説明

車両用ミラー装置

【課題】車両右側と車両左側とでシール体を共用する。
【解決手段】車両用ミラー装置10では、ステー12の本体面14に対して固定柱16が一側へ突出され、ステー12と車両との間には、スポンジ40が配置される。スポンジ40に第1シール部50及び第2シール部52が設けられ、接続部54が、第1シール部50と第2シール部52とを接続して、第1シール部50に対して第2シール部52を一側へ突出させることで、第1シール部50が本体面14をシールすると共に第2シール部52が固定柱16をシールする。ここで、接続部54は第1シール部50に対して第2シール部52を一側及び他側へ突出可能にしている。このため、車両右側と車両左側とで固定柱16が本体面14に対して反対側に突出されても、接続部54が第1シール部50に対して第2シール部52を突出させることができる。したがって、車両右側と車両左側とでスポンジ40を共用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミラーを支持する支持部材とシール体がシールする車両用ミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1のアウタミラーは、ベース本体を備えており、ベース本体の支持部がミラーを支持している。ベース本体はカバー部と固定部とを備えており、固定部が車体側のミラー取付部に固定されることで、ベース本体が車体に組付けられる。また、ベース本体と車体との間には、ガスケットが設けられており、ガスケットはベース本体の固定部を覆う囲繞部とカバー部を覆う被着部とを備えている。
【0003】
ここで、ベース本体では、固定部がカバー部に対して突設されているため、ガスケットでは、囲繞部が被着部に対して突設されている。
【0004】
また、車両右側のアウタミラーと車両左側のアウタミラーとでは、ベース本体の固定部がカバー部に対して反対側へ突設されている。
【0005】
したがって、車両右側のアウタミラーと車両左側のアウタミラーとでは、ガスケットの囲繞部が被着部に対して反対側へ突出されて成形されている。このため、車両右側のアウタミラーと車両左側のアウタミラーとでガスケットを共用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−331601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事実を考慮し、車両右側と車両左側とでシール体を共用できる車両用ミラー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の車両用ミラー装置は、車両に組付けられると共に、ミラーを支持し、本体部に対して一側へ突出される突出部が設けられた支持部材と、前記支持部材と車両との間に配置されたシール体と、前記シール体に設けられ、前記本体部をシール可能にされた第1シール部と、前記シール体に設けられ、前記突出部をシール可能にされた第2シール部と、前記第1シール部と前記第2シール部とを接続すると共に、前記第1シール部に対して前記第2シール部を一側及び他側へ突出可能にし、前記第1シール部に対して前記第2シール部を一側へ突出させることで前記第1シール部が前記本体部をシールすると共に前記第2シール部が前記突出部をシールする接続部と、を備えている。
【0009】
請求項2に記載の車両用ミラー装置は、請求項1に記載の車両用ミラー装置において、前記接続部が変形されて前記第1シール部に対して前記第2シール部を突出可能にしている。
【0010】
請求項3に記載の車両用ミラー装置は、請求項1又は請求項2に記載の車両用ミラー装置において、前記接続部が複数互いに少なくとも部分的に分離して設けられている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の車両用ミラー装置では、支持部材が車両に組み付けられており、支持部材はミラーを支持している。支持部材には、突出部が設けられており、突出部は支持部材の本体部に対して一側へ突出されている。
【0012】
支持部材と車両との間には、シール体が配置されており、シール体には、第1シール部及び第2シール部が設けられている。また、接続部が第1シール部と第2シール部とを接続しており、接続部が第1シール部に対して第2シール部を一側へ突出させることで、第1シール部が本体部をシールすると共に第2シール部が突出部をシールする。
【0013】
ここで、接続部は第1シール部に対して第2シール部を一側及び他側へ突出可能にしている。
【0014】
このため、車両右側の車両用ミラー装置と車両左側の車両用ミラー装置とにおいて、支持部材の突出部が本体部に対して反対側に突出される際でも、それぞれの突出部の本体部に対する突出側に対応して、接続部が第1シール部に対して第2シール部を突出させることができる。したがって、車両右側の車両用ミラー装置と車両左側の車両用ミラー装置とでシール体を共用できる。
【0015】
請求項2に記載の車両用ミラー装置では、接続部が変形されて第1シール部に対して第2シール部を突出可能にしている。このため、簡単な構成で接続部が第1シール部に対して第2シール部を一側及び他側へ突出させることができる。
【0016】
請求項3に記載の車両用ミラー装置では、接続部が複数互いに少なくとも部分的に分離して設けられている。このため、接続部が変形されて第1シール部に対して第2シール部を突出される場合には、接続部が変形されやすくなり、シール体を支持部材に組付ける際の作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置を示す車両後方から見た分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置のスポンジを示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置のスポンジの要部を示す拡大図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置のスポンジがステーに取付けられた際を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る車両用ドアミラー装置のスポンジの別例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1には、本発明の車両用ミラー装置が適用された実施の形態に係る車両用ドアミラー装置10が車両後方から見た分解斜視図にて示されている。なお、図面では、車両前方を矢印FRで示し、車幅方向外方(車両左方)を矢印OUTで示し、上方を矢印UPで示す。
【0019】
本実施の形態に係る車両用ドアミラー装置10は、車両のドア(図示省略)に設置されている。
【0020】
図1に示す如く、車両用ドアミラー装置10は、車幅方向内側端部かつ下端部において、支持部材としての略三角柱状のステー12を備えている。ステー12の車幅方向内側部には、本体部としての略三角形状の本体面14が設けられている。本体面14の中央部には、突出部としての略三角柱状の固定柱16が設けられており、固定柱16は本体面14に対して車幅方向内側へ突出されている。また、固定柱16の車幅方向内側の面が固定面18にされている。
【0021】
固定面18の外周部には、締結部としての螺子部20が複数(本実施の形態では3つ)設けられており、螺子部20に車両のドアに係止された図示しないボルトが螺合されることで、固定面18が車両のドアに締結固定される。これにより、ステー12が車両のドアに組付けられる。
【0022】
固定面18の中央部には、円状の挿通孔22が貫通して設けられており、挿通孔22には、後述するミラー本体部28内に配線されたハーネス(図示省略)が、挿通されている。
【0023】
ステー12の本体面14には、本体面14の外周部において、仮止部としての円柱状の仮止ピン24が複数(本実施の形態では3つ)設けられており、仮止ピン24は本体面14に対して車幅方向内側へ突出されている。
【0024】
ステー12の車幅方向外側部には、支持部26が設けられている。支持部26の上側には、ミラー本体部28が配置されており、ミラー本体部28は支持部26に回動可能に支持されている。ミラー本体部28は車両後方視認用のミラー30を備えており、ミラー30は鏡面を車両後側にしてミラー本体部28に支持されている。
【0025】
ステー12の車幅方向内側には、シール体としての略三角形板状のスポンジ40が配置されており、スポンジ40は、収縮性の大きいスポンジ材(発泡材)で成形されている。
【0026】
スポンジ40には、ステー12の固定面18の外周側において、固定面18の周方向に沿って第1スリット列44が設けられており、第1スリット列44では、貫通部としての長尺のスリット42が所定間隔毎に貫通形成されている。また、スポンジ40には、第1スリット列44の外周側において、固定面18の周方向に沿って第2スリット列46が設けられており、第2スリット列46では、スリット42が所定間隔毎に貫通形成されている。さらに、スポンジ40には、第2スリット列46の外周側において、固定面18の周方向に沿って第3スリット列48が設けられており、第3スリット列48では、スリット42が所定間隔毎に貫通形成されている。
【0027】
第1スリット列44、第2スリット列46及び第3スリット列48は、固定面18に対する接離方向において、所定間隔毎に配置されている。また、第2スリット列46のスリット42の長手方向両端部は、第1スリット列44及び第3スリット列48の各スリット42の長手方向端部と固定面18の周方向位置が一致されている。
【0028】
ここで、図2及び図3に示す如く、スポンジ40の第3スリット列48より外周側の部分が、第1シール部50とされており、スポンジ40の第1スリット列44より内周側の部分が、第2シール部52とされている。さらに、スポンジ40の第1シール部50と第2シール部52との間の部分には、固定面18の周方向において、複数の接続部54が形成されており、複数の接続部54が第1シール部50と第2シール部52とを接続している。また、各接続部54は接続片54A及び接続片54Bによって構成されており、各接続部54では、接続片54Aが第3スリット列48と第2スリット列46との間に配置され、各接続片54Bが第1スリット列44と第2スリット列46との間に配置され、接続片54A及び接続片54Bは、固定面18に対する接離方向に並んでいる。各接続部54の接続片54Aの両端部は、固定面18の周方向両側において隣接する各接続部54の接続片54Aの端部に接続されており、各接続部54の接続片54Bの両端部は、固定面18の周方向両側において隣接する各接続部54の接続片54Bの端部に接続されている。さらに、各接続部54では、接続片54Aの一端部が、固定面18に対する接離方向において、第1シール部50に接続されると共に、接続片54Bの一端部が、固定面18に対する接離方向において、第2シール部52に接続されており、接続片54Aの他端部と接続片54Bの他端部とが、固定面18の接離方向において、接続されている。また、各接続部54は、第1スリット列44、第2スリット列46及び第3スリット列48のスリット42によって、互いに部分的に分離されている。
【0029】
接続部54は、接続片54A及び接続片54Bが特に両端部において変形されつつ回動されて、接続片54Aが第1シール部50とスリット42形成部分において離間され、接続片54Aと接続片54Bとがスリット42形成部分において離間され、接続片54Bが第2シール部50とスリット42形成部分において離間されることで、第1シール部50に対して第2シール部52を車両右側(一側)及び車両左側(他側)へ突出可能にされている(図4参照)。
【0030】
また、図4に示す如く、接続部54が第1シール部50に対して第2シール部52を車幅方向内側へ突出させることで、第1シール部50がステー12の本体面14をシールすると共に第2シール部52がステー12の固定面18をシールしている。これにより、ステー12の本体面14と車両のドアとの間、及び、ステー12の固定面18と車両のドアとの間、にスポンジ40が収縮された状態で狭持されて、ステー12と車両のドアとの間のシール性(気密性及び水密性)が確保されている。
【0031】
スポンジ40には、ステー12の螺子部20に対向する位置において、断面円状の取付孔56が貫通して設けられている。また、スポンジ40には、第2シール部52の中央部において、長尺のスリット58が貫通して設けられており、スリット58には、ステー12の挿通孔22に挿通されたハーネスが貫通されている。
【0032】
スポンジ40には、ステー12の仮止ピン24と対向する位置において、断面円状の仮止孔60が貫通形成されており、仮止孔60には、仮止ピン24が嵌入されている。これにより、スポンジ40がステー12に保持されている。
【0033】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0034】
車両用ドアミラー装置10を車両のドアに取付ける際には、ミラー本体部28が取付けられたステー12の車幅方向内側に、スポンジ40を組付ける(仮止めする)。
【0035】
ステー12にスポンジ40を組付ける際には、まず、スポンジ40の第2シール部52をステー12の固定面18に当接させる。この状態で、スポンジ40をステー12側へ移動させると、第2シール部52の移動が固定面18によって規制されるため、第1シール部50に対して第2シール部52が突出しようとする。
【0036】
第1シール部50に対して第2シール部52が突出しようとする際には、接続部54の接続片54A及び接続片54Bが、特に両端部において変形されつつ回動されて、接続部54の接続片54Aが第1シール部50とスリット42形成部分において離間され、接続部54の接続片54Aと接続片54Bとがスリット42形成部分において離間され、接続部54の接続片54Bが第2シール部50とスリット42形成部分において離間される。これにより、接続部54が第1シール部50に対して第2シール部54を突出させることで、スポンジ40が板状から立体状に変形されて、第1シール部50が本体面14をシールすると共に第2シール部52が固定面18をシールする(図4参照)。
【0037】
このため、ステー12の固定面18が車両のドアに締結固定される際に、ステー12の本体面14と車両のドアとの間に第1シール部50が狭持されると共に、ステー12の固定面18と車両のドアとの間に第2シール部52が狭持されることで、スポンジ40がステー12と車両のドアとの間をシールする。これにより、ステー12と車両のドアとの間から車両のドア側へ液体等が浸入することを抑制できる。さらに、ステー12と車両のドアとの間から車両のドア側へ空気が通過することを抑制できる。
【0038】
ところで、車両右側の車両用ドアミラー装置10では、ステー12の固定柱16が本体面14に対して車両左側へ突出される一方、車両左側の車両用ドアミラー装置10では、ステー12の固定柱16が本体面14に対して車両右側へ突出される。
【0039】
ここで、スポンジ40の接続部54は、第1シール部50に対して第2シール部52を車両右側及び車両左側へ突出可能にしている。このため、固定柱16の本体面14に対する突出側に対応して、接続部54が第1シール部50に対して第2シール部52を突出させることができる。したがって、車両右側の車両用ドアミラー装置10と車両左側の車両用ドアミラー装置10とでスポンジ40を共用できる。さらに、車両右側の車両用ドアミラー装置10と車両左側の車両用ドアミラー装置10とで、スポンジ40を成形するための金型を別々に作成する必要がなく、車両用ドアミラー装置10のコストを低減できる。
【0040】
また、第1シール部50に対して第2シール部52が車両右側及び車両左側へ突出される際には、接続部54の接続片54A及び接続片54Bが特に両端部において変形されつつ回動される。このため、簡単な構成で接続部54が第1シール部50に対して第2シール部52を車両右側及び車両左側へ突出させることができる。
【0041】
さらに、各接続部54は、第1スリット列44、第2スリット列46及び第3スリット列48のスリット42によって、互いに部分的に分離されている。このため、接続部54の接続片54A及び接続片54Bが特に両端部において変形されつつ回動されやすくなり、スポンジ40をステー12に組付ける際の作業性を向上できる。
【0042】
また、スポンジ40は、スポンジ材で打ち抜きにより製作されて、板状に成形されている(スポンジ40にステー12の固定柱16に対応した凹凸形状が形成されていない)。このため、スポンジ40を成形するための金型を製作する必要がなくなる。これにより、車両用ドアミラー装置10のコストアップを抑制できる。
【0043】
さらに、スポンジ40では、第1シール部50と第2シール部52とが接続部54によって一体に成形されている。このため、車両右側の車両用ドアミラー装置10と車両左側の車両用ドアミラー装置10とでスポンジ40を共用するために、第1シール部50と第2シール部52とを分割する必要がなく、部品点数の増加を抑制できる。
【0044】
また、スポンジ40の第2シール部52がステー12の本体面14に組付けられる(仮止めされる)際には、スポンジ40の仮止孔60がステー12の仮止ピン24に嵌入されて、スポンジ40がステー12に保持される。このため、スポンジ40をステー12に仮止めするための両面テープ等を用いる必要がなくなる。これにより、組付工数を削減できると共に、車両用ドアミラー装置10のコストアップを抑制できる。
【0045】
なお、本実施の形態では、スポンジ40に長尺のスリット42を設ける構成としたが、スリット42の形状はこれに限らない。例えば、スリット42を円状、楕円状、矩形状等に形成してもよい。
【0046】
また、本実施の形態では、スポンジ40はスポンジ材により成形されている。これに替えて、スポンジ40をゴム等で成形されてもよい。
【0047】
さらに、本実施の形態では、スポンジ40に、3列のスリット列(第1スリット列44から第3スリット列48)を設けたが、スリット列の数は任意に設定できる。例えば、図5に示すように、スリット列の数を1つにする場合には、固定面18に対する接離方向におけるスリット42の幅を大きくしてもよい。
【0048】
また、本実施の形態では、第1シール部50と第2シール部52と接続部54とが一体に成形されている。これに替えて、第1シール部50と第2シール部52と接続部54とが別体に成形されて、各々が接続されてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 車両用ドアミラー装置(車両用ミラー装置)
12 ステー(支持部材)
14 本体面(本体部)
16 固定柱(突出部)
30 ミラー
50 第1シール部
52 第2シール部
54 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に組付けられると共に、ミラーを支持し、本体部に対して一側へ突出される突出部が設けられた支持部材と、
前記支持部材と車両との間に配置されたシール体と、
前記シール体に設けられ、前記本体部をシール可能にされた第1シール部と、
前記シール体に設けられ、前記突出部をシール可能にされた第2シール部と、
前記第1シール部と前記第2シール部とを接続すると共に、前記第1シール部に対して前記第2シール部を一側及び他側へ突出可能にし、前記第1シール部に対して前記第2シール部を一側へ突出させることで前記第1シール部が前記本体部をシールすると共に前記第2シール部が前記突出部をシールする接続部と、
を備えた車両用ミラー装置。
【請求項2】
前記接続部が変形されて前記第1シール部に対して前記第2シール部を突出可能にする請求項1に記載の車両用ミラー装置。
【請求項3】
前記接続部が複数互いに少なくとも部分的に分離して設けられた請求項1又は請求項2に記載の車両用ミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−61959(P2012−61959A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207935(P2010−207935)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】