説明

車両用ランプ付ミラー装置

【課題】 光源と導光部を離間させた場合においても、ランプを均一に光らせることが出来る車両用ランプ付ミラー装置を提供する。
【解決手段】 ミラーハウジング2の窓部6に設けられた照明装置3は、ランプハウジング7とレンズ部材8からなり、ランプハウジング7に設けられた光源11からの光は、導光部9により導光されて車両後方へ出射され、透過部10により光を前方若しくはランプハウジング7内に反射させられるように構成される。光源11の近傍には光源からの光を導光部9へ制御する光制御部材14が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源として例えばLEDなどの半導体発光素子を有し、導光部材などにより所定の方向へ出射させる車両用ランプ付ミラー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用ランプ付ミラー装置は従来からある(例えば、特許文献1)。この車両用ランプ付ミラー装置は、自動車用のドアミラーにおけるドアミラーカバーに備えられた前面からの外側面まで回り込むように形成された窓部と、この窓部に嵌め込まれ、ドアミラーの先端に向かって徐々に肉薄になるように形成されたアウターレンズと、アウターレンズの内側端面に対向するように、ドアミラーカバーの裏側にて基板上に実装された少なくとも一つのLEDと、を含んでいるサイドターンランプ付ドアミラーにより、外観見栄えを向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−083740号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような車両用ランプ付ミラー装置は、光源を導光部材の近傍に設けることにより、導光部材を均一に光らせていたため、光源と導光部材が離れた位置に位置するなど、ミラーハウジング内のレイアウト自由度が制限される場合には、車両用ランプ付ミラー装置を均一に光らせるのが困難だった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みなされたものであって、車両用ランプ付ミラー装置に搭載される、例えば光源と導光部材が離間した位置に設けられたとしても、サイドターンランプなどの配光性能を低下させることなく、均一に光る車両用ランプ付ミラー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明は、車両後方側に後写鏡を有する開口部が設けられており、かつ、車両外側に窓部を有するミラーハウジングと、ミラーハウジングの窓部に位置する照明装置とを備え、照明装置は、レンズ部材と、光源を有するランプハウジングとによって形成され、レンズ部材は光源からの光を所定方向へ導光させる導光部と、光源からの光を透過させる透過部とを有し、透過部は光源と導光部の光入射部との間に形成されており、光源の照射方向前方には、光源からの出射光の少なくとも一部を導光部の光入射部に向かうように制御する光制御部材が設けられていること、を特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、光制御部材は、ミラーハウジングの窓部よりも内側で、レンズ部材と一体に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、照明装置のレンズ部材が導光部と透過部に分かれており、光源が導光部の光入射部から離れた位置に配置されたとしても、光源からの出射光は光制御部材により制御され効率良く導光部の光入射部へ入射される。
【0009】
すなわち、光源をミラーハウジング内部に設定し、導光部がミラーハウジングの外側に位置するように離間していたとしても、光源からの光を光制御部材によって制御し、車両用ランプ付ミラー装置の照明装置を均一に光らせることが可能となる。
【0010】
本発明によれば、光制御部材がミラーハウジングの窓部よりも内側で、かつ、レンズ部材と一体に形成されていることにより、レンズ部材の導光部と光制御部材との位置精度が向上し、より精度よく光源からの出射光を制御することができる。また、光制御部材を光源の近傍に設けることで、光の制御が容易となり、さらに、車両外側から見たときに光源や内容物が丸見えになることがなく、外観品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ランプ付ミラー装置の正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図2の要部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。
【0013】
図1及び図2は本発明の実施形態に関わる車両用ランプ付ミラー装置1の構成を示している。図1は車両用ランプ付ミラー装置1の正面図、図2は図1における線A−Aの断面図、図3は車両用ランプ付ミラー装置1の要部Aの拡大図を示す図である。
【0014】
図1に示すように、車両用ランプ付ミラー装置1は開口部4と窓部6を有する湾曲凹状のミラーハウジング2と、開口部4に設けられた後写鏡5と、後写鏡5の鏡面角度を調整する駆動部材(図示せず)と、窓部6から車両外側へ光を照射する照明装置3で形成されている。
【0015】
ミラーハウジング2は非透過性の樹脂材から成形され、凹状に湾曲された形状をしており、内側には後写鏡5の鏡面角度を調整する駆動部材(図示せず)が内包され、外側部分には照明装置3を位置させる窓部6が形成されている。
【0016】
図2に示されるように、照明装置3は、非透過性の樹脂材からなるランプハウジング7と、ミラーハウジング2の窓部6に沿って湾曲されたレンズ部材8によって灯室が形成され、ランプハウジング7の車両幅方向内側に光源11が配置されている。
【0017】
光源11は、例えばLEDなどの半導体発光素子からなり、光源11は車両の方向指示スイッチ(図示せず)などにより点灯または点滅する。また、光源11はその照射方向が車両前後方向軸と交差するようにランプハウジング7に取り付けられている。
【0018】
レンズ部材8はミラーハウジング2の外周に沿うように湾曲しており、導光部9および透過部10がミラーハウジング2の外周縁よりも車両外側に位置するように窓部6に配置されている。レンズ部材8のうち透過部10は素通しまたはプリズムが設けられた樹脂材によって形成されており、導光部9は透過部10よりも光源から離れた位置に透過部10と一体的に成形され、レンズ内を導光させる透過部10よりも厚肉の樹脂材からなる。
【0019】
レンズ部材8の導光部9は、光源11からの光を入射させる光入射部12が設けられており、光入射部12から入射した光源11からの光は、導光部9内を所定方向へ全反射しながら通過し、光出射部13から車両後方へ出射される。
【0020】
さらに、導光部9の光入射部12は、光源11からの出射光のうち、照射光度の強い直線上に配置されており、光源11の出射光を効率良く入射させることができる。
【0021】
また、レンズ部材8の透過部10は、光源11と導光部9の光入射部12との間に形成されている。透過部10は、光源11からの光を一部は車両外側に出射し、一部はランプハウジング内に反射するように形成されている。透過部10には、例えば、かまぼこ状のシリンドリカルレンズなどのプリズムカットが形成されていてもよい。
【0022】
ランプハウジング7は非透過性の樹脂材により形成されており、車幅方向内側に光源11が保持されている。また、レンズ部材8に対向する部分には、光源11からの直射光や透過部10からの反射光を乱反射させるための光拡散面がアルミ蒸着若しくは銀塗装などにより形成されている。
【0023】
図3に示されるように、光制御部材14は、光源11の照射方向前方に設けられ、光源11からの光の少なくとも一部を光入射部12に向かうように偏光制御する。光制御部材14の光源11側の面にはフレネルレンズなどからなる偏光制御部15が設けられており、偏光制御部材15により光源11からの出射光は直進方向へ偏光制御され、光入射部12へ導かれる。また、光制御部材14の偏光制御部15に入射しなかった光のうち、光制御部材14の車両外側部分に向かう光は、透過部10へ偏光制御され、一部は透過部10によって車両外側へ照射され、一部はランプハウジング7側へ反射される。さらに、光制御部材14の偏光制御部15に入射しなかった光のうち、ランプハウジング7側へ向かう光は、ランプハウジング7方向へ偏光制御され、ランプハウジング7に設けられている光拡散面により乱反射される。
【0024】
さらに、光源11からの出射光のうち一部は光制御部材14により透過部10へ偏光制御され、光源11からの出射光のうち一部はランプハウジング7側へ照射される。
【0025】
また、光制御部材14は、ミラーハウジング2の窓部6よりも内側に設けられることにより、光源11の点灯時の点光り等を抑制する。なお、光制御部材14はレンズ部材8と別体に形成されていてもよい。
【0026】
以上、実施形態を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0027】
1 車両用ランプ付ミラー装置
2 ミラーハウジング
3 照明装置
4 開口部
5 後写鏡
6 窓部
7 ランプハウジング
8 レンズ部材
9 導光部
10 透過部
11 光源
12 光入射部
13 光出射部
14 光制御部材
15 偏光制御部
L1 光路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後方側に後写鏡を有する開口部が設けられており、かつ、車両外側に窓部を有するミラーハウジングと、前記ミラーハウジングの前記窓部に位置する照明装置とを備え、
前記照明装置は、レンズ部材と、光源を有するランプハウジングとによって形成され、
前記レンズ部材は光源からの光を所定方向へ導光させる導光部と、
前記光源からの光を透過させる透過部とを有し、
前記透過部は前記光源と前記導光部の光入射部との間に形成されており、
前記光源の照射方向前方には、前記光源からの出射光の少なくとも一部を前記導光部の光入射部に向かうように制御する光制御部材が設けられている、ことを特徴とする車両用ランプ付ミラー装置。
【請求項2】
前記光制御部材は、前記ミラーハウジングの窓部よりも内側で、前記レンズ部材と一体に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用ランプ付ミラー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−219044(P2011−219044A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92908(P2010−92908)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】