説明

車両用充放電装置

【課題】充電状態と放電状態を確実に切り換えること。
【解決手段】充電側電磁接触器MC1を接点S1〜S4で構成するとともに、放電側電磁接触器MC2を接点S5〜S8で構成する。接点S1,S2は、充電用経路K1を通電状態と非通電状態に切り換えるとともに、接点S3,S4は、接点S1,S2とは逆の状態を取り得る。接点S5,S6は、放電用経路K2を通電状態と非通電状態に切り換えるとともに、接点S7,S8は、接点S5,S6とは逆の状態を取り得る。充電側コントローラ14は、接点S1,S2を通電状態に切り換えるための電気信号を、放電側電磁接触器MC2の接点S7を介して充電側電磁接触器MC1に入力する。放電側コントローラ15は、接点S5,S6を通電状態に切り換えるための電気信号を、充電側電磁接触器MC1の接点S4を介して放電側電磁接触器MC2に入力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充放電プラグを車両に接続し、その車両に搭載された蓄電池を充電する、又は蓄電池から放電する車両用充放電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
EV(Electric Vehicle)やPHV(Plug in Hybrid Vehicle)などの車両には、当該車両の原動機となる電動機(モータ)への供給電力を蓄える蓄電池が搭載されており、その蓄電池を充電するための充電装置が考えられている。一方、例えば災害時の電力供給不足を補う目的で、車両の蓄電池に蓄えられている電力を放電させるための放電装置も考えられている。例えば、特許文献1,2には、車両の蓄電池に対して充電及び放電を行うことが可能な充放電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−178234号公報
【特許文献2】特開2007−252117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、充放電装置では、充電と放電を同時に行う可能性が低いことを考慮すると、充電時と放電時で共通利用可能なプラグを用意しておいた方が、それぞれで専用のプラグを用意しておくことよりも利便性が良く、好ましい。このため、充放電装置において共通利用可能なプラグを採用する場合には、例えば充電中に放電に切り換わってしまうなど、意図しない要因によって状態が切り換わらないようにしておく必要がある。
【0005】
この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、充電状態と放電状態を確実に切り換えることができる充放電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、充放電プラグを車両に接続し、その車両に搭載された蓄電池を充電する、又は前記蓄電池から放電する車両用充放電装置において、充電時に、充電用経路を通電状態に切り換える充電時切換手段と、放電時に、放電用経路を通電状態に切り換える放電時切換手段と、充電時には前記充電用経路を通電状態へ切り換えるための第1の駆動信号を前記充電時切換手段に出力するとともに、放電時には前記放電用経路を通電状態へ切り換えるための第2の駆動信号を前記放電時切換手段に出力する切換制御手段と、を備え、前記充電時切換手段には、前記充電用経路を通電状態と非通電状態に切り換える第1の接点と、前記第1の接点とは逆の状態を取り得る第2の接点と、を含み、前記放電時切換手段には、前記放電用経路を通電状態と非通電状態に切り換える第3の接点と、前記第3の接点とは逆の状態を取り得る第4の接点と、を含み、前記第1の駆動信号を、前記放電時切換手段の前記第4の接点を介して前記充電時切換手段に入力する一方で、前記第2の駆動信号を、前記充電時切換手段の前記第2の接点を介して前記放電時切換手段に入力することを要旨とする。
【0007】
これによれば、充電中、充電時切換手段の第1の接点により充電用経路が通電状態とされている時、第2の接点は第1の接点と逆の状態、すなわち非通電状態となる。そして、放電用経路を通電状態に切り換えるための第2の駆動信号は、充電時切換手段の第2の接点を介して放電時切換手段に入力される。このため、充電中は、第2の駆動信号が出力されても、その第2の駆動信号は第2の接点が非通電状態とされていることにより、放電時切換手段に入力されない。また、放電中、放電時切換手段の第3の接点により放電用経路が通電状態とされている時、第4の接点は第3の接点とは逆の状態、すなわち非通電状態となる。そして、充電用経路を通電状態に切り換えるための第1の駆動信号は、放電時切換手段の第4の接点を介して充電時切換手段に入力される。このため、放電中は、第1の駆動信号が出力されても、その第1の駆動信号は第4の接点が非通電状態とされていることにより、充電時切換手段に入力されない。これにより、充電及び放電の何れか一方が行われている場合は、他方に切り換わらない。したがって、意図しない要因によって状態が切り換わることなく、充電状態と放電状態を確実に切り換えることができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用充放電装置において、前記充電時切換手段には、前記第2の接点と同一状態を取り得る第5の接点をさらに含み、前記放電時切換手段には、前記第4の接点と同一状態を取り得る第6の接点をさらに含み、前記第5の接点、前記第6の接点、及び放電抵抗により、前記充電用経路の残留抵抗を放電する放電用回路を構成したことを要旨とする。
【0009】
これによれば、充電終了後に充放電プラグを非接続状態とした場合に、充電用経路の残留電圧を放電用回路によって放電させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、充電状態と放電状態を確実に切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】車両用充放電装置の構成を示すブロック図。
【図2】充電時の車両用充放電装置の動作を示すブロック図。
【図3】放電時の車両用充放電装置の動作を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図3にしたがって説明する。
図1に示すように、車両用充放電装置10は、電力系統11に接続されるとともに、車両12に搭載される蓄電池13を充電する場合、又は蓄電池13から放電する場合には充放電プラグPを介して車両12に接続される。車両用充放電装置10は、充電時に、電力供給源となる電力系統11と車両12の間の充電用経路K1を通電状態に切り換える充電時切換手段としての充電側電磁接触器(マグネットコンタクタ)MC1を備えている。そして、充電側電磁接触器MC1は、切換制御手段としての充電側コントローラ14に電気的に接続されている。充電側コントローラ14は、電気信号を出力することにより、充電側電磁接触器MC1を構成する接点を開閉させる。
【0013】
また、車両用充放電装置10は、放電時に、電力放出先となる電力系統11と車両12の間の放電用経路K2を通電状態に切り換える放電時切換手段としての放電側電磁接触器(マグネットコンタクタ)MC2を備えている。そして、放電側電磁接触器MC2は、切換制御手段としての放電側コントローラ15に電気的に接続されている。放電側コントローラ15は、電気信号を出力することにより、放電側電磁接触器MC2を構成する接点を開閉させる。
【0014】
また、車両用充放電装置10は、充電側コントローラ14と放電側コントローラ15を制御するコントローラ16を備えているとともに、コントローラ16は、充電側コントローラ14と放電側コントローラ15に双方向通信可能に接続されている。コントローラ16は、充電の実行指示を充電側コントローラ14に出力するとともに、放電の実行指示を放電側コントローラ15に出力する。また、車両用充放電装置10は、電源17を備えているとともに、電源17は、電力系統11と充電側電磁接触器MC1の間、すなわち充電側電磁接触器MC1の入力側となる1次側に接続されている。そして、電源17は、充電側コントローラ14、放電側コントローラ15、及びコントローラ16のそれぞれに電気的に接続されており、電力を供給する。また、充電側電磁接触器MC1の1次側には、過電流が流れた場合に電流の流れを遮断する電力遮断部18が接続されている。
【0015】
また、充電側コントローラ14には、充放電プラグPと充電側電磁接触器MC1の間、すなわち充電側電磁接触器MC1の出力側となる2次側の電圧を検知する充放電検知部19が接続されている。充電側コントローラ14は、充放電検知部19の検知結果を入力する。また、充電側コントローラ14には、充放電プラグPとの間に、電圧を検知する充放電検知部20が接続されている。本実施形態の充電側コントローラ14は、充放電検知部20の検知結果をもとにCPLT(コントロールパイロット)機能により、車両12側との接続などを確認する。一方、放電側コントローラ15には、電力系統11と放電側電磁接触器MC2の間、すなわち放電側電磁接触器MC2の出力側となる2次側の電圧を検知する充放電検知部21が接続されている。放電側コントローラ15は、充放電検知部21の検知結果を入力する。本実施形態の車両用充放電装置10では、充電側電磁接触器MC1の1次側が電力遮断部18を介して電力系統11に接続されるとともに、充電側電磁接触器MC1の2次側が充放電プラグPを介して車両12に接続され、これらを接続する送電線によって充電用経路K1が構成されている。また、本実施形態の車両用充放電装置10では、放電側電磁接触器MC2の1次側が充放電プラグPを介して車両12に接続されるとともに、放電側電磁接触器MC2の2次側が電力系統11に接続され、これらを接続する送電線によって放電用経路K2が構成されている。
【0016】
以下、充電側電磁接触器MC1と放電側電磁接触器MC2の構成をさらに詳しく説明する。
充電側電磁接触器MC1は、複数(実施形態では4つ)の接点S1,S2,S3,S4を備えているとともに、放電側電磁接触器MC2は、複数(実施形態では4つ)の接点S5,S6,S7,S8を備えている。充電側電磁接触器MC1の接点S1,S2、及び放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6は、a接点(常開接点)とされている。充電側電磁接触器MC1の接点S1,S2は、充電用経路K1を通電状態と非通電状態とに切り換える。詳しく言えば、充電側電磁接触器MC1の接点S1,S2は、開状態において充電用経路K1を非通電状態とする一方で、閉状態において充電用経路K1を通電状態とする。一方、放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6は、放電用経路K2を通電状態と非通電状態とに切り換える。詳しく言えば、放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6は、開状態において放電用経路K2を非通電状態とする一方で、閉状態において放電用経路K2を通電状態とする。本実施形態では、充電側電磁接触器MC1の接点S1,S2によって第1の接点が構成されるとともに、放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6によって第3の接点が構成される。
【0017】
充電側電磁接触器MC1の接点S3,S4、及び放電側電磁接触器MC2の接点S7,S8は、b接点(常閉接点)とされている。そして、充電側電磁接触器MC1の接点S3と放電側電磁接触器MC2の接点S8は、電気的に接続されている。詳しく言えば、充電側電磁接触器MC1の接点S3の一方の端子は、放電抵抗22を介して充電側電磁接触器MC1の2次側に接続されているとともに、接点S3の他方の端子は、放電側電磁接触器MC2の接点S8の一方の端子に接続されている。また、放電側電磁接触器MC2の接点S8の他方の端子は、充電側電磁接触器MC1の2次側に接続されている。すなわち、両接点S3,S8は、閉状態において充電側電磁接触器MC1の2次側の電流が流れる放電用回路としての閉回路を構成する。本実施形態では、接点S3が第5の接点となり、接点S8が第6の接点となる。
【0018】
なお、両接点S3,S8は、充電側電磁接触器MC1の接点S1,S2及び放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6とは、逆の動作状態を取り得る。つまり、接点S1,S2,S5,S6が開状態の場合は両接点S3,S8が閉状態となり、接点S1,S2,S5,S6が閉状態の場合は両接点S3,S8が開状態となる。したがって、両接点S3,S8は、接点S1,S2,S5,S6の何れもが開状態の場合、つまり充電用経路K1及び放電用経路K2の何れもが非通電状態の場合に、充電側電磁接触器MC1の2次側の電流が流れる閉回路を構成する。因みに、両接点S3,S8は、接点S1,S2が閉状態(充電用経路K1が通電状態)の場合、接点S3が開状態となることにより、閉回路を構成しない。また、両接点S3,S8は、接点S5,S6が閉状態(放電用経路K2が通電状態)の場合、接点S8が開状態となることにより、閉回路を構成しない。
【0019】
また、充電側電磁接触器MC1の接点S4は、一方の端子が放電側コントローラ15に電気的に接続されているとともに、他方の端子が放電側電磁接触器MC2に電気的に接続されている。また、放電側電磁接触器MC2の接点S7は、一方の端子が充電側コントローラ14に電気的に接続されているとともに、他方の端子が充電側電磁接触器MC1に電気的に接続されている。本実施形態では、接点S4が第2の接点となり、接点S7が第4の接点となる。
【0020】
本実施形態の充電側電磁接触器MC1は、充電側コントローラ14が出力する電気信号により、各接点S1〜S4を開閉させる。詳しく言えば、充電側電磁接触器MC1では、接点S1,S2が開状態で、かつ接点S3,S4が閉状態の場合に、充電側コントローラ14が充電用経路K1を通電状態に切り換えるための電気信号を出力すると、その信号の入力により各接点S1〜S4が逆の状態に動作する。すなわち、前記電気信号により、接点S1,S2は開状態から閉状態に動作する一方で、接点S3,S4は閉状態から開状態に動作する。このように動作した場合、充電用経路K1は、非通電状態から通電状態に切り換わる。本実施形態では、充電用経路K1を通電状態に切り換えるための電気信号が、第1の駆動信号となる。
【0021】
一方、充電側電磁接触器MC1では、接点S1,S2が閉状態で、かつ接点S3,S4が開状態の場合に、充電側コントローラ14が充電用経路K1を非通電状態に切り換えるための電気信号を出力すると、その信号の入力により各接点S1〜S4が逆の状態に動作する。すなわち、前記電気信号により、接点S1,S2は閉状態から開状態に動作する一方で、接点S3,S4は開状態から閉状態に動作する。このように動作した場合、充電用経路K1は、通電状態から非通電状態に切り換わる。
【0022】
また、本実施形態の放電側電磁接触器MC2は、放電側コントローラ15が出力する電気信号により、各接点S5〜S8を開閉させる。詳しく言えば、放電側電磁接触器MC2では、接点S5,S6が開状態で、かつ接点S7,S8が閉状態の場合に、放電側コントローラ15が放電用経路K2を通電状態に切り換えるための電気信号を出力すると、その信号の入力により各接点S5〜S8が逆の状態に動作する。すなわち、前記電気信号により、接点S5,S6は開状態から閉状態に動作する一方で、接点S7,S8は閉状態から開状態に動作する。このように動作した場合、放電用経路K2は、非通電状態から通電状態に切り換わる。本実施形態では、放電用経路K2を通電状態に切り換えるための電気信号が、第2の駆動信号となる。
【0023】
一方、放電側電磁接触器MC2では、接点S5,S6が閉状態で、かつ接点S7,S8が開状態の場合に、放電側コントローラ15が放電用経路K2を非通電状態に切り換えるための電気信号を出力すると、その信号の入力により各接点S5〜S8が逆の状態に動作する。すなわち、前記電気信号により、接点S5,S6は閉状態から開状態に動作する一方で、接点S7,S8は開状態から閉状態に動作する。このように動作した場合、放電用経路K2は、通電状態から非通電状態に切り換わる。
【0024】
そして、本実施形態では、充電側コントローラ14からの電気信号を、充電側電磁接触器MC1に対して直接入力せずに、放電側電磁接触器MC2の接点S7を介して入力させている。一方、本実施形態では、放電側コントローラ15からの電気信号を、放電側電磁接触器MC2に対して直接入力せずに、充電側電磁接触器MC1の接点S4を介して入力させている。このような構成によれば、電気信号は、当該電気信号の伝送経路上に配設した非制御対象側の接点を介して制御対象側に入力されることになる。つまり、充電側コントローラ14からの電気信号は、放電側電磁接触器MC2の接点S7が閉状態である場合に、充電側電磁接触器MC1に入力される。換言すれば、充電側コントローラ14からの電気信号は、放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6が開状態、すなわち放電用経路K2が非通電状態となる放電が行われていない場合に、充電側電磁接触器MC1に入力される。
【0025】
また、放電側コントローラ15からの電気信号は、充電側電磁接触器MC1の接点S4が閉状態である場合に、放電側電磁接触器MC2に入力される。換言すれば、放電側コントローラ15からの電気信号は、充電側電磁接触器MC1の接点S1,S2が開状態、すなわち充電用経路K1が非通電状態となる充電が行われていない場合に、放電側電磁接触器MC2に入力される。
【0026】
以下、本実施形態の車両用充放電装置10の作用を、図2及び図3にしたがって説明する。
充電及び放電が行われていない場合は、図1に示すように、充電側電磁接触器MC1の接点S1,S2、及び放電側電磁接触器MC2の接点S5,S6のそれぞれが開状態とされて充電用経路K1、及び放電用経路K2のそれぞれが非通電状態となる。また、充電側電磁接触器MC1の接点S3,S4、及び放電側電磁接触器MC2の接点S7,S8のそれぞれは、閉状態となる。
【0027】
そして、車両12に接続された充放電プラグPを介して車両12との接続確認が行われるとともに、コントローラ16から充電側コントローラ14に充電開始の指示が送信されると、充電側コントローラ14は、充電用経路K1を通電状態に切り換えるための電気信号を出力する。この電気信号は、放電側電磁接触器MC2の接点S7が閉状態とされていることから、その接点S7を介して充電側電磁接触器MC1に入力される。そして、充電側電磁接触器MC1では、図2に示すように、電気信号により、接点S3,S4が開状態とされる一方で、接点S1,S2が閉状態とされる。これにより、電力系統11と車両12の間の充電用経路K1は通電状態とされ、充放電プラグPを介して電力が車両12の蓄電池13に供給されて充電が行われる。
【0028】
なお、前述のように充電が行われている場合の放電側電磁接触器MC2は、図2に示すように、接点S5,S6が開状態とされる一方で、接点S7,S8が閉状態とされている。そして、充電中、外乱ノイズなどの何らかの要因により、放電側コントローラ15から放電用経路K2を通電状態に切り換えるための電気信号が出力されたとする。しかし、その電気信号は、図2に示すように、充電側電磁接触器MC1の接点S4が開状態となっていることから、放電側電磁接触器MC2に入力されない。つまり、充電中、意図せずに放電へ切り換わることがない。
【0029】
その後、充電の終了に伴ってコントローラ16から充電側コントローラ14に充電終了の指示が送信されると、充電側コントローラ14は、充電用経路K1を非通電状態に切り換えるための電気信号を出力する。この電気信号は、放電側電磁接触器MC2の接点S7が閉状態とされていることから、その接点S7を介して充電側電磁接触器MC1に入力される。そして、充電側電磁接触器MC1では、図1に示すように、電気信号により、接点S3,S4が閉状態とされる一方で、接点S1,S2が開状態とされる。この状態では、充電側電磁接触器MC1の接点S3、及び放電側電磁接触器MC2の接点S8の何れもが閉状態となり、充電側電磁接触器MC1の2次側の電流が流れる閉回路を構成している。このため、充放電プラグPと車両12が非接続状態とされた場合には、充電側電磁接触器MC1の2次側の残留電圧が、放電抵抗22を介して放電される。なお、充電側電磁接触器MC1の接点S3は、充電用経路K1が通電状態となっている場合、開状態とされていることから、充電側電磁接触器MC1の2次側の電流が流れる閉回路は構成されない。したがって、放電抵抗22は、充電中の負荷にはならない。
【0030】
次に、放電を行う場合について説明する。
車両12に接続された充放電プラグPを介して車両12との接続確認が行われるとともに、コントローラ16から放電側コントローラ15に放電開始の指示が送信されると、放電側コントローラ15は、放電用経路K2を通電状態に切り換えるための電気信号を出力する。この電気信号は、充電側電磁接触器MC1の接点S4が閉状態とされていることから、その接点S4を介して放電側電磁接触器MC2に入力される。そして、放電側電磁接触器MC2では、図3に示すように、電気信号により、接点S7,S8が開状態とされる一方で、接点S5,S6が閉状態とされる。これにより、電力系統11と車両12の間の放電用経路K2は通電状態とされ、充放電プラグPを介して車両12の蓄電池13から電力が放出されて放電が行われる。
【0031】
なお、前述のように放電が行われている場合の充電側電磁接触器MC1は、図3に示すように、接点S1,S2が開状態とされる一方で、接点S3,S4が閉状態とされている。そして、放電中、外乱ノイズなどの何らかの要因により、充電側コントローラ14から充電用経路K1を通電状態に切り換えるための電気信号が出力されたとする。しかし、その電気信号は、図3に示すように、放電側電磁接触器MC2の接点S7が開状態となっていることから、充電側電磁接触器MC1に入力されない。つまり、放電中、意図せずに充電へ切り換わることがない。
【0032】
その後、放電の終了に伴ってコントローラ16から放電側コントローラ15に放電終了の指示が送信されると、放電側コントローラ15は、放電用経路K2を非通電状態に切り換えるための電気信号を出力する。この電気信号は、充電側電磁接触器MC1の接点S4が閉状態とされていることから、その接点S4を介して放電側電磁接触器MC2に入力される。そして、放電側電磁接触器MC2では、図1に示すように、電気信号により、接点S7,S8が閉状態とされる一方で、接点S3,S4が開状態とされる。なお、放電中、放電側電磁接触器MC2の接点S8は、開状態とされていることから、充電側電磁接触器MC1の2次側の電流が流れる閉回路は構成されない。したがって、放電抵抗22は、放電中の負荷にもならない。
【0033】
したがって、本実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)充電用経路K1を通電状態に切り換えるために充電側コントローラ14が出力する電気信号を、放電側電磁接触器MC2を介して充電側電磁接触器MC1に入力する。前記電気信号は、非放電中であれば、放電側電磁接触器MC2の接点S7が閉状態とされていることにより、充電側電磁接触器MC1に入力される。換言すれば、前記電気信号は、放電中であれば、放電側電磁接触器MC2の接点S7が開状態とされていることにより、充電側電磁接触器MC1に入力されない。したがって、放電中に、意図しない要因で充電側コントローラ14から前記電気信号が出力されたとしても、放電状態から充電状態に切り換わることがなく、充電状態と放電状態を確実に切り換えることができる。
【0034】
(2)また、放電用経路K2を通電状態に切り換えるために放電側コントローラ15が出力する電気信号を、充電側電磁接触器MC1を介して放電側電磁接触器MC2に入力する。前記電気信号は、非充電中であれば、充電側電磁接触器MC1の接点S4が閉状態とされていることにより、放電側電磁接触器MC2に入力される。換言すれば、前記電気信号は、充電中であれば、充電側電磁接触器MC1の接点S4が開状態とされていることにより、放電側電磁接触器MC2に入力されない。したがって、充電中に、意図しない要因で放電側コントローラ15から前記電気信号が出力されたとしても、充電状態から放電状態に切り換わることがなく、充電状態と放電状態を確実に切り換えることができる。
【0035】
(3)そして、上記の排他制御を実現するために、本実施形態の車両用充放電装置10は、多接点型の電磁接触器を用いるとともに、その接点の切り換えにより、非制御対象側の電磁接触器を介して制御対象側の電磁接触器に前記電気信号を入力する。このため、簡単な構成で上記の排他制御を実現できる。なお、本実施形態の排他制御は、充電と放電を同時に行わず、充電中は放電を、放電中は充電を、それぞれ行わせないようにする制御である。
【0036】
(4)充電側電磁接触器MC1の接点S3と放電側電磁接触器MC2の接点S8により、充電側電磁接触器MC1の2次側の残留電圧を放電する放電用回路を構成した。これにより、充電終了後に充放電プラグPを非接続状態とした場合に、充電用経路K1の残留電圧を放電用回路によって放電させることができる。
【0037】
(5)また、充電中は接点S3が開状態になるとともに、放電中は接点S8が開状態となることにより、放電用回路は非通電状態とされる。このため、放電用回路に配設した放電抵抗22は、充電中、及び放電中の何れにおいても負荷とならない。したがって、充電、及び放電を確実に行うことができる。
【0038】
(6)上記の排他制御の実現により、単一の充放電プラグPを用いて、充電状態と放電状態を確実に切り換えることができる。すなわち、充電用と放電用のプラグを別々に設けることなく、充放電を行うことができる。
【0039】
なお、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 充電中に放電しない、及び放電中に充電しない排他制御機能を搭載する車両用充放電装置10を構成する場合、つまり充電側電磁接触器MC1の2次側の残留電圧を放電する機能を搭載しない場合は、放電抵抗22を設けなくても良い。この場合、残留抵抗を放電させるための閉回路を構成する充電側電磁接触器MC1の接点S3と放電側電磁接触器MC2の接点S8を設けなくても良い。つまり、充電側電磁接触器MC1は接点S1,S2,S4の3つの接点で構成するとともに、放電側電磁接触器MC2は接点S5,S6,S7の3つの接点で構成する。なお、上記のように排他制御のために充電側電磁接触器MC1及び放電側電磁接触器MC2をそれぞれ3つの接点で構成し、上記した残留電圧を放電する機能については別の手段を用いることで、排他制御と放電機能を備えた車両用充放電装置を構成しても良い。
【0040】
・ 充電側コントローラ14と放電側コントローラ15を単一のコントローラとし、そのコントローラで充電側電磁接触器MC1と放電側電磁接触器MC2を制御しても良い。
・ 各充放電検知部19〜21を、充電側コントローラ14や放電側コントローラ15の機能として構成しても良い。つまり、各充放電検知部19〜21が行う検知を、充電側コントローラ14や放電側コントローラ15が行っても良い。
【0041】
・ 車両用充放電装置10を例えば住宅に設置する場合には、電力放出先を電力系統11に代えて、その住宅に設置した蓄電池とし、その蓄電池に車両12の蓄電池13から放出された電力を充電しても良い。
【符号の説明】
【0042】
10…車両用充放電装置、12…車両、13…蓄電池、14…充電側コントローラ、15…放電側コントローラ、22…放電抵抗、MC1…充電側電磁接触器、MC2…放電側電磁接触器、K1…充電用経路、K2…放電用経路、P…充放電プラグ、S1〜S8…接点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充放電プラグを車両に接続し、その車両に搭載された蓄電池を充電する、又は前記蓄電池から放電する車両用充放電装置において、
充電時に、充電用経路を通電状態に切り換える充電時切換手段と、
放電時に、放電用経路を通電状態に切り換える放電時切換手段と、
充電時には前記充電用経路を通電状態へ切り換えるための第1の駆動信号を前記充電時切換手段に出力するとともに、放電時には前記放電用経路を通電状態へ切り換えるための第2の駆動信号を前記放電時切換手段に出力する切換制御手段と、を備え、
前記充電時切換手段には、前記充電用経路を通電状態と非通電状態に切り換える第1の接点と、前記第1の接点とは逆の状態を取り得る第2の接点と、を含み、
前記放電時切換手段には、前記放電用経路を通電状態と非通電状態に切り換える第3の接点と、前記第3の接点とは逆の状態を取り得る第4の接点と、を含み、
前記第1の駆動信号を、前記放電時切換手段の前記第4の接点を介して前記充電時切換手段に入力する一方で、前記第2の駆動信号を、前記充電時切換手段の前記第2の接点を介して前記放電時切換手段に入力することを特徴とする車両用充放電装置。
【請求項2】
前記充電時切換手段には、前記第2の接点と同一状態を取り得る第5の接点をさらに含み、
前記放電時切換手段には、前記第4の接点と同一状態を取り得る第6の接点をさらに含み、
前記第5の接点、前記第6の接点、及び放電抵抗により、前記充電用経路の残留抵抗を放電する放電用回路を構成したことを特徴とする請求項1に記載の車両用充放電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−102565(P2013−102565A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243699(P2011−243699)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】