説明

車両用冷暖房装置

【課題】複数の冷媒通路を切り替えて運転がなされる車両用冷暖房装置において、その冷媒通路の切り替える制御弁に嵩むコストをトータル的に抑制する。
【解決手段】ある態様の車両用冷暖房装置は、圧縮機と、室外熱交換器と、室内蒸発器と、冷媒循環通路を構成し、冷媒の流れを変更するために開度が調整される第1冷媒通路および第2冷媒通路と、第1冷媒通路および第2冷媒通路が内部に形成され、第1冷媒通路の冷媒の流れを調整するために開度が制御される第1弁と、第2冷媒通路の冷媒の流れを調整するために開度が制御される第2弁とを収容する共用のボディと、第1弁と第2弁の開度を電気的に調整するための共用のアクチュエータと、を含む制御弁と、を備える。制御弁は、アクチュエータによる第1弁および第2弁の一方の開度の制御状態において他方を閉弁状態または全開状態に維持可能な弁配置構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用冷暖房装置に関し、特に車両用冷暖房装置の冷媒通路の切り替えに好適な制御弁に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内燃機関を搭載した車両においてはエンジンの燃焼効率が向上したこともあり、熱源として利用してきた冷却水が暖房に必要な温度にまで上昇し難くなっている。一方、内燃機関と電動機を併用したハイブリッド車両においては内燃機関の稼働率が低いため、そのような冷却水の利用がさらに難しい。電気自動車に至っては内燃機関による熱源そのものがない。このため、冷房のみならず暖房にも冷媒を用いたサイクル運転を行い、車室内を除湿暖房可能なヒートポンプ式の車両用冷暖房装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このような車両用冷暖房装置は、圧縮機、室外熱交換器、蒸発器、室内熱交換器等を含む冷凍サイクルを有し、暖房運転時と冷房運転時とで室外熱交換器の機能が切り替えられる。暖房運転時においては室外熱交換器が蒸発器として機能する。その際、冷凍サイクルを冷媒が循環する過程で室内熱交換器が放熱し、その熱により車室内の空気が加熱される。一方、冷房運転時においては室外熱交換器が凝縮器として機能する。その際、室外熱交換器にて凝縮された冷媒が蒸発器にて蒸発し、その蒸発潜熱により車室内の空気が冷却される。その際、除湿も行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−240266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車室内の快適性を維持するとともに、寒冷下においても車両運転中の視界を良好に維持するために、このような車両用冷暖房装置においては特に除湿運転が重要視される。そのため、複数の熱交換器が比較的複雑な経路で配管されることが多く、冷媒通路の切り替えのために二方向弁、三方向弁、四方向弁といった制御弁が数多く用いられる。二方向弁は、その開閉により冷媒通路を開放または遮断したり、その開度調整により冷媒通路の開度を調整したりする。三方向弁は、1つの共用通路と2つの分岐通路との接続点に設けられ、共用通路と連通させる分岐通路を切り替える。四方向弁は、2つの上流側通路と2つの下流側通路との接続点に設けられ、上流側通路と下流側通路との連通状態の組み合わせを切り替える。これらの制御弁は、アクチュエータとしてソレノイドやステッピングモータなどを用いる電気駆動弁として構成されることが多い。
【0006】
しかしながら、このような制御弁が数多く用いられると、当然にコストが嵩み、車両の設置スペース上の問題も生じる。このため、このような制御弁を冷媒通路を切り替えるだけの切替弁としてだけではなく、その開度を比例的に変化させて冷媒流量の調整を行う比例弁として機能させたり、その開度を絞ることで冷媒を膨張させて状態遷移させる膨張弁として機能させるなど、複数種の制御弁の機能を兼用させることもある。しかし、二方向弁として構成する場合には、その設置数に応じたアクチュエータが必要となる。また、三方向弁や四方向弁として構成する場合にも、その複数の弁部の開度を外部から調整可能とする場合には、その弁部の数に応じたアクチュエータが必要となり、依然として改善の余地があった。
【0007】
本発明の目的は、複数の冷媒通路を切り替えて運転がなされる車両用冷暖房装置において、その冷媒通路の切り替える制御弁に嵩むコストをトータル的に抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の車両用冷暖房装置は、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、車室外に配置され、冷房運転時に冷媒を放熱させる室外凝縮器として機能する一方、暖房運転時には冷媒を蒸発させる室外蒸発器として機能する室外熱交換器と、車室内に配置されて冷媒を蒸発させる室内蒸発器と、圧縮機、室外熱交換器、室内蒸発器を接続する冷媒循環通路を構成し、冷媒の流れを変更するために開度が調整される第1冷媒通路および第2冷媒通路と、第1冷媒通路および第2冷媒通路が内部に形成され、第1冷媒通路の冷媒の流れを調整するために開度が制御される第1弁と、第2冷媒通路の冷媒の流れを調整するために開度が制御される第2弁とを収容する共用のボディと、第1弁と第2弁の開度を電気的に調整するための共用のアクチュエータと、を含む制御弁と、を備える。制御弁は、アクチュエータによる第1弁および第2弁の一方の開度の制御状態において他方を閉弁状態または全開状態に維持可能な弁配置構成を有する。
【0009】
この態様によると、複数の冷媒通路の開度をそれぞれ調整するために複数の弁が設けられるところ、その複数の弁が共用のボディに収容されて共用のアクチュエータにより開閉駆動される制御弁(複合弁)として構成される。そして、一方の弁による冷媒の流量制御がなされている状態において、他方の弁を閉弁させて冷媒の流通を遮断、または全開させて流量飽和状態とする配置構成を有することで、その他方の弁の状態が一方の弁の流量制御に実質的に影響を及ぼさないようにしている。言い換えれば、このように第1弁と第2弁とがその弁配置によって制御上影響を及ぼさないようにすることで、一つのアクチュエータによる複数の弁の駆動が可能とされている。それにより、弁の数に対してボディやアクチュエータの数を抑えることができ、車両用冷暖房装置の冷媒通路の切り替えるために要する制御弁に嵩むトータルのコストを抑制することができる。このような制御弁を冷媒循環通路に複数設ければ、弁の数に対してトータルのコストをさらに抑制可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の冷媒通路を切り替えて運転がなされる車両用冷暖房装置において、その冷媒通路の切り替える制御弁に嵩むコストをトータル的に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る車両用冷暖房装置のシステム構成を表す図である。
【図2】車両用冷暖房装置の動作を表す説明図である。
【図3】第1制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図4】第1制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図5】第1制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図6】第2制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図7】第2制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図8】第2制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図9】第3制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図10】第3制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図11】第3制御弁の構成および動作を表す断面図である。
【図12】変形例にかかる車両用冷暖房装置のシステム構成を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る車両用冷暖房装置のシステム構成を表す図である。本実施形態は、本発明の車両用冷暖房装置を電気自動車の冷暖房装置として具体化したものである。
【0013】
車両用冷暖房装置100は、圧縮機2、室内凝縮器3、室外熱交換器5、蒸発器7およびアキュムレータ8を配管にて接続した冷凍サイクル(冷媒循環回路)を備える。車両用冷暖房装置100は、冷媒としての代替フロン(HFO−1234yf)が冷凍サイクル内を状態変化しながら循環する過程で、その冷媒の熱を利用して車室内の空調を行うヒートポンプ式の冷暖房装置として構成されている。
【0014】
車両用冷暖房装置100は、また、冷房運転時と暖房運転時とで複数の冷媒循環通路を切り替えるように運転される。この冷凍サイクルは、室内凝縮器3と室外熱交換器5とが凝縮器として直列に動作可能に構成され、また、蒸発器7と室外熱交換器5とが蒸発器として並列に動作可能に構成されている。すなわち、冷房運転時(除湿時)に冷媒が循環する第1冷媒循環通路、暖房運転時に冷媒が循環する第2冷媒循環通路、暖房運転中の除湿時に冷媒が循環する第3冷媒循環通路が形成される。
【0015】
第1冷媒循環通路は、圧縮機2→室内凝縮器3→室外熱交換器5→蒸発器7→アキュムレータ8→圧縮機2のように冷媒が循環する通路である。第2冷媒循環通路は、圧縮機2→室内凝縮器3→室外熱交換器5→アキュムレータ8→圧縮機2のように冷媒が循環する通路である。第3冷媒循環通路は、圧縮機2→室内凝縮器3→蒸発器7→アキュムレータ8→圧縮機2のように冷媒が循環する通路である。室外熱交換器5を流れる冷媒の流れは、第1冷媒循環通路と第2冷媒循環通路とで逆方向となっている。
【0016】
具体的には、圧縮機2の吐出室は第1通路21を介して室内凝縮器3の入口に接続され、室内凝縮器3の出口は第2通路22を介して室外熱交換器5の一方の出入口に接続されている。室外熱交換器5の他方の出入口は第3通路23を介して蒸発器7の入口に接続され、蒸発器7の出口は第4通路24(戻り通路)を介してアキュムレータ8の入口に接続されている。これら第1通路21、第2通路22、第3通路23および第4通路24により第1冷媒循環通路が形成される。
【0017】
第2通路22には、室内凝縮器3の側から第1分岐点、第2分岐点、第3分岐点が設けられている。すなわち、第2通路22は、第1分岐点にてバイパス通路25に分岐し、第2分岐点にてバイパス通路26に分岐し、第3分岐点にてバイパス通路27に分岐している。そして、バイパス通路25が第3通路23に接続されることにより、室内凝縮器3から導出された冷媒の少なくとも一部を室外熱交換器5を迂回させて蒸発器7へ供給可能な第3冷媒循環通路が形成される。また、バイパス通路26が室外熱交換器5の他方の出入口に接続され、バイパス通路27がアキュムレータ8の入口に接続されることにより、第2冷媒循環通路が形成される。
【0018】
室内凝縮器3の出口と室外熱交換器5の一方の出入口との間には第1制御弁4が設けられている。また、その室外熱交換器5の一方の出入口と蒸発器7の出口との間には第2制御弁6が設けられている。さらに、室外熱交換器5の他方の出入口と蒸発器7の入口との間には第3制御弁9が設けられている。
【0019】
圧縮機2は、ハウジング内にモータと圧縮機構を収容する電動圧縮機として構成され、図示しないバッテリからの供給電流により駆動され、モータの回転数に応じて冷媒の吐出容量が変化する。
【0020】
室内凝縮器3は、車室内に設けられ、室外熱交換器5とは別に冷媒を放熱させる補助凝縮器として機能する。すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧の冷媒が室内凝縮器3を通過する際に放熱する。車室内に導入された空気は、室内凝縮器3を通過する過程で温められる。
【0021】
室外熱交換器5は、車室外に配置され、冷房運転時に内部を通過する冷媒を放熱させる室外凝縮器として機能する一方、暖房運転時には内部を通過する冷媒を蒸発させる室外蒸発器として機能する。室外熱交換器5が蒸発器として機能する際には、膨張装置(第2弁32)の通過により低温・低圧となった冷媒が、室外熱交換器5を通過する際に蒸発する。
【0022】
蒸発器7は、車室内に配置され、内部を通過する冷媒を蒸発させる室内蒸発器として機能する。すなわち、膨張装置(第1弁51または第2弁52)の通過により低温・低圧となった冷媒は、蒸発器7を通過する際に蒸発する。車室内に導入された空気は、その蒸発潜熱によって冷却され、除湿される。このとき冷却・除湿された空気は、室内凝縮器3の通過過程で加熱される。
【0023】
アキュムレータ8は、蒸発器から送出された冷媒を気液分離して溜めておく装置であり、液相部と気相部とを有する。このため、仮に蒸発器7から想定以上の液冷媒が導出されたとしても、その液冷媒を液相部に溜めおくことができ、気相部の冷媒を圧縮機2に導出することができる。
【0024】
第1制御弁4は、共用のボディに第1弁31と第2弁32とを収容し、それらを1つのアクチュエータにて駆動する複合弁として構成されている。第1制御弁4のボディには、第2通路22における第2分岐点と第3分岐点とをつなぐ第1冷媒通路と、バイパス通路26を構成する第2冷媒通路が設けられている。第1弁31は大口径の弁であり、第1冷媒通路に設けられてその開度を調整する。第2弁32は小口径の弁であり、第2冷媒通路に設けられてその開度を調整する。第2弁32は膨張装置としても機能する。本実施形態では、第1制御弁4として、ステッピングモータの駆動により各弁の開度を調整可能な電動弁が用いられるが、ソレノイドへの通電によって各弁の開度を調整可能な電磁弁を用いるようにしてもよい。第1制御弁4の具体的構成については後述する。
【0025】
第2制御弁6は、共用のボディに第1弁41と第2弁42とを収容し、それらを1つのアクチュエータにて駆動する複合弁として構成されている。第2制御弁6のボディには、第4通路24を構成する第1冷媒通路とバイパス通路27を構成する第2冷媒通路が設けられている。第1弁41は大口径の弁であり、第1冷媒通路に設けられてその開度を調整する。第2弁42も大口径の弁であり、第2冷媒通路に設けられてその開度を調整する。本実施形態では、第2制御弁6として、ステッピングモータの駆動により各弁の開度を調整可能な電動弁が用いられるが、ソレノイドへの通電によって各弁の開度を調整可能な電磁弁を用いるようにしてもよい。第2制御弁6の具体的構成については後述する。
【0026】
第3制御弁9は、共用のボディに第1弁51と第2弁52とを収容し、それらを1つのアクチュエータにて駆動する複合弁として構成されている。第3制御弁9のボディには、第3通路23を構成する第1冷媒通路とバイパス通路25を構成する第2冷媒通路が設けられている。第1弁51は小口径の弁であり、第1冷媒通路に設けられてその開度を調整する。第2弁52も小口径の弁であり、第2冷媒通路に設けられてその開度を調整する。第1弁51および第2弁52は膨張装置としても機能する。本実施形態では、第3制御弁9として、ステッピングモータの駆動により各弁の開度を調整可能な電動弁が用いられるが、ソレノイドへの通電によって各弁の開度を調整可能な電磁弁を用いるようにしてもよい。第3制御弁9の具体的構成については後述する。
【0027】
以上のように構成された車両用冷暖房装置100は、図示しない制御部により制御される。制御部は、車両の乗員によりセットされた室温を実現するために各アクチュエータの制御量を演算し、各アクチュエータの駆動回路に制御信号を出力する。制御部は、車室内外の温度、蒸発器7の吹き出し空気温度等、各種センサにて検出された所定の外部情報に基づいて各制御弁の制御量(弁開度や開閉状態)を決定し、その制御量が実現されるようアクチュエータに電流を供給する。本実施例ではアクチュエータとしてステッピングモータを用いるため、制御部は、各制御弁の制御量が実現されるようステッピングモータに制御パルス信号を出力する。このような制御により、圧縮機2は、その吸入室を介して吸入圧力Psの冷媒を導入し、これを圧縮して吐出圧力Pdの冷媒として吐出する。なお、本実施形態ではこのような制御を実現するために、室内凝縮器3の出口、室外熱交換器5の一方の出入口と他方の出入口、蒸発器7の入口と出口のそれぞれの温度を検出するための複数の温度センサが設置されている。
【0028】
次に、本実施形態の冷凍サイクルの動作について説明する。図2は、車両用冷暖房装置の動作を表す説明図である。(A)は冷房運転時の状態を示し、(B)は特定暖房運転時の状態を示し、(C)は通常暖房運転時の状態を示し、(D)は特殊暖房運転時の状態を示している。なお、「特定暖房運転」は、暖房運転において特に除湿の機能を高めた運転状態である。「特殊暖房運転」は、室外熱交換器5を機能させない運転状態である。なお、図中の太線および矢印が冷媒の流れを示し、「×」は冷媒の流れが遮断されていることを示している。
【0029】
図2(A)に示すように、冷房運転時においては、第1制御弁4において第1弁31が開弁状態とされ第2弁32が閉弁状態とされる。また、第2制御弁6において第1弁41が開弁状態とされ第2弁42が閉弁状態とされる。さらに、第3制御弁9において第1弁51が開弁状態とされ第2弁52が閉弁状態とされる。それにより第1冷媒循環通路のみが開放される。このため、バイパス通路25,26,27が遮断され、圧縮機2から吐出冷媒は室外熱交換器5および蒸発器7に導かれる。このとき、室外熱交換器5は室外凝縮器として機能する。
【0030】
すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、室内凝縮器3および室外熱交換器5を経ることで凝縮される。そして、室外熱交換器5を経由した冷媒が第3制御弁9の第1弁51にて断熱膨張されて冷温・低圧の気液二相冷媒となり、蒸発器7に導入される。蒸発器7の入口に導入された冷媒は、その蒸発器7を通過する過程で蒸発し、車室内の空気を冷却する。蒸発器7から導出された冷媒は、第2制御弁6の第1弁41を経てアキュムレータ8に導入される。制御部は、室外熱交換器5の出口側の温度に基づき、その出口側の過冷却度が適正となるよう第1弁51の開度を制御する。
【0031】
図2(B)に示すように、特定暖房運転時においては、第1制御弁4の第1弁31が閉弁状態とされ第2弁32が開弁状態とされる。また、第2制御弁6において第1弁41および第2弁42が共に開弁状態とされる。さらに、第3制御弁9において第1弁51が閉弁状態とされ第2弁52が開弁状態とされる。それにより第1冷媒循環通路が遮断され、第2冷媒循環通路および第3冷媒循環通路が開放される。このため、室内凝縮器3から導出された冷媒は、一方でバイパス通路26を介して室外熱交換器5に導かれ、他方でバイパス通路25を介して蒸発器7に導かれる。
【0032】
すなわち、圧縮機2から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、室内凝縮器3を経て凝縮される。室内凝縮器3から導出された冷媒は、一方で第1制御弁4の第2弁32にて断熱膨張されて冷温・低圧の気液二相冷媒となり、室外熱交換器5を通過する際に蒸発される。室外熱交換器5から導出された冷媒は、第2制御弁6の第2弁42を経てアキュムレータ8に導入される。また、室内凝縮器3から導出された冷媒は、他方で第3制御弁9の第2弁52にて断熱膨張されて冷温・低圧の気液二相冷媒となり、蒸発器7を通過する際に蒸発される。蒸発器7から導出された冷媒は、第2制御弁6の第1弁41を経てアキュムレータ8に導入される。
【0033】
このとき、制御部は、室外熱交換器5による熱吸収と蒸発器7による除湿とを適正に行うべく、室外熱交換器5における冷媒の蒸発量と蒸発器7における冷媒の蒸発量との比率を適正に調整する。具体的には、制御部は、室内凝縮器3の出口側の温度に基づいて第2弁32と第2弁52のトータルの開度を調整することにより、室内凝縮器3の出口側の過冷却度が適正となるよう制御する。制御部は、また、車両用冷暖房装置100の運転負荷に応じて第2弁32と第2弁52の開度の比率を制御することにより、両弁をそれぞれ通過する冷媒流量の比率を調整し、室外熱交換器5および蒸発器7のそれぞれにおける蒸発量を調整する。また、制御部は、第2制御弁6における第1弁41および第2弁42の一方の全開状態を維持したまま他方の開度を調整する。本実施形態では、室外熱交換器5よりも蒸発器7の温度が低い場合には第1弁41を全開状態にして第2弁42の開度を制御する。一方、蒸発器7よりも室外熱交換器5の温度が低い場合には第2弁42を全開状態にして第1弁41の開度を制御する。
【0034】
例えば、前者のように室外熱交換器5よりも蒸発器7の温度が低い場合、室外熱交換器5の蒸発圧力Poと蒸発器7の出口の圧力Peとの差圧ΔP=Po−Peが適正となるように制御することで、循環する冷媒を室外熱交換器5と蒸発器7とで蒸発させる比率を調整することができる。すなわち、差圧ΔPが大きくなると、室外熱交換器5における蒸発量が相対的に小さくなる(蒸発器7における蒸発量が相対的に大きくなる)。逆に、差圧ΔPが小さくなると、室外熱交換器5における蒸発量が相対的に大きくなる(蒸発器7における蒸発量が相対的に小さくなる)。制御部は、その差圧ΔPが適正となるように制御することで、特定暖房運転時における除湿機能を確保する。なお、室外熱交換器5の蒸発圧力Poについては室外熱交換器5の入口側の温度Toを検出することで特定することができる。また、蒸発器7の出口の圧力Peについては蒸発器7の入口側の温度Teを検出することで特定することができる。
【0035】
逆に、後者のように蒸発器7よりも室外熱交換器5の温度が低い場合、蒸発器7の出口の圧力Peと室外熱交換器5の蒸発圧力Poとの差圧ΔP=Pe−Poが適正となるように制御する。制御部は、その差圧ΔPが適正となるように制御することで、特定暖房運転時における除湿機能を確保する。その場合、蒸発器7の出口の圧力Peについては蒸発器7の入口側の温度Teを検出することで特定することができる。また、室外熱交換器5の蒸発圧力Poについては室外熱交換器5の入口側の温度Toを検出することで特定することができる。
なお、このように室外熱交換器5や蒸発器7の入口側の温度を検出するのは、それぞれの出口側に過熱度(スーパーヒート)が発生している場合、出口側の温度を検出してもその温度は蒸発圧力に対応しないためである。なお、出口側の温度と入口側の温度との温度差に基づき、過熱度がどの程度発生しているかを判定することができるため、その温度差に応じて第1弁41や第2弁42の開度を調整することで、適正な蒸発状態を実現することが可能となる。
【0036】
図2(C)に示すように、通常暖房運転時においては、第1制御弁4の第1弁31が閉弁状態とされ第2弁32が開弁状態とされる。また、第2制御弁6において第1弁41が閉弁状態とされ、第2弁42が開弁状態とされる。さらに、第3制御弁9において第1弁51および第2弁52が共に閉弁状態とされる。それにより第2冷媒循環通路のみが開放される。このため、室内凝縮器3から導出された冷媒はバイパス通路26を介して室外熱交換器5に導かれる。このとき、蒸発器7には冷媒が供給されないため、蒸発器7は実質的に機能しなくなり、室外熱交換器5のみが蒸発器として機能するようになる。制御部は、室内凝縮器3の出口側の温度に基づき、その出口側の過冷却度が適正となるよう第2弁32の開度を制御する。
【0037】
図2(D)に示すように、特殊暖房運転時においては、第1制御弁4の第1弁31および第2弁32が共に閉弁状態とされる。また、第2制御弁6において第1弁41が開弁状態とされ、第2弁42が閉弁状態とされる。さらに、第3制御弁9において第1弁51が閉弁状態とされ、第2弁52が開弁状態とされる。それにより第3冷媒循環通路のみが開放される。このため、室内凝縮器3から導出された冷媒はバイパス通路25を介して蒸発器7に導かれる。つまり、冷媒が室外熱交換器5を迂回するため室外熱交換器5が実質的に機能しなくなる。蒸発器7に導入された冷媒は、その蒸発器7を通過する過程で蒸発し、車室内の空気を除湿する。このような特殊冷暖房運転は、外部からの吸熱が困難な場合、例えば車両が極寒状況におかれた場合などに有効に機能する。制御部は、室内凝縮器3の出口側の温度に基づき、その出口側の過冷却度が適正となるよう第2弁52の開度を制御する。
【0038】
次に、本実施形態の制御弁の具体的構成について説明する。
図3〜図5は、第1制御弁4の構成および動作を表す断面図である。図3に示すように、第1制御弁4は、ステッピングモータ駆動式の電動弁として構成され、弁本体101とモータユニット102とを組み付けて構成されている。弁本体101は、有底筒状のボディ104に大口径の第1弁31と小口径の第2弁32とを同軸状に収容して構成され、一方の弁の閉弁状態を維持しつつ他方の弁の開度が設定開度に調整される比例弁として構成されている。
【0039】
ボディ104の一方の側部には導入ポート110が設けられ、他方の側部には上下に第1導出ポート112、第2導出ポート114が設けられている。導入ポート110は第2通路22の上流側に連通し、第1導出ポート112は第2通路22の下流側に連通し、第2導出ポート114はバイパス通路26に連通する。すなわち、ボディ104には、導入ポート110と第1導出ポート112とをつなぐ第1冷媒通路と、導入ポート110と第2導出ポート114とをつなぐ第2冷媒通路が形成される。
【0040】
ボディ104の上半部には、円筒状のガイド部材116が配設されている。ガイド部材116は、シール部材を介してボディ104に同心状に組み付けられている。ガイド部材116は、その上半部の内周面がガイド孔118を形成し、その下端部が弁孔120を形成している。また、弁孔120の下端開口端縁により弁座122が形成されている。ガイド部材116における第1導出ポート112との対向面には、内外を連通する連通孔が設けられている。
【0041】
ボディ104の上端部には、円板状の区画部材124が配設されている。区画部材124は、弁本体101の内部とモータユニット102の内部とを区画する。区画部材124の中央部には、円ボス状の軸受部126が設けられている。軸受部126の内周面には雌ねじ部が設けられ、外周面は滑り軸受として機能する。
【0042】
ボディ104の内方には、大径の弁体130、小径の弁体132、および弁作動体134が同軸状に配設されている。弁体130が上流側から弁孔120に接離して大口径の第1弁31の開度を調整することにより、第1冷媒通路を流れる冷媒の流量が調整される。弁体130の外周面にはリング状の弾性体(例えばゴム)からなる弁部材136が嵌着されており、その弁部材136が弁座122に着座することにより、第1弁31を完全に閉じることが可能になる。
【0043】
一方、ボディ104の下半部には、小円筒状のガイド部材140が配設されている。ガイド部材140は、第2冷媒通路の中央部に弁体130と同軸状に設けられ、その下半部がボディ104に圧入されている。ガイド部材140は、その上半部の内周面がガイド孔142を形成し、その下端部が弁孔144を形成している。また、弁孔144の上端開口端縁により弁座146が形成されている。ガイド部材140における導入ポート110との対向面には、内外を連通する連通孔が設けられている。図示のように、弁孔120および弁孔144の上流側に導入ポート110に連通する共通の高圧室115が形成され、弁孔120の下流側には第1導出ポート112に連通する低圧室117が形成され、弁孔144の下流側には第2導出ポート114に連通する低圧室119が形成されている。
【0044】
弁体130は、縮径部を介して区画部148が連設されている。区画部148は、低圧室117に配置されている。そして、区画部148の上端部がガイド孔118に摺動可能に支持されることにより、弁体130の開閉方向への安定した動作が確保されている。区画部148と区画部材124との間には背圧室150が形成される。また、弁体130と区画部148とを貫通する連通路151が形成され、高圧室115と背圧室150とを連通させている。これにより、背圧室150には常に、導入ポート110から導入される上流側圧力Pinが満たされる。
【0045】
本実施形態においては、弁孔120の有効径Aとガイド孔118の有効径Bとが等しく設定されているため(弁体130の有効受圧面積と区画部148の有効受圧面積とが実質的に等しくされているため)、弁体130に作用する冷媒圧力の影響はキャンセルされる。特に、その圧力キャンセルを厳密に実現するために、背圧室150における区画部148の上方には、第1弁31が閉弁状態となるときに区画部148に密着してその有効受圧面積を拡大する受圧調整部材149が配設されている。受圧調整部材149は、リング状をなす弾性体(例えばゴム)からなり、その外周端部がガイド部材116と区画部材124との間に挟まれるようにして支持されている。
【0046】
すなわち、弁体130の有効受圧面積は、弁孔120の有効径Aに対応するように設定されている。しかし、弁部材136が弁座122に着座した完全シール状態においては、弾性体の性質により実際の有効受圧径が弁孔120の有効径Aよりもやや大きくなる。これに対応するため、その完全シール時においては、受圧調整部材149が区画部148の下面に密着するようにすることで、背圧室150側の有効受圧径がガイド孔118の有効径Bよりもやや大きくなるようにする。このようにして弁体130の有効受圧面積と区画部148の有効受圧面積とを等しくすることにより、完全な圧力キャンセルを実現する。
【0047】
弁体132は、段付円柱状をなし、弁体130の内方に同軸状に配設されている。弁体132の下半部は、ガイド部材140に摺動可能に挿通され、その先端部が弁孔144に対向配置されている。一方、弁体132の上半部は、弁体130の連通路151を貫通し、その上端部が弁作動体134に支持されている。弁体132は、いわゆるニードル弁体として構成され、その尖った先端部が弁孔144に挿抜される。そして、弁体132が弁座146に着脱することにより第2弁32が開閉される。弁体132の上端部は弁作動体134の底部を貫通し、その先端部が外方に加締められて係止部156となっている。
【0048】
弁作動体134は、段付円筒状をなし、その外周部に雄ねじ部が形成されている。雄ねじ部は、軸受部126の雌ねじ部に螺合する。弁作動体134の上端部には半径方向外向きに延出する複数(本実施形態では4つ)の脚部152が設けられており、モータユニット102のロータに嵌合している。弁体132と区画部148との間には、弁体132を閉弁方向に付勢するスプリング154(「付勢部材」として機能する)が介装されている。通常の状態では図示のように、スプリング154によって弁体132が下方へ付勢される一方、弁体132の係止部156が弁作動体134の上端部に係止される。このため、弁体132は、弁作動体134に対して最も下方に位置する状態となる。
【0049】
弁作動体134は、モータユニット102の回転駆動力を受けて回転し、その回転力を並進力に変換する。すなわち、弁作動体134が回転すると、ねじ機構(「作動変換機構」として機能する)によって弁作動体134が軸線方向に変位し、弁体132を開閉方向に駆動する。第2弁32の開弁時には弁体132と弁作動体134とが一体に動作する。
【0050】
一方、モータユニット102は、ロータ172とステータ173とを含むステッピングモータとして構成されている。モータユニット102は、有底円筒状のスリーブ170の内方にロータ172を回転自在に支持するようにして構成されている。スリーブ170の外周には、励磁コイル171を収容したステータ173が設けられている。スリーブ170は、その下端開口部がボディ104に組み付けられており、ボディ104とともに第1制御弁4のボディを構成する。
【0051】
ロータ172は、円筒状に形成された回転軸174と、その回転軸174の外周に配設されたマグネット176を備える。本実施形態では、マグネット176は24極に磁化されている。回転軸174の内方にはモータユニット102のほぼ全長にわたる内部空間が形成されている。回転軸174の内周面の特定箇所には、軸線に平行に延びるガイド部178が設けられている。ガイド部178は、後述する回転ストッパと係合するための突部を形成するものであり、軸線に平行に延びる一つの突条により構成されている。
【0052】
回転軸174の下端部はやや縮径され、その内周面に軸線に平行に延びる4つのガイド部180が設けられている。ガイド部180は、軸線に平行に延びる一対の突条により構成され、回転軸174の内周面に90度おきに設けられている。この4つのガイド部180には、上述した弁作動体134の4つの脚部152が嵌合し、ロータ172と弁作動体134とが一体に回転できるようになっている。ただし、弁作動体134は、ロータ172に対する回転方向の相対変位は規制されるものの、そのガイド部180にそった軸線方向の変位は許容される。すなわち、弁作動体134は、ロータ172とともに回転しつつ弁体132の開閉方向に駆動される。
【0053】
ロータ172の内方には、その軸線に沿って長尺状のシャフト182が配設されている。シャフト182は、その上端部がスリーブ170の底部中央に圧入されることにより片持ち状に固定され、ガイド部178に平行に内部空間に延在している。シャフト182は、弁作動体134と同一軸線上に配置されている。シャフト182には、そのほぼ全長にわたって延在する螺旋状のガイド部184が設けられている。ガイド部184は、コイル状の部材からなり、シャフト182の外面に嵌着されている。ガイド部184の上端部は折り返されて係止部186となっている。
【0054】
ガイド部184には、螺旋状の回転ストッパ188が回転可能に係合している。回転ストッパ188は、ガイド部184に係合する螺旋状の係合部190と、回転軸174に支持される動力伝達部192とを有する。係合部190は一巻きコイルの形状をなし、その下端部に半径方向外向きに延出する動力伝達部192が連設されている。動力伝達部192の先端部がガイド部178に係合している。すなわち、動力伝達部192は、ガイド部178の一つの突条に当接して係止される。このため、回転ストッパ188は、回転軸174により回転方向の相対変位は規制されるが、ガイド部178に摺動しつつその軸線方向の変位が許容される。
【0055】
すなわち、回転ストッパ188は、ロータ172と一体に回転し、その係合部190がガイド部184にそってガイドされることで、軸線方向に駆動される。ただし、回転ストッパ188の軸線方向の駆動範囲はガイド部178の両端に形成された係止部により規制される。同図には、回転ストッパ188が中間位置にある状態が示されている。回転ストッパ188が上方へ変位して係止部186に係止されると、その位置が上死点となる。回転ストッパ188が下方へ変位すると、その下死点にて係止される。
【0056】
ロータ172は、その上端部がシャフト182に回転自在に支持され、下端部が軸受部126に回転自在に支持されている。具体的には、回転軸174の上端開口部を封止するように有底円筒状の端部部材194が設けられ、その端部部材194の中央に設けられた円筒軸196の部分がシャフト182に支持されている。すなわち、軸受部126が一端側の軸受部となり、シャフト182における円筒軸196との摺動部が他端側の軸受部となっている。
【0057】
以上のように構成された第1制御弁4は、モータユニット102の駆動制御によってその弁開度を調整可能なステッピングモータ作動式の制御弁として機能する。以下、その動作について詳細に説明する。
第1制御弁4の流量制御において、車両用冷暖房装置の図示しない制御部は、設定開度に応じたステッピングモータの駆動ステップ数を演算し、励磁コイル171に駆動電流(駆動パルス)を供給する。それによりロータ172が回転し、一方で弁作動体134が回転駆動されて小口径の第2弁32および大口径の第1弁31の開度が設定開度に調整され、他方で回転ストッパ188がガイド部184にそって駆動されることにより、各弁体の動作範囲が規制される。
【0058】
具体的には、小口径制御を実行する場合、図3の状態からロータ172が一方向に回転駆動(正転)されることにより弁体132が開弁方向に変位し、図4に示すように第2弁32が開弁状態となる。すなわち、ロータ172とともに回転する弁作動体134がねじ機構によって上昇し、係止部156を吊り上げるようにして弁体132を開弁方向に変位させる。弁体132は、図3に示す全閉状態と図4に示す全開位置との間の範囲で駆動され、第2弁32の開度が調整される。
【0059】
また、大口径制御を実行する場合、図3の状態からロータ172が他方向に回転駆動(逆転)されることにより弁体132の閉弁状態を維持し、図5に示すように第1弁31が開弁状態となる。すなわち、ロータ172とともに回転する弁作動体134が区画部148に当接してこれを押し下げるようにして弁体130を開弁方向に変位させる。弁体130は、図3に示す全閉状態と図5に示す全開位置との間の範囲で駆動され、第1弁31の開度が調整される。このとき、図示のように、弁体132の係止部156と弁作動体134の底部との係合状態が解除されるため、弁体132と弁座146との間に過度な押圧力が作用することもない。
【0060】
ロータ172の回転数は制御指令値としての駆動ステップ数に対応するため、図示しない制御部は、第1制御弁4を任意の開度に制御することができる。なお、弁体132がスプリング154により常に閉弁方向に付勢されているため、弁体130が弁座122から離間した第1弁31の開弁状態においては、弁体132が弁座146に着座した第2弁32の閉弁状態が維持されるようになる。
【0061】
図6〜図8は、第2制御弁6の構成および動作を表す断面図である。
図6に示すように、第2制御弁6は、ステッピングモータ駆動式の電動弁として構成され、弁本体201とモータユニット102とを組み付けて構成されている。弁本体201は、有底筒状のボディ204に大口径の第1弁41と大口径の第2弁42とを同軸状に収容して構成され、一方の弁の全開状態を維持しつつ他方の弁の開度を設定開度に調整する比例弁として構成されている。
【0062】
ボディ204の一方の側部には第1導入ポート210および第2導入ポート212が設けられ、他方の側部には導出ポート214が設けられている。第1導入ポート210は第4通路24に連通し、第2導入ポート212はバイパス通路27に連通し、導出ポート214は下流側通路に連通する。その下流側通路はアキュムレータ8の入口につながっている。すなわち、ボディ204には、第1導入ポート210と導出ポート214とをつなぐ第1冷媒通路と、第2導入ポート212と導出ポート214とをつなぐ第2冷媒通路が形成される。
【0063】
ボディ204の中央部には、円筒状の区画部材220が内挿されている。区画部材220は、ボディ204に同心状に組み付けられており、その導出ポート214との対向面には内外を連通する連通孔が形成されている。区画部材220の上端部外周面とボディ204の内周面との間にはシールリング222が設けられ、区画部材220の下端部外周面とボディ204の内周面との間にはシールリング224が設けられている。シールリング224は、半径方向内向きに延出する薄肉部を有し、受圧調整部材としても機能する。区画部材220の上端部内周面にはOリング226が嵌着されている。
【0064】
また、ボディ204における区画部材220の上方には、円筒状の区画部材230が内挿されている。区画部材230は、ボディ204に同心状に組み付けられており、その第2導入ポート212との対向面には内外を連通する連通孔が形成されている。シールリング222およびOリング226は、区画部材220の上端面と区画部材230の下端面との間に挟まれるように配置され、その脱落が防止されている。
【0065】
ボディ204の底部にはリング状の弁座部材232が嵌着されるとともに、ガイド部材234が固定されている。ガイド部材234は、複数の脚部(本実施形態では3本)がボディ204に同心状に立設されるようにして構成されている。ガイド部材234の底部が弁座部材232に部分的にオーバラップすることにより、弁座部材232の脱落が防止されている。
【0066】
また、区画部材124の下面にもリング状の弁座部材236が嵌着されるとともに、ガイド部材238が固定されている。ガイド部材238は、複数の脚部(本実施形態では3本)がボディ204に同心状に立設されるようにして構成されている。ガイド部材238の底部が弁座部材236に部分的にオーバラップすることにより、弁座部材236の脱落が防止されている。ガイド部材234とガイド部材238は、上下に対称な配置構造となっている。
【0067】
ボディ204の内方には、大径の弁体240、大径の弁体242、弁作動体134および伝達ロッド246が同軸状に配設されている。区画部材124の軸受部126の内周面には、第1実施形態と同様に雌ねじ部が設けられている。弁作動体134の下端部には、伝達ロッド246が連結されている。弁体240はボディ204の下半部に位置し、弁体242はボディ204の上半部に位置する。弁体240と弁体242とは、軸線に沿って対向配置されている。
【0068】
弁体240は有底円筒状をなし、その底部中央に下方に凸となる形状の係止部250を有し、その係止部250の中央には伝達ロッド246の先端部を貫通させるための貫通孔が設けられている。また、弁体240の底部には、その内部と導出ポート214とを連通させる連通孔が形成されている。弁体240は、ガイド部材234に摺動可能に外挿され、その下端開口部が弁座部材232に接離することにより第1弁41の開度を調整する。弁体240の外周部のシールは、シールリング224により実現されている。
【0069】
弁体242は弁体240と近似した構造を有する。すなわち、弁体242は有底円筒状をなし、その底部中央に上方に凸となる形状の係止部252を有し、その係止部252の中央には伝達ロッド246の下半部を貫通させるための貫通孔が設けられている。また、弁体242の底部には、その内部と導出ポート214とを連通させる連通孔が形成されている。弁体242は、ガイド部材238に摺動可能に外挿され、その上端開口部が弁座部材236に接離することにより第2弁42の開度を調整する。弁体242の外周部のシールは、Oリング226により実現されている。図示のように、弁体240と弁体242とは、ボディ204の中央部にて互いに底部を対向させるように配置される。
【0070】
伝達ロッド246は段付円柱状をなし、弁体242を軸線方向に貫通している。伝達ロッド246の上端部は、弁作動体134の底部に固定されている。伝達ロッド246の下半部は小径化されて弁体242の底部を貫通し、その先端部が弁体240の底部を貫通して半径方向外向きに加締められている。伝達ロッド246は、その下半部の基端により弁体242の上方への相対変位を規制し、その下端部により弁体240の下方への相対変位を規制する。弁体240の係止部250と弁体242の係止部252との間に形成される空間には、互いを離間方向に付勢するスプリング248(「付勢部材」として機能する)が介装されている。
【0071】
ここで、本実施形態においては、弁体242の弁部の有効径Aと摺動部の有効径Bとがほぼ等しく設定されているため(本実施形態では有効径Aのほうがやや大きい)、弁体242に作用する冷媒圧力の影響が大きくキャンセルされる。同様に、弁体240の弁部の有効径Cと摺動部の有効径Dとがほぼ等しく設定されているため(本実施形態では有効径Cのほうがやや大きい)、弁体240に作用する冷媒圧力の影響も大きくキャンセルされる。このため、冷媒圧力の変化によりモータユニット102に過度な負荷がかかることがなく、弁開度の制御を安定に行うことができる。
【0072】
以上のように構成された第2制御弁6は、モータユニット102の駆動制御によってその弁開度を調整可能なステッピングモータ作動式の制御弁として機能する。すなわち、車両用冷暖房装置の運転状態に応じて第1弁41を全開状態とし、第2弁42を閉弁状態とする場合、図6に示す状態とされる。
【0073】
一方、第1弁41または第2弁42の開度を調整する場合、図6の状態からロータ172を一方向に回転駆動(正転)する。それにより、図7に示すように、ロータ172とともに回転する弁作動体134がねじ機構によって下降し、弁体242および弁体240を押し下げるようにして変位させ、第2弁42が開弁状態となる。なお、図7には第1弁41および第2弁42の双方が全開となる中立状態が示されているが、いずれか一方の開度を小さくしてその開度を制御することにより、その小さくした側の弁を流れる冷媒の流量を調整することができる。このとき、開度が大きくなる側の弁は、その開度が大きくなっても冷媒の流量は飽和状態となり、図7に示す状態と実質的に変わらない全開状態を維持する。すなわち、弁体242が図6に示す全閉状態と図7に示す全開位置との間の範囲で駆動されることにより第2弁42の開度が調整される。
【0074】
また、第1弁41を閉弁状態とする場合、図7の状態からロータ172をさらに同方向に回転駆動する。それにより、図8に示すように、弁体242および弁体240がさらに押し下げられ、第1弁41が閉弁状態となる。このとき、弁体242が図7の状態からさらに開弁方向に駆動されるが、第2弁42は、その開度が大きくなっても冷媒の流量は飽和状態となり、図7に示す状態と実質的に変わらない全開状態を維持する。第1弁41を閉弁状態から開弁させる場合には、図8の状態からロータ172を他方向に回転駆動(逆転)させればよい。すなわち、弁体240が図8に示す全閉状態と図7に示す全開位置との間の範囲で駆動されることにより第1弁41の開度が調整される。
【0075】
図9〜図11は、第3制御弁9の構成および動作を表す断面図である。
図9に示すように、第3制御弁9は、ステッピングモータ駆動式の電動弁として構成され、弁本体301とモータユニット102とを組み付けて構成されている。弁本体301は、有底筒状のボディ304に小口径の第1弁51と小口径の第2弁52とを同軸状に収容して構成され、一方の弁の閉弁状態を維持しつつ他方の弁の開度を設定開度に調整する比例弁として構成されている。
【0076】
ボディ304の一方の側部には第1導入ポート310および第2導入ポート312が設けられ、他方の側部には導出ポート314が設けられている。第1導入ポート310は第3通路23の上流側に連通し、第2導入ポート312はバイパス通路25に連通し、導出ポート314は第3通路23の下流側に連通する。すなわち、ボディ304には、第1導入ポート310と導出ポート314とをつなぐ第1冷媒通路と、第2導入ポート312と導出ポート314とをつなぐ第2冷媒通路が形成される。
【0077】
ボディ304の下半部には、段付円筒状の区画部材320が内挿されている。区画部材320は、ボディ304に同心状に組み付けられている。そして、区画部材320の上端開口部に上方から弁体322が挿通され、下端開口部に下方から弁体324が挿通されている。また、区画部材320の側面には、上方から第1導入ポート310に連通する連通孔326、導出ポート314に連通する連通孔328、第2導入ポート312に連通する連通孔330が設けられている。区画部材320の下端部はボディ304との間に背圧室329を形成している。区画部材320の外周面における連通孔326と連通孔328との間、連通孔328と連通孔330との間、連通孔330と背圧室329との間には、それぞれシール用のOリングが嵌着されている。
【0078】
区画部材320における連通孔326と連通孔328とをつなぐ通路には弁孔332が形成され、その上端開口端縁により弁座334が形成されている。弁孔332は、区画部材320の上端開口部よりも内径がやや小さく構成されている。弁体322が上方から弁座334に着脱することにより第1弁51が開閉される。また、区画部材320における連通孔328と連通孔330とをつなぐ通路には弁孔336が形成され、その下端開口端縁により弁座338が形成されている。弁孔336は、区画部材320の下端開口部よりも内径がやや小さく構成されている。弁体324が下方から弁座338に着脱することにより第2弁52が開閉される。また、区画部材320には、その軸線からずれた位置にその軸線に平行な複数の貫通孔340が設けられている。貫通孔340の一端は第1導入ポート310に連通し、他端は背圧室329に連通している。そして、その複数の貫通孔340を貫通するように長尺状の伝達ロッド342がそれぞれ配設されている。なお、本実施形態では区画部材320の軸線の周りに3つの貫通孔340と3つの伝達ロッド342が設けられるが(同図には1つのみ表示)、変形例においては貫通孔340と伝達ロッド342を2つずつ設けてもよい。
【0079】
ボディ104の内方には、小径の弁体322、小径の弁体324、および弁作動体134が同軸状に配設されている。弁体322と弁体324は、軸線に沿って対向配置されている。弁体322は段付円柱状をなし、その下半部が区画部材320の上端開口部に摺動可能に挿通され、その先端部が弁座334に対向配置されている。弁体322は、いわゆるニードル弁体として構成され、その尖った先端部が弁孔332に挿抜される。そして、弁体322が弁座334に着脱することにより第1弁51が開閉される。弁体322の上半部はやや縮径されて弁作動体134の底部を貫通し、その先端部が外方に加締められて係止部156となっている。弁作動体134の上端部と係止部156との間には、弁体322を閉弁方向(係止部156を弁作動体134の底部に押しつける方向)に付勢するスプリング344(「付勢部材」として機能する)が介装されている。
【0080】
区画部材124と区画部材320との間には、円板状の伝達部材346が配設されている。伝達部材346の中央には貫通孔が設けられ、弁体322の上半部がこれを貫通している。伝達部材346の下面は伝達ロッド342の上端面に当接している。一方、伝達部材346と区画部材124との間には、伝達部材346を下方に付勢するスプリング348が介装されている。このような構成により、伝達部材346に作用する付勢力は伝達ロッド342を介して下方に伝達されるようになる。
【0081】
一方、弁体324は段付円柱状をなし、区画部材320の下端開口部に摺動可能に挿通され、その上端部が弁座338に対向配置されている。弁体324の外周面にはOリングが嵌着されている。弁体324は、いわゆるニードル弁体として構成され、その尖った先端部が弁孔336に挿抜される。そして、弁体324が弁座338に着脱することにより第2弁52が開閉される。弁体324の下端部には半径方向外向きに延出するフランジ部349が設けられ、背圧室329に配置されている。フランジ部349の上面は伝達ロッド342の下端面に当接している。一方、フランジ部349の下面とボディ304の底部との間には、弁体324を閉弁方向に付勢するスプリング350(「付勢部材」として機能する)が介装されている。このような構成により、伝達ロッド342による伝達力が弁体324に伝達されるようになる。
【0082】
以上のように構成された第3制御弁9は、モータユニット102の駆動制御によってその弁開度を調整可能なステッピングモータ作動式の制御弁として機能する。すなわち、車両用冷暖房装置の運転状態に応じて第1弁51を開弁状態とし、第2弁52を閉弁状態とする場合、図9に示す状態とされる。このとき、弁作動体134が伝達部材346から離間しているため、モータユニット102の駆動力が弁体324に伝わることはない。一方、スプリング344の付勢力により係止部156が弁作動体134の底部に押しつけられており、弁体322が弁作動体134に対して下死点に位置するため、モータユニット102の駆動力がそのまま弁体322に作用する。その結果、弁体322は、ロータ172の回転量に応じて変位し、第1弁51が設定開度に制御される。すなわち、弁体322が図9に示す全開状態と図10に示す全閉位置との間の範囲で駆動されることにより第1弁51の開度が調整される。
【0083】
一方、第1弁51および第2弁52をともに閉弁状態とする場合、図9の状態からロータ172を一方向に回転駆動(正転)する。それにより、図10に示すように、ロータ172とともに回転する弁作動体134がねじ機構によって下降し、弁体322が弁座334に着座し、第1弁51が閉弁状態となる。このとき、弁作動体134が伝達部材346に当接するまでにロータ172の回転を停止させることで、第2弁52についても閉弁状態を維持することができる。なお、弁体322が弁座334に着座すると、図示のように、弁体322がその反力によりスプリング344を押し縮めることで弁作動体134に対して相対変位可能となるため、弁体322が弁座334に対して過度に押しつけられることはない。
【0084】
また、第2弁52を開弁状態とする場合、図10の状態からロータ172をさらに同方向に回転駆動する。それにより、図11に示すように、モータユニット102による駆動力が弁作動体134、伝達部材346および伝達ロッド342を介して弁体324に伝達され、弁体324が押し下げられ、第2弁52が開弁状態となる。すなわち、弁体324が図10に示す全閉状態と図11に示す全開位置との間の範囲で駆動されることにより第2弁52の開度が調整される。
【0085】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はその特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0086】
上記実施形態では、本発明の車両用冷暖房装置を電気自動車に適用した例を示したが、内燃機関を搭載した自動車や、内燃機関と電動機を同載したハイブリッド式の自動車に提供することが可能であることは言うまでもない。上記実施形態では、圧縮機2として電動圧縮機を採用した例を示したが、エンジンの回転を利用して容量可変を行う可変容量圧縮機を採用することもできる。
【0087】
上記実施形態においては、補助凝縮器として室内凝縮器を設ける例を示した。変形例においては、補助凝縮器を室外熱交換器とは別に設けられる熱交換器として構成してもよい。その熱交換器は、例えば車室外に配置され、冷却水(ブラインなどでもよい)を利用して熱交換を行うものでもよい。具体的には、例えば図1におけるバイパス通路25への分岐点と圧縮機2との間に熱交換器を設ける一方、車室内に放熱器を配置し、これら熱交換器と放熱器とを冷却水の循環回路にて接続してもよい。その循環回路には冷却水を汲み上げるポンプを設けてもよい。このようにすれば、圧縮機2から第1制御弁4へ向かう高温の冷媒と、循環回路を循環する冷却水との間で熱交換を行うことができる。このような構成においても、圧縮機2から吐出された冷媒を熱交換器により凝縮させて第1制御弁4や第3制御弁9に供給することが可能となる。
【0088】
上記実施形態においては、第1制御弁4、第2制御弁6、第3制御弁9の各構成例を示したが、例えばボディの通路形状を変更してもよい。図12は、変形例にかかる車両用冷暖房装置のシステム構成を表す図である。同図において、一点鎖線が各制御弁のボディを示している。
【0089】
本変形例では、第1制御弁4が、第1分岐点、第2分岐点、第3分岐点の全てをボディ内に形成している。また、第3制御弁9が、バイパス通路25と第3通路23との合流点と、バイパス通路26と第3通路23との合流点をボディ内に形成している。すなわち、本変形例の車両用冷暖房装置においては、冷媒循環通路に形成される分岐点や合流点を制御弁のボディに設けることで、配管にT字状の接続部(いわゆるT字配管)を設けなくてもよい構成としている。すなわち、車両用冷暖房装置100の冷媒循環通路に形成される冷媒通路の分岐点および合流点の全てが、第1制御弁4、第2制御弁6、第3制御弁9のいずれかのボディの内部通路の一部として一体成形されている。それにより、車両用冷暖房装置の配管、ひいてはシステム全体の製造コストを低減することが可能となる。
【符号の説明】
【0090】
2 圧縮機、 3 室内凝縮器、 4 第1制御弁、 5 室外熱交換器、 6 第2制御弁、 7 蒸発器、 8 アキュムレータ、 9 第3制御弁、 21 第1通路、 22 第2通路、 23 第3通路、 24 第4通路、 25,26,27 バイパス通路、 31 第1弁、 32 第2弁、 41 第1弁、 42 第2弁、 51 第1弁、 52 第2弁、 100 車両用冷暖房装置、 101 弁本体、 102 モータユニット、 110 導入ポート、 112 第1導出ポート、 114 第2導出ポート、 120 弁孔、 122 弁座、 130,132 弁体、 134 弁作動体、 144 弁孔、 146 弁座、 150 背圧室、 172 ロータ、 173 ステータ、 201 弁本体、 210 第1導入ポート、 212 第2導入ポート、 214 導出ポート、 240,242 弁体、 246 伝達ロッド、 301 弁本体、 310 第1導入ポート、 312 第2導入ポート、 314 導出ポート、 322,324 弁体、 329 背圧室、 332 弁孔、 334 弁座、 336 弁孔、 338 弁座。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、
車室外に配置され、冷房運転時に冷媒を放熱させる室外凝縮器として機能する一方、暖房運転時には冷媒を蒸発させる室外蒸発器として機能する室外熱交換器と、
車室内に配置されて冷媒を蒸発させる室内蒸発器と、
前記圧縮機、前記室外熱交換器、前記室内蒸発器を接続する冷媒循環通路を構成し、冷媒の流れを変更するために開度が調整される第1冷媒通路および第2冷媒通路と、
前記第1冷媒通路および前記第2冷媒通路が内部に形成され、前記第1冷媒通路の冷媒の流れを調整するために開度が制御される第1弁と、前記第2冷媒通路の冷媒の流れを調整するために開度が制御される第2弁とを収容する共用のボディと、前記第1弁と前記第2弁の開度を電気的に調整するための共用のアクチュエータと、を含む制御弁と、
を備え、
前記制御弁は、前記アクチュエータによる前記第1弁および前記第2弁の一方の開度の制御状態において他方を閉弁状態または全開状態に維持可能な弁配置構成を有することを特徴とする車両用冷暖房装置。
【請求項2】
前記制御弁は、前記第1弁および前記第2弁の一方を閉弁状態に維持しつつ双方の弁を相対変位させることにより、他方の弁開度を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用冷暖房装置。
【請求項3】
前記制御弁は、前記第1弁および前記第2弁の一方を全開状態に維持しつつ双方の弁を一体変位させることにより、他方の弁開度を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用冷暖房装置。
【請求項4】
前記制御弁は、
前記ボディに設けられた第1の弁孔と、
前記ボディに前記第1の弁孔と同軸状に設けられた第2の弁孔と、
前記第1の弁孔に接離することにより第1弁を開閉する第1の弁体と、
前記第2の弁孔に接離することにより第2弁を開閉する第2の弁体と、
前記アクチュエータとして回転駆動されるロータを含むステッピングモータと、
前記ロータとともに回転し、その軸線周りの回転運動を軸線方向の並進運動に変換することにより、前記第1の弁体および前記第2の弁体に対して各弁の開閉駆動力を伝達する弁作動体と、
を備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用冷暖房装置。
【請求項5】
前記冷媒循環通路に設けられ、前記室外熱交換器とは別に冷媒を放熱させる補助凝縮器をさらに備え、
前記冷媒循環通路に前記制御弁が少なくとも3つ以上設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用冷暖房装置。
【請求項6】
前記圧縮機から吐出された冷媒が前記補助凝縮器、前記室外熱交換器および前記室内蒸発器を順次経由して前記圧縮機に戻るように循環可能な第1冷媒循環通路と、
前記圧縮機から吐出された冷媒が前記補助凝縮器および前記室外熱交換器を順次経由して前記圧縮機に戻るように循環可能な第2冷媒循環通路と、
前記圧縮機から吐出された冷媒が前記補助凝縮器および前記室内蒸発器を順次経由して前記圧縮機に戻るように循環可能な第3冷媒循環通路と、
前記制御弁として、前記第1冷媒循環通路を構成する前記第1冷媒通路と、前記第2冷媒循環通路を構成する前記第2冷媒通路との分岐点に設けられる第1制御弁と、
前記制御弁として、前記第1冷媒循環通路と前記第3冷媒循環通路に共用の前記第1冷媒通路と、前記第2冷媒循環通路を構成する前記第2冷媒通路との合流点に設けられる第2制御弁と、
前記制御弁として、前記第1冷媒循環通路を構成する前記第1冷媒通路と、前記第3冷媒循環通路を構成する前記第2冷媒通路との合流点に設けられる第3制御弁と、
を備えることを特徴とする請求項5に記載の車両用冷暖房装置。
【請求項7】
前記冷媒循環通路に形成される冷媒通路の分岐点および合流点の全てが、前記第1制御弁、前記第2制御弁、前記第3制御弁のいずれかのボディの内部通路の一部として一体成形されていることを特徴とする請求項6に記載の車両用冷暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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