説明

車両用ランプユニット

【課題】通常使われているスモールランプに代え、互換性のある多色発光を可能とする車両用ランプユニットを提供する。
【解決手段】スモールランプに代替設置され、それぞれ異なる色を発光する3個のLEDを内蔵し、2つの入力端子を有するランプ部の点灯、点滅を制御するための操作を示す制御信号の発生をカウントし、カウンタ値に基づいて定まる色をランプ部から発光させるべく3個のLEDのそれぞれに流す電流値を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ランプユニットに関し、特に格別な回路変造や改良なしで発光色の調整を可能とする車両用ランプユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両のヘッドライト等の前面で発光点灯するスモールライトやポジションランプは、小型電球が用いられることが多い。また、近年は小型電球に代えてLED等の半導体発光素子が用いられるようになっている。このようなランプ、LED等の発光部からの出力光は単色である。
【0003】
図4には、従来のスモールランプの簡略化した側面図である。小型電球20の2本の入力端子21と22は、車両側のソケット30の対応するコネクタ端子31と32に挿入される。ソケット30内のコネクタ端子31と32は、その入力端子33と34に接続されており、入力端子33と34に2本の入力線が接続されて電流が供給される。
【0004】
一方、かかるスモールライトからの出力光の色の種類を多種多様にしたいという要望もある。この要望に対しては、例えば、RGBの3原色のLEDを内蔵し、各LEDの発光を制御することにより発光色をフルカラーとするフルカラーLEDを用いることにより対応可能である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の如きフルカラーLEDを用いた車両用ランプユニットでは、3原色のLEDのそれぞれに流す電流を制御して各LEDの発光を制御する必要があるため、車両用ランプユニットにはアース線を含め合計4本の線が必要になる。一方、従来の単色のライトではアース線を含め2本の線で良いため、電流供給線を4本に増やすことは簡単ではなく、ユニット全体の取替えと回路構成の変更必要となり、簡単な作業ではない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、通常使われているスモールランプに代え、互換性のある多色発光を可能とする車両用ランプユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の課題を解決するため、本発明による車両用ランプユニットは、次のような特徴的な構成を採用している。
【0008】
(1)それぞれ異なる色を発光する3個のLEDを内蔵し、2つの入力端子を有するランプ部と、外部からの制御信号に基づいて定まる色を前記ランプから発光させるべく前記3個のLEDのそれぞれを駆動する制御部とがケースに内包されている車両用ランプユニット。
【0009】
(2)車両に搭載され、それぞれ異なる色を発光する3個のLEDを内蔵し、2つの入力端子を有するランプ部と、前記ランプの点灯、点滅を制御するための操作を示す制御信号の発生をカウントするカウンタと、前記カウンタによるカウンタ値に基づいて定まる色を前記ランプから発光させるべく前記3個のLEDのそれぞれに流す電流値を制御する制御部とを備えて成る車両用ランプユニット。
【0010】
(3)車両に搭載され、それぞれ異なる色を発光する3個のLEDを内蔵し、2つの入力端子を有するランプ部と、前記ランプの点灯、点滅を制御するための操作を示す制御信号の発生をカウントするカウンタと、前記カウンタによるカウンタ値に基づいて定まる色を前記ランプから発光させるべく前記3個のLEDのそれぞれに供給するパルスのデューティ比を制御する制御部とを備えて成る車両用ランプユニット。
【0011】
(4)前記カウンタの一方の入力端子には前記制御信号が入力され、他方の入力端子には電源が供給されている上記(1)乃至(3)のいずれかの車両用ランプユニット。
【0012】
(5)前記カウンタの一方の入力端子には前記制御信号が入力され、他方の入力端子には電源が供給されているとともに逆流防止用ダイオードが直列接続され、コンデンサが接地間に接続される上記(1)乃至(4)のいずれかの車両用ランプユニット。
【0013】
(6)前記3個のLEDは、赤、緑及び青色発光素子である上記(1)乃至(5)のいずれかの車両用ランプユニット。
【0014】
(7)車両のスモールランプと代替設置される上記(1)乃至(6)のいずれかの車両用ランプユニット。
【発明の効果】
【0015】
本発明による車両用ランプユニットによれば、通常使われているスモールランプに代え、互換性のある多色発光を可能とするだけでなく、その構成も簡素化される。
【実施例1】
【0016】
以下、本発明による車両用ランプユニットの好適な実施例について図面を参照しながら説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施例による車両用ランプユニットの簡略化された回路図である。本実施例における車両用ランプユニット1は、後述するような信号処理を実行するマイコン11と発光素子としてのランプ12を基本構成としている。カウンタ111には、外部からのランプ12からの発光色を指定するための制御信号としてのカウンタ信号が入力される。この制御信号は、車両に搭乗している人の車載機器、構成要素の操作により発生される。例えば、ハンドルの近傍に設置されているライト点灯、点滅制御のためのバーの軸方向連続押下や当該バーの周方向の上下回転毎にカウンタ信号が生成されるようにすることができる。勿論、この制御信号は、他の任意の構成要素、例えば、カーナビゲーションシステムで用いられているリモコンの所定操作毎に発生される赤外線信号であっても良い。この場合には、この赤外線信号を検知するセンサを設けておく。
【0018】
カウンタ信号はパルス信号であり、このパルス信号は、車両用ランプユニット1のマイコン11内のカウンタ111に入力され、入力されるパルス信号の個数がカウントされる。図2には、カウンタ111に入力されるカウンタ信号が示され、カウンタ信号の存在時の“1”、不存在時の“0”とされ、カウンタ111は“1”の数をカウントして出力する。
【0019】
こうしてカウントされたカウント値は、ランプ12から発光される発光色を決定する。図3には、カウンタ111によるカウンタ値とランプ12から発光される発光色との関係の一例が示されている。
【0020】
図3に示す例では、カウンタ値“1”ではランプ12からは“白色”、カウンタ値“2”ではランプ12からは“水色”、カウンタ値“3”ではランプ12からは“薄い水色”、カウンタ値“4”ではランプ12からは“濃い水色”、カウンタ値“5”ではランプ12からは“青色”がそれぞれ割り当てられている。
【0021】
図1における車両用ランプユニット1の入力端子は2つであり、通常のスモール車両用ランプユニットの入力端子と同じである。したがって、何らの手を加えることなく、通常の車両設備をそのまま使って、通常のスモール車両用ランプユニットに本発明の車両用ランプユニット1を入れ替えて利用することができ、利用性が著しく高い。
【0022】
マイコン11の入力側に設けられたカウンタ111の2つの上記入力端子のうち一方の入力端子に上記カウンタ信号が入力され、他方の入力端子には電源ラインが接続されている。また、他方の入力端子には接地側との間にコンデンサ13が接続されている。こうして供給される電源は、車両用ランプユニット1の各部に供給される。他方の入力端子には、更にダイオード14が接続されている。コンデンサ13は、短時間(2〜3秒間)の電源保持用であり、ダイオード14が逆流防止用である。
【0023】
ランプ12は、3原色のそれぞれに対応する発光源としての赤(R)用LED121、緑(G)用LED122、青(B)用LED123から成り、それぞれの輝度は、例えば、流れる電流の大きさによって変化する。
【0024】
制御回路112は、カウンタ111によるカウンタ値に基づいて、例えば、図3に示すように予め定められた発光色をランプ12から発光させるべくLED121〜123のそれぞれの輝度を制御するための電流を調整、設定して各LEDに当該電流を流す。
【0025】
以上のように構成された本発明による車両用ランプユニットを実際に利用するには、車両のランプ取付部に設置されているスモール車両用ランプユニットの2本の入力線を取り外した後、スモール車両用ランプユニットを取り外す。こうして取り外されたスモール車両用ランプユニットの代わりに車両用ランプユニット1を取り付け、取り付けられた車両用ランプユニット1の上記2つの入力端子に元々あり、スモール車両用ランプユニットから外した上記2本の入力線を接続する。この場合、この入力線に入力される信号は、ランプの点灯、点滅制御用のコントロールスイッチとしてのバーの周方向往復動回数を指示するための信号である。
【0026】
例えば、運転手が自車のスモールランプの発光色を青色にしたい場合は、バーを5回往復動させることにより5個のカウンタパルスを発生させて、車両用ランプユニット1のマイコン11内のカウンタ111の入力端子に入力する。すると、カウンタ111は、5個のパルスをカウントし、カウント値“5”を制御回路112に送出する。制御回路112は、受信したカウンタ値“5”に対応するランプ12の発光色(青色)を図3に示すようなテーブルから決定し、決定された色を発光させるべく、ランプ12内のLED121〜123のそれぞれに必要な電流を流す。こうして、ランプ12からは、所望の青色が発光される。
【0027】
以上の実施例では、LED121〜123のそれぞれに流す電流の大きさを変えて発光色を調整しているが、各LEDに供給するパルス信号のデューティ比を制御することによっても調整できる。電流の大きさの制御はアナログ制御であるため回路は複雑であるが、供給パルスのデューティ比の制御はデジタル制御であるため回路構成は簡単化される。
【0028】
また、上述実施例では、ランプ12からの発光色は5色であるが、ランプ12を構成する3原色のLEDのそれぞれに供給する電流の大きさやパルスのデューティ比を制御することによって、発光色は殆ど無制限に選択、設定することができる。
【0029】
以上、本発明の好適実施例の構成および動作を詳述した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることおよび種々の応用が可能であること当業者には容易に理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明による車両用ランプユニットの一実施例の簡略化された回路図である。
【図2】本発明の実施例におけるカウンタ信号の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施例におけるカウンタ値とランプ12の発光色との対応関係を示す図である。
【図4】従来のスモールランプの簡略化した側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 車両用ランプユニット
11 マイコン
12 ランプ
13 コンデンサ
14 ダイオード
111 カウンタ
112 制御回路
121〜123 LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ異なる色を発光する3個のLEDを内蔵し、2つの入力端子を有するランプ部と、外部からの制御信号に基づいて定まる色を前記ランプから発光させるべく前記3個のLEDのそれぞれを駆動する制御部とがケースに内包されていることを特徴とする車両用ランプユニット。
【請求項2】
車両に搭載され、
それぞれ異なる色を発光する3個のLEDを内蔵し、2つの入力端子を有するランプ部と、
前記ランプの点灯、点滅を制御するための操作を示す制御信号の発生をカウントするカウンタと、
前記カウンタによるカウンタ値に基づいて定まる色を前記ランプから発光させるべく前記3個のLEDのそれぞれに流す電流値を制御する制御部と、
を備えて成ることを特徴とする車両用ランプユニット。
【請求項3】
車両に搭載され、
それぞれ異なる色を発光する3個のLEDを内蔵し、2つの入力端子を有するランプ部と、
前記ランプの点灯、点滅を制御するための操作を示す制御信号の発生をカウントするカウンタと、
前記カウンタによるカウンタ値に基づいて定まる色を前記ランプから発光させるべく前記3個のLEDのそれぞれに供給するパルスのデューティ比を制御する制御部と、
を備えて成ることを特徴とする車両用ランプユニット。
【請求項4】
前記カウンタの一方の入力端子には前記制御信号が入力され、他方の入力端子には電源が供給されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用ランプユニット。
【請求項5】
前記カウンタの一方の入力端子には前記制御信号が入力され、他方の入力端子には電源が供給されているとともに逆流防止用ダイオードが直列接続され、コンデンサが接地間に接続されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用ランプユニット。
【請求項6】
前記3個のLEDは、赤、緑及び青色発光素子であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車両用ランプユニット。
【請求項7】
車両のスモールランプと代替設置されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の車両用ランプユニット。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−131105(P2006−131105A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322526(P2004−322526)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(393021233)株式会社スギヤマエレクトロン (1)
【出願人】(591211906)日星工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】