説明

車両用ミラー

【課題】使い勝手をより向上することができる車両用ミラーを提供する。
【解決手段】車両用ミラー1は、車両のハンドル31を支承するステアリングコラムを覆うコラムカバー30の上面に配置され、運転席に着座した運転者を映す鏡本体7を備える。前記鏡本体7の鏡面は、運転席側に可倒自在に設けられる。前記鏡本体7の鏡面は、ハンドル31に形成された開口部32から運転席に着座した運転者が視認し得る範囲内に配置する。前記コラムカバー30は、上部カバーと下部カバーとに分割され、前記上部カバーに前記鏡本体を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ミラーに関し、特にハンドルを支承するステアリングコラムを覆うコラムカバーに設置される車両用ミラーに適用して好適なものに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両用ミラーとして、サンバイザーの裏面に設けられたミラーが知られている。前記ミラーは、未使用時にはサンバイザーと共に天井面に鏡面を当接させるようにたたまれているが、使用時にはサンバイザーを展開させ、さらに汚れを防止する蓋を開け、ミラーの鏡面を表出させることにより、使用することができる。
【0003】
ところが、サンバイザーは、車室の前面に配置されたフロントガラスの上端に設けられているため、鏡面に顔を映すには運転者は上方に顔を向ける必要がある。また、運転者の顔の位置と鏡面とが離れているので、鏡面に顔を近づけようとした場合不自然な姿勢となり、その姿が車外から視認されてしまう、という問題があった。
【0004】
このような問題を解決するものとして、ハンドルの奥に配置したメータ類の上部及び側部を覆う多目的メータフードが開示されている。この多目的メータフードは、メータ類の上部及び側部を覆う下部メータフードに対して、起立位置、重合位置など変位させ得る上部フードを備え、該上部フードの下面に鏡板が設けられている。従って、多目的メータフードは上部フードを起立位置とすることにより、メータ類の上部に鏡を配置することができるので、運転者は上方に顔を向ける必要なく、鏡を使用することができる。
【特許文献1】特開平6−79654号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1では、メータ類の上部に鏡を配置する構成であるので、運転者の前方向の視界を狭めることになり、必ずしも使い勝手の良いものとはいえないという懸念があった。
【0006】
そこで本発明は上記した問題点に鑑み、使い勝手をより向上することができる車両用ミラーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、車両のハンドルを支承するステアリングコラムを覆うコラムカバーの上面に配置され、運転者を映す鏡本体を備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、前記鏡本体の鏡面は、運転席側に可倒自在に設けられることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、前記鏡本体の鏡面は、ハンドルに形成された開口部から運転者が視認し得る範囲内に配置することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、前記コラムカバーは、上部カバーと下部カバーとを備え、前記上部カバーに前記鏡本体を固定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載の車両用ミラーは、運転者が通常の姿勢で鏡を使用することができるので、使い勝手をより向上することができる。
【0012】
また、請求項2に記載の車両用ミラーは、鏡本体を可倒させて閉じておくことにより、鏡本体の鏡面の汚れやほこりが付着するのを防止することができる。
【0013】
また、請求項3に記載の車両用ミラーは、ハンドルの内側に配置されるので、鏡本体の鏡面がハンドルと重なることがなく、スペースを効率的に活用することができる。
【0014】
また、請求項4に記載の車両用ミラーは、上部カバーを下部カバーに対して取り外すだけで、車両用ミラーを取り付けたり、取り外したりすることができるので、作業性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。図1に示す車両用ミラー1は、基体2と蓋体3とを備え、前記基体2を車両のハンドルを支承するステアリングコラムを覆うコラムカバーの上面に固定してハンドルの奥に設けられる。この車両用ミラー1は、平面視において略かまぼこ形状をなしており、一端1aにおいて円形状が直線状に切り取られた形状を有する。この一端1aには、ヒンジ部4が設けられており、該ヒンジ部4により蓋体3は基体2に対し軸支されている。これにより蓋体3は、基体2に対し、開閉自在に設けられている。また、蓋体3の表面3aには、装飾5が施されている。
【0016】
この車両用ミラー1は、図2に示すように、基体2、蓋体3、及び蓋体3の裏面3bに設けられた鏡本体7を備え、基体2に蓋体3を軸支しているヒンジ部4が設けられている一端1aには、保持機構8が形成されている。
【0017】
前記保持機構8は、基体2に装填された弾性部材9と、蓋体3に設けられた摺動部10とを有し、蓋体3を基体2に対し可倒した場合、任意の角度で蓋体3を保持し得るように構成されている。
【0018】
基体2は、コラムカバーの上面に密着し得るように、コラムカバーの上面の形状に合わせて形成された底面部12と、前記弾性部材9を保持する装填部13とを有する。装填部13には、下方へ突出した突起13aが設けられている。
【0019】
蓋体3は、図3に示すように、射出成形等により形成されたプラスチック(例えば、ポリプロピレン、PP)製部材からなり、一端3cにヒンジ部4の軸15が設けられている。この蓋体3の一端3cに対向する他端3dの外縁には、基体2と係合する係合部16が形成されている。
【0020】
また、蓋体3は図4に示すように、板状の天板部17と、該天板部17の一端を垂下させて形成した前記摺動部10と、該天板部17の他端を垂下させて形成された係合部16と、天板部17の裏面に設けられた鏡位置決め部18とを備える。
【0021】
摺動部10は、前記軸15よりも天板部17の外側に設けられ、天板部17の一端を垂下させた舌片19と、該舌片19から外方へ垂直に突設した複数の櫛状の突片20とからなる。突片20は、複数個(本図では3個)、天板部17の外側に向かって直列に形成されており、開放されている先端部分に外力が加わった場合に、それぞれ弾性変形し得るように構成されている。また、突片20は、幅方向に所定長さを有し、当接した前記弾性部材9の表面との間に摩擦力を生じ得るように構成されている。
【0022】
鏡位置決め部18は、外形がかまぼこ形状を有する鏡本体7の外縁を縁取るように天板部17の裏面を隆起させて形成した突条からなる。この鏡位置決め部18には、両面粘着テープなどの接着材により、鏡本体7が固定される。
【0023】
基体2は、図5に示すように、蓋体3と同様にプラスチック(例えば、ポリプロピレン、PP)製部材からなり、一端2aに軸受片21,21が設けられている。該軸受片21,21には、蓋体3に形成されたヒンジ部4の軸15が挿通する貫通穴22がそれぞれ設けられている。この基体2の一端2aに対向する他端2bの外縁には、蓋体3に設けられた係合部16と係合する係合受部23が設けられている。
【0024】
弾性部材9は、図6に示すように、装填部13に設けた突起13aに挿通する装填穴25を設けた基部26と、前記突片20と当接して突片20に対してバネ力を生じさせる可撓部27とを有する。本実施形態では、弾性部材9は、金属(例えばステンレス)製の板状部材を緩やかに二つ折りにして一対の直線状の片を形成してなり、該一対の片のうち一方が前記基部26であり、他方が前記可撓部27である。また、基部26は、開口側となる先端側が長さ方向の略中間から可撓部27と対向する方向とは逆方向へ緩やかに傾斜してなる。
【0025】
前記弾性部材9は、開口側を外側に向けて装填穴25を装填部13に設けた突起13aに挿通し、基体2に装填する。次いで軸15を貫通穴22,22にそれぞれ挿通して蓋体3を基体2に軸支する。ここで、保持機構8における突片20の下端が弾性部材9の可撓部27に当接するように配置される。
【0026】
このように構成された車両用ミラー1は、コラムカバー30の上面に固定される(図7)。車両用ミラー1をコラムカバー30の上面に固定するには、種々の方法が考えられるが、例えば、コラムカバー30の内側からビスを挿通して基部26に予め形成したタップ穴(図示しない)に前記ビスを螺合することとしてもよい。このようにしたコラムカバー30の上面に車両用ミラー1を配置することにより、運転者が通常の姿勢で鏡を使用することができるので、より使い勝手を向上することができる。
【0027】
また、車両用ミラー1は、コラムカバー30に配置したことにより、コラムによるハンドルの位置補正機能によって、位置を適宜変えることができるので、使い勝手をさらに向上することができる。
【0028】
さらに、車両用ミラー1は、ヒンジ部4を設けた一端1aに保持機構8を設けた。蓋体3の係合部16と基体2の係合受部23との係合を解除することにより、蓋体3を引き上げる方向に力を加えると、蓋体3はヒンジ部4を回転中心として開く。このとき、車両用ミラー1の一端1aでは、舌片19に設けた突片20が弾性部材9の可撓部27を受けるバネ力により弾性変形をし、これにより可撓部27との接触面に摩擦力が生じる(図2)。この摩擦力により、蓋体3は保持される。このようにして、車両用ミラー1は、運転者の所望の可倒位置で蓋体3を保持させることができるので、利便性を向上することができる。
【0029】
ここで、突片20は、複数個(本実施形態では3個)設けると共に、各突片20をリブ20aにて連結することにより、蓋体3を基体2に対して開いたときにリブ20aと、可撓部27表面との間に生じる摩擦力により、より安定的に蓋体3を保持することができる。
【0030】
また、車両用ミラー1は、蓋体3を可倒させ基体2に当接させて閉じておくことにより、鏡本体7の鏡面に汚れやほこりが付着するのを防止することができる。
【0031】
また、コラムカバー30は、図示しないが上部カバーと下部カバーとに分割されるのが好ましい。コラムカバー30が上部カバーと下部カバーとに分割されることにより、上部カバーを下部カバーに対して取り外すだけで、車両用ミラー1を取り付けたり、取り外したりすることができるので、作業性を向上することができる。
【0032】
また、コラムカバー30の上面に固定された車両用ミラー1は、図8に示すように、ハンドル31に設けられた開口部32から視認し得る。従って、車両用ミラー1は、従来のように運転者が顔を上方に向けなくても鏡を使用することができる。これにより、車両用ミラー1は、運転者が鏡を使用していることを、外部から見えにくくすることができる。
【0033】
また、車両用ミラー1は、ハンドル31の内側に配置されるので、鏡本体7の鏡面がハンドル31と重なることがなく、スペースを効率的に活用することができる。
【0034】
本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施形態に係る車両用ミラーの全体構成を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る車両用ミラーの構成を示す縦断面図である。
【図3】本実施形態に係る車両用ミラーの蓋体の構成を示す斜視図である。
【図4】本実施形態に係る車両用ミラーの蓋体の構成を示す図であり、図3におけるA−A断面図である。
【図5】本実施形態に係る車両用ミラーの基体の構成を示す斜視図である。
【図6】本実施形態に係る車両用ミラーの弾性部材の構成を示す斜視図である。
【図7】本実施形態に係る車両用ミラーをコラムカバーに取り付けた状態示す斜視図である。
【図8】本実施形態に係る車両用ミラーの使用状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 車両用ミラー
7 鏡本体
30 コラムカバー
31 ハンドル
32 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のハンドルを支承するステアリングコラムを覆うコラムカバーの上面に配置され、運転者を映す鏡本体を備えることを特徴とする車両用ミラー。
【請求項2】
前記鏡本体の鏡面は、運転席側に可倒自在に設けられることを特徴とする請求項1記載の車両用ミラー。
【請求項3】
前記鏡本体の鏡面は、ハンドルに形成された開口部から運転者が視認し得る範囲内に配置することを特徴とする請求項1又は2記載の車両用ミラー。
【請求項4】
前記コラムカバーは、上部カバーと下部カバーとを備え、前記上部カバーに前記鏡本体を固定することを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の車両用ミラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−292294(P2009−292294A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−147371(P2008−147371)
【出願日】平成20年6月4日(2008.6.4)
【出願人】(390005430)株式会社ホンダアクセス (205)
【Fターム(参考)】