説明

車両用前照灯

【課題】バルブ光源の点灯に伴うバルブ光源の近傍の昇温を抑制し、カバーレンズのうちのバルブ光源から離れた位置のバルブ光源消灯後の曇りを抑制する。
【解決手段】バルブ光源1から前向きに照射された光の一部を遮る傘部2aを有するフード2と、フード2の傘部2aにより遮られなかったバルブ光源1からの光を反射して車両用前照灯の前側に照射する放物系反射面3a1を有するリフレクタ3とを具備し、傘部2aをバルブ光源1の中心軸線1’上に配置し、ハウジング100aとカバーレンズ100bとによって画定される灯室100c内にバルブ光源1とフード2とリフレクタ3とを配置した車両用前照灯100において、中心軸線1’よりも上側に位置する上端開口部2c1と、中心軸線1’よりも下側に位置する下端開口部2c2とを有するパイプ状部材2cをフード2に設け、パイプ状部材2cを金属材料によって形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブ光源からの直射光がグレア光となって車両用前照灯の前側に照射されるのを防止するための傘部を有するフードと、フードの傘部により遮られなかったバルブ光源からの光を反射して車両用前照灯の前側に照射する放物系反射面を有するリフレクタとを具備し、ハウジングとカバーレンズとによって画定される灯室内にバルブ光源とフードとリフレクタとを配置した車両用前照灯に関する。
【0002】
特に、本発明は、バルブ光源の点灯に伴うバルブ光源の近傍の昇温を抑制すると共に、バルブ光源の消灯後にカバーレンズの例えば側端部などのバルブ光源から離れた位置が曇ってしまう現象を抑制することができる車両用前照灯に関する。
【背景技術】
【0003】
従来から、バルブ光源からの直射光がグレア光となって車両用前照灯の前側に照射されるのを防止するための傘部を有するフードと、フードの傘部により遮られなかったバルブ光源からの光を反射して車両用前照灯の前側に照射する放物系反射面を有するリフレクタとを具備し、ハウジングとカバーレンズとによって画定される灯室内にバルブ光源とフードとリフレクタとを配置した車両用前照灯が知られている。この種の車両用前照灯の例としては、例えば特許文献1(特開2011−119064号公報)の図1および図2に記載されたものがある。特許文献1の図1および図2に記載された車両用前照灯では、フードの傘部によって、バルブ光源からの直射光がグレア光となって車両用前照灯の前側に照射されるのを防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−119064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば特許文献1の図1および図2に記載された車両用前照灯のようなバルブ光源が用いられる従来の車両用前照灯では、車両用前照灯の上下方向寸法を小型化しようとすると、バルブ光源の点灯時にバルブ光源の近傍の部品の温度が耐熱温度を超えてしまうため、車両用前照灯の上下方向寸法を十分に小型化することができなかった。一方、仮に、バルブ光源の近傍の部品の耐熱グレードを向上させると、車両用前照灯の上下方向寸法を十分に小型化することができるものの、車両用前照灯全体のコストが嵩んでしまう。
【0006】
また、仮に、車両用前照灯の上下方向寸法を小型化し、車両用前照灯の左右方向寸法を大型化すると、バルブ光源の消灯後にカバーレンズの例えば側端部などのバルブ光源から離れた位置が曇ってしまうおそれがある。
【0007】
前記問題点に鑑み、本発明は、バルブ光源の点灯に伴うバルブ光源の近傍の昇温を抑制すると共に、バルブ光源の消灯後にカバーレンズの例えば側端部などのバルブ光源から離れた位置が曇ってしまう現象を抑制することができる車両用前照灯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、バルブ光源(1)と、
バルブ光源(1)からの直射光がグレア光となって車両用前照灯の前側に照射されるのを防止するために、バルブ光源(1)から前向きに照射された光の一部を遮る傘部(2a)を有するフード(2)と、
フード(2)の傘部(2a)により遮られなかったバルブ光源(1)からの光を反射して車両用前照灯の前側に照射する放物系反射面(3a1)を有するリフレクタ(3)とを具備し、
傘部(2a)をバルブ光源(1)の中心軸線(1’)上に配置し、
ハウジング(100a)とカバーレンズ(100b)とによって画定される灯室(100c)内にバルブ光源(1)とフード(2)とリフレクタ(3)とを配置した車両用前照灯(100)において、
バルブ光源(1)の中心軸線(1’)よりも上側に位置する上端開口部(2c1)と、バルブ光源(1)の中心軸線(1’)よりも下側に位置する下端開口部(2c2)とを有するパイプ状部材(2c)をフード(2)に設け、
パイプ状部材(2c)を金属材料によって形成したことを特徴とする車両用前照灯(100)が提供される。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、傘部(2a)の上部(2a1)に貫通穴(2a1a)を形成し、
傘部(2a)の下部(2a2)に貫通穴(2a2a)を形成し、
概略鉛直方向に延びている直線状のパイプ状部材(2c)を傘部(2a)の上部(2a1)の貫通穴(2a1a)および傘部(2a)の下部(2a2)の貫通穴(2a2a)に挿入することによって、パイプ状部材(2c)の一部を傘部(2a)の内部(2a3)に収容し、
パイプ状部材(2c)の上端開口部(2c1)を傘部(2a)の上部(2a1)の貫通穴(2a1a)とほぼ同一位置に配置し、
パイプ状部材(2c)の下端開口部(2c2)を傘部(2a)の下部(2a2)の貫通穴(2a2a)よりも下側に配置したことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯(100)が提供される。
【0010】
請求項3に記載の発明によれば、傘部(2a)の外側表面(2a−1)に接続される接続部分(2c−1)と、接続部分(2c−1)からバルブ光源(1)の真上を通って後側かつ上側に延びている上側部分(2c−2)と、接続部分(2c−1)からバルブ光源(1)の真下を通って後側かつ下側に延びている下側部分(2c−3)とをパイプ状部材(2c)に形成し、
上側切り欠き溝(3ab1)と下側切り欠き溝(3ab2)とをリフレクタ(3)に形成し、
パイプ状部材(2c)の上側部分(2c−2)をリフレクタ(3)の上側切り欠き溝(3ab1)に挿入することにより、パイプ状部材(2c)の上端開口部(2c1)がリフレクタ(3)の後側表面(3b)とハウジング(100a)との間の空間(100c2)内に位置するように、パイプ状部材(2c)の上側部分(2c−2)とリフレクタ(3)とを接続し、
パイプ状部材(2c)の下側部分(2c−3)をリフレクタ(3)の下側切り欠き溝(3ab2)に挿入することにより、パイプ状部材(2c)の下端開口部(2c2)がリフレクタ(3)の後側表面(3b)とハウジング(100a)との間の空間(100c2)内に位置するように、パイプ状部材(2c)の下側部分(2c−3)とリフレクタ(3)とを接続し、
パイプ状部材(2c)の上端開口部(2c1)をフード(2)の傘部(2a)の上部(2a1)よりも上側に配置し、
パイプ状部材(2c)の下端開口部(2c2)をフード(2)の傘部(2a)の下部(2a2)よりも下側に配置したことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯(100)が提供される。
【0011】
請求項4に記載の発明によれば、傘部(2a)の外側表面(2a−1)に接続される接続部分(2c−1)をパイプ状部材(2c)に形成し、
パイプ状部材(2c)の上端開口部(2c1)および下端開口部(2c2)をリフレクタ(3)の放物系反射面(3a1)とカバーレンズ(100b)との間の空間内に配置し、
パイプ状部材(2c)の上端開口部(2c1)をフード(2)の傘部(2a)の上部(2a1)よりも上側に配置し、
パイプ状部材(2c)の下端開口部(2c2)をフード(2)の傘部(2a)の下部(2a2)よりも下側に配置したことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯(100)が提供される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の車両用前照灯(100)では、バルブ光源(1)と、バルブ光源(1)からの直射光がグレア光となって車両用前照灯の前側に照射されるのを防止するために、バルブ光源(1)から前向きに照射された光の一部を遮る傘部(2a)を有するフード(2)と、フード(2)の傘部(2a)により遮られなかったバルブ光源(1)からの光を反射して車両用前照灯の前側に照射する放物系反射面(3a1)を有するリフレクタ(3)とが設けられている。また、傘部(2a)がバルブ光源(1)の中心軸線(1’)上に配置されている。更に、ハウジング(100a)とカバーレンズ(100b)とによって画定される灯室(100c)内にバルブ光源(1)とフード(2)とリフレクタ(3)とが配置されている。
【0013】
詳細には、請求項1に記載の車両用前照灯(100)では、バルブ光源(1)の中心軸線(1’)よりも上側に位置する上端開口部(2c1)と、バルブ光源(1)の中心軸線(1’)よりも下側に位置する下端開口部(2c2)とを有するパイプ状部材(2c)がフード(2)に設けられている。
【0014】
そのため、請求項1に記載の車両用前照灯(100)では、バルブ光源(1)が点灯されて昇温すると、バルブ光源(1)からの熱によって暖められたパイプ状部材(2c)内の空気が、上昇し、上端開口部(2c1)を介してパイプ状部材(2c)から排出され、更に、排出されたパイプ状部材(2c)内の空気を補うために、パイプ状部材(2c)内の空気より低温の灯室(100c)内の空気が、下端開口部(2c2)を介してパイプ状部材(2c)内に流入する(煙突効果)。
【0015】
つまり、請求項1に記載の車両用前照灯(100)では、煙突効果によって、バルブ光源(1)の近傍の高温の空気がバルブ光源(1)から離れた位置に遠ざけられると共に、バルブ光源(1)から離れた位置の低温の空気がバルブ光源(1)の近傍に供給される。
【0016】
その結果、請求項1に記載の車両用前照灯(100)によれば、バルブ光源(1)の点灯に伴うバルブ光源(1)の近傍の昇温を抑制することができる。それゆえ、請求項1に記載の車両用前照灯(100)によれば、バルブ光源(1)の近傍の昇温が抑制されない車両用前照灯よりも、車両用前照灯(100)の上下方向寸法を小型化することができる。更に、請求項1に記載の車両用前照灯(100)によれば、バルブ光源(1)の近傍の昇温が抑制されない車両用前照灯よりも、バルブ光源(1)の近傍の部品の耐熱グレードを低下させることができ、それにより、車両用前照灯(100)全体のコストを削減することができる。
【0017】
更に、請求項1に記載の車両用前照灯(100)では、パイプ状部材(2c)が金属材料によって形成されている。つまり、請求項1に記載の車両用前照灯(100)では、フード(2)に設けられたパイプ状部材(2c)が、バルブ光源(1)からの熱を一時的に保持(蓄熱)する機能を有する。
【0018】
そのため、請求項1に記載の車両用前照灯(100)では、バルブ光源(1)の消灯後に、パイプ状部材(2c)に一時的に保持(蓄熱)された熱が、カバーレンズ(100b)の例えば側端部(100b1)などのバルブ光源(1)から離れた位置に供給される。
【0019】
その結果、請求項1に記載の車両用前照灯(100)によれば、金属材料によって形成されたパイプ状部材(2c)がフード(2)に設けられていない場合よりも、バルブ光源(1)の消灯後にカバーレンズ(100b)の例えば側端部(100b1)などのバルブ光源(1)から離れた位置が曇ってしまう現象を抑制することができる。
【0020】
換言すれば、請求項1に記載の車両用前照灯(100)によれば、バルブ光源(1)の点灯に伴うバルブ光源(1)の近傍の昇温を抑制すると共に、バルブ光源(1)の消灯後にカバーレンズ(100b)の例えば側端部(100b1)などのバルブ光源(1)から離れた位置が曇ってしまう現象を抑制することができる。
【0021】
請求項2に記載の車両用前照灯(100)では、傘部(2a)の上部(2a1)に貫通穴(2a1a)が形成されている。また、傘部(2a)の下部(2a2)に貫通穴(2a2a)が形成されている。更に、概略鉛直方向に延びている直線状のパイプ状部材(2c)を傘部(2a)の上部(2a1)の貫通穴(2a1a)および傘部(2a)の下部(2a2)の貫通穴(2a2a)に挿入することによって、パイプ状部材(2c)の一部が傘部(2a)の内部(2a3)に収容されている。
【0022】
また、請求項2に記載の車両用前照灯(100)では、パイプ状部材(2c)の上端開口部(2c1)が傘部(2a)の上部(2a1)の貫通穴(2a1a)とほぼ同一位置に配置されている。更に、パイプ状部材(2c)の下端開口部(2c2)が傘部(2a)の下部(2a2)の貫通穴(2a2a)よりも下側に配置されている。
【0023】
つまり、請求項2に記載の車両用前照灯(100)では、パイプ状部材(2c)のうち、傘部(2a)の下部(2a2)の貫通穴(2a2a)よりも下側の部分のみが傘部(2a)の外部に露出しており、その他の部分が、傘部(2a)の内部(2a3)に収容され、傘部(2a)によって覆われている。
【0024】
そのため、請求項2に記載の車両用前照灯(100)によれば、パイプ状部材(2c)をフード(2)に設けることに伴う車両用前照灯(100)の外観の変化を最小限に抑制することができる。
【0025】
詳細には、請求項2に記載の車両用前照灯(100)では、バルブ光源(1)が点灯されて昇温すると、バルブ光源(1)からの熱によって暖められたパイプ状部材(2c)内の空気が、上昇し、上端開口部(2c1)を介してパイプ状部材(2c)から排出され、更に、排出されたパイプ状部材(2c)内の空気を補うために、パイプ状部材(2c)内の空気よりも低温の空気であって、傘部(2a)の下部(2a2)の貫通穴(2a2a)よりも下側に位置する空気が、下端開口部(2c2)を介してパイプ状部材(2c)内に流入する。
【0026】
つまり、請求項2に記載の車両用前照灯(100)では、パイプ状部材(2c)内に上昇気流が形成されると共に、リフレクタ(3)の放物系反射面(3a1)とカバーレンズ(100b)との間の空間(100c1)のうち、パイプ状部材(2c)以外の位置に下降気流が形成される。その結果、請求項2に記載の車両用前照灯(100)では、リフレクタ(3)の放物系反射面(3a1)とカバーレンズ(100b)との間の空間(100c1)内に空気対流が形成される。
【0027】
そのため、請求項2に記載の車両用前照灯(100)によれば、バルブ光源(1)の点灯時にバルブ光源(1)の近傍の熱をリフレクタ(3)の放物系反射面(3a1)とカバーレンズ(100b)との間の空間(100c1)内に分散させることができ、その結果、バルブ光源(1)の点灯に伴うバルブ光源(1)の近傍の昇温を抑制することができる。
【0028】
更に、請求項2に記載の車両用前照灯(100)では、バルブ光源(1)の消灯後に、パイプ状部材(2c)に一時的に保持(蓄熱)された熱が、リフレクタ(3)の放物系反射面(3a1)とカバーレンズ(100b)との間の空間(100c1)内の空気対流によって、カバーレンズ(100b)の例えば側端部(100b1)などのバルブ光源(1)から離れた位置に供給される。
【0029】
その結果、請求項2に記載の車両用前照灯(100)によれば、金属材料によって形成されたパイプ状部材(2c)がフード(2)に設けられていない場合よりも、バルブ光源(1)の消灯後にカバーレンズ(100b)の例えば側端部(100b1)などのバルブ光源(1)から離れた位置が曇ってしまう現象を抑制することができる。
【0030】
請求項3に記載の車両用前照灯(100)では、傘部(2a)の外側表面(2a−1)に接続される接続部分(2c−1)と、接続部分(2c−1)からバルブ光源(1)の真上を通って後側かつ上側に延びている上側部分(2c−2)と、接続部分(2c−1)からバルブ光源(1)の真下を通って後側かつ下側に延びている下側部分(2c−3)とがパイプ状部材(2c)に形成されている。また、上側切り欠き溝(3ab1)と下側切り欠き溝(3ab2)とがリフレクタ(3)に形成されている。
【0031】
更に、請求項3に記載の車両用前照灯(100)では、パイプ状部材(2c)の上側部分(2c−2)をリフレクタ(3)の上側切り欠き溝(3ab1)に挿入することにより、パイプ状部材(2c)の上端開口部(2c1)がリフレクタ(3)の後側表面(3b)とハウジング(100a)との間の空間(100c2)内に位置するように、パイプ状部材(2c)の上側部分(2c−2)とリフレクタ(3)とが接続されている。また、パイプ状部材(2c)の下側部分(2c−3)をリフレクタ(3)の下側切り欠き溝(3ab2)に挿入することにより、パイプ状部材(2c)の下端開口部(2c2)がリフレクタ(3)の後側表面(3b)とハウジング(100a)との間の空間(100c2)内に位置するように、パイプ状部材(2c)の下側部分(2c−3)とリフレクタ(3)とが接続されている。
【0032】
また、請求項3に記載の車両用前照灯(100)では、パイプ状部材(2c)の上端開口部(2c1)がフード(2)の傘部(2a)の上部(2a1)よりも上側に配置されている。更に、パイプ状部材(2c)の下端開口部(2c2)がフード(2)の傘部(2a)の下部(2a2)よりも下側に配置されている。
【0033】
詳細には、請求項3に記載の車両用前照灯(100)では、バルブ光源(1)が点灯されて昇温すると、バルブ光源(1)からの熱によって暖められたパイプ状部材(2c)内の空気が、上昇し、上端開口部(2c1)を介してパイプ状部材(2c)から、リフレクタ(3)の後側表面(3b)とハウジング(100a)との間の空間(100c2)内に排出され、更に、排出されたパイプ状部材(2c)内の空気を補うために、パイプ状部材(2c)内の空気よりも低温の空気であって、リフレクタ(3)の後側表面(3b)とハウジング(100a)との間の空間(100c2)内に位置する空気が、下端開口部(2c2)を介してパイプ状部材(2c)内に流入する。
【0034】
つまり、請求項3に記載の車両用前照灯(100)では、パイプ状部材(2c)内に上昇気流が形成されると共に、リフレクタ(3)の後側表面(3b)とハウジング(100a)との間の空間(100c2)内に下降気流が形成される。
【0035】
そのため、請求項3に記載の車両用前照灯(100)によれば、バルブ光源(1)の点灯時にリフレクタ(3)の後側表面(3b)とハウジング(100a)との間の空間(100c2)内に位置する低温の空気をバルブ光源(1)の近傍に供給することができ、その結果、バルブ光源(1)の点灯に伴うバルブ光源(1)の近傍の昇温を抑制することができる。
【0036】
更に、請求項3に記載の車両用前照灯(100)では、バルブ光源(1)の消灯後に、パイプ状部材(2c)に一時的に保持(蓄熱)された熱が、例えば熱輻射などによって、カバーレンズ(100b)の例えば側端部(100b1)などのバルブ光源(1)から離れた位置に供給される。
【0037】
その結果、請求項3に記載の車両用前照灯(100)によれば、金属材料によって形成されたパイプ状部材(2c)がフード(2)に設けられていない場合よりも、バルブ光源(1)の消灯後にカバーレンズ(100b)の例えば側端部(100b1)などのバルブ光源(1)から離れた位置が曇ってしまう現象を抑制することができる。
【0038】
請求項4に記載の車両用前照灯(100)では、傘部(2a)の外側表面(2a−1)に接続される接続部分(2c−1)がパイプ状部材(2c)に形成されている。また、パイプ状部材(2c)の上端開口部(2c1)および下端開口部(2c2)がリフレクタ(3)の放物系反射面(3a1)とカバーレンズ(100b)との間の空間(100c1)内に配置されている。
【0039】
更に、請求項4に記載の車両用前照灯(100)では、パイプ状部材(2c)の上端開口部(2c1)がフード(2)の傘部(2a)の上部(2a1)よりも上側に配置されている。また、パイプ状部材(2c)の下端開口部(2c2)がフード(2)の傘部(2a)の下部(2a2)よりも下側に配置されている。
【0040】
詳細には、請求項4に記載の車両用前照灯(100)では、バルブ光源(1)が点灯されて昇温すると、バルブ光源(1)からの熱によって暖められたパイプ状部材(2c)内の空気が、上昇し、上端開口部(2c1)を介してパイプ状部材(2c)から排出され、更に、排出されたパイプ状部材(2c)内の空気を補うために、パイプ状部材(2c)内の空気よりも低温の空気であって、傘部(2a)の下部(2a2)よりも下側に位置する空気が、下端開口部(2c2)を介してパイプ状部材(2c)内に流入する。
【0041】
つまり、請求項4に記載の車両用前照灯(100)では、パイプ状部材(2c)内に上昇気流が形成されると共に、リフレクタ(3)の放物系反射面(3a1)とカバーレンズ(100b)との間の空間(100c1)のうち、パイプ状部材(2c)以外の位置に下降気流が形成される。その結果、請求項4に記載の車両用前照灯(100)では、リフレクタ(3)の放物系反射面(3a1)とカバーレンズ(100b)との間の空間(100c1)内に空気対流が形成される。
【0042】
そのため、請求項4に記載の車両用前照灯(100)によれば、バルブ光源(1)の点灯時にバルブ光源(1)の近傍の熱をリフレクタ(3)の放物系反射面(3a1)とカバーレンズ(100b)との間の空間(100c1)内に分散させることができ、その結果、バルブ光源(1)の点灯に伴うバルブ光源(1)の近傍の昇温を抑制することができる。
【0043】
更に、請求項4に記載の車両用前照灯(100)では、バルブ光源(1)の消灯後に、パイプ状部材(2c)に一時的に保持(蓄熱)された熱が、リフレクタ(3)の放物系反射面(3a1)とカバーレンズ(100b)との間の空間(100c1)内の空気対流によって、カバーレンズ(100b)の例えば側端部(100b1)などのバルブ光源(1)から離れた位置に供給される。
【0044】
その結果、請求項4に記載の車両用前照灯(100)によれば、金属材料によって形成されたパイプ状部材(2c)がフード(2)に設けられていない場合よりも、バルブ光源(1)の消灯後にカバーレンズ(100b)の例えば側端部(100b1)などのバルブ光源(1)から離れた位置が曇ってしまう現象を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1の実施形態の車両用前照灯100を示した図である。
【図2】第1の実施形態の車両用前照灯100を示した図である。
【図3】第1の実施形態の車両用前照灯100のバルブ光源1およびフード2を右前側かつ上側から見た斜視図である。
【図4】第1の実施形態の車両用前照灯100のバルブ光源1およびフード2を左後側かつ上側から見た斜視図である。
【図5】第2の実施形態の車両用前照灯100を示した図である。
【図6】第2の実施形態の車両用前照灯100を示した図である。
【図7】第2の実施形態の車両用前照灯100のバルブ光源1とフード2とリフレクタ3とによって構成されるユニットを左前側かつ上側から見た斜視図である。
【図8】第2の実施形態の車両用前照灯100のバルブ光源1とフード2とリフレクタ3とによって構成されるユニットを右後側かつ上側から見た斜視図である。
【図9】第3の実施形態の車両用前照灯100を示した図である。
【図10】第3の実施形態の車両用前照灯100を示した図である。
【図11】第3の実施形態の車両用前照灯100のバルブ光源1およびフード2を右前側かつ上側から見た斜視図である。
【図12】第3の実施形態の車両用前照灯100のバルブ光源1およびフード2を左後側かつ上側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の車両用前照灯の第1の実施形態について説明する。図1および図2は第1の実施形態の車両用前照灯100を示した図である。詳細には、図1(A)は第1の実施形態の車両用前照灯100の概略的な正面図、図1(B)は図1(A)のA−A線に沿った概略的な水平断面図、図2は図1(A)のB−B線に沿った概略的な鉛直断面図である。図3は第1の実施形態の車両用前照灯100のバルブ光源1およびフード2を右前側かつ上側から見た斜視図である。図4は第1の実施形態の車両用前照灯100のバルブ光源1およびフード2を左後側かつ上側から見た斜視図である。
【0047】
第1の実施形態の車両用前照灯100では、バルブ光源1(図1(B)、図2、図3および図4参照)からの直射光がグレア光となって車両用前照灯100の前側(図1(B)の下側、図2の左側)に照射されるのを防止するために、バルブ光源1から前向き(図1(B)の下向き、図2の左向き)に照射された光の一部を遮る傘部2a(図1(B)、図2、図3および図4参照)を有するフード2(図1、図2、図3および図4参照)が設けられている。また、フード2の傘部2aにより遮られなかったバルブ光源1からの光を反射して車両用前照灯100の前側(図1(B)の下側、図2の左側)に照射する放物系反射面3a1(図1(B)および図2参照)を有するリフレクタ3(図1および図2参照)が設けられている。
【0048】
詳細には、第1の実施形態の車両用前照灯100では、例えばねじ止めなどによってバルブ光源1(図1(B)、図2、図3および図4参照)がリフレクタ3(図1および図2参照)に接続されている。また、例えばねじ止めなどによってフード2(図1、図2、図3および図4参照)の接続部2b(図2、図3および図4参照)がリフレクタ3に接続されている。
【0049】
更に、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図1および図2に示すように、フード2の傘部2aがバルブ光源1の中心軸線1’上に配置されている。更に、ハウジング100aとカバーレンズ100bとによって画定される灯室100c内にバルブ光源1とフード2とリフレクタ3とエクステンション5とが配置されている。
【0050】
詳細には、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図1および図2に示すように、バルブ光源1とフード2とリフレクタ3とによって構成されるユニットが、例えばエイミングスクリュー(図示せず)、ボールジョイント(図示せず)などを介してハウジング100aに接続されている。つまり、例えばエイミングスクリューを回転させることによって、バルブ光源1とフード2とリフレクタ3とにより構成されるユニットをハウジング100aに対して回動させ、バルブ光源1の中心軸線1’の向きを調整することができるように、第1の実施形態の車両用前照灯100が構成されている。
【0051】
また、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図1および図2に示すように、バルブ光源1の発光部1aが、リフレクタ3の前側表面3aに形成された放物系反射面3a1の焦点上またはその近傍に配置されている。
【0052】
詳細には、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図2に示すように、バルブ光源1の中心軸線1’よりも上側(図2の上側)に位置する上端開口部2c1と、バルブ光源1の中心軸線1’よりも下側(図2の下側)に位置する下端開口部2c2とを有するパイプ状部材2cがフード2に設けられている。
【0053】
そのため、第1の実施形態の車両用前照灯100では、バルブ光源1が点灯されて昇温すると、バルブ光源1からの熱によって暖められたパイプ状部材2c内の空気が、上昇し、上端開口部2c1を介してパイプ状部材2cから排出され、更に、排出されたパイプ状部材2c内の空気を補うために、パイプ状部材2c内の空気より低温の灯室100c内の空気が、下端開口部2c2を介してパイプ状部材2c内に流入する(煙突効果)。
【0054】
つまり、第1の実施形態の車両用前照灯100では、煙突効果によって、バルブ光源1の近傍の高温の空気がバルブ光源1から離れた位置に遠ざけられると共に、バルブ光源1から離れた位置の低温の空気がバルブ光源1の近傍に供給される。その結果、第1の実施形態の車両用前照灯100によれば、バルブ光源1の点灯に伴うバルブ光源1の近傍の昇温を抑制することができる。
【0055】
更に、第1の実施形態の車両用前照灯100では、パイプ状部材2cが例えばアルミニウム、銅などのような熱伝導性が高い金属材料によって形成されている。つまり、第1の実施形態の車両用前照灯100では、フード2に設けられたパイプ状部材2cが、バルブ光源1からの熱を一時的に保持(蓄熱)する機能を有する。
【0056】
そのため、第1の実施形態の車両用前照灯100では、バルブ光源1の消灯後に、パイプ状部材2cに一時的に保持(蓄熱)された熱(余熱)が、例えばカバーレンズ100bの側端部100b1(図1(B)参照)などのような、カバーレンズ100bのうちのバルブ光源1から離れた部分に供給される。
【0057】
その結果、第1の実施形態の車両用前照灯100によれば、金属材料によって形成されたパイプ状部材2cがフード2に設けられていない場合よりも、バルブ光源1の消灯後に、例えばカバーレンズ100bの側端部100b1(図1(B)参照)などのような、カバーレンズ100bのうちのバルブ光源1から離れた部分が曇ってしまう現象を抑制することができる。
【0058】
詳細には、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図2、図3および図4に示すように、傘部2aの上部2a1に貫通穴2a1aが形成されている。また、傘部2aの下部2a2に貫通穴2a2aが形成されている。更に、概略鉛直方向に延びている直線状のパイプ状部材2cを傘部2aの上部2a1の貫通穴2a1aおよび傘部2aの下部2a2の貫通穴2a2aに挿入することによって、パイプ状部材2cの一部が傘部2aの内部2a3に収容されている。
【0059】
また、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図2、図3および図4に示すように、パイプ状部材2cの上端開口部2c1が傘部2aの上部2a1の貫通穴2a1aとほぼ同一位置に配置されている。更に、図2に示すように、パイプ状部材2cの下端開口部2c2が傘部2aの下部2a2の貫通穴2a2aよりも下側(図2の下側)に配置されている。
【0060】
つまり、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図1(A)、図2および図3に示すように、パイプ状部材2cのうち、傘部2a(図2および図3参照)の下部2a2(図2参照)の貫通穴2a2a(図2参照)よりも下側(図2の下側)の部分のみが傘部2aの外部に露出しており、その他の部分が、傘部2aの内部2a3(図2参照)に収容され、傘部2aによって覆われている。
【0061】
そのため、第1の実施形態の車両用前照灯100によれば、図1(A)に示すように、パイプ状部材2cをフード2に設けることに伴う車両用前照灯100の外観の変化を最小限に抑制することができる。
【0062】
詳細には、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図2に示すように、バルブ光源1が点灯されて昇温すると、バルブ光源1からの熱によって暖められたパイプ状部材2c内の空気が、上昇し、上端開口部2c1を介してパイプ状部材2cから排出され、更に、排出されたパイプ状部材2c内の空気を補うために、パイプ状部材2c内の空気よりも低温の空気であって、傘部2aの下部2a2の貫通穴2a2aよりも下側に位置する空気が、下端開口部2c2を介してパイプ状部材2c内に流入する。
【0063】
つまり、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図2に示すように、パイプ状部材2c内に上昇気流が形成されると共に、リフレクタ3の放物系反射面3a1とカバーレンズ100bとの間の空間100c1のうち、パイプ状部材2c以外の位置に下降気流が形成される。その結果、第1の実施形態の車両用前照灯100では、リフレクタ3の放物系反射面3a1とカバーレンズ100bとの間の空間100c1内に空気対流が形成される。
【0064】
そのため、第1の実施形態の車両用前照灯100によれば、図2に示すように、バルブ光源1の点灯時にバルブ光源1の近傍の熱をリフレクタ3の放物系反射面3a1とカバーレンズ100bとの間の空間100c1内に分散させることができ、その結果、バルブ光源1の点灯に伴うバルブ光源1の近傍の昇温を抑制することができる。
【0065】
更に、第1の実施形態の車両用前照灯100では、図1(B)に示すように、バルブ光源1の消灯後に、パイプ状部材2cに一時的に保持(蓄熱)された熱が、リフレクタ3の放物系反射面3a1とカバーレンズ100bとの間の空間100c1内の空気対流によって、例えばカバーレンズ100bの側端部100b1(図1(B)中のハッチング部分)などのような、カバーレンズ100bのうちのバルブ光源1から離れた部分に供給される。
【0066】
その結果、第1の実施形態の車両用前照灯100によれば、金属材料によって形成されたパイプ状部材2cがフード2に設けられていない場合よりも、バルブ光源1の消灯後に、例えばカバーレンズ100bの側端部100b1などのような、カバーレンズ100bのうちのバルブ光源1から離れた部分が曇ってしまう現象を抑制することができる。
【0067】
詳細には、第1の実施形態の車両用前照灯100では、ファンを設ける必要なく、リフレクタ3の放物系反射面3a1とカバーレンズ100bとの間の空間100c1内の空気対流を形成することができる。
【0068】
以下、本発明の車両用前照灯の第2の実施形態について説明する。図5および図6は第2の実施形態の車両用前照灯100を示した図である。詳細には、図5(A)は第2の実施形態の車両用前照灯100の概略的な正面図、図5(B)は図5(A)のC−C線に沿った概略的な水平断面図、図6は図5(A)のD−D線に沿った概略的な鉛直断面図である。図7は第2の実施形態の車両用前照灯100のバルブ光源1とフード2とリフレクタ3とによって構成されるユニットを左前側かつ上側から見た斜視図である。図8は第2の実施形態の車両用前照灯100のバルブ光源1とフード2とリフレクタ3とによって構成されるユニットを右後側かつ上側から見た斜視図である。
【0069】
第2の実施形態の車両用前照灯100では、バルブ光源1(図5(B)、図6、図7および図8参照)からの直射光がグレア光となって車両用前照灯100の前側(図5(B)の下側、図6の左側)に照射されるのを防止するために、バルブ光源1から前向き(図5(B)の下向き、図6の左向き)に照射された光の一部を遮る傘部2a(図5(B)、図6および図7参照)を有するフード2(図5、図6および図7参照)が設けられている。また、フード2の傘部2aにより遮られなかったバルブ光源1からの光を反射して車両用前照灯100の前側(図5(B)の下側、図6の左側)に照射する放物系反射面3a1(図5(B)および図6参照)を有するリフレクタ3(図5、図6、図7および図8参照)が設けられている。
【0070】
詳細には、第2の実施形態の車両用前照灯100では、例えばねじ止めなどによってバルブ光源1(図5(B)、図6、図7および図8参照)がリフレクタ3(図5、図6、図7および図8参照)に接続されている。また、フード2(図5、図6および図7参照)のパイプ状部材2c(図5、図6および図7参照)を介してフード2の傘部2a(図5(B)、図6および図7参照)がリフレクタ3に接続されている。
【0071】
更に、第2の実施形態の車両用前照灯100では、図5および図6に示すように、フード2の傘部2aがバルブ光源1の中心軸線1’上に配置されている。更に、ハウジング100aとカバーレンズ100bとによって画定される灯室100c内にバルブ光源1とフード2とリフレクタ3とエクステンション5とが配置されている。
【0072】
詳細には、第2の実施形態の車両用前照灯100では、図5および図6に示すように、バルブ光源1とフード2とリフレクタ3とによって構成される図7および図8に示すユニットが、例えばエイミングスクリュー(図示せず)、ボールジョイント(図示せず)などを介してハウジング100aに接続されている。つまり、例えばエイミングスクリューを回転させることによって、バルブ光源1とフード2とリフレクタ3とにより構成されるユニットをハウジング100aに対して回動させ、バルブ光源1の中心軸線1’の向きを調整することができるように、第2の実施形態の車両用前照灯100が構成されている。
【0073】
また、第2の実施形態の車両用前照灯100では、図5および図6に示すように、バルブ光源1の発光部1aが、リフレクタ3の前側表面3aに形成された放物系反射面3a1の焦点上またはその近傍に配置されている。
【0074】
詳細には、第2の実施形態の車両用前照灯100では、図6に示すように、バルブ光源1の中心軸線1’よりも上側(図6の上側)に位置する上端開口部2c1と、バルブ光源1の中心軸線1’よりも下側(図6の下側)に位置する下端開口部2c2とを有するパイプ状部材2cがフード2に設けられている。
【0075】
そのため、第2の実施形態の車両用前照灯100では、バルブ光源1が点灯されて昇温すると、バルブ光源1からの熱によって暖められたパイプ状部材2c内の空気が、上昇し、上端開口部2c1を介してパイプ状部材2cから排出され、更に、排出されたパイプ状部材2c内の空気を補うために、パイプ状部材2c内の空気より低温の灯室100c内の空気が、下端開口部2c2を介してパイプ状部材2c内に流入する(煙突効果)。
【0076】
つまり、第2の実施形態の車両用前照灯100では、煙突効果によって、バルブ光源1の近傍の高温の空気がバルブ光源1から離れた位置に遠ざけられると共に、バルブ光源1から離れた位置の低温の空気がバルブ光源1の近傍に供給される。その結果、第2の実施形態の車両用前照灯100によれば、バルブ光源1の点灯に伴うバルブ光源1の近傍の昇温を抑制することができる。
【0077】
更に、第2の実施形態の車両用前照灯100では、パイプ状部材2cが例えばアルミニウム、銅などのような熱伝導性が高い金属材料によって形成されている。つまり、第2の実施形態の車両用前照灯100では、フード2に設けられたパイプ状部材2cが、バルブ光源1からの熱を一時的に保持(蓄熱)する機能を有する。
【0078】
そのため、第1の実施形態の車両用前照灯100では、バルブ光源1の消灯後に、パイプ状部材2cに一時的に保持(蓄熱)された熱(余熱)が、例えばカバーレンズ100bの側端部100b1(図5(B)参照)などのような、カバーレンズ100bのうちのバルブ光源1から離れた部分に供給される。
【0079】
その結果、第1の実施形態の車両用前照灯100によれば、金属材料によって形成されたパイプ状部材2cがフード2に設けられていない場合よりも、バルブ光源1の消灯後に、例えばカバーレンズ100bの側端部100b1(図5(B)参照)などのような、カバーレンズ100bのうちのバルブ光源1から離れた部分が曇ってしまう現象を抑制することができる。
【0080】
詳細には、第2の実施形態の車両用前照灯100では、図6に示すように、傘部2aの外側表面2a−1に接続される接続部分2c−1と、接続部分2c−1からバルブ光源1の真上を通って後側かつ上側(図6の右側かつ上側)に延びている上側部分2c−2と、接続部分2c−1からバルブ光源1の真下を通って後側かつ下側(図6の右側かつ下側)に延びている下側部分2c−3とがパイプ状部材2cに形成されている。また、図5(A)、図6および図8に示すように、上側切り欠き溝3ab1と下側切り欠き溝3ab2とがリフレクタ3に形成されている。
【0081】
更に、第2の実施形態の車両用前照灯100では、図6に示すように、パイプ状部材2cの上側部分2c−2を図6の右向きにリフレクタ3の上側切り欠き溝3ab1に挿入することにより、パイプ状部材2cの上端開口部2c1がリフレクタ3)の後側表面3bとハウジング100aとの間の空間100c2内に位置するように、パイプ状部材2cの上側部分2c−2とリフレクタ3とが接続されている。また、パイプ状部材2cの下側部分2c−3を図6の右向きにリフレクタ3の下側切り欠き溝3ab2に挿入することにより、パイプ状部材2cの下端開口部2c2がリフレクタ3の後側表面3bとハウジング100aとの間の空間100c2内に位置するように、パイプ状部材2cの下側部分2c−3とリフレクタ3とが接続されている。
【0082】
また、第2の実施形態の車両用前照灯100では、図6に示すように、パイプ状部材2cの上端開口部2c1がフード2の傘部2aの上部2a1よりも上側(図6の上側)に配置されている。更に、パイプ状部材2cの下端開口部2c2がフード2の傘部2aの下部2a2よりも下側(図6の下側)に配置されている。
【0083】
詳細には、第2の実施形態の車両用前照灯100では、図6に示すように、バルブ光源1が点灯されて昇温すると、バルブ光源1からの熱によって暖められたパイプ状部材2c内の空気が、上昇し、上端開口部2c1を介してパイプ状部材2cから、リフレクタ3の後側表面3bとハウジング100aとの間の空間100c2内に排出され、更に、排出されたパイプ状部材2c内の空気を補うために、パイプ状部材2c内の空気よりも低温の空気であって、リフレクタ3の後側表面3bとハウジング100aとの間の空間100c2内に位置する空気が、下端開口部2c2を介してパイプ状部材2c内に流入する。
【0084】
つまり、第2の実施形態の車両用前照灯100では、図6に示すように、パイプ状部材2c内に上昇気流が形成されると共に、リフレクタ3の後側表面3bとハウジング100aとの間の空間100c2内に下降気流が形成される。
【0085】
そのため、第2の実施形態の車両用前照灯100によれば、バルブ光源1の点灯時にリフレクタ3の後側表面3bとハウジング100aとの間の空間100c2内に位置する低温の空気をバルブ光源1の近傍に供給することができ、その結果、バルブ光源1の点灯に伴うバルブ光源1の近傍の昇温を抑制することができる。
【0086】
更に、第2の実施形態の車両用前照灯100では、図5(B)に示すように、バルブ光源1の消灯後に、パイプ状部材2cに一時的に保持(蓄熱)された熱が、例えば熱輻射などによって、例えばカバーレンズ100bの側端部100b1(図5(B)中のハッチング部分)などのような、カバーレンズ100bのうちのバルブ光源1から離れた部分に供給される。
【0087】
その結果、第2の実施形態の車両用前照灯100によれば、金属材料によって形成されたパイプ状部材2cがフード2に設けられていない場合よりも、バルブ光源1の消灯後に、例えばカバーレンズ100bの側端部100b1(図5(B)中のハッチング部分)などのような、カバーレンズ100bのうちのバルブ光源1から離れた部分が曇ってしまう現象を抑制することができる。
【0088】
以下、本発明の車両用前照灯の第3の実施形態について説明する。図9および図10は第3の実施形態の車両用前照灯100を示した図である。詳細には、図9(A)は第3の実施形態の車両用前照灯100の概略的な正面図、図9(B)は図9(A)のE−E線に沿った概略的な水平断面図、図10は図9(A)のF−F線に沿った概略的な鉛直断面図である。図11は第3の実施形態の車両用前照灯100のバルブ光源1およびフード2を右前側かつ上側から見た斜視図である。図12は第3の実施形態の車両用前照灯100のバルブ光源1およびフード2を左後側かつ上側から見た斜視図である。
【0089】
第3の実施形態の車両用前照灯100では、バルブ光源1(図9(B)、図10、図11および図12参照)からの直射光がグレア光となって車両用前照灯100の前側(図9(B)の下側、図10の左側)に照射されるのを防止するために、バルブ光源1から前向き(図9(B)の下向き、図10の左向き)に照射された光の一部を遮る傘部2a(図9(B)、図10、図11および図12参照)を有するフード2(図9、図10、図11および図12参照)が設けられている。また、フード2の傘部2aにより遮られなかったバルブ光源1からの光を反射して車両用前照灯100の前側(図9(B)の下側、図10の左側)に照射する放物系反射面3a1(図9(B)および図10参照)を有するリフレクタ3(図9および図10参照)が設けられている。
【0090】
詳細には、第3の実施形態の車両用前照灯100では、例えばねじ止めなどによってバルブ光源1(図9(B)、図10、図11および図12参照)がリフレクタ3(図9および図10参照)に接続されている。また、例えばねじ止めなどによってフード2(図9、図10、図11および図12参照)の接続部2b(図10、図11および図12参照)がリフレクタ3に接続されている。
【0091】
更に、第3の実施形態の車両用前照灯100では、図9および図10に示すように、フード2の傘部2aがバルブ光源1の中心軸線1’上に配置されている。更に、ハウジング100aとカバーレンズ100bとによって画定される灯室100c内にバルブ光源1とフード2とリフレクタ3とエクステンション5とが配置されている。
【0092】
詳細には、第3の実施形態の車両用前照灯100では、図9および図10に示すように、バルブ光源1とフード2とリフレクタ3とによって構成されるユニットが、例えばエイミングスクリュー(図示せず)、ボールジョイント(図示せず)などを介してハウジング100aに接続されている。つまり、例えばエイミングスクリューを回転させることによって、バルブ光源1とフード2とリフレクタ3とにより構成されるユニットをハウジング100aに対して回動させ、バルブ光源1の中心軸線1’の向きを調整することができるように、第3の実施形態の車両用前照灯100が構成されている。
【0093】
また、第3の実施形態の車両用前照灯100では、図9および図10に示すように、バルブ光源1の発光部1aが、リフレクタ3の前側表面3aに形成された放物系反射面3a1の焦点上またはその近傍に配置されている。
【0094】
詳細には、第3の実施形態の車両用前照灯100では、図10に示すように、バルブ光源1の中心軸線1’よりも上側(図10の上側)に位置する上端開口部2c1と、バルブ光源1の中心軸線1’よりも下側(図10の下側)に位置する下端開口部2c2とを有するパイプ状部材2cがフード2に設けられている。
【0095】
そのため、第3の実施形態の車両用前照灯100では、バルブ光源1が点灯されて昇温すると、バルブ光源1からの熱によって暖められたパイプ状部材2c内の空気が、上昇し、上端開口部2c1を介してパイプ状部材2cから排出され、更に、排出されたパイプ状部材2c内の空気を補うために、パイプ状部材2c内の空気より低温の灯室100c内の空気が、下端開口部2c2を介してパイプ状部材2c内に流入する(煙突効果)。
【0096】
つまり、第3の実施形態の車両用前照灯100では、煙突効果によって、バルブ光源1の近傍の高温の空気がバルブ光源1から離れた位置に遠ざけられると共に、バルブ光源1から離れた位置の低温の空気がバルブ光源1の近傍に供給される。その結果、第3の実施形態の車両用前照灯100によれば、バルブ光源1の点灯に伴うバルブ光源1の近傍の昇温を抑制することができる。
【0097】
更に、第3の実施形態の車両用前照灯100では、パイプ状部材2cが例えばアルミニウム、銅などのような熱伝導性が高い金属材料によって形成されている。つまり、第3の実施形態の車両用前照灯100では、フード2に設けられたパイプ状部材2cが、バルブ光源1からの熱を一時的に保持(蓄熱)する機能を有する。
【0098】
そのため、第3の実施形態の車両用前照灯100では、バルブ光源1の消灯後に、パイプ状部材2cに一時的に保持(蓄熱)された熱(余熱)が、例えばカバーレンズ100bの側端部100b1(図9(B)参照)などのような、カバーレンズ100bのうちのバルブ光源1から離れた部分に供給される。
【0099】
その結果、第3の実施形態の車両用前照灯100によれば、金属材料によって形成されたパイプ状部材2cがフード2に設けられていない場合よりも、バルブ光源1の消灯後に、例えばカバーレンズ100bの側端部100b1(図9(B)参照)などのような、カバーレンズ100bのうちのバルブ光源1から離れた部分が曇ってしまう現象を抑制することができる。
【0100】
詳細には、第3の実施形態の車両用前照灯100では、図10に示すように、傘部2aの外側表面2a−1に接続される接続部分2c−1が、パイプ状部材2cに形成されている。また、パイプ状部材2cの上端開口部2c1および下端開口部2c2がリフレクタ3の放物系反射面3a1とカバーレンズ100bとの間の空間100c1内に配置されている。
【0101】
更に、第3の実施形態の車両用前照灯100では、図10に示すように、パイプ状部材2cの上端開口部2c1がフード2の傘部2aの上部2a1よりも上側(図10の上側)に配置されている。また、パイプ状部材2cの下端開口部2c2がフード2の傘部2aの下部2a2よりも下側(図10の下側)に配置されている。
【0102】
詳細には、第3の実施形態の車両用前照灯100では、図10に示すように、バルブ光源1が点灯されて昇温すると、バルブ光源1からの熱によって暖められたパイプ状部材2c内の空気が、上昇し、上端開口部2c1を介してパイプ状部材2cから排出され、更に、排出されたパイプ状部材2c内の空気を補うために、パイプ状部材2c内の空気よりも低温の空気であって、傘部2aの下部2a2よりも下側に位置する空気が、下端開口部2c2を介してパイプ状部材2c内に流入する。
【0103】
つまり、第3の実施形態の車両用前照灯100では、図10に示すように、パイプ状部材2c内に上昇気流が形成されると共に、リフレクタ3の放物系反射面3a1とカバーレンズ100bとの間の空間100c1のうち、パイプ状部材2c以外の位置に下降気流が形成される。その結果、第3の実施形態の車両用前照灯100では、リフレクタ3の放物系反射面3a1とカバーレンズ100bとの間の空間100c1内に空気対流が形成される。
【0104】
そのため、第3の実施形態の車両用前照灯100によれば、バルブ光源1の点灯時にバルブ光源1の近傍の熱をリフレクタ3の放物系反射面3a1とカバーレンズ100bとの間の空間100c1内に分散させることができ、その結果、バルブ光源1の点灯に伴うバルブ光源1の近傍の昇温を抑制することができる。
【0105】
更に、第3の実施形態の車両用前照灯100では、図9(B)に示すように、バルブ光源1の消灯後に、パイプ状部材2cに一時的に保持(蓄熱)された熱が、リフレクタ3の放物系反射面3a1とカバーレンズ100bとの間の空間100c1内の空気対流によって、例えばカバーレンズ100bの側端部100b1(図9(B)中のハッチング部分)などのような、カバーレンズ100bのうちのバルブ光源1から離れた部分に供給される。
【0106】
その結果、第3の実施形態の車両用前照灯100によれば、金属材料によって形成されたパイプ状部材2cがフード2に設けられていない場合よりも、バルブ光源1の消灯後に、例えばカバーレンズ100bの側端部100b1(図9(B)中のハッチング部分)などのような、カバーレンズ100bのうちのバルブ光源1から離れた部分が曇ってしまう現象を抑制することができる。
【0107】
詳細には、第3の実施形態の車両用前照灯100では、図9、図10および図11に示すように、パイプ状部材2cに装飾が施されていないが、第4の実施形態の車両用前照灯100では、代わりに、パイプ状部材2cを利用して例えば龍や蛇などの装飾を施すことも可能である。
【0108】
第5の実施形態では、上述した第1から第4の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明の車両用前照灯は、フードを有する例えばヘッドランプ、フォグランプなどのような、フードを有する車両用前照灯に適用可能である。
【符号の説明】
【0110】
1 バルブ光源
1’ 中心軸線
2 フード
2a 傘部
2c パイプ状部材
2c1 上端開口部
2c2 下端開口部
3 リフレクタ
3a1 放物系反射面
100 車両用前照灯
100a ハウジング
100b カバーレンズ
100c 灯室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブ光源(1)と、
バルブ光源(1)からの直射光がグレア光となって車両用前照灯の前側に照射されるのを防止するために、バルブ光源(1)から前向きに照射された光の一部を遮る傘部(2a)を有するフード(2)と、
フード(2)の傘部(2a)により遮られなかったバルブ光源(1)からの光を反射して車両用前照灯の前側に照射する放物系反射面(3a1)を有するリフレクタ(3)とを具備し、
傘部(2a)をバルブ光源(1)の中心軸線(1’)上に配置し、
ハウジング(100a)とカバーレンズ(100b)とによって画定される灯室(100c)内にバルブ光源(1)とフード(2)とリフレクタ(3)とを配置した車両用前照灯(100)において、
バルブ光源(1)の中心軸線(1’)よりも上側に位置する上端開口部(2c1)と、バルブ光源(1)の中心軸線(1’)よりも下側に位置する下端開口部(2c2)とを有するパイプ状部材(2c)をフード(2)に設け、
パイプ状部材(2c)を金属材料によって形成したことを特徴とする車両用前照灯(100)。
【請求項2】
傘部(2a)の上部(2a1)に貫通穴(2a1a)を形成し、
傘部(2a)の下部(2a2)に貫通穴(2a2a)を形成し、
概略鉛直方向に延びている直線状のパイプ状部材(2c)を傘部(2a)の上部(2a1)の貫通穴(2a1a)および傘部(2a)の下部(2a2)の貫通穴(2a2a)に挿入することによって、パイプ状部材(2c)の一部を傘部(2a)の内部(2a3)に収容し、
パイプ状部材(2c)の上端開口部(2c1)を傘部(2a)の上部(2a1)の貫通穴(2a1a)とほぼ同一位置に配置し、
パイプ状部材(2c)の下端開口部(2c2)を傘部(2a)の下部(2a2)の貫通穴(2a2a)よりも下側に配置したことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯(100)。
【請求項3】
傘部(2a)の外側表面(2a−1)に接続される接続部分(2c−1)と、接続部分(2c−1)からバルブ光源(1)の真上を通って後側かつ上側に延びている上側部分(2c−2)と、接続部分(2c−1)からバルブ光源(1)の真下を通って後側かつ下側に延びている下側部分(2c−3)とをパイプ状部材(2c)に形成し、
上側切り欠き溝(3ab1)と下側切り欠き溝(3ab2)とをリフレクタ(3)に形成し、
パイプ状部材(2c)の上側部分(2c−2)をリフレクタ(3)の上側切り欠き溝(3ab1)に挿入することにより、パイプ状部材(2c)の上端開口部(2c1)がリフレクタ(3)の後側表面(3b)とハウジング(100a)との間の空間(100c2)内に位置するように、パイプ状部材(2c)の上側部分(2c−2)とリフレクタ(3)とを接続し、
パイプ状部材(2c)の下側部分(2c−3)をリフレクタ(3)の下側切り欠き溝(3ab2)に挿入することにより、パイプ状部材(2c)の下端開口部(2c2)がリフレクタ(3)の後側表面(3b)とハウジング(100a)との間の空間(100c2)内に位置するように、パイプ状部材(2c)の下側部分(2c−3)とリフレクタ(3)とを接続し、
パイプ状部材(2c)の上端開口部(2c1)をフード(2)の傘部(2a)の上部(2a1)よりも上側に配置し、
パイプ状部材(2c)の下端開口部(2c2)をフード(2)の傘部(2a)の下部(2a2)よりも下側に配置したことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯(100)。
【請求項4】
傘部(2a)の外側表面(2a−1)に接続される接続部分(2c−1)をパイプ状部材(2c)に形成し、
パイプ状部材(2c)の上端開口部(2c1)および下端開口部(2c2)をリフレクタ(3)の放物系反射面(3a1)とカバーレンズ(100b)との間の空間内に配置し、
パイプ状部材(2c)の上端開口部(2c1)をフード(2)の傘部(2a)の上部(2a1)よりも上側に配置し、
パイプ状部材(2c)の下端開口部(2c2)をフード(2)の傘部(2a)の下部(2a2)よりも下側に配置したことを特徴とする請求項1に記載の車両用前照灯(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−33667(P2013−33667A)
【公開日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−169573(P2011−169573)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】