車両用ランプ装置
【課題】コスト上昇を招くことなく導光板の支持強度を確保しつつ、見栄えの悪化を抑制できる車両用ランプ装置を提供する。
【解決手段】ハウジング部材10に、導光板15に沿って延び、かつ該導光板15の少なくとも一部が収容可能な大きさを有する第1凹部10eを形成し、該第1凹部10eの底壁10hに続いて第2凹部10fを、該第1凹部10eと平行に、かつこれの全長に渡る長さに形成し、該第2凹部10fの底壁部10jに係合孔10gを形成する。
【解決手段】ハウジング部材10に、導光板15に沿って延び、かつ該導光板15の少なくとも一部が収容可能な大きさを有する第1凹部10eを形成し、該第1凹部10eの底壁10hに続いて第2凹部10fを、該第1凹部10eと平行に、かつこれの全長に渡る長さに形成し、該第2凹部10fの底壁部10jに係合孔10gを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板を備えた車両用ランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のランプ装置においては、外観の向上を図る観点から、ハウジング部材内に、ランプバルブとは別にLEDからの光により発光する導光板を配設する場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような導光板は、一般にレンズ幅が小さく、車体振動に弱いことから、特に導光板を熱に対して不利な部位に設ける場合は、導光板の支持強度を高める必要がある。例えば、図10(a),図10(b)に示すように、導光板50の長手方向中途部に一対の係合爪50aを一体に形成し、ハウジング51に導光板50が収容可能な大きさを有する凹部51aを形成するとともに、該凹部51aの底壁に係合孔51bを形成する。そして導光板50を、これの係合爪50aを前記凹部51aの係合孔51bに差し込んで係合させることでハウジング51に支持させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−114309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述のように、導光板50に形成された係合爪50aをハウジング51の係合孔51bに係合させる構造では、導光板50の支持強度は確保できるものの、非点灯時に、導光板50に係合爪50aが影aとなって映り、これが黒ずんで見えることから、見栄えが悪いという問題が生じる。この影aは、レンズ52を透して見ると傷や異物のように見えることから目立ち易い。
【0006】
そこで支持強度を確保しつつ見栄えの悪化を防止するために、導光板に新たな補強部材を追加したり、導光板を強度の高い材料により形成したりすることで係合爪をなくすことが考えられる。しかしながら、このようにするとコストが上昇し、低価格化が望まれる小型車には採用できない。
【0007】
本発明は、前記従来の状況に鑑みてなされたもので、コスト上昇を招くことなく導光板の支持強度を確保でき、かつ見栄えの悪化を防止できる車両用ランプ装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一方向に向けて形成されたレンズ開口を有するハウジング部材と、該ハウジング部材の底部に配設されたランプバルブと、前記ハウジング部材にレンズ開口を覆うように配設されたレンズと、前記ハウジング部材内に配設された導光板とを備え、該導光板を、これの長手方向中途部に形成された係合爪を前記ハウジング部材に形成された係合孔に係合させることにより該ハウジング部材に支持させるようにした車両用ランプ装置であって、前記ハウジング部材に、前記導光板に沿って延び、かつ該導光板の少なくとも一部が収容可能な大きさを有する第1凹部と、該第1凹部の底壁に続いて第1凹部と平行に、かつこれの全長に渡る長さを有する第2凹部とを形成し、該第2凹部の底壁部に前記係合孔を形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るランプ装置によれば、ハウジング部材に導光板の少なくとも一部を収容可能な第1凹部を形成するとともに、第1凹部の底壁に続いてこれの全長に渡る長さの第2凹部を形成し、第2凹部の底壁部に係合孔を形成したので、非点灯時に、ハウジング部材の第2凹部の上壁面部分にこれの長手方向に沿って延びる帯状のうっすらとした影ができることとなり、これを外部からレンズを透して見ると、この帯状の影に係合爪の影が重なって見え難くなる。その結果、傷や異物に見えていた係合爪の影が目立たなくなり、見栄えの悪化を防止できる。
【0010】
導光板を係合爪によりハウジング部材に固定するので、支持強度を確保でき、導光板が車体振動や熱により外れるのを防止できる。強度の高い材料に変更したり、補強構造を付加する場合のようなコスト上昇を回避でき、ひいては低価格化の要請が強い小型車への採用が可能となる。
【0011】
本発明では、第1凹部の底壁に続いて形成した第2凹部に係合孔を形成したので、導光板の組み付け時に係合爪が第2凹部の係合孔の周辺に接触して擦り傷が生じても外部から見えにくく、見栄えが悪化するのを防止できる。即ち、第2凹部は第1凹部より奥に位置しており、しかも帯状の影で隠れることから、擦り傷が目立たなくなり、この点からも見栄えの悪化を防止できる。
【0012】
また前記第2凹部を第1凹部の底壁に形成したので、ハウジング全体の外力に対する剛性,強度を高めることができ、ひいては導光板の支持強度をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1による自動車のヘッドランプ装置の斜視図である。
【図2】前記ヘッドランプ装置の分解斜視図である。
【図3】前記ヘッドランプ装置の断面図(図2のIII-III線断面図)である。
【図4】前記ヘッドランプ装置の断面図(図2のIV-IV線断面図)である。
【図5】前記ヘッドランプ装置の導光板の断面側面図である。
【図6】前記導光板の断面平面図である。
【図7】本実施例1の作用効果を説明するための模式図である。
【図8】前記実施例1における第1,第2凹部の変形例を説明するための模式図である。
【図9】本発明の実施例2を説明するための模式図である。
【図10】本発明の成立過程を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1ないし図7は、本発明の実施例1による車両用ランプ装置を説明するための図である。
【0016】
図において、1は自動車の車体前端部に配設された左,右のヘッドランプ装置を示している。この左,右のヘッドランプ装置1は、同一構造を有し、車両前方に向かって開口するハウジング部材2と、該ハウジング部材2の底部に配設されたハイビーム用ランプバルブ3及びロウビーム用ランプパルブ4と、前記ハウジング部材2に開口を覆うように配設された略無色透明なレンズ5とを備えている。
【0017】
前記ハウジング部材2は、アウタハウジング9と該アウタハウジング9内に配設されたインナハウジング10とを有する。
【0018】
前記アウタハウジング9は、前底部9bと、該前底部9bに続いて後方に位置するよう段付き状に形成された後底部9cと、該前,後底部9b,9c共通の周壁部9dとを有する大略碗形状のものである。
【0019】
前記周壁部9dの前縁にレンズ開口9aが形成されている。このレンズ開口9aの周縁には、凹溝9eが形成されており、該凹溝9e内にはシール部材13を介在させて前記レンズ5の外周縁部5aが挿入固定されている。
【0020】
前記アウタハウジング9の前底部9bには、前記ハイビーム用ランプバルブ3が着脱可能に装着されており、後底部9cには、前記ロウビーム用ランプパルブ4が着脱可能に装着されている。この各ランプパルブ3,4には、該ランプパルブ3,4の光を反射させてレンズ5に照射させるリフレクタ12が装着されている。
【0021】
前記インナハウジング10は、前記アウタハウジング9内にレンズ開口9aを覆うように配置されている。このインナハウジング10のレンズ5を透して見える外表面には、アルミ蒸着による反射面が形成されている。
【0022】
前記インナハウジング10は、各ランプパルブ3,4に臨むように形成された大略円筒状の左,右の照射開口部10a,10bと、該左,右の照射開口10a,10bの下縁に続いてレンズ5に近接するよう前方に延び前壁部10cと、該前壁部10cの下縁に続いて後下方に段付き状に屈曲して延びるターンシグナル用照射部10dとを有する。
【0023】
前記前壁部10cは、レンズ開口9aの車幅方向略全長に渡る長さを有し、内側から外側後方に向かって少し湾曲している。
【0024】
前記ヘッドランプ装置1は、前記レンズ開口9aの車幅方向略全長に渡る長さを有する導光板15を備えている。なお、この導光板は、レンズ開口9aの車幅方向の一部の長さのものであっても良い。
【0025】
前記導光板15は、前記インナハウジング10の前壁部10cの前面に配設されており、車幅方向に延びる略帯板状の導光レンズ部15aと、該導光レンズ部15aの背面側にこれの長手方向に沿って形成された鋸歯状の反射部15bとを有する。
【0026】
前記導光レンズ部15aは、車両前後方向の板厚が車幅方向外側に行くほど徐々に小さくなるように形成されている(図4参照)。
【0027】
また前記導光板15は、導光レンズ部15aの背面の上縁部に後方に突出するよう一体に形成された左,右一対の係合爪15c,15cと、前記導光レンズ部15aの左,右端部に車幅方向外方に突出するよう一体に形成された係合片15d,15dとを有する。
【0028】
前記各係合爪15cは、導光板15の長手方向中央部分に所定間隔をあけて配置されており、該各係合爪15cの先端部には、車幅方向に突出する爪部15eが形成されている。
【0029】
前記導光レンズ部15aの長手方向内側部分には、LED16が導光レンズ部15aの内端面に対向するよう配置されている。このLED16は、固定ボス部18にボルト締め固定された基板17に接続されている。
【0030】
前記LED16からの光が反射部15bを反射しつつ導光レンズ部15aの前面部分に照射され、これにより導光レンズ部15aが全長に渡って発光する(図4の破線矢印参照)。
【0031】
前記インナハウジング10の前壁部10cの前面には、第1凹部10eが前記導光板15に沿って延びるように形成されている。前記第1凹部10eは、前記導光レンズ部15aの後部を収容可能の大きさに設定されており、該導光レンズ部15aの前部は第1凹部10eから前方に露出している。
【0032】
また、前記第1凹部10eの底壁10hには、該第1凹部10eと平行に延び、該第1凹部10eの全長に渡る長さを有する第2凹部10fが形成されている。該第2凹部10fは、前記第1凹部10eの底壁10hの上部に形成されており、該第2凹部10fの上壁10iは第1凹部10eの上縁部10h′に対して段差をなしている。
【0033】
また前記導光レンズ部15aは、前壁部10cの前面と略連続面をなすよう形成されている。外部からレンズ5を透して見ると、前記第1凹部10eは導光板15により覆われている。
【0034】
前記第2凹部10fの底壁部10jの前記各係合爪15cに対応する部位には、係合孔10g,10gが形成されている。この各係合孔10gは、第2凹部10fの底壁部10jに続いて角筒状をなすよう形成されている。また前記第1凹部10eの両端部の前記各係合片15dに対応する部分には、差し込み孔10k,10kが形成されている。
【0035】
前記導光板15は、車両前方から左,右の係合片15dを第1凹部10eの各差し込み孔10kに差し込んで前壁部10cの背面に係止させ、各係合爪15cを係合孔10g内に差し込んで爪部15eを係合孔10gの後縁部に係止させることによりインナハウジング10に取り付けられている。
【0036】
本実施例によれば、インナハウジング10の前壁部10cに導光板15が収容可能な第1凹部10eを形成するとともに、該第1凹部10eの底壁10hに続いてこれの全長に渡る長さの第2凹部10fを形成し、該第2凹部10fの底部に一対の係合孔10gを形成する構成とした。
【0037】
このように第1凹部10eのさらに奥側に第2凹部10fを形成したので、図7に示すように、前記第2凹部10f部分が奥にあるため非点灯時には暗いことから導光板15に帯状のうっすらとした影bができる。この導光板15を外部からレンズ5を透して見ると、前記帯状の影bが係合爪15cの影a,aに重なるため、この係合爪15cの影a,aが見え難くなる。その結果、傷や異物に見えていた係合爪15cの影aが目立たなくなり、見栄えの悪化を防止できる。
【0038】
導光板15を2本の係合爪15cによりインナハウジング10に固定するので、支持強度を確保でき、車体振動や熱により外れるのを防止できる。補強部材を追加したり、強度の高い材料に変更したりする場合のようなコスト上昇を回避でき、ひいては低価格化の要請が強い小型車への採用が可能となる。
【0039】
本実施例では、前記第1凹部10eに続いて第2凹部10fを形成し、該第2凹部10fに係合孔10gを形成したので、導光板15の組み付け時に係合爪15cが第2凹部10fの係合孔10gの周辺に接触して擦り傷が生じても外部から見えにくく、見栄えが悪化するのを防止できる。即ち、第2凹部10fは第1凹部10eより奥に位置しており、しかも帯状の影bができることから、擦り傷が目立たなくなり、この点からも見栄えの悪化を防止できる。
【0040】
また前記第1凹部10eの底部にさらに第2凹部10fを形成したので、インナハウジング10全体の外力に対する剛性,強度を高めることができ、ひいては導光板15の支持強度をより一層高めることができる。
【0041】
なお、前記実施例1では、第1凹部10eの底壁10hが上縁部10h′まで滑らかに続いている場合を説明したが、この第1凹部10eは、図8に変形例を示すように、上縁部に明確な形状の側壁10c′を有する形状とし、その底壁10hに続いて第2凹部10fを形成しても良い。
【0042】
この場合においても、第1凹部10eのさらに奥側に第2凹部10fを形成したので、該第2凹部10fにより導光板15上に帯状のうっすらとした影ができ、その結果、傷や異物に見えていた係合爪の影が目立たなくなり、見栄えの悪化を防止できる。
【実施例2】
【0043】
図9(a),(b)は本発明の実施例2を示す。
【0044】
本実施例2では、第1凹部10eの上壁10i′と、第2凹部10fの上壁10iが略連続するように形成されている。
【0045】
本実施例2では、前記第1凹部10eの上壁10i′は、第2凹部10fから前方に庇のように延びている。そのため非点灯時には、太陽光線sが差し込んだ場合でも、この光が庇で遮られるため第2凹部10f部分が暗くなり、導光板15上に帯状のうっすらとした影がより明確にでき、その結果、見栄えの悪化をより確実に防止できる。
【0046】
なお、前記各実施例では、自動車のヘッドランプ装置を例に説明したが、本発明のランプ装置は、これに限られるものではなく、例えば車体後端部に配設されたリヤコンビネーションランプ装置,あるいは車室内に配設された室内灯等のランプ装置にも適用できる。
【0047】
また前記実施例では、導光板15に一対の係合爪15cを形成したが、本発明の係合爪は、1個でも3個以上でもよく、必要な支持強度に応じて適宜設定されることとなる。
【符号の説明】
【0048】
1 ヘッドランプ装置
2 ハウジング部材
3 ランプバルブ
4 ランプバルブ
5 レンズ
9 アウタハウジング(ハウジング部材)
10 インナハウジング(ハウジング部材)
10e 第1凹部
10f 第2凹部
10g 係合孔
10h 底壁
10j 底壁部
15 導光板
15c 係合爪
【技術分野】
【0001】
本発明は、導光板を備えた車両用ランプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のランプ装置においては、外観の向上を図る観点から、ハウジング部材内に、ランプバルブとは別にLEDからの光により発光する導光板を配設する場合がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような導光板は、一般にレンズ幅が小さく、車体振動に弱いことから、特に導光板を熱に対して不利な部位に設ける場合は、導光板の支持強度を高める必要がある。例えば、図10(a),図10(b)に示すように、導光板50の長手方向中途部に一対の係合爪50aを一体に形成し、ハウジング51に導光板50が収容可能な大きさを有する凹部51aを形成するとともに、該凹部51aの底壁に係合孔51bを形成する。そして導光板50を、これの係合爪50aを前記凹部51aの係合孔51bに差し込んで係合させることでハウジング51に支持させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−114309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述のように、導光板50に形成された係合爪50aをハウジング51の係合孔51bに係合させる構造では、導光板50の支持強度は確保できるものの、非点灯時に、導光板50に係合爪50aが影aとなって映り、これが黒ずんで見えることから、見栄えが悪いという問題が生じる。この影aは、レンズ52を透して見ると傷や異物のように見えることから目立ち易い。
【0006】
そこで支持強度を確保しつつ見栄えの悪化を防止するために、導光板に新たな補強部材を追加したり、導光板を強度の高い材料により形成したりすることで係合爪をなくすことが考えられる。しかしながら、このようにするとコストが上昇し、低価格化が望まれる小型車には採用できない。
【0007】
本発明は、前記従来の状況に鑑みてなされたもので、コスト上昇を招くことなく導光板の支持強度を確保でき、かつ見栄えの悪化を防止できる車両用ランプ装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一方向に向けて形成されたレンズ開口を有するハウジング部材と、該ハウジング部材の底部に配設されたランプバルブと、前記ハウジング部材にレンズ開口を覆うように配設されたレンズと、前記ハウジング部材内に配設された導光板とを備え、該導光板を、これの長手方向中途部に形成された係合爪を前記ハウジング部材に形成された係合孔に係合させることにより該ハウジング部材に支持させるようにした車両用ランプ装置であって、前記ハウジング部材に、前記導光板に沿って延び、かつ該導光板の少なくとも一部が収容可能な大きさを有する第1凹部と、該第1凹部の底壁に続いて第1凹部と平行に、かつこれの全長に渡る長さを有する第2凹部とを形成し、該第2凹部の底壁部に前記係合孔を形成したことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るランプ装置によれば、ハウジング部材に導光板の少なくとも一部を収容可能な第1凹部を形成するとともに、第1凹部の底壁に続いてこれの全長に渡る長さの第2凹部を形成し、第2凹部の底壁部に係合孔を形成したので、非点灯時に、ハウジング部材の第2凹部の上壁面部分にこれの長手方向に沿って延びる帯状のうっすらとした影ができることとなり、これを外部からレンズを透して見ると、この帯状の影に係合爪の影が重なって見え難くなる。その結果、傷や異物に見えていた係合爪の影が目立たなくなり、見栄えの悪化を防止できる。
【0010】
導光板を係合爪によりハウジング部材に固定するので、支持強度を確保でき、導光板が車体振動や熱により外れるのを防止できる。強度の高い材料に変更したり、補強構造を付加する場合のようなコスト上昇を回避でき、ひいては低価格化の要請が強い小型車への採用が可能となる。
【0011】
本発明では、第1凹部の底壁に続いて形成した第2凹部に係合孔を形成したので、導光板の組み付け時に係合爪が第2凹部の係合孔の周辺に接触して擦り傷が生じても外部から見えにくく、見栄えが悪化するのを防止できる。即ち、第2凹部は第1凹部より奥に位置しており、しかも帯状の影で隠れることから、擦り傷が目立たなくなり、この点からも見栄えの悪化を防止できる。
【0012】
また前記第2凹部を第1凹部の底壁に形成したので、ハウジング全体の外力に対する剛性,強度を高めることができ、ひいては導光板の支持強度をより一層高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1による自動車のヘッドランプ装置の斜視図である。
【図2】前記ヘッドランプ装置の分解斜視図である。
【図3】前記ヘッドランプ装置の断面図(図2のIII-III線断面図)である。
【図4】前記ヘッドランプ装置の断面図(図2のIV-IV線断面図)である。
【図5】前記ヘッドランプ装置の導光板の断面側面図である。
【図6】前記導光板の断面平面図である。
【図7】本実施例1の作用効果を説明するための模式図である。
【図8】前記実施例1における第1,第2凹部の変形例を説明するための模式図である。
【図9】本発明の実施例2を説明するための模式図である。
【図10】本発明の成立過程を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1ないし図7は、本発明の実施例1による車両用ランプ装置を説明するための図である。
【0016】
図において、1は自動車の車体前端部に配設された左,右のヘッドランプ装置を示している。この左,右のヘッドランプ装置1は、同一構造を有し、車両前方に向かって開口するハウジング部材2と、該ハウジング部材2の底部に配設されたハイビーム用ランプバルブ3及びロウビーム用ランプパルブ4と、前記ハウジング部材2に開口を覆うように配設された略無色透明なレンズ5とを備えている。
【0017】
前記ハウジング部材2は、アウタハウジング9と該アウタハウジング9内に配設されたインナハウジング10とを有する。
【0018】
前記アウタハウジング9は、前底部9bと、該前底部9bに続いて後方に位置するよう段付き状に形成された後底部9cと、該前,後底部9b,9c共通の周壁部9dとを有する大略碗形状のものである。
【0019】
前記周壁部9dの前縁にレンズ開口9aが形成されている。このレンズ開口9aの周縁には、凹溝9eが形成されており、該凹溝9e内にはシール部材13を介在させて前記レンズ5の外周縁部5aが挿入固定されている。
【0020】
前記アウタハウジング9の前底部9bには、前記ハイビーム用ランプバルブ3が着脱可能に装着されており、後底部9cには、前記ロウビーム用ランプパルブ4が着脱可能に装着されている。この各ランプパルブ3,4には、該ランプパルブ3,4の光を反射させてレンズ5に照射させるリフレクタ12が装着されている。
【0021】
前記インナハウジング10は、前記アウタハウジング9内にレンズ開口9aを覆うように配置されている。このインナハウジング10のレンズ5を透して見える外表面には、アルミ蒸着による反射面が形成されている。
【0022】
前記インナハウジング10は、各ランプパルブ3,4に臨むように形成された大略円筒状の左,右の照射開口部10a,10bと、該左,右の照射開口10a,10bの下縁に続いてレンズ5に近接するよう前方に延び前壁部10cと、該前壁部10cの下縁に続いて後下方に段付き状に屈曲して延びるターンシグナル用照射部10dとを有する。
【0023】
前記前壁部10cは、レンズ開口9aの車幅方向略全長に渡る長さを有し、内側から外側後方に向かって少し湾曲している。
【0024】
前記ヘッドランプ装置1は、前記レンズ開口9aの車幅方向略全長に渡る長さを有する導光板15を備えている。なお、この導光板は、レンズ開口9aの車幅方向の一部の長さのものであっても良い。
【0025】
前記導光板15は、前記インナハウジング10の前壁部10cの前面に配設されており、車幅方向に延びる略帯板状の導光レンズ部15aと、該導光レンズ部15aの背面側にこれの長手方向に沿って形成された鋸歯状の反射部15bとを有する。
【0026】
前記導光レンズ部15aは、車両前後方向の板厚が車幅方向外側に行くほど徐々に小さくなるように形成されている(図4参照)。
【0027】
また前記導光板15は、導光レンズ部15aの背面の上縁部に後方に突出するよう一体に形成された左,右一対の係合爪15c,15cと、前記導光レンズ部15aの左,右端部に車幅方向外方に突出するよう一体に形成された係合片15d,15dとを有する。
【0028】
前記各係合爪15cは、導光板15の長手方向中央部分に所定間隔をあけて配置されており、該各係合爪15cの先端部には、車幅方向に突出する爪部15eが形成されている。
【0029】
前記導光レンズ部15aの長手方向内側部分には、LED16が導光レンズ部15aの内端面に対向するよう配置されている。このLED16は、固定ボス部18にボルト締め固定された基板17に接続されている。
【0030】
前記LED16からの光が反射部15bを反射しつつ導光レンズ部15aの前面部分に照射され、これにより導光レンズ部15aが全長に渡って発光する(図4の破線矢印参照)。
【0031】
前記インナハウジング10の前壁部10cの前面には、第1凹部10eが前記導光板15に沿って延びるように形成されている。前記第1凹部10eは、前記導光レンズ部15aの後部を収容可能の大きさに設定されており、該導光レンズ部15aの前部は第1凹部10eから前方に露出している。
【0032】
また、前記第1凹部10eの底壁10hには、該第1凹部10eと平行に延び、該第1凹部10eの全長に渡る長さを有する第2凹部10fが形成されている。該第2凹部10fは、前記第1凹部10eの底壁10hの上部に形成されており、該第2凹部10fの上壁10iは第1凹部10eの上縁部10h′に対して段差をなしている。
【0033】
また前記導光レンズ部15aは、前壁部10cの前面と略連続面をなすよう形成されている。外部からレンズ5を透して見ると、前記第1凹部10eは導光板15により覆われている。
【0034】
前記第2凹部10fの底壁部10jの前記各係合爪15cに対応する部位には、係合孔10g,10gが形成されている。この各係合孔10gは、第2凹部10fの底壁部10jに続いて角筒状をなすよう形成されている。また前記第1凹部10eの両端部の前記各係合片15dに対応する部分には、差し込み孔10k,10kが形成されている。
【0035】
前記導光板15は、車両前方から左,右の係合片15dを第1凹部10eの各差し込み孔10kに差し込んで前壁部10cの背面に係止させ、各係合爪15cを係合孔10g内に差し込んで爪部15eを係合孔10gの後縁部に係止させることによりインナハウジング10に取り付けられている。
【0036】
本実施例によれば、インナハウジング10の前壁部10cに導光板15が収容可能な第1凹部10eを形成するとともに、該第1凹部10eの底壁10hに続いてこれの全長に渡る長さの第2凹部10fを形成し、該第2凹部10fの底部に一対の係合孔10gを形成する構成とした。
【0037】
このように第1凹部10eのさらに奥側に第2凹部10fを形成したので、図7に示すように、前記第2凹部10f部分が奥にあるため非点灯時には暗いことから導光板15に帯状のうっすらとした影bができる。この導光板15を外部からレンズ5を透して見ると、前記帯状の影bが係合爪15cの影a,aに重なるため、この係合爪15cの影a,aが見え難くなる。その結果、傷や異物に見えていた係合爪15cの影aが目立たなくなり、見栄えの悪化を防止できる。
【0038】
導光板15を2本の係合爪15cによりインナハウジング10に固定するので、支持強度を確保でき、車体振動や熱により外れるのを防止できる。補強部材を追加したり、強度の高い材料に変更したりする場合のようなコスト上昇を回避でき、ひいては低価格化の要請が強い小型車への採用が可能となる。
【0039】
本実施例では、前記第1凹部10eに続いて第2凹部10fを形成し、該第2凹部10fに係合孔10gを形成したので、導光板15の組み付け時に係合爪15cが第2凹部10fの係合孔10gの周辺に接触して擦り傷が生じても外部から見えにくく、見栄えが悪化するのを防止できる。即ち、第2凹部10fは第1凹部10eより奥に位置しており、しかも帯状の影bができることから、擦り傷が目立たなくなり、この点からも見栄えの悪化を防止できる。
【0040】
また前記第1凹部10eの底部にさらに第2凹部10fを形成したので、インナハウジング10全体の外力に対する剛性,強度を高めることができ、ひいては導光板15の支持強度をより一層高めることができる。
【0041】
なお、前記実施例1では、第1凹部10eの底壁10hが上縁部10h′まで滑らかに続いている場合を説明したが、この第1凹部10eは、図8に変形例を示すように、上縁部に明確な形状の側壁10c′を有する形状とし、その底壁10hに続いて第2凹部10fを形成しても良い。
【0042】
この場合においても、第1凹部10eのさらに奥側に第2凹部10fを形成したので、該第2凹部10fにより導光板15上に帯状のうっすらとした影ができ、その結果、傷や異物に見えていた係合爪の影が目立たなくなり、見栄えの悪化を防止できる。
【実施例2】
【0043】
図9(a),(b)は本発明の実施例2を示す。
【0044】
本実施例2では、第1凹部10eの上壁10i′と、第2凹部10fの上壁10iが略連続するように形成されている。
【0045】
本実施例2では、前記第1凹部10eの上壁10i′は、第2凹部10fから前方に庇のように延びている。そのため非点灯時には、太陽光線sが差し込んだ場合でも、この光が庇で遮られるため第2凹部10f部分が暗くなり、導光板15上に帯状のうっすらとした影がより明確にでき、その結果、見栄えの悪化をより確実に防止できる。
【0046】
なお、前記各実施例では、自動車のヘッドランプ装置を例に説明したが、本発明のランプ装置は、これに限られるものではなく、例えば車体後端部に配設されたリヤコンビネーションランプ装置,あるいは車室内に配設された室内灯等のランプ装置にも適用できる。
【0047】
また前記実施例では、導光板15に一対の係合爪15cを形成したが、本発明の係合爪は、1個でも3個以上でもよく、必要な支持強度に応じて適宜設定されることとなる。
【符号の説明】
【0048】
1 ヘッドランプ装置
2 ハウジング部材
3 ランプバルブ
4 ランプバルブ
5 レンズ
9 アウタハウジング(ハウジング部材)
10 インナハウジング(ハウジング部材)
10e 第1凹部
10f 第2凹部
10g 係合孔
10h 底壁
10j 底壁部
15 導光板
15c 係合爪
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に向けて形成されたレンズ開口を有するハウジング部材と、該ハウジング部材の底部に配設されたランプバルブと、前記ハウジング部材にレンズ開口を覆うように配設されたレンズと、前記ハウジング部材内に配設された導光板とを備え、
該導光板を、これの長手方向中途部に形成された係合爪を前記ハウジング部材に形成された係合孔に係合させることにより該ハウジング部材に支持させるようにした車両用ランプ装置であって、
前記ハウジング部材に、前記導光板に沿って延び、かつ該導光板の少なくとも一部が収容可能な大きさを有する第1凹部と、
該第1凹部の底壁に続いて第1凹部と平行に、かつこれの全長に渡る長さを有する第2凹部とを形成し、
該第2凹部の底壁部に前記係合孔を形成した
ことを特徴とする車両用ランプ装置。
【請求項1】
一方向に向けて形成されたレンズ開口を有するハウジング部材と、該ハウジング部材の底部に配設されたランプバルブと、前記ハウジング部材にレンズ開口を覆うように配設されたレンズと、前記ハウジング部材内に配設された導光板とを備え、
該導光板を、これの長手方向中途部に形成された係合爪を前記ハウジング部材に形成された係合孔に係合させることにより該ハウジング部材に支持させるようにした車両用ランプ装置であって、
前記ハウジング部材に、前記導光板に沿って延び、かつ該導光板の少なくとも一部が収容可能な大きさを有する第1凹部と、
該第1凹部の底壁に続いて第1凹部と平行に、かつこれの全長に渡る長さを有する第2凹部とを形成し、
該第2凹部の底壁部に前記係合孔を形成した
ことを特徴とする車両用ランプ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2012−109082(P2012−109082A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256003(P2010−256003)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】
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