、オフセット量f1とP.C.Dとの比率f1/P.C.Dは0より大きい方が望ましい。
【0026】
本発明の構成は、前記アウターレースの直線トラックの傾斜角度の範囲は0〜10degである方が望ましい。
【0027】
本発明の構成は、前記インナーレースの直線トラックの傾斜角度の範囲は0〜10degである方が望ましい。
【0028】
本発明の構成は、切れ角にならない場合、前記ボールは傾斜角度を有するアウターレースの直線トラックと傾斜角度を有するインナーレースの直線トラックとの間に位置した方が望ましい。
【0029】
本発明の構成は、切れ角になると一つ以上のボールがアウターレースの半径トラックとインナーレースの半径トラックとの間に位置した方が望ましい。
【0030】
本発明の構成は、切れ角になる場合、最大54度までになる方が望ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、アウターレースのボールトラックをアウターレースの半径トラックとアウターレースの直線トラックの二つの区間に分け、インナーレースのボールトラックをインナーレースの直線トラックとインナーレースの半径トラックの二つの区間に分けて、アウターレースの半径トラックの回転中心とインナーレースの半径トラックの回転中心が同一の垂直オフセット量を有し、垂直中心軸上の同じ点に位置することによって最大切れ角量を向上させると共に、ボールとアウターレースとの接触圧力を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】一般的な等速ジョイントの断面構成図である。
【図2】一般的な等速ジョイントの外形構成図である。
【図3】従来の車両用ボールタイプ等速ジョイントの分解構成図である。
【図4】従来の車両用ボールタイプ等速ジョイントの斜視構成図である。
【図5】従来の車両用ボールタイプ等速ジョイントの切れ角前の断面構成図である。
【図6】従来の車両用ボールタイプ等速ジョイントの切れ角後の断面構成図である。
【図7】本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの斜視構成図である。
【図8】本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの断面構成図である。
【図9】図8のA-A線断面図である。
【図10】本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの半径トラックの回転中心がジョイント回転中心の上方にある場合の断面構成図である。
【図11】本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの半径トラックの回転中心がジョイント回転中心の上方にある場合のアウターレースの凹部詳細断面構成図である。
【図12】本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの半径トラックの回転中心がジョイント回転中心の下方にある場合の断面構成図である。
【図13】本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの半径トラックの回転中心がジョイント回転中心の下方にある場合のアウターレースの凹部詳細断面構成図である。
【図14】本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントが切れ角になる場合の断面構成図である。
【図15】本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントが切れ角になる場合の凹部詳細断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるように詳しく説明するために、本発明の最も望ましい実施例を添付図面を参照して詳しく説明する。本発明の目的、作用および効果を含んだその他の目的、特徴点並びに動作上の利点などが望ましい実施例の説明によって、より明確になるだろう。
【0034】
また、本発明における実施例は様々の実施可能な例中において当業者の理解のために最も望ましい実施例を選択して提示しているものであって、本発明の技術的な思想が必ずそれらに限定されるものではなく、本発明の技術的な思想を外れない範囲内で多様な変化、付加および変更が可能であるのはもちろんであり、均等な他の実施例も実施可能である。
【0035】
図7乃至図15に示されているように、本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの構成は、シャフトの一端に連結設けられるインナーレース35と、前記インナーレース35の外部に設けられるアウターレース33と、前記インナーレース35の回転動力を前記アウターレース33に伝達するための複数個のボール36と、前記ボール36をそれぞれ保持するための窓が形成されているケージ34とを含んで構成され、前記アウターレース33のボールトラック33Bはジョイント回転中心Oから半径R1を有するアウターレースの半径トラック33B1と、それに連接して傾斜角度33Cを有するアウターレースの直線トラック33B2の二つの区間に分け、前記インナーレース35のボールトラック35Bは傾斜角度35Cを有するインナーレースの直線トラック35B2と、それに連接してジョイント回転中心Oから半径R2を有するインナーレースの半径トラック35B1の二つの区間に分けて、切れ角にならない場合は前記アウターレースの半径トラック33B1の回転中心O1Aと前記インナーレースの半径トラック35B1の回転中心O2Aが垂直中心軸Z上の同じ点に位置し、同一の垂直オフセット量f1、f2を有する構造からなる。
【0036】
図10は本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの半径トラックの回転中心がジョイント回転中心の上方にある場合の断面構成図であり、図11は本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの半径トラックの回転中心がジョイント回転中心の上方にある場合のアウターレースの凹部詳細断面構成図であって、図10および図11に示されているように、アウターレースの半径トラック33B1の回転中心O1Aと前記インナーレースの半径トラック35B1の回転中心O2Aが垂直中心軸Z上のジョイント回転中心Oより上方の同じ点に位置し、同一の垂直オフセット量f1を有する構造からなる。また、前記のようにアウターレースの半径トラック33B1の回転中心O1Aと前記インナーレースの半径トラック35B1の回転中心O2Aが垂直中心軸Z上のジョイント回転中心Oより上方にある時、オフセット量f1とP.C.Dとの比率f1/P.C.Dは0〜0.2である構造からなる。前記P.C.Dはジョイント回転中心Oを中心に置いて、互いに対向している二つのボール36の中心間の距離である。
【0037】
図12は本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの半径トラックの回転中心がジョイント回転中心の下方にある場合の断面構成図であり、図13は本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの半径トラックの回転中心がジョイント回転中心の下方にある場合のアウターレースの凹部詳細断面構成図であって、図12および図13に示されているように、アウターレースの半径トラック33B1の回転中心O1Aと前記インナーレースの半径トラック35B1の回転中心O2Aが垂直中心軸Z上のジョイント回転中心Oより下方の同じ点に位置し、同一の垂直オフセット量f2を有する構造からなる。また、前記アウターレースの半径トラック33B1の回転中心O1Aと前記インナーレースの半径トラック35B1の回転中心O2Aが垂直中心軸Z上のジョイント回転中心Oより下方にある時、オフセット量f2とP.C.Dとの比率f2/P.C.Dは0より大きい構造からなる。
【0038】
前記ジョイント回転中心Oは二つの水平中心軸X、Yと垂直中心軸Zとが合う点からなる。
【0039】
前記アウターレースの直線トラック33B2の傾斜角度33Cおよび、前記インナーレースの直線トラック35B2の傾斜角度35Cの範囲は0〜10degである。
【0040】
前記アウターレース33の内球面33Aとアウターレースの半径トラック33B1との間の距離L1は、ボール36との接触深さになる。
【0041】
前記ケージ34の外球面34Aは半径R3Aを有し、前記アウターレース33の内球面33Aと接する構造からなる。
【0042】
前記ケージ34の内球面34Bは半径R3Bを有し、前記インナーレース35の外球面35Aと接する構造からなる。
【0043】
切れ角にならない場合、前記ボール36は傾斜角度33Cを有するアウターレースの直線トラック33B2と傾斜角度35Cを有するインナーレースの直線トラック35B2との間に位置して方向性を与えることによって、円滑な作動が行われることになる。
【0044】
図14は本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントが切れ角になる場合の断面構成図であり、図15は本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントが切れ角になる場合の凹部詳細断面構成図であって、図14および図15に示されているように、切れ角になれば、少なくとも一つ以上のボール36がアウターレースの半径トラック33B1とインナーレースの半径トラック35B1との間に位置して漏斗角fuを発生させる構造からなる。前記漏斗角fuは、ボール36の中心からアウターレースの半径トラック33B1の回転中心O1Aとインナーレースの半径トラック35B1の回転中心O2Aとのなす角であって、ジョイントの切れ角および回転運動が円滑になるようにする。
【0045】
以下、前記構成による本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの作用について説明する。
【0046】
エンジン(図示せず)から出力された回転動力がシャフトを回転させると、シャフトの回転動力はインナーレース35およびボール36を経由してアウターレース33に伝達されることによって、アウターレース33に連結する車輪(図示せず)を回転させることになる。
【0047】
シャフトを中心として車輪側(アウトボード側)に設置されているボールタイプ等速ジョイントではボール36によってアウターレース33の回転角度が異なることになるので車両の変位によって切れ角になるが、この場合、最大54度まで可能である。
【0048】
切れ角になると一つ以上のボール36がアウターレースの半径トラック33B1とインナーレースの半径トラック35B1との間に位置することになるが、このようにボール36がアウターレースの半径トラック33B1に位置になると前記アウターレース33の内球面33Aとアウターレースの半径トラック33B1との間の距離L1が相対的に長く形成されているため、ボール36とアウターレース33との接触面が大きくなり、これによって接触圧力を減らすことができる。
【符号の説明】
【0049】
1 シャフト
33 アウターレース
34 ケージ
35 インナーレース
36 ボール
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ボールタイプ等速ジョイントに関し、より詳しくは、アウターレースのボールトラックをアウターレースの半径トラックとアウターレースの直線トラックの二つの区間に分け、インナーレースのボールトラックをインナーレースの直線トラックとインナーレースの半径トラックの二つの区間に分けて、アウターレースの半径トラックの回転中心とインナーレースの半径トラックの回転中心が同一の垂直オフセット量を有し、垂直中心軸上の同じ点に位置することによって最大切れ角量を向上させると共に、ボールとアウターレースとの接触圧力を減らすことができる、車両用ボールタイプ等速ジョイントに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ジョイントは回転軸の角度が互いに異なる回転軸に回転動力(トルク)を伝達するためのものであって、動力伝達角度が小さい推進軸の場合にはフックジョイントおよびフレキシブルジョイントなどが使用され、動力伝達角度が大きい前輪駆動車の駆動軸の場合には等速ジョイントが使用される。
【0003】
前記等速ジョイントは駆動軸と受動軸との交差角が大きい場合においても等速で円滑に動力を伝達できるので独立懸架方式の前輪駆動車のアクスル軸に主に用いられ、シャフトを中心としてエンジン側(インボード側)はトライポッドタイプジョイントからなり、シャフトを中心としてタイヤ側(アウトボード側)はボールタイプジョイントからなる。
【0004】
図1は一般的な等速ジョイントの断面構成図であり、図2は一般的な等速ジョイントの外形構成図である。
【0005】
図1および図2に示されているように、一般的な等速ジョイントの構成は、シャフト1を中心としてエンジン側(インボード側)はトライポッドタイプジョイントからなり、シャフト1を中心として車輪側(アウトボード側)はボールタイプジョイントからなる。
【0006】
シャフト1を中心としてエンジン側(インボード側)に設置されているトライポッドタイプジョイントの構成は、エンジン(図示せず)の回転動力を伝達し、内部にグルーブが形成されているハウジング2と、前記ハウジング2の回転動力が伝達されて回転するシャフト1と、前記ハウジング2とシャフト1とを連結するために前記シャフト1の一端に連結されて前記ハウジング2の内部に設けられ、トライポッドタイプのトラニオンが形成されているスパイダー3と、前記スパイダー3のトラニオンの外周面に設けられるニードルローラ6と、前記ニードルローラ6の外周面に設けられる球面ローラー5と、前記球面ローラー5の外周面に設けられて前記ハウジング2とシャフト1との摩擦を減少させる円筒ローラ4と、前記ニードルローラ6および球面ローラー5の上端に設けられるストライクアウト7と、クリップ8と、前記スパイダー3の側端に設けられるリテーナリング9と、前記ハウジング2に一端が連結され前記シャフト1に他端が連結されるブーツ10と、前記ブーツ10をそれぞれ固定させるためのクランピングバンド11、12とを含んで構成される。
【0007】
また、シャフト1を中心として車輪側(アウトボード側)に設置されているボールタイプジョイントの構成は、前記トライポッドタイプジョイントの回転動力が伝達されて回転するシャフト1と、前記シャフト1の一端に連結設けられるインナーレース15と、前記インナーレース15の外部に設けられるアウターレース13と、前記インナーレース15の回転動力を前記アウターレース13に伝達するための複数個のボール16と、前記ボール16を保持するためのケージ14と、前記アウターレース13の外部に設けられるセンサリング17と、前記シャフト1に一端が連結され前記アウターレース13に他端が連結されるブーツ18と、前記ブーツ18を固定させるためのクランピングバンド19、20とを含んで構成される。
【0008】
そして、シャフト1の中間にはダンパー21がバンド22、23を利用して設けられ、前記ダンパー21は本体212の内部に質量体211が設けられる構造からなる。
【0009】
以下、前記構成による一般的な等速ジョイントの作用について説明する。
エンジン(図示せず)から出力された回転動力がトランスミッション(図示せず)を経由してハウジング2に伝達されるとハウジング2が回転し、このようなハウジング2の回転動力は円筒ローラ4、球面ローラー5およびニードルローラ6を通じてスパイダー3に伝達されることによって、スパイダー3に連結されているシャフト1を回転させる。
【0010】
また、前記シャフト1の回転動力はインナーレース15およびボール16を経由してアウターレース13に伝達されることによって、アウターレース13に連結される車輪(図示せず)を回転させることになる。
【0011】
この場合、シャフト1を中心としてエンジン側(インボード側)に設置されているトライポッドタイプジョイントでは円筒ローラ4がハウジング2のグルーブ内をスライディング移動することによって、円筒ローラ4と関連しているシャフト1の回転角度が異なることになり、これによって、車両の変位によって切れ角になり、シャフト1を中心として車輪側(アウトボード側)に設置されているボールタイプジョイントではボール16によってアウターレース13の回転角度が異なることになるので、車両の変位によって切れ角になる。
【0012】
これと共に、トライポッドタイプジョイント側のブーツ10およびボールタイプジョイント側のブーツ18は、それぞれトライポッドタイプジョイントおよびボールタイプジョイントの外部を取り囲んで密封させることによって、トライポッドタイプジョイントおよびボールタイプジョイントが外部汚染物質によって損傷するのを防止する。
【0013】
また、エンジンから出力されたトルクがトランスミッションを経由してシャフト1を通じて車輪側にトルクを伝達する時、高速で回転するシャフト1においてある回転速度では不均衡回転が発生することになるが、このような不均衡回転は望ましくない振動をもたらして駆動系の作動に好ましくない影響を与えることになる。このような不均衡回転による望ましくない振動を抑制するためにシャフト1の中間部分に設けられたダンパー2はシャフト1の高速回転時、シャフト1から発生する有害な振動周波数によるブーミングノイズ(booming noise)を防止する。
【0014】
図3は従来の車両用ボールタイプ等速ジョイントの分解構成図であり、図4は従来の車両用ボールタイプ等速ジョイントの斜視構成図であり、図5は従来の車両用ボールタイプ等速ジョイントの切れ角前の断面構成図であり、図6は従来の車両用ボールタイプ等速ジョイントの切れ角後の断面構成図である。
【0015】
図3乃至図6に示されているように、従来の車両用ボールタイプ等速ジョイントは、ケージ14およびインナーレース15がボール16を固定しており、操向によってボール16がアウターレース13の内周面に長さ方向に形成されているグルーブ131内を移動する構造からなる。
【0016】
アウターレース13のボールトラックOBTは回転中心r2から半径R2の軌跡を描き、インナーレース15のボールトラックIBTは回転中心r3から半径R3の軌跡を描いて形成される。
【0017】
ボール16の中心からアウターレース13のボールトラックOBTの回転中心r2とインナーレース15のボールトラックIBTの回転中心r3とのなす漏斗角fは六つのボールタイプジョイントである場合は14〜17であり、八つのボールタイプジョイントである場合は8〜14である。前記漏斗角fはジョイントの切れ角および回転運動を円滑にするが、このような漏斗角fが確保できないとジョイントの挟みおよび効率低下などが発生することになる。
【0018】
前記アウターレース13のボールトラックOBTの回転中心r2と前記インナーレース15のボールトラックIBTの回転中心r3はジョイント回転中心r1を基準にして一定のオフセット量R1を有して平行に位置している。切れ角時にケージ14およびボール16はインナーレース15の切れ角量の半角ほど回転し、アウターレース13のボールトラック回転中心r2とインナーレース15のボールトラック回転中心r3はジョイント回転中心r1を基準にしてオフセット量R1を半径にして回転する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、前記従来のボールタイプ等速ジョイントは、最大切れ角量が46度乃至50度までに限られる問題点がある。
【0020】
本発明の目的は前記のような従来の問題点を解決するためのものであって、アウターレースのボールトラックをアウターレースの半径トラックとアウターレースの直線トラックの二つの区間に分け、インナーレースのボールトラックをインナーレースの直線トラックとインナーレースの半径トラックの二つの区間に分けて、アウターレースの半径トラックの回転中心とインナーレースの半径トラックの回転中心が同一の垂直オフセット量を有し、垂直中心軸上の同じ点に位置することによって最大切れ角量を向上させると共に、ボールとアウターレースとの接触圧力を減らすことができる、車両用ボールタイプ等速ジョイントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記目的を達成するための手段として本発明の構成は、シャフトの一端に連結設けられるインナーレースと、前記インナーレースの外部に設けられるアウターレースと、前記インナーレースの回転動力を前記アウターレースに伝達するための複数個のボールと、前記ボールをそれぞれ保持するための窓が形成されているケージを含んで構成され、前記アウターレースのボールトラックはアウターレースの半径トラックとそれに連接されているアウターレースの直線トラックの二つの区間に分け、前記インナーレースのボールトラックはインナーレースの直線トラックとそれに連接されているインナーレースの半径トラックの二つの区間に分けて、切れ角にならない場合は、前記アウターレースの半径トラックの回転中心と前記インナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上の同じ点に位置し、同一の垂直オフセット量を有した方が望ましい。
【0022】
本発明の構成は、前記アウターレースの半径トラックの回転中心とインナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上のジョイント回転中心より上方の同じ点に位置した方が望ましい。
【0023】
本発明の構成は、前記アウターレースの半径トラックの回転中心と前記インナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上のジョイント回転中心より上方の同じ点にある時、オフセット量f1とP.C.Dとの比率f1/P.C.Dは0〜0.2である方が望ましい。
【0024】
本発明の構成は、前記アウターレースの半径トラックの回転中心とインナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上のジョイント回転中心より下方の同じ点に位置した方が望ましい。
【0025】
本発明の構成は、前記アウターレースの半径トラックの回転中心と前記インナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上のジョイント回転中心より下方の同じ点にある時、オフセット量f1とP.C.Dとの比率f1/P.C.Dは0より大きい方が望ましい。
【0026】
本発明の構成は、前記アウターレースの直線トラックの傾斜角度の範囲は0〜10degである方が望ましい。
【0027】
本発明の構成は、前記インナーレースの直線トラックの傾斜角度の範囲は0〜10degである方が望ましい。
【0028】
本発明の構成は、切れ角にならない場合、前記ボールは傾斜角度を有するアウターレースの直線トラックと傾斜角度を有するインナーレースの直線トラックとの間に位置した方が望ましい。
【0029】
本発明の構成は、切れ角になると一つ以上のボールがアウターレースの半径トラックとインナーレースの半径トラックとの間に位置した方が望ましい。
【0030】
本発明の構成は、切れ角になる場合、最大54度までになる方が望ましい。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、アウターレースのボールトラックをアウターレースの半径トラックとアウターレースの直線トラックの二つの区間に分け、インナーレースのボールトラックをインナーレースの直線トラックとインナーレースの半径トラックの二つの区間に分けて、アウターレースの半径トラックの回転中心とインナーレースの半径トラックの回転中心が同一の垂直オフセット量を有し、垂直中心軸上の同じ点に位置することによって最大切れ角量を向上させると共に、ボールとアウターレースとの接触圧力を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】一般的な等速ジョイントの断面構成図である。
【図2】一般的な等速ジョイントの外形構成図である。
【図3】従来の車両用ボールタイプ等速ジョイントの分解構成図である。
【図4】従来の車両用ボールタイプ等速ジョイントの斜視構成図である。
【図5】従来の車両用ボールタイプ等速ジョイントの切れ角前の断面構成図である。
【図6】従来の車両用ボールタイプ等速ジョイントの切れ角後の断面構成図である。
【図7】本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの斜視構成図である。
【図8】本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの断面構成図である。
【図9】図8のA-A線断面図である。
【図10】本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの半径トラックの回転中心がジョイント回転中心の上方にある場合の断面構成図である。
【図11】本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの半径トラックの回転中心がジョイント回転中心の上方にある場合のアウターレースの凹部詳細断面構成図である。
【図12】本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの半径トラックの回転中心がジョイント回転中心の下方にある場合の断面構成図である。
【図13】本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの半径トラックの回転中心がジョイント回転中心の下方にある場合のアウターレースの凹部詳細断面構成図である。
【図14】本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントが切れ角になる場合の断面構成図である。
【図15】本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントが切れ角になる場合の凹部詳細断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるように詳しく説明するために、本発明の最も望ましい実施例を添付図面を参照して詳しく説明する。本発明の目的、作用および効果を含んだその他の目的、特徴点並びに動作上の利点などが望ましい実施例の説明によって、より明確になるだろう。
【0034】
また、本発明における実施例は様々の実施可能な例中において当業者の理解のために最も望ましい実施例を選択して提示しているものであって、本発明の技術的な思想が必ずそれらに限定されるものではなく、本発明の技術的な思想を外れない範囲内で多様な変化、付加および変更が可能であるのはもちろんであり、均等な他の実施例も実施可能である。
【0035】
図7乃至図15に示されているように、本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの構成は、シャフトの一端に連結設けられるインナーレース35と、前記インナーレース35の外部に設けられるアウターレース33と、前記インナーレース35の回転動力を前記アウターレース33に伝達するための複数個のボール36と、前記ボール36をそれぞれ保持するための窓が形成されているケージ34とを含んで構成され、前記アウターレース33のボールトラック33Bはジョイント回転中心Oから半径R1を有するアウターレースの半径トラック33B1と、それに連接して傾斜角度33Cを有するアウターレースの直線トラック33B2の二つの区間に分け、前記インナーレース35のボールトラック35Bは傾斜角度35Cを有するインナーレースの直線トラック35B2と、それに連接してジョイント回転中心Oから半径R2を有するインナーレースの半径トラック35B1の二つの区間に分けて、切れ角にならない場合は前記アウターレースの半径トラック33B1の回転中心O1Aと前記インナーレースの半径トラック35B1の回転中心O2Aが垂直中心軸Z上の同じ点に位置し、同一の垂直オフセット量f1、f2を有する構造からなる。
【0036】
図10は本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの半径トラックの回転中心がジョイント回転中心の上方にある場合の断面構成図であり、図11は本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの半径トラックの回転中心がジョイント回転中心の上方にある場合のアウターレースの凹部詳細断面構成図であって、図10および図11に示されているように、アウターレースの半径トラック33B1の回転中心O1Aと前記インナーレースの半径トラック35B1の回転中心O2Aが垂直中心軸Z上のジョイント回転中心Oより上方の同じ点に位置し、同一の垂直オフセット量f1を有する構造からなる。また、前記のようにアウターレースの半径トラック33B1の回転中心O1Aと前記インナーレースの半径トラック35B1の回転中心O2Aが垂直中心軸Z上のジョイント回転中心Oより上方にある時、オフセット量f1とP.C.Dとの比率f1/P.C.Dは0〜0.2である構造からなる。前記P.C.Dはジョイント回転中心Oを中心に置いて、互いに対向している二つのボール36の中心間の距離である。
【0037】
図12は本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの半径トラックの回転中心がジョイント回転中心の下方にある場合の断面構成図であり、図13は本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの半径トラックの回転中心がジョイント回転中心の下方にある場合のアウターレースの凹部詳細断面構成図であって、図12および図13に示されているように、アウターレースの半径トラック33B1の回転中心O1Aと前記インナーレースの半径トラック35B1の回転中心O2Aが垂直中心軸Z上のジョイント回転中心Oより下方の同じ点に位置し、同一の垂直オフセット量f2を有する構造からなる。また、前記アウターレースの半径トラック33B1の回転中心O1Aと前記インナーレースの半径トラック35B1の回転中心O2Aが垂直中心軸Z上のジョイント回転中心Oより下方にある時、オフセット量f2とP.C.Dとの比率f2/P.C.Dは0より大きい構造からなる。
【0038】
前記ジョイント回転中心Oは二つの水平中心軸X、Yと垂直中心軸Zとが合う点からなる。
【0039】
前記アウターレースの直線トラック33B2の傾斜角度33Cおよび、前記インナーレースの直線トラック35B2の傾斜角度35Cの範囲は0〜10degである。
【0040】
前記アウターレース33の内球面33Aとアウターレースの半径トラック33B1との間の距離L1は、ボール36との接触深さになる。
【0041】
前記ケージ34の外球面34Aは半径R3Aを有し、前記アウターレース33の内球面33Aと接する構造からなる。
【0042】
前記ケージ34の内球面34Bは半径R3Bを有し、前記インナーレース35の外球面35Aと接する構造からなる。
【0043】
切れ角にならない場合、前記ボール36は傾斜角度33Cを有するアウターレースの直線トラック33B2と傾斜角度35Cを有するインナーレースの直線トラック35B2との間に位置して方向性を与えることによって、円滑な作動が行われることになる。
【0044】
図14は本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントが切れ角になる場合の断面構成図であり、図15は本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントが切れ角になる場合の凹部詳細断面構成図であって、図14および図15に示されているように、切れ角になれば、少なくとも一つ以上のボール36がアウターレースの半径トラック33B1とインナーレースの半径トラック35B1との間に位置して漏斗角fuを発生させる構造からなる。前記漏斗角fuは、ボール36の中心からアウターレースの半径トラック33B1の回転中心O1Aとインナーレースの半径トラック35B1の回転中心O2Aとのなす角であって、ジョイントの切れ角および回転運動が円滑になるようにする。
【0045】
以下、前記構成による本発明の一実施例に従う車両用ボールタイプ等速ジョイントの作用について説明する。
【0046】
エンジン(図示せず)から出力された回転動力がシャフトを回転させると、シャフトの回転動力はインナーレース35およびボール36を経由してアウターレース33に伝達されることによって、アウターレース33に連結する車輪(図示せず)を回転させることになる。
【0047】
シャフトを中心として車輪側(アウトボード側)に設置されているボールタイプ等速ジョイントではボール36によってアウターレース33の回転角度が異なることになるので車両の変位によって切れ角になるが、この場合、最大54度まで可能である。
【0048】
切れ角になると一つ以上のボール36がアウターレースの半径トラック33B1とインナーレースの半径トラック35B1との間に位置することになるが、このようにボール36がアウターレースの半径トラック33B1に位置になると前記アウターレース33の内球面33Aとアウターレースの半径トラック33B1との間の距離L1が相対的に長く形成されているため、ボール36とアウターレース33との接触面が大きくなり、これによって接触圧力を減らすことができる。
【符号の説明】
【0049】
1 シャフト
33 アウターレース
34 ケージ
35 インナーレース
36 ボール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトの一端に連結設けられるインナーレースと、前記インナーレースの外部に設けられるアウターレースと、前記インナーレースの回転動力を前記アウターレースに伝達するための複数個のボールと、前記ボールをそれぞれ保持するための窓が形成されているケージとを含んで構成され、
前記アウターレースのボールトラックはアウターレースの半径トラックとそれに連接されているアウターレースの直線トラックの二つの区間に分け、
前記インナーレースのボールトラックはインナーレースの直線トラックとそれに連接されているインナーレースの半径トラックの二つの区間に分けて、
切れ角にならない場合、前記アウターレースの半径トラックの回転中心と前記インナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上の同じ点に位置し、同一の垂直オフセット量を有することを特徴とする車両用ボールタイプ等速ジョイント。
【請求項2】
前記アウターレースの半径トラックの回転中心とインナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上のジョイント回転中心より上方の同じ点に位置することを特徴とする請求項1に記載の車両用ボールタイプ等速ジョイント。
【請求項3】
前記アウターレースの半径トラックの回転中心と前記インナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上のジョイント回転中心より上方の同じ点にある時、オフセット量f1とP.C.Dとの比率f1/P.C.Dは0〜0.2であることを特徴とする請求項2に記載の車両用ボールタイプ等速ジョイント。
【請求項4】
前記アウターレースの半径トラックの回転中心とインナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上のジョイント回転中心より下方の同じ点に位置することを特徴とする請求項1に記載の車両用ボールタイプ等速ジョイント。
【請求項5】
前記アウターレースの半径トラックの回転中心と前記インナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上のジョイント回転中心より下方の同じ点にある時、オフセット量f1とP.C.Dとの比率f1/P.C.Dは0より大きいことを特徴とする請求項4に記載の車両用ボールタイプ等速ジョイント。
【請求項6】
前記アウターレースの直線トラックの傾斜角度は0〜10degの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ボールタイプ等速ジョイント。
【請求項7】
前記インナーレースの直線トラックの傾斜角度は0〜10degの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ボールタイプ等速ジョイント。
【請求項8】
切れ角にならない場合、前記ボールは傾斜角度を有するアウターレースの直線トラックと傾斜角度を有するインナーレースの直線トラックとの間に位置することを特徴とする請求項1に記載の車両用ボールタイプ等速ジョイント。
【請求項9】
切れ角になると一つ以上のボールがアウターレースの半径トラックとインナーレースの半径トラックとの間に位置することを特徴とする請求項1に記載の車両用ボールタイプ等速ジョイント。
【請求項10】
切れ角になる場合、最大54度まで切れ角になることを特徴とする請求項9に記載の車両用ボールタイプ等速ジョイント。
【請求項1】
シャフトの一端に連結設けられるインナーレースと、前記インナーレースの外部に設けられるアウターレースと、前記インナーレースの回転動力を前記アウターレースに伝達するための複数個のボールと、前記ボールをそれぞれ保持するための窓が形成されているケージとを含んで構成され、
前記アウターレースのボールトラックはアウターレースの半径トラックとそれに連接されているアウターレースの直線トラックの二つの区間に分け、
前記インナーレースのボールトラックはインナーレースの直線トラックとそれに連接されているインナーレースの半径トラックの二つの区間に分けて、
切れ角にならない場合、前記アウターレースの半径トラックの回転中心と前記インナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上の同じ点に位置し、同一の垂直オフセット量を有することを特徴とする車両用ボールタイプ等速ジョイント。
【請求項2】
前記アウターレースの半径トラックの回転中心とインナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上のジョイント回転中心より上方の同じ点に位置することを特徴とする請求項1に記載の車両用ボールタイプ等速ジョイント。
【請求項3】
前記アウターレースの半径トラックの回転中心と前記インナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上のジョイント回転中心より上方の同じ点にある時、オフセット量f1とP.C.Dとの比率f1/P.C.Dは0〜0.2であることを特徴とする請求項2に記載の車両用ボールタイプ等速ジョイント。
【請求項4】
前記アウターレースの半径トラックの回転中心とインナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上のジョイント回転中心より下方の同じ点に位置することを特徴とする請求項1に記載の車両用ボールタイプ等速ジョイント。
【請求項5】
前記アウターレースの半径トラックの回転中心と前記インナーレースの半径トラックの回転中心が垂直中心軸上のジョイント回転中心より下方の同じ点にある時、オフセット量f1とP.C.Dとの比率f1/P.C.Dは0より大きいことを特徴とする請求項4に記載の車両用ボールタイプ等速ジョイント。
【請求項6】
前記アウターレースの直線トラックの傾斜角度は0〜10degの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ボールタイプ等速ジョイント。
【請求項7】
前記インナーレースの直線トラックの傾斜角度は0〜10degの範囲であることを特徴とする請求項1に記載の車両用ボールタイプ等速ジョイント。
【請求項8】
切れ角にならない場合、前記ボールは傾斜角度を有するアウターレースの直線トラックと傾斜角度を有するインナーレースの直線トラックとの間に位置することを特徴とする請求項1に記載の車両用ボールタイプ等速ジョイント。
【請求項9】
切れ角になると一つ以上のボールがアウターレースの半径トラックとインナーレースの半径トラックとの間に位置することを特徴とする請求項1に記載の車両用ボールタイプ等速ジョイント。
【請求項10】
切れ角になる場合、最大54度まで切れ角になることを特徴とする請求項9に記載の車両用ボールタイプ等速ジョイント。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−104554(P2013−104554A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−278683(P2011−278683)
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【出願人】(511272004)ヒュンダイ ウィア コーポレーション (5)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年12月20日(2011.12.20)
【出願人】(511272004)ヒュンダイ ウィア コーポレーション (5)
[ Back to top ]