説明

車両用冷暖房装置

【課題】複数の冷媒通路を切り替えて運転がなされる車両用冷暖房装置において、その冷媒通路の切り替える制御弁に嵩むコストをトータル的に抑制する。
【解決手段】ある態様の車両用冷暖房装置は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、車室外に配置され、冷房運転時に冷媒を放熱させる室外凝縮器として機能する一方、暖房運転時には冷媒を蒸発させる室外蒸発器として機能する室外熱交換器と、車室内に配置されて冷媒を蒸発させる室内蒸発器と、圧縮機、室外熱交換器、室内蒸発器をつなぐ冷媒循環通路を構成する複数の冷媒通路の開度をそれぞれ調整するための第1比例弁105、第2比例弁106と、その複数の比例弁を収容する共用のボディ104と、その複数の比例弁の開度を電気的に調整するための共用のモータユニット102と、を含む比例弁34と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用冷暖房装置に関し、特に車両用冷暖房装置の冷媒通路の切り替えに好適な制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内燃機関を搭載した車両においてはエンジンの燃焼効率が向上したこともあり、熱源として利用してきた冷却水が暖房に必要な温度にまで上昇し難くなっている。一方、内燃機関と電動機を併用したハイブリッド車両においては内燃機関の稼働率が低いため、そのような冷却水の利用がさらに難しい。電気自動車に至っては内燃機関による熱源そのものがない。このため、冷房のみならず暖房にも冷媒を用いたサイクル運転を行い、車室内を除湿暖房可能なヒートポンプ式の車両用冷暖房装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような車両用冷暖房装置は、圧縮機、室外熱交換器、蒸発器、室内熱交換器等を含む冷凍サイクルを有し、暖房運転時と冷房運転時とで室外熱交換器の機能が切り替えられる。暖房運転時においては室外熱交換器が蒸発器として機能する。その際、冷凍サイクルを冷媒が循環する過程で室内熱交換器が放熱し、その熱により車室内の空気が加熱される。一方、冷房運転時においては室外熱交換器が凝縮器として機能する。その際、室外熱交換器にて凝縮された冷媒が蒸発器にて蒸発し、その蒸発潜熱により車室内の空気が冷却される。その際、除湿も行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−240266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車室内の快適性を維持するとともに、寒冷下においても車両運転中の視界を良好に維持するために、このような車両用冷暖房装置においては特に除湿運転が重要視される。そのため、複数の熱交換器が比較的複雑な経路で配管されることが多く、冷媒通路の切り替えのために二方向弁、三方向弁、四方向弁といった制御弁が数多く用いられる。二方向弁は、その開閉により冷媒通路を開放または遮断したり、その開度調整により冷媒通路の開度を調整したりする。三方向弁は、1つの共用通路と2つの分岐通路との接続点に設けられ、共用通路と連通させる分岐通路を切り替える。四方向弁は、2つの上流側通路と2つの下流側通路との接続点に設けられ、上流側通路と下流側通路との連通状態の組み合わせを切り替える。これらの制御弁は、アクチュエータとしてソレノイドやステッピングモータなどを用いる電気駆動弁として構成されることが多い。
【0006】
しかしながら、このような制御弁が数多く用いられると、当然にコストが嵩み、車両の設置スペース上の問題も生じる。このため、このような制御弁を冷媒通路を切り替えるだけの切替弁としてだけではなく、その開度を比例的に変化させて冷媒流量の調整を行う比例弁として機能させたり、その開度を絞ることで冷媒を膨張させて状態遷移させる膨張弁として機能させるなど、複数種の制御弁の機能を兼用させることもある。しかし、二方向弁として構成する場合には、その設置数に応じたアクチュエータが必要となる。また、三方向弁や四方向弁として構成する場合にも、その複数の弁部の開度を外部から調整可能とする場合には、その弁部の数に応じたアクチュエータが必要となり、依然として改善の余地があった。
【0007】
本発明の目的は、複数の冷媒通路を切り替えて運転がなされる車両用冷暖房装置において、その冷媒通路の切り替える制御弁に嵩むコストをトータル的に抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用冷暖房装置は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、車室外に配置され、冷房運転時に冷媒を放熱させる室外凝縮器として機能する一方、暖房運転時には冷媒を蒸発させる室外蒸発器として機能する室外熱交換器と、車室内に配置されて冷媒を蒸発させる室内蒸発器と、圧縮機、室外熱交換器、室内蒸発器をつなぐ冷媒循環通路を構成する複数の冷媒通路の開度をそれぞれ調整するための複数の弁部と、その複数の弁部を収容する共用のボディと、その複数の弁部の開度を電気的に調整するための共用のアクチュエータと、を含む制御弁と、を備える。
【0009】
この態様によると、複数の冷媒通路の開度をそれぞれ調整するために複数の弁部が設けられるところ、その複数の弁部が共用のボディに収容されて共用のアクチュエータにより開閉駆動される制御弁(複合弁)として構成される。このため、弁部の数に対してボディやアクチュエータの数を抑えることができ、車両用冷暖房装置の冷媒通路の切り替えるのに要する制御弁に嵩むトータルのコストを抑制することができる。このような制御弁を冷媒循環通路に複数設ければ、弁部の数に対してトータルのコストをさらに抑制することも可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の冷媒通路を切り替えて運転がなされる車両用冷暖房装置において、その冷媒通路の切り替える制御弁に嵩むコストをトータル的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る車両用冷暖房装置のシステム構成を表す図である。
【図2】第1実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図3】第1実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図4】第1実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図5】第1実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図6】第2実施形態に係る車両用冷暖房装置のシステム構成を表す図である。
【図7】第2実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図8】第2実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図9】第2実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図10】第2実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図11】第3実施形態に係る車両用冷暖房装置のシステム構成を表す図である。
【図12】第3実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図13】第3実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図14】第3実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図15】第3実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図16】第4実施形態に係る車両用冷暖房装置のシステム構成を表す図である。
【図17】第4実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図18】第4実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図19】第4実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図20】第4実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図21】第5実施形態に係る車両用冷暖房装置のシステム構成を表す図である。
【図22】第5実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図23】第5実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図24】第5実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図25】第5実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図26】第6実施形態に係る車両用冷暖房装置のシステム構成を表す図である。
【図27】第6実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図28】第6実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図29】第6実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る車両用冷暖房装置のシステム構成を表す図である。本実施形態は、本発明の車両用冷暖房装置を電気自動車の冷暖房装置として具体化したものである。
【0013】
車両用冷暖房装置100は、圧縮機2、室内凝縮器3、室外熱交換器5、蒸発器7およびアキュムレータ8を配管にて接続した冷凍サイクル(冷媒循環回路)を備える。車両用冷暖房装置100は、冷媒としての代替フロン(HFO−1234yf)が冷凍サイクル内を状態変化しながら循環する過程で、その冷媒の熱を利用して車室内の空調を行うヒートポンプ式の冷暖房装置として構成されている。
【0014】
車両用冷暖房装置100は、また、冷房運転時と暖房運転時とで複数の冷媒循環通路を切り替えるように運転される。この冷凍サイクルは、室内凝縮器3と室外熱交換器5とが凝縮器として並列に動作可能に構成され、また、蒸発器7と室外熱交換器5とが蒸発器として並列に動作可能に構成されている。
【0015】
具体的には、圧縮機2の吐出室につながる通路が分岐し、その一方である第1通路21が室内凝縮器3の入口につながり、他方である第2通路22が室外熱交換器5の一方の出入口につながっている。室外熱交換器5の他方の出入口は第3通路23を介して蒸発器7の入口に接続され、蒸発器7の出口は第4通路24(戻り通路)を介してアキュムレータ8の入口に接続されている。
【0016】
室内凝縮器3の出口につながる第5通路25は、その下流側で分岐し、その一方である第1分岐通路26が第3通路23を介して蒸発器7につながり、他方である第2分岐通路27が第3通路23を介して室外熱交換器5の他方の出入口につながっている。また、第2通路22の中間部においてバイパス通路29が分岐し、アキュムレータ8ひいては圧縮機2につながっている。第2通路22におけるバイパス通路29との分岐点には切替弁31が配設されている。
【0017】
また、第5通路25には過冷却度制御弁32が設けられ、その下流側が第1分岐通路26と第2分岐通路27とに分岐している。その分岐点には比例弁34が設けられている。第3通路23における第2分岐通路27との接続点と、第1分岐通路26との接続点との間には、過冷却度制御弁36および差圧弁38が配設されている。第4通路24には過熱度制御弁40が設けられている。
【0018】
圧縮機2は、ハウジング内にモータと圧縮機構を収容する電動圧縮機として構成され、図示しないバッテリからの供給電流により駆動され、モータの回転数に応じて冷媒の吐出容量が変化する。
【0019】
室内凝縮器3は、車室内に設けられ、室外熱交換器5とは別に冷媒を放熱させる補助凝縮器として機能する。すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧の冷媒が室内凝縮器3を通過する際に放熱する。車室内に導入された空気は、室内凝縮器3を通過する過程で温められる。
【0020】
室外熱交換器5は、車室外に配置され、冷房運転時に内部を通過する冷媒を放熱させる室外凝縮器として機能する一方、暖房運転時には内部を通過する冷媒を蒸発させる室外蒸発器として機能する。室外熱交換器5が蒸発器として機能する際には、膨張装置(過冷却度制御弁32)の通過により低温・低圧となった冷媒が、室外熱交換器5を通過する際に蒸発する。
【0021】
蒸発器7は、車室内に配置され、内部を通過する冷媒を蒸発させる室内蒸発器として機能する。すなわち、膨張装置(過冷却度制御弁32または過冷却度制御弁36)の通過により低温・低圧となった冷媒は、蒸発器7を通過する際に蒸発する。車室内に導入された空気は、その蒸発潜熱によって冷却され、除湿される。このとき冷却・除湿された空気は、室内凝縮器3の通過過程で加熱される。
【0022】
アキュムレータ8は、蒸発器から送出された冷媒を気液分離して溜めておく装置であり、液相部と気相部とを有する。このため、仮に蒸発器7から想定以上の液冷媒が導出されたとしても、その液冷媒を液相部に溜めおくことができ、気相部の冷媒を圧縮機2に導出することができる。
【0023】
切替弁31は、第2通路22を開閉する第1弁部と、バイパス通路29を開閉する第2弁部と、各弁部を駆動するアクチュエータとを備える三方弁からなる。第1弁部は、圧縮機2から第2通路22を介して室外熱交換器5へ流れる冷媒の流量を調整する。第2弁部は、室外熱交換器5からバイパス通路29を介してアキュムレータ8へ流れる冷媒の流量を調整する。本実施形態では、切替弁31として、ステッピングモータの駆動により各弁部の開度を調整可能な電動弁が用いられるが、ソレノイドへの通電によって各弁部の開度を調整可能な電磁弁を用いるようにしてもよい。
【0024】
過冷却度制御弁32は、室内凝縮器3から第5通路25を介して導入された冷媒を絞り膨張させて下流側に導出する「膨張装置」として機能するとともに、後述する特定暖房運転時においては室内凝縮器3から蒸発器7および室外熱交換器5へ供給される冷媒の総流量を調整する「総流量弁」としても機能する。なお、図示を省略するが、過冷却度制御弁32は、上流側から冷媒を導入する入口ポートと、下流側へ冷媒を導出する出口ポートと、その入口ポートと出口ポートとを連通する弁孔とが設けられたボディと、弁孔に接離して弁開度を調整する弁体と、入口ポートから導入された冷媒の温度と圧力を感知し、室内凝縮器3の出口側の過冷却度が設定値となるよう弁体を開閉駆動する感温部とを備えるものでもよい。
【0025】
過冷却度制御弁32は、室内凝縮器3の出口側の過冷却度が設定値SCよりも大きくなると開弁方向に動作し、室内凝縮器3を流れる冷媒の流量を増加させる。このように冷媒の流量が増加すると、室内凝縮器3における冷媒の単位流量あたりの凝縮能力が小さくなるため、その過冷却度は小さくなる方向に変化する。逆に、室内凝縮器3の出口側の過冷却度が設定値SCよりも小さくなると、過冷却度制御弁32は、閉弁方向に動作し、室内凝縮器3を流れる冷媒の流量を減少させる。このように冷媒の流量が減少すると、室内凝縮器3における冷媒の単位流量あたりの凝縮能力が大きくなるため、その過冷却度は大きくなる方向に変化する。このように、過冷却度制御弁32は、その入口(室内凝縮器3の出口側)の過冷却度が設定値SCとなるよう自律的に動作する。
【0026】
比例弁34は、三方向比例弁として構成され、第5通路25から第1分岐通路26と第2分岐通路27とに分岐する分岐点に設けられている。すなわち、比例弁34は、第1分岐通路26の開度を制御する第1比例弁と、第2分岐通路27の開度を制御する第2比例弁とを含む「複合弁」として構成されている。
【0027】
第1比例弁は、その弁部の開度が制御されることにより第1分岐通路26の開度を調整する。第2比例弁は、その弁部の開度が制御されることにより第2分岐通路27の開度を調整する。第1比例弁と第2比例弁は、一つの共通のアクチュエータにてそれぞれリニア制御される。除湿機能が高められる特定暖房運転時においては、過冷却度制御弁32により蒸発器7および室外熱交換器5へ供給される冷媒の総流量が調整され、その総流量が比例弁34によって設定された比率に振り分けられる。つまり、比例弁34は、アクチュエータの駆動量に応じて第1比例弁および第2比例弁のそれぞれを通過する冷媒の流量を振り分ける「振分弁」として機能する。この比例弁34の具体的構成については後述する。
【0028】
過冷却度制御弁36は、室外熱交換器5から導出された冷媒を絞り膨張させて蒸発器7側に導出する「膨張装置」として機能する。過冷却度制御弁36は、冷房運転時において室外熱交換器5の出口側の過冷却度が予め設定された一定の過冷却度(設定値SC)に近づくよう冷媒の流れを制御する。本実施形態では、過冷却度制御弁36として、その上流側の冷媒の温度と圧力を感知して弁部を駆動する感温部を有する機械式の制御弁が用いられる。
【0029】
過冷却度制御弁36は、冷房運転時において室外熱交換器5の出口側の過冷却度が設定値SCよりも大きくなると開弁方向に動作し、室外熱交換器5を流れる冷媒の流量を増加させる。このように冷媒の流量が増加すると、室外熱交換器5における冷媒の単位流量あたりの凝縮能力が小さくなるため、その過冷却度は小さくなる方向に変化する。逆に、室外熱交換器5の出口側の過冷却度が設定値SCよりも小さくなると、過冷却度制御弁36は閉弁方向に動作し、室外熱交換器5を流れる冷媒の流量を減少させる。このように冷媒の流量が減少すると、室外熱交換器5における冷媒の単位流量あたりの凝縮能力が大きくなるため、その過冷却度は大きくなる方向に変化する。過冷却度制御弁36は、その入口(室外熱交換器5の出口側)の過冷却度が設定値SCとなるよう自律的に動作する。なお、本実施形態では過冷却度制御弁36と過冷却度制御弁32の過冷却度の設定値を等しくしたが、異なる設定値を設定してもよい。
【0030】
なお、図示を省略するが、過冷却度制御弁36は、上流側から冷媒を導入する入口ポートと、下流側へ冷媒を導出する出口ポートと、その入口ポートと出口ポートとを連通する弁孔とが設けられたボディと、弁孔に接離して弁開度を調整する弁体と、入口ポートから導入された冷媒の温度と圧力を感知し、室外熱交換器5の出口側の過冷却度が設定値となるよう弁体を開閉駆動する感温部とを備えるものでもよい。
【0031】
差圧弁38は、過冷却度制御弁36の下流側に設けられている。差圧弁38は、第3通路23において過冷却度制御弁36側への冷媒の逆流を防止する機械式の弁として構成され、その前後差圧が設定された開弁差圧以上となったときに開弁する。
【0032】
過熱度制御弁40は、その出口側に過熱度(スーパーヒート)が発生している場合、その過熱度が予め設定された一定の過熱度(設定過熱度SH)に近づくよう冷媒の流れを制御する。本実施形態では、過熱度制御弁40として、その出口側(過熱度制御弁40の弁部の下流側)の冷媒の温度と圧力を感知して弁部を駆動する感温部を有する機械式の制御弁が用いられる。
【0033】
過熱度制御弁40は、感知した過熱度が設定過熱度SHよりも大きければ弁開度を絞り、蒸発器7の蒸発圧力を上昇させることにより、蒸発器7を通過する冷媒と外部の空気との熱交換量を小さくし、それにより過熱度を小さくして設定過熱度SHに近づける。逆に、感知された過熱度が設定過熱度SHよりも小さければ、過熱度制御弁40は、弁開度を大きくし、蒸発器7の蒸発圧力を低下させることにより、蒸発器7を通過する冷媒と外部の空気との熱交換量を大きくし、それにより過熱度を大きくして設定過熱度SHに近づける。このように、過熱度制御弁40は、その出口側の過熱度が設定過熱度SHに近づくよう自律的に動作する。
【0034】
なお、図示を省略するが、過熱度制御弁40は、上流側から冷媒を導入する入口ポートと、下流側へ冷媒を導出する出口ポートと、その入口ポートと出口ポートとを連通する弁孔とが設けられたボディと、弁孔に接離して弁開度を調整する弁体と、弁孔の下流側の冷媒の温度と圧力を感知し、出口側の過熱度が設定過熱度となるよう弁部を駆動する感温部とを備えるものでもよい。
【0035】
以上のように構成された車両用冷暖房装置100は、図示しない制御部により制御される。制御部は、車両の乗員によりセットされた室温を実現するために各アクチュエータの制御量を演算し、各アクチュエータの駆動回路に制御信号を出力する。制御部は、車室内外の温度、蒸発器7の吹き出し空気温度等、各種センサにて検出された所定の外部情報に基づいて各制御弁の制御量(弁開度や開閉状態)を決定し、その制御量が実現されるようアクチュエータに電流を供給する。アクチュエータがステッピングモータである場合、制御部は、各制御弁の制御量が実現されるようステッピングモータに制御パルス信号を出力する。アクチュエータがソレノイドである場合、制御部は、各制御弁への電流供給に際してそのオン・オフのデューティ比を設定し、そのデューティ比にそって各制御弁への通電を制御する。
【0036】
このような制御により、図示のように、圧縮機2は、その吸入室を介して吸入圧力Psの冷媒を導入し、これを圧縮して吐出圧力Pdの冷媒として吐出する。このとき、過冷却度制御弁32の上流側は高圧の上流側圧力P1となり、比例弁34における第1比例弁の下流側は低圧の下流側圧力P3となる。また、比例弁34における第2比例弁の下流側で過冷却度制御弁36の上流側は中間圧力P2となる。
【0037】
次に、本実施形態の冷凍サイクルの主要動作について説明する。図1には、車両用冷暖房装置の特定暖房運転時の状態が例示されている。ここでいう「特定暖房運転」は、暖房運転において特に除湿の機能を高めた運転状態である。図中の太線および矢印が冷媒の流れを示し、図中の「×」は冷媒の流れが遮断されていることを示している。
【0038】
図示のように、特定暖房運転時においては、切替弁31において第1弁部が閉弁される一方、第2弁部が開弁される。一方、比例弁34の第1比例弁および第2比例弁がともに開弁される。このとき、室外熱交換器5は室外蒸発器として機能する。すなわち、圧縮機2から吐出された冷媒は、一方で室内凝縮器3、過冷却度制御弁32、比例弁34の第1比例弁、蒸発器7、過熱度制御弁40、アキュムレータ8を経由するように冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻り、他方で室内凝縮器3、過冷却度制御弁32、比例弁34の第2比例弁、室外熱交換器5、切替弁31、アキュムレータ8を経由するように冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻る。
【0039】
すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、室内凝縮器3を経て凝縮され。そして、過冷却度制御弁32にて断熱膨張された冷温・低圧の気液二相冷媒が比例弁34にて振り分けられる。振り分けられた冷媒の一方は、室外熱交換器5に供給されて蒸発し、他方は蒸発器7に供給されて蒸発する。このとき、室外熱交換器5および蒸発器7の両蒸発器にて蒸発される比率が、比例弁34の開度(つまり第1比例弁と第2比例弁の開度の比率)により制御される。それにより、蒸発器7での蒸発量を確保でき、除湿機能を確保することができる。すなわち、比例弁34の開度調整により蒸発器7へ供給される冷媒の流量が調整され、過冷却度制御弁32により室内凝縮器3の出口側の過冷却度が設定値SCとなるように調整される。また、過熱度制御弁40によりその出口側の過熱度が設定過熱度SHとなるように調整される。
【0040】
次に、本実施形態の主要部である制御弁の具体的構成について説明する。図2〜図5は、第1実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
比例弁34は、ステッピングモータ駆動式の電動弁として構成され、弁本体101とモータユニット102とを組み付けて構成されている。弁本体101は、有底筒状のボディ104に第1比例弁105と第2比例弁106とを同軸状に収容して構成される。
【0041】
ボディ104の一方の側部には導入ポート110が設けられ、他方の側部には上下に導入出ポート112、導出ポート114が設けられている。導入ポート110は第5通路25に連通し、導入出ポート112は第2分岐通路27に連通し、導出ポート114は第1分岐通路26に連通する。第1比例弁105は、導入ポート110と導出ポート114とをつなぐ冷媒通路の開度を調整する。一方、第2比例弁106は、導入ポート110と導入出ポート112とをつなぐ冷媒通路の開度を調整する。
【0042】
ボディ104の上半部には、円筒状のガイド部材116が配設されている。ガイド部材116は、シール部材を介してボディ104に同心状に組み付けられている。ガイド部材116における導入出ポート112との対向面には、内外を連通する連通孔が設けられている。
【0043】
ボディ104の上端部には、円板状の区画部材118が配設されている。区画部材118は、弁本体101の内部とモータユニット102の内部とを区画する。区画部材118の中央部には、円ボス状の軸受部119が設けられている。軸受部119の外周面は滑り軸受として機能する。ガイド部材116と区画部材118との間には、リング状の弾性体(例えばゴム)からなる弁座部材120が挟持されるように固定されている。
【0044】
ボディ104の内方には、弁体122、共用弁体124、弁作動体126、伝達ロッド128が同軸状に配設されている。弁体122は、上半部に二重管構造を有する段付円筒状をなし、その内管部の内周面に雌ねじ部が設けられている。弁作動体126は、その外周面に雄ねじ部が形成され、弁体122の雌ねじ部に螺合している。伝達ロッド128は、その上端部にて弁作動体126に連結されている。
【0045】
弁体122は、ガイド部材116の内周面に摺動可能に支持され、その下部に比例弁部を有し、上部に開閉弁部を有する。比例弁部は、第2比例弁106の制御状態において弁体122と共用弁体124との協働によりその開度が調整される。弁体122の下端部には弁孔127が形成され、その下端開口部には弁座129が形成されている。
【0046】
一方、開閉弁部は、第2比例弁106の制御状態においては全開状態となり、比例弁部を通過した冷媒が下流側へ流れることを許容する。また、第1比例弁105と第2比例弁106とが同時に閉弁状態となることを実現するために閉弁状態となる。すなわち、弁体122の上端面が弁座部材120に着脱して第2比例弁106の開閉弁部を開閉する。弁体122と区画部材118との間には、弁体122を比例弁部の閉弁方向に付勢するスプリング130(「付勢部材」として機能する)が介装されている。
【0047】
共用弁体124は、伝達ロッド128の下端部に同軸状に固定されている。共用弁体124は、段付円柱状の本体を有し、その下端部に第1弁部材131が嵌着され、上端部には第2弁部材132が嵌着されている。第1弁部材131および第2弁部材132は、ともに環状の弾性体(本実施形態ではゴム)からなる。導入ポート110と導出ポート114とをつなぐ冷媒通路には弁孔134が設けられ、その上端開口端縁に弁座136が形成されている。第1弁部材131は、弁座136に着脱して第1比例弁105を開閉する。第2弁部材132は、弁座129に着脱して第2比例弁106の比例弁部を開閉する。
【0048】
共用弁体124の上端部には弁孔127に摺動しつつ支持される複数の脚部(同図にはその1つのみ表示)が延設されている。また、共用弁体124の下端部には弁孔134に摺動しつつ支持される複数の脚部(同図にはその1つのみ表示)が延設されている。共用弁体124と弁作動体126との間には、共用弁体124を第1比例弁105の閉弁方向に付勢するスプリング138(「付勢部材」として機能する)が介装されている。
【0049】
弁作動体126は、モータユニット102の回転駆動力を受けて回転し、その回転力を並進力に変換する。すなわち、弁作動体126が回転すると、ねじ機構(「作動変換機構」として機能する)によって弁作動体126が軸線方向に変位し、伝達ロッド128を介して共用弁体124を軸線方向(第1比例弁105、第2比例弁106の開閉方向)に駆動する。
【0050】
一方、モータユニット102は、ロータ172とステータ173とを含むステッピングモータとして構成されている。モータユニット102は、有底円筒状のスリーブ170の内方にロータ172を回転自在に支持するようにして構成されている。スリーブ170の外周には、励磁コイル171を収容したステータ173が設けられている。スリーブ170は、その下端開口部がボディ104に組み付けられており、ボディ104とともに比例弁34のボディを構成する。
【0051】
ロータ172は、円筒状に形成された回転軸174と、その回転軸174の外周に配設されたマグネット176を備える。本実施形態では、マグネット176は24極に磁化されている。回転軸174の内方にはモータユニット102のほぼ全長にわたる内部空間が形成されている。回転軸174の内周面の特定箇所には、軸線に平行に延びるガイド部178が設けられている。ガイド部178は、後述する回転ストッパと係合するための突部を形成するものであり、軸線に平行に延びる一つの突条により構成されている。
【0052】
回転軸174の下端部はやや縮径され、その内周面に軸線に平行に延びる4つのガイド部180が設けられている。ガイド部180は、軸線に平行に延びる一対の突条により構成され、回転軸174の内周面に90度おきに設けられている。この4つのガイド部180には、上述した弁作動体126の4つの脚部152が嵌合し、ロータ172と弁作動体126とが一体に回転できるようになっている。ただし、弁作動体126は、ロータ172に対する回転方向の相対変位は規制されるものの、そのガイド部180にそった軸線方向の変位は許容される。すなわち、弁作動体126は、ロータ172とともに回転しつつ共用弁体124の開閉方向に駆動される。
【0053】
ロータ172の内方には、その軸線に沿って長尺状のシャフト182が配設されている。シャフト182は、その上端部がスリーブ170の底部中央に圧入されることにより片持ち状に固定され、ガイド部178に平行に内部空間に延在している。シャフト182は、弁作動体126と同一軸線上に配置されている。シャフト182には、そのほぼ全長にわたって延在する螺旋状のガイド部184が設けられている。ガイド部184は、コイル状の部材からなり、シャフト182の外面に嵌着されている。ガイド部184の上端部は折り返されて係止部186となっている。
【0054】
ガイド部184には、螺旋状の回転ストッパ188が回転可能に係合している。回転ストッパ188は、ガイド部184に係合する螺旋状の係合部190と、回転軸174に支持される動力伝達部192とを有する。係合部190は一巻きコイルの形状をなし、その下端部に半径方向外向きに延出する動力伝達部192が連設されている。動力伝達部192の先端部がガイド部178に係合している。すなわち、動力伝達部192は、ガイド部178の一つの突条に当接して係止される。このため、回転ストッパ188は、回転軸174により回転方向の相対変位は規制されるが、ガイド部178に摺動しつつその軸線方向の変位が許容される。
【0055】
すなわち、回転ストッパ188は、ロータ172と一体に回転し、その係合部190がガイド部184にそってガイドされることで、軸線方向に駆動される。ただし、回転ストッパ188の軸線方向の駆動範囲はガイド部178の両端に形成された係止部により規制される。同図には、回転ストッパ188が下死点で係止された状態が示されている。回転ストッパ188が上方へ変位して係止部186に係止されると、その位置が上死点となる。
【0056】
ロータ172は、その上端部がシャフト182に回転自在に支持され、下端部が軸受部119に回転自在に支持されている。具体的には、回転軸174の上端開口部に有底円筒状の端部部材194が設けられ、その端部部材194の中央に設けられた円筒軸196の部分がシャフト182に支持されている。すなわち、軸受部119が一端側の軸受部となり、シャフト182における円筒軸196との摺動部が他端側の軸受部となっている。
【0057】
以上のように構成された比例弁34は、モータユニット102の駆動制御によってその弁開度を調整可能なステッピングモータ作動式の制御弁として機能する。以下、その動作について詳細に説明する。
比例弁34の流量制御において、車両用冷暖房装置の図示しない制御部は、設定開度に応じたステッピングモータの駆動ステップ数を演算し、励磁コイル171に駆動電流(駆動パルス)を供給する。それによりロータ172が回転し、一方で弁作動体126が回転駆動されて第1比例弁105および第2比例弁106の開度が設定開度に調整され、他方で回転ストッパ188がガイド部184にそって駆動されることにより、各弁体の動作範囲が規制される。
【0058】
図2は、第1比例弁105と第2比例弁106がともに閉弁状態となる場合を示している。比例弁34は、例えば冷房運転時においてこのような状態をとる。したがって、冷房運転時においては、室内凝縮器3を経た高温のガス冷媒が蒸発器7側へ漏洩することが防止される。
【0059】
一方、第1比例弁105の閉弁を維持した状態で第2比例弁106の開度を制御する場合、図2の状態からロータ172が一方向に回転駆動(正転)されることにより、図3に示すように弁体122が開閉弁部の開弁方向に変位する。すなわち、ねじ機構によって弁作動体126と弁体122が相対変位する一方、弁体122がスプリング130により下方に付勢されるため、弁体122が弁座部材120から離間し、第2比例弁106の開閉弁部が開弁される。
【0060】
特定暖房運転状態においては、図4に示すように、第1比例弁105および第2比例弁106がともに開弁状態とされ、その開度比率が調整される。すなわち、図3の状態からロータ172がさらに同方向に回転駆動されることにより、図4に示すように、第1比例弁105の開度と第2比例弁106の比例弁部の開度との比率が調整される。弁体122がガイド部材116に係止されるため弁体122が下方に位置し、その結果、第1比例弁105が弁体122に吊持されるようにして引き上げられる。
【0061】
また、第1比例弁105の開弁を維持した状態で第2比例弁106を閉弁状態とする場合、図4の状態からロータ172がさらに同方向に駆動される。これにより、図5に示すように第2弁部材132が弁座129に着座して第2比例弁106の比例弁部を閉じる一方、第1比例弁105を全開状態にすることができる。
【0062】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態に係る車両用冷暖房装置は、冷媒循環通路や制御弁の構成が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。図6は、第2実施形態に係る車両用冷暖房装置のシステム構成を表す図である。
【0063】
車両用冷暖房装置200の冷凍サイクルは、室内凝縮器3と室外熱交換器5とが凝縮器として直列に動作可能に構成され、蒸発器7と室外熱交換器5とが蒸発器として並列に動作可能に構成されている。
【0064】
具体的には、圧縮機2の吐出室につながる第1通路21が室内凝縮器3の入口につながり、室内凝縮器3の出口につながる第2通路22が室外熱交換器5の一方の出入口につながっている。第2通路22は、切替弁31の上流側にバイパス通路28との分岐点を有する。バイパス通路28は、その下流側で分岐し、その一方である第1分岐通路26が第3通路23を介して蒸発器7につながり、他方である第2分岐通路27が第3通路23を介して室外熱交換器5の他方の出入口につながっている。
【0065】
第1分岐通路26には開閉弁205が設けられ、第2分岐通路27には比例弁206が設けられている。第3通路23における第2分岐通路27との接続点と、第1分岐通路26との接続点との間には逆止弁238が設けられている。第3通路23における第1分岐通路26との接続点の下流側には過冷却度制御弁36および差圧弁38が配設されている。なお、開閉弁205と比例弁206の上流側には、第1実施形態で説明した過冷却度制御弁32は設けられていない。
【0066】
第4通路24には開閉弁240が設けられている。開閉弁240は、第4通路24を開閉する弁部と、その弁部を駆動するソレノイドを備え、電流供給によって弁部の開度を調整することにより第4通路24の開度を調整する。なお、本実施形態では、開閉弁240として通電有無によって開閉するオン/オフ弁が用いられ、その開弁頻度により一定時間あたりの開弁時間を調整することにより開度を調整する。変形例においては、弁部の開口面積そのものを調整可能な比例弁や差圧弁として構成してもよい。開閉弁240は、切替弁31と協働して室外熱交換器5による熱吸収と蒸発器7による除湿とを適正に行うために、蒸発器7の蒸発圧力Peと室外熱交換器5の蒸発圧力Poとの差圧ΔP=Pe−Poが適正となるよう開閉制御されるものである。
【0067】
特定暖房運転時においては、切替弁31において第1弁部が閉弁される一方、第2弁部が開弁される。一方、開閉弁205が開弁され、比例弁206の開度が制御される。このとき、室外熱交換器5は室外蒸発器として機能する。すなわち、圧縮機2から吐出された冷媒は、一方で室内凝縮器3、開閉弁205、過冷却度制御弁36、差圧弁38、蒸発器7、開閉弁240、アキュムレータ8を経由するように冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻り、他方で室内凝縮器3、比例弁206、室外熱交換器5、切替弁31、アキュムレータ8を経由するように冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻る。
【0068】
すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、室内凝縮器3を経て凝縮され。そして、開閉弁205を通過した冷媒が、過冷却度制御弁36にて断熱膨張され、冷温・低圧の気液二相冷媒が蒸発器7に供給されて蒸発する。一方、比例弁206を通過した冷媒は、室外熱交換器5に供給されて蒸発する。このとき、開閉弁205は全開状態にあるため、室外熱交換器5および蒸発器7の両蒸発器にて蒸発される比率は、比例弁206の開度により制御される。それにより、蒸発器7での蒸発量を確保でき、除湿機能を確保することができる。
【0069】
次に、本実施形態の主要部である制御弁の具体的構成について説明する。図7〜図10は、第2実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
開閉弁205と比例弁206は、共用のステッピングモータにより駆動される複合弁210として組み付けられる。複合弁210は、弁本体201とモータユニット102とを組み付けて構成されている。弁本体201は、有底筒状のボディ204に開閉弁205と比例弁206とを同軸状に収容して構成される。
【0070】
ボディ204の一方の側部には導入ポート110が設けられ、他方の側部には上下に第1導出ポート212、第2導出ポート214が設けられている。導入ポート110はバイパス通路28の上流側に連通し、第1導出ポート212は第1分岐通路26に連通し、第2導出ポート214は第2分岐通路27に連通する。ボディ204の上半部には円筒状のガイド部材216が配設され、ボディ204の下半部には段付円筒状のガイド部材217が配設されている。
【0071】
ガイド部材216は、その上半部の内周面がガイド孔218を形成し、その下端部が弁孔220を形成している。また、弁孔220の下端開口端縁により弁座222が形成されている。ガイド部材216における第1導出ポート212との対向面には、内外を連通する連通孔が設けられている。区画部材118の軸受部219の内周面には雌ねじ部が設けられ、外周面は滑り軸受として機能する。
【0072】
ボディ204の内方には、大径の弁体230、小径の弁体232、および弁作動体126が同軸状に配設されている。弁体230の外周面にはリング状の弾性体(例えばゴム)からなる弁部材236が嵌着されており、その弁部材236が弁座222に着脱することにより、開閉弁205を開閉する。
【0073】
ガイド部材217は、シール部材を介してボディ104に組み付けられている。ガイド部材217における導入ポート110との対向面には、内外を連通する連通孔が設けられている。また、ガイド部材217における第2導出ポート214との対向面にも、内外を連通する連通孔が設けられている。ガイド部材217の側部近傍には、ガイド部材217を上下方向に貫通する連通路237が形成されている。
【0074】
弁体230は、その上方に縮径部を介して区画部241が連設され、下方に小径部242が連設されている。そして、区画部241、弁体230および小径部242を貫通する連通路244が形成されている。区画部241の上端部がガイド孔218に摺動可能に支持され、小径部242がガイド部材217の下半部に摺動可能に支持されることにより、弁体230の開閉方向への安定した動作が確保されている。区画部241と区画部材118との間には背圧室250が形成される。弁体230とガイド部材217との間には、弁体230を閉弁方向に付勢するスプリング254(「付勢部材」として機能する)が介装されている。
【0075】
小径部242の軸線方向中央部にはやや縮径された弁孔253が設けられ、その上流側開口端縁により弁座255が形成されている。小径部242における弁孔253のやや上方には、内外を連通する連通孔が設けられ、導入ポート110と弁孔253とを連通させ、また、導入ポート110と背圧室250とを連通させている。このため、背圧室250には、導入ポート110から導入される上流側圧力Pinが満たされる。一方、小径部242における弁孔253のやや下方にも内外を連通する連通孔が設けられ、弁孔253と第2導出ポート214とを連通させている。
【0076】
本実施形態においては、弁孔220の有効径Aとガイド孔218の有効径Bとが等しく設定されているため(弁体230の有効受圧面積と区画部241の有効受圧面積とが実質的に等しくされているため)、弁体230に作用する冷媒圧力の影響はキャンセルされる。特に、その圧力キャンセルを厳密に実現するために、背圧室250における区画部241の上方には、開閉弁205が閉弁状態となるときに区画部241に密着してその有効受圧面積を拡大する受圧調整部材249が配設されている。受圧調整部材249は、リング状をなす弾性体(例えばゴム)からなり、その外周端部がガイド部材216と区画部材118との間に挟まれるようにして支持されている。
【0077】
すなわち、弁体230の有効受圧面積は、弁孔220の有効径Aに対応するように設定されている。しかし、弁部材236が弁座222に着座した完全シール状態においては、弾性体の性質により実際の有効受圧径が弁孔220の有効径Aよりもやや大きくなる。これに対応するため、その完全シール時においては、受圧調整部材249が区画部241の下面に密着するようにすることで、背圧室250側の有効受圧径がガイド孔218の有効径Bよりもやや大きくなるようにする。このようにして弁体230の有効受圧面積と区画部241の有効受圧面積とを等しくすることにより、完全な圧力キャンセルを実現する。
【0078】
弁体232は、段付円柱状をなし、弁体230の内方に同軸状に配設されている。弁体232は、その軸線方向中央部にガイド部239を有し、そのガイド部239が弁体230の内周面に摺動可能に支持されている。弁体232は、ガイド部239のやや下方に形成されたテーパ面にて弁座255に着脱し、比例弁206を開閉する。また、弁体232の下半部は、小径部242を貫通し、その先端部がガイド部材217の下端部に摺動可能に支持されている。弁体232の下端面には、連通路237を介して導入される上流側圧力Pinが作用する。
【0079】
一方、弁体232の上半部は、弁体230の連通路244を貫通し、その上端部が弁作動体126に支持されている。弁体232の上端部は弁作動体126の底部を貫通し、その先端部が外方に加締められて係止部256となっている。弁作動体126は、その雄ねじ部が軸受部219の雌ねじ部に螺合する。弁体232と弁作動体126との間には、弁体232を閉弁方向に付勢するスプリング257(「付勢部材」として機能する)が介装されている。
【0080】
なお、本実施形態においては、ガイド部材217の内方における小径部242の上側摺動部の有効受圧径Cと下側摺動部の有効受圧径Dとが等しく設定され、また、弁体232を摺動可能に支持する小径部242の下端開口部の有効径Eと弁孔253の有効径Fととが等しく設定されているため、弁体232に作用する冷媒圧力の影響はキャンセルされる。
【0081】
以上のように構成された複合弁210は、次のように動作する。図7は、開閉弁205と比例弁206がともに閉弁状態となる場合を示している。複合弁210は、例えば冷房運転時においてこのような状態をとる。したがって、冷房運転時においては、室内凝縮器3を経た高温のガス冷媒が蒸発器7側へ漏洩することが防止される。
【0082】
一方、比例弁206の閉弁を維持した状態で開閉弁205を開弁させる場合、図7の状態からロータ172が一方向に回転駆動されることにより、図8に示すように弁体230が開弁方向に変位する。すなわち、ねじ機構によって弁作動体126が下方に変位するため、弁体230がスプリング254の付勢力に抗して押し下げられ、開閉弁205が開弁状態となる。
【0083】
特定暖房運転状態においては、図9に示すように、開閉弁205および比例弁206がともに開弁状態とされ、その開度比率が調整される。すなわち、図8の状態からロータ172がさらに同方向に回転駆動されることにより、図9に示すように、弁体230がさらに開弁方向に駆動される。このとき、弁体232の先端部がボディ204の底部に係止されることにより、弁体230に形成された弁孔253が弁体232に対して開弁方向に相対変位する。この相対変位量を調整することにより、開閉弁205と比例弁206との開度比率を調整することができる。
【0084】
また、開閉弁205を閉弁させた状態で比例弁206開弁させる場合、図7の状態からロータ172が他方向に駆動される。これにより、図10に示すように、スプリング254の付勢力によって弁体230が弁座222に押し付けられて開閉弁205の閉弁状態が維持される。一方、弁作動体126により弁体232が吊持されるようにして引き上げられ、比例弁206が開弁状態とされる。比例弁206の開度は、ロータ172の駆動量により調整される。
【0085】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態に係る車両用冷暖房装置は、冷媒循環通路や制御弁の構成が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。図11は、第3実施形態に係る車両用冷暖房装置のシステム構成を表す図である。
【0086】
車両用冷暖房装置300の冷凍サイクルは、第1実施形態と同様に、室内凝縮器3と室外熱交換器5とが凝縮器として並列に動作可能に構成され、蒸発器7と室外熱交換器5とが蒸発器として並列に動作可能に構成されている。ただし、第5通路25には第1実施形態における過冷却度制御弁32に代えて逆止弁332が設けられ、第2分岐通路27に比例弁334が設けられている。また、第1通路21には開閉弁303が設けられ、第2通路22には開閉弁305が設けられ、バイパス通路29には開閉弁307が設けられている。開閉弁303,305,307は、後述のように、一つの共用のアクチュエータにより開閉駆動される複合弁として構成される。
【0087】
特定暖房運転時においては、開閉弁303が開弁される一方、開閉弁305が閉弁される。一方、開閉弁307が開弁され、比例弁334の開度が制御される。このとき、室外熱交換器5は室外蒸発器として機能する。すなわち、圧縮機2から吐出された冷媒は、室内凝縮器3を経由して凝縮される。そして、凝縮された冷媒の一方が、過冷却度制御弁36、蒸発器7、アキュムレータ8を経由するように冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻る。凝縮された冷媒の他方は、比例弁334、室外熱交換器5、開閉弁307、アキュムレータ8を経由するように冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻る。
【0088】
すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、室内凝縮器3を経て凝縮される。そして、凝縮された冷媒の一方が、過冷却度制御弁36にて断熱膨張され、冷温・低圧の気液二相冷媒が蒸発器7に供給されて蒸発する。また、凝縮された冷媒の他方が、比例弁334にて断熱膨張され、冷温・低圧の気液二相冷媒が室外熱交換器5に供給されて蒸発する。このとき、室外熱交換器5および蒸発器7の両蒸発器にて蒸発される比率は、比例弁334の開度により制御される。
【0089】
次に、本実施形態の主要部である制御弁の具体的構成について説明する。図12〜図15は、第3実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
開閉弁303,305,307は、共用のステッピングモータにより駆動される複合弁310として組み付けられる。複合弁310は、弁本体301とモータユニット102とを組み付けて構成されている。弁本体301は、有底筒状のボディ304に開閉弁303,305,307を同軸状に収容して構成される。
【0090】
ボディ304の一方の側部には導入ポート110および第2導出ポート316が設けられ、他方の側部には第1導出ポート312および導入出ポート314が設けられている。導入ポート110は圧縮機2につながる冷媒通路に連通し、第1導出ポート312は第1通路21に連通し、導入出ポート314は第2通路22に連通し、第2導出ポート316はバイパス通路29に連通する。
【0091】
ボディ304の内方には、弁体330、共用弁体124、弁作動体126、伝達ロッド328が同軸状に配設されている。ボディ304の上端部には区画部材118が設けられ、その内方にガイド孔218が形成されている。弁体330は、その上端部がガイド孔218に摺動可能に支持されることで、軸線方向に安定に動作する。本実施形態においては、弁体330の内周面に雌ねじ部が設けられている。弁作動体126は、その外周面に雄ねじ部が形成され、弁体330の雌ねじ部に螺合している。伝達ロッド328は、その上半部が弁体330に内挿され、その上端部にて弁作動体126に連結されている。
【0092】
ボディ304の上半部には区画部材317が配設され、区画部材317の下部に弁孔220が形成されている。ボディ304の中央部には区画部材315が配設され、区画部材315の下部に弁孔127が形成されている。さらに、ボディ104の下部には弁孔134が設けられている。弁体330と区画部材315との間には、弁体330を閉弁方向に付勢するスプリング350(「付勢部材」として機能する)が介装されている。弁体330は、上流側から弁座222に着脱して開閉弁307を開閉する。
【0093】
共用弁体124は、伝達ロッド328の下端部に同軸状に固定されている。共用弁体124は、下方に延出する段付円筒状の区画部339を有する。ボディ304の底部には、円穴状のガイド部353が弁孔134と同軸状に形成されている。そして、区画部339の下端部がガイド部353に摺動可能に支持されている。区画部339とガイド部353とに囲まれた空間により背圧室354が形成される。伝達ロッド328の下半部には連通路340が形成されており、導入出ポート314から導入または導出される中間圧力Ppがその連通路340を介して背圧室354に導入されるようになっている。
【0094】
ここで、弁孔127の有効径Cと、弁孔134の有効径Dと、ガイド部353の有効径Eとが等しく設定され、また弁孔220の有効径Aとガイド孔218の有効径Bとが等しく設定されている。このため、弁体330および共用弁体124に作用する冷媒圧力の影響はキャンセルされる。
【0095】
以上のように構成された複合弁310は、次のように動作する。図12は、開閉弁303および開閉弁307が閉弁状態とされ、開閉弁305が開弁状態となる場合を示している。複合弁310は、例えば冷房運転時においてこのような状態をとる。
【0096】
一方、開閉弁307の閉弁を維持した状態で開閉弁303を開弁させ、開閉弁305を閉弁させる場合、図12の状態からロータ172が一方向に回転駆動されることにより、図13に示すように共用弁体124が開閉弁305の閉弁方向に変位する。また、図示の状態からロータ172を同方向に微少量回転駆動した図14の状態までは、開閉弁305と開閉弁307とが同時に閉弁する状態を維持することができる。すなわち、図14の状態では、伝達ロッド328と弁作動体126との間に微少隙間が形成される。このような閉弁時の遊びを持たせることで、ねじ機構による誤差を吸収可能にしている。
【0097】
特定暖房運転状態においては、図15に示すように、開閉弁303と開閉弁307が開弁され、開閉弁305が閉弁される。すなわち、図14の状態からロータ172がさらに同方向に回転駆動されることにより、図15に示すように、ねじ機構により弁体330が開弁方向に移動させられる。
【0098】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態に係る車両用冷暖房装置は、冷媒循環通路や制御弁の構成が第1,第2実施形態と異なる。以下、第1,第2実施形態との相違点を中心に説明し、第1,第2実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。図16は、第4実施形態に係る車両用冷暖房装置のシステム構成を表す図である。
【0099】
車両用冷暖房装置400の冷凍サイクルは、室内凝縮器3と室外熱交換器5とが凝縮器として直列に動作可能に構成され、また、蒸発器7と室外熱交換器5とが蒸発器として直列に動作可能に構成されている。また、第1実施形態におけるアキュムレータ8に代えて受液器6が設けられている。
【0100】
具体的には、圧縮機2の吐出室は第1通路21を介して室内凝縮器3の入口に接続され、室内凝縮器3の出口は第2通路22を介して室外熱交換器5の入口に接続されている。室外熱交換器5の出口は第3通路23を介して蒸発器7の入口に接続され、蒸発器7の出口は第4通路24を介して圧縮機2の吸入口に接続されている。第2通路22と第3通路23とはバイパス通路29により接続され、室内凝縮器3から導出された冷媒を室外熱交換器5を迂回させる形で蒸発器7へ供給可能に構成されている。さらに、第3通路23のバイパス通路29との合流点よりも下流側に分岐点が設けられ、圧縮機2の吸入口につながるバイパス通路429が設けられている。
【0101】
そして、第2通路22におけるバイパス通路29への分岐点には切替弁431が設けられ、バイパス通路429には制御弁435が設けられている。室外熱交換器5の下流側には逆止弁436が設けられている。受液器6は、第3通路23におけるバイパス通路429との合流点に設けられている。受液器6と蒸発器7との間には、上流側から開閉弁437、膨張弁9が設けられている。
【0102】
受液器6は、室外熱交換器5または室内凝縮器3から送出された冷媒を気液分離して溜めておく装置であり、液相部と気相部とを有する。液相部は第3通路23を介して蒸発器7の入口につながり、気相部はバイパス通路429を介して圧縮機2の吸入口につながっている。受液器6は、開閉弁437の開弁時には液相部の液冷媒を膨張弁9に向けて導出し、制御弁435の開弁時には気相部の冷媒を圧縮機2に向けて導出する。すなわち、受液器6は、従来にいうリキッドタンクとアキュムレータの2つの受液器を兼ね備えたような機能を有する。
【0103】
膨張弁9は、いわゆる温度式膨張弁として構成されており、蒸発器7の出口側の温度と圧力を感知して弁開度を調整し、熱負荷に応じた液冷媒を蒸発器7へ供給する。膨張弁9は、蒸発器7から導出された冷媒が所定の過熱度をもつように、蒸発器7へ送出する冷媒の流量を制御する温度式膨張弁からなる。このような温度式膨張弁そのものは公知であるため、その詳細な説明については省略する。
【0104】
切替弁431は、第2通路22を開閉する第1弁部と、バイパス通路29を開閉する第2弁部と、各弁部を駆動するアクチュエータとを備える三方弁からなる。本実施形態では、切替弁431として、ステッピングモータの駆動により各弁部の開度を調整可能な電動弁が用いられるが、ソレノイドへの通電によって各弁部の開度を調整可能な電磁弁を用いるようにしてもよい。切替弁431の具体的構成については後述する。
【0105】
制御弁435は、バイパス通路429を開閉する弁部と、その弁部を開閉駆動するアクチュエータとを備える電気駆動弁として構成される。制御弁435は、その開度が設定開度に調整される比例弁として構成され、その開弁により室外熱交換器5からバイパス通路429を介した圧縮機2への冷媒の流れを許容する。
【0106】
開閉弁437は、第3通路23を開閉する弁部と、その弁部を開閉駆動するアクチュエータとを備える電気駆動弁として構成される。開閉弁437は、その開弁により室外熱交換器5から第3通路23を介した蒸発器7への冷媒の流れを許容する。本実施形態では、制御弁435と開閉弁437が共用のボディを有し、共用の一つのアクチュエータにより駆動される。なお、本実施形態では、そのアクチュエータとしてステッピングモータが採用されるが、ソレノイドであってもよい。
【0107】
逆止弁436は、第3通路23におけるバイパス通路29との合流点の上流側に設けられている。逆止弁436は、バイパス通路29を通過した冷媒が室外熱交換器5側へ逆流することを防止する機械式の弁として構成されている。
【0108】
特定暖房運転時においては、切替弁431の第1弁部が開弁状態とされ第2弁部が閉弁状態とされる。一方、制御弁435および開閉弁437がともに開弁状態とされる。このため、室外熱交換器5から導出された冷媒は、一方で蒸発器7に導かれ、他方でバイパス通路429を介して圧縮機2に導かれる。
【0109】
すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、室内凝縮器3を経て凝縮され、切替弁431の第1弁部にて断熱膨張されて冷温・低圧の気液二相冷媒となり、室外熱交換器5を通過して蒸発される。室外熱交換器5を通過した冷媒は、さらに受液器6にて気液分離される。そして、受液器6の液相部の液冷媒が膨張弁9にて断熱膨張されて冷温・低圧の気液二相冷媒となり、蒸発器7に導入される。蒸発器7に導入された冷媒は、その蒸発器7を通過する過程で蒸発し、車室内の空気を除湿する。一方、受液器6の気相部のガス冷媒がバイパス通路429を介して圧縮機2に導かれる。その際、そのガス冷媒は、蒸発器7から導出された冷媒と第4通路24との合流点にて混合された形で圧縮機2に導かれる。
【0110】
次に、本実施形態の主要部である制御弁の具体的構成について説明する。図17〜図20は、第4実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
切替弁431は、一つのステッピングモータにより第1弁部と第2弁部が駆動される複合弁として組み付けられる。なお、第1弁部は、さらに小口径の第1比例弁と大口径の第2比例弁を含む。すなわち、切替弁431は、弁本体401とモータユニット102とを組み付けて構成されている。弁本体401は、有底筒状のボディ404に第1弁部を構成する第1比例弁405および第2比例弁406と、第2弁部を構成する開閉弁407とを同軸状に収容して構成される。
【0111】
導入ポート110は第2通路22の上流側に連通し、第1導出ポート212はバイパス通路29に連通し、第2導出ポート214は第2通路22の下流側に連通する。ボディ404の上半部にはガイド部材216が配設され、ボディ404の下半部には有底円筒状の区画部材420と段付円筒状の区画部材433とが同軸状に内挿されている。区画部材420は、ボディ404の下半部に嵌合され、ボディ404との間に連通路422を形成する。区画部材420の底部中央を軸線方向に貫通する段付孔が設けられ、その上端開口部にリング状の弁座形成部材424が圧入されている。弁座形成部材424の内周部により弁孔444が形成され、その上端開口端縁により弁座446が形成されている。小弁体432が弁座446に着脱することにより、第1比例弁405が開閉される。連通路422は、弁孔444と第2導出ポート214とを連通させる。
【0112】
区画部材433は、シール部材を介してボディ404に同心状に組み付けられている。そして、区画部材433の中央部に弁孔450が設けられ、その上端開口端縁により弁座452が形成されている。区画部材433の下半部にはガイド孔418が形成されている。ボディ404の内方には、弁体230、小弁体432、大弁体434、弁作動体126および伝達ロッド430が同軸状に配設されている。区画部材118の軸受部219の内周面には、第2実施形態と同様に雌ねじ部が設けられている。
【0113】
弁体230は、弁座222に着脱して開閉弁407を開閉する。大弁体434は、弁体230に近似した形状を有し、その下方に縮径部を介して区画部448が連設されている。そして、大弁体434および区画部448を貫通する連通路445が形成されている。区画部448の下端部がガイド孔418に摺動可能に支持され、大弁体434の上端部がガイド部材417に摺動可能に支持されることにより、大弁体434の開閉方向への安定した動作が確保されている。
【0114】
伝達ロッド430は小弁体432に一体に設けられ、弁体230および大弁体434の内部通路を貫通する。伝達ロッド430は、その上端部および中央部に半径方向外向きに突出する係止部を有する。伝達ロッド430は、弁作動体126、弁体230および大弁体434のそれぞれと相対変位可能であるが、その上側の係止部が弁作動体126の上面に係止されることにより、弁作動体126との相対変位が規制される。また、中央の係止部が大弁体434の上端部に係止されることで大弁体434との相対変位が規制される。
【0115】
大弁体434は、導入ポート110と弁孔450との間の圧力室に配設され、上流側から弁孔450に接離して第2比例弁406の開度を調整する。大弁体434と弁体230との間には、互いに第2比例弁406および開閉弁407の閉弁方向に付勢するスプリング254が介装されている。小弁体432は、伝達ロッド430の下端部に一体に設けられ、大弁体434の内方から弁座446に着脱して第1比例弁405を開閉する。伝達ロッド430と弁体230との間には、小弁体432を閉弁方向に付勢するスプリング257が介装されている。
【0116】
区画部448と区画部材420とに囲まれた空間により背圧室449が形成されている。導入ポート110を介して導入された上流側圧力Pinは、連通路445を介して背圧室449に導入される。区画部材420と区画部材433との間には受圧調整部材249が配設されている。ここで、弁孔450の有効径Cとガイド孔418の有効径Dとが等しく設定されているため、大弁体434に作用する冷媒圧力の影響はキャンセルされる。
【0117】
以上のように構成された切替弁431は、次のように動作する。図17は、開閉弁407が開弁状態となり、第1比例弁405および第2比例弁406が閉弁状態となる場合を示している。切替弁431は、例えば室外熱交換器5を機能させない特殊暖房運転時においてこのような状態をとる。
【0118】
一方、第1比例弁405、第2比例弁406および開閉弁407の全てを閉弁状態とする場合、図17の状態からロータ172が一方向に回転駆動されることにより、図18に示すように弁体230が閉弁方向に変位する。すなわち、ねじ機構によって弁作動体126が上方に変位するため、弁体230がスプリング254の付勢力によって押し上げられ、開閉弁407が閉弁状態となる。
【0119】
特定暖房運転状態においては、図19に示すように、第2比例弁406および開閉弁407が閉弁状態とされた状態で第1比例弁405による小口径制御が実行される。すなわち、図18の状態からロータ172がさらに同方向に回転駆動されることにより小弁体432が開弁方向に変位し、第1比例弁405が開弁状態となる。なお、この小口径制御による第1比例弁405の開度は、ロータ172の駆動量により調整される。
【0120】
また、冷房運転時には、図20に示すように、開閉弁407が閉弁状態とされた状態で第1比例弁405および第2比例弁406が開弁する大口径制御が実行される。すなわち、図19の状態からロータ172がさらに同方向に回転駆動されることにより大弁体434が開弁方向に変位し、第2比例弁406についても開弁状態となる。なお、この大口径制御による第2比例弁406の開度は、ロータ172の駆動量により調整される。
【0121】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態に係る車両用冷暖房装置は、冷媒循環通路や制御弁の構成が第1〜4実施形態と異なる。以下、第1〜4実施形態との相違点を中心に説明し、第1〜4実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。図21は、第5実施形態に係る車両用冷暖房装置のシステム構成を表す図である。
【0122】
車両用冷暖房装置500の冷凍サイクルは、第2実施形態の車両用冷暖房装置200と同様に、室内凝縮器3と室外熱交換器5とが凝縮器として直列に動作可能に構成され、蒸発器7と室外熱交換器5とが蒸発器として並列に動作可能に構成されている。ただし、過冷却度制御弁36の下流側には第2実施形態のような差圧弁38は設けられていない。また、バイパス通路28の分岐点よりも上流側に開閉弁505が設けられ、第2分岐通路27に比例弁506が設けられている。
【0123】
特定暖房運転時においては、切替弁31において第1弁部が閉弁される一方、第2弁部が開弁される。一方、開閉弁505が開弁され、比例弁506の開度が制御される。このとき、室外熱交換器5は室外蒸発器として機能する。すなわち、圧縮機2から吐出された冷媒は、一方で室内凝縮器3、開閉弁505、過冷却度制御弁36、蒸発器7、開閉弁240、アキュムレータ8を経由するように冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻り、他方で室内凝縮器3、開閉弁505、比例弁506、室外熱交換器5、切替弁31、アキュムレータ8を経由するように冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻る。
【0124】
すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、室内凝縮器3を経て凝縮され。そして、開閉弁505を通過した冷媒が、一方で過冷却度制御弁36にて断熱膨張され、冷温・低圧の気液二相冷媒が蒸発器7に供給されて蒸発し、他方で比例弁506にて断熱膨張され、冷温・低圧の気液二相冷媒が室外熱交換器5に供給されて蒸発する。このとき、開閉弁505は全開状態にあるため、室外熱交換器5および蒸発器7の両蒸発器にて蒸発される比率は、比例弁506の開度により制御される。
【0125】
次に、本実施形態の主要部である制御弁の具体的構成について説明する。図22〜図25は、第5実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
開閉弁505と比例弁506は、共用のステッピングモータにより駆動される複合弁510として組み付けられる。複合弁510は、弁本体501とモータユニット102とを組み付けて構成されている。弁本体501は、有底筒状のボディ504に開閉弁505と比例弁506とを同軸状に収容して構成される。比例弁506は、第4実施形態の第1弁部と近似した構造を有し、第1比例弁511と第2比例弁512を含む。
【0126】
ボディ504の一方の側部には上下に導入ポート110、第2導出ポート214が設けられ、他方の側部には第1導出ポート212が設けられている。導入ポート110はバイパス通路28の上流側に連通し、第1導出ポート212は第1分岐通路26に連通し、第2導出ポート214は第2分岐通路27に連通する。ボディ504の上半部にはガイド部材516が配設され、ボディ204の下半部には区画部材420と区画部材433とが同軸状に内挿されている。
【0127】
ボディ504の内方には、弁体530、小弁体432、大弁体434、弁作動体126および伝達ロッド430が同軸状に配設されている。区画部材118の軸受部219の内周面には、第2実施形態と同様に雌ねじ部が設けられている。ガイド孔218は、区画部材118の内周面に形成されている。
【0128】
弁体530は、その上半部がガイド孔218に摺動可能に支持され、弁座222に着脱して開閉弁505を開閉する。弁体530と区画部材118との間には、弁体530を閉弁方向に付勢するスプリング554(「付勢部材」として機能する)が介装されている。小弁体432は、弁座446に着脱して第1比例弁511を開閉する。大弁体434は、弁座452に着脱して第2比例弁512を開閉する。
【0129】
以上のように構成された複合弁510は、次のように動作する。図22は、開閉弁505と比例弁506がともに閉弁状態となる場合を示している。複合弁510は、例えば冷房運転時においてこのような状態をとる。したがって、冷房運転時においては、室内凝縮器3を経た高温のガス冷媒が蒸発器7側へ漏洩することが防止される。
【0130】
一方、比例弁506の閉弁を維持した状態で開閉弁505を開弁させる場合、図22の状態からロータ172が一方向に回転駆動されることにより、図23に示すように弁体530が開弁方向に変位する。すなわち、ねじ機構によって弁作動体126が下方に変位するため、弁体530がスプリング554の付勢力に抗して引き上げられ、開閉弁505が開弁状態となる。
【0131】
特定暖房運転状態においては、図24に示すように、開閉弁505および比例弁506がともに開弁状態とされ、その開度比率が調整される。すなわち、図23の状態からロータ172がさらに同方向に回転駆動されることにより、図24に示すように第1比例弁511による小口径制御が実行される。また、ロータ172がさらに同方向に回転駆動されることにより、図25に示す第2比例弁512による大口径制御が実行される。なお、小口径制御による第1比例弁511の開度、および大口径制御による第2比例弁512の開度は、ロータ172の駆動量により調整される。
【0132】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態について説明する。本実施形態に係る車両用冷暖房装置は、冷媒循環通路や制御弁の構成が第1〜5実施形態と異なる。以下、第1〜5実施形態との相違点を中心に説明し、第1〜5実施形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付す等して適宜その説明を省略する。図26は、第6実施形態に係る車両用冷暖房装置のシステム構成を表す図である。
【0133】
車両用冷暖房装置600の冷凍サイクルは、第3実施形態の車両用冷暖房装置300と同様に、室内凝縮器3と室外熱交換器5とが凝縮器として並列に動作可能に構成され、蒸発器7と室外熱交換器5とが蒸発器として並列に動作可能に構成されている。第1通路21には開閉弁603が設けられ、第2通路22には開閉弁605が設けられている。第5通路25から分岐した第1分岐通路26には開閉弁205が設けられ、第2分岐通路27には比例弁206が設けられている。また、第4通路24には比例弁607が設けられ、バイパス通路29には比例弁608が設けられている。
【0134】
特定暖房運転時においては、開閉弁603が開弁される一方、開閉弁605が閉弁される。一方、開閉弁205が開弁され、比例弁206の開度が制御される。さらに、比例弁607および比例弁608の開度が制御される。このとき、室外熱交換器5は室外蒸発器として機能する。すなわち、圧縮機2から吐出された冷媒は、室内凝縮器3を経由して凝縮される。そして、凝縮された冷媒の一方が、開閉弁205、過冷却度制御弁36、蒸発器7、比例弁607、アキュムレータ8を経由するように冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻る。凝縮された冷媒の他方は、比例弁206、室外熱交換器5、比例弁608、アキュムレータ8を経由するように冷媒循環通路を循環して圧縮機2に戻る。
【0135】
すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、室内凝縮器3を経て凝縮される。そして、開閉弁205を通過した冷媒が、過冷却度制御弁36にて断熱膨張され、冷温・低圧の気液二相冷媒が蒸発器7に供給されて蒸発する。また、比例弁206にて断熱膨張された冷温・低圧の気液二相冷媒が、室外熱交換器5に供給されて蒸発する。このとき、開閉弁205は全開状態にあるため、室外熱交換器5および蒸発器7の両蒸発器にて蒸発される比率は、比例弁206の開度により制御される。比例弁607は蒸発器7の蒸発圧力Peを調整し、比例弁608は室外熱交換器5の蒸発圧力Poを調整する。
【0136】
次に、本実施形態の主要部である制御弁の具体的構成について説明する。図27〜図29は、第6実施形態に係る制御弁の構成および動作を表す断面図である。
比例弁607と比例弁608は、共用のステッピングモータにより駆動される複合弁610として組み付けられる。複合弁610は、弁本体601とモータユニット102とを組み付けて構成されている。
【0137】
複合弁610は、ボディ604に比例弁607と比例弁608とを同軸状に収容して構成される。ボディ604の一方の側部には第1導入ポート611および第2導入ポート612が設けられ、他方の側部には導出ポート614が設けられている。第1導入ポート611は第4通路24に連通し、第2導入ポート612はバイパス通路29に連通し、導出ポート614はアキュムレータ8につながる下流側通路に連通する。ボディ604には、車両用冷暖房装置の運転状態に応じて、第1導入ポート611と導出ポート614とをつなぐ第1冷媒通路、および第2導入ポート612と導出ポート614とをつなぐ第2冷媒通路のいずれか一方が形成される。
【0138】
ボディ604には、段付円筒状の区画部材616が内挿されている。区画部材616は、シール部材を介してボディ604に同心状に組み付けられている。そして、区画部材616の上半部に弁孔220が形成され、その上端開口端縁に弁座222が形成されている。また、区画部材616の下半部に弁孔650が形成され、その下端開口端縁に弁座652が形成されている。
【0139】
ボディ604の内方には、弁体630、弁体632、弁作動体126および伝達ロッド634が同軸状に配設されている。区画部材118の軸受部219の内周面には、第2実施形態と同様に雌ねじ部が設けられている。弁作動体126の下端部には、伝達ロッド634が連結されている。伝達ロッド634は、段付円柱状をなし、弁体630の中央部を軸線方向に貫通している。伝達ロッド634の上端部は、弁作動体126の底部に固定されている。伝達ロッド634の下半部は大径化され、その段部が弁体630との相対変位を規制する係止部となっている。
【0140】
区画部材118の内方にはガイド孔218が形成されている。弁体630は、その上端部がガイド孔218に摺動可能に支持されている。区画部材118と弁体630とに囲まれた空間により背圧室250が形成されている。伝達ロッド634と弁体630との間に所定のクリアランスが存在するため、弁孔220の下流側の下流側圧力Poutがそのクリアランスを介して背圧室150に導入される。
【0141】
区画部材118と弁体630との間には、弁体630を閉弁方向に付勢するスプリング651(「付勢部材」として機能する)が介装されている。区画部材118と区画部材616との間には受圧調整部材249が配設されている。
【0142】
ボディ604の底部には、円ボス状のガイド部653が弁孔650と同軸状に形成されている。そして、弁体632の下端部がガイド部653に摺動可能に内挿されている。弁体632とガイド部653とに囲まれた空間により背圧室654が形成される。弁体632とボディ604との間には、弁体632を閉弁方向に付勢するスプリング656(「付勢部材」として機能する)が介装されている。
【0143】
弁体632は、弁孔650と第1導入ポート611との間の圧力室に配設され、上流側から弁孔650に接離して比例弁607の開度を調整する。弁体632には、内外を連通する連通孔658が設けられており、背圧室654に下流側圧力Poutが導入されるようになっている。弁体632とボディ604との間にも受圧調整部材249が配設されている。受圧調整部材249は、弁体632の下端部に対して上方から当接する。
【0144】
ここで、弁孔650の有効径Cとガイド部653の有効径Dとが等しく設定され、また弁孔220の有効径Aとガイド孔218の有効径Bとが等しく設定されている。このため、弁体630および弁体632に作用する冷媒圧力の影響はキャンセルされる。
【0145】
以上のように構成された複合弁610は、次のように動作する。すなわち、車両用冷暖房装置の運転状態に応じて第1冷媒通路を開弁する場合、図27の状態からロータ172が一方向に回転駆動されることにより弁体632が開弁方向に変位し、図28に示すように比例弁607が開弁状態となる。すなわち、ロータ172とともに回転する弁作動体126がねじ機構によって下降し、弁体632を押し下げるようにして開弁方向に変位させる。弁体632は、図27に示す全閉状態と図28に示す全開位置との間の範囲で駆動され、比例弁607の開度が調整される。その結果、第1導入ポート611から導入された冷媒が比例弁607を経て導出ポート614から導出される。
【0146】
また、車両用冷暖房装置の運転状態に応じて第2冷媒通路を開弁する場合、図27の状態からロータ172が他方向に回転駆動されることにより弁体632が閉弁方向に変位し、図29に示すように比例弁608が開弁状態となる。すなわち、ロータ172とともに回転する弁作動体126がねじ機構によって上昇し、伝達ロッド634を吊り上げるようにして弁体630を開弁方向に変位させる。弁体630は、図27に示す全閉状態と図29に示す全開位置との間の範囲で駆動され、比例弁608の開度が調整される。このとき、伝達ロッド634が弁体632から離間して弁体632を押し下げる方向の力がなくなり、スプリング656の付勢力によって弁体632が弁座652に着座し、比例弁607が閉弁状態を維持する。その結果、第2導入ポート612から導入された冷媒が比例弁608を経て導出ポート614から導出される。
【0147】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0148】
上記実施形態では、本発明の車両用冷暖房装置を電気自動車に適用した例を示したが、内燃機関を搭載した自動車や、内燃機関と電動機を同載したハイブリッド式の自動車に提供することが可能であることは言うまでもない。上記実施形態では、圧縮機2として電動圧縮機を採用した例を示したが、エンジンの回転を利用して容量可変を行う可変容量圧縮機を採用することもできる。
【符号の説明】
【0149】
2 圧縮機、 3 室内凝縮器、 5 室外熱交換器、 6 受液器、 7 蒸発器、 8 アキュムレータ、 9 膨張弁、 31 切替弁、 32 過冷却度制御弁、 34 比例弁、 36 過冷却度制御弁、 38 差圧弁、 40 過熱度制御弁、 100 車両用冷暖房装置、 101 弁本体、 102 モータユニット、 104 ボディ、 105 第1比例弁、 106 第2比例弁、 122 弁体、 124 共用弁体、 126 弁作動体、 127 弁孔、 128 伝達ロッド、 129 弁座、 134 弁孔、 136 弁座、 172 ロータ、 173 ステータ、 200 車両用冷暖房装置、 201 弁本体、 204 ボディ、 205 開閉弁、 206 比例弁、 210 複合弁、 220 弁孔、 222 弁座、 230,232 弁体、 238 逆止弁、 240 開閉弁、 253 弁孔、 255 弁座、 300 車両用冷暖房装置、 301 弁本体、 303 開閉弁、 304 ボディ、 305,307 開閉弁、 310 複合弁、 328 伝達ロッド、 330 弁体、 332 逆止弁、 334 比例弁、 400 車両用冷暖房装置、 401 弁本体、 404 ボディ、 405 第1比例弁、 406 第2比例弁、 407 開閉弁、 429 バイパス通路、 430 伝達ロッド、 431 切替弁、 432 小弁体、 434 大弁体、 435 制御弁、 436 逆止弁、 437 開閉弁、 444 弁孔、 446 弁座、 450 弁孔、 452 弁座、 500 車両用冷暖房装置、 501 弁本体、 504 ボディ、 505 開閉弁、 506 比例弁、 510 複合弁、 511 第1比例弁、 512 第2比例弁、 530 弁体、 600 車両用冷暖房装置、 601 弁本体、 603,605 開閉弁、 607,608 比例弁、 610 複合弁、 630,632 弁体、 634 伝達ロッド、 650 弁孔、 652 弁座。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、
車室外に配置され、冷房運転時に冷媒を放熱させる室外凝縮器として機能する一方、暖房運転時には冷媒を蒸発させる室外蒸発器として機能する室外熱交換器と、
車室内に配置されて冷媒を蒸発させる室内蒸発器と、
前記圧縮機、前記室外熱交換器、前記室内蒸発器をつなぐ冷媒循環通路を構成する複数の冷媒通路の開度をそれぞれ調整するための複数の弁部と、その複数の弁部を収容する共用のボディと、その複数の弁部の開度を電気的に調整するための共用のアクチュエータと、を含む制御弁と、
を備えることを特徴とする車両用冷暖房装置。
【請求項2】
前記冷媒循環通路に前記制御弁が複数設けられることを特徴とする請求項1に記載の車両用冷暖房装置。
【請求項3】
前記制御弁は、前記複数の弁部に冷媒を導くための共通の導入ポート、および前記複数の弁部を経た冷媒を導出するための共通の導出ポートの少なくとも一方を前記ボディに有することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用冷暖房装置。
【請求項4】
前記制御弁は、前記複数の弁部の開閉状態に応じて、前記ボディに冷媒を導入または前記ボディから冷媒を導出するように切り替えられる導入出ポートを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用冷暖房装置。
【請求項5】
前記制御弁は、
前記ボディに設けられた第1の弁孔と、
前記ボディに前記第1の弁孔と同軸状に設けられた第2の弁孔と、
前記第1の弁孔に接離することにより第1の弁部を開閉する第1の弁体と、
前記第2の弁孔に接離することにより第2の弁部を開閉する第2の弁体と、
前記アクチュエータとして回転駆動されるロータを含むステッピングモータと、
前記ロータとともに回転し、その軸線周りの回転運動を軸線方向の並進運動に変換することにより、前記第1の弁体および前記第2の弁体に対して各弁部の開閉駆動力を順次伝達する弁作動体と、
を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用冷暖房装置。
【請求項6】
前記第1の弁体および前記第2の弁体の一方の内周面または前記ボディの内周面に設けられた雌ねじ部と、前記弁作動体の外周面に設けられた雄ねじ部との螺合構造により、前記ロータの回転運動を並進運動に変換する作動変換機構が構成されていることを特徴とする請求項5に記載の車両用冷暖房装置。
【請求項7】
前記制御弁は、
前記第1の弁孔および前記第2の弁孔と同軸状に設けられた第3の弁孔と、
前記第1の弁体および前記第2の弁体を軸線方向に貫通し、前記第3の弁孔に接離して第3の弁部を開閉可能な第3の弁体と、
を備え、
前記弁作動体は、前記第1の弁体、前記第2の弁体、前記第3の弁体に対して各弁部の開閉駆動力を順次伝達することを特徴とする請求項5または6に記載の車両用冷暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2012−136147(P2012−136147A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289803(P2010−289803)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000133652)株式会社テージーケー (280)
【Fターム(参考)】